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特許7098387コンポジットチャージを形成するためのヒートブランケットアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】コンポジットチャージを形成するためのヒートブランケットアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20220704BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20220704BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/06
B64C1/00 B
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018074519
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019018553
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】15/649,644
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(73)【特許権者】
【識別番号】518122788
【氏名又は名称】アプラス・セルビシオス・テクノロジコス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ジー・ロビンス
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン・ベリオス
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ・ブルフォー・レドンド
(72)【発明者】
【氏名】マリア・クレメンシア・コルゾ・ルエダ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518281(JP,A)
【文献】特開2015-231740(JP,A)
【文献】特開2006-335049(JP,A)
【文献】特表2002-532302(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181003(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/38
B29C 70/06
B64C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形マンドレル(202)上にコンポジットチャージ(500)をグライド成形するためのブランケットアセンブリ(340)であって、前記成形マンドレル(202)は、マンドレル上部(204)によって相互接続された対向するマンドレル側面(212)を有し、前記ブランケットアセンブリ(340)は、
上部加熱ブランケット(344)と下部加熱ブランケット(346)との間に摺動可能なコンポジットチャージ(500)を有するように構成された前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)と、
前記コンポジットチャージ(500)を加熱するための前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の少なくとも一方に含まれる加熱要素(386)と、
前記下部加熱ブランケット(346)と前記対向するマンドレル側面(212)との間に配置可能であり、各々がテーパ部(406)を含み、前記成形マンドレル(202)に取り付けられた場合に前記コンポジットチャージ(500)および前記ブランケットアセンブリ(340)を支持するように構成されたウェッジ要素上面(402)を有する一対のウェッジ要素(400)であって、前記ウェッジ要素上面(402)がテーパ部前端部(408)からテーパ部後端部(410)まで下方に傾斜している、一対のウェッジ要素(400)と、を含み、
前記上部加熱ブランケット(344)は、前記成形マンドレル(202)に沿って前記ブランケットアセンブリ(340)が並進する間に前記マンドレル側面(212)および前記ウェッジ要素上面(402)に対して前記コンポジットチャージ(500)および前記下部加熱ブランケット(346)を徐々に形成するために、前記コンポジットチャージ(500)上にブランケット成形圧力(378)を及ぼすように構成される、
ブランケットアセンブリ(340)。
【請求項2】
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の各々のブランケット前端部(350)に結合された剛性要素(366)をさらに含み、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の前記剛性要素(366)は、前記ブランケットアセンブリ(340)を並進させるために前記成形マンドレル(202)に沿って引っ張られるように構成される、
請求項1に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項3】
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の各々は、前記テーパ部後端部(410)から後方に延在するブランケット後方延長部(374)を含み、
前記ブランケット後方延長部(374)は、前記マンドレル側面(212)に対して前記コンポジットチャージ(500)上に成形装置圧力(432)を加えるように構成された成形装置(430)を受け取るように構成され、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の前記剛性要素(366)は、互いに向かって付勢され、前記コンポジットチャージ(500)上にブランケット入口クランプ圧力(372)を生成して、前記ブランケットアセンブリ(340)が前記剛性要素(366)によって引っ張られた場合に、前記ブランケット前端部(350)と前記成形装置(430)との間の前記コンポジットチャージ(500)に長手方向の張力(442)を誘起させるように構成される、
請求項2に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項4】
前記ウェッジ要素(400)は、弾性的に圧縮可能であり、前記ブランケットアセンブリ(340)が前記成形マンドレル(202)に沿って並進する際に、前記成形マンドレル(202)の断面内の局所的な変化に適合するように構成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項5】
前記ブランケット成形圧力(378)を増加させるために前記上部加熱ブランケット(344)の上部に取り付け可能に構成された質量要素(380)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項6】
前記質量要素(380)は、
前記上部加熱ブランケット(344)の上部に取り付け可能であり、ブランケット前端部(350)とブランケット後端部(352)との間に少なくとも部分的に延在する質量層(382)と、
前記上部加熱ブランケット(344)に取り付けられ、ブランケット中心線(342)の対向する側にそれぞれ配置され、前記ウェッジ要素(400)の前記ウェッジ要素上面(402)と前記成形マンドレル(202)の前記マンドレル側面(212)との接合部における対角線ノッチ(376)とほぼ整列する、一対の個別の質量ストリップ(384)と、
の少なくとも一方として構成される、請求項5に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項7】
前記ウェッジ要素(400)は各々、テーパ部前端部(408)の前方に位置し、前記マンドレル上部(204)とほぼ面一であるウェッジ要素上面(402)を有する前方部分(422)を含み、
前記少なくとも1つの加熱要素(386)は、前記成形マンドレル(202)に沿って前記ブランケットアセンブリ(340)が並進する間に前記コンポジットチャージ(500)が前記テーパ部(406)を通過する前に、前記コンポジットチャージ(500)を加熱するために前記前方部分(422)内に延在する、
請求項1から6のいずれか一項に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項8】
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の少なくとも一方は、
上部ブランケット層(356)と、
下部ブランケット層(358)と、
前記上部ブランケット層(356)と前記下部ブランケット層(358)との間に挟まれる加熱要素(386)と、
から構成される、請求項1から7のいずれか一項に記載のブランケットアセンブリ(340)。
【請求項9】
成形マンドレル(202)上にコンポジットチャージ(500)をグライド成形するための成形システム(200)であって、
マンドレル上流側端部(214)と、マンドレル下流側端部(216)と、マンドレル上部(204)によって相互接続された対向するマンドレル側面(212)と、を有する成形マンドレル(202)と、
ブランケットアセンブリ(340)であって、
前記マンドレル上流側端部(214)から前記マンドレル下流側端部(216)まで前記成形マンドレル(202)に沿って上部加熱ブランケット(344)および下部加熱ブランケット(346)のブランケット前端部(350)を引っ張る間に、前記上部加熱ブランケット(344)と前記下部加熱ブランケット(346)との間に摺動可能なコンポジットチャージ(500)を有するように構成された前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)と、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の少なくとも一方に含まれ、前記コンポジットチャージ(500)を加熱するように構成された加熱要素(386)と、
前記下部加熱ブランケット(346)の下側に対して配置可能であり、各々がテーパ部(406)を含み、内側が前記対向するマンドレル側面(212)を圧迫するように構成されたウェッジ要素(400)と、前記成形マンドレル(202)上に取り付けられた場合に前記コンポジットチャージ(500)および前記ブランケットアセンブリ(340)を支持するように構成されたウェッジ要素上面(402)と、を有する一対のウェッジ要素(400)であって、前記ウェッジ要素上面(402)は、前記テーパ部(406)の前端部(408)から後端部(410)まで前記マンドレル上部(204)に対して下方に傾斜している、一対のウェッジ要素(400)と、
を含む、ブランケットアセンブリ(340)と、
を含み、
前記上部加熱ブランケット(344)は、前記成形マンドレル(202)に沿って前記ブランケットアセンブリ(340)が並進する間に前記マンドレル側面(212)および前記ウェッジ要素上面(402)に対して前記コンポジットチャージ(500)および前記下部加熱ブランケット(346)を徐々に形成するために、前記コンポジットチャージ(500)上にブランケット成形圧力(378)を及ぼすように構成される、
成形システム(200)。
【請求項10】
前記ブランケットアセンブリ(340)は、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の各々のブランケット前端部(350)に結合され、前記ブランケットアセンブリ(340)を並進させるために前記成形マンドレル(202)に沿って引っ張られるように構成された剛性要素(366)をさらに含み、
前記上部加熱ブランケット(344)および下部加熱ブランケット(346)は各々、テーパ部後端部(410)から後方に延在し、前記マンドレル側面(212)に対して前記コンポジットチャージ(500)上に成形装置圧力(432)を加えるように構成された成形装置(430)を受け取るように構成されたブランケット後方延長部(374)を含み、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の前記剛性要素(366)は、互いに向かって付勢され、前記コンポジットチャージ(500)上にブランケット入口クランプ圧力(372)を生成して、前記ブランケットアセンブリ(340)が前記剛性要素(366)によって引っ張られた場合に、前記ブランケット前端部(350)と前記成形装置圧力(432)の位置との間の前記コンポジットチャージ(500)に長手方向の張力(442)を誘起させるように構成される、
請求項9に記載の成形システム(200)。
【請求項11】
成形マンドレル(202)上にコンポジットチャージ(500)を形成する方法(600)であって、
マンドレル上部(204)によって相互接続された対向するマンドレル側面(212)を有する成形マンドレル(202)上に取り付けられた上部加熱ブランケット(344)と下部加熱ブランケット(346)との間にコンポジットチャージ(500)を配置するステップであって、前記下部加熱ブランケット(346)は、前記対向するマンドレル側面(212)と前記下部加熱ブランケット(346)の下面との間にそれぞれ一対のウェッジ要素(400)を有し、各ウェッジ要素(400)は、テーパ部(406)の前端部(408)から後端部(410)に向かって下方に傾斜したウェッジ要素上面(402)を有する前記テーパ部(406)を含み、前記上部加熱ブランケット(344)、前記下部加熱ブランケット(346)、および前記ウェッジ要素(400)は、ブランケットアセンブリ(340)を集合的に形成する、ステップと、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)のうちの少なくとも一方を用いて前記コンポジットチャージ(500)を加熱して、前記コンポジットチャージ(500)内の樹脂の粘度を低下させるステップと、
前記成形マンドレル(202)と前記ブランケットアセンブリ(340)との間で前記コンポジットチャージ(500)が摺動する状態で、前記成形マンドレル(202)の長手方向に沿って前記ブランケットアセンブリ(340)を並進させるステップと、
前記上部加熱ブランケット(344)を使用して、前記テーパ部(406)上を通過する前記コンポジットチャージ(500)上にブランケット成形圧力(378)を加えるステップと、
前記ブランケット成形圧力(378)に応じて、前記マンドレル側面(212)および前記ウェッジ要素上面(402)に対して前記コンポジットチャージ(500)を徐々に形成するステップと、
前記コンポジットチャージ(500)の横方向に対向する側の各々において、各マンドレル側面(212)とウェッジ要素上面(402)との接合部に沿って位置する横方向外方に移動するスリップゾーン(512)を有するZ字形外形(510)を誘起させるステップであって、前記スリップゾーン内で前記コンポジットチャージ(500)のコンポジットプライ(504)が互いに対して層間で滑る、ステップと、
前記マンドレル側面(212)および前記ウェッジ要素上面(402)に対する前記コンポジットチャージ(500)の成形中に、前記マンドレル上部(204)に対するレベル接線(208)にほぼ平行な関係で前記コンポジットチャージ(500)の各横方向に対向する側の前記Z字形外形(510)の横方向外側部分(520)を支持するステップと、
を含む方法(600)。
【請求項12】
前記ブランケットアセンブリ(340)を前記成形マンドレル(202)に沿って並進させる前記ステップは、
ブランケット前端部(350)において前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)にそれぞれ結合された一対の剛性要素(366)を引っ張るステップを含む、請求項11に記載の方法(600)。
【請求項13】
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の各々は、前記テーパ部の前記後端部(410)から後方に延在するブランケット後方延長部(374)を含み、前記方法(600)は、
前記ブランケット後方延長部(374)上に配置された成形装置(430)を使用して、前記マンドレル側面(212)に対して前記コンポジットチャージ(500)上に成形装置圧力(432)を加えるステップと、
前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の前記剛性要素(366)を互いに向かって付勢し、前記コンポジットチャージ(500)上にブランケット入口クランプ圧力(372)を生成させるステップと、
前記ブランケットアセンブリ(340)が前記剛性要素(366)によって引っ張られた場合に、前記ブランケット前端部(350)と前記成形装置圧力(432)の位置との間の前記コンポジットチャージ(500)に長手方向の張力(442)を誘起させるステップと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法(600)。
【請求項14】
前記ウェッジ要素(400)は弾性的に圧縮可能であり、前記方法(600)は、
前記成形マンドレル(202)の前記長手方向に沿って前記ブランケットアセンブリ(340)が並進する間に、前記成形マンドレル(202)の断面の局所的変化に前記ウェッジ要素(400)を適合させるステップをさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法(600)。
【請求項15】
前記ウェッジ要素(400)は各々、テーパ部前端部(408)の前方に位置し、前記マンドレル上部(204)とほぼ面一であるウェッジ要素上面(402)を有する前方部分(422)を含み、前記コンポジットチャージ(500)を加熱する前記ステップは、
前記前方部分(422)内に延在する前記上部加熱ブランケット(344)および前記下部加熱ブランケット(346)の少なくとも一方を使用して、前記コンポジットチャージ(500)が前記テーパ部(406)を通過する前に前記コンポジットチャージ(500)を加熱するステップ
を含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、コンポジット材料の製造に関し、より詳細には、成形マンドレル上にコンポジットチャージを形成するためのヒートブランケットアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
コンポジット構造体は、高い強度対重量比、改善された耐腐食性、および他の好ましい特性のために、広範囲の用途に使用される。航空機の構築では、胴体、翼、および他の構成要素を形成するために多量のコンポジット材料が使用される。例えば、翼パネルは、複数の細長いコンポジットストリンガをコンポジット翼スキンに共硬化または共結合することによって製造することができる。各コンポジットストリンガを製造するプロセスは、コンポジットチャージが成形マンドレルの形状をとり、その後にコンポジットチャージが硬化するようにして、細長い成形マンドレル上に未硬化コンポジットプライのスタックまたはチャージを形成するステップを含むことができる。各コンポジットプライは、ポリマー母材(例えば、エポキシ樹脂)が含浸された強化繊維(例えば、炭素繊維)から構成することができる。
【0003】
成形マンドレル上に未硬化のコンポジットチャージを形成する従来の方法は、強化繊維のしわまたは座屈の発生をもたらす可能性がある。このようなしわは、コンポジットチャージに形成された内側コーナーに沿った位置の最も内側のコンポジットプライにおいて生じ得る。成形マンドレルに最も近接して配置されたコンポジットプライにおける圧縮力の蓄積の結果として、コンポジットチャージの内側コーナーに沿った局所的なしわまたは座屈が生じることがある。圧縮力の蓄積は、コンポジットチャージが成形マンドレルの断面形状に一致するので、隣接するコンポジットプライが互いに滑ることができないことに起因する。しわはまた、コンポジットチャージの一部の領域が圧縮状態になるような外形に形成される場合に、部分的に硬化したコンポジットチャージのコンポジットプライのいずれか1つまたは複数に生じる可能性もある。コンポジット構造体におけるしわの領域は、局所的に曲がったまたは捩れた強化繊維を表し、硬化したコンポジット構造体の強度および/または剛性を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
理解することができるように、コンポジットプライの局所的なしわまたは座屈の発生なしに、成形マンドレル上にコンポジットチャージを形成するためのシステムおよび方法の必要性が、当該分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
成形マンドレル上にコンポジットチャージを形成することに関連する上記の必要性は、本明細書でグライド成形と呼ばれる一般的な引張り離散押出(GLIDE)成形として知られている方法を使用することによって、成形マンドレル上にコンポジットチャージを形成するためのブランケットアセンブリを提供する本開示によって具体的に対処され、緩和される。成形マンドレルは、マンドレル上部によって相互接続された対向するマンドレル側面を有する。ブランケットアセンブリは上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットを含み、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットは、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットが成形マンドレルの長手方向に沿って並進する際にそれらの間で摺動可能なコンポジットチャージを有するように構成される。ブランケットアセンブリは、コンポジットチャージを加熱するための上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの少なくとも一方に含まれる加熱要素をさらに含む。ブランケットアセンブリはまた、下部加熱ブランケットの下側に配置可能な一対のウェッジ要素を含む。ウェッジ要素の各々は、テーパ部を含み、対向するマンドレル側面の一方を支持するように構成されたウェッジ要素内側を有する。
【0006】
ブランケットアセンブリでは、各ウェッジ要素は、成形マンドレル上に取り付けられた場合に、コンポジットチャージおよびブランケットアセンブリを支持するように構成されたウェッジ要素上面を有する。テーパ部内では、ウェッジ要素上面は、テーパ部前端部からテーパ部後端部への方向に沿って下方に傾斜している。上部加熱ブランケットは、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリ並進する際に、マンドレル側面およびウェッジ要素上面に対してコンポジットチャージおよび下部加熱ブランケットを徐々に形成する手段として、マンドレル側面およびウェッジ要素上面に向かってコンポジットチャージおよび下部加熱ブランケットを付勢するために、コンポジットチャージにブランケット成形圧力を及ぼすように構成される。ブランケット成形圧力は、コンポジットチャージの横方向に対向する側において、各マンドレル側面とウェッジ要素上面との接合部に沿って位置する横方向外方に移動するスリップゾーンを有するZ字形外形を誘起する。スリップゾーン内では、コンポジットチャージのコンポジットプライは、加熱要素からの熱によるコンポジットチャージの樹脂粘度の低下によって促進される層間の摩擦が低減されているので、互いに対して層間で滑る。ブランケットアセンブリが成形マンドレルに沿って並進するにつれて、コンポジットチャージ内に形成された内側コーナーに沿った位置でしわの発生を低減または防止する手段として、ウェッジ要素上面は、それぞれ、マンドレル上部に対するレベル接線にほぼ平行な関係で、コンポジットチャージの各側のZ字形外形の横方向外側部分を維持するように構成される。
【0007】
成形マンドレル上にコンポジットチャージをグライド成形するための成形システムも開示される。成形システムは、上述したように、マンドレル上流側端部と、マンドレル下流側端部と、マンドレル上部によって相互接続された対向するマンドレル側面と、を有する成形マンドレルを含む。さらに、成形システムは、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する際に、初期のほぼ平坦な構成から成形マンドレルの断面形状に対応する折り畳まれた構成にコンポジットチャージを徐々に成形するための上述のブランケットアセンブリを含む。
【0008】
さらに、成形マンドレル上にコンポジットチャージを成形する方法が開示される。本方法は、マンドレル上部によって相互接続された対向するマンドレル側面を有する成形マンドレル上に取り付けられた上部加熱ブランケットと下部加熱ブランケットとの間にコンポジットチャージを配置するステップを含む。上に示したように、下部加熱ブランケットは、対向するマンドレル側面と下部加熱ブランケットの下面との間にそれぞれ一対のウェッジ要素を有する。ウェッジ要素の各々は、テーパ部の前端部から後端部までマンドレル上部に対して下方に傾斜したウェッジ要素上面を有するテーパ部を含む。上部加熱ブランケット、下部加熱ブランケット、およびウェッジ要素は、集合的にブランケットアセンブリを形成する。本方法は、上部加熱ブランケットおよび/または下部加熱ブランケットを使用してコンポジットチャージを加熱し、コンポジットチャージ中の樹脂の粘度を低下させてコンポジットプライ間の層間摩擦を減少させ、コンポジットチャージをその間で摺動させて成形マンドレルの長手方向に沿ってブランケットアセンブリを並進させるステップを含む。
【0009】
ブランケットアセンブリの並進中に、本方法は、マンドレル側面およびウェッジ要素上面に対してコンポジットチャージを徐々に形成するために、上部加熱ブランケットを用いて、テーパ部を通過するコンポジットチャージにブランケット成形圧力を加え、コンポジットチャージおよび下部加熱ブランケットをマンドレル側面およびウェッジ要素上面に向かって付勢するステップを含む。本方法は、ブランケット成形圧力は、コンポジットチャージの横方向に対向する側の各々において、各マンドレル側面とウェッジ要素上面との接合部に沿って位置する横方向外方に移動するスリップゾーンを有するZ字形外形を誘起するステップを含み、ブランケットアセンブリによるコンポジットチャージの加熱による樹脂粘度の低下の結果としてコンポジットプライ間の層間の摩擦が低減されるので、コンポジットチャージのコンポジットプライが相互に層間で摺動する。本方法は、しわの発生を低減または防止するための手段として、マンドレル側面およびウェッジ要素上面に対するコンポジットチャージの成形中に、マンドレル上部に対するレベル接線にほぼ平行な関係でコンポジットチャージの各横方向に対向する側のZ字形外形の横方向外側部分を支持するステップをさらに含む。
【0010】
説明された特徴、機能および利点は、本開示の様々な実施形態において独立して達成することができるか、またはさらなる詳細が以下の説明および図面を参照して理解することができる、さらに他の実施形態において組み合わせることができる。
【0011】
本開示のこれらの特徴および他の特徴は、図面を参照することにより、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】複数のコンポジットストリンガによって補強されたコンポジット翼パネルをそれぞれ含むコンポジット翼を有する航空機の斜視図である。
図2】L字形ストリンガの一例の斜視図であり、そのうちの2つは、T字型コンポジットストリンガを形成するために背中合わせの関係で組み立てることができ、各L字形ストリンガは、本明細書に開示するヒートブランケットアセンブリおよび方法を使用して成形マンドレル上で形成することができる。
図3】コンポジットチャージがブランケットアセンブリを通って摺動する間に成形マンドレルに沿って本明細書に開示したヒートブランケットアセンブリを並進させることによって成形マンドレル上にコンポジットチャージを形成するための成形システムの一例の斜視図である。
図4図3の成形システムの分解斜視図である。
図5図4の線5に沿ったヒートブランケットアセンブリの上部加熱ブランケットの一例の斜視図であり、加熱要素を示している。
図6図5の線6に沿った上部加熱ブランケットの一部の断面図であり、電気絶縁性スリーブによってカプセル化された電気抵抗性ワイヤからなる加熱要素を示している。
図7図3の成形システムの分解側面図である。
図8】ブランケットアセンブリの下側に向かって上向きに見た成形システムの斜視図であり、ブランケットアセンブリが成形マンドレルに沿って並進する際にコンポジットチャージを成形マンドレルの断面形状に徐々に形成するためのウェッジ要素を示している。
図9】成形システムの一例の上面図であり、ブランケットアセンブリが、1つまたは複数のロボット装置によって成形マンドレルの長手方向に沿って並進される。
図10】コンポジットチャージが成形マンドレルに対して静止して保持されている間に、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリを並進させる際の成形システムの一例の側面図である。
図11】コンポジットチャージが成形マンドレルの断面形状に徐々に成形されるテーパ部を有するウェッジ要素の一例の側面図である。
図12】成形マンドレルの対向する側に取り付け可能な一対のウェッジ要素の一例の上面図である。
図13】一対のウェッジ要素の一例の端面図である。
図14】ウェッジ要素のテーパ部を横切るコンポジットチャージの長手方向断面の斜視図であり、ウェッジ要素のテーパ部の領域における成形マンドレルの対向する側の対角線ノッチに沿ったコンポジットチャージにおけるしわを最小化または防止するために、コンポジットチャージに加えられた長手方向の張力をさらに示している。
図15】ウェッジ要素のテーパ部に沿って成形マンドレルの断面形状にコンポジットチャージを徐々に成形するために、上部加熱ブランケットによって加えられるブランケット成形圧力を増加させるための成形マンドレルおよび任意の質量要素の一例の斜視図である。
図16】ブランケットアセンブリの上部に取り付け可能な質量ストリップおよび/または質量層の形態の質量要素を示す成形システムの分解断面図である。
図17】成形マンドレル上に取り付けられたブランケットアセンブリおよびコンポジットチャージを示す成形システムの一部の側面図である。
図18図17の線18に沿った成形システムの断面図であり、ブランケットアセンブリのほぼ平坦な構成と、ウェッジ要素の前方部分によって支持されたコンポジットチャージを示す。
図19図18の線19に沿ったコンポジットチャージの拡大断面図であり、コンポジットチャージの初期のほぼ平坦な構成を示している。
図20図17の線20に沿った成形システムの断面図であり、上部加熱ブランケットによって加えられるブランケット成形圧力の適用のために、コンポジットチャージの横方向の対向する側の各々に誘起されるZ字形外形を示す。
図21図20の線21に沿ったコンポジットチャージの拡大断面図であり、マンドレル側面とウェッジ要素上面との接合部に沿って位置する横方向外方に移動するスリップゾーンを示し、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間に、コンポジットチャージのコンポジットプライが互いに層間で滑り、ウェッジ要素は、コンポジットチャージの横方向外側部分をマンドレル上部に対するレベル接線に平行な関係(例えば、水平)に維持する。
図22図17の線22に沿った成形システムの断面図であり、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間にコンポジットチャージがウェッジ要素のテーパ部の上を移動する際の、コンポジットチャージの各側のさらに顕著なZ字形外形を示す。
図23図22の線23に沿ったコンポジットチャージの拡大断面図であり、マンドレル側面とウェッジ要素上面との接合部に位置する比較的小さい横方向外方に移動するスリップゾーンを示し、さらに、スリップゾーンの反対側の非スリップゾーンと、ウェッジ要素によって水平方向に維持されたコンポジットチャージの横方向外側部分と、を示している。
図24図17の線24に沿った成形システムの断面図であり、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間にコンポジットチャージがウェッジ要素のテーパ部の上を移動する際の、コンポジットチャージの各側のさらに顕著なZ字形外形を示す。
図25図24の線25に沿ったコンポジットチャージの拡大断面図であり、横方向外方に移動するスリップゾーンと、スリップゾーンの反対側の非スリップゾーンと、ウェッジ要素によって水平方向に維持されたコンポジットチャージの横方向外側部分と、を示している。
図26図17の線26に沿った成形システムの断面図であり、ウェッジ要素のテーパ部の後方の位置で成形マンドレルに適合するコンポジットチャージの各側面を示す。
図27図26の線27に沿ったコンポジットチャージの拡大断面図であり、成形マンドレルのマンドレル側面に適合するコンポジットチャージを示す。
図28】成形マンドレル上にコンポジットチャージを成形する方法に含まれる1つまたは複数の動作を有するフローチャートである。
図29】成形マンドレル上に取り付けられたブランケットアセンブリおよびコンポジットチャージを示す成形システムの側面図であり、ブランケットアセンブリ上に成形装置を適用する前の図である。
図30】コンポジットチャージをマンドレル側面およびウェッジ要素に最初に漸進的に適合させるためにテーパ部の前端部でブランケットアセンブリに適用される成形装置を示す成形システムの側面図である。
図31】ブランケット後部延長部に固定された成形装置を示す成形システムの側面図である。
図32】成形システムの側面図であり、ブランケットアセンブリおよび成形装置がマンドレル上流側端部に向かってユニットとして並進して、コンポジットチャージを成形マンドレルの断面形状に徐々に成形する様子を示す。
図33】成形システムの側面図であり、マンドレル下流側端部におけるブランケットアセンブリおよび成形装置を示す。
図34】成形システムの側面図であり、成形マンドレルからブランケットアセンブリおよび成形装置を取り外し、成形マンドレルの断面形状に適合したコンポジットチャージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は、本開示の好ましい実施形態および様々な実施形態を説明するためのものであり、図1に示す航空機100は、本明細書に開示するヒートブランケットアセンブリ340(図3)および成形方法600(図28)を使用して製造することができる1つまたは複数のコンポジット構造体102を組み込むことができる。航空機100は、1つまたは複数の水平尾部108および垂直尾部110を含む尾翼を有する胴体104を含むことができる。さらに、航空機100は、胴体104から外向きに延在する一対の翼106を含むことができる。胴体104、翼106、水平尾部108、垂直尾部110、および他の構成要素は、複数の細長いコンポジットストリンガ112によって補強されたコンポジットスキン(図示せず)を含むことができる。コンポジットストリンガ112は、本明細書に記載されたブランケットアセンブリ340(図3)および方法600を使用して、成形マンドレル202(図3)上に未硬化または部分硬化のコンポジットチャージ500(図3)をグライド成形することによって製造することができる。図2は、本開示のブランケットアセンブリ340を使用して成形マンドレル202上に形成することができるL字形ストリンガ114の一例の斜視図である。
【0014】
図3は、コンポジットチャージ500がブランケットアセンブリ340の上部加熱ブランケット344と下部加熱ブランケット346との間を摺動する間に、本開示のブランケットアセンブリ340を成形マンドレル202に沿って並進させることによって、成形マンドレル202上にコンポジットチャージ500を成形するための成形システム200の一例の斜視図である。ブランケットアセンブリ340は、逆V字形の断面を有する成形マンドレル202上にコンポジットチャージ500を成形するという文脈で説明されているが、ブランケットアセンブリ340は、様々な断面形状のいずれか1つを有する成形マンドレル202上にコンポジットチャージ500を成形するためのサイズおよび構成にすることができる。例えば、図示していないが、ブランケットアセンブリ340は、それぞれが水平ベースフランジで終端する垂直または傾斜側壁を相互連結する水平キャップを有するハットセクションストリンガ(図示せず)を製造するために、矩形形状または台形形状(例えば、オメガ形状)の断面(図示せず)を有する成形マンドレル上にコンポジットチャージ500を形成するために実施されてもよい。
【0015】
図3において、コンポジットチャージ500の対向する端部は、成形マンドレル202の対向する端部214、216に対するそれぞれの位置に保持されている。コンポジットチャージ500は、ブランケット前端部350(すなわち、ヒートブランケット入口)およびブランケット後端部352(すなわち、ヒートブランケット出口)を有するブランケットアセンブリ340の上部加熱ブランケット344と下部加熱ブランケット346との間に配置される。上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346の各々は、コンポジットチャージ500の幅よりも広くてもよいブランケット幅360(図4)を有する。しかし、いくつかの例では、ブランケット幅360は、コンポジットチャージ500の幅よりも広くなくてもよいし、狭くてもよい。上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、コンポジットチャージ500を加熱してコンポジットチャージ500中の樹脂の粘度を低下させるための加熱要素386(図4)を含み、以下に説明するように、上部加熱ブランケット344によって適用されるブランケット成形圧力378(図29図32)の下で成形マンドレル202の断面形状の上のコンポジットチャージ500の成形を容易にする。成形システム200は、ブランケットアセンブリ340のブランケット後方延長部374上に支持された成形装置430(例えば、膨張可能なブラダー)を含むことができる。成形装置430は、図29図34に示され、以下で説明するように、ブランケットアセンブリ340および成形装置430が成形マンドレル202に沿ってユニットとして並進する際に、成形マンドレル202の断面形状または外形にコンポジットチャージ500を完全に適合させるために成形装置圧力432(例えば、図30図33)を適用するように構成することができる。
【0016】
特に、ブランケットアセンブリ340は、下部加熱ブランケット346の下側(例えば、図8)に対して配置可能な一対のウェッジ要素400(例えば、図4図7図12)を含む。ウェッジ要素400の各々は、テーパ部406(例えば、図3図4図7および図10図13)を含み、それに沿ってコンポジットチャージ500は、テーパ部406の前方の位置における初期のほぼ平坦な構成312(図3)から、テーパ部406の後方の位置における傾斜した構成314(図3)に移動し、ここで、コンポジットチャージ500は、成形マンドレル202の断面形状に概ね適合する。上部加熱ブランケット344および任意の質量要素380(図15図16)の重量は、図29図34に示すようにブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する際に、マンドレル側面212およびウェッジ要素上面402(例えば、図4図11図16)に対してコンポジットチャージ500を徐々に成形する手段として、コンポジットチャージ500の上に一様にブランケット成形圧力378(図29図32)を及ぼして、コンポジットチャージ500および下部加熱ブランケットをマンドレル側面212およびウェッジ要素上面402(例えば、図4図11図16)に向かって付勢する。
【0017】
図20図25を簡単に参照すると、コンポジットチャージ500上のブランケット成形圧力378をマンドレル側面212およびウェッジ要素上面402に適用することにより、以下に説明するように、コンポジットチャージ500の横方向の対向する側の各々にZ字形外形510が誘起される。以下で述べるように、逆V字形断面のマンドレル側面212は、図20図25における鋭角を形成するが、マンドレル側面212は、成形マンドレル202によって形成されるストリンガの脚部間の角度に応じて様々な角度のうちのいずれか1つに向くことができる。例えば、マンドレル側面212は、鋭角、鈍角、または直角を形成することができる。図20図25において、各Z字形外形510は、各マンドレル側面212とウェッジ要素上面402との接合部に沿って位置するスリップゾーン512(図21図23図25)を有する。各スリップゾーン512内で、コンポジットプライ504は、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346によってコンポジットチャージ500が加熱された結果、コンポジットチャージ500内の樹脂の粘度が低下するので、層間摩擦が低減され、相互に層間で滑る。コンポジットチャージ500の長さに沿った各点において、成形マンドレル202の各側のスリップゾーン512は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する間にコンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406を通過する際に横方向外方に移動する。テーパ部406は、コンポジットチャージ500がテーパ部406上を通過する際に、コンポジットチャージ500の対向する横方向外側部分520を水平方向に維持する。
【0018】
コンポジットチャージ500の横方向外側部分520を水平方向に維持することによって(図20図25)、スリップゾーン512は比較的狭い横幅を有する。スリップゾーン512の幅が比較的狭いため、本開示のブランケットアセンブリ340および方法600を使用してコンポジットチャージ500をマンドレル側面212に逐次的にまたは徐々に成形する代わりに、コンポジットチャージ500の各側面がマンドレル側面212に対して一度に成形されるならば隣接するコンポジットプライ504の間に生じるであろう層間摩擦またはせん断力の量が減少する。有利なことに、層間摩擦またはせん断の減少により、コンポジットプライ504は、コンポジットプライ504における圧縮力の蓄積を低減または最小にするように、コンポジットプライ504が互いに対して滑ることが可能となり、成形マンドレル202の頂点206(図4)などに沿ったコンポジットプライ504の局所的なしわまたは座屈の発生を防止することができる。
【0019】
図3図4を参照すると、上に示したように、コンポジットチャージ500は、成形マンドレル202上で傾斜した構成314に成形される前には、最初はほぼ平坦な構成312を有してもよい。コンポジットチャージ500は、最初に、積み重ねられた形態の複数のコンポジットプライ504として敷設されてもよい。コンポジットプライ504は、炭素繊維強化エポキシ材料などの繊維強化ポリマー母材から構成されてもよく、プリプレグ熱硬化性材料またはプリプレグ熱可塑性材料として提供されてもよい。しかしながら、繊維強化ポリマー母材は、金属、ガラス、セラミック、または他の繊維組成物を含む任意の材料で形成された繊維を含むことができる。母材は、任意のタイプの熱硬化性マ母材またはエポキシ母材のような熱可塑性母材であってもよい。
【0020】
コンポジットチャージ500は、チャージ上流側端部506およびチャージ下流側端部508を有し、これらは、それぞれ、マンドレル上流側端部214およびマンドレル下流側端部216に対して所定の位置に保持することができる。成形マンドレル202は、マンドレル上部204と、マンドレル上部204によって相互接続された一対の対向するマンドレル側面212と、を有する。図3の例では、マンドレル上部204は、成形マンドレル202の逆V字形断面のマンドレル側面212を相互接続する丸みのある頂点206(例えば、図13)として説明することができる。マンドレル側面212は、成形マンドレル202によって成形されるストリンガの形状に応じて様々な角度のいずれか1つに向くことができる。例えば、マンドレルの側面212は、L字形ストリンガを形成するのに望ましい鋭角、鈍角、または直角を形成することができ、その一対は背中合わせの配置で組み立ててT字形ストリンガ(図示せず)を形成することができる。しかしながら、上に示したように、成形マンドレル202は、ハット形状の断面(図示せず)などの様々な異なる断面形状のいずれか1つで提供されてもよく、マンドレル上部は、ハット形状のコンポジットストリンガ(図示せず)のキャップを形成するための水平に配向されたキャップ部分であってもよい。
【0021】
図3図4において、チャージ上流側端部506およびチャージ下流側端部508は、それぞれのマンドレル上流側端部214およびマンドレル下流側端部216に対して着脱可能に取り付けられ、固定され、固着され、クランプされ、および/または保持することができる。図示する例では、チャージ上流側端部506およびチャージ下流側端部508は、クランプシステム300の上流側ヒンジクランプ302および下流側ヒンジクランプ304によってそれぞれ定位置にクランプされてもよい。 上流側ヒンジクランプ302および下流側ヒンジクランプ304はそれぞれ、ヒンジ半部316がピボットするヒンジ軸線318(図3)を有する少なくとも1つのヒンジピン(図示せず)によって共に枢動可能に結合された一対のヒンジ半部316を有するヒンジ310(図3)を含むことができる。上流側ヒンジクランプ302および/または下流側ヒンジクランプ304のヒンジ軸線318は、成形マンドレル202に適合したときのコンポジットチャージ500の折り畳み軸線320(図示せず)に対してほぼ平行に(例えば、30度以内に)配向されていてもよく、および/またはそれに整列されていてもよく、またはほぼ一致して(例えば、25mm以内)いてもよい。折り畳み軸線320は、マンドレル上部204とマンドレル側面212の少なくとも1つとの交点で定義されてもよく、または折り畳み軸線320は、一対のマンドレル側面212の交点で定義されてもよい。
【0022】
各ヒンジ310は、ブランケットアセンブリ340がマンドレル上流側端部214からマンドレル下流側端部216に並進する間にコンポジットチャージ500が成形マンドレル202の断面形状に徐々に適合する際に、コンポジットチャージ500が最初にほぼ平坦な構成312から傾斜した構成314に移行することを可能にする。図3の例では、折り畳み軸線320は、ほぼ成形マンドレル202の頂点206に位置している。しかし、上述したように、成形マンドレルは、マンドレル側面の各々とハット形状の断面の水平に配向されたマンドレル上部との交点にそれぞれ位置する、対応する一対の折り畳み軸(図示せず)を有することができるハット形状の断面を有することができる。この点に関して、ハット形状の断面の成形マンドレル(図示せず)の各ヒンジクランプは、折り畳み軸にほぼ平行におよび/またはほぼ整列して配置された平行な一対のヒンジ軸(図示せず)を有することができる。
【0023】
さらに図3図4を参照すると、上流側ヒンジクランプ302および下流側ヒンジクランプ304は、それぞれ、互いに並んで配置され、一対のヒンジ半部316にそれぞれ結合された一対の下部プレート306を含むことができる。さらに、上流側ヒンジクランプ302および下流側ヒンジクランプ304は、それぞれ、一対の下部プレート306の上に取り付け可能な一対の上部プレート308を含むことができる。上流側ヒンジクランプ302および下流側ヒンジクランプ304は、上部プレート308と下部プレート306との間にコンポジットチャージ500をクランプするために、一対の上部プレート308および下部プレート306の上に着脱可能に取り付けられるように構成された一対のばねクランプ324などの一対のクランプ装置322をそれぞれ含むことができる。上流側ヒンジクランプ302は、ヒンジ取り付けブラケット326(例えば、図4および図7)によってマンドレル上流側端部214に結合されてもよい。
【0024】
下流側ヒンジクランプ304は、成形マンドレル202上にコンポジットチャージ500を成形する間に、コンポジットチャージ500に長手方向の張力442(図9)を加えるように構成され得るチャージテンション機構440(図9)に結合されてもよい。図9の例では、チャージテンション機構440は、これは、下流側ヒンジクランプ304から長手方向に延在する薄い剛性の細長いストリップ、バー、または他の要素として提供され得る、前方延長要素328を引っ張るように構成されたロボット装置332であってもよい。前方延長要素328は、以下でより詳細に説明するように、ブランケットアセンブリ340が、ロボット装置332などの並進機構330(図9)によって成形マンドレル202の全長にわたって引っ張られることを可能にする長さで提供することができる。チャージテンション機構440は、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340が移動する間にコンポジットチャージ500内に発生する可能性があるスラックを吸収する手段として、成形プロセス中に一定の長手方向の張力442をコンポジットチャージ500に加えるように構成することができる。さらに、チャージテンション機構440は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿ってマンドレル下流側端部216に向かって押されまたは引っ張られる(すなわち、並進される)際にチャージ下流側端部508を横方向に導くことによって、コンポジットチャージ500のチャージ中心線502(図4)を成形マンドレル202の中央に維持するように構成することができる。
【0025】
図5を参照すると、1つまたは複数の加熱要素386を組み込んだ上部加熱ブランケット344の一例が示されている。上部加熱ブランケット344の図示する構成は、下部加熱ブランケット346の代表的なものであり得る。上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、それぞれ少なくとも1つのブランケット層を含むことができる。ブランケット層は、織布または布などの可撓性材料で形成されてもよい。あるいは、ブランケット層は、非織物膜などの不織布材料で形成されてもよい。例えば、ブランケット層は、繊維補強の有無にかかわらず、シリコーンゴムなどのポリマー材料で形成されてもよい。いくつかの例では、ブランケット層は、綿または羊毛などの天然材料で形成されてもよく、および/またはブランケット層は、ガラス繊維布またはアラミド布などの合成材料で形成されてもよい。ブランケット層は、上部加熱ブランケット344と下部加熱ブランケット346との間でコンポジットチャージ500の摺動を促進するために、シリコーン、テフロン(商標)、または他の低摩擦材料で任意にコーティングすることができる。さらに、低摩擦材料は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する際に、成形マンドレル202上の下部加熱ブランケット346のアセンブリ340の摺動を容易にすることができる。
【0026】
図5図6を参照すると、加熱要素386は、上述のブランケット層と同様に構成することができる上部ブランケット層356と下部ブランケット層358との間に挟み込むことができる。 1つまたは複数の加熱要素386を上部加熱ブランケット344に一体化することができ、かつ/あるいは1つまたは複数の加熱要素386を下部加熱ブランケット346に一体化することができる。例えば、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、上部ブランケット層356と下部ブランケット層358との間に挟まれた1つまたは複数の抵抗加熱要素386を含むことができる。上部ブランケット層356および下部ブランケット層358は、それらの間に挟まれた加熱要素386と共に結合(例えば、縫合)されてもよい。図6の加熱要素386は、電気絶縁性スリーブ390によって任意にカプセル化された電気抵抗性ワイヤ388またはコードを含むことができる。いくつかの例では、電気抵抗性ワイヤ388またはコードの各々は、ニクロムフィラメント(すなわち、ニッケル-クロム合金)などの金属フィラメントの束として形成され、アラミド布などの電気抵抗性で可撓性材料の布スリーブによって覆われ、またはカプセル化されてもよい。フィラメントおよび各束の量は、コンポジットチャージ500のための所望の熱392出力を提供するように選択することができる。
【0027】
図5において、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346の加熱要素386は、互いに間隔を空けて平行に配置された長手方向部分として配置されてもよい。長手方向部分の端部は、連続した電気回路を形成するように直列に接続されてもよい。しかしながら、加熱要素386は、様々な形状、パターンまたは構成のうちの任意の1つに配置することができ、図5に示す構成に限定されない。さらに、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、複数の別個の加熱要素386を含んでもよい。
【0028】
上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346のそれぞれの1つまたは複数の加熱要素386は、加熱要素386への電流の流れを制御するように構成されたコントローラ398に電気的に結合されてもよい。コントローラ398は、加熱ブランケット内に組み込まれ得る複数の熱電対394(図5)によってコントローラ398に提供される温度測定値に基づいて加熱ブランケットの温度を調整することによって、コンポジットチャージ500の温度を間接的に調整するように構成することができる。コントローラ398は、樹脂の粘度を低下させてコンポジットチャージ500のスリップゾーン512(例えば、図21、23、25)内のコンポジットプライ504の層間の滑りを可能にするように、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346の温度を調整するようにプログラムすることができ、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340が並進する間にコンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406上を通過する際に、コンポジットチャージ500が成形マンドレル202の断面形状に徐々に適合することが可能になる。一実施形態では、コントローラ398は、コンポジットチャージ500の加熱を、硬化したコンポジットチャージの機械的特性を低下させる可能性のあるレベルまで樹脂の硬化を望ましくなく進める温度より下に制限するように構成されてもよい。いくつかの例では、コントローラ398は、コンポジットチャージ500の上面および下面に適用され、加熱によって保護層354の除去が困難になることがあるフッ素化エチレンプロピレン(FEP)フィルムなどの保護層354(図7)の過熱を防止するように構成されてもよい。コンポジットチャージ500の材料組成および成形条件に応じて、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、通常の成形作業では室温(例えば、20℃)から90℃まで、高温コンポジット材料では最高温度200℃以上までの温度範囲で作業することができる。非限定的な例では、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、熱分布および温度調整を最適化するための金属編組ヒートイコライザ396(図5)を有する3重冗長熱電対構成をそれぞれ含むことができる。
【0029】
図示していない別の実施形態では、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346は、交流電流が印加される(例えば、コントローラ398によって)導体(例えば、ワイヤ、チューブなど)によって生成された磁界に応答して誘導加熱される磁性材料を有するスマートサセプタ加熱ブランケット(図示せず)として構成されてもよい。磁性材料は、上部および/または下部加熱ブランケット内に収容された熱伝導性母材(例えばシリコーン)に埋め込まれた誘導加熱粒子として提供されてもよく、それを通って導体がスマートサセプタ加熱ブランケット内の蛇行したパターンなどで延在することができる。別の実施形態では、磁性材料は、スマートサセプタ加熱ブランケットに収容された熱伝導性母材内に(例えば、蛇行パターンで)配置された導体上に同軸に取り付けられた複数の誘導加熱された端部間のスリーブセグメントとして提供されてもよい。熱伝導性母材は、磁性材料(例えば、粒子、サセプタスリーブ)によって発生した熱をスマートサセプタ加熱ブランケットの表面に熱伝導させて、スマートサセプタ加熱ブランケットと接触するコンポジットチャージの部分を加熱するのを促進する。磁性材料は、キュリー温度に基づいて選択することができ、キュリー温度は磁性材料が磁性を失い、それに対応して熱出力の低下をもたらす温度である。磁性材料のキュリー温度は、成形マンドレルの外形へのコンポジットチャージの成形中にコンポジットチャージが加熱されるべき所望の温度に対応することができる。
【0030】
有利なことに、磁性材料のキュリー温度は、スマートサセプタ加熱ブランケットと接触しているコンポジットチャージのすべての部分の過熱または熱不足を防止するように選択することができる。このようにして、スマートサセプタ加熱ブランケットは、スマートサセプタ加熱ブランケット(例えば、上部および下部加熱ブランケット)が成形マンドレルに沿って並進するときに、コンポジットチャージがスマートサセプタ加熱ブランケットを通過するにつれて、コンポジットチャージへの均一な熱の適用を容易にする。磁性材料のほぼキュリー温度に達していないスマートサセプタ加熱ブランケットの部分は、コンポジットチャージの局所的に隣接する部分を加熱し続ける。ほぼキュリー温度に達したスマートサセプタ加熱ブランケットの部分は、磁性材料が非磁性になるためコンポジットチャージの局所的に隣接する部分を導電的に加熱しなくなり、導体によって生成された誘導電流を磁性材料の局所温度をキュリー温度に維持するのに十分なレベルまで減少させる。このようにして、スマートサセプタ加熱ブランケットは、磁性材料の温度依存磁気特性に起因して、本質的にコンポジットチャージの過熱および熱不足を制限する。いくつかの例では、導体内の交流電流の周波数および/または振幅は、スマートサセプタ加熱ブランケットのキュリー温度および/または加熱速度を微調整する手段として調整されてもよい。
【0031】
図7は、成形システム200の一例の分解側面図であり、上部加熱ブランケット344と下部加熱ブランケット346との間に位置するコンポジットチャージ500を示す。コンポジットチャージ500の対向する端部は、それぞれの対向するマンドレル上流側端部214およびマンドレル下流側端部216を超えて延在することができる。上述したように、チャージ上流側端部506は、マンドレル上流側端部214に位置するヒンジ取り付けブラケット326に固定して結合された上流側ヒンジクランプ302にクランプされてもよい。チャージ下流側端部508は、下流側ヒンジクランプ304に結合されてもよく、下流側ヒンジクランプ304は、マンドレル下流側端部216においてチャージテンション機構440(図9)に結合されてもよい。上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346の各々は、ブランケット前端部350とブランケット後端部352との間に延在し、コンポジットチャージ500の長さよりも短いブランケット長さ364を有する。上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346は、ブランケット前端部350およびブランケット後端部352において互いに整列されていることが好ましい。上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346はそれぞれ、ウェッジ要素400のテーパ部406の上流に位置する上述のブランケット後方延長部374を含むことができる。ブランケット後方延長部374は、成形装置430(例えば、膨張可能なブラダー)を支持することができる位置を提供する。いくつかの例では、ブランケット後方延長部374は、加熱要素386を欠いていてもよい。任意の質量層382を上部加熱ブランケット344上に適用して、少なくともテーパ部406の長さに沿ってコンポジットチャージ500上のブランケット成形圧力378を増加させることができる。
【0032】
さらに図7を参照すると、上述したように、上部加熱ブランケット344とコンポジットチャージ500との間、および下部加熱ブランケット346とコンポジットチャージ500との間に、除去可能な保護層354(例えば、剥離層)を含めることができる。保護層354は、ポリエステル、ナイロン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、またはコンポジットプライ504のレイアップ後に、または成形マンドレル202上にブランケットアセンブリ340およびコンポジットチャージ500を設置するプロセスの間に、コンポジットチャージ500に適用することができる他の材料のフィルムの層であってもよい。保護層354は、成形プロセス中にコンポジットチャージ500の汚染を防止し、コンポジットチャージ500をブランケットアセンブリ340の間で摺動させるのを容易にすることができる。保護層354は、硬化する前に、または硬化コンポジット構造体102を別のコンポジット部品に接合する前に除去することができる。
【0033】
図7には、下部加熱ブランケット346の下面と成形マンドレル202のマンドレル側面212との間に配置されたウェッジ要素400も示されている。ウェッジ要素400の各々は、ウェッジ要素上面402と、ウェッジ要素400の長さに沿って延在するウェッジ要素400の内面と、を有する。さらに、ウェッジ要素400の各々は、テーパ部406と、任意に前方部分422と、を有する。テーパ部406は、テーパ部前端部408とテーパ部後端部410との間に延在する。上述したように、テーパ部406は、図3に示して上述したように、コンポジットチャージ500を、最初のほぼ平坦な構成312(図3)から成形マンドレル202の断面形状に対応する傾斜した構成314(図3)に移行させるように構成されている。
【0034】
図7において、ウェッジ要素400はそれぞれ、テーパ部前端部408の前方に位置する前方部分422を含む。前方部分422の前方縁部は、成形マンドレル202上の、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346のブランケット前端部350と同じ長手方向位置に整列して、またはそこに配置されてもよい。ウェッジ要素400の前方部分422は、コンポジットチャージ500を加熱することを可能にするために、コンポジットチャージ500を最初にほぼ平坦な構成312に支持するための、かつ、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って移動する間にコンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406の上を通過する前に樹脂の粘度を低下させるための位置を提供することができる。
【0035】
図8図12を参照すると、一対のウェッジ要素400は、下部加熱ブランケット346の下側に配置可能であり、下部加熱ブランケット346の長手方向に沿って互いにほぼ長手方向に平行な関係で配向されている。さらに、ウェッジ要素内側404は、下部加熱ブランケット346が成形マンドレル202に取り付けられたときに、成形マンドレル202の対向するマンドレル側面212に対してそれぞれ配置されるように構成される。ウェッジ要素内側404は、マンドレルの側面212と直接的または間接的に接触して載置されるように構成されている。一対のウェッジ要素400は、下部加熱ブランケット346に恒久的にまたは取り外し可能に取り付けられてもよい。例えば、ウェッジ要素上面402は、接着剤結合、ステッチング、機械的取り付け、Velcro(商標)、または様々な他の取り付け機構のいずれか1つによって下部加熱ブランケット346の下側に直接取り付けられてもよい。
【0036】
図16を簡単に参照すると、代替的な実施形態では、ウェッジ要素400は、下部加熱ブランケット346の一対のウェッジ要素スリーブ348によって下部加熱ブランケット346によって支持されてもよい。ウェッジ要素スリーブ348の各々は、ウェッジ要素400を受け入れるようなサイズおよび構成にすることができる。各ウェッジ要素スリーブ348の形状は、横断面で見た場合に、各ウェッジ要素スリーブ348がウェッジ要素400を取り囲むように、ウェッジ要素400の形状と実質的に等しく構成される。ウェッジ要素スリーブ348は、アラミド布などのブランケット層と同じ材料で形成することができる。
【0037】
再び図8図12を参照すると、ウェッジ要素400は、ウェッジ要素上面402が、ウェッジ要素400の前方部分422に沿って、かつテーパ部406の前端部において、マンドレル上部204とほぼ面一(例えば、13mm以内)であるように構成されてもよい。上述したように、マンドレル上部204は、成形マンドレル202上の最上点として説明することができる。図に示す逆V字形成形マンドレル202の場合には、マンドレル上部204は、マンドレル側面212を接合する丸みのある頂点206の最上部として説明することができる。成形マンドレル202を側面(例えば、図10)から見ると、ウェッジ要素400の各々のテーパ部406は、テーパ部前端部408からテーパ部後端部410への方向に沿って、高さが先細りまたは減少している。
【0038】
ウェッジ要素400および下部加熱ブランケット346が成形マンドレル202に取り付けられ、横断面で見た場合(例えば、図18図24)には、ウェッジ要素上面402は、図21図23、および図25に示され、以下で説明するように、互いにほぼ平行(例えば、30度以内)であり、かつ、マンドレル上部204に対するレベル接線208にほぼ平行(例えば、30度以内)である。ウェッジ要素上面402は、ウェッジ要素400および下部加熱ブランケット346が成形マンドレル202に取り付けられたときに、テーパ部406の長さに沿った任意の点でほぼ水平である。ウェッジ要素上面402をレベル接線208にほぼ平行に構成することによって、コンポジットチャージ500の対向する横方向外側部分520は、レベル接線208(例えば、水平)に対して実質的に平行な関係(例えば、水平)に維持される。上述したように、上部加熱ブランケット344によってコンポジットチャージ500に加えられたブランケット成形圧力378は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する間に、コンポジットチャージ500の各側をほぼZ字形の構成(図20図25)に押し込む。
【0039】
図9を参照すると、上述したように、ブランケットアセンブリ340は、軌道システム336に沿って移動可能なロボット装置332などの並進機構330によって成形マンドレル202に沿って並進することができる。成形装置430は、また、軌道システム336に沿って移動可能な別個の並進機構330によってブランケットアセンブリ340と同時に並進することもできる。あるいは、ブランケットアセンブリ340および成形装置430は、同じ並進機構330によって成形マンドレル202に沿って並進することができる。さらなる実施形態では、ブランケットアセンブリ340および/または成形装置430は、オーバーヘッドガントリー(図示せず)によって、またはブランケットアセンブリ340および成形装置430をマンドレル上流側端部214からマンドレル下流側端部216に向かって並進させるように構成された様々な他の機構のいずれか1つによって、成形マンドレル202に沿って並進されてもよい。成形装置430を並進させる並進機構330は、成形装置圧力432をブランケットアセンブリ340に加えるために成形装置430に下向きの力を加えることもでき、コンポジットチャージ500を成形マンドレル202の断面形状に適合させるのを助けることができる。
【0040】
図8図10に示すように、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346はそれぞれ、ブランケット前端部350において剛性要素366を含むことができる。剛性要素366は、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340を並進させるために並進機構330(図9)によって係合されてもよい。剛性要素366は、ブランケットアセンブリ340を並進機構330によって押す、または引くことができる構造的に剛性の位置を提供することができる。剛性要素366は、それぞれ、金属材料または非金属材料で形成された、ほぼ平坦および/または直線のバー、プレート、ロッドまたは他の剛性部材であってもよい。図8図9に示すように、上部加熱ブランケット344の剛性要素366および/または下部加熱ブランケット346の剛性要素366は、ブランケット幅360よりも広くすることができ、剛性要素366の対向する端部がブランケット側縁部362を越えて突出して、剛性要素366が並進機構330によって係合され得る位置を提供することができる。
【0041】
図10において、上述したように、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346はそれぞれ、テーパ部後端部410の後方に延在するブランケット後方延長部374を含むことができる。一実施形態では、ブランケット後方延長部374は、テーパ部長さ412の少なくとも20パーセントの長さを有することができる。上述したように、成形装置430は、コンポジットチャージ500がほぼ平坦な構成312(図3)から、コンポジットチャージ500が成形マンドレル202の断面形状に適合する傾斜した構成314(図3)に移行した後で、マンドレル側面212に対してコンポジットチャージ500に成形装置圧力432を加えるように構成することができる。成形装置430は、弾力的および/または弾性的に圧縮可能な要素として提供することができる。一例では、成形装置430は、膨張可能なローラーまたはブラダーなどの転動可能要素434として提供されてもよい。このような転動可能要素434は、コンポジットチャージ500をマンドレル側面212およびテーパ部406のウェッジ要素上面402に適合させるために、図30に示すように、最初にテーパ部406に沿って上流方向に転動可能であってもよい。転動可能要素434が上流方向に沿ってテーパ部406の上を転動した後に、転動可能要素434はブランケット後方延長部374上に静止して保持され、以下に説明する図31図33に示すように、成形マンドレル202に沿った並進中にブランケットアセンブリ340とともにユニットとして移動する。ブランケットアセンブリ340は、コンポジットチャージ500を成形マンドレル202の断面形状にさらに適合させるために、成形装置430の上流の位置でブランケット後方延長部374に取り付けられた成形プレート438を任意に含むことができる。
【0042】
図8図10を参照すると、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346の剛性要素366は、互いに向かって付勢されて、コンポジットチャージ500上にブランケット入口クランプ圧力372を生成することができる。ブランケット入口クランプ圧力372は、剛性要素366に係合した並進機構330によってブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する(例えば、押されまたは引っ張られる)際に、剛性要素366と成形装置430との間のコンポジットチャージ500の部分に沿ってコンポジットチャージ500に長手方向の張力442を誘起することができる。いくつかの例では、長手方向の張力442は、約60kgの総張力に対して、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346のそれぞれに加えられる張力の約30kgのオーダーであり得る。しかし、長手方向の張力442は、80kgの力(すなわち、各ブランケットについて40kg)を超えてもよい。長手方向の張力442は、コンポジットチャージ500がテーパ部406に沿って通過する際にZ字形外形510の形成中に生じるであろうコンポジットチャージ500のしわおよび/または折り目の形成を低減または防止することができる。
【0043】
図8図10において、ブランケットアセンブリ340は、剛性要素366を互いに向かって付勢するように構成された1つまたは複数のばね機構368を含むことができる。一実施形態では、ばね機構368は、剛性要素366の対向する端部に配置することができる。 例えば、ばね機構368は、図8に示すように剛性要素366のそれぞれの対向する端部にそれぞれ形成された穴を貫通して延在する一対のねじ付きロッド369を含むことができる。コンポジットチャージ500上にブランケット入口クランプ圧力372を調整可能に生成するために、クランプばね370を剛性要素366の対向する端部のねじ付きロッド369の各々の対向する端部の各々に取り付けることができる。代替的な実施形態では、ブランケット入口クランプ圧力372は、電気機械アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、またはコンポジットチャージ500上にブランケット入口クランプ圧力372を生成するために剛性要素366を互いに向かって付勢することができる任意の他のタイプの機構などの、剛性要素366に取り付けられたアクチュエータ(図示せず)により生成することができる。ブランケット入口クランプ圧力372の結果として、剛性要素366を(例えば、並進機構330-図9を介して)押すまたは引っ張ることによって成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340を並進させる間に、長手方向の張力442が剛性要素366と成形装置430との間のコンポジットチャージ500内に生成される。ブランケットアセンブリ340を並進させるために剛性要素366を押すまたは引っ張ることによって生成される長手方向の張力442は、ブランケットアセンブリ340がブランケット入口クランプ圧力372を介してコンポジットチャージ500に長手方向の張力を加える際にコンポジットチャージ500の長さの僅かな増加を収容または吸収する手段として、上述のチャージテンション機構440によってチャージ下流側端部508に加えられる長さ方向の張力442よりも大きくすることができる。
【0044】
図11図13および図15を参照すると、ウェッジ要素400は、剛性要素366においてコンポジットチャージ500に生成された長手方向の張力442が、テーパ部前端部408でのほぼ平坦な構成312からテーパ部後端部410での傾斜した構成314へのコンポジットチャージ500の移行による、成形マンドレル202の対向する側のコンポジットチャージ500の対角線ノッチ376(図3図9)に沿ったしわの発生を低減または防止することを可能にする幾何学的形状で提供されてもよい。図11図13に示すように、ウェッジ要素400の各々のテーパ部406は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に取り付けられたときに成形マンドレルの長手方向に平行な方向に沿って測定されるテーパ部前端部408とテーパ部後端部410との間の距離として説明することができる テーパ部長さ412を有する。さらに、テーパ部406の各々は、レベル接線208(図13)からテーパ部後端部410のウェッジ要素上面402までの垂直距離として説明することができるテーパ部深さ420を有する。ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に取り付けられている場合には、垂直距離は、マンドレル上部204に対するレベル接線208に垂直な方向に沿って測定されてもよく、テーパ部前端部408でのウェッジ要素上面402とテーパ部後端部410でのウェッジ要素上面402との間の距離である。一実施形態では、ウェッジ要素400は、テーパ部長さ412がテーパ部深さ420の少なくとも2倍になるように構成することができる。
【0045】
図14を参照すると、テーパ部長さ412(図12)をテーパ部深さ420(図11および図13)の少なくとも2倍に構成することによって、コンポジットチャージ500は、剛性要素366を引っ張る間にコンポジットチャージ500に生成された長手方向の張力442が対角線ノッチ376に沿ったコンポジットチャージ500のしわの発生を低減または防止することを可能にするのに十分な材料の長さを有することができるが、そうでなければ、テーパ部前端部408でのほぼ平坦な構成312からテーパ部後端部410の傾斜した構成314へのコンポジットチャージ500の幾何学的形状の移行によりしわが生じる可能性がある。図14に示すように、テーパ部前端部408とテーパ部後端部410との間に瞬間的に配置されたコンポジットチャージ500の部分に対して、コンポジットチャージ500は、マンドレル中心線210に沿って測定される第1の長さ414と、コンポジットチャージ500の外側横方向縁部のそれぞれに沿って測定される第2の長さ416と、成形マンドレル202の各側の対角線ノッチ376に沿って測定される第3の長さ418と、を有する。
【0046】
コンポジットチャージ500がほぼ平坦な構成312にある場合には、第3の長さ418は、第1の長さ414が辺のうちの1つである三角形の斜辺であり、第1の長さ414は第2の長さ416に等しい。ほぼ平坦な構成312にあるコンポジットチャージ500では、第3の長さ418は、第1の長さ414および第2の長さ416より大きい。ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進し、コンポジットチャージ500が図14に示すような構成に適合すると、第3の長さ418に沿って過剰なコンポジットチャージ材料が存在し、コンポジットチャージ500にほぼ長手方向に配向したしわが生じ得る。しかしながら、テーパ部長さ412がテーパ部深さ420の少なくとも2倍になるようにウェッジ要素400を構成することにより、剛性要素366において並進機構330(図9)によって加えられる長手方向の張力442が、ほぼ長手方向のしわの発生を低減または防止することを可能にするのに十分な長さのコンポジットチャージ材料が提供される。
【0047】
図11図13および図15を参照すると、ウェッジ要素400は、ウェッジ要素400が長手方向に沿って成形マンドレル202の断面形状の局所的な変化(図示せず)に適合することを可能にするように構成された弾性圧縮可能な材料で形成することができる。例えば、ウェッジ要素400は、連続気泡発泡体、独立気泡発泡体、ゴム、発泡ゴムなどの発泡体、または任意の他の弾性圧縮可能な材料で形成されてもよい。あるいは、成形マンドレル202が長手方向に沿って実質的に一定の断面形状を有する場合には、ウェッジ要素400は非圧縮性材料で形成されてもよい。例えば、ウェッジ要素400は、金属材料(例えば、アルミニウム)などの剛性材料および/またはプラスチックなどの剛性非金属材料、スタイロフォーム(商標)、ファイバーグラスなどの繊維強化ポリマー母材、または他の剛性材料で形成することができる。
【0048】
図7図15、および図16を参照すると、ブランケットアセンブリ340は、上部加熱ブランケット344の上部に取り付けることができる少なくとも1つの質量要素380を任意に含むことができる。質量要素380は、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340が並進する間にコンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406上を通過する際に、コンポジットチャージ500をマンドレル側面212およびウェッジ要素上面402の断面形状に徐々に適合させるために、ブランケット成形圧力378の大きさを増加させることができる 。質量要素380は、上部加熱ブランケット344の上部に取り外し可能にまたは恒久的に取り付け可能である。
【0049】
図7において、質量要素380は、上部加熱ブランケット344の上部に配置され、接着剤、Velcro(商標)、機械的な固定、またはその他の手段などの恒久的または着脱可能な取り付け手段を使用して固定された質量層382またはシートとして提供されてもよい。質量層382は、ブランケット前端部350とブランケット後端部352との間に部分的または全体的に延在し、上部加熱ブランケット344の対向するブランケット側縁部362の間に部分的にまたは全体的に延在することができる。一実施形態では、質量層382は、テーパ部前端部408からテーパ部後端部410まで延在し、ブランケット成形圧力378の均一に分布した増加を提供することができる。この点で、上部加熱ブランケット344と任意の質量層382との組み合わせは、上述し図20図25に示すように、コンポジットチャージ500がテーパ部406の上を通過する際にコンポジットチャージ500の横方向に対向する側をZ字形外形510に成形するために、マンドレル側面212およびウェッジ要素上面402によって集合的に画定される断面形状に適合させるように、コンポジットチャージ500を付勢することができる。
【0050】
質量層382は、面外方向に可撓性である材料で形成されてもよい。例えば、質量層382は、羊毛などの天然材料で形成された高密度織物の1つまたは複数の層として提供されてもよく、かつ/あるいは質量層382は、シリコーンゴムシートなどの合成材料または他の可撓性材料の1つまたは複数の層として提供されてもよい。質量層382の可撓性により、質量層382は、コンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406の上を通過する際に、成形マンドレル202およびウェッジ要素400の断面形状に適合することができる。あるいは、質量層382は、上部加熱ブランケット344の上部に配置されてもよく、かつ/あるいは、質量層382は、上部加熱ブランケット344の上部ブランケット層356および下部ブランケット層358の間に挟まれてもよい。
【0051】
図15図16において、質量要素380は、上部加熱ブランケット344の上に配置されるか、または上部加熱ブランケット344に取り付けられる一対の個別の質量ストリップ384として提供することができる。図15に示すように、質量ストリップ384は、コンポジットチャージ500を対角線ノッチ376内に押し込むための追加の圧力を提供するために、成形マンドレル202の対向する側面に対角線ノッチ376(図15)に沿ってそれぞれ配置されてもよい。質量ストリップ384は、局所的に配置されたVelcro(商標)ストリップ、ジップタイ、または他の機械的取り付け手段を用いて上部加熱ブランケット344に取り付けられてもよく、あるいは質量ストリップ384は、上部加熱ブランケット344の上部ブランケット層356と下部ブランケット層358との間に挟まれてもよい。非限定的な例では、各質量ストリップは、プラスチック、ゴム、織物、または任意の他の軟質材料などの保護および/または弾性変形可能な材料、あるいは上部加熱ブランケット344の布地への損傷を防止するための他の任意の軟質材料で任意に覆われた金属ロッドなどの細長い高密度要素として提供されてもよい。質量ストリップ384および質量層382は、単独で、または互いに組み合わせて使用することができる。
【0052】
図15を参照すると、成形システム200は、テーパ部406の後方に位置するブランケット後方延長部374の上に配置されるように構成された成形装置430を含むことができる。上述したように、成形装置430は、成形マンドレル202の断面プロファイルに対してコンポジットチャージ500に成形装置圧力432を均一に加えて、加熱されたコンポジットチャージ500を成形マンドレル202の外形に適合させる。さらに、弾性圧縮可能な成形装置430は、成形マンドレル202の長手方向に沿った成形マンドレル202の断面形状の僅かな変化をより良好に収容することができる。図示した実施形態では、成形装置430は、転動可能要素434として提供される。図9に示すように、成形装置430は、転動可能要素434の軸436に係合したロボット装置332(図9)のエンドエフェクタ334によって支持され、並進させられてもよい。
【0053】
上述して図30図31に示すように、転動可能要素434は、まずブランケット後方延長部374上の所定の位置に転動され、その後に、コンポジットチャージ500を成形マンドレル202上に静止して保持しつつ、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340が摺動可能に並進する間に、転動可能要素434はブランケットアセンブリ340に対して静止したままである(すなわち非転動である)。いくつかの例では、転動可能要素434は、膨張可能要素などの空気圧装置であってもよい。転動可能要素434は、中空であってもよいし、加圧ガスまたは空気で充填されてもよい。任意に、転動可能要素434は、成形装置430がコンポジットチャージ500を成形マンドレル202に対して圧縮する能力を向上させ、それによってしわの発生を低減または防止するために、リードショット、磁性粒子、または他の材料などの質量微粒子で充填することができる。転動可能要素434として示されているが、成形装置430は、ブランケット後方延長部374上に配置可能な非転動要素(図示せず)であってもよい。
【0054】
図17を参照すると、明確にするため成形装置430を省略した成形システム200の側面図が示されている。図17は、成形マンドレル202上に取り付けられたブランケットアセンブリ340およびコンポジットチャージ500と、ウェッジ要素400の前方部分422でのほぼ平坦な構成312からテーパ部406の後方の傾斜した構成314へのコンポジットチャージ500の移行と、を示す。以下でより詳細に説明するように、ブランケットアセンブリ340は、コンポジットチャージ500を加熱して樹脂の粘度を低減し、それによって、コンポジットプライ504間の層間摩擦または粘着を低減し、以下で説明するようにコンポジットプライ504の層間滑りを容易にするように構成される。
【0055】
図18は、成形システム200の断面図であり、一対のウェッジ要素400の前方部分422によって成形マンドレル202上に支持されたコンポジットチャージ500を示す。コンポジットチャージ500は、最初はほぼ平坦な構成312を有する。成形マンドレル202は、マンドレル側面212を相互接続する成形マンドレル202の頂点206(例えば、半径)に対するレベル接線208を有する。図示する例では、レベル接線208は水平に向いている。
【0056】
図19は、図18のコンポジットチャージ500の一方の横方向側部の拡大図であり、最初はほぼ平坦な構成312である。分かりやすくするために、ウェッジ要素400を含むブランケットアセンブリ340を省略している。コンポジットチャージ500は、複数のコンポジットプライ504からなる。また、図19には、互いに等間隔に離間した一連の垂直な仮想線が示されている。
【0057】
図20は、成形システム200の断面図であり、コンポジットチャージ500の横方向の対向する側の各々にZ字形外形510が最初に形成されている様子を示している。コンポジットチャージ500の対向する側は、上部加熱ブランケット344および任意の質量要素380によってコンポジットチャージ500に加えられるブランケット成形圧力378の結果として、それぞれZ字形外形510に成形される。
【0058】
図21は、図20のコンポジットチャージ500の一方の横方向側部の拡大図であり、Z字形外形510を示している。分かりやすくするために、ブランケットアセンブリ340およびウェッジ要素400を省略している。ブランケット成形圧力378は、コンポジットプライ504をスリップゾーン512内で互いに層間で滑らせる。スリップゾーン512内で、以前の垂直(図19)な仮想線は今や非垂直である。コンポジットチャージ500の横方向外側部分520は、非スリップゾーン518であり、コンポジットプライ504は、垂直な仮想線で示されるように、互いに静止しているか、または滑っていない。有利なことに、ウェッジ要素上面402は、成形マンドレル202の頂点206に対するレベル接線208とほぼ平行な関係で、コンポジットチャージ500の横方向外側部分520を支持し、横方向外側部分520内のコンポジットプライ504間の層間の滑りの必要性を回避し、それにより非スリップゾーン518を比較的狭い幅に維持する。
【0059】
図22は、図17の成形システム200の断面図であり、コンポジットチャージ500の各側のさらに顕著なZ字形外形510を示している。この点に関して、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340が並進する間にコンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406上を移動するにつれて、Z字形外形510は徐々に深くなる。
【0060】
図23は、図22のコンポジットチャージ500の一方の横方向側面の拡大図であり(分かりやすくするためにブランケットアセンブリは省略)、マンドレル側面212とウェッジ要素上面402との接合部に位置する比較的小さい横方向外方に移動するスリップゾーン512を示す。コンポジットチャージ500の横方向外側部分520を成形マンドレル202の頂点206に対するレベル接線208にほぼ平行な関係(例えば、ほぼ水平)に維持することによって、非スリップゾーン518は比較的狭い幅に維持される。非スリップゾーン518は、スリップゾーン512の各側のコンポジットチャージ500に生じる。
【0061】
図24は、図17の成形システム200の断面図であり、図22よりも深いところにあるコンポジットチャージ500の各側のZ字形外形510を示す。この点に関して、成形マンドレル202の各横方向側面上のスリップゾーン512は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する間に上部加熱ブランケット344の重量がコンポジットチャージ500を成形マンドレル202の断面形状に徐々に適合させるにつれて、横方向に外方に移動する。
【0062】
図25は、図24のコンポジットチャージ500の拡大断面図であり(分かりやすくするためブランケットアセンブリを省略)、横方向外方に移動するスリップゾーン512と、スリップゾーン512の対向する側にある非スリップゾーン518と、を示す。上述したように、ウェッジ要素上面402は、図示する例では水平に向いているレベル接線208にほぼ平行(例えば、30度以内、より好ましくは10度以内)の関係でコンポジットチャージ500の横方向外側部分520を維持する。
【0063】
図26は、図17の成形システム200の断面図であり、ウェッジ要素400の上流の位置で成形マンドレル202にほぼ適合するコンポジットチャージ500の各側面を示している。成形装置430(図10)は、分かりやすくするために省略されている。上述のように、成形装置430は、ウェッジ要素400の上流に位置している。成形装置430は、コンポジットチャージ500を成形マンドレル202の断面形状に成形するために、コンポジットチャージ500に成形装置圧力432(例えば、図31図33)を均一に加える。
【0064】
図27は、図26のコンポジットチャージ500の拡大断面図であり、成形マンドレル202のマンドレル側面212に適合するコンポジットチャージ500を示す。ブランケットアセンブリ340および成形装置430は、分かりやすくするために省略されている。図20図27の一連の図は、成形マンドレル202へのコンポジットチャージ500の成形を示しており、成形マンドレル202の上のコンポジットチャージ500の対向する横方向側部の全長を全体にわたって一度に折り畳むことによってコンポジットチャージ500が成形されたならば生じるであろう、コンポジットチャージ500の内側コーナー(例えば、頂点206)に沿ったしわ、折り目、および/またはバックルがない。
【0065】
図29図34をさらに参照して図28を参照すると、成形マンドレル202上にコンポジットチャージ500を成形する方法600に含まれる1つまたは複数の操作を有するフローチャートが示されている。方法600のステップ602は、ブランケットアセンブリ340の上部加熱ブランケット344と下部加熱ブランケット346との間にコンポジットチャージ500を配置するステップを含む。図30は、成形マンドレル202上に取り付けられたブランケットアセンブリ340およびコンポジットチャージ500を示す。上述したように、下部加熱ブランケット346は、対向するマンドレル側面と下部加熱ブランケット346の下面との間にそれぞれ位置する一対のウェッジ要素400を有する。各ウェッジ要素400は、テーパ部前端部408からテーパ部後端部410まで上流方向に沿って下方に傾斜しているウェッジ要素上面402を有するテーパ部406を含む。テーパ部の下方への傾斜は、マンドレル上部204に対するものである。
【0066】
ステップ602は、下部加熱ブランケット346を成形マンドレル202に取り付けるステップと、対向するマンドレル側面212と下部加熱ブランケット346の下側との間にそれぞれ一対のウェッジ要素400を配置するステップと、を含む。ウェッジ要素400は、それぞれ、マンドレル側面212を支持するウェッジ要素内側404(図13)を有する。図8に示すように、各ウェッジ要素400のウェッジ要素上面402は、コンポジットチャージ500およびブランケットアセンブリ340を支持する。ステップ602は、コンポジットチャージ500の対向する端部がそれぞれ、少なくとも成形マンドレル202のマンドレル上流側端部214およびマンドレル下流側端部216まで延在するように、コンポジットチャージ500を下部加熱ブランケット346の上に配置するステップをさらに含むことができる。ステップ602はまた、図9に示すように上流側ヒンジクランプ302を使用するなどして、コンポジットチャージ500のチャージ上流側端部506をマンドレル上流側端部214に固定するステップを含むことができる。成形マンドレル202の上に成形する前に、コンポジットチャージ500は、最初はほぼ平坦な構成312を有していてもよい。
【0067】
ステップ602は、コンポジットチャージ500のチャージ下流側端部508をチャージテンション機構440に固定するステップをさらに含むことができる。上述し図9に示すように、チャージテンション機構440は、成形マンドレル202へのコンポジットチャージ500の成形中にコンポジットチャージ500に長手方向の張力442を加えるように構成されたエンドエフェクタ334を有するロボット装置332であってもよい。あるいは、チャージテンション機構440は、ばね(図示せず)、アクチュエータ(図示せず)、またはマンドレル下流側端部216に対して固定して取り付けられた他の装置として構成されてもよい。ステップ602は、上部加熱ブランケット344のブランケット前端部350が下部加熱ブランケット346のブランケット前端部350とほぼ整列するように、上部加熱ブランケット344をコンポジットチャージ500の上に配置するステップをさらに含むことができる。
【0068】
方法600のステップ604は、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346の加熱要素386(図5)を用いてコンポジットチャージ500を加熱して(図29図32)、コンポジットチャージ500を成形マンドレル202上に成形する前および/または成形中にコンポジットチャージ500中の樹脂の粘度を低下させるステップを含む。上述したように、ウェッジ要素400は、テーパ部前端部408の前方に位置する前方部分422をそれぞれ含むことができる。上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346の加熱要素386は、テーパ部406の上に、およびウェッジ要素400の前方部分422の上に延在することができる。前方部分422のウェッジ要素上面402は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202上に取り付けられたときに、マンドレル上部204とほぼ面一(例えば、約13mm以内)であってもよい。前方部分422を含むウェッジ要素400を有するブランケットアセンブリ340では、コンポジットチャージ500を加熱するステップは、前方部分422内に延在する上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346を使用してコンポジットチャージ500を加熱するステップを含むことができる。さらに、コンポジットチャージ500は、コンポジットチャージ500がテーパ部406上を通過する際に、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346によって加熱されてもよい。
【0069】
コンポジットチャージ500の加熱に関して、方法600は、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346に組み込むことができる熱電対394から受信された温度データに基づいて、加熱ブランケット344、346の熱392の出力を、コントローラ398(図5)を用いて調整するステップを含むことができる。コントローラ398は、コンポジットチャージ500の成形中にコンポジットチャージ500を所定の温度範囲内に維持するように、上部加熱ブランケット344および/または下部加熱ブランケット346の温度を調整することができる。例えば、コントローラ398は、コンポジットチャージ500の温度を、樹脂の硬化を望ましくなく進行させる温度、またはコンポジットチャージ500の上面および下面に適用され得る保護層354(例えば、FEPフィルム)を過熱する温度より下に制限することができる。さらに、コントローラ398は、マンドレルの側面212およびウェッジ要素上面402に対してコンポジットチャージ500を成形する際にスリップゾーン512内の隣接するコンポジットプライ504の層間の滑りを可能にするために、樹脂の粘度を十分に低下させる温度より上にコンポジットチャージ500を維持することができる。
【0070】
方法600のステップ606は、コンポジットチャージ500をブランケット前端部350からブランケット後端部352まで摺動させて、ブランケットアセンブリ340を成形マンドレル202の長手方向に沿って並進させるステップを含む。ブランケットアセンブリ340を並進させるステップは、図9に示すように、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346にそれぞれ結合されるかまたは含まれ得る剛性要素366を係合させるステップを含むことができる。例えば、ロボット装置332のエンドエフェクタ334は、ブランケットアセンブリ340をマンドレル下流側端部216に向かって引っ張るために、剛性要素366に係合することができる。上述したように、剛性要素366は、ブランケットアセンブリ340をロボット装置332、オーバーヘッドガントリー、または他の並進機構330などの並進機構330によって引っ張ることができる構造的に剛性の箇所を提供することができる。
【0071】
図5図7図10、および図15に示すように、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346は、ブランケット後方延長部374をそれぞれ含むことができる。ブランケット後方延長部374は、テーパ部後端部410の後方に延在することができる。そのような配置では、本方法は、成形装置430をブランケット後方延長部374上に配置するステップを含むことができる。例えば、成形装置430は、図9に示すように、ロボット装置332によって係合されて保持されてもよい。図29において、成形装置430は、最初にテーパ部前端部408の位置でブランケットアセンブリ340上に降下することができる転動可能要素434である。図30は、ブランケットアセンブリ340の一部の上に上流方向に沿って転動される転動可能要素434と、テーパ部406を覆うコンポジットチャージ500と、を示す。転動可能要素434は、ブランケット後方延長部374の上に転動されて、コンポジットチャージ500をZ字形外形510(例えば、図20図25)にほぼ適合させることができ、その後に、ブランケットアセンブリ340および転動可能要素434が成形マンドレル202に沿って第1のロボット装置および第2のロボット装置332(例えば、図9)によってユニットとして並進する間に、転動可能要素434は、ブランケットアセンブリ340上に(例えば、第1のロボット装置332-図9によって)静止して保持される。
【0072】
方法600は、成形装置430を使用して、マンドレル側面212に対してコンポジットチャージ500に成形装置圧力432を加えるステップを含むことができる。これに関して、第1のロボット装置332は、転動可能要素434の軸436に係合されてもよい。第1のロボット装置332および第2のロボット装置332が協働して、ブランケットアセンブリ340および成形装置430を成形マンドレル202の下流方向に沿ってユニットとして並進させる間に、第1のロボット装置332は、ブランケットアセンブリ340に下向きの成形装置圧力432を加えるように構成することができる。ブランケットアセンブリ340および成形装置430の並進中に、方法600は、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346の剛性要素366を互いに向かって付勢して、コンポジットチャージ500上に上述したブランケット入口クランプ圧力372を生成するステップを含むことができる。剛性要素366を互いに向かって付勢するステップは、コンポジットチャージ500上にブランケット入口クランプ圧力372を生成するために、剛性要素366に含まれる上述のクランプばね370などのばね機構368を使用して、剛性要素366を互いに向かって付勢するステップを含むことができる。
【0073】
ブランケット入口クランプ圧力372がコンポジットチャージ500に加えられるので、方法600は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202に沿って並進する際にブランケット前端部350と成形装置430との間のコンポジットチャージ500に長手方向の張力442を誘起させるステップを含むことができる。上述したように、ブランケットアセンブリ340は、図31図33に示すように、剛性要素366をマンドレル下流側端部216に向かって押しかつ/または引っ張るロボット装置332(図9)などの並進機構330によって、成形マンドレル202に沿って並進することができる。ブランケットアセンブリ340を引っ張ることによって、ブランケット入口(例えば、ブランケット入口クランプ圧力372がコンポジットチャージ500に加えられる)と成形装置430(例えば、成形装置圧力432がコンポジットチャージ500に加えられる)の位置との間のコンポジットチャージ500の一部に長手方向の張力442が生じる。長手方向の張力442は、コンポジットチャージ500がテーパ部406の上を通過するときに、コンポジットチャージ500の横方向に対向する側の各々にZ字形外形510が形成されることにより生じるであろう、コンポジットチャージ500内の長手方向のしわおよび/または折り目(図示せず)の形成を防止または低減する。上に示したように、テーパ部406の幾何学的形状は、コンポジットチャージ500の長手方向のしわの形成を防止することができる。図11図13を参照して上述した実施形態では、テーパ部長さ412は、テーパ部深さ420の少なくとも2倍であり、長手方向の張力442が成形マンドレル202の対向する側の対角線ノッチ376内の余分なコンポジットチャージを吸収または収容することを可能にするためにコンポジットチャージ材料の十分な長さを提供することができ、それにより、コンポジットチャージ500の長手方向のしわの発生を低減または防止することができる。
【0074】
方法600のステップ608は、図31図32に示すように、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340が並進する間にコンポジットチャージ500がテーパ部406の上を通過する際に、上部加熱ブランケット344を使用してコンポジットチャージ500にブランケット成形圧力378を及ぼすステップを含む。ブランケット成形圧力378をコンポジットチャージ500に及ぼすステップは、上部加熱ブランケット344の上部に質量要素380を適用して、上部加熱ブランケット344がコンポジットチャージ500に加えるブランケット成形圧力378の量を増加させるステップを任意に含むことができる。図4図7、および図16に示すように、質量要素380は、上部加熱ブランケット344の上部に取り外し可能にまたは恒久的に取り付け可能であり、かつ、ブランケット前端部350とブランケット後端部352との間に少なくとも部分的に延在することができる、質量層382として提供することができる。 代替的にまたは追加的に、質量要素380は、上部加熱ブランケット344に取り付けられ、かつ、対角線ノッチ376とほぼ整列したブランケット中心線342の対向する横方向側部にそれぞれ位置する一対の個別の質量ストリップ384として提供されてもよい。
【0075】
方法600のステップ610は、マンドレル側面212とウェッジ要素上面402とによって集合的に画定された断面形状にコンポジットチャージ500を徐々に成形するステップを含む。コンポジットチャージ500は、図31図33に示すように、成形マンドレル202に沿ってブランケットアセンブリ340および成形装置430が並進する間にコンポジットチャージ500がウェッジ要素400のテーパ部406上を通過する際に、マンドレル断面形状に徐々に成形される。上述したように、成形マンドレル202上へのコンポジットチャージ500の漸進的成形は、ブランケットアセンブリ340および成形装置430の並進中に上部加熱ブランケット344および任意の質量要素380がコンポジットチャージ500に及ぼすブランケット成形圧力378の適用によって促進される。
【0076】
方法600のステップ612は、図20図25に示し上述したように、横方向外方に移動するスリップゾーン512を有するZ字形外形510をコンポジットチャージ500の横方向の対向する側の各々に誘起させるステップを含む。スリップゾーン512の各々は、図21図23、および図25に示すように、各マンドレル側面212とウェッジ要素上面402との接合部に画定された対角線ノッチ376に近接して位置する。各Z字形外形510のスリップゾーン512内で、コンポジットチャージ500のコンポジットプライ504は、互いに層間で滑り、上部加熱ブランケット344および下部加熱ブランケット346の加熱要素386による加熱の結果として、コンポジットチャージ500中の樹脂の粘度の低下による層間の摩擦またはせん断の減少によって促進される。
【0077】
方法600のステップ614は、マンドレル側面212およびウェッジ要素上面402に対するコンポジットチャージ500の漸進的な成形中に、マンドレル上部204に対するレベル接線208にほぼ平行な関係でコンポジットチャージ500の各横方向に対向する側のZ字形外形510の横方向外側部分520を支持するステップを含む。図20図25の例では、レベル接線208は、成形マンドレル202の丸みのある頂点206に接している。Z字形外形510の横方向外側部分520は、水平方向に維持され、レベル接線208の水平方向に平行である。有利なことに、スリップゾーン512の各々は、コンポジットチャージ500の横方向外側部分520を水平方向に維持する結果として、比較的狭い横幅を有する。上述したように、スリップゾーン512の幅が比較的狭いことにより、隣接するコンポジットプライ504間の層間のせん断の大きさが減少し、それによってコンポジットプライ504がスリップゾーン512内で互いに対して滑ることが可能になる。コンポジットプライ504間の層間のせん断の減少によって、成形マンドレル202の頂点206などの内側コーナーに沿ったコンポジットプライ504内の圧縮力の蓄積が低減され、それによって、硬化コンポジット構造体102の強度および/または剛性を低下させるであろうコンポジットプライ504の局所的なしわまたは座屈の発生を防止する。
【0078】
図31図33を簡単に参照すると、方法600は、ブランケット後方延長部374上に支持することができる成形装置430を使用して、成形マンドレル202の断面形状にコンポジットチャージ500を適合させるステップをさらに含むことができる。 上述したように、成形装置430は、成形装置圧力432を加えて、テーパ部406の下流の成形マンドレル202の断面形状にコンポジットチャージ500を適合させ、それによってコンポジットチャージ500のしわを低減または防止することができる。図10を参照すると、任意の実施形態では、成形システム200は、ブランケット後方延長部374に支持され、かつ成形装置430の後方に取り付けられた逆V字形成形プレート438を含むことができる。成形プレート438は、成形マンドレル202の断面形状に対してコンポジットチャージ500を圧縮するために、別個のロボット装置332またはオーバーヘッドガントリー(図示せず)によって加圧されてもよい。
【0079】
図34は、ブランケットアセンブリ340が成形マンドレル202の全長に沿って並進した後の、成形マンドレル202からのブランケットアセンブリ340および成形装置430の除去を示す。コンポジットチャージ500は、成形マンドレル202の断面形状に適合して示されている。チャージ上流側端部506およびチャージ下流側端部508は、マンドレル上流側端部214およびマンドレル下流側端部216にそれぞれ位置する上流側ヒンジクランプ302および下流側ヒンジクランプ304からアンクランプされて、成形マンドレル202から除去することができる。成形されたコンポジットチャージ500は、別のコンポジットチャージ500とともに組み立てられてもよい。例えば、2つのL字形コンポジットストリンガを背中合わせに組み立てて、未硬化のT字形断面ストリンガを形成してもよく、これを硬化させた後にコンポジットスキンなどの別のコンポジット部品に共接合してもよい。あるいは、未硬化のT字形断面ストリンガを、コンポジットスキンなどのコンポジット部品と共硬化させてもよい。
【0080】
さらに、本開示は、以下の列挙された項に記載される実施例を含む。
【0081】
第1項.成形マンドレル上にコンポジットチャージをグライド成形するためのブランケットアセンブリであって、成形マンドレルは、マンドレル上部によって相互接続された対向するマンドレル側面を有し、ブランケットアセンブリは、上部加熱ブランケットと下部加熱ブランケットとの間に摺動可能なコンポジットチャージを有するように構成された上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットと、コンポジットチャージを加熱するための上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの少なくとも一方に含まれる加熱要素と、下部加熱ブランケットと対向するマンドレル側面との間に配置可能であり、各々がテーパ部を含み、成形マンドレルに取り付けられた場合にコンポジットチャージおよびブランケットアセンブリを支持するように構成されたウェッジ要素上面を有する一対のウェッジ要素であって、ウェッジ要素上面がテーパ部前端部からテーパ部後端部まで下方に傾斜している、一対のウェッジ要素と、を含み、上部加熱ブランケットは、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間にマンドレル側面およびウェッジ要素上面に対してコンポジットチャージおよび下部加熱ブランケットを徐々に形成するために、コンポジットチャージ上にブランケット成形圧力を及ぼすように構成される、ブランケットアセンブリ。
【0082】
第2項.上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの各々のブランケット前端部に結合された剛性要素をさらに含み、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの剛性要素は、ブランケットアセンブリを並進させるために成形マンドレルに沿って引っ張られるように構成される、第1項に記載のブランケットアセンブリ。
【0083】
第3項.上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの各々は、テーパ部後端部から後方に延在するブランケット後方延長部を含み、ブランケット後方延長部は、マンドレル側面に対してコンポジットチャージ上に成形装置圧力を加えるように構成された成形装置を受け取るように構成され、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの剛性要素は、互いに向かって付勢され、コンポジットチャージ上にブランケット入口クランプ圧力を生成して、ブランケットアセンブリが剛性要素によって引っ張られた場合に、ブランケット前端部と成形装置との間のコンポジットチャージに長手方向の張力を誘起させるように構成される、第2項に記載のブランケットアセンブリ。
【0084】
第4項.ウェッジ要素の各々は、テーパ部長さおよびテーパ部深さを有し、テーパ部長さはテーパ部深さの少なくとも2倍である、第1項に記載のブランケットアセンブリ。
【0085】
第5項.ウェッジ要素は、弾性的に圧縮可能であり、ブランケットアセンブリが成形マンドレルに沿って並進する際に、成形マンドレルの断面内の局所的な変化に適合するように構成される、第1項に記載のブランケットアセンブリ。
【0086】
第6項.ブランケット成形圧力を増加させるために上部加熱ブランケットの上部に取り付け可能に構成された質量要素をさらに含む、第1項に記載のブランケットアセンブリ。
【0087】
第7項.質量要素は、上部加熱ブランケットの上部に取り付け可能であり、ブランケット前端部とブランケット後端部との間に少なくとも部分的に延在する質量層と、上部加熱ブランケットに取り付けられ、ブランケット中心線の対向する側にそれぞれ配置され、ウェッジ要素のウェッジ要素上面と成形マンドレルのマンドレル側面との接合部における対角線ノッチとほぼ整列する、一対の個別の質量ストリップと、の少なくとも一方として構成される、第6項に記載のブランケットアセンブリ。
【0088】
第8項.ウェッジ要素は各々、テーパ部前端部の前方に位置し、マンドレル上部とほぼ面一であるウェッジ要素上面を有する前方部分を含み、少なくとも1つの加熱要素は、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間にコンポジットチャージがテーパ部を通過する前に、コンポジットチャージを加熱するために前方部分内に延在する、第1項に記載のブランケットアセンブリ。
【0089】
第9項.上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの少なくとも一方は、上部ブランケット層と、下部ブランケット層と、上部ブランケット層と下部ブランケット層との間に挟まれる加熱要素と、から構成される、第1項に記載のブランケットアセンブリ。
【0090】
第10項.成形マンドレル上にコンポジットチャージをグライド成形するための成形システムであって、マンドレル上流側端部と、マンドレル下流側端部と、マンドレル上部によって相互接続された対向するマンドレル側面と、を有する成形マンドレルと、ブランケットアセンブリであって、マンドレル上流側端部からマンドレル下流側端部まで成形マンドレルに沿って上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットのブランケット前端部を引っ張る間に、上部加熱ブランケットと下部加熱ブランケットとの間に摺動可能なコンポジットチャージを有するように構成された上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットと、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの少なくとも一方に含まれ、コンポジットチャージを加熱するように構成された加熱要素と、下部加熱ブランケットの下側に対して配置可能であり、各々がテーパ部を含み、対向するマンドレル側面を圧迫するように構成されたウェッジ要素内側と、成形マンドレル上に取り付けられた場合にコンポジットチャージおよびブランケットアセンブリを支持するように構成されたウェッジ要素上面と、を有する一対のウェッジ要素であって、ウェッジ要素上面は、テーパ部の前端部から後端部までマンドレル上部に対して下方に傾斜している、一対のウェッジ要素と、を含む、ブランケットアセンブリと、を含み、上部加熱ブランケットは、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間にマンドレル側面およびウェッジ要素上面に対してコンポジットチャージおよび下部加熱ブランケットを徐々に形成するために、コンポジットチャージ上にブランケット成形圧力を及ぼすように構成される、成形システム。
【0091】
第11項.ブランケットアセンブリは、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの各々のブランケット前端部に結合され、ブランケットアセンブリを並進させるために成形マンドレルに沿って引っ張られるように構成された剛性要素をさらに含み、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットは各々、テーパ部後端部から後方に延在し、マンドレル側面に対してコンポジットチャージ上に成形装置圧力を加えるように構成された成形装置を受け取るように構成されたブランケット後方延長部を含み、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの剛性要素は、互いに向かって付勢され、コンポジットチャージ上にブランケット入口クランプ圧力を生成して、ブランケットアセンブリが剛性要素によって引っ張られた場合に、ブランケット前端部と成形装置圧力の位置との間のコンポジットチャージに長手方向の張力を誘起させるように構成される、第10項に記載の成形システム。
【0092】
第12項.ウェッジ要素の各々は、テーパ部長さおよびテーパ部深さを有し、テーパ部長さはテーパ部深さの少なくとも2倍である、第10項に記載の成形システム。
【0093】
第13項.ブランケットアセンブリは、上部加熱ブランケットにより及ぼされるブランケット成形圧力を増加させるために上部加熱ブランケットの上部に取り付け可能に構成された質量要素をさらに含む、第10項に記載の成形システム。
【0094】
第14項.ウェッジ要素は各々、テーパ部前端部の前方に位置し、マンドレル上部とほぼ面一であるウェッジ要素上面を有する前方部分を含み、少なくとも1つの加熱要素は、成形マンドレルに沿ってブランケットアセンブリが並進する間にコンポジットチャージがテーパ部を通過する前に、コンポジットチャージを加熱するために前方部分内に延在する、第10項に記載の成形システム。
【0095】
第15項.成形マンドレル上にコンポジットチャージを形成する方法であって、マンドレル上部によって相互接続された対向するマンドレル側面を有する成形マンドレル上に取り付けられた上部加熱ブランケットと下部加熱ブランケットとの間にコンポジットチャージを配置するステップであって、下部加熱ブランケットは、対向するマンドレル側面と下部加熱ブランケットの下面との間にそれぞれ一対のウェッジ要素を有し、各ウェッジ要素は、テーパ部の前端部から後端部に向かって下方に傾斜したウェッジ要素上面を有するテーパ部を含み、上部加熱ブランケット、下部加熱ブランケット、およびウェッジ要素は、ブランケットアセンブリを集合的に形成する、ステップと、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットのうちの少なくとも一方を用いてコンポジットチャージを加熱して、コンポジットチャージ内の樹脂の粘度を低下させるステップと、成形マンドレルとブランケットアセンブリとの間でコンポジットチャージが摺動して、成形マンドレルの長手方向に沿ってブランケットアセンブリを並進させるステップと、上部加熱ブランケットを使用して、テーパ部上を通過するコンポジットチャージ上にブランケット成形圧力を及ぼすステップと、ブランケット成形圧力に応答して、マンドレル側面およびウェッジ要素上面に対してコンポジットチャージを徐々に形成するステップと、各マンドレル側面とウェッジ要素上面との接合部に沿って位置する横方向外方に移動するスリップゾーンを有するZ字形外形を、コンポジットチャージの横方向に対向する側の各々に誘起させるステップであって、コンポジットチャージのコンポジットプライが互いに対して層間で滑る、ステップと、マンドレル側面およびウェッジ要素上面に対するコンポジットチャージの成形中に、マンドレル上部に対するレベル接線にほぼ平行な関係でコンポジットチャージの各横方向に対向する側のZ字形外形の横方向外側部分を支持するステップと、を含む、方法。
【0096】
第16項.ブランケットアセンブリを成形マンドレルに沿って並進させるステップは、ブランケット前端部において上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットにそれぞれ結合された一対の剛性要素を引っ張るステップを含む、第15項に記載の方法。
【0097】
第17項.上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの各々は、テーパ部後端部から後方に延在するブランケット後方延長部を含み、方法は、ブランケット後方延長部上に配置された成形装置を使用して、マンドレル側面に対してコンポジットチャージ上に成形装置圧力を加えるステップと、上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの剛性要素を互いに向かって付勢し、コンポジットチャージ上にブランケット入口クランプ圧力を生成させるステップと、ブランケットアセンブリが剛性要素によって引っ張られた場合に、ブランケット前端部と成形装置圧力の位置との間のコンポジットチャージに長手方向の張力を誘起させるステップと、をさらに含む、第16項に記載の方法。
【0098】
第18項.ウェッジ要素は弾性的に圧縮可能であり、本方法は、成形マンドレルの長手方向に沿ってブランケットアセンブリが並進する間に、成形マンドレルの断面の局所的変化にウェッジ要素を適合させるステップをさらに含む、第15項に記載の方法。
【0099】
第19項.テーパ部の上を通過するコンポジットチャージにブランケット成形圧力を及ぼすステップは、上部加熱ブランケットの上部に取り付けられた質量要素と組み合わせて上部加熱ブランケットを使用して、コンポジットチャージにブランケット成形圧力を及ぼすステップを含む、第15項に記載の方法。
【0100】
第20項.ウェッジ要素は各々、テーパ部前端部の前方に位置し、マンドレル上部とほぼ面一であるウェッジ要素上面を有する前方部分を含み、コンポジットチャージを加熱するステップは、前方部分内に延在する上部加熱ブランケットおよび下部加熱ブランケットの少なくとも一方を使用して、コンポジットチャージがテーパ部を通過する前にコンポジットチャージを加熱するステップを含む、第15項に記載の方法。
【0101】
前述の説明および関連する図面に提示された教示の利点を有する、本開示に関係する当業者には、本開示の多くの改変および他の構成が想到されるであろう。本明細書に記載された構成は例示的なものであり、限定的または網羅的であることを意図するものではない。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されていない。
【符号の説明】
【0102】
100 航空機
102 硬化コンポジット構造体
104 胴体
106 翼
108 水平尾部
110 垂直尾部
112 コンポジットストリンガ
114 L字形ストリンガ
200 成形システム
202 逆V字形成形マンドレル
204 マンドレル上部
206 頂点
208 レベル接線
210 マンドレル中心線
212 マンドレル側面
214 マンドレル上流側端部
216 マンドレル下流側端部
300 クランプシステム
302 上流側ヒンジクランプ
304 下流側ヒンジクランプ
306 下部プレート
308 上部プレート
310 ヒンジ
312 ほぼ平坦な構成
314 傾斜した構成
316 ヒンジ半部
318 ヒンジ軸線
320 折り畳み軸線
322 クランプ装置
324 ばねクランプ
326 ヒンジ取り付けブラケット
328 前方延長要素
330 並進機構
332 ロボット装置
334 エンドエフェクタ
336 軌道システム
340 ヒートブランケットアセンブリ
342 ブランケット中心線
344 上部加熱ブランケット
346 下部加熱ブランケット
348 ウェッジ要素スリーブ
350 ブランケット前端部
352 ブランケット後端部
354 保護層
356 上部ブランケット層
358 下部ブランケット層
360 ブランケット幅
362 ブランケット側縁部
364 ブランケット長さ
366 剛性要素
368 ばね機構
369 ねじ付きロッド
370 クランプばね
372 ブランケット入口クランプ圧力
374 ブランケット後方延長部
376 対角線ノッチ
378 ブランケット成形圧力
380 質量要素
382 質量層
384 質量ストリップ
386 抵抗加熱要素
388 電気抵抗性ワイヤ
390 電気絶縁性スリーブ
392 熱
394 熱電対
396 金属編組ヒートイコライザ
398 コントローラ
400 ウェッジ要素
402 ウェッジ要素上面
404 ウェッジ要素内側
406 テーパ部
408 テーパ部前端部
410 テーパ部後端部
412 テーパ部長さ
414 第1の長さ
416 第2の長さ
418 第3の長さ
420 テーパ部深さ
422 前方部分
430 成形装置
432 成形装置圧力
434 転動可能要素
436 軸
438 逆V字形成形プレート
440 チャージテンション機構
442 長手方向の張力
500 コンポジットチャージ
502 チャージ中心線
504 コンポジットプライ
506 チャージ上流側端部
508 チャージ下流側端部
510 Z字形外形
512 スリップゾーン
518 非スリップゾーン
520 横方向外側部分
図1
図2
図3
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