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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】作動支持部材
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/08 20060101AFI20220704BHJP
   H01Q 15/20 20060101ALI20220704BHJP
   B64G 1/66 20060101ALI20220704BHJP
   H01Q 1/12 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
H01Q1/08
H01Q15/20
B64G1/66 C
H01Q1/12 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019540403
(86)(22)【出願日】2018-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-12
(86)【国際出願番号】 GB2018050257
(87)【国際公開番号】W WO2018142116
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-09-14
(31)【優先権主張番号】1701568.6
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519164127
【氏名又は名称】オックスフォード スペース システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】レヴェルス-ウィルソン、ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】フラウクス、ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ハムフリース、マーチン
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-252720(JP,A)
【文献】特表平10-500594(JP,A)
【文献】特開平05-183330(JP,A)
【文献】特開平04-079501(JP,A)
【文献】特開平11-247290(JP,A)
【文献】特開平08-103314(JP,A)
【文献】特開2013-236856(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103794842(CN,A)
【文献】米国特許第05680145(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
B64G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相互に接続された細長い支持部材を含む展開可能な構造体で使用するための作動支持部材であって、
前記構造体はまとめられた状態から、前記支持部材がリング状に配置される展開され拡張された状態へ展開可能であり、
各支持部材は、前記構造体が前記まとめられた状態と前記拡張された状態との間で変化されるときに前記支持部材に対して長手方向に移動するための前記支持部材に取り付けられたコネクタを備え、
前記作動支持部材は、前記作動支持部材に対して長手方向に移動するために取り付けられた駆動部材と、前記駆動部材を前記作動支持部材に対して1つの方向に駆動するために配置された電気機械装置とを備え、
前記駆動部材はロストモーション接続によって前記コネクタに接続され、それにより、前記駆動部材が前記電気機械装置によって前記1つの方向に移動されるときに前記駆動部材が前記コネクタを前記1つの方向に移動させ、
前記コネクタは前記駆動部材が前記電気機械装置によって移動されない場合であっても前記1つの方向に移動することができるように、前記駆動部材と前記コネクタは分離可能に構成されており、
前記駆動部材と前記コネクタとの間の前記ロストモーション接続は、前記コネクタの一部と前記駆動部材の一部の当接によって実現されることを特徴とする作動支持部材。
【請求項2】
前記展開可能な構造体がそのまとめられた状態からその展開された状態へ展開されているとき、
前記コネクタは前記駆動部材の移動の長さに沿ったどの地点においても前記駆動部材から分離されることができる、請求項1に記載の作動支持部材。
【請求項3】
前記駆動部材が前記電気機械装置によって前記1つの方向に移動されない場合はつねに、前記コネクタは前記駆動部材から分離されることができる、請求項1または2に記載の作動支持部材。
【請求項4】
前記作動支持部材が中空部分を含み、前記駆動部材の少なくとも一部および/または前記電気機械装置が前記作動支持部材の前記中空部分内に含められる、請求項1~3のいずれか一項に記載の作動支持部材。
【請求項5】
前記電気機械装置が、前記作動支持部材の内側を長手方向に延びる細長い駆動シャフトを回転させるように配置される、請求項4に記載の作動支持部材。
【請求項6】
前記電気機械装置が前記作動支持部材の前記中空部分内に少なくとも部分的に含められる、請求項5に記載の作動支持部材。
【請求項7】
前記駆動シャフトが、前記駆動部材のねじ山付き部分に係合する主ねじの形態であり、それにより前記主ねじの回転が前記駆動部材の長手方向の移動を引き起こす、請求項5または6に記載の作動支持部材。
【請求項8】
前記コネクタが、前記作動支持部材の外側に取り付けられたカラーの形態である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の作動支持部材。
【請求項9】
前記作動支持部材が長手方向に延びるスロットを有し、それにより前記駆動部材と前記カラーとの間に接続を確立することができる、請求項に記載の作動支持部材。
【請求項10】
前記駆動部材の突起が前記スロットを通って延び、前記カラーの一部と当接する、請求項に記載の作動支持部材。
【請求項11】
2つの正反対に配置されたスロットがあり、前記駆動部材が2つの突起を有し、1つの突起が各スロットを通って延びる、請求項10に記載の作動支持部材。
【請求項12】
複数の相互に接続された細長い支持部材を含む展開可能な構造体で使用するための作動支持部材であって、前記構造体はまとめられた状態から、前記支持部材がリング状に配置される展開され拡張された状態へ展開可能であり、各支持部材は、前記構造体が前記まとめられた状態と前記拡張された状態との間で変化されるときに前記支持部材に対して長手方向に移動するための前記支持部材に取り付けられたコネクタを備え、
前記作動支持部材は中空部分を含み、カラーの形態にあるコネクタは、前記構造体が前記まとめられた状態と前記拡張された状態との間で変化されるときに前記作動支持部材に対して長手方向に移動するために前記作動支持部材の外側に取り付けられ、
前記作動支持部材は、前記作動支持部材の内側と前記作動支持部材の外側との間に連通を提供する2つの長手方向に延びるスロットを備え、
電気機械装置が前記作動支持部材の内側に取り付けられ、前記作動支持部材の内側を長手方向に延びる駆動シャフトを回転させるように接続され、
前記駆動シャフトは、前記作動支持部材の内側に提供された駆動部材に接続され、それにより前記駆動シャフトの回転が前記作動支持部材の内側で前記駆動部材の長手方向の移動を引き起こし、
接続部分が、前記駆動部材と前記カラーとの間のロストモーション接続をもたらすように前記スロットを通って延び、その結果、前記作動支持部材に対して1つの方向に前記駆動部材が移動するとカラーが前記1つの方向に付勢され、
前記1つの方向の前記カラーの移動は、前記駆動部材がたとえ静止したままだとしても実行されることができるように、前記駆動部材と前記コネクタは分離可能に構成されており、
前記駆動部材と前記コネクタとの間の前記ロストモーション接続は、前記コネクタの一部と前記駆動部材の一部の当接によって実現されることを特徴とする、作動支持部材。
【請求項13】
複数の相互に接続された細長い支持部材を含む展開可能な構造体であって、前記構造体はまとめられた状態から、前記支持部材がリング状に配置される展開され拡張された状態へ展開可能であり、各支持部材は、前記構造体が前記まとめられた状態と前記拡張された状態との間で変化されるときに前記支持部材に対して長手方向に移動するための前記支持部材に取り付けられたコネクタを備え、
前記支持部材の少なくとも1つは請求項1乃至12のいずれか一項に記載の作動支持部材を含み、前記作動支持部材は前記展開可能な構造体をそのまとめられた状態からその展開された状態へ展開するように配置される、展開可能な構造体。
【請求項14】
前記展開可能な構造体が複数の作動支持部材を含み、複数の作動支持部材は、前記駆動部材の1つが静止したままの場合、他の作動支持部材の少なくとも1つが、前記静止した駆動部材と前記コネクタとの間の前記ロストモーション接続により前記展開可能な構造体を展開するために動作することができるように配置される、請求項13に記載の展開可能な構造体。
【請求項15】
前記他の作動支持部材の前記少なくとも1つは、前記静止した駆動部材が前記電気機械装置によって移動されない場合でも、前記静止した駆動部材に関連する前記コネクタを前記1つの方向に作動するように配置される、請求項14に記載の展開可能な構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(例えば反射アンテナの)展開可能な構造体用の作動支持部材に関し、それは展開可能な構造体をまとまった状態から、構造体がリングを画定する展開された状態へ作動するために使用される。特に、本発明は、展開可能な構造体用のリニアアクチュエータおよび支持部材に関する。展開されると作動支持部材は例えば弾性膜用の支柱としての役割を果たし得る。
【背景技術】
【0002】
特に、しかし排他的でなく、(例えば反射器の)展開可能な構造体は、表面を支持するために使用することができる。表面は、柔軟な材料によって画定され得、それにより、それは、構造体がまとめられた状態にあるときにコンパクトな状態で格納可能であり、構造体が展開されると、(例えば放物面)パラボラアンテナの一部または全部など、拡張された構造を形成することができる。そのようなパラボラアンテナは、反射アンテナとして使用することができる。典型的に、そのようなパラボラアンテナは宇宙用途で使用され、そこではパラボラアンテナはプラットフォーム(例えば人工衛星)が打ち上げられるときにコンパクトな状態で格納される必要があるが、パラボラアンテナはその後、例えば2メートルから50メートルまたはそれ以上の直径を有する大きなサイズへ展開され得る。
【0003】
1つのそのような展開可能な構造体は、国際公開第2012/065619号パンフレットに開示されている。これは、複数の面から形成された多面体トラスを開示し、そのそれぞれは、シックスバーリンク機構から形成される。複数のトラスが相互に接続され、膜または網がトラスの表面に取り付けられて、無線周波(RF)実行反射面を形成する。このシステムの欠点は、同期機構または同期作動システムが面を展開するために要求され得ることである。これは構造の複雑さおよび重さを増す。
【発明の概要】
【0004】
1つの態様から見ると、本発明は、複数の相互に接続された細長い支持部材を含む展開可能な構造体で使用するための作動支持部材を提供し、構造体はまとめられた状態から、支持部材がリング状に配置される展開され拡張された状態へ展開可能であり、各支持部材は、構造体がまとめられた状態と拡張された状態との間で変化されるときに支持部材に対して長手方向に移動するための支持部材に取り付けられたコネクタを備え、
作動支持部材は、作動支持部材に対して長手方向に移動するために取り付けられた駆動部材と、駆動部材を作動支持部材に対して1つの方向に駆動するために配置された電気機械装置とを備え、駆動部材はロストモーション接続(lost motion connection)によってコネクタに接続され、それにより、駆動部材が電気機械装置によって前記1つの方向に移動されるときに駆動部材がコネクタを前記1つの方向に移動させ、コネクタは駆動部材が電気機械装置によって移動されない場合であっても前記1つの方向に移動することができる。
【0005】
本発明は、展開可能な構造体をまとめられた状態から展開された状態へ作動するための作動支持部材を提供する。作動支持部材は、典型的に、展開可能な構造体を構成する複数の支持部材のうちの1つを形成する。作動支持部材は、ロストモーション接続によって作動支持部材に取り付けられたコネクタに接続された駆動部材を含む。これは、駆動部材が電気機械装置(例えば(駆動)モータ)によって移動されるときに、駆動部材はコネクタを1つの方向に(例えば、展開可能な構造体をまとめられた状態から展開された状態へ作動するとき、(作動支持部材の第2の端部から)作動支持部材の第1の端部に向けて、作動支持部材に沿って)移動させることができるが、コネクタはまた、駆動部材が電気機械装置によって移動されないときでも、この方向に(第2の端部から第1の端部へ)移動することができることを意味する。
【0006】
したがって、電気機械装置が故障した場合または作動支持部材の駆動部材を(展開可能な構造体を展開するために第2の端部から第1の端部へ)動かすことに関して別の問題がある場合、ロストモーション接続のコネクタは、(構造体の展開を駆動する)駆動(例えば作動)部材が例えば展開可能な構造体中の別の作動支持部材によって駆動されるとすぐに、故障の時点で電気機械装置(例えば駆動モータ)から切り離すことができる。したがって、故障した作動支持部材のロストモーション接続は、すなわち、駆動部材が故障しコネクタの作動を停止したあと、その支持部材上でのコネクタの移動を許容する。駆動部材間の変位の大きな不均衡などの他のシナリオが同じく、例えば展開可能な構造体が複数の作動支持部材を含む場合、後れをとる駆動部材中のコネクタの切り離しをもたらすことができる。したがって、ロストモーション接続は、駆動部材が移動を停止した(すなわち電気機械装置によって移動されない)場合でも、展開可能な構造体が展開されることを可能にする。
【0007】
いくつかの実施形態では、駆動機構(例えば駆動部材と、駆動部材を駆動するように構成された電気機械装置とを含む)を備える作動支持部材は中空部分を含む。いくつかの実施形態では、電気機械装置は作動支持部材の中空部分内に含められる。いくつかの実施形態では、電気機械装置は、作動支持部材の内側を長手方向に延びる細長い駆動シャフトを回転させる。いくつかの実施形態では、駆動シャフトは、駆動部材のねじ山付き部分と係合する主ねじの形態であり、それにより主ねじが回転すると駆動部材の長手方向の移動が起こる。いくつかの実施形態では、駆動部材は、作動支持部材の内側にある本体部分を有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、駆動部材とコネクタとの間のロストモーション接続は、駆動部材の一部がコネクタの一部と当接する(しかし、例えば固定式に接続されない)ことによってもたらされ、それにより作動支持部材の第1の端部に向かう(例えば作動支持部材の第2の端部から離れる)駆動部材の移動が同じ方向にコネクタを押す。しかしながら、駆動機構が故障すると、第1のコネクタは作動支持部材の第1の端部に向かってなおも自由に移動し、例えば、駆動部材およびコネクタは互いに切り離されるように配置される。好ましくは、駆動部材およびコネクタは、互いに別々(の構成要素)である。
【0009】
したがって、好ましくは、コネクタは、展開可能な構造体がまとめられた状態から展開された状態へ展開されているとき、例えば、駆動部材が電気機械装置によって1つの方向に移動されない場合はつねに、駆動部材の移動の長さに沿ったどの(例えばいかなる)地点においても駆動部材から分離されることができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、コネクタの少なくとも本体部分は、作動支持部材の外側に取り付けられる(そして、例えば、作動支持部材の内側の駆動部材の少なくとも一部から分離可能である)。いくつかの実施形態では、作動支持部材の外面の少なくとも一部は、コネクタのベアリング面としての役割を果たす。
【0011】
コネクタの主本体が、駆動機構を備えた作動支持部材の中空部分の外側に取り付けられ、駆動部材の主本体が作動支持部材の中空部分内にある実施形態において、駆動部材およびコネクタを係合する(しかし、例えば、相互に固定式に接続しない、例えば、互いに分離可能とする)ことが必要である。いくつかの実施形態では、駆動機構を備えた作動支持部材は、駆動部材とコネクタとの間に接続を確立できるように、長手方向に延びるスロットを有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、駆動部材の突起が第1のコネクタの一部と係合するようにスロットを通って延びる。いくつかの実施形態では複数のスロットが存在する。いくつかの実施形態では、駆動部材の複数の突起が存在し、例えばスロットごとに1つ存在する。いくつかの実施形態では、2つの正反対に配置されたスロットが存在し、駆動部材上の2つの正反対に配置された突起が存在する。作動支持部材のスロットを通って延び、作動支持部材の内側の駆動部材の一部によって係合される部分をコネクタが有する代替実施形態を有することが可能であり得ることが認識されよう。
【0013】
いくつかの実施形態では、駆動機構を備えた作動支持部材は、そのまたはそれぞれの長手方向スロットが設けられた管の形態である。他の実施形態では、作動支持部材は、例えば互いに平行に配置された複数の細長い部材から作製される。いくつかの実施形態では、第1の複数の細長い部材は、作動支持部材の第1の側を画定し、第2の複数の細長い部材は作動支持部材の第2の側を画定し、第1および第2の側は、正反対に配置されたスロットが作動支持部材の2つの側の間に画定されるように、横方向に変位される。
【0014】
本発明はまた、複数の相互に接続された細長い支持部材を含む展開可能な構造体に及び、構造体はまとめられた状態から、支持部材がリング状に配置される展開され拡張された状態へ展開可能であり、各支持部材は、構造体がまとめられた状態と拡張された状態との間で変化されているときに支持部材に対して長手方向に移動するための支持部材上に取り付けられたコネクタを備え、
支持部材の少なくとも1つは、展開可能な構造体をまとめられた状態から展開された状態へ展開するために本発明のいずれかの態様による作動支持部材を備える。
【0015】
好ましくは、展開可能な構造体は、本発明のいずれかの態様による複数の作動支持部材を含み、例えば、その結果、作動支持部材の1つが故障した場合、他の作動支持部材の1つ(または複数)が(展開可能な構造体が依然展開されることができるように動作するロストモーション接続により)展開可能な構造体を展開するために依然動作することができる。したがって、好ましくは、駆動部材の1つが静止したままの場合(例えば複数の作動支持部材のうちの1つが故障した場合)、他の作動支持部材の少なくとも1つが、(故障した作動支持部材の)コネクタと静止した駆動部材との間のロストモーション接続により、展開可能な構造体を展開するように動作することができる。したがって、好ましくは、他の作動支持部材の少なくとも1つは、(故障した作動支持部材の)静止した駆動部材が(故障した作動支持部材の)電気機械装置によって移動されない場合であっても、(静止した駆動部材に関連する、故障した作動支持部材の)コネクタを前記1つの方向に作動するように配置される。
【0016】
支持部材はリング状に相互に接続されているので、いくつかの実施形態では、必ずしも各支持部材は作動支持部材を含まない(すなわち駆動機構を備えない)。それというのも、駆動機構を備えない支持部材上のコネクタの移動は、記載した方法での支持部材の相互の接続の結果として実行され、その結果、駆動力は別の支持部材の(すなわち作動支持部材の)駆動機構によってもたらされるからである。各支持部材に駆動機構を設けること(すなわちそれぞれが作動支持部材を備えること)が可能であり得るが、駆動機構の数を低減することは装置の質量を低減するだろう。
【0017】
複数の駆動機構の使用は、1つの駆動機構が故障した場合、構造体が依然展開されることができることを意味する。1つの駆動機構が故障した場合、可動支持部材とその支持部材の駆動部材との間のロストモーション接続が、コネクタが依然自由に移動可能であり、その結果、構造体は展開されることができることを意味する。
【0018】
支持部材が相互に接続されるリングは、任意の適切かつ所望の閉じられた鎖であり得る。例えば、リングは、任意の適切かつ所望の形状、例えば、円形、楕円形、円形多面形または楕円形多面形(例えば多角形)を形成し得る。
【0019】
本発明はまた、構造体が展開されたときに構造体全体に広がる柔軟要素と組み合わせた、上記のような展開可能な構造体に及ぶ。そのような柔軟要素は、網、膜および/またはケーブルネットワーク構造の形態であり得る。柔軟要素は構造体全体に伸張され得る。構造体と柔軟要素の組み合わせは、反射器またはアンテナとしての使用に適切な展開可能な構造体、または反射器の一部またはアンテナの一部としての使用に適切な展開可能な構造体を提供し得る。
【0020】
本発明はまた、反射器またはアンテナとしての使用に適切な展開可能な構造体、または反射器の一部またはアンテナの一部としての使用に適切な展開可能な構造体を提供するように、複数の同様の構造体(例えばサブ構造体)と組み合わせた、上記のような展開可能な構造体に及ぶ。各サブ構造体は、構造体が展開されたときにサブ構造体全体に伸張される柔軟要素を備える。そのような柔軟要素は網または膜の形態であり得る。あるいは、展開されると構造体全体にわたって伸張される単一の柔軟要素が設けられ得る。
【0021】
別の態様から見ると、本発明は、複数の相互に接続された細長い支持部材を含む展開可能な構造体で使用するための作動支持部材を提供し、構造体はまとめられた状態から、支持部材がリング状に配置される展開され拡張された状態へ展開可能であり、各支持部材は、構造体がまとめられた状態と拡張された状態との間で変化されるときに支持部材に対して長手方向に移動するための支持部材に取り付けられたコネクタを備え、
作動支持部材は中空部分を含み、前記コネクタは、構造体がまとめられた状態と拡張された状態との間で変化されるときに作動支持部材に対して長手方向に移動するために作動支持部材の外側に取り付けられ、
作動支持部材は、作動支持部材の内側と作動支持部材の外側との間に連通を提供する2つの長手方向に延びるスロットを備え、
電気機械装置が作動支持部材の内側に取り付けられ、作動支持部材の内側を長手方向に延びる駆動シャフトを回転させるように接続され、
駆動シャフトは、作動支持部材の内側に提供された駆動部材に接続され、それにより駆動シャフトの回転により作動支持部材の内側で駆動部材の長手方向の移動が引き起こされ、
接続部分は、駆動部材とコネクタとの間のロストモーション接続をもたらすようにスロットを通って延び、その結果、作動支持部材に対して1つの方向に駆動部材が移動するとコネクタが前記1つの方向に付勢され、前記1つの方向のコネクタの移動は、駆動部材がたとえ静止したままだとしても実行されることができる。
【0022】
当然のことながら、本発明のこの態様は、本明細書に概説される任意選択的なおよび好ましい特徴の1つまたは複数(あるいは全部)を含み得る(好ましくは含む))。
【0023】
いくつかの実施形態では、接続部分は駆動部材の一部であり、その部分はスロットを通過し、コネクタと係合する。
【0024】
作動支持部材は、先に記載したように構造体内に他の支持部材とともに組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの他の作動支持部材が、構造体に組み込まれる。したがって、電気機械装置(例えばモータ)が故障した場合、または作動支持部材のうちの1つの駆動部材を移動することに関して別の問題がある場合、そのまたはそれぞれの他の作動支持部材が、構造体を展開することを引き起こし続け得る。故障した作動支持部材のロストモーション接続は、その支持部材上のコネクタの移動を許容する。
【0025】
作動機構を備えた支持部材に加えて、他の支持部材は支持部材の質量を軽減するために中空であり得る。展開可能な構造体の構成に使用される材料は、頑丈かつ軽量であり得る。例えば、使用される材料は、炭素繊維補強プラスチックおよび/または軽金属合金を含み得る。
【0026】
ここで本発明のいくつかの実施形態を、単に例としておよび添付図面を参照して、詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】複数のサブ構造モジュールから形成されたリグを含む構造体を概略的な形態で示す。
図2】相互に接続された、本発明による構造体の3つの支持部材のアセンブリを示す。
図3図2の線A-Aの断面である。
図4図2のアセンブリの上面図である。
図5図3のBでマークされた部分の拡大図である。
図6図3のCでマークされた部分の拡大図である。
図7図3のDでマークされた部分の拡大図である。
図8】支持部材の底部の拡大図である。
図9図8に対応する図であり、駆動部材の一部を明らかにするためにカラーが取り除かれている。
図10図9に対応する図であり、支持部材の本体が取り除かれている。
図11】支持部材に取り付けられたカラーの断面である。
図12】駆動部材を含む支持部材の代替形態の概略図である。
図13図12のアセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ピラミッド形のリング24に接続される複数のサブ構造モジュール12を示す。共通の支持部材が隣接モジュール間で共有される。
【0029】
図2、3および4は、どのように構造体の支持部材が相互に接続されるか、およびどのように駆動機構が構造体を展開するために提供されるかをより詳細に示す。
【0030】
第1の細長い支持部材27は、支持部材に摺動可能に取り付けられた外部取付型カラー28を備える。第1の支持部材27の一方の側には第2の細長い支持部材29があり、それに設けられているのは、支持部材に摺動可能に取り付けられた外部取付型カラー30である。第1の支持部材27の他方側には第3の細長い支持部材31があり、それに設けられているのは支持部材に摺動可能に取り付けられた外部取付型カラー32である。第1の支持部材27は後述のような駆動機構を備え、支持部材に沿ってカラー28を追いやり、図2に示される状態から構造を展開する。第2および第3の支持部材は受け身型であり、駆動機構は備えない。この連結が設けられる結果、カラー28が移動するとカラー30および32は移動する。
【0031】
カラー28は、シザー機構の第1の要素の第1の脚部33に回動可能に接続され、シザー機構の第1の要素の第2の脚部34は第2の支持部材29の上端部に回動可能に接続される。シザー機構の第1の要素の第1および第2の脚部33、34は、互いに角度を成し、等しい長さである。同様の方法で、カラー30はシザー機構の第2の要素の第1の脚部35に回動可能に接続され、シザー機構の第2の要素の第1の脚部36は第1の支持部材27の上端部に回動可能に接続される。シザー機構の第2の要素の第1および第2の脚部35、36は、第1の要素の脚部と同じ角度で互いに角度を成す。脚部35および36は、互いに、およびシザー機構の第1の要素の脚部33および34に等しい長さである。
【0032】
カラー28はまた、第2のシザー機構の第1の要素の第1の脚部37に回動可能に接続され、第2のシザー機構の第1の要素の第2の脚部38は第3の支持部材31の上端部に回動可能に接続される。第2のシザー機構の第1の要素の第1および第2の脚部37、38は、互いに角度を成し、同じ長さである。同様の方法で、カラー32は第2のシザー機構の第2の要素の第1の脚部39に回動可能に接続され、第2のシザー機構の第2の要素の第2の脚部40は第1の支持部材27の上端部に回動可能に接続される。第2のシザー機構の第2の要素の第1および第2の脚部39、40は、第1の要素の脚部と同じ角度で互いに角度を成す。脚部39および40は、互いに、およびシザー機構の第1の要素の脚部37および38に等しい長さである。
【0033】
第1および第2の支持部材27、29はまた、第1の支持部材27の底部に回動可能に接続される第1の連結部材41によって、および第2の支持部材29の底部に回動可能に接続される第2の連結部材42によって接続され、2つの連結部材41、42は43で回動可能に接続される。第1および第3の支持部材27、31はまた、第1の支持部材27の底部に回動可能に接続される第3の連結部材44によって、および第3の支持部材31の底部に回動可能に接続される第4の連結部材45によって接続され、2つの連結部材44、45は46で回動可能に接続される。
【0034】
図3に示すように、第1の支持部材27は中空である。第1の支持部材の内側には、その上端部に、ねじ山付き主ねじ48を回転するために使用される電気モータ47(図6に示される)がある。主ねじ48は、支持部材内で支持ベアリング49を通過する。主ねじは支持部材内で駆動部材50のねじ山付き部分とねじ係合され、それはカラー28と係合される。主ねじ48がモータ47によって回転されるにつれ、駆動部材50は支持部材内を上方へ移動し、それとともにカラー28を押す。
【0035】
その構成は図5により詳細に示されている。駆動部材50は、駆動シャフト48を受け入れるねじ穴を有する中央本体部分51を有する。駆動部材は、正反対の側に、カラー28の下側と係合する横方向に向けられた出っ張り52を有する。支持部材27の下端部は、主ねじ48の端部のベアリングとしての役割を果たす中央開口54を有するベース部53を備える。
【0036】
図6はモータ47をより詳細に示し、図7はベアリング49をより詳細に示す。図8は支持部材27の下端部の拡大図である。図9および10でより明確に確認できるように、駆動部材の主本体51は、支持部材27内の正反対に配置された長手方向に延びるスロット55を通って延びる部分65を有する。部分65は横方向に向けられた出っ張り52内で終端する。
【0037】
図11に示すように、支持部材27は、ロッド58の両側の中空管56および57の形態の第1の部材グループと、ロッド61の両側の中空管59および60の形態の第2の部材グループとを含む。これらの部材は、カラー28がその上を走行できる表面を提供する。2つの部材グループは、スロット55を提供する間隙がそれらの間に存在するように横方向に変位される。
【0038】
図12および13は、支持部材27の代わりに使用され例えば炭素繊維の中空管の形態にある、代替的な支持部材62を概略的な形態で示す。これは、正反対に配置された長手方向スロット63の対を有する。管内には、先に記載した28などのカラーと係合するためにスロット63を通って延びる2つの突起64を有する駆動部材を含む駆動機構がある。
【0039】
回動可能な接続が様々な構成要素に提供される場合、これらは低摩擦ブッシングを使用し得る。
図1
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図13