(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】バリア性キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
B65D51/22 110
(21)【出願番号】P 2018203666
(22)【出願日】2018-10-30
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100191145
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
(72)【発明者】
【氏名】千葉 潤一
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-052619(JP,A)
【文献】特開2013-056688(JP,A)
【文献】特開2016-124550(JP,A)
【文献】特開2018-052616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着され、外蓋を回動することで、破断して外蓋に移行する移行栓体を有するキャップ本体と、該キャップ本体に螺合して着脱可能に装着される外蓋とからなるバリア性キャップにおいて、
キャップ本体の基本樹脂となる基層に対し、
基本樹脂とバリア性樹脂とのブレンドからなるバリア層を中間層として介在させることを特徴とするバリア性キャップ。
【請求項2】
バリア層は、基本樹脂
として直鎖状低密度ポリエチレンを用い、バリア性樹脂としてエチレン含有量27~44モル%のエチレンビニルアルコール共重合体を用い、直鎖状低密度ポリエチレンの配合率を10%以上とするブレンドからなることを特徴とする請求項1に記載のバリア性キャップ。
【請求項3】
直鎖状低密度ポリエチレンの配合率を10~25%とすることを特徴とする請求項2に記載のバリア性キャップ。
【請求項4】
キャップ本体は、容器本体に装着される装着部と、ねじ壁部と、注出筒と、注出筒の内周面に、薄肉弱化部を介して連設される移行栓体とを有し、
キャップ本体の装着部、ねじ壁部、注出筒、薄肉弱化部および移行栓体にバリア層が設けられていることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載のバリア性キャップ。
【請求項5】
移行栓体は、上部に立設された筒状壁と、筒状壁の外周に突設されたラチェット機構の一方の第1歯部とを有し、
外蓋の頂壁は、下面から垂設され、注出筒に嵌合する切断筒部と、切断筒部の内周に、ラチェット機構の他方の第2歯部とを有することを特徴とする請求項1~4のいずれか
1項に記載のバリア性キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップを回転して開栓することができるキャップに関し、とくにガスバリア性に優れたバリア性キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドレッシングや調味料などを収容する食品容器には、開封時まで容器内を密封状態にしておくために、容器口部に装着されたキャップ本体に、弱化部により画成された除去壁部を形成した隔壁を設け、除去壁部に設けられたプルリングを引き上げて該除去壁部を引きちぎって注出口を開栓する抜栓キャップが広く用いられている。
【0003】
また、内容物風味を維持するため、容器外部の空気に含まれる酸素等を遮断するガスバリア性に優れた容器が提案されており、それに対応するキャップについてもガスバリア性を有するキャップが従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載のキャップは、プルリングを引き上げて除去部を引きちぎって注出口を開栓するキャップであるため、プルリングを引き上げて弱化部を破断するには比較的大きな力が必要であり、指先の力が弱い子供やお年寄りには開封が困難であった。
このため、プルリングによる開栓ではなく、キャップの螺合部の回転動作によって開栓することができるキャップも知られているが、このような回転動作によって開栓することができるキャップについては、ガスバリア性に優れたキャップはいまだ知られていない。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、プルリングを用いずに外蓋を回動することにより開栓することができるねじキャップにおいて、ガスバリア性に優れたバリア性キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、バリア性キャップとして、容器本体の口部に装着され、外蓋を回動することで、破断して外蓋に移行する移行栓体を有するキャップ本体と、該キャップ本体に螺合して着脱可能に装着される外蓋とからなるバリア性キャップにおいて、キャップ本体の基本樹脂となる基層に対し、基本樹脂とバリア性樹脂とのブレンドからなるバリア層を中間層として介在させることを特徴とする構成を採用する。
【0008】
バリア性キャップの実施形態として、基本樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンを用い、バリア性樹脂としてエチレン含有量27~44モル%のエチレンビニルアルコール共重合体を用い、直鎖状低密度ポリエチレンの配合率を10%以上とするブレンドからなることを特徴とする構成、また、直鎖状低密度ポリエチレンの配合率を10~25%とすることを特徴とする構成を採用する。
【0009】
バリア性キャップのさらなる実施形態として、キャップ本体は、容器本体に装着される装着部と、ねじ壁部と、注出筒と、注出筒の内周面に、薄肉弱化部を介して連設される移行栓体とを有し、キャップ本体の装着部、ねじ壁部、注出筒、薄肉弱化部および移行栓体にバリア層が設けられていることを特徴とする構成、また、移行栓体は、上部に立設された筒状壁と、筒状壁の外周に突設されたラチェット機構の一方の第1歯部とを有し、外蓋の頂壁は、下面から垂設され、注出筒に嵌合する切断筒部と、切断筒部の内周に、ラチェット機構の他方の第2歯部とを有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバリア性キャップは、回転動作で破断して外蓋に移行する移行栓体を含むキャップ本体内にガスバリア性を有するバリア層が介在されているため、回転動作で開栓されるまで、優れたバリア性を発揮することができる。
また、バリア層としてキャップ本体の基本樹脂とバリア性樹脂とをブレンドしたものを使用した場合には、キャップ本体の基層とバリア層との接着性がよくなり、回転動作による薄肉弱化部の破断性が改良される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施例のバリア性キャップのキャップ本体の半断面側面図である。
【
図2】本実施例のバリア性キャップのキャップ本体に外蓋を螺合して閉蓋した状態を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明のバリア性キャップについて、ラチェット機構を使用して回動動作によって開栓することができるキャップとして具体化した実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例】
【0013】
図2において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着されるキャップ本体、Cはキャップ本体Bに螺合して装着される外蓋である。
【0014】
図2に示すように、容器本体Aの口部1は、キャップ本体Bに嵌着して抜け止め保持する係止突条2を備えている。
また、
図1に示すように、キャップ本体Bは、外周側の外筒5、内周側の内筒6、口部1の天面側に位置する上壁7とからなり、口部1が嵌入する環状溝を形成する装着部4と、上壁7に連設して立設されたねじ壁部8と、ねじ壁部8の上端に段部9を介して連設された注出筒10とからなっている。
【0015】
注出筒10は容器本体A内に収容された内容物を注出する注出口を形成し、円筒状の基部11と、基部11の上部に拡径して外側に湾曲するリップ部12とを有する。
注出筒10の基部11の内周面には、全周にわたって形成された薄肉弱化部15を介して移行栓体16が一体に連設されている。
移行栓体16は、上部に円筒状の筒状壁17が立設され、下部は底壁14が薄肉弱化部15とともに注出口を封鎖している。
【0016】
筒状壁17は、外周にラチェット機構の一方の第1歯部を構成する係合突起18が周方向に突設され、内周上部には第1係合突部19が環状に突設されている。
係合突起18は、後述する外蓋Cのラチェット機構のもう一方の第2歯部52と係合する。
【0017】
底壁14は、筒状壁17の外周側に下面から所定の高さを有する拡径部22と、拡径部22の外周側に連設され、外側に向けて漸次肉薄になるとともに薄肉弱化部15に連設するフランジ部23とを有している。
ねじ壁部8は、注出筒10の下部に内周縁で連設した段部9の外周縁から垂設され、外周面にはねじ部(雄ねじ)24が設けられている。
ねじ部(雄ねじ)24の下方のねじ壁部8の外周には、キャップ本体Bの軸方向にわずかに隆起して延びる突条の縦リブ25が周方向複数個所に設けられている。
また、ねじ壁部8の内周面には、上部を段部9に連設し軸方向に延びる補強リブ26が突設されている。
【0018】
装着部4は、上壁7が内周縁でねじ壁部8の下部で連設し、上壁7の下部には外筒5と内筒6が垂設されている。
外筒5と内筒6の間には、容器本体Aの口部1が嵌入する嵌合溝が形成され、外筒5の内周には、係止突条2に係合して口部1を抜け止めする係止縮径部27が設けられている。
上壁7の上面には、周方向複数個所にストッパー28が設けられ、その螺脱方向には略垂直な第1当接面28aが形成され、螺着方向には第1傾斜面28bが形成されている。
本実施例では、ストッパー28の第1傾斜面28bに近接して縦リブ25がストッパー28と同数配設されている。
また、本実施例では、段部9の外周には、外蓋Cをキャップ本体Bに螺合する際にその終了を知らせるための音出し突部13が設けられている。
【0019】
キャップ本体B内には、キャップ本体Bの基層に対し、
図1および
図3に示すように、共射出成形によってバリア層Dが中間層として設けられている。
キャップ本体Bの基層となる基本樹脂として、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン樹脂、PET等の公知の樹脂が用いられる。
また、バリア層Dとなるバリア性樹脂としては、それぞれバリアの目的に応じて、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)や、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアミド(PA)、MXナイロン(MXD6等)等の公知のガスバリア性の樹脂が用いられる。
中でも、酸素に対するバリア性や風味および香気に対するバリア性からみて、エチレンビニルアルコール共重合体が好ましい。
本実施例では、キャップ本体Bの装着部4(外筒5、内筒6、上壁7)、ねじ壁部8、段部9と移行栓体16の底壁14の部分にバリア層Dが中間層として設けられている。
なお、キャップ本体Bの注出筒10や外筒5内にはバリア層Dはなくても構わない。
【0020】
本実施例では、薄肉弱化部15内にもバリア層Dが設けられており、一般に薄肉弱化部15の破断は、キャップ本体Bの基層となる基本樹脂とバリア層Dのバリア性樹脂とは接着性が乏しいため、薄肉弱化部15の基層部分が破断しても、バリア層Dが分離してしまいバリア層Dの破断が不十分となり、開封できない場合があり、そうした場合にはキャップ本体Bの基層の基本樹脂をバリア性樹脂にブレンドしたバリア層Dとすることで基層とバリア層Dとの接着性が改善され、バリア層Dが破断され、開封が可能となる。
【0021】
そこで、基層の基本樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE(プライムポリマー社製 25200J)を用い、バリア層Dのバリア性樹脂として下記のエチレンビニルアルコール共重合体EVOHを用い、どの程度の基本樹脂(LLDPE)をブレンドしてバリア層Dとすれば、上記実施例のバリア性キャップの薄肉弱化部15が破断可能となるかの検証試験を行った。
バリア性樹脂:EVOH(クラレ社製 C109B)、エチレン含有量35モル%、MFR(210°C)21g/10min、曲げ弾性率4000MPa
【0022】
【0023】
上記表1(下記表2も同じ)において、×は開封不可であり、△はいくつかのテストで開封不可と開封可能のものが混在し、○は開封可能を表し、配合率は、重量%(wt%)である。
さらに、バリア性樹脂として、エチレン含有量を変えたEVOHを使用した検証試験を下記の表2に示す。
EVOH:エチレン含有量44モル%(曲げ弾性率3200MPa)、エチレン含有量32モル%(MFR(210°C)12g/10min)、エチレン含有量29モル%(曲げ弾性率3700MPa、MFR(210°C)3g/10min)、エチレン含有量27モル%(曲げ弾性率4700MPa)
LLDPE:25200J
【0024】
【0025】
表1および表2によれば、バリア性樹脂としてエチレン含有量27~44モル%のEVOHを用いた場合、10%以上のLLDPEの配合率で開封可能となり、特に10~25%のLLDPEの配合率でブレンドしたバリア層Dとすれば開封可能となることを示している。
【0026】
なお、開封可能となる配合率については、基層となる基本樹脂およびバリア層Dのバリア性樹脂としてどのようなものを選択するかによって、それぞれ相違したものとなる。
また、バリア性樹脂に基層となる基本樹脂を加えてブレンドした場合には、基本樹脂の配合量が増えるに従ってバリア層Dのバリア性能が落ちていくことが知られているため、バリア性を維持するためには、破断可能となる最低の配合率でブレンドすることが好ましい。
さらに、基本樹脂とバリア性樹脂の混練が困難な場合には、相溶化剤を適宜加えても構わない。
【0027】
外筒5は、外周面に下方が切り欠かれた縮径凹面に連設する環状の切欠き段部29が設けられ、さらにその下方には、キャップ本体Bを容器本体Aから分離して分別廃棄可能とする分別機構が設けられている。
外筒5の下部外周面の所定円弧範囲にわたって軸方向に形成されたスリット30を介して把持部31が設けられ、把持部31は、縦切断部32によって外筒5から切り離され外方に展開可能になっている。
把持部31の縦切断部32には、上部に指先を入れて引っ掛けるための引っ掛け凹部32aが形成され、縦切断部32に近接する側の把持部31内周面には手指で把持する把持凹部が設けられており、スリット30は、縦切断部32より把持部31と反対方向に延び、終端部で把持部31が外筒5と一体となる。
【0028】
外筒5の内周側に破断可能な薄肉の周方向切断部37が形成され、本実施例では、スリット30は約110°の円弧範囲にわたって形成されている。
【0029】
本実施例のキャップ本体Bに螺合できる外蓋Cとして、
図2のものが例示される。
外蓋Cは、天板部に設けられた頂壁40と、頂壁40の外周縁から垂設された外周壁41とを有している。
なお、外周壁41の下端には、破断可能な弱化連結部で連結された封緘リングを設けることが可能であり、封緘リングは未使用であることを示し、最初に使用する際に取り外される。
頂壁40の内面には、中央付近に垂設された係着部45から外側へ順に、切断筒部46,ねじ筒部47が頂壁40と一体に垂設されている。
【0030】
本実施例では、切断筒部46とねじ筒部47の間に音出し部材48が垂設されており、音出し部材48は先端部に振動片が設けられ、外蓋Cがキャップ本体Bの締め込む際に、キャップ本体Bの音出し突部13に振動片が触れて音を発するため、それによって外蓋Cの締め込みの終了を知ることができる。
【0031】
係着部45には、キャップ本体Bの第1係合突部19を乗り越えて筒状壁17の内周面に緊密に嵌合する環状の第2係合突部50が先端外周に形成されている。
切断筒部46の内周には、第1歯部を構成する係合突起18に係合する第2歯部を構成する係合腕52が係合突起18と同数で設けられ、切断筒部46の先端外周には、注出筒10の内周面に当接して注出口を密閉するシール部が形成されている。
切断筒部46の長さは、シール部が注出筒10の基部11に当接し、先端部が移行栓体16の拡径部22の外周面とわずかな隙間をもって嵌入するところまで延びている。
【0032】
係合腕52は、薄肉弱化部15を破断可能な回転力を伝えることができる程度の強度と、外蓋Cの締め込み時に係合突起18を乗り越えることができる程度の可撓性を有する部材からなっている。
【0033】
ねじ筒部47には、内周にキャップ本体Bのねじ部(雄ねじ)24に螺合するねじ部(雌ねじ)58が設けられている。
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
【0034】
まず、本実施例のバリア性キャップのキャップ本体Bは、キャップ本体Bの基本樹脂となる基層に対し、バリア性樹脂を含むバリア層Dが中間層となるように共射出成形することによって製造することができる。
【0035】
本実施例のバリア性キャップを容器本体Aに装着するには、キャップ本体Bに外蓋Cを螺合して締め込み、キャップ本体Bと外蓋Cを組み立ててから容器本体Aの口部1にキャップ本体Bの装着部4をあてがって上部から打栓する。
なお、キャップ本体Bのねじ部(雄ねじ)24に外蓋Cのねじ部(雌ねじ)58を螺合して締め込む際には、ラチェット機構によって、係合腕52は係合突起18を乗り越え、外蓋Cの回転を許容する。
また、本実施例では、外蓋Cの音出し部材48の先端部の振動片が、キャップ本体Bの音出し突部13に触れて音を発することで外蓋Cの締め込みが終了したことを知ることができる。
【0036】
次に、本実施例のバリア性キャップが打栓され装着された容器を使用するには、外蓋Cを螺脱方向に回転させ、外蓋Cの回動開始時は、なめらかに回転が始まり、続いて切断筒部46の係合腕52が筒状壁17の係合突起18に当接して係合するようになると、ラチェット機構が働き、外蓋Cの回転力がラチェット機構を介して移行栓体16に加わるようになる。
【0037】
このとき、係着部45の第2係合突部50が筒状壁17の第1係合突部19を乗り越えた内周面に緊密に嵌合しているので、筒状壁17を内側から補強して外蓋Cの回転力がラチェット機構を介して移行栓体16に伝わりやすくなっているとともに、ねじの回転に伴って移行栓体16を上方に引き上げる力を発生させる。
外蓋Cの回転が進むと、移行栓体16に加わる回転力と引き上げ力により、ついには薄肉弱化部15が破断して注出口が開栓され、注出筒10から分離された移行栓体16は筒状壁17に係合する係着部45によって引き上げられて外蓋Cとともに上昇していく。
【0038】
切断筒部46のシール部が注出筒10の内周面から離れ、ねじ部(雌ねじ)58がねじ部(雄ねじ)24から螺脱して外蓋Cをキャップ本体Bから離脱すれば、外蓋Cとともに移行栓体16が除去された注出筒10の開口から容器内の内容物を注出することができる。
【0039】
容器を使用した後、再度外蓋Cをキャップ本体Bに装着する際には、移行栓体16のフランジ部23および破断した薄肉弱化部15の残片によって、注出筒10の内周面に付着した内容物が掻き落とされ、注出筒10の内周面を清潔に保つことができる。
また、切断筒部46は、シール部が注出筒10に当接して容器内を密封する。
【0040】
本実施例のバリア性キャップは、容器を使用した後に廃棄する際に、簡単な操作で容器本体Aから分離し、分別して廃棄することができる。
まず、縦切断部32の引っ掛け凹部32aに手指を掛けて把持部31を手前に引っ張ると、縦切断部32が破断し、把持部31が外方に展開する。
さらに把持部31を引っ張ると、スリット30の終端部に隣接して設けられた図示しない薄肉始断部が破断し、さらに薄肉始断部の終端に連続する薄肉の径方向切断部を経由して周方向切断部37へと破断が進んでいく。
【0041】
周方向切断部37が破断したところでは、係止縮径部27の係止突条2への係合が解除されるので、破断終端部近くまで破断が進むと、係止縮径部27による口部1への拘束が解除され、把持部31を引き上げると、キャップ本体Bを容器本体Aから離脱させ分別廃棄することができる。
【0042】
本実施例のバリア性キャップは、上記に示すように、ラチェット機構を介する回転動作によって薄肉弱化部を破断し、移行栓体を外蓋に移行させるものであるが、キャップ本体内にバリア層を設け、回転動作で薄肉弱化部を破断するものであればどのようなものであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のバリア性キャップは、回転動作で容易に開封可能であり、キャップ本体の基層に対し、中間層としてガスバリア性を有するバリア層を設けてあるため、高いガスバリア性を有するとともに、有効成分の飛散を防止することができ、飲食品や調味料の他、化粧料等などのガスバリア性の容器用として好適である。
【符号の説明】
【0044】
A 容器本体
B キャップ本体
C 外蓋
D バリア層
1 口部
2 係止突条
4 装着部
5 外筒
6 内筒
7 上壁
8 ねじ壁部
9 段部
10 注出筒
11 基部
12 リップ部
13 音出し突部
14 底壁
15 薄肉弱化部
16 移行栓体
17 筒状壁
18 係合突起(第1歯部)
19 第1係合突部
22 拡径部
23 フランジ部
24 ねじ部(雄ねじ)
25 縦リブ
26 補強リブ
27 係止縮径部
28 ストッパー
28a 第1当接面
28b 第1傾斜面
29 切欠き段部
30 スリット
31 把持部
32 縦切断部
32a 引っ掛け凹部
37 周方向切断部
40 頂壁(天板部)
41 外周壁
45 係着部
46 切断筒部
47 ねじ筒部
48 音出し部材
50 第2係合突部
52 係合腕(第2歯部)
58 ねじ部(雌ねじ)