(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】弾球遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
A63F7/02 312Z
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2018071499
(22)【出願日】2018-04-03
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591044614
【氏名又は名称】株式会社足立ライト工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】山崎 龍也
(72)【発明者】
【氏名】末廣 義典
【審査官】橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-332578(JP,A)
【文献】特開2004-073670(JP,A)
【文献】特開2008-142320(JP,A)
【文献】特開2017-209230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が流入することにより該遊技球を周回させる底面スリ鉢形の球受皿を形成し、
該球受皿の中央部に回転体を設け該回転体には遊技球が入球し得る特定球入口を設けるとともに、該回転体を回転動させる回転駆動機構を設け、該球受皿に流入した遊技球が該回転体と接触することにより該球受皿の外周部位に送り出されるようにし、さらに、該球受皿
の底面の外周縁に遊技球が排出される排出部を設け、該排出部は球排出機構により開閉動可能に設けられ
、該排出部が開動すると該球受皿内で周回・転動している遊技球が該排出部から排出されるようにしたことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
遊技中に所定の条件が達成された際に定時間を設定する時間設定手段と、該時間設定手段により設定された定時間内に前記特定球入口に遊技球が入球したか否かを判定する時間内入球判定手段と、遊技者にとって有利な特定の遊技状態を発生させる特定遊技状態発生手段を設け、前記時間設定手段により設定された定時間が経過すると前記排出部が開動するようにしたことを特徴とした請求項1に記載した弾球遊技機。
【請求項3】
遊技球が流入することにより該遊技球を周回させる底面スリ鉢形の球受皿を形成し、該球受皿の中央部に遊技球が入球する特定球入口を設け、前記球受皿の外周縁に遊技球が排出される排出部を設け、該排出部は球排出機構により開閉動可能に設け、遊技中に所定の条件が達成された際に定時間を設定する時間設定手段と、該時間設定手段により設定された定時間内に前記特定球入口に遊技球が入球したか否かを判定する時間内入球判定手段と
、遊技者にとって有利な特定の遊技状態を発生させる特定遊技状態発生手段を設け、前記時間設定手段により設定された定時間が経過すると前記排出部が開動するようにしたことを特徴とす
る弾球遊技機。
【請求項4】
前記特定球入口は、遊技球が入球することによって遊技者にとって有利な特定の遊技状態を発生させる契機と成り得る球入口であり、前記球受皿の中央部に設けられた球入口は全て特定球入口として機能することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載した弾球遊技機。
【請求項5】
前記時間設定手段により設定される定時間には長・短の別があり、該時間設定手段は抽選により該定時間を選定し設定するものである請求項2~4のいずれかに記載した弾球遊技機。
【請求項6】
前記時間設定手段により設定された定時間、および、特定遊技状態を発生させることが可能な残り時間をディスプレイにより遊技者に表示するようにした請求項2~5のいずれかに記載した弾球遊技機。
【請求項7】
遊技中に所定の条件が達成された際に抽選により流入許容球数を設定する球数設定手段を設け、該球数設定手段により設定された複数の遊技球が前記球受皿にて同時に転動することが可能となるように該球受皿に遊技球を追加的に流入させるようにしたことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載した弾球遊技機。
【請求項8】
特定球入口の周囲に遊技球が該特定球入口に流入するのを妨害する障害部を形成したことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載した弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域から流入させた遊技球を振り分けるスリ鉢形の球受皿を設けたパチンコ遊技機,アレンジボール遊技機,雀球遊技機等の弾球遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のパチンコ遊技機等の弾球遊技機には、液晶表示装置に単に動画を表示するだけでなく、遊技球振分装置と該液晶表示装置の表示とを連動させてインパクトのある演出をするものも存在している。即ち、一般に遊技球振分装置は、遊技盤の遊技領域に設けられ、該遊技領域から域入した遊技球を複数の通路のうちのいずれかに誘導し、液晶表示装置の表示と連動させることにより演出効果を増大させるものである。
下記特許文献1に示された遊技球振分装置は、クルーンと称されるスリ鉢状の皿が上下2段に配置され、該各皿の中央部には3つの流落口が形成されていて、上段のクルーンに流入した遊技球はその3つの流落口のうちの特定の流落口に入ると下段のクルーンに導かれ、さらにその遊技球が3つの流落口のうちの特定の流落口に入ると、特定遊技状態(確変遊技状態)に移行するように構成され、該各クルーンにおける遊技球の動きを遊技者が視認できるように構成したものである。
また、下記特許文献2に示された遊技球周回装置は、クルーンの中央に電動モータによって回転駆動される円筒状の回転リングを配置し、該回転リングには上方に突出する突出部が三角波状(鋸歯状)に形成され、該突出部の間を遊技球が通過可能にし、該回転リングの中心部に遊技球が流落する3つの球入口が開設され、遊技球がどの球入口に入るかにより遊技球が振り分けられるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-458号公報
【文献】特開2006-6773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示された遊技球振分装置は、上下の各クルーンにおいて特定の流落口に遊技球が入る確率は3分の1であるので、特定遊技状態になる確率は常に9分の1という一定の確率にしかならないものであった。このため、遊技中の状況変化が乏しく、面白味が少なく、遊技が単調になり易いという問題がある。
なお、一般に電子回路により常に一定の確率で大当たりや確変等の遊技者にとって有利な状況が到来するように構成された弾球遊技機もまた単調になるので、遊技に面白味がないという問題がある。
また、特許文献2に示された装置は、回転リングの中心部に複数の球入口を接近して設けねばならないので、遊技球が高速で激しく動くことと相俟って、遊技球が球入口に入る瞬間が見届けられないため、どの球入口に入ったのかが分かりにくく、そのために十分な娯楽性が得られないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は、クルーン型の遊技球振分装置の上記のような問題点を解決した弾球遊技機を提供しようとするもので、遊技球が流入することにより該遊技球を周回させる底面スリ鉢形の球受皿を形成し、該球受皿の中央部に遊技球が入球する特定球入口を設け、前記球受皿の外周縁に遊技球が排出される排出部を設け、該排出部は球排出機構により開閉動可能に設けられてなることを特徴とする。
また本発明は上記弾球遊技機において、前記特定球入口は、遊技球が入球することによって遊技者にとって有利な特定の遊技状態を発生させる契機と成り得る球入口であり、前記球受皿の中央部に設けられた球入口は全て特定球入口として機能することを特徴とする。
【0006】
また本発明は上記弾球遊技機において、遊技中に所定の条件が達成された際に定時間を設定する時間設定手段と、該時間設定手段により設定された定時間内に前記特定球入口に遊技球が入球したか否かを判定する時間内入球判定手段と、該時間内入球判定手段により定時間内に遊技球が前記特定球入口に入球したことが判定された際に遊技者にとって有利な特定の遊技状態を発生させる特定遊技状態発生手段を設け、前記時間設定手段により設定された定時間が経過すると前記排出部が開動するようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記弾球遊技機において、前記時間設定手段により設定される定時間には長・短の別があり、該時間設定手段は抽選により該定時間を選定し設定するものであることを特徴とする。
また本発明は上記弾球遊技機において、前記時間設定手段により設定された定時間、および、特定遊技状態を発生させることが可能な残り時間をディスプレイにより遊技者に表示するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は上記弾球遊技機において、遊技中に所定の条件が達成された際に抽選により流入許容球数を設定する球数設定手段を設け、該球数設定手段により設定された複数の遊技球が前記球受皿にて同時に転動することが可能となるように該球受皿に遊技球を追加的に流入させるようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記弾球遊技機において、前記球受皿の中央部には、前記流入路から流入した遊技球が周回する方向と同方向に回転動する回転体と、該回転体を回転動させる回転駆動機構が設けられていることを特徴とする。
また本発明は上記弾球遊技機において、特定球入口の周囲に遊技球が該特定球入口に流入するのを妨害する障害部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は遊技者にとっての最終的な遊技結果を、球受皿の中央部に設けられた特定球入口から距離をおいた外周縁の排出部が可動することによって知らしめることになる。つまり、球受皿の一部が可動するという遊技者にとってインパクトのある趣向性の高い演出効果を提供できることになった。さらに、特定球入口と排出部との距離を離して配置することにより、どの球入口に入球したのかを見逃してしまうことが発生しにくい明瞭性を備えた遊技球分別装置とすることができた。このため、遊技者は、球受皿内にて周回する遊技球の様子を眺め、その動きから該遊技球が定時間内に特定球入口に入るかどうかを期待して遊技できるので、従来の弾球遊技機にはなかった新たな面白味が創造され、遊技性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】本発明に係る球受皿を下方から見た分解斜視図。
【
図6】本発明に係る球受皿の作動状態を示す斜視図。
【
図8】本発明に係る球受皿の作動状態を示す
図2のB-B線断面図。
【
図9】本発明に係る球受皿を設けた弾球遊技機の遊技盤の概略を示す正面図。
【
図11】本発明に係る弾球遊技機の作動の概略を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
先ず、クルーンと称される略円筒形の球受皿10の構成を
図1~
図8に従い説明する。球受皿10は、流入路12が周壁13の接線方向に連なるように一体に形成され、該流入路12には弾球遊技機の遊技盤に形成された遊技領域から遊技球が流入し得る。該球受皿10の底面11は中心方向に向かい低くなる緩い傾斜状、即ちスリ鉢状に形成され該底面11の周囲に周壁13が形成される。なお、
図4、
図5に示したように、周壁13と底面11の外周縁の略1/4周程の範囲は切欠状の球排出部14が形成され、該排出部14に合致し周壁13および底面11が連なるように開閉可動部材15が略1/4周程の円弧状に形成され、該開閉可動部材15の下面にラック歯16が下方に延びるように一体的に形成される。また、球排出部14の両側部に下方に連通する球排出樋17a,17bが形成され、該球受皿10の中央に円形の開口18が形成され、該開口18の内周縁に筒状リブ18aが垂下状に形成される。19は該球受皿10の下面に一体に形成された複数のビス止め用のボスである。
【0011】
一方、球受皿10を支持する台ケース20は、筒壁21の周囲1/4周程の範囲に切込壁22を形成した切欠円筒状に形成され、該切込壁22の両側に前記球排出樋17a,17bと連通する球排出樋23a,23bが形成される。また、該台ケース20の上壁面24の中心部に該上壁面24を上下に貫通する筒状の中心筒体25を一体に形成している。また、該台ケース20内に電動モータ26を固設し、該電動モータ26の回転出力軸27を上壁面24上に垂直に突出させ、該回転出力軸27に歯車28を固着している。なお、29a,29bは電動モータ26をビス止めするために上壁面24に形成されたボスである。30は前記ボス19と相対するように上壁面24に形成された複数の貫通状の小孔である。また、前記切込壁22にボス31a,31bが形成され該ボス31a,31bにビスを捩じ込んで電動モータ32を台ケース20内に固設し、該電動モータ32の回転出力軸33を該切込壁22外に突出させ、該回転出力軸33に小歯車34を固着している。
【0012】
一方、球受皿10の中央部に回転体35が配設される。該回転体35は平面円形であって前記球受皿10の底面11と連なるように中心に向けて緩やかに低くなる緩い傾斜状に形成した球受面37が形成され、該回転体35の中心部に遊技球が流入し得る特定球入口36が開設されている。該球受面37の下面外縁部に一体に垂下筒体38が形成され、略円筒状に形成された伝動筒体41のフランジ状の鍔部42を該垂下筒体38の下面に複数のビス40によって固着している。該伝動筒体41は上端部に該鍔部42を一体に形成しているとともに、外周に歯車部43を一体に形成している。なお、該伝動筒体41の内周面には摩擦を軽減するために縦筋状の突条44を多数形成している。
【0013】
該伝動筒体41は前記中心筒体25の外周に回転自在に貫挿される。そして、台ケース20の下方より複数のビス45を前記小孔30に通して前記ボス19に螺合することにより該台ケース20上に球受皿10を固着する。これにより回転体35が球受皿10の開口18中に回転自在に位置し、前記球受面37は球受皿10の底面11と段差なく連なる。そして前記歯車部43を前記歯車28に噛合させ、前記電動モータ26の動力により回転体35を矢印の方向(時計方向)(
図1、
図2、
図6参照)に回転動し得るようにすることで回転駆動機構46が構成される。また、前記ラック歯16を前記小歯車34に噛合させることで、前記電動モータ32の動力により前記開閉可動部材15が昇降動可能となり、これにより球排出部14を開閉し得る球排出機構47が構成される。
【0014】
このように構成された球受皿10は、
図9に例示したように弾球遊技機の遊技盤50に配置され、遊技中の遊技者が該球受皿10内の様子を見ることができるようにする。そして、該遊技盤50の遊技領域51に翼片52aがソレノイドの作動により開閉可能に設けた電動開閉式の開閉翼片型入賞装置52を設け、該開閉翼片型入賞装置52が開状態にあるときに遊技球が該開閉翼片型入賞装置52から前記流入路12に流入し得るようにする。なお、該開閉翼片型入賞装置52に入った遊技球は図示しない通過球センサにより電気信号で検出される。また、前記球排出樋23a,23bと連通する球排出口53a,53bがそれぞれ該遊技領域51に開口するよう設ける。さらに、該遊技盤50の遊技領域51に通過チャッカー54を設け、該通過チャッカー54にも遊技球が通過したことを電気信号で検出する通過球センサが設ける。さらにこの遊技盤50には、該遊技盤50の遊技領域51に、遊技情報を表示するディスプレイ55が設ける他、ソレノイドの作動により開閉動する横長の開閉扉を有する大入賞口56、遊技球が入賞する度に開閉する開閉翼片型入賞口57、普通入賞口58、風車59等を設けている。
【0015】
また、この弾球遊技機は
図10(a)のブロック図を示したように、この弾球遊技機は、抽選により10秒間、20秒間、30秒間、45秒間、100秒間といった時間の長・短の別があるグループ中から一つの定時間を選出し設定する定時間設定手段61と、定時間内に前記特定球入口36に遊技球Pが入球したか否かを判定する時間内入球判定手段62と、定時間内に遊技球が前記特定球入口36に入球したことが判定された際に遊技者にとって有利な特定の遊技状態を発生させる特定遊技状態発生手段63と、定時間が経過すると前記球排出機構47を作動させ開閉可動部材15を下降させる球排出指示部64と、
図10(b)のブロック図に示したように抽選により流入許容球数を1個~5個のうちのいずれか一つを選出し設定する球数設定手段65と、流入許容球数確認手段66と、該球数設定手段65に設定された流入許容球数に従い前記開閉翼片型入賞装置52を開閉動させる翼片開閉指示部67とを備えている。
【0016】
次に
図11に示した遊技球振分処理ルーチンのフローチャートにより、この弾球遊技機の作動を説明する。この弾球遊技機では、ステップ(a)にて前記通過チャッカー54を遊技球が通過したことが検出されると、ステップ(b)に移行して定時間および流入許容球数を抽選し、前記定時間設定手段61が作動することにより、ステップ(c)にて抽選の結果選出された定時間が記憶・設定され、該定時間がステップ(d)にて前記ディスプレイ55に表示される。設定された定時間が例えば20秒であったとすると該ディスプレイ55に[20秒]といった表示がされる。また、前記球数設定手段65が作動することにより、ステップ(e)にて抽選の結果選出された流入許容球数が記憶・設定されると同時に該流入許容球数がステップ(f)にて前記ディスプレイ55に表示がされる。流入許容球数が例えば3個であったとすると該ディスプレイ55に[3個]といった表示がされる。そしてステップ(g)にて前記球排出部14を閉状態にし、ステップ(h)にて前記開閉翼片型入賞装置52を開動させる。
【0017】
ステップ(i)では定時間=0かどうかが判断され、定時間=0の場合はステップ(j)に移行し前記球排出機構47の電動モータ32を作動させ開閉可動部材15を下降させて球排出部14を開いてリターンする。定時間=0でない場合はステップ(k)にて経過時間を差し引き、残り時間をステップ(l)にてディスプレイ59に表示する。そしてステップ(m)にて特定球入口36に遊技球Pが入球したか否かを判定し、特定球入口36に遊技球Pが入球したらステップ(n)に移行し遊技者にとって有利な特定遊技状態を発生させリターンする。この特定遊技状態は例えば前記大入賞口56の開閉扉を開き遊技領域51を流下する多数の遊技球が該大入賞口56に入賞し大量の遊技球を得るようにするものである。ステップ(m)にて特定球入口36に遊技球Pが入球していないと判定された場合はステップ(o)に移行し、前記ステップ(e)にて設定された流入許容球数と前記流入路12に流入し検出された球受皿流入球数とを比較し、球受皿流入球数が流入許容球数を上回った場合にステップ(p)にて前記開閉翼片型入賞装置52を閉動させこれ以上遊技球が球受皿10に流入しないようにしてリターンする。
【0018】
開閉翼片型入賞装置52から流入路12を通って球受皿10に流入した遊技球Pは、該流入路12が接線方向に形成されていることから図示矢印の方向に周回しその周回に伴う遠心力で該遊技球Pは該球受皿10内の外周縁寄りを周回する。このため前記開閉可動部材15が下降し球排出部14が開いていると、該遊技球Pは該球排出部14に落下し球排出口53a,53bから遊技領域51に排出される。球排出部14が閉じているときは遊技球Pは該球受皿10内で周回し続けるが、底面11がスリ鉢状であるので、該遊技球Pは次第に中央に寄って来る。そのとき回転体35が遊技球Pの周回方向と同方向に回転しているので、該遊技球Pは該回転体35の球受面37との摩擦により遠心力が働き該遊技球を再び球受皿10内で外周部位に送り出す。このとき回転体35の球受面37は遊技球Pにスピンを掛けたこととなるので、該遊技球Pの動きを複雑にする。また、回転体35の回転は、特定球入口36に対し直球的に流入しようとする遊技球Pの動きに対して転動方向を変えたりブレーキを掛ける。このため該遊技球Pの動きは緩やかになり、その動きを遊技者は見逃すことなく観察できる。こうして遊技球Pは球排出部14が開かない限り球受皿10内にて継続的に動き回るが、この状態が継続すると該遊技球Pは特定球入口36に流入する公算が高くなる。そして特定球入口36に遊技球Pが流入すると、大入賞口56の開閉扉がソレノイドの作動により繰り返し開閉動し、遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り)を発生させ、多数の遊技球が該大入賞口56に入賞し大量の遊技球を得るようになる。このため可能な限り遅くまで球排出部14が開かないことが遊技者にとって有利であり、上記抽選による定時間の設定が一刻でも長いことを遊技者として願うこととなる。そして遊技者はディスプレイ59に表示される残り時間を気にしつつ時間内に特定球入口36に遊技球Pが流入するように遊技球Pの動きを注視することとなる。
【0019】
なお、球受皿10内にて遊技球Pが周回している間にも前記開閉翼片型入賞装置52は開いているとさらに遊技球が該球受皿10内に流入得る。そして球受皿10内にて複数の遊技球Pが周回するようになると、該遊技球Pどうしが衝突して変則的な転動をするようになるので特定球入口36に該遊技球Pは流入し易くなる。このため、遊技者は同時により多くの遊技球Pが球受皿10内に流入することをも願うようになる。なお、球受皿10内に流入が許容される流入許容球数についても上記のように抽選により決定され、前記該球受皿10内に実際に流入した遊技球数は前述のように通過球センサにより電気信号で検出され、検出された流入球数が流入許容球数を上回ると開閉翼片型入賞装置52は閉動するので、抽選による流入許容球数の設定も多いほうが遊技者にとって有利になる。このため遊技者は、通過チャッカー54を遊技球が通過する度に抽選によりディスプレイ55になるべく長い定時間が表示されることと、なるべく多くの流入許容球数が表示されることを望むとともに、球受皿10内の遊技者Pの動きを眺めつつ早期に該遊技球Pが特定球入口36に流入することを願う。
【0020】
このように本発明に係る弾球遊技機は、球受皿10内で周回・転動する遊技球Pが定時間内に特定球入口36に流入することを要件として特定遊技状態を発生させるので、球受皿10内で遊技球Pが周回・転動しているときの時間の経過を遊技者に大きく意識させ、特定遊技状態を発生させるための残り時間が少なくなればなるほど遊技球Pの動きを注視することとなり、残り時間との兼ね合いにより遊技者を夢中にさせ、特定遊技状態が発生したときの喜びを増大させる。
【0021】
なお、
図12に示した球受皿10は、回転体35の特定球入口36の周囲に遊技球Pが衝突し得る半球状の小突起からなる障害部48を形成し、このように障害部48を形成することにより遊技球Pを妨害し該遊技球Pを特定球入口36に流入し難くすることができる。このため必要に応じてこのような障害部48を形成してもよい。
【0022】
また、この実施形態は、球受皿10内に特定球入口36を一つ設けたが、球受皿10内にその他に複数の球入口を設け、その全てを特定球入口36としてもよいし、遊技球Pが特定球入口36に流入した場合とは異なる遊技状態を招来させるようにしてもよい。なおこの球受皿10ではこのように複数の球入口を設けても遊技球Pの動きは回転駆動機構46が設けられていることから緩やかに維持することが可能であり、球受皿10の中央部の特定球入口36と球受皿10の外周縁の排出部14という位置関係により遊技者はその動きを見逃さずに観察し遊技結果を知り得ることになる。このため遊技者に今までにない新鮮な期待と面白味を与えることができ遊技性が向上する。
また、この実施形態では、排出部14に開閉可動部材15を設け電動モータ32により開閉動させるようにしたが、球受皿10の周壁13に開閉しない一定幅にて開口する排出部を別に設け遊技球Pが排出されるようにしてもよい。
さらには、球受皿10の周壁13に通常時は一定幅にて開口する排出部を設けておき、抽選の結果として定時間が設定され、その定時間が経過した際に、その排出部の両サイドに設けられた球排出機構が左右方向(水平方向)へスライドし排出部の開口をさらに拡大させ遊技球の排出を促すようにしてもよい。
なお、排出部が設けられる球受皿10の外周縁とは、周壁13のみを指す場合、周壁13に隣接する底壁のみを指す場合、或いは周壁13から該周壁13に隣接する底壁に亘る部位を指す場合のいずれをも含むものとする。
【0023】
さらに、この実施形態では通過チャッカー54を遊技球が通過することを契機として開閉翼片型入賞装置52を開動させ球受皿10に遊技球Pが流入し得るようにしたが、開閉翼片型入賞装置52を開動させる条件はこれに限らず開閉翼片型入賞口57へ入球することを契機としてもよい。さらに、通過チャッカー54に遊技球が通過するごとに開閉翼片型入賞装置52を開閉動させる定時間および流入許容数を抽選し必ず定時間および流入許容数が選出されるようにしたが、(通過チャッカー54に遊技球が通過するごとに)開閉翼片型入賞装置52が開閉動するかどうかも含めた確率にて定時間および流入許容数の抽選を行うことも考えられる。このような構成を採用することにより抽選に当選したときの喜びと特定球入口に入球するかも知れないという期待感により遊技者にとって趣向性の高い弾球遊技機とすることができる。
また、球受皿10に遊技球Pを流入させる経路についても開閉翼片型入賞装置52を設けることに限られない。
なお、開閉翼片型入賞装置52から流入路12の間に、遊技球を一時的に貯留させ所定の時間が経過するごとにその貯留された遊技球を一個ずつ球受皿に投入する貯留投入装置を設けても良い。使用例としては、まず通過チャッカー54などで遊技球を検出し、その検出に基づき定時間および流入許容数が抽選された場合には、開閉翼片型入賞装置52の翼片52aが開動し所定個数の遊技球を前記貯留投入装置に貯留したら翼片52aを閉動させる。そして、抽選の結果選出された定時間の残り時間を表示しつつ、所定の時間が経過するごとに前記貯留投入装置から一個ずつ遊技球を球受皿へ追加的に投入させるようにする。このような構成を採用することで定時間設定手段61にて設定された定時間が長ければ長いほど遊技者にとって有利な状況となり、球数設定手段65にて設定された追加的に流入される遊技球が多ければ多いほど遊技者にとって有利な状況となる。つまり、時間の経過に伴って遊技者の期待感が大幅に増加する弾球遊技機とすることができる。なお、この際あえて抽選された流入許容数をディスプレイにて表示させないことや、貯留投入装置で貯留された遊技球を全て球受皿に投入しないことや、一定の間隔で球受皿に遊技球を投入しないことで、より多くの遊技球が追加的に投入して欲しいという遊技者の期待感を増大させ、より遊技に集中させる趣向性の高い弾球遊技機とすることができる。
【符号の説明】
【0024】
10…球受皿、 11…底面、 12…流入路、 13…周壁、 14…排出部、 15…開閉可動部材、 16…ラック歯、 17a,17b…球排出樋、 18…開口、 18a…筒状リブ、 19…ボス、 20…台ケース、 21…筒壁、 22…切込壁、 23a,23b…球排出樋、 24…上壁面、 25…中心筒体、 26…電動モータ、 27…回転出力軸、 28…歯車、 29a,29b…ボス、 30…小孔、 30a,30b…透孔、 31a,31b…ボス、 32…電動モータ、 33…回転出力軸、 34…小歯車、 35…回転体、 36…特定球入口、 37…球受面、 38…垂下筒体、 40…ビス、 41…伝動筒体、 42…鍔部、 43…歯車部、 44…突条、 45…ビス、 46…回転駆動機構、 47…球排出機構、 48…障害部、 50…遊技盤、 51…遊技領域、 52a…翼片、 52…開閉翼片型入賞装置、 53a,53b…球排出口、 54…通過チャッカー、 55…ディスプレイ、 56…大入賞口、 57…開閉翼片型入賞口、 58…普通入賞口、 59…風車、 61…定時間設定手段、 62…時間内入球判定手段、 63…特定遊技状態発生手段、 64…球排出指示部、 65…球数設定手段、 66…流入許容球数確認手段、 67…翼片開閉指示部、 P…遊技球