(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】継手及びガイド部材の組付方法
(51)【国際特許分類】
F16L 37/12 20060101AFI20220704BHJP
F16L 21/08 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
F16L37/12
F16L21/08 B
(21)【出願番号】P 2019112475
(22)【出願日】2019-06-18
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 宏之
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-180274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/12
F16L 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延設された筒状の継手本体と、
前記継手本体の軸方向一方側の外周部に、筒状のカバー部材を介在させて外嵌させた筒状のキャップと、を備え、
前記継手本体の軸方向一方側の前記外周部と、前記カバー部材及び前記キャップとの間に、筒状に形成されたガイド挿設空間を有する継手であって、
前記キャップは、前記カバー部材に連結される連結部と、
前記連結部よりも小径の内径を有する開口部と、を有し、
前記開口部の内側開口縁には、前記開口部内に押し込んだ環状のガイド部材のキャップ係止部が、軸方向外側に移動不能に配置されると共に、軸方向内側に移動可能に配置され
、
前記ガイド部材の外周面と、前記開口部との間には、蓋体突起設置空間が形成され、
前記蓋体突起設置空間には、前記開口部を閉塞する蓋体の係止突起部が着脱可能に挿着されること、
を特徴とする継手。
【請求項2】
前記係止突起部の内壁には、凸部が形成され、
前記凸部には、前記ガイド部材の外周面に形成された凹部が着脱可能に係止されること、
を特徴とする請求項
1に記載の継手。
【請求項3】
前記ガイド挿設空間に面する前記継手本体の外周部には、シール部材が設けられ、
前記ガイド部材は、前記ガイド挿設空間の奥側方向に拡開して形成されて、当該ガイド部材を前記ガイド挿設空間の奥側方向に押し込んだ際に、前記シール部材に当接する拡開傾斜面を有していること、
を特徴とする請求項1
または請求項
2に記載の継手。
【請求項4】
請求項1ないし請求項
3のいずれか1項に記載の前記継手に前記ガイド部材を組み付けるガイド部材の組付方法であって、
前記ガイド部材は、前記開口部を閉塞する蓋体の係止突起部の内壁面に着脱可能に内嵌させて一体化させた状態で、前記係止突起部を前記開口部内に押し込むことによって、前記キャップ係止部が、前記ガイド挿設空間内に軸方向外側に移動不能に配置されること、
を特徴とするガイド部材の組付方法。
【請求項5】
前記ガイド部材は、前記蓋体を分離することで、軸方向内側に移動可能に配置されること、
を特徴とする請求項
4に記載のガイド部材の組付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手及びガイド部材の組付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から住宅内の給水配管や、給湯配管に使用される継手として、樹脂製配管を継手に差し込むだけで、ワンタッチで接続することができる継手が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の継手には、配管の先端部が挿入される差込み隙間が設けられている。その差込み隙間の内面には、配管との間をシールすると共に、継手内に差し込まれる配管の先端部の挿入を案内する樹脂製のガイド(挿入ガイド)が設置されている。
【0004】
そのガイド(10)は、継手内に設置された内筒(3)と、内筒(3)の外側に取り付けられた外筒(4)と、の間の間隙(G)に挿入されて、外筒(4)にキャップ(6)をスナップ嵌合させることで、継手本体(1)内に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の管継手は、漏水しないように各部品を互いにしっかりと固定させている。このため、組立時に、ガイド(10)を管継手内に組み付けるのを忘れた場合に、ガイド(10)を後付けすることが困難な構造になっていた。
【0007】
また、外筒(4)やキャップ(6)等をナット(角)形状に形成して分解可能とした管継手であっても、ガイド(10)を後付けする際に、ガイド(10)等の位置合わせが必要で、ガイド(10)を後付けするのが面倒な構造になっている。
【0008】
本発明は、ガイド部材を容易に後付けすることができる継手及びガイド部材の組付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、軸方向に延設された筒状の継手本体と、前記継手本体の軸方向一方側の外周部に、筒状のカバー部材を介在させて外嵌させた筒状のキャップと、を備え、前記継手本体の軸方向一方側の前記外周部と、前記カバー部材及び前記キャップとの間に、筒状に形成されたガイド挿設空間を有する継手であって、前記キャップは、前記カバー部材に連結される連結部と、前記連結部よりも小径の内径を有する開口部と、を有し、前記開口部の内側開口縁には、前記開口部内に押し込んだ環状のガイド部材のキャップ係止部が、軸方向外側に移動不能に配置されると共に、軸方向内側に移動可能に配置され、前記ガイド部材の外周面と、前記開口部との間には、蓋体突起設置空間が形成され、前記蓋体突起設置空間には、前記開口部を閉塞する蓋体の係止突起部が着脱可能に挿着されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、ガイド部材を容易に後付けすることができる継手及びガイド部材の組付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】(a)はガイド部材と蓋体とを分解したときの状態を示す拡大断面図、(b)はガイド部材と蓋体とを組み付けたときの状態を示す拡大断面図である。
【
図3】ガイド部材及び蓋体を継手に取り付けるときの状態を示す分解拡大断面図である。
【
図4】ガイド部材及び蓋体を継手に取り付けたときの状態を示す断面図である。
【
図5】ガイド部材及び蓋体を継手に取り付けた後に蓋体を離脱させたときの状態を示す断面図である。
【
図6】継手に配管を差し込むときの状態を示す断面図である。
【
図7】継手に差し込んだ配管によってガイド部材がシール部材設置位置を通過するときの状態を示す断面図である。
【
図8】配管を継手内の所定位置まで挿入させて接続させたときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る継手100及びガイド部材6の組付方法を
図1から
図8を参照して説明する。方向を説明する際は、
図1に示す継手本体1のネジ部1b側を前(他方側)、蓋体7側を後(一方側)として説明する。
【0013】
<継手>
図1に示す継手100は、例えば、住宅内等において、給水配管あるいは給湯配管等の配管8(
図8参照)を繋ぐための配管継手である。継手100は、継手本体1と、カバー部材2と、キャップ3と、ストッパ4と、シール部材5と、ガイド部材6と、蓋体7と、ガイド挿設空間S1と、蓋体突起設置空間S2と、を備えて構成されている。
【0014】
<継手本体>
継手本体1は、軸方向に延設された銅合金等の金属製、または、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等の樹脂製の筒状部材から成る。継手本体1には、軸心線上に前側から後側に向かって縮径した通水孔1gが形成されている。継手本体1の外周部1aには、前側から順に、ネジ部1b、角形係合部1c、カバー部材取付部1d、空間形成部1e、シール部材設置溝1fが形成されている。
【0015】
図1に示すネジ部1bは、継手100を取り付ける取付部材(図示省略)に形成された雌ネジ部に螺合する雄ネジ部である。
角形係合部1cは、ネジ部1bを取付部材(図示省略)の雌ネジ部に螺合させる際に、スパナ等の工具を係合させる箇所である。
カバー部材取付部1dは、カバー部材2の前端部内側に形成された係合凸部2aが係合されて、カバー部材2が取り付けられる凹部である。
【0016】
空間形成部1eは、ガイド挿設空間S1の内壁(継手本体側の壁面)を形成する段差部である。空間形成部1eには、カバー部材2、キャップ3、ガイド部材6、及び、蓋体7の係止突起部7aが配置される。
シール部材設置溝1fは、シール部材5が設置される環状溝である。シール部材設置溝1fは、空間形成部1eの略中央部に適宜な間隔を介して形成された複数の溝から成る。
【0017】
<カバー部材>
図1に示すように、カバー部材2は、ガイド挿設空間S1の外壁を形成すると共に、キャップ3及びストッパ4を設置するための筒状部材である。カバー部材2には、前記した係合凸部2aと、ガイド挿設空間形成部2bと、キャップ取付部2cと、ストッパ取付部2dと、が形成されている。カバー部材2は、例えば、ポリアミド(PA)等の樹脂等の透明部材によって形成されて、カバー部材2の内側に配置されるシール部材5、ガイド部材6及び配管8(
図8参照)の設置状態が外部から視認可能な状態にしている。
【0018】
ガイド挿設空間形成部2bは、ガイド挿設空間S1の外壁を形成する段差面である。ガイド挿設空間形成部2bは、カバー部材2の後側内面に形成されている。
キャップ取付部2cは、キャップ3の連結部3aが連結される係合箇所である。キャップ取付部2cは、カバー部材2の後側外周面に断面視して凹凸形状に形成されている。
ストッパ取付部2dは、ストッパ4が取り付けられる係合箇所である。ストッパ取付部2dは、カバー部材2の後側端部に断面視して略三角形状に形成されている。
【0019】
<キャップ>
図1に示すように、キャップ3は、継手本体1の軸方向一方側の外周部1aに、筒状のカバー部材2を介在させてスナップ嵌合で外嵌させた筒状のエンドキャップである。キャップ3は、ポリアセタール(POM)等の樹脂製のものから成る。キャップ3は、連結部3aと、開口部3bと、内側開口縁3cと、外側開口縁3dと、を有している。
【0020】
連結部3aは、カバー部材2に連結される係合箇所である。連結部3aは、キャップ3の内面の前側寄りの箇所に、断面視して凹凸形状に形成されている。
開口部3bは、連結部3aよりも小径の内径を有する内鍔部である。つまり、開口部3bは、筒状のキャップ3の後端部から軸心線に向けて突出形成された厚板状部位である。
【0021】
内側開口縁3cは、環状のガイド部材6のキャップ係止部6aが、軸方向外側(後方向側)に移動不能に配置されると共に、軸方向内側(前方向側)に移動可能に配置される箇所であって、開口部3bの前側端部(内側端部)である。
外側開口縁3dは、蓋体7を開口部3bに取り付けた際に、蓋体7の前側表面7cが当接される端面である。
【0022】
<ガイド挿設空間>
図1に示すように、ガイド挿設空間S1は、継手本体1の軸方向一方側の外周部1aと、カバー部材2及びキャップ3との間に、筒状に形成された空間(隙間)である。
【0023】
<蓋体突起設置空間>
蓋体突起設置空間S2は、ガイド部材6の外周面6bと、開口部3bとの間に形成された空間(隙間)である。蓋体突起設置空間S2には、開口部3bを閉塞する蓋体7の係止突起部7aが着脱可能に挿着される。
【0024】
<ストッパ>
ストッパ4は、例えば、バネ用のステンレス鋼(SUS)等の金属製の環状板部材から成る。ストッパ4は、断面視して略C字状(くの字状)に形成されて、ストッパ取付部2dに後側から装着される。ストッパ4の径方向内側端部には、継手100内に配管8(
図7及び
図8参照)を挿入した際に、配管8の外周面が摺接する。
【0025】
<シール部材>
図1に示すように、シール部材5(51,52)は、例えば、適宜な間隔で配置された2つの環状のOリング(ゴムパッキン)から成る。シール部材5は、ガイド挿設空間S1に面する継手本体1の外周部1aのシール部材設置溝1fに、径方向内側端部がシール部材設置溝1fから突出するように係合されている。シール部材5は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のゴム材料によって形成されている。シール部材5には、継手100内に配管8(
図7及び
図8参照)を挿入した際に、ガイド部材6の拡開傾斜面6cと、配管8の外周面と、が摺接する。
【0026】
<ガイド部材>
図6~
図8に示すように、ガイド部材6は、配管8の前端部を継手100のガイド挿設空間S1内に差し込んで接続させる際に、配管8の挿入をガイドするポリプロピレン(PP)等の樹脂製の環状部材である。
図2(a)に示すように、ガイド部材6には、キャップ係止部6aと、外周面6bと、拡開傾斜面6cと、爪部6dと、凹部6fと、が形成されている。
図7に示すように、ガイド部材6は、ガイド挿設空間S1の奥側方向に拡開して形成され、当該ガイド部材6をガイド挿設空間S1の奥側方向に押し込んだ際に、シール部材5に当接する拡開傾斜面6cを有し、シール部材5のはみ出し防止機能を備えている。
【0027】
図2(a)に示すように、キャップ係止部6aは、キャップ3の内側開口縁3cに係止する係止爪形状に形成された箇所である。キャップ係止部6aは、ガイド部材6の外側前端部に突設されている。
【0028】
外周面6bは、蓋体7の係止突起部7aに着脱可能に装着される部位である。外周面6bの後端部には、蓋体7の環状の凸部7bが係合する環状の凹部6fが形成されている。このため、ガイド部材6は、環状の係止突起部7a内に押し込むことによって、爪部6dが凸部7bに係合されて着脱できるようになっている。
【0029】
拡開傾斜面6cは、ガイド部材6を配管8によって、ガイド挿設空間S1の奥側に押し込んだ際に、シール部材5に徐々に圧接して、配管8をスムーズに差し込めるようにするためのガイド面である。
【0030】
爪部6dは、略円筒状のガイド部材6の蓋体7側の外周端部に突設されている。
凹部6fは、凸部7bが係合される環状の溝である。凹部6fは、爪部6dのキャップ係止部6a側に隣設されて、爪部6dに沿って形成されている。
【0031】
<蓋体>
蓋体7は、継手100を使用しないときに、塵埃等がガイド挿設空間S1に侵入するのを抑止するための閉塞体である。蓋体7には、係止突起部7aと、凸部7bと、前側表面7cと、が形成されている。蓋体7は、例えば、ポリプロピレン(PP)等の樹脂製の略円板状の部材から成る。
【0032】
係止突起部7aは、蓋体7の前側の面から突出形成された環状突起である。係止突起部7aの内壁には、凸部7bが形成されている。
凸部7bには、ガイド部材6の外周面6bに形成された凹部6fが着脱可能に係合される。
前側表面7cは、蓋体7を継手100に取り付けた際に、キャップ3の外側開口縁3dに当設する箇所である。
【0033】
<配管>
図8に示す配管8は、例えば、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等の樹脂製のものがメインであるが、アルミニウム管状の内側と外側を樹脂等で被覆したアルミニウム三層管や、金属製のものであってもよい。
【0034】
[作用]
次に、
図2~
図8を主に参照して、本発明の実施形態に係る継手100及びガイド部材6の組付方法の作用を組付順について説明する。
【0035】
図2(a)に示すガイド部材6は、予め、凹部6fを蓋体7の凸部7bにスナップ嵌合させて、
図2(b)に示すように、蓋体7と一体化させておく。
【0036】
図3に示すように、継手100は、まず、シール部材5を装着した継手本体1に、カバー部材2に押し込んで装着させる。次に、カバー部材2のストッパ取付部2dにストッパ4を係合させて、キャップ取付部2cにキャップ3の連結部3aを押し込んで、カバー部材2にキャップ3を装着させる。このようにして組み立てられた継手100は、ネジ部1bを設置箇所に設けられた雌ネジ部(図示省略)に螺着することで、設置箇所に取り付けられる。
【0037】
その継手100に配管8(
図8参照)を接続しないときは、
図3及び
図4に示すように、蓋体7に取り付けたガイド部材6のキャップ係止部6aを、開口部3b内に押し込んで内側開口縁3cに係止させることで、ガイド部材6及び蓋体7を継手100に組み付ける。開口部3bは、蓋体7によって閉塞されるため、継手100内に塵埃等が侵入するのを抑止することができる。また、ガイド部材6は、蓋体7が無ければ、継手100に取り付けることができない構造になっているため、継手100へのガイド部材6の組み付け忘れを解消することができる。
【0038】
継手100に配管8(
図8参照)を組み付ける場合は、まず、
図5に示すように、蓋体7をガイド部材6から離脱させて、開口部3b内から引き抜く。このように、蓋体7は、継手100に配管8を取り付ける寸前まで取り付けておくことができるため、継手100内に塵埃や異物が侵入してシール部材5に付着するのを防止することができる。
【0039】
次に、
図6に示すように、配管8の先端部を開口部3b内に入れて、ガイド部材6を押し込む。すると、配管8に押し込まれたガイド部材6は、
図7に示すように、キャップ係止部6aでストッパ4の径方向内側を拡開させ、拡開傾斜面6cをシール部材5に押し当てて圧縮させながらガイド挿設空間S1の奥側(前側)に摺動して、
図8に示すように、ガイド挿設空間S1の前端まで押し込まれる。このため、ガイド部材6は、組み付け時に位置合わせしなくても、継手100の所定位置に容易に後付けさせることができる。
【0040】
ガイド挿設空間S1内に差し込まれた配管8は、内壁面に2つのシール部材5が弾接して密着し、外周面にストッパ4が弾接して密着した状態に、継手100に接続される。
この場合、カバー部材2は、透明部材によって形成され、カバー部材2の内側のシール部材5、ガイド部材6及び配管8の設置状態の視認や、取付不良の確認をすることが可能になっている。
【0041】
図1に示すように、本実施形態に係る継手100において、軸方向に延設された筒状の継手本体1と、継手本体1の軸方向一方側の外周部1aに、筒状のカバー部材2を介在させて外嵌させた筒状のキャップ3と、を備え、継手本体1の軸方向一方側の外周部1aと、カバー部材2及びキャップ3との間に、筒状に形成されたガイド挿設空間S1を有する継手100であって、キャップ3は、カバー部材2に連結される連結部3aと、連結部3aよりも小径の内径を有する開口部3bと、を有し、開口部3bの内側開口縁3cには、前記開口部3b内に押し込んだ環状のガイド部材6のキャップ係止部6aが、軸方向外側に移動不能に配置されると共に、軸方向内側に移動可能に配置される。
【0042】
かかる構成によれば、開口部3bの内側開口縁3cには、環状のガイド部材6のキャップ係止部6aが、軸方向外側に移動不能に配置されると共に、軸方向内側に移動可能に配置されることで、継手100を組み立てた後に、ガイド部材6を継手100に容易に後付けすることができる。このため、本発明は、従来、継手の組立時に、ガイド(10)を管継手内に組み付けるのを忘れた場合に、ガイド(10)を後付けすることが困難であった問題点を解消して、継手100の組付性を向上させることができる。また、開口部3b内に配置されたガイド部材6は、軸方向外側に移動不能に配置されるので、開口部3bから抜け出すことなく後付けすることができる。
【0043】
また、
図1に示すように、ガイド部材6の外周面6bと、開口部3bとの間には、蓋体突起設置空間S2が形成され、蓋体突起設置空間S2には、開口部3bを閉塞する蓋体7の係止突起部7aが着脱可能に挿着される。
【0044】
かかる構成によれば、蓋体突起設置空間S2には、開口部3bを閉塞する蓋体7の係止突起部7aが着脱可能に挿着されることで、開口部3bを蓋体7によって容易に閉塞することができる。このため、継手100に配管8を取り付けない場合には、開口部3bを蓋体7で閉塞して、塵埃等が継手100内に侵入するのを抑止することができる。
【0045】
また、
図2(a)、(b)に示すように、係止突起部7aの内壁には、凸部7bが形成され、凸部7bには、ガイド部材6の外周面6bに形成された凹部6fが着脱可能に係止される。
【0046】
かかる構成によれば、蓋体7は、凸部7bにガイド部材6の凹部6fが着脱可能に係止されるので、継手100に着脱可能に取り付けることができる。
【0047】
また、ガイド挿設空間S1に面する継手本体1の外周部1aには、シール部材5が設けられ、ガイド部材6は、ガイド挿設空間S1の奥側方向に拡開して形成されて、当該ガイド部材6をガイド挿設空間S1の奥側方向に押し込んだ際に、シール部材5に当接する拡開傾斜面6cを有している。
【0048】
かかる構成によれば、ガイド部材6は、シール部材5に当接する斜めの形状の拡開傾斜面6cを有していることで、配管8によってガイド挿設空間S1内に押し込んで奥側に配置する際に、シール部材5が設置されてあっても、拡開傾斜面6cがシール部材5に徐々に強く当接するので、押し込み易い。このため、シール部材5は、ガイド部材6の拡開傾斜面6cによって押されて徐々に変形するので、ガイド部材6の挿入抵抗を急激に変化させないため、損傷し難く、ガイド部材6(配管8)のスムーズな挿入を可能にする。
【0049】
また、
図1または
図2(a)、(b)に示すように、継手100にガイド部材6を組み付けるガイド部材の組付方法であって、ガイド部材6は、開口部3bを閉塞する蓋体7の係止突起部7aの内壁面に着脱可能に内嵌させて一体化させた状態で、係止突起部7aを開口部3b内に押し込むことによって、キャップ係止部6aが、ガイド挿設空間S1内に軸方向外側に移動不能に配置される。
【0050】
かかる構成によれば、ガイド部材6は、継手100を組み立てた後に、蓋体7の係止突起部7aを開口部3b内に押し込むことで、継手100内のガイド挿設空間S1内に後付けすることができる。ガイド部材6と蓋体7とは、一体化させて、ガイド部材6を継手100内で軸方向外側に動かないように蓋体7に係止させることによって、所定位置に位置決めすることができる。ガイド部材6は、軸方向外側に移動不能に配置され、蓋体7から分離することなく後付けすることができる。
【0051】
また、ガイド部材6は、蓋体7を分離することで、軸方向内側に移動可能に配置される。
かかる構成によれば、開口部3bに係止されたキャップ係止部6aを有するガイド部材6は、開口部3bを挟んで軸方向外側に一体化された状態に配置された蓋体7から分離されることで、軸方向内側へ移動できるようになる。そのガイド部材6は、軸方向外側へ移動させた場合、キャップ係止部6aが開口部3bの内側開口縁3cに係止されて軸方向外側への移動が規制されるため、開口部3b内から抜け出すことがない。
【0052】
[変形例]
以上、本実施形態に係る継手100及びガイド部材6の組付方法について、図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0053】
例えば、
図2(a)に示すガイド部材6の凹部6fと、蓋体7の凸部7bとは、環状に形成されたもので限定されるものではなく、適宜な間隔で配置された複数のものであってもよい。
また、ガイド部材6または蓋体7、あるいは両方に、割りがあってもよい。
また、ガイド部材6と蓋体7において、凹部と凸部(スナップ嵌合)は、逆の組合せでもよい。
【0054】
図7及び
図8に示すように、透明なカバー部材2の内側に配置されるガイド部材6は、着色する等して有色にすることで、ガイド部材6及び配管8の差し込み状態を確認し易くすることができる。
【0055】
図1に示すカバー部材取付部1dと係合凸部2aとは、互いに螺合し合うネジ溝で形成して、カバー部材2が継手本体1に取り付けられるようにしてもよい。
また、連結部3a及びキャップ取付部2cは、互いに係合するネジ形状のものであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 継手本体
1a 外周部
2 カバー部材
3 キャップ
3a 連結部
3b 開口部
3c 内側開口縁
5 シール部材
6 ガイド部材
6a キャップ係止部
6b 外周面
6c 拡開傾斜面
6f 凹部
7 蓋体
7a 係止突起部
7b 凸部
100 継手
S1 ガイド挿設空間
S2 蓋体突起設置空間