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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220704BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220704BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220704BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20220704BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20220704BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20220704BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220704BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G09F9/30 348A
G09F9/30 308Z
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/06
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/02
H05B33/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018108798
(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公開番号】P2019211676
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 安
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0083072(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0174304(US,A1)
【文献】特開2017-111435(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0237025(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0262109(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-46
H01L 27/32
51/50
H05B 33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板上に設けられ、表示領域を有する第1領域と、実装領域を有する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する折り曲げ可能な第3領域と、を有する基板と、
前記第1領域及び前記第2領域において前記基板の上に設けられた第1無機絶縁層と、
前記第1無機絶縁層の上に形成され、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域に亘って延出した配線と、
前記配線の上に設けられた第2無機絶縁層と、
を備え、
前記支持基板は、前記第1領域と前記第2領域に対応する位置に設けられており、
前記第2無機絶縁層は、少なくとも前記第1無機絶縁層と重畳する領域に延在し、
前記第1無機絶縁層は、前記第2領域側の第1端部を有し、
前記第2無機絶縁層は、前記第2領域側の第2端部を有し、
前記第1領域に設けられた前記支持基板は、前記第2領域側の第3端部を有し、
前記第2端部の位置は、前記第1端部の位置より前記第2領域に近接し、前記第3端部の位置と揃っている、表示装置。
【請求項2】
前記第2無機絶縁層の上に位置する第3無機絶縁層をさらに備え、
前記第2無機絶縁層は、前記第3無機絶縁層よりも前記第2領域側に延出している、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第3無機絶縁層は、前記第1無機絶縁層よりも前記第2領域側に延出している、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1無機絶縁層と前記配線との間に位置する第4無機絶縁層をさらに備え、
前記第1無機絶縁層は、前記第4無機絶縁層より前記第2領域側に延出している、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板と前記配線との間に設けられた第1有機絶縁層と、
前記配線と前記第2無機絶縁層との間に設けられた第2有機絶縁層と、
前記第2有機絶縁層と前記第2無機絶縁層との間に設けられた第3有機絶縁層と、
をさらに備える、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示領域に設けられた偏光板をさらに備え、
前記第1無機絶縁層及び前記第2無機絶縁層は、前記偏光板よりも前記第2領域側に延出している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やPDA(personal digital assistant)等に用いられる表示パネルでは、性能面や、デザイン性等の観点から、表示パネルの一部が折り曲げられる場合がある。配線が配置された領域が折り曲げられた場合、配線への応力が大きくなる。この結果、配線への接触等による衝撃や温度変化などによって配線が断線する場合があり、表示装置の信頼性が低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-68926号公報
【文献】特開2017-98020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態の目的は、信頼性の高い表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、
表示領域を有する第1領域と、実装領域を有する第2領域と、前記第1領域と前記第2領域との間に位置する第3領域と、を有する基板と、前記第1領域及び前記第2領域において前記基板の上に設けられた第1無機絶縁層と、前記第1無機絶縁層の上に形成され、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域に亘って延出した配線と、前記配線の上に設けられた第2無機絶縁層と、を備え、前記第2無機絶縁層は、少なくとも前記第1無機絶縁層と重畳する領域に延在している、表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本実施形態に係る表示装置1を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態を示す図である。
図3図3は、図1に示す表示領域DAを示す断面図である。
図4図4は、図1に示すIV-IV’線に沿った断面図である。
図5図5は、図1に示すV-V’線に沿った断面図である。
図6図6は、図5に示す第3領域A3の近傍を拡大して示す断面図である。
図7図7は、絶縁層11及び無機層171が設けられた領域を示す平面図である。
図8図8は、表示パネル2の他の例を示す断面図である。
図9図9は、図8に示す表示パネル2の平面図である。
図10図10は、表示パネル2の他の例を示す断面図である。
図11図11は、図10に示す表示パネル2の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
図1は、本実施形態に係る表示装置1を概略的に示す平面図である。本実施形態において、表示装置1は、一例として、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を有する有機EL表示装置である。しかしながら、表示装置1は、液晶層を有する液晶表示装置、あるいは電気泳動型素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、他の表示装置であってもよい。
【0009】
図に示す第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、互いに直交している。なお、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を「上」と定義し、矢印の先端から逆に向かう方向を「下」と定義する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。また、第3方向Zを示す矢印の先端側に表示装置1を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。
【0010】
表示装置1は、表示パネル2、配線基板3などを備えている。表示パネル2は、第2方向Yに沿った長さが第1方向Xに沿った長さよりも大きい形状を有している。図示した例では、表示パネル2は、第1方向Xに沿った辺EX1及びEX2と、第2方向Yに沿った辺EYを有している。辺EX1及びEX2は、辺EYよりも短い。また、辺EX1は、辺EX2よりも短い。
【0011】
表示パネル2は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの外側に位置する非表示領域NDAを有している。表示領域DAは、一例では、第2方向Yに沿った一対の長辺と第1方向Xに沿った一対の短辺を有する略長方形状である。表示領域DAは、マトリクス状に配置された複数の画素PXを備えている。後述するように、画素PXは、有機EL素子と、有機EL素子を駆動するためのスイッチング素子などを含んでいる。
【0012】
また、表示パネル2は、辺EX1の近傍において、端子TEを含む実装領域MTを有している。端子TEと画素PXとは、一対一で、配線WLによって電気的に接続されている。外部装置から供給される電源電位や信号電位は、端子TE及び配線WLを介して、各画素PXに供給される。
【0013】
表示パネル2は、可撓性を有している。一例では、表示パネル2は、図において斜線を付して示すように、非表示領域NDAにおいて折り曲げ領域BAを有している。折り曲げ領域BAは、表示装置1が筐体等に収容される際に折り曲げられる領域に相当する。折り曲げ領域BAは、表示領域DAと実装領域MTとの間に位置している。配線WLは、折り曲げ領域BAを通って、画素PXと端子TEとを電気的に接続している。
【0014】
配線基板3は、実装領域MTに実装されている。配線基板3は、端子TEを介して、表示パネル2と電気的に接続されている。配線基板3は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。図示した例では、配線基板3は、画素PXを駆動するためのICチップ4を搭載している。なお、ICチップ4は、表示パネル2に実装されていてもよい。図示した例では、配線基板3の第1方向Xに沿った辺の長さは、辺EX1と同等であるが、異なっていてもよい。
【0015】
本実施形態において、表示パネル2は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3を有している。第1領域A1は、表示領域DAを含んでおり、辺EX2と折り曲げ領域BAとの間の領域に相当する。第2領域A2は、実装領域MTを含んでおり、折り曲げ領域BAと辺EX1との間の領域に相当する。第3領域A3は、第1領域A1と第2領域A2領域との間の領域である。図示した例では、第3領域A3は、折り曲げ領域BAに相当する。
【0016】
図2は、図1に示す折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態を示す図である。図2は、Y-Z平面に平行な面を示している。ここでは、説明に必要な構成のみを示している。表示装置1は、表示パネル2、配線基板3に加え、支持基板PP(PP1、PP2)、支持部材50、接着剤51などを備えている。
【0017】
支持基板PPは、第3領域A3(すなわち折り曲げ領域BA)を除き、表示パネル2の表示面とは反対側の面に設けられている。第1領域A1は、表示パネル2に支持基板PP1が貼り付けられた領域に相当する。第2領域A2は、表示パネル2に支持基板PP2が貼り付けられた領域に相当する。第3領域A3は、支持基板PPが設けられていない領域、すなわち支持基板PP1と支持基板PP2との間の領域に相当する。
【0018】
支持基板PPは、例えば表示領域DA及び実装領域MTにおいて、表示パネル2の湾曲を抑制する支持層として機能する。また、支持基板PPは、表示パネル2への水分等の侵入を抑制する防湿性と、ガスの侵入を抑制するガス遮断性をと有し、バリア層としても機能する。支持基板PPは、一例では、ポリエチレンテレフタラートを用いて形成されたフィルムである。なお、支持基板PPと表示パネル2との間に他の薄膜が介在していてもよい。
【0019】
表示パネル2は、支持部材50を挟み込むように折り曲げられ、接着剤51によって支持部材50と貼り付けられている。図示した例では、支持基板PP1及びPP2と接着剤51とが接している。第3領域A3が折り曲げられた状態において、配線基板3は、表示パネル2の下方に位置し、表示パネル2及び支持部材50とほぼ平行に対向している。なお、支持部材50は、省略されてもよい。
【0020】
折り曲げ領域BAは、第1方向Xに沿った折り曲げ軸AXを中心として折り曲げられている。第3領域A3は、曲面状であり、一例では、円周に沿って湾曲している。折り曲げ領域BAが形成する曲面の母線GNは、折り曲げ軸AXと平行である。すなわち、折り曲げ領域BAの母線GNは、第1方向Xと平行である。ここで、折り曲げ領域BAの曲面に沿って第1領域A1側から第2領域A2側へ向かう方向を周方向Cと定義する。また、折り曲げ領域BAの曲率半径R1は、例えば折り曲げ軸AXから表示パネル2の内面までの距離として定義される。一例では、曲率半径R1は、0.3mmである。
【0021】
図3は、図1に示す表示領域DAを示す断面図である。表示パネル2は、絶縁基板10、絶縁層11乃至15、リブ16、スイッチング素子SW(SW1、SW2、SW3)、有機EL素子OLED(OLED1、OLED2、OLED3)、封止膜17、粘着層18、光学素子OD1及びOD2などを備えている。図示した例では、支持基板PP1は、絶縁基板10の下に貼り付けられている。
【0022】
絶縁基板10は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。絶縁層11は、絶縁基板10の上に形成されている。絶縁層11は、絶縁基板10から有機EL素子OLEDへの水分等の侵入を抑制するためのバリア層を含んでいてもよい。なお、絶縁層11は、省略されてもよい。また、絶縁基板10は、有機絶縁材料によって挟まれた無機絶縁材料を含む積層構造であってもよい。
【0023】
スイッチング素子SWは、絶縁層11の上に形成されている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(TFT;thin-film-transistor)により構成されている。図示した例では、スイッチング素子SWはトップゲート型であるが、ボトムゲート型であってもよい。以下では、スイッチング素子SW1を例として、その構成を説明する。
【0024】
スイッチング素子SW1は、半導体層SC、ゲート電極GE、ソース電極SE、及び、ドレイン電極DEを備えている。
【0025】
半導体層SCは、絶縁層11の上に形成され、絶縁層12により覆われている。ゲート電極GEは、絶縁層12の上に形成され、絶縁層13により覆われている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ絶縁層13の上に形成されている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、絶縁層13及び絶縁層12を半導体層SCまで貫通するコンタクトホールにおいて、半導体層SCにそれぞれ接触している。
【0026】
ゲート電極GEは、アルミニウム、チタン、銀、モリブデン、タングステン、銅、クロムなどの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。ソース電極SE及びドレイン電極DEを形成する材料は、上記の金属材料が適用可能である。
【0027】
各スイッチング素子SWは、絶縁層14により覆われている。絶縁層14は、絶縁層15により覆われている。絶縁層11乃至13、及び絶縁層15は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等の無機絶縁材料により形成されている。絶縁層14は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料により形成されている。
【0028】
有機EL素子OLEDは、絶縁層15の上に形成されている。図示した例では、有機EL素子OLEDは、絶縁基板10とは反対側に光を出射する所謂トップエミッションタイプであるが、この例に限らず、絶縁基板10の側に光を出射する所謂ボトムエミッションタイプであってもよい。一例では、有機EL素子OLED1は、赤色に発光する有機発光層ORG1を備え、有機EL素子OLED2は、青色に発光する有機発光層ORG2を備え、有機EL素子OLED3は、緑色に発光する有機発光層ORG3を備えている。以下では、有機EL素子OLED1を例として、その構成を説明する。
【0029】
有機EL素子OLED1は、画素電極PE1、共通電極CE、及び有機発光層ORG1により構成されている。画素電極PE1は、絶縁層15の上に設けられている。画素電極PE1は、絶縁層15及び14に設けられたコンタクトホールにおいて、スイッチング素子SW1のドレイン電極DEと接触している。これにより、画素電極PE1とスイッチング素子SW1とは、互いに電気的に接続される。有機発光層ORG1は、画素電極PE1の上に形成されている。有機発光層ORG1は、発光効率を向上するために、電子注入層、正孔注入層、電子輸送層、正孔輸送層等をさらに含んでいてもよい。共通電極CEは、有機発光層ORG1の上に形成されている。共通電極CEと画素電極PEとは、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)等の透明な導電材料によって形成されている。
【0030】
以上のように構成された有機EL素子OLED1は、画素電極PE1と共通電極CEとの間に印加される電圧(あるいは電流)に応じた輝度で発光する。なお、図示は省略するが、トップエミッションタイプの場合には、有機EL素子OLED1は、絶縁層15と画素電極PE1との間に反射層を含んでいることが望ましい。反射層は、例えばアルミニウム、銀等の反射率の高い金属材料により形成される。なお、反射層の反射面、すなわち有機発光層ORG1側の面は、平坦であってもよいし、光散乱性を付与するために凹凸が形成されていてもよい。
【0031】
各有機EL素子OLEDは、有機絶縁材料からなるリブ16により、画素PXごとに区画されている。リブ16は、各画素電極PEの両端部を覆うとともに、絶縁層15とも接している。リブ16は、例えばポリイミドによって形成されている。有機発光層ORG1、ORG2、及びORG3は、リブ16が設けられていない領域において、画素電極PE1、PE2、及びPE3とそれぞれ接している。共通電極CEは、表示領域DAの全体に亘って形成されている。すなわち、共通電極CEは、有機発光層ORG1、ORG2、及びORG3と接するとともに、リブ16を覆っている。
【0032】
なお、表示パネル2は、複数の画素PXに亘って共通の有機発光層を有していてもよい。このような構成においては、表示パネル2は、各有機EL素子OLEDと対向する位置にカラーフィルタを備える。カラーフィルタは、例えば赤色、緑色、青色等に着色された樹脂材料によって形成される。
【0033】
封止膜17は、有機EL素子OLEDを覆っている。封止膜17は、有機EL素子OLEDへの水分や酸素の侵入を抑制し、有機EL素子OLEDの劣化を抑制する。封止膜17は、無機層171、有機層172、及び無機層173を備えている。無機層171は、有機EL素子OLEDの上に形成されている。図示した例では、無機層171は、共通電極CEと接している。無機層173は、無機層171の上方に位置している。有機層172は、無機層171と無機層173の間に位置し、無機層171及び無機層173の双方と接している。
【0034】
封止膜17のうち、無機層171及び無機層173は、主に、有機EL素子OLED側への水分の侵入を遮断する機能を有している。無機層171及び無機層173は、透明であり、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコン等の無機絶縁材料によって形成されている。無機層171と無機層173とは、同一の材料で形成されてもよく、異なる材料で形成されてもよい。有機層172は、透明な有機絶縁材料によって形成されている。なお、ここでの透明とは、透過光が表示に影響のない範囲で着色されることを許容するものである。
【0035】
光学素子OD1及びOD2は、封止膜17の上に設けられている。光学素子OD1は、一例では、位相差板等の光学部材である。光学素子OD2は、一例では、偏光板等の光学部材である。図示した例では、光学素子OD1は、光学素子OD2よりも封止膜17に近接し、粘着層18によって封止膜17に接着されている。
【0036】
図4は、図1に示すIV-IV’線に沿った断面図である。図4は、第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面と平行な面を示している。第3領域A3において、表示パネル2は、絶縁基板10、及び配線WLに加え、有機層OL1、OL2及びOL3、及び樹脂層RSNを備えている。
【0037】
有機層OL1は、絶縁基板10の上に位置している。配線WLは、有機層OL1の上に位置し、有機層OL2によって覆われている。図示した例では、第1方向Xにおいて、有機層OL1の両端部は、有機層OL2によって覆われている。すなわち、有機層OL2は、配線WL及び有機層OL1と接するとともに、有機層OL1を挟んだ両側で絶縁基板10とも接している。有機層OL3は、有機層OL2の上に設けられている。樹脂層RSNは、有機層OL3の上に設けられている。図示した例では、樹脂層RSNは、有機層OL1、OL2及びOL3を挟んだ両側で、絶縁基板10と接している。
【0038】
有機層OL1、OL2、及びOL3は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。密着性を向上するために、有機層OL1と有機層OL2とは、同一材料で形成されることが望ましい。また、ポリイミドによって形成される場合、有機層OL1、OL2、及びOL3のうち、少なくとも有機層OL1及びOL2は、フッ素を含んでいることが望ましい。有機層OL3は、フッ素を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。有機層OL1及びOL2がフッ素を含む場合、これらの透湿性及び吸湿性が低下するため、有機層OL1と有機層OL2との間に配置された配線WLの腐食を抑制することができる。樹脂層RSNは、一例では、アクリル系の樹脂であり、紫外線の照射によって硬化される。このような樹脂層RSNは、配線WLを保護する保護層として機能する。
【0039】
有機層OL1、OL2、及びOL3のヤング率は、いずれも樹脂層RSNのヤング率より大きい。上記の構成において、折り曲げ領域BAが折り曲げられた際の中立面NPは、図において破線で示すように、絶縁基板10と有機層OL1との境界近傍に位置している。ここで、中立面NPとは、折り曲げ領域BAが折り曲げられた際の引っ張り応力と圧縮応力とがつり合う面である。
【0040】
図5は、図1に示すV-V’線に沿った断面図である。図5は、Y-Z平面と平行な面を示している。第1領域A1、第3領域A3、及び第2領域A2は、この順で第2方向Yに沿って並んでいる。第1領域A1に設けられる支持基板PP1は、有機EL素子OLEDと重なる支持基板PPである。第2領域A2に設けられる支持基板PP2は、端子TEと重なる支持基板PPである。なお、第3領域A3が折り曲げられている場合は、第2方向Yは、図2に示す周方向Cに相当する。
【0041】
表示パネル2は、絶縁基板10、絶縁層11乃至15、リブ16、有機EL素子OLED、封止膜17、粘着層18、光学素子OD1及びOD2、配線WL、有機層OL1、OL2、及びOL3、及び端子TEに加え、配線GL及び導電層CLを備えている。
【0042】
絶縁基板10は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3に亘って設けられている。絶縁層11乃至13は、第1領域A1及び第2領域A2に設けられているが、第3領域A3には設けられていない。図示した例では、絶縁層11乃至13は、第3領域A3よりも若干広い領域において除去されている。換言すると、絶縁層11乃至13は、第1領域A1の第3領域A3側の端部、及び第2領域A2の第3領域A3側の端部には設けられていない。第1領域A1において、絶縁層11は、絶縁層12及び13よりも第2領域A2側に延出している。また、第2領域A2において、絶縁層11は、絶縁層12及び13よりも第1領域A1側に延出している。
【0043】
配線GLは、第1領域A1において、絶縁層12の上に位置し、絶縁層13によって覆われている。配線GLは、図3に示すスイッチング素子SWのゲート電極GEと電気的に接続されている。このような配線GLは、例えば、図3に示すスイッチング素子SWのゲート電極GEと同一材料及び同一工程で形成することができる。
【0044】
配線WLは、第1領域A1の第3領域A3側の端部から第2領域A2まで延出している。配線WLは、第1領域A1及び第2領域A2において、絶縁層13の上に形成され、第3領域A3において有機層OL1の上に形成されている。第1領域A1において、配線WLは、絶縁層13に形成されたコンタクトホールにおいて、配線GLと接している。これにより、配線WLと配線GLとは、電気的に接続される。配線WLは、例えば、図3に示すスイッチング素子SWのソース電極SE及びドレイン電極DEと同一材料及び同一工程で形成することができる。
【0045】
有機層OL1は、少なくとも第3領域A3に設けられている。図示した例では、有機層OL1の第2方向Yにおける両端部は、第1領域A1及び第2領域A2に位置している。有機層OL1は、第3領域A3において、絶縁基板10の上に形成されている。また、有機層OL1は、第1領域A1及び第2領域A2において、絶縁基板10の上に形成されるとともに、絶縁層11乃至13の一部を覆っている。このように、第1領域A1及び第2領域A2において有機層OL1が絶縁層11乃至13の一部を覆うことにより、絶縁層11乃至13の端部近傍に形成される段差が緩和される。したがって、第1領域A1及び第2領域A2において、絶縁層13の上、及び有機層OL1の上に形成される配線WLの断線を抑制することができる。
【0046】
有機層OL2は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3に亘って設けられ、配線WLを覆っている。図示した例では、有機層OL2は、第1領域A1及び第2領域A2において配線WLを覆うとともに、絶縁層13とも接している。有機層OL2は、例えば絶縁層14と同一材料及び同一工程で形成することができる。有機層OL2は、第2領域A2において、配線WLを露出するコンタクトホールを有している。導電層CLは、このコンタクトホール内に設けられ、配線WLと接している。導電層CLは、例えば画素電極PEと同一材料及び同一工程で形成することができる。
【0047】
有機層OL3は、有機層OL2と重畳する領域に設けられている。すなわち、有機層OL3は、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3に亘って設けられている。有機層OL3は、例えばリブ16と同一材料及び同一工程で形成することができる。有機層OL3は、第2領域A2において、導電層CLを露出するコンタクトホールを有している。端子TEは、このコンタクトホール内に設けられ、導電層CLと接している。これにより、端子TEと配線WLとは、導電層CLを介して電気的に接続される。端子TEは、例えば共通電極CEと同時に形成することができる。図示した例では、端子TEは、異方性導電膜ACFを介して、配線基板3と電気的に接続されている。
【0048】
絶縁層14は、第1領域A1内に設けられ、配線WLよりも第2領域A2から離間する側に位置している。絶縁層14は、一例では、絶縁層13を露出する溝14Tを有している。溝14Tが設けられることにより、第2領域A2側から第1領域A1側への絶縁層14を介した水分の浸入が抑制され、有機EL素子OLEDの劣化が抑制される。また、第3領域A3を折り曲げた際に、後述する無機層171及び173などにクラックが生じた場合であっても、溝14Tやこれに起因した凹凸が形成されていることで、クラックの表示領域DA側への伝搬を抑制することができる。このような溝14Tは、平面視で表示領域DAを囲む環状に形成されていることが望ましい。
【0049】
絶縁層15は、第1領域A1内に設けられ、絶縁層14の全体を覆っている。すなわち、絶縁層15は、溝14Tにおいて、絶縁層13と接するとともに、絶縁層14よりも第2領域A2側に延出し、絶縁層13と接している。有機EL素子OLED及びリブ16は、溝14Tよりも内側の領域、すなわち溝14Tよりも第2領域A2から離間した側(もしくは表示領域DA側)に位置している。
【0050】
封止膜17は、第1領域A1内に設けられ、その一部が絶縁層14よりも第2領域A2側に延出している。より具体的には、封止膜17のうち無機層171は、絶縁層14よりも第2領域A2側に延出し、有機層OL2及びOL3と接している。図示した例では、無機層171は、有機層OL2及びOL3の側面を覆うとともに、有機層OL3の上まで延在している。封止膜17のうち有機層172は、絶縁層14と重畳する領域内に設けられている。封止膜17のうち無機層173は、有機層172よりも第2領域A2側に延出し、無機層171と接している。
【0051】
本実施形態において、無機層171及び173は、少なくとも、配線WLより下方に位置する無機層、すなわち絶縁層11乃至13と重畳する領域に延在している。一例では、無機層171及び173の双方は、絶縁層11乃至13よりも第2領域A2側に延在している。
【0052】
図示した例では、絶縁層11乃至13と無機層171及び173とは、光学素子OD1及びOD2と重なるとともに、光学素子OD1及びOD2よりも第2領域A2側に延出している。また、配線WL、及び有機層OL2及びOL3は、光学素子OD1及びOD2よりも第2領域A2側の領域に配置されている。図示した例では、配線WLは、光学素子OD1及びOD2と重畳していないが、有機層OL2及びOL3の有機EL素子OLED側の端部は、光学素子OD1及びOD2と重畳している。光学素子OD1及びOD2よりも第2領域A2側の領域において、配線WLと有機層OL2及びOL3とは、絶縁層11乃至13と、無機層171及び173とによって挟まれている。
【0053】
樹脂層RSNは、第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3に亘って設けられている。第1領域A1において、樹脂層RSNは、有機層OL3と無機層171及び173とを覆うとともに、粘着層18、及び光学素子OD1及びOD2とも接している。第2領域A2において、樹脂層RSNは、有機層OL3及び配線基板3を覆っている。第3領域A3において、樹脂層RSNは、有機層OL3を覆っている。
【0054】
なお、有機層OL1、OL2、及びOL3と樹脂層RSNのうち、少なくとも有機層OL1と樹脂層RSNとに、架橋剤が添加されていてもよい。一般に、表示パネルは、配線等の各種導電層や、各種絶縁層を含む多層構造となっている。このため、表示パネルが曲率を有するように変形される折り曲げ領域では、層と層の間の密着性が弱い場合に、折り曲げによる層と層との剥離や、剥離に伴う亀裂が発生する場合がある。特に、折り曲げの開始点(本実施形態においては、第1領域A1と第3領域A3との境界近傍)には折り曲げによる応力が加わりやすいため、層の剥離が生じやすい。このような剥離部分は、表示パネルへの水分の浸入経路となり得る。
【0055】
一方、本実施形態において、有機層OL1に架橋剤が含まれる場合、有機層OL1と絶縁基板10との密着性が向上する。また、樹脂層RSNに架橋剤が含まれる場合、樹脂層RSNと有機層OL3との密着性が向上する。この結果、第3領域A3が折り曲げられた場合であっても、有機層OL1と絶縁基板10との剥離、及び樹脂層RSNと有機層OL3との剥離を抑制することができる。また、樹脂層RSNに架橋剤が含まれる場合、第1領域A1においては、樹脂層RSNと、光学素子OD1及びOD2、粘着層18、及び無機層171及び173との間の密着性も向上する。したがって、第1領域A1における折り曲げ開始点の近傍において、樹脂層RSNの剥離を抑制することができる。この結果、表示装置1の信頼性の低下を抑制することができる。
【0056】
図6は、図5に示す第3領域A3の近傍を拡大して示す断面図である。支持基板PP1は、第2領域A2側の端部EP1を有している。支持基板PP2は、第1領域A1側の端部EP2を有している。第3領域A3は、端部EP1と端部EP2との間の領域に相当する。
【0057】
図示した例では、無機層171の端部EI2、及び無機層173の端部EI3の双方は、絶縁層11の端部EI1、及び絶縁層12及び13の端部EI4の双方よりも第2領域A2に近接している。換言すると、端部EI1及びEI4は、いずれも無機層171及び173と重畳している。ここで、端部EI1、EI2、EI3及びEI4は、第2領域A2側の端部である。端部EI1、EI2、EI3及びEI4は、第1領域A1に位置している。すなわち、端部EI1、EI2、EI3、及びEI4は、端部EP1よりも第2領域A2から離間している。
【0058】
図示した例では、第2方向Yにおいて、端部EI2の位置と端部EI3の位置とは、揃っている。なお、第2方向Yにおいて、端部EI2の位置と端部EI3の位置とは、端部EI1の位置と揃っていてもよい。また、図示した例では、端部EI1は、端部EI4よりも第2領域A2に近接している。図示した例では、絶縁層12の端部と絶縁層13の端部とは揃っているが、揃っていなくてもよい。この場合、絶縁層12の端部は、絶縁層13の端部よりも第2領域A2に近接する。
【0059】
なお、絶縁層11乃至13は、酸化シリコンで形成されることが望ましい。酸化シリコンは、窒化シリコンよりも引っ張り応力が大きいため、第3領域A3が折り曲げられた際のクラックの発生を抑制することができる。
【0060】
図7は、絶縁層11及び無機層171が設けられた領域を示す平面図である。図において右下がりの斜線を付して示すように、絶縁層11は、第1領域A1のほぼ全体に設けられている。また、図において右上がりの斜線を付して示すように、無機層171は、少なくとも絶縁層11と重畳する領域に設けられ、本実施形態では、絶縁層11よりも第2領域A2側に延出している。すなわち、端部EI2は、端部EI1よりも第2領域A2に近接している。端部EI1及びEI2は、一例では、第1方向Xに沿って延出している。
【0061】
図示した例では、支持基板PPは、第3領域A3を除き、絶縁基板10とほぼ重畳している。すなわち、支持基板PP1の形状は、第1領域A1の形状とほぼ等しく、支持基板PP2の形状は、第2領域A2の形状とほぼ等しい。支持基板PP1の端部EP1と支持基板PP2の端部EP2は、一例では、第1方向Xに沿って延出している。端部EI1及びEI2は、光学素子OD2の端部EODと支持基板PP1の端部EP1との間に位置している。
【0062】
以上のように、本実施形態によれば、第1領域A1において、無機層171及び173は、少なくとも、絶縁層11乃至13が設けられた領域に延在している。一般に、無機層の弾性率は、有機層の弾性率よりも高い。したがって、第1領域A1において、無機層からなる絶縁層11乃至13と無機層171及び173とを積層することにより、第1領域A1の剛性を高めることができる。一方、第3領域A3には、絶縁層11乃至13、及び無機層171及び173は、設けられてない。このため、第3領域A3の剛性は、第1領域A1の剛性よりも低い。
【0063】
第3領域A3と第1領域A1の剛性の比が小さい場合、第3領域A3を折り曲げた際に、本来折り曲げられない領域である第1領域A1が湾曲するおそれがある。この場合、第1領域A1においても配線WLが断線するおそれがある。しかしながら、本実施形態によれば、第1領域A1において、無機層171及び173を絶縁層11乃至13と重畳する領域に設けることで、折り曲げ領域BAである第3領域A3の曲げ剛性に対して、第1領域A1の曲げ剛性を高めることができる。この結果、第3領域A3が折り曲げられた際の第1領域A1の湾曲を抑制することができ、第1領域A1における配線WLの断線を抑制することができる。
【0064】
さらに、本実施形態によれば、配線WLの上に2層の有機層OL2及びOL3が積層され、無機層171及び173は、有機層OL3の上に設けられている。すなわち、配線WLよりも上側(折り曲げた際の外周側)に、弾性率の大きい無機層171及び173が配置されている。この結果、第3領域A3を折り曲げた際の中立面NPの位置を配線WLに近づけることができる。したがって、第3領域A3を折り曲げた際の配線WL近傍の応力を緩和することができ、配線WLの破断を抑制することができる。
【0065】
以上のことから、本実施形態によれば、信頼性を向上することができる表示装置1が提供される。以下では、図8乃至図11を参照して、表示パネル2の他の例について説明する。
【0066】
図8は、表示パネル2の他の例を示す断面図である。図9は、図8に示す表示パネル2の平面図である。図8及び図9に示す例は、図6及び図7に示す例と比較して、無機層171が無機層173よりも第2領域A2側に延出している点で相違している。図示した例では、無機層171は、第1領域A1の全体に亘って設けられている。すなわち、第2方向Yにおいて、端部EI2の位置と端部EP1の位置とは、揃っている。
【0067】
以下では、図8において、配線WLの下方に位置する絶縁層11、12、及び13を絶縁層IL1とみなし、配線WLの上方に位置する無機層171及び173を絶縁層IL2とみなす。
【0068】
図8に示す例では、無機層171が無機層173よりも第2領域A2側に延出しているため、絶縁層IL2は、第3領域A3の近傍において薄い。換言すると、絶縁層IL2の第3領域A3側の厚さT1は、第3領域A3から離間する側(すなわち有機EL素子OLED側)の厚さT2よりも小さい。ここで、厚さT1は、無機層171の厚さに相当し、厚さT2は、無機層171及び173の合計の厚さに相当する。厚さT1は、一例では、200nm以下である。図示した例では、無機層173の厚さは、厚さT1と等しいが、異なっていてもよい。
【0069】
同様に、絶縁層11が絶縁層12及び13よりも第2領域A2側に延出しているため、絶縁層IL1は、第3領域A3の近傍において薄い。換言すると、絶縁層IL1の第3領域A3側の厚さT3は、第3領域A3から離間する側の厚さT4より小さい。ここで、厚さT3は、絶縁層11の厚さに相当し、厚さT4は、絶縁層11、12、及び13の合計の厚さに相当する。厚さT3は、一例では、200nm以下である。図示した例では、絶縁層12の厚さ及び絶縁層13の厚さの各々は、厚さT3と等しいが、異なっていてもよい。
【0070】
本例によれば、配線WLの上方に位置する絶縁層IL2と、配線WLの下方に位置する絶縁層IL1の双方が、折り曲げ領域BAである第3領域A3の近傍において薄く、第3領域A3から離間する側で厚くなっている。一般に、無機層の厚さが大きいほど、無機層を折り曲げた際の歪み量が大きくなり、無機層にクラックが生じやすくなる。本実施形態によれば、表示パネル2の折り曲げ開始位置(つまり第1領域A1と第3領域A3との境界)の近傍において、絶縁層IL1の厚さとIL2の厚さとを薄くすることで、第3領域A3が折り曲げられた際の絶縁層IL1及びIL2におけるクラックの発生を抑制することができる。
【0071】
また、本例によれば、無機層171が第1領域A1の全体に設けられているため、第1領域A1の剛性をさらに高めることができる。この結果、第3領域A3が折り曲げられた際の第1領域A1の湾曲を抑制することができ、第1領域A1における配線WLの断線を抑制することができる。したがって、本例によれば、信頼性を向上することができる表示装置1が提供される。
【0072】
図10は、表示パネル2の他の例を示す断面図である。図11は、図10に示す表示パネル2の平面図である。図10及び図11に示す例は、図8及び図9に示す例と比較して、無機層171が第3領域A3まで延出している点で相違している。すなわち、端部EI2は、第3領域A3に位置している。本例において、第3領域A3に延出した無機層171の長さL1は、第3領域A3が折り曲げられた際の歪み量が4%以下となるように設定される。
【0073】
図示した例では、無機層173は、第1領域A1の全体に設けられている。つまり、第2方向Yにおいて、端部EI3の位置と端部EP1の位置とは、揃っている。なお、端部EI3は、第3領域A3を第2領域A2側に超えなければよく、第2方向Yにおいて端部EI1と端部EP1との間に位置していてもよい。
【0074】
本例においても、図8及び図9に示す例と同様の効果を得ることができる。また、無機層171と無機層173の双方が第1領域A1の全体に設けられているため、第1領域A1の剛性をさらに高めることができる。さらに、本例によれば、第3領域A3に無機層171が設けられているため、第3領域A3における中立面NPの位置を配線WLに近づけることができる。したがって、第3領域A3を折り曲げた際の配線WLの断線を抑制することができる。
【0075】
以上の実施形態では、有機EL素子OLEDを有する有機EL表示装置を例に説明したが、本実施形態は、液晶層を有する液晶表示装置にも適用可能である。表示装置が液晶表示装置である場合、例えば、画素電極と共通電極との間に設けられる無機絶縁層を折り曲げ領域BA側に延出させることで、上記の効果と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態は、センサー等の機能性素子を備える一方で表示素子を備えていないフレキシブル基板にも適用可能である。
【0076】
上記の実施形態において、絶縁層11は、第1無機絶縁層に相当し、無機層171は、第2無機絶縁層に相当し、無機層173は、第3無機絶縁層に相当し、絶縁層12は、第4無機絶縁層に相当する。端部EI1は、第1端部に相当し、端部EI2は、第2端部に相当する。支持基板PP1の端部EP1は、第3端部に相当する。有機層OL1は、第1有機絶縁層に相当し、有機層OL2は、第2有機絶縁層に相当し、有機層OL3は、第3有機絶縁層に相当する。
【0077】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0078】
1…表示装置、2…表示パネル、3…配線基板、11,12,13…絶縁層、171,173…無機層、A1…第1領域、A2…第2領域、A3…第3領域、EI1,EI2,EI3,EI4…端部、DA…表示領域、BA…折り曲げ領域、MT…実装領域、PP,PP1,PP2…支持基板、OLED…有機EL素子、WL…配線、TE…端子、OD1,OD2…光学素子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11