(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】パーソナルケア機器のための共振構造体を具備するアタッチメント及び方法
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20220704BHJP
A61C 17/34 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
A61C17/22 B
A61C17/22 E
A61C17/34 C
A61C17/34 H
(21)【出願番号】P 2017503148
(86)(22)【出願日】2015-08-21
(86)【国際出願番号】 IB2015056345
(87)【国際公開番号】W WO2016027258
(87)【国際公開日】2016-02-25
【審査請求日】2018-06-14
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-18
(32)【優先日】2014-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】デングラー エヴァン ダック ワー
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】水野 治彦
【審判官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-28310(JP,A)
【文献】国際公開第2013/93709(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/126698(US,A1)
【文献】特開2006-263316(JP,A)
【文献】特開2009-219756(JP,A)
【文献】国際公開第2007/96167(WO,A1)
【文献】特表2013-510623(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/306942(US,A1)
【文献】国際公開第03/17865(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/238182(US,A1)
【文献】特開2003-61987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動トレイン及び駆動シャフトを含むハンドルと、
第1の機械的刺激及び第2の機械的刺激のうちの少なくとも1つを生成するように前記駆動トレインの動作を制御するためのモータコントローラと、
アタッチメントの近位端と遠位端との間に延在する主軸を具備する本体を有する前記アタッチメントと、
を有し、
前記近位端は、前記駆動シャフトに結合し、前記遠位端は、共振構造体を含み、
前記第1の機械的刺激を生成するように前記駆動トレインの動作を制御するように動作する前記モータコントローラに応答して、前記共振構造体は
、動作を実行し、
前記第2の機械的刺激を生成するように前記駆動トレインの動作を制御するように動作する前記モータコントローラに応答して、前記共振構造体は、第1
の周波数
で行われる前
記動作と第2
の周波数
で行われる追加的な動作とを実行し、
前記共振構造体は、毛及びプラテンを有し、
前記追加的な動作が、
前記主軸に垂直な方向からの前記毛の延在方向に対する側面視において前記共振構造体の近位端と遠位端との間で、前記毛が存在する方向に凸となることと、毛が存在しない方向に凸となることとを繰り返すアーチ動作、
前記毛の延在方向から見て前記共振構造体の近位端を支点として、前記共振構造体の遠位端側を揺動する揺動動作、
前記毛の延在方向から見て前記共振構造体の近位端が遠位端より大きい振幅である前記主軸を横切る前記毛の運動を行うウェービング動作、又は、
前記主軸の延在方向から見て前記毛の先端部が前記主軸に直交する方向に前記プラテンに対し位相がずれて運動するフロー動作のう
ちの1つ
である、パーソナルケア機器。
【請求項2】
前記共振構造体が
、カンチレバー式毛の少なくとも1つのセット、カンチレバー式プラテン、
又は、複数の柔軟な構造
物からなるグループから選択される少なくとも1つを有する、請求項1記載の機器。
【請求項3】
パーソナルケア機器のためのアタッチメントであって、
前記パーソナルケア機器のハンドル内に配置される駆動トレインの一部を形成する駆動シャフトに結合する近位端と遠位端との間に延在する主軸を具備する本体と、
前記本体の前記遠位端において配置される共振構造体と、
を有し、
(i)第1の機械的刺激を生成するように前記駆動トレインの動作を制御するように動作する前記パーソナルケア機器の前記ハンドル内のモータコントローラに応答して、前記共振構造体は、第1
の周波数を持つ清掃動作を実行し、
(ii)第2の機械的刺激を生成するように前記駆動トレインの動作を制御するように動作する前記モータコントローラに応答して、前記共振構造体は、前記清掃動作と前記清掃動作に加えて第2
の周波数を持つ追加的な動作とを実行し、
前記共振構造体は、毛及びプラテンを有し、
前記追加的な動作が、
前記主軸に垂直な方向からの前記毛の延在方向に対する側面視において前記共振構造体の近位端と遠位端との間で、前記毛が存在する方向に凸となることと、毛が存在しない方向に凸となることとを繰り返すアーチ動作、
前記毛の延在方向から見て前記共振構造体の近位端を支点として、前記共振構造体の遠位端側を揺動する揺動動作、
前記毛の延在方向から見て前記共振構造体の近位端が遠位端より大きい振幅である前記主軸を横切る前記毛の運動を行うウェービング動作、又は、
前記主軸の延在方向から見て前記毛の先端部が前記主軸に直交する方向に前記プラテンに対し位相がずれて運動するフロー動作のう
ちの1つ
である、アタッチメント。
【請求項4】
前記共振構造体が
、カンチレバー式毛の少なくとも1つのセット、カンチレバー式プラテン、
又は複数の柔軟な構造
物からなるグループから選択される少なくとも1つを有する、請求項
3記載のアタッチメント。
【請求項5】
パーソナルケア機器において追加的な動作を実行する方法であって、
駆動トレイン及び駆動シャフトを含むハンドルを供給するステップと、
モータコントローラにより、第1の機械的刺激と第2の機械的刺激とのうちの少なくとも1つを生成するように前記駆動トレインの動作を制御するステップと、
アタッチメントの近位端と遠位端との間に延在する主軸を具備する本体を有する前記アタッチメントを供給するステップと、
を有し、
前記近位端は、前記駆動シャフトに結合し、前記遠位端は、共振構造体を含み、
(i)前記第1の機械的刺激を生成するように前記駆動トレインの動作を前記モータコントローラにより制御するステップに応答して、前記共振構造体は、第1
の周波数を持つ清掃動作を実行し、
(ii)前記第2の機械的刺激を生成するように前記駆動トレインの動作を前記モータコントローラにより制御するステップに応答して、前記共振構造体は、前記清掃動作に加えて第2
の周波数を持つ追加的な動作を実行し、
前記共振構造体は、毛及びプラテンを有し、
前記追加的な動作が、
前記主軸に垂直な方向からの前記毛の延在方向に対する側面視において前記共振構造体の近位端と遠位端との間で、前記毛が存在する方向に凸となることと、毛が存在しない方向に凸となることとを繰り返すアーチ動作、
前記毛の延在方向から見て前記共振構造体の近位端を支点として、前記共振構造体の遠位端側を揺動する揺動動作、
前記毛の延在方向から見て前記共振構造体の近位端が遠位端より大きい振幅である前記主軸を横切る前記毛の運動を行うウェービング動作、又は、
前記主軸の延在方向から見て前記毛の先端部が前記主軸に直交する方向に前記プラテンに対し位相がずれて運動するフロー動作のう
ちの1つ
である、方法。
【請求項6】
前記共振構造体が
、カンチレバー式毛の少なくとも1つのセット、カンチレバー式プラテン、
又は、複数の柔軟な構造
物からなるグループから選択される少なくとも1つを有する、請求項
5記載の方法。
【請求項7】
前記共振構造体が前記カンチレバー式プラテンを含
み、前記追加的な動作が、(i)揺動動作、(ii)ウェービング動作からなるグループから選択される少なくとも1つを有
するか、又は
前記共振構造体が中央領域に配置されるとともに前記共振構造体の主面から延在している前記複数の柔軟な構造物を含
み、前記追加的な動作が、フロー動作である、
請求項
6記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、一般に、電動歯ブラシなどのパーソナルケア機器に関し、より具体的には、パーソナルケア機器のための共振構造体を具備するアタッチメントと、共振構造体により動作を実施する方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔ヘルスケアと関連して、歯ブラシ(例えば、電動歯ブラシ)を用いた歯垢(プラーク)除去の第一の原則は、歯垢に対する十分な毛先端圧力を得ることである。毛先端がアクセスする領域を広げると、ユーザーの臨床結果が向上する。伝統的に、これを行なう最良の方法は、電動歯ブラシのブラシヘッドに追加の毛を設けることによるものである。しかしながら、追加の毛を設けることの欠点は、大きなモータ出力を必要とするより大きなプラテン、又は、より大きい毛の振幅を必要とすることである。別の欠点は、ブラシヘッドの慣性モーメントが増大するため、プラテンが大きくなるほど、歯間近接領域のような届きにくい場所への口内アクセスが減少し、モータ負荷が大幅に増加することである。モータの大きな振幅は、電流駆動トレインでは実装が難しく、電力要件が大幅に増加するが、これは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、従来技術の問題を克服するために、より大きなプラテン又は電力を必要とする駆動トレインモータを必要とせずに、より大きな毛先端のカバレージを達成するための改良された方法及び装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
或る態様によれば、パーソナルケア機器の動きからの典型的な毛掃引を越えて新たな動き及び利益を得る革新的な方法として共振構造体を含むパーソナルケア機器のためのアタッチメントが開示される。本開示の実施形態は、有利なことに、現在の製造技術を使用して共振構造体を実装するための新規な方法を提供し、これらの利点をどのようにモデル化し最適化することができるかを提供する。
【0005】
或る実施形態によれば、パーソナルケア機器は、ハンドルと、モータコントローラと、アタッチメントと、を有する。ハンドルは、駆動トレイン及び駆動シャフトを含む。モータコントローラは、第1の機械的刺激と第2の機械的刺激とのうちの少なくとも1つを生成するように駆動トレインの動作を制御するように構成される。アタッチメントは、アタッチメントの近位端と遠位端との間に延在している主軸を具備する本体を有し、近位端は駆動シャフトに連結し、遠位端はアタッチメント共振構造体を含む。第1の機械的刺激に応答して、アタッチメント共振構造体は、清掃動作を実行し、第2の機械的刺激に応答して、アタッチメント共振構造体は、清掃動作と、該清掃動作と同時に、主軸に対してゼロよりも大きい角度を持つ軌道に沿った動作などの追加的な動作と、を実行する。
【0006】
他の実施形態では、アタッチメント共振構造体は、カンチレバー式毛の少なくとも1つのブランチ、カンチレバー式毛の少なくとも1つのセット、カンチレバー式プラテン、複数の柔軟な構造物、前記複数の柔軟な構造物内の中央毛タフト、及び、それらの任意の組み合わせからなるグループから選択される1つを有する。共振構造体が、カンチレバー式毛の少なくとも1つのブランチを有する実施形態では、追加的な動作が、タッピング動作を有する。共振構造体が、カンチレバー式毛の少なくとも1つのセットを有する実施形態では、追加的な動作が、(i)主軸に沿った方向、(ii)主軸に対して垂直な方向からなるグループから選択される少なくとも1つを含む振動動作(例えば、振動共振動作)を有する。共振構造体が、カンチレバー式プラテンを有する他の実施形態では、追加的な動作が、(i)揺動動作、(ii)ウェービング動作からなるグループから選択される少なくとも1つを有する。共振構造体が、中央領域に配置されるとともに共振構造体の主面から延在している複数の柔軟な構造物を有する他の実施形態では、追加的な動作が、フロー動作である。共振構造体が、複数の柔軟な構造物内の中央毛タフトを更に含むことができる。この場合、追加的な動作は、フロー動作を有する。
【0007】
更に他の実施形態では、パーソナルケア機器において追加的な動作を実行する方法は、駆動トレイン及び駆動シャフトを含むハンドルを供給するステップを有する。当該方法は、モータコントローラにより、第1の機械的刺激と第2の機械的刺激とのうちの少なくとも1つを生成するように駆動トレインの動作を制御するステップを有する。また、上記方法は、アタッチメントの近位端と遠位端との間に延在する主軸を具備する本体を有するアタッチメントを供給するステップを有し、ここで、近位端は、駆動シャフトに結合し、遠位端は、共振構造体を含む。第1の機械的刺激を生成するように駆動トレインの動作をモータコントローラにより制御するステップに応答して、共振構造体は、清掃動作を実行する。第2の機械的刺激を生成するように駆動トレインの動作をモータコントローラにより制御するステップに応答して、共振構造体は、清掃動作に加えて追加的な動作を実行する。
【0008】
上記方法の或る実施形態では、追加的な動作は、主軸に対してゼロより大きい角度を有する軌道に沿った動作を含む洗浄動作に加えて、共鳴動作を有する。上記方法の他の実施形態では、共振構造体は、カンチレバー式毛の少なくとも1つのブランチ、カンチレバー式毛の少なくとも1つのセット、カンチレバー式プラテン、複数の柔軟な構造物、前記複数の柔軟な構造物内の中央毛タフト、及び、それらの任意の組み合わせからなるグループから選択される1つを含む。
【0009】
本開示の実施形態は、より大きなプラテン又はパワーを必要とする駆動トレインモーターなしに、より大きな毛先端のカバレージを達成する改良された方法及び装置を提供するという問題を有利に解決する。
【0010】
アタッチメントにおける共振構造体は、幾つかの理由で有益である。例えば、アタッチメントの揺動及び/又は追加的な動作を可能にするための共振構造体を具備するアタッチメントは、共振構造体からの追加的なパワーチップ運動を有利に提供する。また、共振構造体の揺れ及び/又は追加的な動作は、以前はアクセスできない到達困難な領域を清掃する可能性がある。さらに、追加的な毛の動作及びアタッチメントの動作は、パーソナルケア機器で利用可能な追加の独自の機能を提供することができる。
【0011】
本開示の実施形態に係る共振構造体は、アタッチメントの改善された性能を有利に提供する。口内感触と歯垢除去との両方を共振により高めることができる。アタッチメント毛の動きが大きくなると、口のカバレージがより高くなり、より多くの歯垢を除去することができる。これは、ブラシ鞭などの潜在的に陰性である可能性のある任意の口に対して慎重にバランスをとり、及び/又は、重み付けをすることができる。さらに、アタッチメントの共振構造体を介したマッサージ及び/又はタッピングを使用して、歯及び歯茎に新しい感覚を送達することもできる。
【0012】
本開示の実施形態に係る共振構造体は、ライフサイクルインジケータをさらに有利に提供することができる。共振構造体は、その追加的な動作のために、固有の応力集中/疲労点を有する。従って、アタッチメントの共振構造体は、適切な疲労点がアタッチメント交換インジケータ(例えば、追加的な振動の損失、構造の剛性の喪失、視覚疲労など)として作用するように調整することができる。
【0013】
以下の詳細な説明を読み理解することで、更なる利点及び利益が当業者にとって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の実施形態は、様々な構成要素及び構成要素の配置において、並びに、様々なステップ及びステップの配置において形態をとることができる。従って、図面は、様々な実施形態を説明するためのものであり、実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。図面において、同様の参照符号は同様の要素を指す。さらに、図面は一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る共振構造体を具備するアタッチメントを持つ、電動歯ブラシなどのパーソナルケア機器の概略図である。
【
図2】
図2は、追加的な動作がタッピング動作を含む共振構造体を具備するアタッチメントの2つの側面図を示す図(2A、2B)と、本開示の実施形態に係る2つの異なる共振構造体の上面図を示す図(2C、2D)と、を含む。
【
図3】
図3(3A、3B)は、本開示の実施形態に係る追加的な動作が正弦運動を含む共振構造体を具備するアタッチメントの側面図である。
【
図4】
図4(4A、4B)は、本開示の一実施形態に係る追加的な動作がアーチ動作を含む共振構造体を具備するアタッチメントの側面図である。
【
図5】
図5(5A、5B)は、本開示の一実施形態に係る追加的な動作が揺動動作を含む共振構造体を具備するアタッチメントの上面図である。
【
図6】
図6(6A、6B)は、本開示の一実施形態に係る追加的な動作がウェービング動作を含む共振構造体を具備するアタッチメントの底面図である。
【
図7】
図7(7A、7B、7C)は、
図6Bの線分7-7に沿ったアタッチメントの断面図であり、本開示の一実施形態に係るウェービング動作を図示している。
【
図8】
図8(8A、8B、8C、8D)は、本開示の一実施形態に係る保持共振構造体を具備するアタッチメントの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の実施形態及びその様々な特徴及びその有利な詳細は、図面に記載及び/又は図示され、以下の説明において詳述される非限定的な実施例を参照してより完全に説明される。図示された特徴は必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、一実施形態の特徴は、本明細書に明示的に述べられていなくても当業者が認識するであろう他の実施形態と共に使用され得ることに留意されたい。本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知の構成要素及び処理技術の説明を省略することができる。本明細書で使用される例は、本発明の実施形態が実施され得る方法の理解を容易にすることを意図し、さらに当業者が同じことを実施することを可能にすることを意図している。したがって、本明細書の実施例は、添付の特許請求の範囲及び適用法によってのみ定義される本開示の実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0016】
本開示の実施形態は、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコル、デバイス、装置、材料、用途などに限定されず、これらは変更され得ることが理解される。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態のみを説明するために使用され、特許請求される実施形態の範囲を限定することを意図するものではないことも理解されたい。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。
【0017】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示の実施形態が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及び材料と類似又は同等の任意の方法及び材料が、実施形態の実施又は試験において使用され得るが、好ましい方法、デバイス及び材料が記載される。
【0018】
本開示の実施形態によれば、パーソナルケア機器用アタッチメントのための共振構造体は、パーソナルケア機器の駆動トレインからの所定の励起下に置かれたときに、アタッチメントの振動特性に依存する。共振は、様々な場所で様々な方法で起こり得る。例えば、共振は、アタッチメントのねじれ回転、アタッチメントの屈曲振動、アタッチメント先端の揺れ、プラテン内の波動振動、毛ホイップなどの1つ以上の関数として生じ得る。
【0019】
所与の材料からなる特定の構造の共振は、材料の音速、構造の形状の幾何学的形状、及び、特定の構造が隣接する構造に結合される方法に依存する。また、共振を駆動するために最も重要なことは、共振を駆動するために使用される駆動列出力である。共振構造体を作り、刺激することができる多くの異なる方法がある。
【0020】
理想化された片持ち梁の横方向の曲げのために、以下の運動方程式がその挙動を記述する。
【数1】
ここで「E」は材料の剛性-弾性率である。「I」は、形状/質量分布-慣性モーメントである。「ρ」は質量密度である。「A」は断面積である。「x」は、梁のベースから関心のあるポイントまでの距離であり、「y」は曲げ中に関心のあるポイントが移動する垂直距離であり、「t」は時間である。
【0021】
物体の固有振動周波数を求めると、次の式が得られる。
【数2】
ここで固有振動数「ω」は以下の変数に依存する:材料剛性-弾性係数「E」、形状/質量分布-慣性モーメント「I」、質量密度「ρ」、断面積「A」、所与の固有周波数の対応する波数である「k」である。共振励起に関して、本発明者は、駆動トレインの所与の出力(又は複数の出力)に一致するようにアタッチメント共振構造体の共振周波数を設計することにより、共振動作が示されることを見出した。
【0022】
共振は、アタッチメントにおける共振構造体として、毛又はプラテンを利用する幾つかのプロトタイプにおいて実証されている。アタッチメント内の共振構造体の共振は、パーソナルケア機器のハンドルに配置された駆動トレインから機械的に駆動される。アタッチメントの共振構造体は、駆動トレインからの機械的刺激に応答するように適切に設計されている。共振の例には、(i)潜在的なマッサージ又は隣接歯間の利益をもたらすことができるプラテン「タッピング」、(ii)潜在的な増加したパワーチップのアクセス可能性を提供することができるアタッチメント「揺れ」、(iii)潜在的なプラーク除去及び歯肉洗浄の増加可能性を与える毛の振幅又は毛の「ホイップ」、並びに、(iv)例えば、アタッチメントの遠位端の構造の中心に潜在的な練り歯磨きの保持を提供することができるゴム構造を含む。
【0023】
ここで、
図1を参照すると、本開示のパーソナルケア機器10の概略図が示されている。本開示の実施形態によれば、パーソナルケア機器10は、ハンドル16と、モータコントローラ18と、共振構造14を有するアタッチメント12と、有する。或る実施形態では、アタッチメント12は、交換可能なアタッチメントを備える。パーソナルケア機器10は、好ましくは電動歯ブラシを含む。ハンドル16は、駆動トレイン20及び駆動シャフト24を含む。駆動シャフト24は、ハンドル16の遠位端28から延びている。
【0024】
モータコントローラ18(即ち、制御電子回路)は、本明細書でさらに説明するように、様々な機能を実現するための電力及び制御信号を提供するための任意の適切なコントローラ、マイクロコントローラ、プロセッサ、電源及び/又は他の電子機器を含む。また、パーソナルケア機器10は、(i)オフ状態と、(ii)少なくとも1つの作動オン状態との間で動作可能な作動ボタン30(又は同等の機構)をさらに備える。少なくとも1つの作動オン状態は、本明細書で説明するように、パーソナルケア機器10を用いて様々なケアルーチン及び/又は動作を実施するための1つ又は複数の動作状態を含むことができる。さらに、少なくとも1つの作動オン状態は、ケアルーチン及び/又は動作と併せて共振構造体の共振を実施することに関する適切な手順及び/又は制御ルーチンを含む。
【0025】
或る実施形態では、モータコントローラ18は、第1の機械的刺激と第2の機械的刺激とのうちの少なくとも1つを生成するように、駆動トレイン20の1又は複数の動作を制御するように構成される。例えば、第1の機械的刺激は、第1の共振周波数を有する清掃クリーニング動作を含むことができ、第2の機械的刺激は、第2の共振周波数を有する動作を含むことができる。他の実施形態では、モータコントローラ18は、オフ状態と、(i)第1の共振周波数を持つ第1の機械的動作、及び、(ii)第2の共振周波数を持つ第2の機械的動作の少なくとも1つとの間で、駆動トレインの動作を制御するように構成されている。
【0026】
なお
図1を参照すると、アタッチメント12は、アタッチメント12の近位端36と遠位端38との間に延在している主軸34を有する本体32を持つ。近位端36は、圧入又は他の適切な連結機構により、ハンドル16の遠位端38から延在する駆動シャフト24の一部に接続される。アタッチメント12の遠位端38は、アタッチメントの特定の用途の要件に従って構成された毛40を含むことができる共振構造体14を含む。
【0027】
動作中、駆動トレイン20の動作を制御して第1の機械的刺激(例えば、第1の共振周波数を有する第1のクリーニング動作)を生成するよう動作するモータコントローラ18に応答して、共振構造体14は、クリーニング動作42を実施する。第2の機械的刺激(例えば、第2の共振周波数を有する第2の動作)を生成するように駆動トレイン20の動作を制御するように動作するモータコントローラ18に対して、共振構造体14は、洗浄動作42と、該洗浄動作42と同時に、少なくとも1つの追加的な動作(44,46,48,50,52)とを実施する。なお、これについては、以下、共振構造体14の様々な実施形態を参照して本明細書でさらに説明する。
【0028】
共振構造体14は、カンチレバー式毛43の少なくとも1つのブランチ、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセット、カンチレバー式プラテン47、複数の柔軟な構造物56、複数の柔軟な構造物56内の中央毛タフト58、及び、それらの任意の組み合わせからなるグループから選択される(
図2乃至
図8)。「カンチレバー式毛のブランチ」は、プラテンの残りの部分から独立して動くことができるプラテンの別個のアームを指す。「カンチレバー式毛のセット」は、柔軟なプラテン上の毛を指し、波形が柔軟なプラテン内に生成され得る。
【0029】
ここで
図2を参照すると、追加的な動作がタッピング運動44を含む共振構造体14を有するアタッチメント12の2つの側面図が、
図2(2A、2B)に示されており、本開示の実施形態に係る2つの異なる共振構造体の上面図が
図2(2C、2D)に示されている。共振構造体14は、カンチレバー式毛43の少なくとも1つのブランチを含み、追加的な動作は、共振タッピング動作44を有する。或る実施形態(
図2(A、B、C))では、アタッチメント12の近位端36により近いタッピング動作44の振幅は、アタッチメント12の遠位端38により近いタッピング動作44の振幅よりも小さい。他の実施形態(
図2(D))では、アタッチメント12の遠位端38により近いタッピング動作44の振幅は、アタッチメント12の近位端36により近いタッピング動作44の振幅よりも小さい。第1の例では、カンチレバー式毛43の少なくとも1つのブランチは、音叉の突起と同様にして延在し(
図2(C))、第2の例では、カンチレバー式毛43の少なくとも1つのブランチは同様の方法で延び、音叉の突起のみが逆方向を指している(
図2(D))。他の実施形態では、カンチレバー式毛43の少なくとも1つの枝は、カンチレバー式毛の複数のブランチを有し、タッピング動作44は、カンチレバー式毛43の各ブランチのための異なるタッピング動作を含む。
【0030】
第2の実施形態では、
図3に示されるように、共振構造体14は、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセットを有し、追加的な動作は、(i)主軸34に沿った方向、及び、(ii)主軸34に対して垂直な方向、からなるグループから選択される少なくとも1つを含む振動又は正弦動作46を有する。なお
図3を参照して、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセットの近位端と遠位端との間の振動動作46の振幅は、正弦波である。
【0031】
ここで
図4を参照すると、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセットを有する共振構造体14を備えたアタッチメント12の側面図が示されており、追加的な動作は、アーチ動作48である。なお
図4を参照すると、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセットの近位端と遠位端とにおける振動動作48の振幅は、振動アーチの形式における、近位端と遠位端との
間の振動動作48よりも小さい。さらに、
図4に見られるように、共振構造体14は、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセットの長さ寸法の第1及び第2の端部に取り付けられた少なくとも1つの上部部材を含み、ここで、カンチレバー式毛45の少なくとも1つのセットの長さ寸法の第1の端部と第2の端部との間に延在している少なくとも1つの上部部材の領域は、連結されていない。
【0032】
ここで
図5を参照すると、本開示のアタッチメント12の他の実施形態の上面図が示されている。共振構造体14は、カンチレバー式プラテン47を有し、追加的な動作50は、主軸34を横切るカンチレバー式プラテン47の動作であり、カンチレバー式プラテンの近位端47aにおいてカンチレバー式プラテンの遠位端47bにおける
揺動動作の振幅よりも小さい振幅(即ち、
揺動動作の振幅)を持つ、共振
揺動動作50である。共振構造体14のプラテン47は、所望の
揺動動作50を提供するのに必要な、適切な梁及び錘(例えば、プラテン47の長さ寸法に沿って延びる中心梁及びプラテンの角部における重り)を更に有する。さらに、毛(図示省略)は、プラテンの1又は複数の主面から延びている。
【0033】
ここで
図6を参照すると、カンチレバー式プラテン47を有する共振構造体14を具備するアタッチメント12の底面図が示されており、追加的な動作は、本開示の一実施形態によるウェービング動作52である。ウェービング動作52は、主軸34を横切る複数の毛40の運動を含み、カンチレバー式プラテン47の第2の端部におけるウェービング動作の振幅よりも大きいカンチレバー式プラテン47の第1の端部における振幅(即ち、ウェービング動作の振幅)を持つ。或る実施形態では、カンチレバー式プラテン47の第1の端部は、近位端に対応し、第2の端部は遠位端に対応することができる。あるいは、カンチレバー式プラテン47の第1の端部は、遠位端に対応することができ、第2の端部は、近位端に対応することができる。
【0034】
ここで
図7を参照すると、本開示の実施形態に従ったウェービング動作又は毛「ホイップ」を示す、
図6の線分7-7に沿った、プラテン47の断面図が示されている。毛ホイップは、毛40(即ち、毛の上部)の動きが支持構造体(即ち、プラテン47)と位相がずれることに応答して生じる。加えて、これは、通常予想されるものよりも大きな毛先端振幅にも関連する。毛ホイップは、はるかに小さいアタッチメントを有する毛洗浄の口腔内カバレージがはるかに大きくなるなど、大きな利益につながる。
【0035】
フィリップスソニッケアー(登録商標)用の駆動トレイン上のブラシヘッドなどのアタッチメントは、
図7(B)に図示される状態と同様、通常の負荷状態下で、ピークトゥピークで10度回転する。典型的なブラシヘッドの場合、毛は、基礎となる支持構造と同相で同期して動く。動作の総量は、アーク長=θ・r(即ち、シータ*半径(回転54の中心からの半径))によって規定される。
【0036】
しかしながら、毛ホイップでは、毛のたわみが、通常の動作中に発生するように設計されている。これは、より大きな振幅を意味し、毛40の動きは、プラテン47の動きより遅れていることを意味する。
図7(C)を参照すると、ステップ1及び2において、毛40及びプラテン47は、実質的に同相で(第1回転方向に)回転している。ステップ3では、プラテン47は回転を停止しているが、毛40は移動し続けている(即ち、時計回り、又は、
図7(C)、ステップ3の図では右回り)。ステップ4では、プラテン47が逆方向(反時計回り又は左回り)に回転し始めるが、毛40の回転慣性により、毛40は本来の方向(即ち、第1の回転方向)に回転し続ける。
【0037】
ここで
図8を参照すると、本開示の一実施形態に係る共振構造体14を具備するアタッチメント12の説明図が示されている。
図8の実施形態では、共振構造体14は、中央領域に位置し、共振構造体14の主面においてプラテン47から延びる、複数の柔軟な構造56の1又は複数のセットを含む。また、共振構造体14は、少なくとも1セットの柔軟な構造56内に配置された少なくとも1つの中心毛タフト58を含むことができる。柔軟な構造56は、フロー動作60である追加的な動作を示し、複数の柔軟な構造56のうちの1又は複数の内に歯磨き剤又は練り歯磨きスラリー(図示省略)を保持するように動作可能である。
【0038】
或る実施形態では、柔軟な構造56は、毛タフトの中心に歯磨き剤を保持する可能性のあるゴム構造を有する。
図8(A)、
図8(B)、
図8(C)、
図8(D)などのシーケンスにより図示されるように、柔軟な構造56の頂部がプラテンの動きより遅れ、「毛ホイップ」と同様の挙動が生じている。プラテン47の動きから遅れがあると、柔軟な構造56は、アタッチメント12の残りの部分と比較してほぼ直接位相がずれて動く。さらに、これにより、中央毛タフト58は、アタッチメント12の全運動サイクルの間にほぼ静止したままになる。従って、これは、アタッチメント12上に歯磨きペーストスラリーを保持する利点をもたらし得る。
【0039】
以上、幾つかの例示的な実施形態について詳細に説明したが、当業者は、本開示の実施形態の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの変更が可能であることを容易に理解する。例えば、本開示の実施形態は、歯科医療用途における電動歯ブラシを制御する方法において有利に使用することができる。従って、そのような変更の全ては、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の実施形態の範囲内に含まれることが意図される。特許請求の範囲において、means-plus-function節は、構造的均等物だけでなく、列挙された機能を実行するものとして本明細書に記載された構造をカバーすることを意図している。
【0040】
さらに、1又は複数の請求項の括弧内の参照符号は、請求項を限定するものと解釈されてはならない。「有する(comprising、comprises)」などの単語は、請求項又は明細書全体に列挙された要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素の単数の参照は、そのような要素の複数の参照を排除するものではなく、逆も同様である。1又は複数の実施形態は、幾つかの異なる要素を含むハードウェアによって、及び/又は、適切にプログラムされたコンピュータによって実装されてもよい。幾つかの手段を列挙する装置の請求項において、これらの手段の幾つかは、同一のハードウェアアイテムによって具体化されてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用できないことを示すものではない。