IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼロックス コーポレイションの特許一覧

特許70983863次元印刷部品についての改善された表面硬化のための方法及び装置
<>
  • 特許-3次元印刷部品についての改善された表面硬化のための方法及び装置 図1
  • 特許-3次元印刷部品についての改善された表面硬化のための方法及び装置 図2
  • 特許-3次元印刷部品についての改善された表面硬化のための方法及び装置 図3
  • 特許-3次元印刷部品についての改善された表面硬化のための方法及び装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】3次元印刷部品についての改善された表面硬化のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/106 20170101AFI20220704BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220704BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220704BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220704BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20220704BHJP
【FI】
B29C64/106
B33Y10/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/277
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018072193
(22)【出願日】2018-04-04
(65)【公開番号】P2018183982
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】15/496,784
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】シーミット・プラハラジ
(72)【発明者】
【氏名】マンダキニ・カナンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・マコンビル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ジュン・ハウ
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-205670(JP,A)
【文献】特表2011-518694(JP,A)
【文献】特表2015-515937(JP,A)
【文献】国際公開第2016/185792(WO,A1)
【文献】特開2016-196137(JP,A)
【文献】特表2008-545998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元(3D)印刷部品を硬化させる方法であって、
造形材料の層を添加することと、
第1の波長を有する第1の光源を使用して前記造形材料の層を硬化させることと、
所定数の層について前記第1の波長を有する前記第1の光源を使用して前記添加及び前記硬化を繰り返すことと、
前記3D印刷部品を形成するように前記造形材料の最終上層を添加することと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光源を使用して前記造形材料の最終上層を硬化させることと
を備える、方法。
【請求項2】
前記造形材料が、紫外線(UV)硬化性インクを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の光源が、紫外(UV)光を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の波長が、390ナノメートル(nm)から400nmの波長を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の光源が、最大強度レベル未満で電力供給される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プロセッサによって実行されたとき、3次元(3D)印刷部品を硬化させる動作をプロセッサに実行させる命令を含む複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体において、前記動作が、
造形材料の層を添加することと、
第1の波長を有する第1の光源を使用して前記造形材料の層を硬化させることと、
所定数の層について前記第1の波長を有する前記第1の光源を使用して前記添加及び前記硬化を繰り返すことと、
前記3D印刷部品を形成するように前記造形材料の最終上層を添加することと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光源を使用して前記造形材料の最終上層を硬化させることと
を備える、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記造形材料が、紫外線(UV)硬化性インクを含む、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記第1の光源が、紫外(UV)光を含み、前記第1の波長が、390ナノメートル(nm)から400nmの波長を含む、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記第1の光源が、最大強度レベル未満で電力供給される、請求項8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
3次元(3D)印刷部品を硬化させる方法であって、
紫外(UV)硬化性インクの層を添加することと、
90ナノメートル(nm)から400nmの波長における第1のUV光源を使用して前記UV硬化性インクの層を硬化させることと、
所定数の層について390nmから400nmの波長において前記添加及び前記硬化を繰り返すことと、
前記3D印刷部品を形成するように前記UV硬化性インクの最終上層を添加することと、
前記UV硬化性インクの最終上層上に光沢仕上げを提供するために360nmから370nmの波長における第2のUV光源を使用して前記UV硬化性インクの前記最終上層を硬化させることと
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、3次元(3D)印刷に関し、より具体的には、3D印刷部品についての表面硬化を改善するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3D印刷とも称される積層印刷は、革新的な製造技術として浮上している。3D印刷は、製造コストの削減並びに迅速な開発及びカスタマイズなど、製造業者にとって前例のない利益を約束する。
【0003】
3D印刷は、印刷部品の輪郭又は形状に応じて造形材料の層を添加することによって動作する。この層は、例えば、紫外線硬化光によって硬化されることができる。造形材料を添加して硬化させるプロセスは、印刷部品が完成するまで層毎に繰り返されることができる。印刷は、コンピュータによって制御されることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願明細書に示される態様によれば、3次元(3D)印刷部品を硬化させる方法、非一時的コンピュータ可読媒体及び装置が提供される。実施形態の1つの開示された特徴は、造形材料の層を添加し、第1の波長を有する第1の光源を使用して造形材料の層を硬化させ、所定数の層について第1の波長を有する光源を使用して添加及び硬化を繰り返し、3D印刷部品を形成するように造形材料の最終上層を添加し、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光源を使用して造形材料の最終上層を硬化させる方法である。
【0005】
実施形態の他の開示された特徴は、プロセッサによって実行されたとき、造形材料の層を添加し、第1の波長を有する第1の光源を使用して造形材料の層を硬化させ、所定数の層について第1の波長を有する光源を使用して添加及び硬化を繰り返し、3D印刷部品を形成するように造形材料の最終上層を添加し、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光源を使用して造形材料の最終上層を硬化させる動作をプロセッサに実行させる命令を含む複数の命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0006】
実施形態の他の開示された特徴は、プロセッサと、プロセッサによって実行されたとき、造形材料の層を添加し、第1の波長を有する第1の光源を使用して造形材料の層を硬化させ、所定数の層について第1の波長を有する光源を使用して添加及び硬化を繰り返し、3D印刷部品を形成するように造形材料の最終上層を添加し、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光源を使用して造形材料の最終上層を硬化させる動作をプロセッサに実行させる命令を含む複数の命令を記憶したコンピュータ可読媒体とを備える装置である。
【0007】
本開示の教示は、添付図面とあわせて以下の詳細な説明を考慮することによって容易に理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の例示的な3Dプリンタのブロック図を示している。
図2図2は、百分率強度対未硬化造形材料の割合を示す例示的なグラフを示している。
図3図3は、3D印刷部品を硬化させる例示的な方法のフローチャートを示している。
図4図4は、本願明細書に記載された機能を実行する際に使用に適した例示的なコンピュータのハイレベルブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易とするために、可能な限り、図面に共通の同一の要素を示すために同一の参照符号を使用している。
【0010】
本開示は、3D印刷部品についての表面硬化を改善するための方法及び装置を広く開示している。上述したように、3D印刷は、印刷部品の輪郭又は形状に応じて造形材料の層を添加することによって動作する。この層は、例えば、紫外線硬化光によって硬化されることができる。造形材料を添加して硬化させるプロセスは、印刷部品が完成するまで層毎に繰り返されることができる。印刷は、コンピュータによって制御されることができる。
【0011】
従来の3D印刷において、底層は、完全に底層を硬化させるために十分な酸素阻害を経験することがある。しかしながら、上層は、部分的にのみ硬化されたままであり、悪臭を有する粘質又は粘着性の表面を生じることがある。1つの解決策は、上層にわたって又はその上に犠牲層を添加することであり得る。犠牲層は、上層が完全に硬化されることを確実にするために添加されて硬化されてもよい。その後、犠牲層は除去されてもよい。しかしながら、これは、犠牲層のために使用される追加の材料及び追加の硬化のために使用されるエネルギのために印刷コストを追加することがある。さらにまた、犠牲層を使用することは、追加の印刷ステップ、犠牲層を除去するステップ、及び上層を洗浄するステップのために処理時間を増加させることがある。犠牲層を使用することの他の欠点は、上層が艶消し仕上げしかできないことである。
【0012】
本開示の実施形態は、3D印刷部品の上層の改善された表面硬化のための新規な方法を提供する。本開示の方法は、犠牲層を使用することなく、硬化のために異なる波長の光の組み合わせを使用する。その結果、本開示の実施形態は、上層が完全に硬化され、上層に光沢仕上げを施すことができることを保証する。
【0013】
図1は、本開示の例示的な3Dプリンタ100を示している。1つの実施形態において、3Dプリンタ100は、プロセッサ102と、コンピュータ可読媒体104とを含むことができる。コンピュータ可読媒体104は、印刷ジョブに関連する命令及び記憶されたパラメータを記憶することができる。プロセッサは、命令を実行し、記憶されたパラメータを使用して本願明細書に記載された機能を実行することができる。1つの実施形態において、プロセッサ102及びコンピュータ可読媒体104は、3Dプリンタ100を制御するコンピュータ支援設計(CAD)プログラムを実行する別個のコンピュータシステムの一部であってもよい。
【0014】
1つの実施形態において、3Dプリンタ100は、造形材料108を分配するディスペンサ106と、第1の光源110と、第2の光源112と、可動プラットフォーム114とを含むことができる。1つの実施形態において、造形材料108は、硬化性材料とすることができる。例えば、造形材料108は、金属、プラスチック、ポリマー、又は紫外線(UV)硬化性インクの小さな粒子とすることができる。
【0015】
1つの実施形態において、造形材料108がUV硬化性インクである場合、3Dプリンタ100は、複数の異なる色のそれぞれについて複数のディスペンサ106を含むことができる。例えば、UV硬化性インクは、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックなどの異なる色とすることができ、3Dプリンタ100は、各色についての各ディスペンサ106を含むことができる。
【0016】
1つの実施形態において、第1の光源110及び第2の光源112は、異なる波長において動作するUV光源とすることができる。例えば、第1の光源110は、約390ナノメートル(nm)から400nmで動作するUV光源とすることができる。1つの実施形態において、第1の光源110は、395nmにおいて動作することができる。
【0017】
1つの実施形態において、第2の光源112は、約360nmから370nmで動作するUV光源とすることができる。1つの実施形態において、第2の光源112は、365nmにおいて動作することができる。
【0018】
第1の光源110及び第2の光源112は、各波長の光において変化する光強度レベルで動作することができる。例えば、第1の光源110及び第2の光源112は、通常の動作光強度値の15%強度から200%強度のいずれかで動作することができる。
【0019】
1つの実施形態において、造形材料108は、造形材料108の第1の層116を置くように可動プラットフォーム114上に分配されることができる。可動プラットフォーム114は、ディスペンサ106の下方を2次元軸に沿って移動することができ、又はディスペンサ106は、プラットフォーム114上を2次元軸に沿って移動することができる。造形材料108は、コンピュータ可読媒体104に記憶され且つプロセッサ102によって実行される特定の3D印刷部品の形状又は輪郭にしたがって分配されることができる。
【0020】
他の実施形態において、可動プラットフォーム114は、造形材料108のベッドを含むことができる。3D印刷部品の輪郭は、造形材料108のベッド上に硬化性バインダ又は液体を使用して「印刷」されることができる。造形材料108は、「印刷された」層が硬化された後に「印刷された」層の上部に分配されることができる。
【0021】
そして、可動プラットフォーム114は、第1の光源110の下方において第1の層116を移動させることができる。第1の層116は、第1の層116の造形材料108を硬化させるために、所定時間量(例えば、数秒又は数分)、第1の光源110の光に曝されることができる。このプロセスは、層116n-1(例えば、最終上層116の直前又は隣接する層)まで所定数の層について繰り返されることができる。
【0022】
層116n-1までの所定数の層が硬化された後、最終上層116が分配されることができる。可動プラットフォーム114は、第2の光源112の下方に層116から116のスタックを移動させることができる。最終上層116は、最終上層116の造形材料108を硬化させるために、所定時間量(例えば、数秒又は数分)、第2の光源112の下方で硬化されることができる。いくつかの実施形態において、可動プラットフォーム114は、いくつかの経路について第2の光源112の下方に最終上層116を移動させることができる。
【0023】
その結果、複数の層116から116を含む3D部品は、光沢仕上げによって完成することができる。注目すべきことに、犠牲層は、その後に硬化されて除去される最終上層116の上部に塗布されない。さらに、層116から116n-1は、第1の光源110に曝されるのみであり、最終上層116は、第2の光源112に曝されるのみであることに留意すべきである。層116から116n-1に対する第1の波長における第1の光源110及び最終上層116に対する第1の波長とは異なる第2の波長における第2の光源112の使用の組み合わせは、3D部品が犠牲層の必要性なく又は過剰なエネルギ若しくは光を使用することなく光沢仕上げを有するのを可能とする。
【0024】
最終上層116上にのみ第2の波長を使用する他の利点は、他の層116が追加されたときに中間層(例えば、層116から116n-1)が完全に硬化されなくすることができるということであり得る。これは、より良好な構造的完全性を有する部品をもたらすより良好な層間密着性を与えることができる。
【0025】
図2は、3D部品を硬化させるために2つの異なる波長を使用する利点を示すグラフ200を示している。x軸210は、使用される光源の光強度百分率を表している。y軸212は、未硬化造形材料の百分率を表している。1つの実施形態において、3D部品が完全に硬化されたかどうかを判定するために、完成した3D部品は、秤量された後にテラヒドロフラン(THF)の溶液中に入れられる。THFは、3D部品における残りの未硬化造形材料に結合することができる。
【0026】
3D部品は、24時間後にTHFから取り出され、アルミニウムパンに入れられ、サンプルを乾燥させるために24時間75摂氏度(℃)で浴されることができる。そして、乾燥した3D部品は、3D部品の初期重量からの重量損失を判定するために秤量されることができる。未硬化造形材料は、初期重量によって3D部品の重量損失を除して100を乗算することによって算出された百分率に基づいて判定されることができる。完全に硬化した3D部品は、8以下の百分率を有することができる。
【0027】
図2は、395nmにおいて単一光源のみを使用して3D部品を硬化させることを表す第1の線202を示している。より低い光強度(例えば、約15%)において、完成した3D部品は、未硬化のままである(例えば、30を超える百分率を有する)。395nmにおけるより高い強度の光出力を使用しても、3D部品は、線202上の4つのデータ点によって示されるように決して完全に硬化することができない。
【0028】
第2の線204は、365nmにおいて単一光源のみを使用して3D部品を硬化することを表している。より低い光強度(例えば、約15%)において、完成した3D部品は、未硬化のままである(例えば、25%を超える百分率を有する)。365nmにおける光源が線204上のデータ点によって示されるように100%から200%の光強度において使用される場合、3D部品は、完全に硬化することができる。
【0029】
第3の線206は、本開示の実施形態を使用して3D部品を硬化させることを表している。例えば、3D部品は、最終層の次の層(例えば、層116n-1)まで各層について約395nmにおいて第1の光源110を使用して硬化される。そして、最終層(例えば、最終上層116)は、約365nmにおける第2の光源112を使用して硬化させることができる。第3の線206によって示されるように、3D部品は、395nmの光及び365nmの光を15%の低い強度で放射した場合であっても、完全に硬化することができる(例えば、約8以下の百分率を有する)。強度を増加させても、第3の線206によって示されるように、硬化量は有意に増加しない。
【0030】
第4の線208は、各層において約395nmにおける第1の光源110及び約365nmにおける第2の光源112の双方を使用して3D部品を硬化させることを表している。換言すれば、各層は、395nm及び365nmにおいて放射される光の組み合わせによって硬化される。第4の線208は、395nmの光及び365nmの光を15%の低い強度で組み合わせて放射する場合であっても、3D部品が完全に硬化されることができる(例えば、約8以下の百分率を有する)ことを示している。しかしながら、硬化性の向上は、線206によって示されるように、最終上層116上のみにおける約365nmの第2の光源112の使用にわたって実質的でないことに留意すべきである。
【0031】
注目すべきことに、第2の光源112を約365nmで動作させることは、第1の光源110を約395nmで動作させる場合よりも著しく高価である。それゆえに、本開示の実施形態は、約365nmにおいて動作する第2の光源112の使用を最小限に抑えながら3D印刷部品を完全に硬化させる方法を提供する。さらに、3D印刷部品は、本開示の実施形態を使用してより低い光強度で完全に硬化されることができ、さらなる効率及びコスト節約にもつながる可能性がある。
【0032】
再度図1を参照すると、図1は説明を簡単にするために単純化されていることに留意すべきである。例えば、図1における3Dプリンタ100は、示されていないさらなるコンポーネント及び装置を含んでもよい。さらに、3Dプリンタ100は、本開示の1つの機械的実装のみを提供する。例えば、可動プラットフォーム114は、左右に水平方向に移動するように示されているが、3Dプリンタ100は、可動プラットフォーム114が上下に垂直方向に移動するように垂直に配置されてもよい。他の例において、可動プラットフォーム114は静止していてもよく、ディスペンサ106、第1の光源110及び第2の光源112は、造形材料108上を移動してもよい。
【0033】
図3は、3D印刷部品を硬化させる例示的な方法300のフローチャートを示している。1つの実施形態において、方法300の1つ以上のステップ又は動作は、図4に示されて以下に記載されるように3Dプリンタ100又は3Dプリンタ100の動作を制御するコンピュータによって実行されることができる。
【0034】
ブロック302において、方法300が開始する。ブロック304において、方法300は、造形材料の層を添加する。造形材料は、金属、プラスチック、ポリマー、又はUV硬化性インクの小さな粒子などの硬化性材料とすることができる。造形材料の層は、ディスペンサによって添加されることができ、又は、造形材料のベッドにおける3D印刷部品の形状に塗布される硬化性液体若しくはバインダを使用して「印刷」されることができる。
【0035】
ブロック306において、方法300は、第1の波長を有する第1の光源を使用して造形材料の層を硬化させる。例えば、第1の光源は、390ナノメートル(nm)から400nmで動作するUV光源とすることができる。1つの実施形態において、第1の光源は、395nmにおいて動作することができる。1つの実施形態において、第1の光源は、最大強度レベル未満の光強度で動作することができる。例えば、第1の光源は、最大強度レベルの約15%から50%で動作することができる。
【0036】
ブロック308において、方法300は、複数の所定層に到達したかどうかを判定する。1つの実施形態において、所定層の数は、層の総数より1つ少ない数とすることができる。例えば、3D印刷部品が20個の層を有する場合、所定層の数は19とすることができる。
【0037】
答えが否定である場合、方法300は、ブロック304に戻り、ブロック304-306が繰り返されることができる。ブロック308に対する答えが肯定である場合、方法300は、ブロック310に進むことができる。
【0038】
ブロック310において、方法300は、3D印刷部品を形成するために造形材料の最終上層を添加する。方法300は、硬化及び除去される最終上層に加えて犠牲層を使用しないことに留意すべきである。最終上層は、3D印刷部品の実際の上層とすることができる。
【0039】
ブロック312において、方法300は、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光源を使用して造形材料の最終上層を硬化させる。例えば、第2の光源は、360nmから370nmで動作するUV光源とすることができる。1つの実施形態において、第2の光源は、365nmにおいて動作することができる。1つの実施形態において、第2の光源は、最大強度レベル未満の光強度で動作することができる。例えば、第2の光源は、最大強度レベルの約15%から50%で動作することができる。
【0040】
ブロック314において、方法300は、第2の光源の下方のさらなる経路が必要とされるかどうかを判定する。例えば、いくつかのプロセスは、上層が完全に硬化されるのを確実にするために最終上層のために第2の光源の下方における複数の経路を使用することができる。
【0041】
答えが肯定である場合、方法300は、ブロック312に戻り、ブロック312及び314が繰り返されることができる。ブロック314に対する答えが否定である場合、方法300は、ブロック316に進むことができる。
【0042】
それゆえに、本開示の方法300は、光沢仕上げを有する3D印刷部品を提供する。さらに、方法300は、3D印刷部品の完全な硬化を確実にするために硬化及び除去される犠牲層を使用しない。さらに、方法300は、過剰なエネルギ又は光を使用することなく完全な硬化を確実にするために異なる層における異なる波長の光の組み合わせを使用する。これは、より効率的なプロセスをもたらし、低いエネルギ及び材料コストのためにより安価になる可能性もある。ブロック316において、方法300は終了する。
【0043】
判定動作を記載する又は決定を含む図3におけるブロックは、必ずしも判定動作の双方の分岐が実施されることを必要としないことに留意すべきである。換言すれば、判定動作の分岐の1つは、任意のステップとみなすことができる。さらに、上述した方法300の1つ以上のステップ、ブロック、機能又は動作は、本開示の例示的な実施形態から逸脱することなく、任意のステップを含むことができ、又は、上述したものとは異なる順序で組み合わせ、分離され及び/又は実行されることができる。
【0044】
図4は、本願明細書に記載された機能を実行するために専用とされるコンピュータのハイレベルブロック図を示している。図4に示されるように、コンピュータ400は、1つ以上のハードウェアプロセッサ要素402(例えば、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、又はマルチコアプロセッサ)と、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又は読み出し専用メモリ(ROM)などのメモリ404と、3D印刷部品を硬化させるためのモジュール405と、様々な入力/出力装置406(例えば、これらに限定されるものではないが、テープドライブ、フロッピードライブ、ハードディスクドライブ又はコンパクトディスクドライブ、受信機、送信機、スピーカ、ディスプレイ、音声合成装置、出力ポート、入力ポート及び(キーボード、キーパッド、マウス、マイクロホンなどの)ユーザ入力装置を含む記憶装置)とを備える。1つのプロセッサ要素しか示されていないが、コンピュータは、複数のプロセッサ要素を使用してもよいことに留意すべきである。さらにまた、図には1つのコンピュータしか示されていないが、上述した方法が特定例のために分散又は並列に実装される場合、すなわち上記方法のステップ又は方法全体が複数の又は並列のコンピュータにわたって実装される場合、この図のコンピュータは、それらの複数のコンピュータのそれぞれを表すように意図される。さらにまた、1つ以上のハードウェアプロセッサは、仮想化又は共有コンピューティング環境をサポートするのに利用されることができる。仮想化コンピューティング環境は、コンピュータ、サーバ、又は他のコンピューティング装置を表す1つ以上の仮想マシンをサポートすることができる。そのような仮想化された仮想マシンにおいて、ハードウェアプロセッサ及びコンピュータ可読記憶装置などのハードウェアコンポーネントは、仮想化又は論理的に表現されることができる。
【0045】
本開示は、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むプログラマブルロジックアレイ(PLA)を使用して、ソフトウェア及び/又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実装されることができること、又は、例えば上述した本方法に関するコンピュータ可読命令など、ハードウェア装置上で展開される状態マシン、コンピュータ若しくは任意の他のハードウェア均等物は、上述した方法のステップ、機能及び/又は動作を実行するためのハードウェアプロセッサを構成するために使用されることができることに留意すべきである。1つの実施形態において、3D印刷部品を硬化させるための本モジュール又はプロセス405についての命令及びデータ(例えば、コンピュータ実行可能命令を含むソフトウェアプログラム)は、メモリ404にロードされ、例示的な方法300に関連して上述したようなステップ、機能又は動作を実装するためにハードウェアプロセッサ要素402によって実行されることができる。さらにまた、ハードウェアプロセッサが「動作」を実行するための命令を実行するとき、これは、直接動作を実行する、及び/又は動作を実行するために他のハードウェア装置若しくはコンポーネント(例えば、コプロセッサなど)を促進する、導く、又は協働するハードウェアプロセッサを含むことができる。
【0046】
上述した方法に関するコンピュータ可読命令又はソフトウェア命令を実行するプロセッサは、プログラミングされたプロセッサ又は専用プロセッサとして認識されることができる。そのため、本開示の3D印刷部品を硬化させる本モジュール405(関連するデータ構造を含む)は、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROMメモリ、RAMメモリ、磁気若しくは光ドライブ、装置又はディスケットなど、有形又は物理的(広くは非一時的)コンピュータ可読記憶装置又は媒体に記憶されることができる。より具体的には、コンピュータ可読記憶装置は、プロセッサ又はコンピュータ若しくはアプリケーションサーバなどのコンピューティング装置によってアクセスされることになるデータ及び/又は命令などの情報を記憶する能力を提供する任意の物理的装置を備えることができる。
【0047】
上記開示された並びに他の特徴及び機能の変形例、又はそれらの代替例は、多くの他の異なるシステム又はアプリケーションに組み合わされることができることが理解される。現在は予期しない又は予測しない様々な代替例、変更例、変形例、又は改良例は、当業者によって後に行われることができ、以下の特許請求の範囲に包含されるようにも意図される。

図1
図2
図3
図4