(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】物理ベース及びデータ駆動型モデルを使用した、ビークルからの妨害的異常表示の削減
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
G05B23/02 302W
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017243511
(22)【出願日】2017-12-20
【審査請求日】2020-12-17
(32)【優先日】2017-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】サファー-バッシュ, ローバブ
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-529220(JP,A)
【文献】特開平6-309585(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0100259(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0176887(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ハードウェアを含む
LRU(ライン交換可能ユニッ
ト)(100)を備えたビークル(200)からの妨害的異常表示を削減するための機外装置(202)であって、
ビークル性能状態監視(VHM)システム(204)又は一または複数のビークルシステム(204、206)に結合可能な第1の通信インターフェースであって、現在の動作環境内の前記電子ハードウェアを通る信号経路からBIT信号が出力される組込み試験(BIT)に応じて、複数の前記LRU(100)のうちの1つのLRUによって生成された異常表示を含むデータを前記機外装置(202)が受信することを可能にする第1の通信インターフェースと、
前記ビークル(200)の前記LRU(100)の異常表示履歴及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成された
CMMS(コンピュータ化保守管理システ
ム)(210)に結合可能な第2の通信インターフェースと、
前記第1の通信インターフェース及び前記第2の通信インターフェースに結合された処理回路(502)であって、少なくとも
前記LRU(100)のコンピュータモデルであって、複数の動作環境に対し、前記LRU(100)の構造力学、および前記LRU(100)への機械的応力ならびに熱応力を表すコンピュータモデルを用いて、前記現在の動作環境に対し、前記コンピュータモデルから導出される前記信号経路の状態指標の数値を決定し、
前記CMMS(210)からの前記異常表示履歴及び前記保守履歴を記述する前記データ
に基づいて、前記異常表示の有効性又は無効性の確率を決定し、
BIT信号の有効性スコアを作成するために、前記状態指標に前記異常表示の有効性又は無効性の前記確率を乗算し、
前記確率及び保守データに基づく閾値を設定し、
前記BIT信号の有効性スコアと前記閾値との比較に基づいて前記異常表示が有効か無効かを決定し、
前記異常表示が有効である場合にのみ、通知を生成し、又は通知を生成するために前記異常表示を出力し、あるいは異常表示が有効でない場合には前記異常表示を破棄する
ようにプログラミングされた処理回路(502)と
を備え
、
前記CMMS(210)からの前記データが記述する前記LRU(100)の前記異常表示履歴は、前記LRU(100)の修復及び保守活動の過去の効果に基づいて有効又は無効と示され、前記異常表示の有効性又は無効性の前記確率は、前記異常表示履歴内の有効と示された異常表示の数又は無効と示された異常表示の数を、前記異常表示履歴に含まれる異常表示の総数で割ることにより決定される、機外装置。
【請求項2】
前記動作環境は、前記電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、又は前記LRU(100)と少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される、請求項1に記載の機外装置。
【請求項3】
前記処理回路(502)が更に、
前記複数の動作環境の各動作環境に対し、前記LRU(100)の動作環境における前記電子ハードウェアの構造力学、及び前記電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表す前記コンピュータモデルを構成し、
そのように構成された前記コンピュータモデルを用いて、前記電子ハードウェアを通る前記信号経路について対応する信号経路から出力信号を発生させるように、入力信号を前記コンピュータモデルに適用し、
前記入力信号と前記出力信号とに基づいて、前記信号経路の前記状態指標の前記数値を決定する
ようにプログラミングされている、請求項1
または2に記載の機外装置。
【請求項4】
前記異常表示が有効か無効かを決定するように前記処理回路(502)がプログラミングされることは、前記BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する前記閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する前記閾値を上回る場合に、前記BIT信号が有効であると決定するようにプログラミングされることを含む、請求項1から
3のいずれか一項に記載の機外装置。
【請求項5】
前記処理回路(502)が前記通知を生成する、又は前記通知を生成するために前記異常表示を出力するようにプログラミングされることは、前記通知又は前記異常表示に基づいて前記CMMS(210)に前記LRU(100)の保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、前記通知又は前記異常表示を前記CMMS(210)に出力するようにプログラミングされることを含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載の機外装置。
【請求項6】
高機能異常表示システム(208)を使用して、電子ハードウェアを含む
LRU(ライン交換可能ユニッ
ト)(100)を備えたビークル(200)からの妨害的異常表示を削減する方法であって、前記高機能異常表示システム(208)は、ビークル性能状態監視(VHM)システム(204)又は一または複数のビークルシステム(204、206)に結合可能な第1の通信インターフェースと、前記ビークル(200)の前記LRU(100)の異常表示履歴及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成された
CMMS(コンピュータ化保守管理システ
ム)(210)に結合可能な第2の通信インターフェースとを含み、前記方法は、
現在の動作環境内の電子ハードウェアを通る信号経路からBIT信号が出力される組込み試験(BIT)に応じて、複数のLRU(100)のうちの1つのLRUによって生成された異常表示を含むデータを、前記ビークル性能状態監視(VHM)システム(204)又は前記一または複数のビークルシステム(204、206)から、前記第1の通信インターフェースを介して受信することと、
前記CMMS(210)から、前記第2の通信インターフェースを介して、前記異常表示履歴及び前記保守履歴を記述する前記データを受信することと、
前記LRU(100)のコンピュータモデルであって、複数の動作環境に対し、前記LRU(100)の構造力学、および前記LRU(100)への機械的応力ならびに熱応力を表すコンピュータモデルを用いて、前記現在の動作環境に対し、前記コンピュータモデルから導出される前記信号経路の状態指標の数値を、処理回路(502)によって決定することと、
前記CMMS(210)からの前記異常表示履歴及び前記保守履歴を記述する前記データ
に基づいて、前記異常表示の有効性又は無効性の確率を決定することと、
BIT信号の有効性スコアを作成するために、前記状態指標に前記異常表示の有効性又は無効性の前記確率を乗算することと、
前記処理回路(502)によって、前記確率及び保守データに基づく閾値を設定することと、
前記処理回路(502)によって、前記BIT信号の有効性スコアと前記閾値との比較に基づいて、前記異常表示が有効か無効かを決定することと、
前記処理回路(502)によって、前記異常表示が有効である場合にのみ通知を生成する、あるいは通知を生成するために前記異常表示を出力すること、あるいは前記異常表示が有効でない場合には前記異常表示を破棄することと
を含
み、
前記CMMS(210)からの前記データが記述する前記LRU(100)の前記異常表示履歴は、前記LRU(100)の修復及び保守活動の過去の効果に基づいて有効又は無効と示され、前記異常表示の有効性又は無効性の前記確率は、前記異常表示履歴内の有効と示された異常表示の数又は無効と示された異常表示の数を、前記異常表示履歴に含まれる異常表示の総数で割ることにより決定される、方法。
【請求項7】
前記動作環境は、前記電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、又は前記LRU(100)と少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記処理回路(502)によって、
前記複数の動作環境の各動作環境に対し、前記LRU(100)の動作環境における前記電子ハードウェアの構造力学、及び前記電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表す前記コンピュータモデルを構成することと、
そのように構成された前記コンピュータモデルを用いて、前記電子ハードウェアを通る前記信号経路について対応する信号経路から出力信号が発生するように、入力信号を前記コンピュータモデルに適用することと、
前記入力信号と前記出力信号とに基づいて、前記信号経路の前記状態指標の前記数値を決定することと
をさらに含む、請求項
6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記異常表示が有効か無効かを決定することは、前記BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する前記閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する前記閾値を上回る場合に、前記BIT信号が有効であると決定することを含む、請求項
6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記通知を生成する、又は前記通知を生成するために前記異常表示を出力することは、前記通知又は前記異常表示に基づいて前記CMMS(210)に前記LRU(100)の保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、前記通知又は前記異常表示を前記CMMS(210)に出力することを含む、請求項
6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項
6から10のいずれか一項に記載の方法を実施するための、コンピュータによって実行可能な命令が記憶されたコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、ビークルの性能状態の管理に関し、具体的には、物理ベース及びデータ駆動型モデルを使用した、ビークルからの妨害的異常表示の削減に関する。本開示は、不必要な取り外し及び保守費用の増加につながる妨害的異常を削減することができる。
【背景技術】
【0002】
今日のビークルでは、ビークルサブシステム及び構成要素の監視及び制御を提供するための電子構成要素の使用が増加しているが、これにより、ビークルの全体的な保全性に悪影響が及ぶ可能性がある。これは、電子構成要素により妨害的異常表示が生成されるためであり、この結果、構成要素の不必要な取り外し及び保守と、その後のビークル全体の動作不能期間が生じる。ハードウェアの動作状態を確認するために、組込み試験(BIT)が構成される。これには、確立された閾値を越える適切な電力及び信号レベルの利用可能性、電子構成要素、接続構成要素、センサ、アクチュエータ等の性能状態の評価が含まれる。ほとんどの場合、これらの信号が固定閾値レベルと比較され、これらが必須範囲内でない場合に警告が生成される。現在の解決策では、警告が作成されたときに、動作環境、電子構成要素及び内部接続システムの条件は考慮されない。これが妨害的異常表示につながり、その結果、不必要な取り外しと、保守費用の増加が起こる。
【0003】
例えば、通常の環境条件下では、5ボルト(v)の電力を使用して動作するように構成された電子構成要素は、5ボルト閾値を下回るが許容範囲内の電圧(例:最低4.00vを供給するように構成され、電子構成要素に4.3vを供給する5ボルト(v)の電源)を受けたときにもこれに応じて満足な動作状態を有する場合がある。しかしながら、極端な環境条件(例:猛暑、高振動、又は高湿度の中)下では、電子構成要素は低い電圧(例:特定の電子構成要素の動作に対して不十分な3.5ボルト)を受けたことに応じて不満足な動作状態を有しうる。この結果、妨害的異常表示が生成され、その後の試験のために構成要素が取り外される。構成要素を取り外した後、及び構成要素の試験中に、環境条件が通常条件に戻り、電圧を供給する電源も変わる、又は高い電圧出力を供給するようになり、電子構成要素の試験では異常が見つからないという結果となる。
【0004】
したがって、上述の問題の少なくとも一部、並びに、起こりうる他の問題を勘案するシステム及び方法を有することが望ましいかもしれない。
【発明の概要】
【0005】
本開示の例示の実行形態は、例えば航空機、地上ビークル及び船等の、ライン交換可能ユニット(LRU)を備えたビークルからの妨害的異常表示を削減するための、改善された装置、方法及びコンピュータ可読記憶媒体を対象とする。例示の実行形態は、注意警告と勧告(CWA)等の異常表示を生成するLRU内の電子構成要素及び信号内部接続の動作に影響を与える要因を重みづけすることによって、妨害的異常を削減する。これらの要因には、例えば作動温度、湿度、振動又は衝撃、経年劣化、他のシステムとの相互作用、保守履歴及び構成要素の補修効果等が挙げられる。
【0006】
例示の実行形態は、物理ベース及びデータ駆動型の方法を組み合わせたものである。経年劣化、熱、振動及び湿度及び外部負荷等の環境条件への暴露による結果的なLRUの動作を予測するために、物理モデルが使用される。加えて、測定パラメータへのこれらの環境要因の影響がモデル化され、計算される。例えば、コネクタ及びワイヤハーネスにおける抵抗が高まった結果、特定温度と振動における供給電圧が減少した場合、測定パラメータが設定閾値よりも低下し、その結果、BITが作動する。状態が緩和すると、BITは停止し、LRUが航空機から取り外された後には再び起こり得ない。
【0007】
物理モデルは、異常表示が作成された各信号経路の状態及び性能状態の基準を提供するものである。この状態指標を使用して、異常表示の有効性が評価される。
【0008】
データ駆動型モデルは、保守及び動作履歴を活用する。保守及び動作履歴には、過去の動作環境、異常表示の有効性、補修効果に関するデータ、及び所定の異常表示の有効性又は無効性の決定に寄与しうる全ての関連情報が含まれる。本開示は非限定的に、下記の例示の実行形態を含む。
【0009】
幾つかの例示の実行形態は、電子ハードウェアを含むライン交換可能ユニット(LRU)を備えたビークルからの妨害的異常表示を削減する方法を提供する。本装置は、ビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに通信可能に結合され、少なくともデータを収集し、これらに伝達する。本方法は、VHMに結合可能な少なくとも1つの通信インターフェースによって、組込み試験(BIT)に応じて複数のLRUのうちの1つのLRUによって生成された異常表示を含むデータを受信することを含み、組込み試験では、現在の動作環境内の電子ハードウェアを通る信号経路からBIT信号が出力される。少なくとも1つの通信インターフェースは、ビークルの状態及び保守履歴を記述したデータを記憶するように構成された、コンピュータ化保守管理システム(CMMS)にも結合可能である。
【0010】
本方法はまた、処理回路によって、現在の動作環境に基づく信号経路の状態指標と、LRUのコンピュータモデルから導出された状態指標への動作環境の変換とを決定することも含み、上記のLRUのコンピュータモデルは、複数の動作環境に対し、LRUの構造力学、及びLRUの機械的応力並びに熱応力を表す。本方法はまた、少なくとも1つの通信インターフェースに結合された処理回路によって、異常表示の解析、異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータ、及びCMMSからのデータ、及び状態指標に基づいて異常表示の有効性又は無効性の確率を決定することも含む。本方法はまた、BIT信号の有効性スコアを作成するために、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算することも含む。
【0011】
本方法はまた、処理回路によって、確率及び保守データに基づく閾値を設定することも含む。本方法はまた、処理回路によって、BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて、異常表示が有効か無効かを決定することも含む。本方法はまた、処理回路によって、異常表示が有効である場合にのみ通知を生成する、あるいは通知を生成するために異常表示を出力すること、あるいは異常表示が有効でない場合には異常表示を破棄することも含む。
【0012】
前述の又は後述のいずれかの例示の実行形態の方法の幾つかの例示の実行形態、又はそれらの任意の組み合わせでは、動作環境は、電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、又はLRUと少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される。
【0013】
前述の又は後述のいずれかの例示の実行形態の方法の幾つかの例示の実行形態、又はそれらの任意の組み合わせでは、確率を決定するCMMSからのデータは、LRUの異常表示履歴を含み、これらは各々、LRUの修復及び保守活動の過去の効果に基づいて有効又は無効と示される。
【0014】
前述の又は後述のいずれかの例示の実行形態の方法の幾つかの例示の実行形態、又はそれらの任意の組み合わせでは、確率を決定する異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータは、現在の動作環境を表すパラメータを含む。
【0015】
前述の又は後述のいずれかの例示の実行形態の方法の幾つかの例示の実行形態、又はそれらの任意の組み合わせでは、本方法は更に、LRUの動作環境において、複数の動作環境の各動作環境における電子ハードウェアの構造力学、及び電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表すコンピュータモデルを構成することを含む、変換を導出することと、そのように構成されたコンピュータモデルを用いて、電子ハードウェアを通る信号経路について対応する信号経路から出力信号が発生するように、入力信号をコンピュータモデルに適用することと、入力信号と出力信号とに基づいてLRU動作環境における信号経路の状態指標を決定することとを含む。
【0016】
前述の又は後述のいずれかの例示の実行形態の方法の幾つかの例示の実行形態、又はそれらの任意の組み合わせでは、異常表示が有効か無効かを決定することは、BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する閾値を上回る場合に、BIT信号が有効であると決定することを含む。
【0017】
前述の又は後述のいずれかの例示の実行形態の方法の幾つかの例示の実行形態、又はそれらの任意の組み合わせでは、通知を生成する、又は通知を生成するために異常表示を出力することは、CMMSに通知又は異常表示に基づいてLRUの保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、通知又は異常表示をCMMSに出力することを含む。
【0018】
幾つかの例示の実行形態では、電子ハードウェアを含むLRU、及びVHMシステムを備えたビークルからの、妨害的異常表示を削減するための装置が提供される。本装置は、処理回路と、実行可能な命令を記憶するメモリとを備え、実行可能な命令は、処理回路による実行に応じて、装置に、例えば前述のいずれかの例示の実行形態の方法、又はこれらの任意の組み合わせを少なくとも実施するように構成されたモデラー、データ解析エンジン、閾値セッター(setter)、及びリーズナー(reasoner)等の幾つかのサブシステムを実行させる。
【0019】
幾つかの例示の実行形態では、電子ハードウェアを含むライン交換可能ユニット(LRU)、及びビークル性能状態監視(VHM)システムを備えたビークルからの妨害的異常表示を削減するためのコンピュータ可読記憶媒体が提供されている。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的であり、かつ、コンピュータ可読プログラムコード部分が記憶されており、このコンピュータ可読プログラムコード部分は、処理回路による実行に応じて、装置に、少なくとも、前述のいずれかの例示的な実行形態の方法、又はそれらのいずれかの組み合わせを実施させる。
【0020】
本開示の上記の特徴、態様、及び利点、及びその他の特徴、態様、及び利点は、下記の詳細説明と共に、簡潔に後述する添付図面を参照することで明らかになろう。本開示は、本書に記載の特定の例示的な実行形態において本開示に明記する2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くの特徴又は要素が明示的に組み合わされている、あるいは列挙されているか否かにかかわらず、上記特徴又は要素の任意の組み合わせを含む。この開示は全体論的に、本開示の全ての分離可能な特徴又は要素が、その態様及び例示的な実行形態のいずれにおいても、本開示の文脈に明記しない限りは意図したように、つまり組合せ可能であると見なされるように、読まれるためのものである。
【0021】
したがって、この「発明の概要」は、本開示の幾つかの態様の基本的な理解を提供するために、幾つかの例示的な実行形態を要約することのみを目的に提供されていると理解されたい。したがって、上述の例示的な実行形態は例に過ぎず、いかなる意味においても、本開示の範囲又は本質を狭めると解釈すべきではないことを理解されたい。その他の例示的な実行形態、態様、及び利点は、添付図面と併せて下記の詳細説明を参照することで明らかになろう。添付図面は、例を用いて、記載されているいくつかの例示的な実行形態の原理を示すものである。
【0022】
上述のように、本開示の実施例の実行形態を一般的な用語で説明したが、ここでは添付図面を参照する。これらの図面は必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の例示の実行形態に係る、ライン交換可能ユニット(LRU)を示す図である。
【
図2】本開示の例示の実行形態に係る、コンピュータ化保守管理システム(CMMS)と結合可能なビークルを示す図である。
【
図3】本開示の例示の実行形態に係る、物理ベース及びデータ駆動型モデルを使用してビークルからの妨害的異常表示を削減するシステムを示す図である。
【
図4】本開示の例示の実行形態に係る、物理ベース及びデータ駆動型モデルを使用してビークルからの妨害的異常表示を削減する方法の様々な工程を示すフロー図である。
【
図5】幾つかの例示の実行形態に係る装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付図面を参照して、本開示のいくつかの実行形態について、以下でより詳しく説明する。添付図面には本開示の実行形態の一部が示されているが、すべてが示されているわけではない。実際のところ、本開示の様々な実行形態は、多くの異なる形態で具現化されてよく、本書に明記されている実行形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの例示的な実行形態は、本開示が包括的かつ完全なものになるように、かつ、当業者に本開示の範囲が十分に伝わるように提供されている。例えば、別途記載されない限り、何かを「第1の」、「第2の」などのように言及しても、特定の順序を暗示していると解釈すべきではない。また例えば、本書では、定量的尺度、値、関係などが参照され得る。別途明記されない限り、これらの全てではないがそのうちの一又は複数はいずれも、工学上の公差などによるものといった、発生しうる許容可能な変動を考慮して、絶対的又は近似的なものでありうる。類似の参照番号は、全体を通して類似の要素を表す。
【0025】
本開示の例示の実行形態は概してビークルの性能状態の監視を対象とし、具体的には、ビークルからの妨害的異常表示の削減を対象としたものである。例示の実行形態は主に、ビークルの保守及び監視システムにおける応用と併せて記載される。しかしながら、例示の実行形態は、ビークルが航空機である航空宇宙産業とそれ以外の両方における他の様々な応用に関連して利用されうることを、理解されたい。他の適切なビークルの例は、陸上ビークル、宇宙船、船舶等である。
【0026】
より具体的には、本開示の例示の実行形態により、物理ベース及びデータ駆動型のモデリング方法の組み合わせを用いて、ビークルからの妨害的異常表示が削減される。例えば、経年劣化、及び熱、振動及び湿度及び外部負荷等の環境条件への暴露による結果的なビークル内の電子ハードウェアの動作を予測するために、コンピュータモデルが使用される。具体的には、電子ハードウェアの測定パラメータへのこれらの環境条件の影響がモデル化され、計算される。例えば、電子ハードウェア(例:コネクタ及びワイヤハーネス)において抵抗が高まった結果、特定温度と振動における供給電圧が減少した場合、異常を識別するために、測定パラメータが徐々に、あるいは断続的に設定閾値よりも低下し、その結果、妨害的異常表示が生成される。コンピュータモデルは、異常表示が作成された各信号経路の状態及び性能状態の基準又は視標の決定にも使用されうる。次に、この状態指標を使用して、異常表示の有効性が評価される。異常表示の有効性を決定するのに、保守及びビークルの動作履歴等のデータも使用されうる。
【0027】
図1に、ビークルの異常表示を生成するように構成された、適切なライン交換可能ユニット(LRU)100を示す。図示したように、LRUは、プリント基板を外部のセンサ、アクチュエータ、及び電力に接続する内部接続トレース及びコネクタを有するプリント(PC)基板104に連結された電子ハードウェア102を含む。LRUは、有線接続又は無線通信を通して一または複数の外部のLRUに内部接続される。動作中のLRUは、LRUの経年劣化及び動作に影響を与える環境状態にさらされる。例えば、極端な熱又は温度は、LRU内の半田接合部の寿命、又は接続部の品質及び抵抗に影響を与えうる。別の例では、振動が、半田接合部及びコネクタの寿命及び性能に影響を与えうる。コネクタにおける全ての高抵抗又は断続性は、プリント基板の電子構成要素によって読み取られる入力信号の振幅に影響しうる。このBITでの結果は、環境の一時的な状態での妨害的な異常を示している。LRUがビークルから取り外され試験される時などに状態が取り除かれると、異常は見つからない。
【0028】
図2に、機外データ処理ユニット202に動作可能に結合されたビークル200を示す。ビークルは、内部に搭載型異常表示システム206を有するビークル性能状態監視システム(VHM)204と複数のLRU(そのうちの2つはLRU100A、100Bとして具体的に示す)とを備えている。異常表示システムは、組込み試験(BIT)に応じてLRUによって生成された異常を示すデータの受信を可能にするために、VHMに結合される。幾つかの例では、一又は複数のビークルシステムはデータをVHMへ供給する。例えば、ビークルが専用のVHMを含まない場合、他のビークルシステムがコレクタ、及びVHMデータの機外データ処理ユニットへの通信機として機能しうる。BIT信号は、現在の動作環境内の電子ハードウェアを通
る信号経路から出力される。これらの試験は、スタートアップ(SBIT)で、別のシステムからの要求によって(IBIT)、又は連続的BIT(CBIT)とも等しい特定の間隔(PBIT)で定期的に実施される。BIT試験の結果は、直接、あるいは他のLRUを介してVHMに伝達される。図示したように、幾つかの例では、VHMにより、LRUのBITデータと機外データ処理ユニット202との通信が促進される。
【0029】
機外データ処理ユニット202は、BITデータを更に解析するように構成された高機能異常表示システム208を含む。高機能異常表示システムは、ビークルの状態及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成された保守管理システム(CMMS)210に結合可能である。CMMSは、モニター、処理回路、及びトルースデータ(有効な異常)とBITの結果とを相互に関連付けするために取り壊し、LRUの技術指示及び地上試験等の大量の保守及び動作データを記憶する記憶デバイスを含む、一または複数のコンピュータシステムで構成されうる。ビークルのサブシステムの一方は、サブシステムの他方とは関係なく、別個のシステムとして機能又は動作しうることも、理解されたい。またさらに、ビークルは、
図2に示すもの以外に一又は複数の追加の又は代替的なサブシステムを含みうることを、理解すべきである。例えば、別々に図示したが、幾つかの例では、CMMSはビークル内に含まれている。
【0030】
図3に、電子ハードウェア102
を含むLRU100、及びビークル性能状態監視(VHM)システム20
2を備え
たビークル200からの
、妨害的異常表示を削減する、高機能異常表示システム208をより具体的に示す。例示の実行形態の高機能異常表示システムは、本書では単に「システム」と称しうる。システムは、幾つかの異なる機能又は工程を、自動的に、オペレータの直接制御下で、又はこれらの組み合わせによって実施するように構成される。幾つかの例では、システムは、一又は複数の機能又は工程を自動的に、すなわち、オペレータによって直接制御されることなく、実施するように構成される。追加的に又は代替的に、幾つかの例では、システムは、一又は複数の機能又は工程を、オペレータの直接制御下で実施するように構成される。
【0031】
本開示の例示の実行形態によれば、システム208は、ビークル200からの妨害的異常表示を削減するために、さまざまな機能又は工程を実施するように構成される。幾つかの例示の実行形態では、システムは、現在の動作環境に基づいてLRUの信号経路の状態指標を決定し、LRUのコンピュータモデルから導出された状態指標への動作環境の変換を決定するように構成される。導出された状態指標は、複数の動作環境における、LRUの構造力学と、LRUへの機械的応力及び熱応力を表すものである。本システムは次に、異常表示の有効性又は無効性の確率を決定するように構成される。確率は、異常表示の解析、VHMシステム204又は別のビークルシステムからの(異常表示以外の)データ、CMMS210からのデータ、及び状態指標に基づいて決定される。システムは次に、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算して、BIT信号の有効性スコアを作成し、確率とビークルの保守データに基づいて閾値を更に設定し、BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて異常表示が有効か又は無効かを決定し、異常状態が有効な場合にのみ、通知を生成し又は通知を生成するために異常表示を出力し、異常状態が有効でない場合は異常表示を破棄する。
【0032】
システム208は、一又は複数の機能又は工程を実施するために互いに結合された幾つかの異なるサブシステム(各々は個別のシステム)のそれぞれの一又は複数を含みうる。
図3に示すように、幾つかの例では、システムは、互いに結合されたモデラー302、データ解析エンジン304、閾値セッター306、及びリーズナー308を含む。システムの一部として図示したが、モデラー、データ解析エンジン、閾値セッター又はリーズナーはシステムとは分離しているが、システムと通信していてもよい。サブシステムの一方は、サブシステムの他方とは関係なく、別個のシステムとして機能又は動作しうることも、理解されたい。またさらに、システムは、
図3に示すもの以外に一又は複数の追加の又は代替的なサブシステムを含みうることを理解すべきである。
【0033】
以下に更に詳細に説明するように、モデラー302、データ解析エンジン304、閾値セッター306、及びリーズナー308は、システム208のそれぞれの機能又は工程を実施するように構成される。モデラーは、複数の動作環境に対し、LRU100の電子ハードウェア102の構造力学、及び電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表すコンピュータモデルを生成する。本書で使用する「動作環境」は、電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、あるいはLRUと、少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される。
【0034】
データ解析エンジン304は、現在の動作環境に基づいて信号経路の状態指標を決定し、LRU100のコンピュータモデルから導出された状態指標への動作環境の変換を更に決定する。幾つかの例において、これには、複数の動作環境のうちの各動作環境について、変換を導出するようにデータ解析エンジンが構成されていることが含まれる。物理モデルを使用して、各信号経路の完全性が決定される。例えば、幾つかの実行形態では、応力モデルから導出されたプロファイルに基づいて、完全に良好な経路の状態指標には最大値の1が割り当てられ、機能していない経路にはゼロの状態指標が割り当てられ、中間の性能状態の信号経路にはその間の値が割り当てられる。具体的には、データ解析エンジンは、入力信号をコンピュータモデルに適用して、電子ハードウェア102を通る信号経路について対応する信号経路から出力信号を発生させ、入力信号と出力信号に基づいて動作環境の信号経路の状態指標を決定するように構成される。例えば、第1の入力信号に対する状態指標は、各第1、第2及び第3の環境状態下で0.1、0.3、0.5及び0.8に変化しうる。同様に、第2の入力信号に対する状態指標は、各第1、第2及び第3の環境状態下で0.2、0.3、0.5及び0.7に変化しうる。
【0035】
データ解析エンジン304はまた、異常表示の有効性あるいは無効性の確率を決定する。この決定は、異常表示の解析、VHMシステム204又は他のビークルシステムからの異常表示以外のデータ、CMMSからの保守履歴データ及び状態指標に基づくものである。例えば、従来の確率計算においては、1000の異常表示がある場合、これらのうち、保守及び検査データに基づいて有効な異常表示が500あることが分かった場合は、有効性の確率は500割る1000、又は0.5である。様々な種類の統計解析を適用して、間違った表示又は正しい異常表示の確率を決定することができる。幾つかの例では、異常表示以外のVHMシステム、又は他のビークルシステムからの確率を決定するデータには、現在の動作環境を表すパラメータが含まれる。更に、幾つかの例では、確率を決定するCMMSからのデータは、LRU100の異常表示履歴(各異常表示は有効あるいは無効であるかと示されている)、及び保守活動を含む。データ解析エンジンは更に、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算して、BIT信号の有効性スコアを作成する。
【0036】
閾値セッター306は、確率に基づいて閾値を設定するように構成され、保守データ(例:トルースデータ)から導出される。リーズナー308は、BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて異常表示が有効であるか、あるいは無効であるかを決定するように構成される。幾つかの例において、これにはリーズナーが、BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する閾値を上回る場合にBIT信号が有効であると決定するように構成されていることが含まれる。リーズナーはまた、異常表示が有効である場合にのみ、通知を生成し、あるいは通知を生成するために異常表示を出力し、異常表示が有効でない場合には異常表示を破棄するようにも構成される。幾つかの例において、これにはリーズナーが、通知又は異常表示に基づいてCMMSにLRUの保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、CMMSへ通知又は異常表示を出力するように構成されていることが含まれる。
【0037】
図4に、電子ハードウェア
を含むLRU、及びVHMシステ
ムを備えたビークルからの
、妨害的異常表示を削減するための方法400の様々な工程を含むフロー図を示す。ブロック402に示すように、本方法は、VHMに結合可能な少なくとも1つの通信インターフェースによって、BITに応じてLRUによって生成された異常表示を含む、ビークルの現在の状態を記述するデータを受信することを含み、BIT信号は、現在の動作環境内の電子ハードウェアを通
る信号経路から出力される。少なくとも1つの通信インターフェース
はまた、ビークルの状態及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成されたCMMSに結合可能である。
【0038】
本方法はまた、ブロック404に示すように、現在の動作環境と、複数の動作環境に対しLRUの構造力学及びLRUへの機械的応力並びに熱応力を表すLRUのコンピュータモデルから導出された、状態指標への動作環境の変換とに基づいて、信号経路の状態指標を決定することも含む。本方法はまた、ブロック406に示すように、異常表示の解析、異常表示以外のVHM又は別のビークルシステムからのデータ、CMMSからのデータ、及び状態指標に基づいて、異常表示の有効性又は無効性の確率を決定することも含む。
【0039】
本方法はまた、ブロック408に示すように、BIT信号の有効性スコアを作成するために、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算することも含む。本方法はまた、ブロック410に示すように、確率と保守データに基づいて閾値を設定することも含む。本方法はまた、ブロック412に示すように、処理回路によって、BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて、異常表示が有効であるか、あるいは無効であるかを決定することも含む。本方法はまた、ブロック414に示すように、異常表示が有効である場合にのみ、通知を生成すること、あるいは通知を生成するために異常表示を出力することと、異常表示が有効でない場合には異常表示を破棄することも含む。
【0040】
本開示の幾つかの例示の実行形態によれば、様々な手段によって、ビークル200と機外データ処理ユニット202、及びそれらのサブシステム及び/又はLRU100を含む構成要素、ビークル監視システム(VHM)204、搭載型異常表示システム206、及び高機能異常表示システム208、及びコンピュータ化保守管理システム(CMMS)210が実装されうる。同様に、様々な手段によって、モデラー302、データ解析エンジン304、閾値セッター306、及びリーズナー308を含む、高機能異常表示システム及びそれぞれのサブシステム及び/又は構成要素が実装されうる。システム、サブシステム及びこれらの各要素を実行するための手段は、単独の、又は、コンピュータ可読記憶媒体からの一又は複数のコンピュータプログラムの指示下にあるハードウェアを含みうる。
【0041】
幾つかの実施例では、本明細書において図示及び記載されるシステム、サブシステム、ツール及びそれぞれの要素として機能するか、又はそうでない場合にそれらを実行するように構成される一又は複数の装置が提供されうる。一を上回る数の装置を伴う例では、それぞれの装置は、例えば直接的に、或いは、有線で又は無線ネットワークを介して間接的になど、いくつかの異なる様態で、互いに接続されうるか、そうでなければ通信可能でありうる。
【0042】
図5に、本開示のいくつかの例示的な実行形態による装置500を示す。概括的に、本開示の例示的な実行形態の装置は、一又は複数の固定的な又は携帯式の電子デバイスを備えるか、かかる電子デバイスを含むか、或いは、かかる電子デバイスにおいて具現化されうる。適切な電子デバイスの例は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、サーバコンピュータなどを含む。装置は、例えば、メモリ504(例えば記憶デバイス)に接続された処理回路502(例えばプロセッサユニット)といった、いくつかの構成要素の各々の一又は複数を含みうる。処理回路502は概括的に、例えば、データ、コンピュータプログラム、及び/又は他の適切な電子情報などの情報を処理することが可能な、任意のコンピュータハードウェアである。処理回路は、電子回路の集合体で構成され、かかる電子回路の一部は、一集積回路又は複数の相互接続集積回路としてパッケージ化されうる(集積回路はより一般的には「チップ」と称されることがある)。処理回路は、コンピュータプログラムを実行するように構成されてよく、コンピュータプログラムは、処理回路に搭載された状態で保存されうるか、そうでなければ(同じ又は別の装置の)メモリ504に保存されうる。
【0043】
処理回路502は、特定の実行形態に応じて、幾つかの処理回路、マルチプロセッサコア、又は他の何らかの種類の処理回路であってもよい。更に、処理回路は、単一のチップ上に一又は複数の二次処理回路と共にメインの処理回路が存在する、幾つかの異種プロセッサシステムを使用して、実装されうる。別の実施例として、処理回路は、同じ種類の複数の処理回路を包含する対称型マルチプロセッサシステムであってもよい。更に別の実施例では、処理回路は、一又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などとして具現化されうるか、そうでなければ、それらを含みうる。ゆえに、処理回路は一又は複数の機能を実施するためのコンピュータプログラムを実行することが可能でありうるが、様々な例の処理回路は、コンピュータプログラムの支援がなくとも、一又は複数の機能を実施することが可能でありうる。
【0044】
メモリ504は概して、一時的及び/又は恒久的に、例えば、データ、コンピュータプログラム(例えばコンピュータ可読プログラムコード506)、及び/又は、他の適切な情報等の情報を保存することが可能な、任意のコンピュータハードウェアである。メモリは、揮発性及び/又は不揮発性のメモリを含んでよく、かつ、固定式又は着脱式であってもよい。適切なメモリの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブ、フラッシュメモリ、サムドライブ、着脱式コンピュータディスケット、光ディスク、磁気テープ、又はそれらの何らかの組み合わせが含まれる。光ディスクは、読み出し専用コンパクトディスク(CD-ROM)、読み出し/書き込みコンパクトディスク(CD-R/W)、DVDなどを含みうる。様々な事例において、メモリはコンピュータ可読記憶媒体と称されうる。コンピュータ可読記憶媒体は、情報を保存することが可能な非一過性デバイスであり、ある場所から別の場所へと情報を運ぶことが可能な一過性の電気信号などのコンピュータ可読伝送媒体とは区別可能である。本書で説明するコンピュータ可読媒体は概して、コンピュータ可読記憶媒体又はコンピュータ可読伝送媒体を指すものでありうる。
【0045】
メモリに加えて、処理回路も、情報を表示し、送信し、及び/又は受信するための一又は複数のインターフェースに接続されうる。インターフェースは、通信インターフェース508(例えば通信ユニット)、及び/又は一又は複数のユーザインターフェースを含みうる。通信インターフェースは、例えば他の装置(複数可)やネットワーク(複数可)などへ、及び/又はそれらから、情報を送信及び/又は受信するよう設定されうる。通信インターフェース508は、物理的な(有線の)及び/又は無線の通信リンクにより情報を送信及び/又は受信するように構成されうる。適切な通信インターフェースの例は、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)や無線NIC(WNIC)などを含む。
【0046】
ユーザインターフェースは、ディスプレイ510及び/又は一又は複数のユーザ入力インターフェース512(例えば、入出力ユニット)を含みうる。ディスプレイは、ユーザに情報を提示するか、又は他の方法で表示するよう設定されてよく、その適切な例には、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などが含まれる。
【0047】
ユーザ入力インターフェース512は、有線又は無線であってよく、処理、保存及び/又は表示用などの装置内にユーザから情報を受信するよう構成されうる。ユーザ入力インターフェースの適切な例は、マイク、画像又は動画の捕捉デバイス、キーボード又はキーパッド、ジョイスティック、タッチ感応型サーフェス(タッチスクリーンとは別個の、又はタッチスクリーンに統合されたもの)、生体認証センサなどを含む。ユーザインターフェースは、プリンタやスキャナなどの周辺機器と通信するための、一又は複数のインターフェースを更に含みうる。
【0048】
上記のように、プログラムコード命令は、本書に記載のシステム、サブシステム及びそれらの各要素の機能を実行するために、メモリに記憶され、処理回路によって実行されうる。理解されるように、任意の好適なプログラムコード命令は、コンピュータ可読記憶媒体からコンピュータ又はその他のプログラム可能装置に読み込まれ、本書に特定される機能を実行する手段となる特定のマシンが製造される。また、これらのプログラムコード命令はコンピュータ可読記憶媒体にも記憶され、コンピュータ、処理回路、又はその他のプログラマブル装置を特定の方法で機能させることにより特定のマシン又は特定の製造品を生成することができる。コンピュータ可読記憶媒体に記憶された命令は、製造品を生産することができ、この製造品は本書に記載の機能を実行するための手段となる。プログラムコード命令は、コンピュータ、処理回路又は他のプログラマブル装置上で或いはそれらによって実施されるべき工程を実行するようにコンピュータ、処理回路又は他のプログラマブル装置を設定するため、コンピュータ可読記憶媒体から読み出され、コンピュータ、処理回路又は他のプログラマブル装置に読み込まれうる。
【0049】
一度に1つの命令が読み出され、読み込まれ、かつ実行されるように、プログラムコード命令の読み出し、読み込み及び実行は、連続的に実施されうる。いくつかの例示的な実行形態では、複数の命令をまとめて読み出し、読み込み、かつ/又は実行するように、読み出し、読み込み、及び/又は実行が、並行して実施されうる。プログラムコード命令の実行により、コンピュータによって実行されるプロセスが生成され、これにより、コンピュータ、処理回路、又は他のプログラマブル装置によって実行される命令が本書に記載の機能を実行するための工程をもたらしうる。
【0050】
処理回路による命令の実行、又は、コンピュータ可読記憶媒体における命令の保存は、特定の機能を実施するための工程の組み合わせをサポートする。このように、装置500は、処理回路502と、処理回路に結合されたコンピュータ可読記憶媒体又はメモリ504とを含んでよく、処理回路は、メモリに保存されたコンピュータ可読プログラムコード506を実行するよう構成される。一又は複数の機能及び機能の組み合わせは、特殊用途ハードウェアに基づくコンピュータシステム、及び/又は、特定の機能を実施する処理回路、或いは、特殊用途ハードウェアとプログラムコード命令との組み合わせによって実行されうることも、理解されよう。
【0051】
上述の説明及び添付図面に提示されている教示の恩恵を受ける、本開示に関連する当業者には、本書に明記された本開示の多数の修正例及びその他の実行形態が想起されよう。したがって、本開示は開示の特定の実行形態に限定されるものではないこと、及び、変形例及びその他の実行形態も付随する特許請求の範囲に含まれるよう意図されていることを、理解されたい。さらに、上述の説明及び添付図面は、要素及び/又は機能の特定の実施例の組み合わせに照らして例示の実行形態を説明しているが、特許請求の範囲から逸脱せずに、代替的な実行形態によって要素及び/又は機能の異なる組み合わせが提供されてもよいと理解されたい。つまり、付随する特許請求の範囲の一部に明記されうるように、例えば、明示的に上述されているものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせも想定される。本書では特定の用語を用いるが、それらは、一般的な、及び説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
【0052】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0053】
条項1.電子ハードウェアを含むライン交換可能ユニット(LRU)を備えたビークルからの妨害的異常表示を削減するための機外装置であって、少なくともデータを収集してビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに伝達するために、ビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに通信可能に結合されており、
現在の動作環境内の電子ハードウェアを通る信号経路からBIT信号が出力される組込み試験(BIT)に応じて、複数のLRUのうちの1つのLRUによって生成された異常表示を含むデータを装置が受信することを可能にするVHM又は一または複数のビークルシステムに結合可能な少なくとも1つの通信インターフェースであって、ビークルの状態及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成されたコンピュータ化保守管理システム(CMMS)にも結合可能である少なくとも1つの通信インターフェースと、
少なくとも1つの通信インターフェースに結合された処理回路であって、少なくとも
現在の動作環境に基づく信号経路の状態指標と、LRUのコンピュータモデルから導出された状態指標への動作環境の変換とを決定し、ここでLRUのコンピュータモデルは、複数の動作環境に対し、LRUの構造力学、及びLRUへの機械的応力並びに熱応力を表し、
異常表示の解析、異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータ、及びCMMSからのデータ、及び状態指標に基づいて異常表示の有効性又は無効性の確率を決定し、
BIT信号の有効性スコアを作成するために、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算し、
確率及び保守データに基づく閾値を設定し、
BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて異常表示が有効か無効かを決定し、
異常表示が有効である場合にのみ、通知を生成し、又は通知を生成するために異常表示を出力し、あるいは異常表示が有効でない場合には異常表示を破棄する
ようにプログラミングされた処理回路と
を備える装置。
【0054】
条項2.動作環境は、電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、又はLRUと少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される、条項1に記載の装置。
【0055】
条項3.確率を決定するCMMSからのデータは、LRUの異常表示履歴を含み、各異常表示履歴はLRUの修復及び保守活動の過去の効果に基づいて有効又は無効と示される、条項1又は2に記載の装置。
【0056】
条項4.確率を決定する異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータは、現在の動作環境を表すパラメータを含む、条項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【0057】
条項5.処理回路が更に変換を導出するようにプログラミングされ、これには少なくとも、
複数の動作環境の各動作環境に対し、LRUの動作環境における電子ハードウェアの構造力学、及び電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表すコンピュータモデルを構成し、
そのように構成されたコンピュータモデルを用いて、
電子ハードウェアを通る信号経路について対応する信号経路から出力信号を発生させるように、入力信号をコンピュータモデルに適用し、
入力信号と出力信号とに基づいてLRUの動作環境における信号経路の状態指標を決定する
ように前記処理回路がプログラミングされていることが含まれる、条項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【0058】
条項6.異常表示が有効か無効かを決定するように処理回路がプログラミングされることは、BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する閾値を上回る場合に、BIT信号が有効であると決定するようにプログラミングされることを含む、条項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【0059】
条項7.処理回路が通知を生成する、又は通知を生成するために異常表示を出力するようにプログラミングされることは、通知又は異常表示に基づいてCMMSにLRUの保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、通知又は異常表示をCMMSに出力するようにプログラミングされることを含む、条項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【0060】
条項8.高機能異常表示システムを使用して、電子ハードウェアを含むライン交換可能ユニット(LRU)を備えたビークルからの妨害的異常表示を削減する方法であって、高機能異常表示システムは、少なくともデータを収集してビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに伝達するために、ビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに通信可能に結合され、
現在の動作環境内の電子ハードウェアを通る信号経路からBIT信号が出力される組込み試験(BIT)に応じて、複数のLRUのうちの1つのLRUによって生成された異常表示を含むデータを、VHMに結合可能な少なくとも1つの通信インターフェースによって受信することであって、少なくとも1つの通信インターフェースは、ビークルの状態及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成されたコンピュータ化保守管理システム(CMMS)にも結合可能である、受信することと、
現在の動作環境に基づく信号経路の状態指標と、LRUのコンピュータモデルから導出された状態指標への動作環境の変換とを、処理回路によって決定することであって、LRUのコンピュータモデルは、複数の動作環境に対し、LRUの構造力学、及びLRUへの機械的応力並びに熱応力を表すものである、決定することと、
異常表示の解析、異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータ、及びCMMSからのデータ、及び状態指標に基づいて異常表示の有効性又は無効性の確率を決定することと、
BIT信号の有効性スコアを作成するために、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算することと、
処理回路によって、確率及び保守データに基づく閾値を設定することと、
処理回路によって、BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて、異常表示が有効か無効かを決定することと、
処理回路によって、異常表示が有効である場合にのみ通知を生成する、あるいは通知を生成するために異常表示を出力すること、あるいは異常表示が有効でない場合には異常表示を破棄することと
を含む方法。
【0061】
条項9.動作環境は、電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、又はLRUと少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される、条項8に記載の方法。
【0062】
条項10.確率を決定するCMMSからのデータは、LRUの異常表示履歴を含み、各異常表示履歴は、LRUの修復、異常表示及び保守活動の過去の効果に基づいて有効又は無効と示される、条項8又は9に記載の方法。
【0063】
条項11.確率を決定する異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータは、現在の動作環境を表すパラメータを含む、条項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
条項12.処理回路によって変換を導出することを更に含み、これには、
複数の動作環境の各動作環境に対し、
LRUの動作環境における電子ハードウェアの構造力学、及び電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表すコンピュータモデルを構成することと、
そのように構成されたコンピュータモデルを用いて、
電子ハードウェアを通る信号経路について対応する信号経路から出力信号が発生するように、入力信号をコンピュータモデルに適用することと、
入力信号と出力信号とに基づいてLRU動作環境における信号経路の状態指標を決定することと
が含まれる、条項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
条項13.異常表示が有効か無効かを決定することは、BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する閾値を上回る場合に、BIT信号が有効であると決定することを含む、条項8から12のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
条項14.通知を生成する、又は通知を生成するために異常表示を出力することは、通知又は異常表示に基づいてCMMSにLRUの保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、通知又は異常表示をCMMSに出力することを含む、条項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
条項15.高機能異常表示システムを使用して、電子ハードウェアを含むライン交換可能ユニット(LRU)を備えたビークルからの妨害的異常表示を削減するためのコンピュータ可読記憶媒体であって、高機能異常表示システムは、少なくともデータを収集してビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに伝達するために、ビークル性能状態監視(VHM)システム又は一または複数のビークルシステムに通信可能に結合されており、
処理回路による実行に応じて、装置に少なくとも
現在の動作環境内の電子ハードウェアを通る信号経路からBIT信号が出力される組込み試験(BIT)に応じて、複数のLRUのうちの1つのLRUによって生成された異常表示を含むデータを、VHMに結合可能な少なくとも1つの通信インターフェースによって受信することであって、少なくとも1つの通信インターフェースは、ビークルの状態及び保守履歴を記述するデータを記憶するように構成されたコンピュータ化保守管理システム(CMMS)にも結合可能である、受信することと、
現在の動作環境に基づく信号経路の状態指標と、LRUのコンピュータモデルから導出された状態指標への動作環境の変換とを決定することであって、LRUのコンピュータモデルは、複数の動作環境に対し、LRUの構造力学、及びLRUへの機械的応力並びに熱応力を表すものである、決定することと、
異常表示の解析、異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータ、及びCMMSからのデータ、及び状態指標に基づいて異常表示の有効性又は無効性の確率を決定することと、
BIT信号の有効性スコアを作成するために、状態指標に異常表示の有効性又は無効性の確率を乗算することと、
確率及び保守データに基づく閾値を設定することと、
BIT信号の有効性スコアと閾値との比較に基づいて、異常表示が有効か無効かを決定することと、
異常表示が有効である場合にのみ通知を生成する、あるいは通知を生成するために異常表示を出力すること、あるいは異常表示が有効でない場合には異常表示を破棄することと
を実施させるコンピュータ可読プログラムコードが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体。
【0068】
条項16.動作環境は、電子ハードウェアの温度、湿度、振動、経年数又は衝撃係数、又はLRUと少なくとも1つの他のLRUとの間の相互作用のうちの少なくとも1つによって定義される、条項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0069】
条項17.確率を決定するCMMSからのデータはLRUの異常表示履歴を含み、各異常表示履歴はLRUの修復及び保守活動の過去の効果に基づいて有効又は無効と示される、条項15又は16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0070】
条項18.確率を決定する異常表示以外の一または複数のビークルシステムからのデータは、現在の動作環境を表すパラメータを含む、条項15から17のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0071】
条項19.装置に更に少なくとも変換を導出させ、これには、
複数の動作環境の各動作環境に対し、装置に少なくとも
LRUの動作環境における電子ハードウェアの構造力学、及び電子ハードウェアへの機械的応力及び熱応力を表すコンピュータモデルを構成することと、
そのように構成されたコンピュータモデルを用いて、
電子ハードウェアを通る信号経路について対応する信号経路から出力信号が発生するように、入力信号をコンピュータモデルに適用することと、
入力信号と出力信号とに基づいてLRU動作環境における信号経路の状態指標を決定することと
を実施させることが含まれる、条項15から18のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0072】
条項20.異常表示が有効か無効かを決定することを装置に実施させることは、BIT信号の有効性スコアの値が許容上限を定義する閾値を下回る場合、又は許容下限を定義する閾値を上回る場合に、BIT信号が有効であると決定することを装置に実施させることを含む、条項15から19のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0073】
条項21.通知を生成する、又は通知を生成するために異常表示を出力することを装置に実施させることは、通知又は異常表示に基づいてCMMSにLRUの保守活動を自動的にスケジューリングさせるために、通知又は異常表示をCMMSに出力することを装置に実施させることを含む、条項15から20のいずれか一項に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【0074】
上述の説明及び添付図面において提示されている教示の恩恵を受ける、本開示に関連する当業者には、本書に明記された本開示の多数の修正例及びその他の実行形態が想起されよう。したがって、本開示は開示の特定の実行形態に限定されるものではないこと、及び、変形例及びその他の実行形態も付随する特許請求の範囲に含まれるよう意図されていることを、理解されたい。さらに、上述の説明及び添付図面は、要素及び/又は機能の特定の実施例の組み合わせに照らして例示の実行形態を説明しているが、特許請求の範囲から逸脱せずに、代替的な実行形態によって要素及び/又は機能の異なる組み合わせが提供されてもよいと理解されたい。つまり、付随する特許請求の範囲の一部に明記されうるように、例えば、明示的に上述されているものとは異なる要素及び/又は機能の組み合わせも想定される。本書では特定の用語が用いられているが、それらは、一般的な、及び説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的とするものではない。