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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】テープカッター
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20220704BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B65H35/07 N
B26D1/02 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018045534
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019156570
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】518087384
【氏名又は名称】▲高▼井 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 一雄
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-072857(JP,U)
【文献】特開2010-111515(JP,A)
【文献】特開平07-017662(JP,A)
【文献】特開2004-083275(JP,A)
【文献】実開平01-118958(JP,U)
【文献】特開2015-030599(JP,A)
【文献】特開平09-100061(JP,A)
【文献】特開2016-179879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00-35/10
B26D 1/00- 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻テープを回動自在に保持する保持部を台後部に有する基台と、前記基台の台前部に配備されたテープ切断刃と、前記保持部と前記テープ切断刃の間の前記基台に立設された起立部に配備されていて前記巻テープから繰り出された粘着テープの粘着面を載置するテープ載置台と、を有して成るテープカッターであって、
上端が前記起立部に前後揺動自在に枢支された第1揺動部材、前記第1揺動部材の前方位置または前記第1揺動部材の下部に設けられた支点を中心として前後揺動自在に設けられるとともに前方揺動した前記第1揺動部材の下部との連結によりまたは当接干渉により揺動する第2揺動部材、および、前記第2揺動部材の上端部に配備されていて前記テープ切断刃で切断された粘着テープの切断端を粘着保持する仮支持部材、から成るテープ端運搬機構を備えるとともに、前記テープ載置台が前記テープ端運搬機構の第1揺動部材の上端に取り付けられていて、
前記テープ端運搬機構は、前記巻テープと前記テープ載置台の間の粘着テープが持ち上げられたときに前記テープ載置台が前記第1揺動部材を前方揺動させるとともに前記第1揺動部材の下部前記第2揺動部材の下部との連結によりまたは当接干渉によって前記第2揺動部材の上部を後方揺動させることにより、前記仮支持部材に粘着保持された粘着テープの切断端を前記テープ切断刃側から前記テープ載置台へ運び、前記テープ載置台上の粘着テープに粘着させてタブ部を形成するように構成されていることを特徴とするテープカッター。
【請求項2】
前記テープ載置台が、揺動機構を介して前記テープ端運搬機構の第1揺動部材の上端に前後揺動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のテープカッター。
【請求項3】
前記テープ切断刃と前記テープ載置台との間の距離を可変にして前記テープ切断刃を前記基台の台前部に固定する距離可変機構を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のテープカッター。
【請求項4】
前記テープ端運搬機構の第1揺動部材および第2揺動部材を前記起立部に係脱自在に固定する前後動ロック機構を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のテープカッター。
【請求項5】
前記粘着テープの切断端に形成されたタブ部の前面を後向きに押すタブ部押圧部材と、前記タブ部押圧部材と連結されるとともに前記第1揺動部材または前記第2揺動部材に配備されていて前記第2揺動部材が前記第1揺動部材に近づいたときに前記タブ部押圧部材を持ち上げた後にタブ部の前面を後向きに押動させる押圧部材駆動機構と、を備えていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のテープカッター。
【請求項6】
前記テープ切断刃が前記仮支持部材の上端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のテープカッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストアや大型書店などのサービスで商品や包装に貼り付けられた粘着テープを後で剥がしやすくするために、指で摘むためのタブ部を粘着テープに形成する機能を有するテープカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のテープカッターとしては、例えば下記の特許文献1に記載されたものが知られている。このテープカッターは、基台の台後部に巻テープの保持部が設けられ、基台の前後途中部分に、巻テープから繰り出された粘着テープの粘着面を載置するテープ載置台が固設されている。そして、テープ載置台よりも前方位置の基台にはテープ切断刃が前後揺動自在に取り付けられ、そのテープ切断刃は弾性部材により常時テープ載置台に向けてバネ付勢されている。
【0003】
このテープカッターによれば、通常時にテープ切断刃はテープ載置台に接しており、これらの間でテープ端部のタブ部が形成されたままになっている。そこで、粘着テープを切断する際には、利用者がタブ部を摘み、粘着テープの粘着面をテープ切断刃に密接させた状態で粘着テープを巻テープから引き出す。このように粘着テープが引き出されるときに、粘着テープの粘着面がテープ載置台の上面を摺動する。一方、テープ引き出し動作に随伴してテープ切断刃も前方へ揺動し、その揺動限界で停止する。その揺動限界を超えてなお粘着テープが引き出されるとき、粘着テープはその粘着面がテープ切断刃の刃先を摺動しながら引き出される。その後、所望位置で粘着テープが切断されると、テープ切断刃が後方に揺動し、それに随伴して粘着テープの切断端がテープ載置台まで移動し、テープ載置台上の粘着テープに粘着してタブ部を形成するようになっている。このような特許文献1開示の技術に類似しているものは多数提案されており、数多くの特許出願や実用新案登録出願がなされている。
【0004】
ところで、前記した特許文献1開示のテープカッターにおいて、粘着テープはその粘着面に付着させたテープ切断刃を随伴させながら引き出されるので、汎用されているOPP粘着テープのような強度の低い粘着テープであると、引き出し時に千切れてしまうので使用できない。そのために、比較的強度の高いセロハン粘着テープを専ら使用せざるを得ないという不具合がある。また、テープ切断刃は常に粘着テープの粘着面に食い込んでいるか或いは食い込んだまま摺接するので、擦り取られた粘着剤が刃先に次第に溜っていき、これによってテープ切断刃の汚れが目立つようになり切れ味も低下していき、延いてはテープ切断端に粘着剤が移行して包装の見栄えを損なうという不具合もある。
【0005】
一方で、別のタイプのテープカッターが、例えば下記の特許文献2に記載されている。このテープカッターは、基台の台後部に巻テープの保持部が設けられ、台前端部にテープ切断刃が固設され、保持部とテープ切断刃の間の基台に、巻テープから繰り出された粘着テープの粘着面を載置するテープ載置台が固設されている。更に、テープ載置台とテープ切断刃の間の基台に、テープ切断刃で切断された粘着テープの切断端を支持する仮支持部材が前後揺動自在に枢支され、その仮支持部材は弾性部材によってテープ載置台に近接するように常時バネ付勢されている。このテープカッターによれば、切断されて仮支持部材に保持された粘着テープの切断端は弾性部材のバネ力によりテープ切断刃側からテープ載置台へ自動的に運ばれ、テープ載置台上の粘着テープに接着してタブ部を形成するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-100061号公報
【文献】特開2017-186103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1,2開示のテープカッターでは、テープを切断した後にテープ切断刃や仮支持部材がバネ力でテープ載置台へ戻されるときにタブ部を形成するので、テープ切断直後に必ずタブ部が形成されることになる。このタブ部は粘着テープの粘着面同士が接着したものであるから、タブ形成後にそのままの状態で長期間放置されると、テープが元の直線状に戻ろうとする力で徐々に接着部分が剥がれてしまい、タブ部が解離することがある。
これら特許文献1,2のテープカッターにおいて、粘着テープを巻テープから真っすぐに引き出してテープ切断刃に対し直角に当てて切断するようにすれば、通常のタブ部を何とか形成させることはできる。しかしながら、急ぎの作業などで粘着テープをテープ切断刃に対し斜めに引っ張って切断したときは、タブ形成部分のテープが下向きに湾曲して粘着面でない面同士が接するという「逆折れ現象」を生じて、タブ部を形成できないことがある。
また、特許文献1,2のテープカッターのいずれも、テープ切断時にタブ部を持ってテープを所望量引き出す際に、テープの粘着面をテープ載置台やテープ切断刃で滑らせながら引き出して切るという操作が必要になる。そのために、テープ載置台やテープ切断刃に粘着剤が溜まりやすく、正常なタブ部の形成を阻害する場合がある。また、引用文献1記載のテープカッターはテープ切断刃の揺動半径が小さいので、タブ部の長さが短く摘みにくいものとなる。そこで、テープ切断刃の揺動半径を大きくしようとすると、前述した逆折れ現象を生じやすくなるおそれがある。
更には、特許文献1,2のテープカッターのいずれも、テープ切断刃や仮支持部材の戻し動作に弾性部材を使用しているので、部品点数が多くなるとともに弾性部材取付構造も加えざるを得ず、製造コストが高くなるという問題もある。
【0008】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、簡素で安価な構成によって安定したタブ部を確実に形成することのできるテープカッターの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るテープカッターは、巻テープを回動自在に保持する保持部を台後部に有する基台と、基台の台前部に配備されたテープ切断刃と、保持部とテープ切断刃の間の基台に立設された起立部に配備されていて巻テープから繰り出された粘着テープの粘着面を載置するテープ載置台と、を有して成るテープカッターであって、上端が起立部に前後揺動自在に枢支された第1揺動部材、第1揺動部材の前方位置または第1揺動部材の下部に設けられた支点を中心として前後揺動自在に設けられるとともに前方揺動した第1揺動部材の下部との連結によりまたは当接干渉により揺動する第2揺動部材、および、第2揺動部材の上端部に配備されていてテープ切断刃で切断された粘着テープの切断端を粘着保持する仮支持部材、から成るテープ端運搬機構を備えるとともに、テープ載置台がテープ端運搬機構の第1揺動部材の上端に取り付けられていて、テープ端運搬機構は、巻テープとテープ載置台の間の粘着テープが持ち上げられたときにテープ載置台が第1揺動部材を前方揺動させるとともに第1揺動部材の下部第2揺動部材の下部との連結によりまたは当接干渉によって第2揺動部材の上部を後方揺動させることにより、仮支持部材に粘着保持された粘着テープの切断端をテープ切断刃側からテープ載置台へ運び、テープ載置台上の粘着テープに粘着させてタブ部を形成するように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記構成において、テープ載置台が揺動機構を介してテープ端運搬機構の第1揺動部材の上端に前後揺動可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0011】
そして、前記した各構成において、テープ切断刃とテープ載置台との間の距離を可変にしてテープ切断刃を基台の台前部に固定する距離可変機構を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
更に、前記した各構成において、テープ端運搬機構の第1揺動部材および第2揺動部材を起立部に係脱自在に固定する前後動ロック機構を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、前記した各構成において、粘着テープの切断端に形成されたタブ部の前面を後向きに押すタブ部押圧部材と、タブ部押圧部材と連結されるとともに第1揺動部材または第2揺動部材に配備されていて第2揺動部材が第1揺動部材に近づいたときにタブ部押圧部材を持ち上げた後にタブ部の前面を後向きに押動させる押圧部材駆動機構と、を備えていることを特徴とするものである。
【0014】
そして、前記した各構成において、テープ切断刃が仮支持部材の上端部に取り付けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るテープカッターによれば、第1揺動部材、第2揺動部材および仮支持部材から成るテープ端運搬機構を備えるとともに、テープ載置台がテープ端運搬機構の第1揺動部材の上端に取り付けられているので、粘着テープの切断端が仮支持部材に保持されている状態からテープを切断するに際して、利用者が保持部とテープ載置台の間のテープを持ち上げると、テープ載置台が保持部側に傾いてテープ端運搬機構の第1揺動部材が前方に揺動し、その後第2揺動部材が後方に揺動する。これにより、第2揺動部材先端の仮支持部材に支持されていた粘着テープの切断端はテープ切断刃側からテープ載置台へ運ばれたのち、テープ載置台上の粘着テープの粘着面に接着してタブ部にされる。すなわち、簡素で安価な構成により安定してタブ部を形成できるのである。
この場合、テープ切断刃と仮支持部材が別個独立に構成されているものでは、テープ切断時にテープ切断刃に粘着していたテープの切断端が、第2揺動部材の戻される力によりテープ切断刃から剥がされるので、後に形成されるタブ部の解離を引き起こしにくい。これに対し、テープ切断刃と仮支持部材が一体に構成されたものでは、テープ切断刃に溜まった粘着剤によりテープ切断端が強く粘着されるので、タブ部の形成後に更にテープが持ち上げられたとき、タブ部の粘着面間の粘着力がテープ切断端の粘着力に打ち負けて剥がれてしまい、タブ部が解けやすくなる。
【0016】
また、テープ載置台が揺動機構を介してテープ端運搬機構の第1揺動部材の上端に前後揺動可能に取り付けられているものでは、テープ切断に際して、テープ載置台と巻テープの間のテープが持ち上げられると、テープ載置台が後向きに揺動して立ち上がるので、テープ載置台よりも前方位置のテープは上向きに持ち上げられる。その状態で仮支持部材が接近してタブ部が形成されるので、例え平らなテープであっても、粘着テープが下向きに湾曲して非粘着面同士が接するという、いわゆる逆折れ現象を引き起こすことがない。従って、失敗することなく確実にタブ部を形成することができる。
【0017】
そして、テープ切断刃とテープ載置台との間の距離を可変にしてテープ切断刃を基台の台前部に固定する距離可変機構を備えているものでは、テープ切断刃とテープ載置台との間の距離がタブ長の略2倍に相当するから、当該距離の変更を可能とすることにより、タブ長を利用者所望の長さに設定変更することができる。
【0018】
更に、テープ端運搬機構の第1揺動部材および第2揺動部材を起立部に係脱自在に固定する前後動ロック機構を備えているものでは、テープ端運搬機構の第1揺動部材および第2揺動部材を起立部に固定することができ、これによってテープ切断後も第2揺動部材他端の仮支持部材は動かないので、単にテープを切るだけでタブ部は形成しない従来汎用タイプのテープカッターとして、使用することも可能である。
【0019】
また、タブ部押圧部材と押圧部材駆動機構とを備えているものでは、テープ端運搬機構により形成された直後のタブ部を押圧して粘着面同士を更に密着させるので、タブ部の粘着強度を高めることができる。これにより、テープ切断に際して、テープ載置台と巻テープの間のテープを持ち上げてテープ載置台の直前にタブ部を形成させ、その後更にテープを持ち上げても、タブ部の粘着面間が剥がれてタブ部が解離するということがない。因みに、切断回数を重ねていくと、仮支持部材の支持端に粘着剤が溜まっていくが、タブ部の形成後に引き続きテープが持ち上げられると、テープ載置台上からはテープが離脱できるが、仮支持部材には粘着されたままとなることがある。そのような場合、タブ部の粘着面間が引き剥がされてタブ部が解かれやすくなる。
【0020】
そして、前記した各構成において、テープ切断刃が仮支持部材の上端部に取り付けられているものでは、仮支持部材の前方位置にテープ切断刃を保持するための刃支持部を必要としないので、部品点数を少なくすることができ、簡素で安価な構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るテープカッターの斜視図である。
図2】前記テープカッターの側面図である。
図3】前記テープカッターの平面図である。
図4】前記テープカッターの正面図である。
図5】前記テープカッターの刃支持部を示す図であって、(a)は正面図、(b)は(a)におけるB-B線矢視図である。
図6】前記テープカッターのテープ端運搬機構を示す図であって、(a)は側面図、(b)は第1揺動部材に対して第2揺動部材を展開した態様を示す正面図である。
図7】前記テープカッターにおけるテープ中間支持部の揺動機構を示した概略部分斜視図である。
図8】前記テープカッターの動作を図3のA-A線矢視に対応させて示す図であって、(a)はテープ切断刃によりテープを切断した直後の状態を示す動作説明図、(b)は(a)に続く状態を示しておりテープ載置台と巻テープとの間のテープを人差指と親指でつまんで少し引き上げた状態を示す動作説明図である。
図9】前記テープカッターの動作を図3のA-A線矢視に対応させて示す図であって、(a)は図8(b)に続く状態を示しておりテープ載置台と巻テープとの間のテープをより引き上げた状態を示す動作説明図、(b)は(a)に続く状態を示しておりテープ載置台と巻テープとの間のテープを更に引き上げてタブ部を形成した状態を示す動作説明図である。
図10】前記テープカッターにおけるテープ中間支持部の動作を側面から部分的に視た図であって、(a)は図2に対応した動作説明図、(b)および(c)は図8(a)に対応した動作説明図、(d)は図8(b)および図9(a)に対応した動作説明図、(e)は図9(b)に対応した動作説明図である。
図11】本発明の別の実施形態に係るテープカッターの部分正面図である。
図12】前記別のテープカッターの第2揺動部材および押圧部材駆動機構などを示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は第2揺動部材だけを示した側面図である。
図13】前記別のテープカッターの動作を示す図であって、(a)はテープ切断刃によりテープを切断した直後の状態を示す動作説明図、(b)はタブ部が形成される直前の状態を示す動作説明図、(c)は形成されたタブ部の前面を押圧した状態を示す動作説明図である。
図14】前記別のテープカッターの基台に当り突起を設けた部分側面構成図である。
図15】本発明の更に別の実施形態に係るテープカッターの動作を示す図であって、(a)はテープ切断刃によりテープを切断した直後の状態を示す動作説明図、(b)はタブ部が形成される手前の状態を示す動作説明図、(c)は形成されたタブ部の前面を押圧した状態を示す動作説明図である。
図16】本発明の他のテープカッターの部分側面構成と動作を示す図であって、(a)はテープ切断刃によりテープを切断した直後の状態を示す動作説明図、(b)はタブ部が形成される直前の状態を示す動作説明図、(c)はタブ部を形成した状態を示す動作説明図である。
図17】本発明の更に他のテープカッターの部分側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、図1は本発明の一実施形態に係るテープカッターの斜視図、図2は側面図、図3は平面図、図4は正面図である。
各図において、この実施形態に係るテープカッター1は、巻テープTWを回動自在に保持する保持部3を台後部に有する基台2と、基台2の台前部に配備されたテープ切断刃9と、保持部3とテープ切断刃9の間の基台2に立設された起立部2E,2Fに配備されていて巻テープTWから繰り出された粘着テープTの下面である粘着面TFを載置して一時的に仮留めするテープ載置台7と、を有している。また、それぞれ後で詳述する、刃支持部5、テープ中間支持部4、テープ端運搬機構6も有している。
【0023】
前記の基台2は、平面矩形状の底板2Aの左右辺部に側板2B,2Bが立設されている。側板2B,2Bの台後部に、側面視Lの字状に切り欠かれた保持部3,3が形成されている。これらの保持部3,3は、巻テープTWを装着した受けホイール23の突出軸24,24を回動自在に軸支するようになっている。前記の各側板2Bは、外板2Dと内板2Cとが貼り合わされて構成されている。外板2Dおよび内板2Cの台前部には、台後部よりも高く起立した起立部2E,2Fが形成されている。これらの起立部2E,2E,2F,2Fに取り付けられるテープ載置台7の高さ位置は、テープ切断刃9の上端よりも高く設定されている。
また、各側板2Bには、枢軸20を挿通支持する軸穴10、枢軸28を挿通支持する軸穴11、前後動ロック機構45の挿通用穴13、および距離可変機構43の円弧穴12がそれぞれ形成されている。内板2F,2Fの軸穴42,42の下方位置には、ストッパ軸40を支持するための軸穴41,41が形成されている。そして、側板2Bの内板2Cの前部には、刃支持部5の側杆16を前後移動可能に収容する、側面視で略Vの字状の切欠き部14が形成されている。
【0024】
前記した刃支持部5は、図5に示すように、左右1対の側杆16,16と、側杆16,16の上部に架け渡されて門形状を成す当り板15と、当り板15の上辺から突出した状態で固定されたテープ切断刃9と、側杆16,16の上部に形成された雌ネジ穴18,18に螺着される雄ネジ19,19と、側杆16,16の下端部に形成された軸穴17,17に挿通されて側杆16,16を軸支する枢軸20,20と、から構成されている。尚、当り板15の下辺は、後で詳述するテープ端運搬機構6の側杆34が当接して揺動支点となる支点15Aである。
【0025】
前記のテープ端運搬機構6は、図6に示すように、上端が起立部2E,2Fに前後方向(矢印R3方向)に揺動自在に枢支された第1揺動部材25と、一端が第1揺動部材25の下端に前後方向(矢印R2方向)に揺動自在に連結されて第1揺動部材25とともに側面視略Vの字形状を成す第2揺動部材26と、第2揺動部材26の他端に配備されていてテープ切断刃9で切断された粘着テープTの切断端TEを仮留めする仮支持部材36と、枢軸27,28と、を備えて構成されている。前記の第1揺動部材25は、左右1対の側杆30,30と、側杆30,30間に架け渡されて枠体状を成す横桟板31,31と、側杆30,30の上端部に形成された軸穴32.32と、側杆30,30の下端部に形成された軸穴33.33と、から構成されている。側杆30,30の上端部には、後で詳述する係止段部30A,30A,30B,30Bが形成されている。また、側杆30,30の上端部には、軸穴32.32に挿通される枢軸28によって、テープ中間支持部4が前後方向(矢印R1方向)に揺動可能に取り付けられている。
【0026】
前記の第2揺動部材26は、左右1対の側杆34,34と、側杆34,34間に架け渡されて枠体状を成す横桟板35と、側杆34,34の下端部に形成された軸穴38.38と、側杆34,34の上端部に取り付けられて先端部に仮支持端37を有する仮支持部材36と、から構成されている。この第2揺動部材26は、側杆34,34の軸穴38.38および第1揺動部材25の軸穴33.33を枢軸27が一連に挿通されることにより、第1揺動部材25に対して前後揺動自在に連結される。
かかるテープ端運搬機構6は、第1揺動部材25の前方揺動(図9中の矢印R6,R7方向)および第2揺動部材26の後方揺動(図9中の矢印R8,R9方向)により、切断された粘着テープTの切断端TEをテープ切断刃9からテープ載置台7へ運び、テープ載置台7上の粘着テープTの粘着面TFに接着させてタブ部TAを形成するようになっている。
【0027】
そうして、テープ端運搬機構6の第1揺動部材25の側杆30,30の上端部には、図6および図7に示すように、テープ中間支持部4が配備されている。このテープ中間支持部4は、軸心方向に貫通して形成された軸穴22を有する支持筒部21と、支持筒部21の外周面に接線方向に配置された板状のテープ載置台7と、テープ載置台7を支持筒部21に連結固定する連結部29と、から構成されている。前記のテープ載置台7は、側杆30,30に対し揺動機構44を介して前後方向(図6(a)中の矢印R1方向)に揺動可能に取り付けられている。
前記の揺動機構44は、左右の側杆30,30の上端部に形成された係止段部30A,30B,30A,30Bと、側杆30,30の上端部で各係止段部30A,30Bの間に形成された軸穴32,32と、支持筒部21の左右端部に形成されていて係止段部30A,30Bと係合する係止段部21A,21B,21A,21Bと、支持筒部21の軸穴22と、支持筒部21の軸穴22および側杆30,30の軸穴32,32に一連に挿通されていて支持筒部21およびテープ載置台7を側杆30,30に対し少しの前後角で揺動可能とする枢軸28と、から構成されている。
【0028】
更に、このテープカッター1は距離可変機構43を備えている。この距離可変機構43は、刃支持部5の雌ネジ穴18と、基台2の円弧穴12と、雌ネジ穴18に螺止されて刃支持部5をその位置で固定する雄ネジ19と、基台2の軸穴10と、枢軸20と、刃支持部5の軸穴17と、から構成される。すなわち、この距離可変機構43は、雄ネジ19が弛められて刃支持部5の側杆16が前後揺動可能な状態にされ、刃支持部5のテープ切断刃9が利用者所望の位置まで動かされることにより、雄ネジ19が円弧穴12内を案内移動され、前記所望位置で螺止固定される。すなわち、距離可変機構43は、テープ切断刃9とテープ載置台7との間の距離Lを可変にし、テープ切断刃9を利用者所望の位置で基台2の起立部2E,2Fに固定してテープTのタブ長Mを変えるようになっている。
【0029】
そして、このテープカッター1は、前後動ロック機構45も備えている。この前後動ロック機構45は、基台2の起立部2E,2Fに穿設された挿通用穴13と、この挿通用穴13に挿通されて第1揺動部材25および第2揺動部材26を係止する停止用杆39と、から構成されている。この前後動ロック機構45は、起立部2E,2Fに対し第1揺動部材25および第2揺動部材26を係脱可能に固定してそれらの揺動動作を止めるものである。
【0030】
上記のように構成されたテープカッター1の作用を、図8図9および図10を主に用いて説明する。この場合、直前の切断により形成されたタブ部TAを有する粘着テープTをあらためて切断するにあたり、利用者が人差指Iと親指Sで挟み持ってテープ切断刃9の前方へ所望長だけ引き出した状態(図2中の矢印F1および図10(a))から説明する。
図2中の矢印F2で示すように、利用者が粘着テープTの所望位置にテープ切断刃9をあてがい、図8(a)に示すように粘着テープTを更に下向き(矢印U1方向)に押し下げると、所望長の粘着テープTが分断される。このように粘着テープTを下向きに押し下げたときに、テープ載置台7は揺動機構44の作用により側杆30に対して揺動しテープ面と略平行な傾きとなる(図10(b)中の矢印R4参照)。これにより、粘着テープTの粘着面TFがテープ載置台7の上面にしっかりと粘着する。
【0031】
前記した粘着テープTの分断直後には、図8(a)に示すように、粘着テープTの切断端TEがテープ切断刃9からわずかに離れ、それまで巻テープTW、テープ載置台7およびテープ切断刃9の間で張られていた粘着テープTの緊張が解かれる。そして、巻テープTWとテープ載置台7の間の粘着テープTは下向き(矢印U2)に少し撓み、テープ載置台7とテープ切断刃9の間の粘着テープTは上向き(矢印U3)に少し撓む。これにより、仮支持部材36が後向き(矢印R10方向)にわずかに揺動し、テープ載置台7が側杆30に対して後向き(図8(a),図10(c)中の矢印R5方向)にわずかに揺動する。この時点では、第2揺動部材26の側杆34は刃支持部5の当り板15の支点15Aに当接していない。前記のような状態は次回のテープ切断までそのまま継続される。すなわち、テープ切断直後に直ちにタブ部TAが形成されることはなく、粘着テープTの切断端TEは平坦なままである。
【0032】
続いて、図8(b)に示すように、利用者が巻テープTWとテープ載置台7の間の粘着テープTを持ち上げると(矢印U4方向)、粘着テープTに引っ張られたテープ載置台7が保持部3側に傾いてテープ端運搬機構6の第1揺動部材25(側杆30)を前向き(図8(b),図10(d)中の矢印R6方向)に揺動させ、側杆30下端部の枢軸27を前方に移動させる。その後、第2揺動部材26の側杆34が刃支持部5の当り板15の支点15Aに当接する。このような支点15Aへの側杆34の当接状態は、タブ部TAが形成されてからテープ切断が完了するまで続行される。そして、第1揺動部材25の前方揺動に伴ってテープ載置台7が起立するので、テープ載置台7の前側にある粘着テープTは後向きに引っ張られる。それに伴って第2揺動部材26および仮支持部材36も後向き(矢印U5方向)に揺動する。このとき、第2揺動部材26の側杆34は当り板15の支点15Aを中心として揺動し、側杆34の上部が後方へ移動する。
【0033】
その後、図9(a)に示すように、利用者が粘着テープTを更に持ち上げると(矢印U6方向)、テープ載置台7の上面が立ち上がり、第1揺動部材25の側杆30の下端部が更に前方(矢印R6方向)へ揺動する。これに伴って、第2揺動部材26の側杆34が当り板15下端の支点15Aを中心として揺動し、杆上部の仮支持部材36を更に後方(矢印R9方向)へと移動させる。その結果、テープ載置台7と仮支持端37との間の粘着テープTが上向き(矢印U7方向)にせり上がって湾曲する。
【0034】
引き続き、図9(b)に示すように、側杆30および側杆34の下部が更に前向き(図9(b),図10(e)中の矢印R7)に揺動すると、側杆34の仮支持端37がテープ載置台7に当接ないし当接手前まで近づく(図9(b),図10(e)中の矢印R8)。すると、テープ載置台7に粘着していた粘着テープTの粘着面TFに、仮支持端37に粘着していた粘着テープTの粘着面TFが当接して互いに粘着する。これにより、テープ切断使用に先立って、前回の切断端TEの近傍位置にタブ部TAが形成される。すなわち、第2揺動部材26先端の仮支持端37に支持されていた粘着テープTの切断端TEはテープ切断刃9側からテープ載置台7へ運ばれたのち、テープ載置台7上の粘着テープTの粘着面TFに粘着してタブ部TAを形成するのである。
【0035】
上記したように、この実施形態のテープカッター1によれば、テープ端運搬機構6を備えているとともにテープ端運搬機構6の上端にテープ載置台7が取り付けられているので、粘着テープTの切断時に利用者が粘着テープTを持ち上げると、テープ載置台7が傾いてテープ端運搬機構6の第1揺動部材25の下部が揺動したのち、第2揺動部材26の上部が後向きに揺動する。これにより、第2揺動部材26先端の仮支持部材36に支持されていた粘着テープTの切断端TEが、テープ切断刃9の近傍位置からテープ載置台7の近傍位置へと運ばれたのち、テープ載置台7上の粘着テープTの粘着面TFに接着してタブ部TAを形成する。すなわち、簡素で安価な構成により、逆折れ現象を防いでタブ部TAを確実に形成することができる。
【0036】
また、テープ載置台7の揺動機構44を備えているので、テープ切断の際に利用者が、テープ載置台7と巻テープTWの間の粘着テープTを持ち上げると、テープ載置台7が第1揺動部材25に対して後向きに揺動して立ち上がるので、テープ載置台7よりも前方位置の粘着テープTは上向きに持ち上げられる。その状態で仮支持部材36が接近してタブ部TBが形成されるので、平らな粘着テープTでありながら、粘着テープTが下向きに湾曲して非粘着面同士が接するという、いわゆる逆折れ現象を引き起こすことがない。従って、失敗することなく確実にタブ部TAを形成することができる。
【0037】
また、テープカッター1は前後動ロック機構43を備えているので、テープ端運搬機構6の第1揺動部材25および第2揺動部材26を起立部2E,2Fに固定できる。これによって、テープ切断後も仮支持部材36は動かないので、単に粘着テープTを切るだけでタブ部TAは形成しない、従来汎用タイプのテープカッターとして使用することも可能である。
【0038】
尚、上記の実施形態では、テープ切断刃9とテープ載置台7との間の距離L(図2 参照)を固定し、タブ長Mが一定の長さのタブ部TAの形成した例を示しているが、本発明はそれに限定されない。すなわち、テープ切断刃9とテープ載置台7との間の距離Lはタブ長Mの略2倍に相当するが、上記実施形態のテープカッター1は、それらの間の距離Lを可変にする距離可変機構43を備えているので、距離可変機構43を用いて距離Lを変えることにより、タブ長Mを利用者所望の使いやすい長さに変更することもできる。
【0039】
そして、本発明のテープカッターは、タブ部を強固にするためのタブ部押圧部材および押圧部材駆動機構を備えたものも含まれる。斯かるテープカッターの実施形態を図11図12および図13に示す。
前記のタブ部押圧部材5は、正面視で横転コの字状に形成されたパイプ状体であり、左右下部の両端は内向きに延びるピン部材50A,50Aになっている。また、前記の押圧部材駆動機構51は、第2揺動部材26の左右の側杆34,34に上下に長く形成されたガイド溝52と、左右のスライダ55,55と、ガイド溝52の下方位置の側杆34とスライダ55とを連結して設けられたスライダクランク56と、から構成されている。ガイド溝52は側面視で天地逆L字状に形成されていて、上下に延びる直線部53と、直線部53の上端部から後向きに屈曲して形成された屈曲部54とから構成されている。そして、ガイド溝52内に、タブ部押圧部材5のピン部材50A,50Aが収容されて上下摺動自在に案内されるようになっている。
【0040】
前記のスライダクランク56は、ガイド溝52の下方位置の側杆34に下端部が枢支されたクランク杆59と、クランク杆59の上端部に枢軸60を介して一端部が枢支された連接杆61と、から構成されている。クランク杆59の下端部には保持軸58が固設され、保持軸58は側杆34,34の軸穴57,57に回転自在に軸支されている。連接杆61の他端部は保持軸62に固設され、保持軸62の左右両端はスライダ55,55に固設されている。更に、ガイド溝52,52を通されたタブ部押圧部材50のピン部材50A,50Aが、スライダ55,55の軸穴64,64に挿通されて固設されている。
【0041】
前記した押圧部材駆動機構51の構成により、ピン部材50A,50Aがガイド溝52,52内の最下部に位置するというホームポジションに、タブ部押圧部材50(図12(b)の2点鎖線で示した位置)があるときは、スライダクランク56の当り部分60Aが後向きに最も突出した状態にある(同じく2点鎖線で示した位置)。そして、スライダクランク56の当り部分60Aが前向きに押されると、スライダクランク56のクランク杆59および連接杆61が揺動して(図12(b)中の矢印R11)、ピン部材50A,50Aをガイド溝32に案内させながらスライダ55,55を持ち上げるようになっている(図12(b)中の矢印R12)。
【0042】
そこで、このテープカッターによる粘着テープTの分断直後の状態を図13(a)に示す。この状態は図8(a)に示した状態に対応しており、粘着テープTの切断端TEがテープ切断刃9からわずかに離れ、それまで巻テープTW、テープ載置台7およびテープ切断刃9の間で張られていた粘着テープTの緊張が解かれている。その後、図13(b)に示すように、利用者が粘着テープTを持ち上げると(矢印U4方向)、テープ載置台7の上面が立ち上がり、第2揺動部材26の側杆34が枢軸27(支点の例)を中心として後向きに揺動し、杆上部の仮支持部材36を後方(矢印R9方向)へと移動させる。その結果、テープ載置台7と仮支持端37との間の粘着テープTが上向き(矢印U7方向)にせり上がって湾曲する。このとき同時に、押圧部材駆動機構51のスライダクランク56の当り部分60Aが第1揺動部材25の横桟板31の前面に当接し、第2揺動部材26の後方揺動に伴ってタブ部押圧部材50を上方に持ち上げていく。
【0043】
続いて、図13(c)に示すように、側杆34の上部が更に後向き(矢印R8)に揺動すると、テープ載置台7に粘着していた粘着テープTの粘着面TFに、仮支持端37に粘着していた粘着テープTの粘着面TFが当接して互いに粘着し、タブ部TAが形成される。その後更に、タブ部押圧部材50のピン部材50A,50Aがガイド溝52,52の直線部53,53から屈曲部54,54へ導かれる。これにより、スライダ55,55およびタブ部押圧部材50が後向き(矢印R14)に傾いてタブ部押圧部材50の横棒部分がタブ部TAの前面TAAを後向きに押動する。すなわち、押圧部材駆動機構51は、第2揺動部材26が第1揺動部材25に近づいたときに、スライダクランク56の当り部分60Aが第1揺動部材25の横桟板31に当接干渉してタブ部押圧部材50を持ち上げた後にタブ部TAの前面TAAを押動させるのである。
【0044】
上記したように、この実施形態のテープカッターによれば、タブ部押圧部材50と押圧部材駆動機構51を備えているので、テープ端運搬機構6により形成されたタブ部TAを更にタブ部押圧部材50が押圧して粘着面TF,TF同士を更に密着させるので、タブ部TAの粘着強度を高めることができる。その結果、繰り返し使用により仮支持部材36に粘着剤が溜まってきたとしても、解離することのない堅固なタブ部TAをもたらすことができる。
【0045】
尚、図11図13に示したテープカッターでは、枢軸27を支点として第2揺動部材26を後方揺動させるようにしているが、タブ部TAの形成時に第2揺動部材26の後方揺動を反発させることにより、タブ部形成をより確実にする構成も可能である。そのようなテープカッターを図14に示す。そのテープカッターは、基台2の左右の側板2B,2B間に桟板67が架設され、当り突起65が桟板67の前面に前向きに突設されている。このテープカッターでは、第2揺動部材26が後方揺動してタブ部TAを形成する直前に、当り突起65が第2揺動部材26の下部に当接する。これにより、第2揺動部材26の仮支持部材36がテープ支持台7に接触し続けることを防止できる。従って、繰り返し使用により仮支持部材36やテープ支持台7に粘着剤が溜まって、仮支持部材36とテープ支持台7が接着したままになることを防止できる。また、当接の反動で、第2揺動部材26および第1揺動部材25の下部が前方へ揺動するので(矢印R15)、タブ部押圧部材50は前出の実施形態よりも後向きに大きく傾斜して(矢印R16)、タブ部TAの前面TAAをより強く押圧する。従って、タブ部TAの粘着強度をいっそう高めることができる。
【0046】
尚、前記した図11図14のテープカッターでは、タブ部押圧部材50および押圧部材駆動機構51を第2揺動部材26に配備した例を示したが、タブ部押圧部材および押圧部材駆動機構の一部分を第1揺動部材25に配備して成るテープカッターも本発明に含まれる。そのようなテープカッターを図15に示す。このテープカッターでは、第1揺動部材25の側杆30におけるテープ載置台7下方位置の左右中央部に、装着空間71が形成されている。この装着空間71内には枢軸70が左右方向に横架されており、この枢軸70にタブ部押圧部材50aの下端部が上下揺動自在に軸支されている。前記のタブ部押圧部材50aは全体が側面から視て例えば鉤状に形成されており、下端側から根元部74、根元部74から斜め方向に延在する斜め部75、および斜め部75からつながって後向きに延在する鉤先部76を備えて構成されている。一方、第2揺動部材26の上部および仮支持部材36には、これらの左右中央部を下向きに切り欠いた通し溝72が形成されている。この通し溝72は、上下揺動するタブ部押圧部材50aの鉤先部76および斜め部75を通過させ得る大きさにされている。
【0047】
このようなテープカッターにおいて、前回に粘着テープTが切断されたのち、タブ部押圧部材50aは図15(a)に示したような姿勢で停止している。そこで、図15(b)に示すように、利用者が粘着テープTを持ち上げると(矢印U4方向)、テープ載置台7の上面が立ち上がり、その動作につられて粘着テープTがせり上がり、これによって既述した図13(b)と同様に第2揺動部材26が後向きに揺動し(矢印R9)、粘着テープTが上向きに湾曲する(矢印U7)。このとき、タブ部押圧部材50aは第2揺動部材26の通し溝72内を入り込む。そして、タブ部押圧部材50aは斜め部75が通し溝72の底面73上を摺動しながら後向きに揺動していく。そのうち、第2揺動部材26が第1揺動部材25に近づくと、粘着テープTのせり上がり部分が粘着してタブ部TAとなる。そして、図15(c)に示すように、第2揺動部材26の後壁77がタブ部押圧部材50aの根元部74の前面を押すことにより、タブ部押圧部材50aを更に後向きに揺動させる。これにより、タブ部押圧部材50aの鉤先部76がタブ部TAの前面TAAを後向きに押動してタブ部TA内の粘着面TF,TF同士をいっそう密着させる。その結果、前述したタブ部押圧部材50および押圧部材駆動機構51を有するテープカッターと同様に、タブ部TAの粘着強度をいっそう高めて長く維持し得るのである。すなわち、この例における押圧部材駆動機構51aは、例えば装着空間71、枢軸70、通し溝72、底面73および後壁77から構成される。
【0048】
また、上記の実施形態では、第1揺動部材25の下端部と第2揺動部材26の下端部とが枢軸27を介して揺動自在に連結された例を示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、図16に示すように、第1揺動部材25の側杆30Cと第2揺動部材26の側杆34Aとが分離独立してそれぞれ前後揺動自在に構成されたものも、本発明に含まれる。このようなテープカッターでは、第1揺動部材25の側杆30Cの前方位置であって基台2の左右の側板2B,2B間に架設された枢軸15AA(支点の例)に、第2揺動部材26の側杆34Aが枢支されている。
【0049】
この構成の場合も、図8(a)および図13(a)と同様に、テープ切断後の図16(a)の状態から、粘着テープTが持ち上げられると(矢印U14)、第1揺動部材25の側杆30Cの下部が前向きに揺動し(矢印R6)、第2揺動部材26の側杆34Aの下部に当接干渉する。これにより、側杆34Aの上部が枢軸15AAを中心として後向きに揺動し(矢印R9)、図9(a)および図13(b)に対応した図16(b)のように、テープ載置台7よりも前方の粘着テープTが立ち上がる(矢印U7)。そうして、図9(b)および図13(c)に対応した図16(c)のように、側杆34Aが更に揺動して(矢印R8)、粘着テープTの切断端TE近傍にタブ部TAを形成するのである。
【0050】
更に、上記の実施形態では、第2揺動部材26の前方位置に刃支持部5を配備し、刃支持部5にテープ切断刃9を取り付けたテープカッターを例示したが、本発明はそれに限らない。例えば、図17に示すようなテープカッターも本発明に含まれる。そのテープカッターでは、刃支持部の当り板15および側杆16,16が省略され、テープ切断刃9は第2揺動部材26の仮支持部材36の上端部に取り付けられている。その場合、第2揺動部材26の側杆34はその下端部が枢軸27を介して第1揺動部材25の側杆30の下端部に枢支され、第1揺動部材25の上部は枢軸28に枢支されている。そして、第2揺動部材26の側杆34は、前方揺動(矢印R17方向)の際に、側板2B,2B間に架設されたストッパ軸66に当接しストッパ軸66を支点として上部が後方揺動(矢印R18方向)するようになっている。このようなテープカッターであっても、テープ切断刃9で粘着テープTを切断した後に、第1揺動部材25が枢軸28回りに前方へ揺動するとともに、第2揺動部材26がストッパ軸66を支点として後向きに揺動して粘着テープTの切断端TEにタブ部を形成させるのである。
この実施形態のテープカッターによれば、テープ切断刃9が仮支持部材36の上端部に取り付けられているので、仮支持部材36の前方位置にテープ切断刃9を保持するための刃支持部5を必要としない。従って、部品点数を少なくすることができ、簡素で安価なテープカッターを提供できる。
尚、このテープカッターの場合も、円弧孔12に沿ってストッパ軸66を位置可変に固定できるようにしているので、タブ長Mを可変にすることができる。因みに、以上に述べた全ての実施形態のテープカッターについても、それぞれ、タブ長Mを変えられる構成を有していることは言うまでもない。
【0051】
また、上記実施形態では、仮支持部材36のテープ載置台7への近接動作を、自動的には行なわず粘着テープTの持ち上げによる手動で行なうようにしたが、本発明のテープカッターはそれに限定されるものでない。例えば、テープ端運搬機構6の枢軸27に捻りコイルバネなどの弾性部材を装着させて、テープTの切断直後に第1揺動部材25および第2揺動部材26をバネ力により後方揺動させて、仮支持部材36をテープ載置台7に自動的に近接させるように構成することも可能である。但し、その場合は、弾性部材と、弾性部材取付け構造が必要になるし、製造コストがいくぶん高くなる。
【0052】
そして、上記実施形態では、底板2A、左右の側板2B,2Bで基台2を構成し、各側板2Bは内板2Cおよび外板2Dの2枚を貼り合せたものを使用したが、それに替えて、これらの部材を一素材で一体成型品として形成したものでも構わない。
更に、上記実施形態では、比較的硬い例えばセロハン粘着テープを粘着テープとして用いた例を示している。但し、本発明に適用される粘着テープとしては、セロハン粘着テープ以外に、近年多用されていて比較的柔らかい例えばOPP粘着テープなどであっても、問題なく使用することができる。
【0053】
以上述べたように、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、材質や寸法などの修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1 テープカッター
2 基台
2E,2F 起立部
3 保持部
4 テープ中間支持部
5 刃支持部
6 テープ端運搬機構
7 テープ載置台
9 テープ切断刃
15 当り板
15A 支点
15AA 枢軸
25 第1揺動部材
26 第2揺動部材
27 枢軸
30C 側杆
31 横桟板
34A 側杆
36 仮支持部材
37 仮支持端
43 距離可変機構
44 揺動機構
45 前後動ロック機構
50,50a タブ部押圧部材
50A ピン部材
51,51a 押圧部材駆動機構
52 ガイド溝
53 直線部
54 屈曲部
55 スライダ
56 スライダクランク
60A 当り部分
66 ストッパ軸
70 枢軸
72 通し溝
73 底面
74 根元部
75 斜め部
77 後壁
L 距離
M タブ長
T 粘着テープ
TA タブ部
TAA 前面
TE 切断端
TF 粘着面
TW 巻テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17