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  • 特許-照明制御装置および照明制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】照明制御装置および照明制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20220704BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
A61M21/02 G
A61M21/02 B
A61B5/11 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017197814
(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公開番号】P2019069093
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514232018
【氏名又は名称】株式会社レイオス
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】木村 信之
(72)【発明者】
【氏名】奥田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】村井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】北田 富一
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-130823(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0065792(US,A1)
【文献】特開2013-143327(JP,A)
【文献】特開2008-86489(JP,A)
【文献】特開2018-6086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/02
A61B 5/11
A61B 5/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動センサーから得られる被測定者の生体情報を取得する取得部と、
取得した前記生体情報に基づいて、前記被測定者の睡眠状態が深い場合に照明装置が備える低色照明と高色照明の各々から出射する光の混色の比率を前記低色照明の比率が前記高色照明の比率より高くなるよう変更して前記光の色温度を低くし、前記睡眠状態が覚醒状態に近づかない場合には前記光の色温度が高くなるように前記混色の比率を変更し、前記照明装置から前記被測定者に照射する、前記被測定者を睡眠から覚醒させる光の発光状況を制御する制御部と、
を有する照明制御装置。
【請求項2】
前記発光状況を表す発光パターンを前記生体情報に対応して記憶する記憶部を有し、
前記制御部は、前記取得した生体情報に対応する前記発光パターンに従って前記照明装置を制御する
請求項1記載の照明制御装置。
【請求項3】
前記発光パターンには前記光を照射する照射時間を示す情報が含まれており、
前記制御部は、前記取得した生体情報に対応する前記照射時間が経過すると、前記生体情報を再度取得し、当該再度取得した生体情報と前回取得した生体情報との関係に応じた発光パターンを前記記憶部から読み出して発光状況を制御する
請求項2記載の照明制御装置。
【請求項4】
照明装置に接続される照明制御装置における照明制御方法であって、
取得部が、振動センサーから得られる被測定者の生体情報を取得し、
制御部が、取得した前記生体情報に基づいて、前記被測定者の睡眠状態が深い場合に照明装置が備える低色照明と高色照明の各々から出射する光の混色の比率を前記低色照明の比率が前記高色照明の比率より高くなるよう変更して前記光の色温度を低くし、前記睡眠状態が覚醒状態に近づかない場合には前記光の色温度が高くなるように前記混色の比率を変更し、前記照明装置から前記被測定者に照射する、前記被測定者を睡眠から覚醒させる光の発光状況を制御する
照明制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置を制御する照明制御装置および照明制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
就寝者のメラトニン分泌量抑制を低減する照明への切り替えを制御する照明制御装置がある(特許文献1参照)。ここで、メラトニンとは、睡眠と覚醒のリズムを調整する睡眠ホルモンであり、光により抑制されることが知られている。そのため、特許文献1記載の照明制御装置は、メラトニンの分泌抑制を低減するための照明装置(メラトニン分泌抑制低減装置)への切り替えタイミングを早めることで、メラトニン分泌を促し、就寝者の入眠を円滑にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4894185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の照明制御装置では、就寝者の入眠を円滑にすることができる。しかしながら、円滑に入眠できるだけでなく、円滑に覚醒できることも望ましい。
【0005】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、睡眠者を円滑に覚醒させる照明制御装置および照明制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、振動センサーから得られる被測定者の生体情報を取得する取得部と、取得した前記生体情報に基づいて、前記被測定者の睡眠状態が深い場合に照明装置が備える低色照明と高色照明の各々から出射する光の混色の比率を前記低色照明の比率が前記高色照明の比率より高くなるよう変更して前記光の色温度を低くし、前記睡眠状態が覚醒状態に近づかない場合には前記光の色温度が高くなるように前記混色の比率を変更し、前記照明装置から前記被測定者に照射する、前記被測定者を睡眠から覚醒させる光の発光状況を制御する制御部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の照明制御装置であって、前記発光状況を表す発光パターンを前記生体情報に対応して記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記取得した生体情報に対応する前記発光パターンに従って前記照明装置を制御する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の照明制御装置であって、前記発光パターンには前記光を照射する照射時間を示す情報が含まれており、前記制御部は、前記取得した生体情報に対応する前記照射時間が経過すると、前記生体情報を再度取得し、当該再度取得した生体情報と前回取得した生体情報との関係に応じた発光パターンを前記記憶部から読み出して発光状況を制御する。
【0010】
また、本発明の一態様は、照明装置に接続される照明制御装置における照明制御方法であって、取得部が、振動センサーから得られる被測定者の生体情報を取得し、制御部が、取得した前記生体情報に基づいて、前記被測定者の睡眠状態が深い場合に照明装置が備える低色照明と高色照明の各々から出射する光の混色の比率を前記低色照明の比率が前記高色照明の比率より高くなるよう変更して前記光の色温度を低くし、前記睡眠状態が覚醒状態に近づかない場合には前記光の色温度が高くなるように前記混色の比率を変更し、前記照明装置から前記被測定者に照射する、前記被測定者を睡眠から覚醒させる光の発光状況を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取得した生体情報に基づいて、照明装置から睡眠状態にある被測定者に照射する光の発光状況を制御するようにしたので、被測定者の睡眠状態に応じた発光状況となるように照明装置から光を照射することができるため、円滑に覚醒させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による照明システムの構成を示す概略構成図である。
図2】照明が睡眠者に照射する光の色温度および照射時間を示す照明の発光状況を説明するための図である。
図3】照明制御部が行う照明制御の処理を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による照明システムについて図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による照明システム1の構成を示す概略構成図である。
照明システム1は、生体情報検出装置5、照明装置6、照明制御装置7を含んで構成される。
生体情報検出装置5は、振動センサー5a、信号処理装置5bを含んで構成される。
振動センサー5aは、被測定者の生体からの振動を検出し、身体振動信号を出力する。振動センサー5aは、例えば圧電センサーであるセンサーシートによって構成され、人が就寝する場所に設けられる。就寝する場所としては、ベッドや、椅子(ソファー)等である。例えば、振動センサー5aは、生体とマットレスとの間に配置される。
信号処理装置5bは、振動センサー5aが出力する身体振動信号に基づいて、フィルタ手段により、人の生体情報(心拍数、呼吸、体動)を分析することで、被測定者の睡眠状態を推定する。すなわち、信号処理装置5bは、振動センサー5aが出力する身体振動信号に基づいて、フィルタ手段により、人の生体情報(心拍数、呼吸、体動)を分析し、分析結果に応じて被測定者の睡眠状態を表す分析結果(本実施形態では分析結果レベル1~レベル5で表す)を得ることで睡眠状態を推定する。睡眠状態としては、例えば、睡眠深度によって表すことができる。この推定する処理は、既存技術を用いるようにしてもよい。なお、生体情報検出装置5は、就寝する場所(ベッド、椅子等)に被測定者となる人がいるか否かを判定する感圧スイッチを含んで構成されてもよい。
【0014】
照明装置6は、低色照明6a、高色照明6b、発光制御部6cを含んで構成される。
低色照明6aおよび高色照明6b(照明)は、光源であり、例えばLED照明がもちいられる。低色照明6aは電球色を出射(発光)し、高色照明6bは、白色を出射(発光)する。低色照明6aの色温度は、例えば2500K(ケルビン)であり、高色照明6bの色温度(例えば、5000K)より、低い色温度が設定されている。すなわち、低色照明6aおよび高色照明6bは、両方が点灯する場合には、睡眠者(被測定者)を覚醒させる際に、それぞれが出力する色温度が互いに異なる光を出射することで混色され、睡眠者に照射する。
本実施形態においては、低色照明6aおよび高色照明6bは、後述するように、色温度が一定の3500Kであって、明るさ(照度)が0%~100%へと移行する時間(以下、照射時間という)を含む光を、振動センサー5aの上にいる睡眠者に照射するように、発光制御部6cにより制御される。すなわち、発光制御部6cは、低色照明6aおよび高色照明6bを制御して、睡眠者を覚醒させる際に、色温度が一定であり、照度が0%~100%へと移行する光を、振動センサー5aの上にいる睡眠者に照射させる。
【0015】
照明制御装置7は、生体情報取得部71、照明制御部72、記憶部73を含んで構成され、発光制御部6cに対して、低色照明6aおよび高色照明6bの点灯や消灯、低色照明6aおよび高色照明6bの発光強度を制御する。これにより、任意の色温度の光で照明したり、照明装置6の点灯および消灯を制御することができる。
生体情報取得部71は、生体情報検出装置5に接続され、振動センサー5aから得られる被測定者の生体情報に基づく分析結果を取得する。ここでは、生体情報取得部71に信号処理装置5bの機能を設け、生体情報取得部71が振動センサ5aから生体情報を取得し、得られた生体情報から分析結果を得るようにしてもよい。
照明制御部72は、生体情報取得部71の出力に接続され、睡眠者の生体情報に対応する分析結果に基づいて、照明装置6から被測定者に照射する、被測定者を睡眠から覚醒させる光の発光状況を制御する。発光状況としては、例えば照明装置6から照射する光の色温度や光を照射する時間を表す照射時間の少なくともいずれか1つであり、発光の仕方を規定できるものであればよい。照明制御部72は、発光状況として、具体的に、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するそれぞれの光の発光強度を制御することで、目標の色温度にて照明装置6を点灯させたり、照明装置6の照射時間(点灯している期間)を制御する。
【0016】
図2は、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射する光の色温度および照射時間を示す低色照明6aおよび高色照明6bの発光状況を説明するための図である。
図2(a)は、生体情報について説明する図である。生体情報に基づく分析結果であるレベル1~レベル5に、例えば、睡眠者の睡眠状態が対応付けられている。ここでは、レベル1に対して睡眠深度が「浅い」、レベル2に対して睡眠深度が「やや浅い」、レベル3に対して睡眠深度が「通常」、レベル4に対して睡眠深度が「やや深い」、レベル5に対して睡眠深度が「深い」が対応付けられている。ここでは、睡眠深度は、レベル0として「覚醒」の深度を用いることもできる。
信号処理装置5bは、睡眠者の生体情報である、心拍数、呼吸、体動の振幅の度合や周期等の組み合わせから、レベル1~レベル5のいずれに該当するかを決定することで、睡眠者の睡眠状態を推定する。また、照明制御部72は、推定した睡眠者の眠り状態を、生体情報に対応する分析結果として、予め記憶部73に記憶させることができる。
【0017】
図2(b)は、記憶部73に記憶される情報の一例を説明する図である。
ここでは、発光状況は、発光パターンによって定められる。発光パターンは、例えば、色温度と照射時間とを含む情報である。
発光パターンAは、色温度として3500K、照射時間として1分を含む。ここでは、照明制御部72は、色温度が指定されると、所定の制御ルールに従って、低色照明6aおよび高色照明6bのそれぞれの発光強度を定めることで、指定された色温度で照明装置6を点灯させることが可能である。ただし、本実施形態においては、図2に示すように、発光パターンAから発光パターンEにおいて、色温度は同じ3500Kであるが、発光パターン毎に異なる色温度が設定されていてもよい。ここで、3500Kという色温度の値は、睡眠者が目覚める朝の光(外光)を考慮して定められた色温度であり、この色温度で照明装置6が点灯することで、被測定者を睡眠から覚醒させる光として照明することができる。
ここで、色温度を発光パターンに応じて異なる色温度とする場合、例えば、低色照明6aと高色照明6bとの混色の比率(例えば発光強度の比率)を変更することで、所望の色温度とすることができる。例えば、被測定者を覚醒する時点における室内の環境や睡眠状態に応じた色温度とすることができる。一例としては、遮光性能がある程度低めのカーテンが設けられた室内において、外光(朝日)がある程度入り込むような時間帯においては、
高色照明6bが低色照明6aより高くなるように設定し、色温度がある程度高い状態で照明装置6を点灯するようにしてもよい。これにより、外光よりも高い色温度の光を照射することで円滑に覚醒することが可能である。また、遮光性能がある程度高めのカーテンが設けられた室内において、外光(朝日)があまり入り込まないような環境において、被測定者の睡眠状態が深い場合に、色温度が高い状態で照明装置6を点灯すると、被測定者を覚醒させることは可能であるが、必ずしも心地よい覚醒とならない場合があるため、例えば、低色照明6aが高色照明6bより高くなるように設定し、色温度がある程度低い状態で照明装置6を点灯するようにしてもよい。そして照射時間が経過しても睡眠状態が覚醒状態に近づかない場合には、色温度を高くして照明することで、睡眠状態を段階的に覚醒に近づけつつ覚醒させることができ、これにより、円滑に、かつ、心地よい状態で覚醒させることができる。このような発光パターンは、室内の環境や、外光が入り込む度合、目標の起床時刻、被測定者が睡眠状態から覚醒に移行する個人の特性等に応じて任意に決めることができる。
【0018】
また、発光パターンのうち、照射時間は、低色照明6aおよび高色照明6bの睡眠者に照射する明るさが0%~100%へと移行する時間として用いることができる。発光パターンA~Eにおける100%点灯までの時間各々は、振動センサーの分析結果によって得られた、ノンレム睡眠(深い睡眠の状態を含み、脳波が徐波になり、呼吸、心拍、血圧が低下している状態をいう)とレム睡眠(浅い睡眠の状態に当たり、脳波が覚醒状態に近い早い波であり、呼吸、心拍、血圧が乱れている状態をいう)との周期から、睡眠者の睡眠ステージの推移を推定することによって設定することができる。例えば、図2に示すように、レム睡眠時(レベル1)に100%点灯に至るように照射時間1分を設定し、レベル2~5に、照射時間5分、10分、15分、20分を設定してもよい。
【0019】
例えば、図2に示すように、照明制御部72は、睡眠者の分析結果(生体情報)がレベル1の場合、睡眠者の眠り状態が「浅い」状態にあると判断し、発光パターンAとして色温度が3500Kで照射時間が1分の光を、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するように制御する。
また、照明制御部72は、睡眠者の分析結果がレベル2の場合、睡眠者の眠り状態が「やや浅い」状態にあると判断し、発光パターンBとして色温度が3500Kで照射時間が5分の光を、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するように制御する。
また、照明制御部72は、睡眠者の分析結果がレベル3の場合、睡眠者の眠り状態が「普通」状態にあると判断し、発光パターンCとして色温度が3500Kで照射時間が10分の光を、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するように制御する。
また、照明制御部72は、睡眠者の分析結果がレベル4の場合、睡眠者の眠り状態が「やや深い」状態にあると判断し、発光パターンDとして色温度が3500Kで照射時間が15分の光を、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するように制御する。
また、照明制御部72は、睡眠者の分析結果がレベル5の場合、睡眠者の眠り状態が「深い」状態にあると判断し、発光パターンEとして色温度が3500Kで照射時間が20分の光を、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するように制御する。
このように、照明制御部72は、記憶部73から読み出した生体情報に対応する発光状況及び照射時間を用いて低色照明6aおよび高色照明6bを制御する。なお、本実施形態においては、分析結果および発光状況について5つの例を示しているが、この数は5つに限定されることなく、5つ以上であってもよい。
【0020】
以上説明したように、睡眠者(被測定者)の生体情報に基づいて、低色照明6aおよび高色照明6b(照明)が睡眠者に照射する光の色温度及び照射時間を示す照明の発光状況を、睡眠者を睡眠から覚醒させるため制御する照明制御部72(制御部)を有する。
また、照明制御装置7は、発光状況を含む発光パターンを生体情報に対応して記憶する記憶部73を有し、照明制御部72は、記憶部73から読み出した生体情報に対応する発光状況を用いて低色照明6aおよび高色照明6bを制御する。
これによれば、照明制御装置7が有する照明制御部72は、生体情報の分析結果(レベル1~レベル5)に対応する睡眠状態(「浅い」~「深い」)に基づいて、色温度が3500K(睡眠者の目覚める朝の光に合わせた色温度)、照射時間が(1分~20分)の照明の光を、被測定者を睡眠から覚醒させるため、照明が睡眠者に照射する制御を行う。つまり、睡眠者の眠りの状態が浅いときは、100%の点灯状態になるまでの時間を短くし、睡眠者の眠りの状態が深いときは、100%の点灯状態になるまでの時間を長くする。
これにより、睡眠者を心地良く目覚めさせる(快適に覚醒させる)照明制御装置7を提供することができる。
【0021】
また、照明制御部72は、記憶部73から読み出した生体情報に対応する照射時間のうち所定時間が経過した後に、再度取得した生体情報と前回取得した生体情報との関係から発光パターンを選択し、発光状況を決定する。
すなわち、複数回の分析結果を用いる場合、1回目の分析結果に対応して照明の発光状況を制御する照明制御部72が、図2に示す照射時間の開始から一定時間(所定時間という)経過したときに、2回目の分析結果を得て、2回目の分析結果と1回目の分析結果との関係から発光パターンを選択し、発光状況を決定する。
【0022】
例を上げて説明すれば、1回目の分析結果がレベル3であるとき、発光パターンCにより照明の制御が開始されるが、照明が所定の明るさ(例えば50%)まで移行した段階で、2回目の分析結果を反映して2回目の発光パターンを決定する。
2回目の分析結果が1回目の分析結果と同等か、或いは浅くなっている場合、例えば、2回目の分析結果がレベル3である場合(2回目の分析結果が1回目の分析結果と同じであり、睡眠レベルが同等である場合)や、2回目の分析結果がレベル1である場合(2回目の分析結果が1回目の分析結果より、睡眠レベルが浅くなっている場合)には、発光パターンを発光パターンCから発光パターンAに変更する。具体的には、明るさが50%から100%に移行するまでの時間を発光パターンCが要する5分(10分÷2=5分)から発光パターンAが要する0.5分(1分÷2=0.5分)に変更し、0%から100%の点灯状態になるまでの時間を、10分(5分+5分=10分)から5.5分(5分+0.5分)へと早める。
【0023】
一方、2回目の分析結果が1回目の分析結果より深くなっている場合、例えば、2回目の分析結果がレベル5である場合(2回目の分析結果が1回目の分析結果より、睡眠レベル深くなっている場合)には、発光パターンを発光パターンCに維持するか、発光パターンを100%に移行するまでの時間がパターンEより早いパターン(例えば、パターンD)に変更する。具体的には、明るさが50%から100%に移行するまでの時間を、発光パターンCが要する5分(10分÷2=5分)のまま維持し、0%から100%の点灯状態になるまでの時間を、10分(5分+5分=10分)のまま維持する。あるいは、明るさが50%から100%に移行するまでの時間を発光パターンCが要する5分(10分÷2=5分)から発光パターンDが要する7.5分(15分÷2=7.5分)に変更し、0%から100%の点灯状態になるまでの時間を、10分(5分+5分=10分)から12.5分(5分+7.5分)へと変更し、浅くなっている場合よりは、明るさが0%から100%に移行するまでの変化のスピードを遅くする。
なお、1回目と2回目で都合2回、生体情報を取得し、パターンの決定を2回行っているが、3回以上生体情報を取得し、3回以上パターンを決定してもよい。
【0024】
図3は、照明制御部72が行う照明制御の処理を説明するためのフロー図である。
照明制御部72は、生体情報の取得を行う(ステップST1)。具体的には、照明制御部72は、分析結果1~5を取得する。
続いて、照明制御部72は、睡眠状態の推定を行う(ステップST2)。具体的には、照明制御部72は、分析結果1~5に基づいて、睡眠者の睡り状態を推定する。
次に、照明制御部72は、発光パターンの決定を行う(ステップST3)。具体的には、
照明制御部72は、記憶部73に記憶された睡眠者の眠り状態に対応する発光パターンA~Eのうち一つの発光パターンを読み出す。
次に、照明制御部72は、発光パターンに応じて照明を制御する(ステップST4)。具体的には、照明制御部72は、本時実施形態において、色温度が3500Kで照射時間が発光パターンA~Eに対応する1分~30分の光を、低色照明6aおよび高色照明6bが睡眠者に照射するように制御する。なお、この際、生体情報に基づく睡眠深度が「覚醒」を示しており、睡眠者が起床している場合、照明制御部72が、低色照明6aおよび高色照明6bを消灯させてもよい。
続いて、照明制御部72は、制御時間が到来したか否かを判定する。ここで、制御時間とは、上記実施形態において、所定時間を設定する制御を行っている場合(発光パターンの切り替えを行っている場合)は、所定時間に該当し、所定時間を設定する制御を行っていない場合は、100%の照射時間に該当する。照明制御部72は、制御時間が到来したと判断した場合(ステップST5-Yes)、ステップST1に進み、生体情報の取得を行い、睡眠者が起床していないものとして、以降の処理ST2以降を進める。或いは、睡眠者が起床している場合、ステップST1に進まず、低色照明6aおよび高色照明6bを消灯させてもよい。一方、照明制御部72は、制御時間が到来したと判断しない場合(ステップST5-No)、制御時間が所定時間、または100%の照射時間となるのを待って、ステップST5-Yesに進む。
【0025】
これによれば、照明制御部72は、記憶部73から読み出した生体情報に対応する照射時間のうち所定時間が経過した後に、再度取得した生体情報と前回取得した生体情報との関係から発光パターンを選択し、発光状況を決定する。すなわち、複数回の分析結果を用いる場合、1回目の分析結果に対応して照明の発光状況を制御する照明制御部72が、図2に示す照射時間の開始から一定時間(所定時間)経過したときに、2回目の分析結果を得て、2回目の分析結果と1回目の分析結果との関係から発光パターンを選択し、発光状況を決定する。つまり、睡眠者の睡眠状態を複数回検出することにより発光パターンの決定を行う。
これにより、睡眠者の睡眠状態を精度よく検出でき、睡眠者をより心地良く目覚めさせる(快適に覚醒させる)照明制御装置7を提供することができる。
【0026】
上述した実施形態における照明制御装置7をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0027】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0028】
1 照明システム
5 生体情報検出装置
5a 振動センサー
5b 信号処理装置
6 照明装置
6a 低色照明
6b 高色照明
6c 発光制御部
7 照明制御装置
71 生体情報取得部
72 照明制御部
73 記憶部
図1
図2
図3