(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/03 20130101AFI20220704BHJP
G06F 15/177 20060101ALI20220704BHJP
H04W 24/04 20090101ALI20220704BHJP
H04B 10/112 20130101ALI20220704BHJP
【FI】
H04B10/03
G06F15/177 A
H04W24/04
H04B10/112
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021068766
(22)【出願日】2021-04-15
【審査請求日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】202010295021.6
(32)【優先日】2020-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521158923
【氏名又は名称】燕山大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】尹 栄栄
(72)【発明者】
【氏名】ザビー ガゼムローイ
(72)【発明者】
【氏名】韓 輝
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス エソ
(72)【発明者】
【氏名】劉 蕾
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-159032(JP,A)
【文献】特開平08-340302(JP,A)
【文献】特表2017-510126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
G06F 15/16-15/177
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由空間光ネットワークが作動しているときに、既存のHeartbeatメカニズムによりノードの半消滅状態を監視し、ノード情報を取得するステップ1と、
半消滅ノードが完全に消滅した後、取得されたノード情報によりノードの類型を決め、ノードを中継ノードと非中継ノードに分けるステップ2と、
消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態を決めるステップ3であって、監視区域を規則的な格子に区画し、先ずNeyman-Pearsonの判断基準によりNeyman-Pearsonモデルを作成し、消滅ノードのある格子点及びその周辺の各格子点の結合検出確率を算出し、次に格子点の検出確率にしきい値を設定し、当該確率としきい値との比較関係により、格子点のカバレッジ状態を実効的カバレッジ、可能なカバレッジ及びカバレッジホールに分けるステップ3と、
消滅ノードの類型及びその周辺の格子点のカバレッジ状態により、最適な位置を求めて消滅ノードをそれぞれ修復するステップ4と、を含み、
非中継の消滅ノードの場合、修復工程は、
S1:ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、ノードの消滅によるn個のホール格子点の横座標と縦座標の最大と最小の4つのエッジ格子点の座標セットをそれぞれ選択し、4つの格子点を時計回り方向に並べ替えることと、
S2:4つの格子点を接続して四角形を形成し、四角形の内接円を作成することと、
S3:内接円の円心を求め、得られた内接円の円心が最適な修復位置であることと、
S4:最適な修復位置に通常ノードを置いて光ネットワークの修復を行うことと、を含み、
中継の消滅ノードの場合、修復工程は、
P1:ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、異なる重み係数に従って修復前のカバレッジホールと可能なカバレッジとの面積の和、及び修復後のカバレッジホールと可能なカバレッジとの面積の和を算出し、カバレッジ率として両者の比を求めることと、
P2:自由空間光エネルギーモデルにより、
消滅ノードを介して通信していたノードペア間の通信を、ミラーノードを導入することにより復元した後のミラーノードのエネルギーモデルを考えることと、
P3:消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアを選択することと、
P4:カバレッジ率と、
消滅ノードを介して通信していたノードペア間の通信を、ミラーノードを導入することにより復元した後のエネルギーモデルにより、カバレッジエネルギーの総合評価モデルを作成することと、
P5:反射が成立するとともにミラーノードを介して通信ノードの通信区域が復元される制約条件下で、総合評価モデルでミラ
ーノードの最適な修復位置を求めることと、
P6:最適な位置にミラ
ーノードを置いてミラ
ーノードを介して通信するノードペアの通信を修復することと、
P7:消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードについて、それに最も近づく通信可能な正常ノードを選択して通信を復元することと、を含む、ことを特徴とする反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項2】
ステップ1における前記ノード情報は、ノード位置情報、ノード通信モード及び当該ノードを介して通信する必要があるノードペアの位置情報を含み、前記ノードペアはソースノードと宛先ノードからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項3】
ステップ2において、前記中継ノードは通信中に転送タスクを実行し、前記非中継ノードは通信中に転送タスクを実行しない、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項4】
P3においてノードペアを選択するプロセスについて、消滅ノードの情報によりミラーノードを介して通信を復元する必要があるノードペアは複数有り得、異なるノードペアと消滅ノードとは異なる三角形を形成し、消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアとして正三角形に最も近いノードペアを選択する、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項5】
P7において消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードについて、それに最も近づく通信可能な正常ノードを選択して通信を復元することは、具体的に、
P61:通信を復元する必要があるノードはその位置情報を含むメッセージを送信するステップと、
P62:通信範囲内におけるその他のノードは、メッセージを受信し、通信を復元する必要があるノードの位置情報により、自身の位置情報を、通信を復元する必要があるノードに返信するステップと、
P63:通信を復元する必要があるノードは、受信した情報を判定することにより、距離の最も短いノードを選択して通信の復元を完了するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項6】
P1において、カバレッジ率の算式は次の通りであり、
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、S
0は修復前のカバレッジホールの面積であり、S
1は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値Pを取得し、S
10は修復後のカバレッジホールの面積であり、S
11は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値P
1を取得し、fはカバレッジ率である、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項7】
P2において、
消滅ノードを介して通信していたノードペア間の通信を、ミラーノードを導入することにより復元した後、ミラーノードのエネルギーモデルを次のように作成し、
自由空間光通信エネルギーモデルにより、以下の式で3つのノードにおけるエネルギー消費Eを取得し、
【数4】
ここで、E
Tはソースノードのエネルギー消費であり、E
Mはミラーノードのエネルギー消費であり、E
Rは宛先ノードのエネルギー消費であり、m
1はソースノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、εは自由空間光波のエネルギー係数であり、φは発散角であり、lは通信距離であり、E
TX_PEは単位ビットのデータを送信するために光電子素子によって消耗されたエネルギーであり、m
2はミラーノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、E
RXは単位ビットのデータを受信するために消耗する必要があるエネルギーである、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【請求項8】
P4において、カバレッジエネルギーの総合評価モデルWは、
【数5】
であり、
ここで、fはカバレッジ率であり、Eはノードのエネルギー消費である、ことを特徴とする請求項1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信技術に関し、具体的に、反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当今、ネットワークは人々の生活でよほど重要な部分になり、自由空間光ネットワーク(FSON)には、高い伝送データレート、高いセキュリティ及び不規則なスペクトルという利点がある。FSONには非常に幅狭いビームや高い指向性や不均一なエネルギー消費や環境への影響があるため、一部のノードは一旦障害が出来て消滅すると、カバレッジホールが発生するだけでなく、リンク断がより頻発になるとともに、ネットワーク監視データの正確性が低下し、ネットワークの性能に重大な影響を及ぼし、エネルギーの浪費を引き起こす。したがって、いかにカバレッジホールを検出して修復することでネットワークを通常の作動に復元させるかは、FSONの主な課題になっている。
【0003】
現在、自由空間光ネットワークを修復する方法はなく、従来のワイヤレスネットワークの修復についての研究は、主に幾何学的手法を採用して、センサーネットワーク中でカバレッジホールの最適な修復位置を求めることに集中している。修復点の位置に応じて正常ノードを追加し、ネットワークノードの冗長性の確保を前提として、カバレッジホールの修復を目指している。ただし、正常ノードの追加による修復方法では、修復後のノードのエネルギー消費が考えられていないため、不均一なエネルギー消費の原因でネットワークが再度無効になりがちである。従来のワイヤレスネットワークの修復と比較すると、自由空間光ネットワークの場合、ビームの指向性及びノードのエネルギー消耗による消滅により、ネットワークへの影響がより大きくなり、破壊性もより強くなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術における欠点を鑑みて、自由空間光ネットワークにおける消滅ノードを修復するための有効的な方法を提供することである。本発明は、一方では、最小カバレッジ円の改善による修復方法を採用し、最少の正常ノードを追加して消滅ノードを置き換え、消滅ノードによるホールを修復することで、ネットワークカバレッジを改善し、ネットワーク接続を復元し、他方では、カバレッジエネルギーの総合評価モデルを提出し、修復のためにミラー付きノードを創造的に導入することにより、修復後ノードのエネルギー消費が依然として不均一になり、追加された正常ノードが再び迅速に消滅することを避け、ホールを正確に修復するとともに、ネットワークの寿命を延ばすという目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法は、自由空間光ネットワークが作動しているときに、既存のHeartbeatメカニズムによりノードの半消滅状態を監視し、ノード情報を取得するステップ1と、半消滅ノードが完全に消滅した後、取得されたノード情報によりノードの類型を決め、ノードを中継ノードと非中継ノードに分けるステップ2と、消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態を決めるステップ3であって、監視区域を規則的な格子に区画し、先ずNeyman-Pearsonの判断基準によりNeyman-Pearsonモデルを作成し、消滅ノードのある格子点及びその周辺の各格子点の結合検出確率を算出し、次に格子点の検出確率にしきい値を設定し、当該確率としきい値との比較関係により、格子点のカバレッジ状態を実効的カバレッジ、可能なカバレッジ及びカバレッジホールに分けるステップ3と、消滅ノードの類型及びその周辺の格子点のカバレッジ状態により、最適な位置を求めて消滅ノードをそれぞれ修復するステップ4と、を含み、非中継の消滅ノードの場合、修復工程は、S1:ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点とその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、ノードの消滅によるn個のホール格子点の横座標と縦座標の最大と最小の4つのエッジ格子点の座標セットをそれぞれ選択し、4つの格子点を時計回り方向に並べ替えることと、S2:4つの格子点を接続して四角形を形成し、四角形の内接円を作成することと、S3:内接円の円心を求め、得られた内接円の円心が最適な修復位置であることと、S4:最適な修復位置に通常ノードを置いて光ネットワークの修復を行うことと、を含み、中継の消滅ノードの場合、修復工程は、P1:ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、異なる重み係数に従って修復前のカバレッジホールと可能なカバレッジとの面積の和、及び修復後のカバレッジホールと可能なカバレッジとの面積の和を算出し、またカバレッジ率として両者の比を求めることと、P2:自由空間光エネルギーモデルにより、ミラーによる修復の導入後のミラーノードのエネルギーモデルを考えることと、P3:消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアを選択することと、P4:カバレッジ率と、ミラーによる修復の導入後のエネルギーモデルにより、カバレッジエネルギーの総合評価モデルを作成することと、P5:反射が成立するとともにミラーノードを介して通信ノードの通信区域が復元される制約条件下で、総合評価モデルでミラー付きノードの最適な修復位置を求めることと、P6:最適な位置にミラー付き修復ノードを置いてミラー付き修復ノードを介して通信するノードペアの通信を修復することと、P7:消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードについて、それに最も近づく通信可能な正常ノードを選択して通信を復元することと、を含む。
【0006】
好ましくは、ステップ1における前記ノード情報は、ノード位置情報、ノード通信モード及び当該ノードを介して通信する必要があるノードペアの位置情報を含み、前記ノードペアがソースノードと宛先ノードからなる。
【0007】
好ましくは、ステップ2において、前記中継ノードは通信中に転送タスクを実行し、前記非中継ノードは通信中に転送タスクを実行しない。
【0008】
好ましくは、P3においてノードペアを選択するプロセスについて、消滅ノードの情報によりミラーノードを介して通信を復元する必要があるノードペアは複数有り得、異なるノードペアが消滅ノードと異なる三角形を形成し、消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアとして正三角形に最も近いノードペアを選択する。
【0009】
好ましくは、P7において消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードについて、それに最も近づく通信可能な正常ノードを選択して通信を復元することは、具体的に、P61:通信を復元する必要があるノードはその位置情報を含むメッセージを送信するステップと、P62:通信範囲内におけるその他のノードは、メッセージを受信し、通信を復元する必要があるノードの位置情報により、自身の位置情報を、通信を復元する必要があるノードに返信するステップと、P63:通信を復元する必要があるノードは、受信した情報を判定することにより、距離の最も短いノードを選択して通信の復元を完了するステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、P1において、カバレッジ率の算式は次の通りであり、
【数1】
【数2】
【数3】
ここで、S
0は修復前のカバレッジホールの面積であり、S
1は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値Pを取得し、S
10は修復後のカバレッジホールの面積であり、S
11は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値P
1を取得し、fはカバレッジ率である。
【0011】
好ましくは、P2において、ミラーによる修復の導入後、ミラーノードのエネルギーモデルを次のように作成し、
自由空間光通信エネルギーモデルにより、以下の式で3つのノードにおけるエネルギー消費Eを取得し、
【数4】
ここで、E
Tはソースノードのエネルギー消費であり、E
Mはミラーノードのエネルギー消費であり、E
Rは宛先ノードのエネルギー消費であり、m
1はソースノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、εは自由空間光波のエネルギー係数であり、φは発散角であり、lは通信距離であり、E
TX_PEは単位ビットのデータを送信するために光電子素子によって消耗されたエネルギーであり、m
2はミラーノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、E
RXは単位ビットのデータを受信するために消耗する必要があるエネルギーである。
【0012】
好ましくは、P4において、カバレッジエネルギーの総合評価モデルWは、
【数5】
であり、
ここで、fはカバレッジ率であり、Eはノードのエネルギー消費である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果は次の通りである。
本発明は、最小カバレッジ円の改善による修復方法とカバレッジエネルギーの総合評価モデルを提出したうえで、提出された改善方法と評価モデルを採用して消滅ノードを分類修復し、最小カバレッジ円の改善による修復方法を採用して非中継ノードで生じたホールを修復し、最適な修復位置を求めることによりネットワークカバレッジを向上させる。ミラー付きノードを導入し、その中、ミラーノードとは、ノードアーキテクチャーに基づいて、コーナーキューブ構造を平面鏡に置き換え、通常ノードと比較すると、メッセージを正常に送受信できるだけでなく、鏡による反射を介してメッセージを送信することもできる。カバレッジエネルギーの総合評価モデルにより中継ノードで生じたホールを修復し、修復後のネットワークの寿命を延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法で非中継ノードを修復する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の技術的内容、達成される目的及び効果を詳述するために、図面を参照しながら本発明を以下に説明する。
【0016】
図1~3に示すように、反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法は、次のステップに従って実行する。
【0017】
ステップ1:自由空間光ネットワークが作動しているときに、既存のHeartbeatメカニズムによりノードの半消滅状態を監視し、ノード情報を取得する。ノード情報は、ノード位置情報、ノード通信モード及び当該ノードを介して通信する必要があるノードペアの位置情報を含む。ノードペアとは、半消滅ノードを介して情報を送信する必要があるソースノードとネクストホップの宛先ノードを指す。
【0018】
ステップ2:半消滅ノードが完全に消滅した後、取得されたノード情報の通信モードに応じて、消滅ノードの類型を判別する。このうち、転送タスクを実行するノードは中継ノードであり、転送タスクを実行しないノードは非中継ノードである。
【0019】
ステップ3:監視区域を規則的な格子に区画し、Neyman-Pearsonの判断基準によりNeyman-Pearsonモデルを作成し、格子点のカバレッジ状態を3種類(実効的カバレッジ、可能なカバレッジ、カバレッジホール)に分類する。次のようにステップを実行する。
【0020】
ノードが消滅するとき、監視区域をN×Nの単位格子に区画し、(N+1)×(N+1)の単位格子点を取得することができる。消滅ノードのある格子及びその周辺の格子を監視し、Neyman-Pearsonの判断基準によりNeyman-Pearsonモデルを作成する。消滅ノードの周辺の格子点を検出するターゲットjがノードiによって検出された確率P
ijは、
【数6】
である。
式で、φ(●)は標準正規分布の累積分布関数であり、αは誤警報率であり、βは
【数7】
であり、σはガウス雑音の標準偏差であり、Sは探測された宛先ノードのエネルギーであり、γは経路損失係数であり、R
ijはノードiとターゲットjとの間の距離である。
【0021】
区域内にk個のノードがある場合、ターゲットjが探測された結合検出確率は次のとおりである。
【0022】
【0023】
式(2)に従って、消滅ノード及びその周辺の各格子点の結合検出確率を算出し、格子点のカバレッジ状態が実効的カバレッジになるまで演算を行い、ネットワーク修復時のホール増大の特性を考えて、各格子点の検出確率を2つのしきい値P
S1とP
S2に設定する。k番目の格子点のカバレッジ状態を
【数9】
に定義できる。
【0024】
算出された検出確率は、PS1未満の場合、当該格子点をカバレッジホール点と見なし、PS1以上PS2未満の場合、当該格子点を可能なカバレッジと見なし、PS2以上の場合、当該格子点を実効的カバレッジと見なす。これにより、格子点のカバレッジ状態を実効的カバレッジ、可能なカバレッジ及びカバレッジホールという3種類に分類する。
【0025】
ステップ4:消滅ノードの類型及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に応じて、最適な位置を求めて消滅ノードをそれぞれ種類別に修復する。
【0026】
ステップ5:先ず非中継ノードを修復し、最小カバレッジ円の改善による修復方法を採用して最適な修復位置を求めて修復する。手順は次の通りである。
【0027】
非中継ノードが消滅していた場合、ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、カバレッジ状態がカバレッジホールである格子点からなる区域を取得し、各消滅ノードのそれぞれで生じたn個のホールに対して、それぞれその縦座標の最大エッジ格子点1と横座標の最小エッジ格子点2と縦座標の最小エッジ格子点3と横座標の最大エッジ格子点4との座標セットを取得し、4つのエッジ格子点を時計回り方向に並べ替え、
【数10】
で記す。U
0の4つのエッジ点を接続して四角形5を形成し、四角形の内接円6を作り出し、四角形の内接円の円心(x
h,y
h)を求め、円心の座標が非中継ノードの最適な修復位置7である。最大カバレッジを確保するために、通常ノードを円心座標上に修復ノードとして配置して光ネットワークの修復を行う。
【0028】
ステップ6:次に中継ノードを修復する。手順は次の通りである。
【0029】
P1、カバレッジ状態の定義によりカバレッジ率を算出する。
【0030】
式(3)に従って、消滅ノード及びその周辺の格子点全体のカバレッジ状態を取得し、修復前のカバレッジホールの面積S0と可能なカバレッジの面積(可能なホール)S1を算出し、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値Pを取得する。修復後のカバレッジホールの面積S10と可能なカバレッジの面積(可能なホール)S11を算出し、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値P1を取得する。次のように算式を作成する。
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
ここで、S0は修復前のカバレッジホールの面積であり、S1は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値Pを取得する。S10は修復後のカバレッジホールの面積であり、S11は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値P1を取得する。fはカバレッジ率である。
【0035】
P2、自由空間光エネルギーモデルにより、ミラーによる修復の導入後のミラーノードのエネルギーモデルを考える。具体的な手順は次のとおりである。
【0036】
ノードが消滅した後、消滅ノードを介して通信していたソースノードと宛先ノードとの間の通信が割り込み、ミラーノードを導入して反射により宛先ノードとの通信を復元する。ソースノードは、ミラーノードまでにだけメッセージを送信する必要であり、そして反射により宛先ノードと通信する。ミラーノードは、自身で検知した情報を宛先ノードに送信し、宛先ノードは、ミラーノードと送信ソースノードから送信されたデータを受信する必要がある。ソースノードTとミラーノードMとの間の通信距離は、ミラーノードMと宛先ノードRとの間の通信距離と同じである。自由空間光通信エネルギーモデルにより、3つのノードにおけるエネルギー消費Eを得る。
【0037】
【0038】
ここで、ETはソースノードのエネルギー消費であり、EMはミラーノードのエネルギー消費であり、ERは宛先ノードのエネルギー消費であり、m1はソースノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、εは自由空間光波のエネルギー係数であり、φは発散角であり、lは通信距離であり、ETX_PEは単位ビットのデータを送信するために光電子素子によって消耗されたエネルギーであり、m2はミラーノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、ERXは単位ビットのデータを受信するために消耗する必要があるエネルギーである。
【0039】
P3、監視で取得されたノード情報により、消滅した中継ノードを介して通信する必要があるノードペア全体を取得し、ミラーノードを入れて修復を行う場合、異なるノードペアと消滅ノードとは異なる三角形を形成し、消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアである正三角形に最も近いノードペアを、ミラーノードを介して通信を復元するノードペアとして選択する。
【0040】
P4、カバレッジ率と、ミラーによる修復の導入後のエネルギーモデルにより、カバレッジエネルギーの総合評価モデルを作成し、そして、反射が成立するとともにミラーノードを介して通信ノードの通信区域が復元される制約条件下で、総合評価モデルでミラー付きノードの修復位置を求める。具体的な手順は次のとおりである。
【0041】
ノードの半消滅状態から得られた情報によって分かるように、消滅ノードに情報を伝送する2つのノードの座標は、それぞれT(a,b)とR(c,d)であり、ミラーノードMの位置(x,y)は反射条件を満たすと、ミラーノードMの位置と通信している2つのノードの座標との関係は次のとおりである。
【0042】
【0043】
【数16】
とすると、中継ノードが消滅した時にノードの周囲のホールによって形成された多角形8に基づいて、非中継モードに従ってカバレッジが最も優れる時の位置は円心位置9であり、その座標は(x
h,y
h)であり、ミラーノードとの間の距離rは次のとおりである。
【0044】
【0045】
式(9)からわかるように、r
2とxは1元2次方程式を満たし、関数曲線は上向きに開き、
【数18】
になると、対称になる。したがって、x=x
coveragebestの場合、rは最小値になり、xの増加又は減少につれて、rは徐々に増大する。カバレッジ円の円心とミラーの円心との間の距離rが大きくなるにつれて、カバレッジホールの面積S
10及び可能なホールの面積S
11は小さくなる。即ち、xがx
coveragebestに近くなればなるほど、rが小さくなり、カバレッジホールの面積S
10及び可能なホールの面積S
11が大きくなるので、カバレッジ率fが大きくなる。
【0046】
式(8)によれば、ミラーノードにより通信を復元する必要があるノードペアとミラーノードとの間の通信距離lは、次のとおりであることがわかる。
【0047】
【0048】
式(10)からわかるように、l
2とxは1元2次方程式を満たし、関数曲線は上向きに開き、
【数20】
になると、対称になる。x=x
coveragebestの場合、ノードはミラーノードで反射できないため、xが
【数21】
を取ることができず、xがx
coveragebestに近くなればなるほど、lが小さくなる。ノードのエネルギー消費Eは、送信距離lの増加とともに増加し、即ち、xがx
coveragebestに近くなればなるほど、ノードのエネルギー消費Eは小さくなる。
【0049】
消滅した中継ノードについて、式(9)及び(10)からわかるように、ミラーノードの位置がカバレッジ率fとノードのエネルギー消費Eに同時に影響し、Eとfを(0、1)までに正規化する。カバレッジが大きく、且つエネルギーが小さくなればなるほど、ミラーノードの位置が良くなる。したがって、カバレッジエネルギーの総合評価モデルWを次のように作成する。
【0050】
【0051】
自由空間光通信の指向性により、ミラー付き修復ノードは、式(8)を満たす必要があり、即ち、ソースノードT(a、b)と宛先ノードR(c、d)とによって形成された線分の垂直二等分線12上にある必要があるだけでなく、ソースノードTの通信可能な区域内にある必要もある。ソースノードTのランダムな方向はθであり、通信可能な距離はl
maxであると、ミラー付きノードMがl(T,M)≦l
maxを満たし、且つ、
【数23】
になる必要があり、ソースノードTの通信可能な扇形区域13を得る。式(8)及び得られた通信可能な扇形区域13により、ミラーノードを配置できる位置区域14を取得し、ミラーノードを配置できる位置区域において、Wが最大値になる時の位置であるミラー付きノードの最適な修復位置15を求める。
【0052】
P5、光学センサーの通信可能な区域と送受信デバイスの数の制限のために、ミラーノードを介して通信を復元する必要があるノードペアは複数有り得るが、一般には3ペア以下である。ミラーノードを入れて修復を行う場合、異なるノードペアと消滅ノードは三角形を形成している。正三角形に最も近いノードペアを選択して、ミラーノードを介して通信を復元する。消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードは、その通信可能な区域において、それに最も近づく正常ノードをそのネクストホップの宛先ノードとして求め、正常通信を復元する。手順は次の通りである。
【0053】
消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードをsとし、ノードsから、その位置情報を含むメッセージが送信され、周辺のノードは、その通信範囲内に位置し、そのメッセージを受信すると、ノードsの位置情報に基づき、自身の位置情報をノードsに返信する。ノードsは、1つのノードから送信された情報パケットのみを受信する場合、情報パケット内のノード位置をそのネクストホップルートに追加する。複数の情報パケットを受信する場合、通信可能なノードの位置座標を取得することで、ノードsと通信可能な各ノードとの間の距離を算出し、距離の最も短いノードを選択し、ノード位置をネクストホップルートに追加する。
【0054】
上記の実施例は、本発明の好ましい実施形態を説明するものに過ぎなく、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の宗旨から逸脱しない限り、本発明の技術案について当業者によって行われた様々な変形及び改善は、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲内に含まれるべきである。
【0055】
(付記)
(付記1)
自由空間光ネットワークが作動しているときに、既存のHeartbeatメカニズムによりノードの半消滅状態を監視し、ノード情報を取得するステップ1と、
半消滅ノードが完全に消滅した後、取得されたノード情報によりノードの類型を決め、ノードを中継ノードと非中継ノードに分けるステップ2と、
消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態を決めるステップ3であって、監視区域を規則的な格子に区画し、先ずNeyman-Pearsonの判断基準によりNeyman-Pearsonモデルを作成し、消滅ノードのある格子点及びその周辺の各格子点の結合検出確率を算出し、次に格子点の検出確率にしきい値を設定し、当該確率としきい値との比較関係により、格子点のカバレッジ状態を実効的カバレッジ、可能なカバレッジ及びカバレッジホールに分けるステップ3と、
消滅ノードの類型及びその周辺の格子点のカバレッジ状態により、最適な位置を求めて消滅ノードをそれぞれ修復するステップ4と、を含み、
非中継の消滅ノードの場合、修復工程は、
S1:ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、ノードの消滅によるn個のホール格子点の横座標と縦座標の最大と最小の4つのエッジ格子点の座標セットをそれぞれ選択し、4つの格子点を時計回り方向に並べ替えることと、
S2:4つの格子点を接続して四角形を形成し、四角形の内接円を作成することと、
S3:内接円の円心を求め、得られた内接円の円心が最適な修復位置であることと、
S4:最適な修復位置に通常ノードを置いて光ネットワークの修復を行うことと、を含み、
中継の消滅ノードの場合、修復工程は、
P1:ステップ3で取得された消滅ノードのある格子点及びその周辺の格子点のカバレッジ状態に基づき、異なる重み係数に従って修復前のカバレッジホールと可能なカバレッジとの面積の和、及び修復後のカバレッジホールと可能なカバレッジとの面積の和を算出し、カバレッジ率として両者の比を求めることと、
P2:自由空間光エネルギーモデルにより、ミラーによる修復の導入後のミラーノードのエネルギーモデルを考えることと、
P3:消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアを選択することと、
P4:カバレッジ率と、ミラーによる修復の導入後のエネルギーモデルにより、カバレッジエネルギーの総合評価モデルを作成することと、
P5:反射が成立するとともにミラーノードを介して通信ノードの通信区域が復元される制約条件下で、総合評価モデルでミラー付きノードの最適な修復位置を求めることと、
P6:最適な位置にミラー付き修復ノードを置いてミラー付き修復ノードを介して通信するノードペアの通信を修復することと、
P7:消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードについて、それに最も近づく通信可能な正常ノードを選択して通信を復元することと、を含む、ことを特徴とする反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0056】
(付記2)
ステップ1における前記ノード情報は、ノード位置情報、ノード通信モード及び当該ノードを介して通信する必要があるノードペアの位置情報を含み、前記ノードペアはソースノードと宛先ノードからなる、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0057】
(付記3)
ステップ2において、前記中継ノードは通信中に転送タスクを実行し、前記非中継ノードは通信中に転送タスクを実行しない、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0058】
(付記4)
P3においてノードペアを選択するプロセスについて、消滅ノードの情報によりミラーノードを介して通信を復元する必要があるノードペアは複数有り得、異なるノードペアと消滅ノードとは異なる三角形を形成し、消滅ノードの位置で反射できる確率が最も高いノードペアとして正三角形に最も近いノードペアを選択する、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0059】
(付記5)
P7において消滅した中継ノードを介してメッセージを転送するその他のノードについて、それに最も近づく通信可能な正常ノードを選択して通信を復元することは、具体的に、
P61:通信を復元する必要があるノードはその位置情報を含むメッセージを送信するステップと、
P62:通信範囲内におけるその他のノードは、メッセージを受信し、通信を復元する必要があるノードの位置情報により、自身の位置情報を、通信を復元する必要があるノードに返信するステップと、
P63:通信を復元する必要があるノードは、受信した情報を判定することにより、距離の最も短いノードを選択して通信の復元を完了するステップと、を含む、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0060】
(付記6)
P1において、カバレッジ率の算式は次の通りであり、
【数24】
【数25】
【数26】
ここで、S
0は修復前のカバレッジホールの面積であり、S
1は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値Pを取得し、S
10は修復後のカバレッジホールの面積であり、S
11は可能なカバレッジの面積であり、異なる重み係数に従って面積を加算してホール値P
1を取得し、fはカバレッジ率である、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0061】
(付記7)
P2において、ミラーによる修復の導入後、ミラーノードのエネルギーモデルを次のように作成し、
自由空間光通信エネルギーモデルにより、以下の式で3つのノードにおけるエネルギー消費Eを取得し、
【数27】
ここで、E
Tはソースノードのエネルギー消費であり、E
Mはミラーノードのエネルギー消費であり、E
Rは宛先ノードのエネルギー消費であり、m
1はソースノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、εは自由空間光波のエネルギー係数であり、φは発散角であり、lは通信距離であり、E
TX_PEは単位ビットのデータを送信するために光電子素子によって消耗されたエネルギーであり、m
2はミラーノードによって送信されたデータパケットのビット数であり、E
RXは単位ビットのデータを受信するために消耗する必要があるエネルギーである、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【0062】
(付記8)
P4において、カバレッジエネルギーの総合評価モデルWは、
【数28】
であり、
ここで、fはカバレッジ率であり、Eはノードのエネルギー消費である、ことを特徴とする付記1に記載の反射特性に基づく低エネルギー消費の自由空間光ネットワークの修復方法。
【符号の説明】
【0063】
1 縦座標の最大エッジ格子点
2 横座標の最小エッジ格子点
3 縦座標の最小エッジ格子点
4 横座標の最大エッジ格子点
5 四角形
6 内接円
7 非中継ノードの最適な修復位置
8 多角形
9 円心位置
12 垂直二等分線
13 通信できる扇形区域
14 ミラーノードを配置できる位置
15 ミラー付きノードの最適な修復位置