(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】車両の窓を拭いて洗浄するために制御されるシステム、フロントガラスワイパー、フロントガラスワイパーブレード、および車両への取り付け方法
(51)【国際特許分類】
B60S 1/46 20060101AFI20220704BHJP
B60S 1/32 20060101ALI20220704BHJP
B60S 1/38 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
B60S1/46 E
B60S1/32
B60S1/38 Z
B60S1/46 D
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018123171
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-05-28
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ムレール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、テラス
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-81077(JP,A)
【文献】特開2010-52470(JP,A)
【文献】特開平8-290756(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102015003556(DE,A1)
【文献】特開2008-137605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-ワイパーシステムの駆動アーム(16)によって駆動され、拭い取り方向が転換される2つの位置の間で、拭き取り対象の窓の外側の面の少なくとも一部分を拭い取る往復動作を行う少なくとも1本のフロントガラスワイパーブレード(14)と、
-前記外側の面に液体を噴射する噴射装置(18)と、
-前記噴射装置(18)に液体を供給する供給ポンプと、
-前記拭い取り方向に応じて、前記供給ポンプ(38)による前記噴射装置(18)への供給を制御する制御回路(CP)と、を備え、
前記往復拭い取り動作中に前記駆動アーム(16)またはフロントガラスワイパー(11)の前記フロントガラスワイパーブレード(14)の加速度の値を示す信号を前記制御回路(CP)に送るために、前記駆動アーム(16)または前記フロントガラスワイパーブレード(14)によって保持されるとともに前記制御回路(CP)に接続された、前記フロントガラスワイパー(11)の加速度センサ(CA)を備えることを特徴とする、車両の窓(12)を拭くワイパーシステム(10)。
【請求項2】
前記制御回路(CP)が、前記加速度センサ(CA)から送られる前記信号を分析し、前記フロントガラスワイパー(11)の前記拭い取り方向の転換を検知する手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載のワイパーシステム。
【請求項3】
前記フロントガラスワイパー(11)が、前記フロントガラスワイパーブレード(14)と、前記往復拭い取り動作中に前記フロントガラスワイパーブレード(14)を駆動する前記駆動アーム(16)とを備え、前記加速度センサ(CA)が前記フロントガラスワイパーブレード(14)または前記フロントガラスワイパー(11)によって保持されることを特徴とする、請求項1に記載のワイパーシステム。
【請求項4】
前記噴射装置(18)が、前記フロントガラスワイパーブレード(14)の側面に沿って液体を噴射するように構成される、請求項3に記載のワイパーシステム。
【請求項5】
前記噴射装置(18)が、前記フロントガラスワイパーブレード(14)または前記駆動アーム(16)によって保持されることを特徴とする、請求項4に記載のワイパーシステム。
【請求項6】
前記制御回路(CP)が、前記フロントガラスワイパーブレード(14)または前記駆動アーム(16)によって保持され、前記噴射装置(18)が、前記フロントガラスワイパーブレード(14)の側面に沿って前記フロントガラスに噴射するように構成されることを特徴とする、請求項3に記載のワイパーシステム。
【請求項7】
前記供給ポンプ(38)が前記制御回路によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載のワイパーシステム。
【請求項8】
前記制御回路(CP)に接続された前記供給ポンプ(38)の駆動モータへの電力供給を制御する継電器(R)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のワイパーシステム。
【請求項9】
-フロントガラスワイパー(11)の加速度センサ(CA)と、
-窓に液体を噴射する噴射装置(18)への液体の供給を制御する制御回路(CP)と、を保持し、
前記加速度センサ(CA)が前記制御回路に接続されることを特徴とする、自動車の窓のフロントガラスワイパー。
【請求項10】
フロントガラスワイパーブレード(14)と、前記フロントガラスワイパーブレード(14)の往復拭い取り動作を駆動する駆動アーム(16)とを備え、前記加速度センサ(CA)と前記制御回路(CP)が、前記フロントガラスワイパーブレード(14)によって保持されることを特徴とする、請求項9に記載のフロントガラスワイパー。
【請求項11】
前記噴射装置が前記フロントガラスワイパーブレード(14)によって保持されることを特徴とする、請求項10に記載のフロントガラスワイパー。
【請求項12】
-フロントガラスワイパー(11)の加速度センサ(CA)と、
-窓に液体を噴射する噴射装置(18)への液体の供給を制御する制御回路(CP)と、を保持し、
前記加速度センサ(CA)が前記制御回路に接続されることを特徴とする、自動車のフロントガラスワイパーブレード(14)。
【請求項13】
前記噴射装置(18)が前記フロントガラスワイパーブレード(14)によって保持されることを特徴とする、請求項12に記載のフロントガラスワイパーブレード。
【請求項14】
-拭い取り方向が転換される2つの位置の間で、車両の窓の外側の面の少なくとも一部分を拭い取る往復動作を行うフロントガラスワイパーブレード(14)を駆動する少なくとも1本の駆動アーム(16)と、
-前記外側の面に液体を噴射する噴射装置(18)と、
-前記噴射装置(18)に液体を供給する供給ポンプ(38)と、を備える車両の窓用のワイパーシステムの自動車への取り付け方を変更する方法であって、
--液体を噴射するための複数の孔を有する前記フロントガラスワイパーブレード(14)を前記駆動アーム(16)に取り付けるとともに、前記フロントガラスワイパーブレード(14)を前記供給ポンプ(38)に接続することと、
--前記駆動アーム(16)または前記フロントガラスワイパーブレード(14)に加速度センサ(CA)を取り付けることと、
--前記拭い取り方向に応じて、前記供給ポンプ(38)による前記噴射装置(18)への供給を制御する、制御回路(CP)を前記車両に取り付けるとともに、前記往復拭い取り動作中に前記駆動アーム(16)または前記フロントガラスワイパー(11)の前記フロントガラスワイパーブレード(14)の加速度の値を示す信号を前記制御回路(CP)に送る前記加速度センサ(CA)に、前記制御回路(CP)を接続することと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記供給ポンプ(38)の駆動モータ(M)への電力供給を制御する継電器(R)を前記車両に取り付けるとともに、前記継電器(R)を前記制御回路に接続することを含む、請求項14に記載の取り付け方法。
【請求項16】
前記制御回路(CP)を前記駆動アーム(16)または前記フロントガラスワイパーブレード(14)に据え付けることを含む、請求項14に記載の取り付け方法。
【請求項17】
前記制御回路(CP)がマイクロコントローラに一体化されることを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントガラスワイパーブレードと液体を窓の外側の面に噴射する装置とを備える自動車の窓を拭くためのシステムに関する。
【0002】
さらに、本発明は、拭き取り・洗浄システムの自動車への取り付け方を変更する方法についても提案する。
【背景技術】
【0003】
拭き取り対象の窓、特にフロントガラスの外側の面に、洗浄液等の液体を噴射する際には、液体が噴射されるフロントガラスの領域を拭き取るフロントガラスワイパーブレードが上方の外側に向かっているときにのみ液体を噴射し、特に下方に向かって戻っているときには視界を悪くする液体を噴射しないように制御できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、拭い取り方向の転換を検知する方法を提案することである。その方法は、特に従来のフロントガラスワイパーブレードに置き換わる液体噴射装置を備えたワイパーを車両に取り付けるために実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
-ワイパーシステムの駆動アームによって駆動され、拭い取り方向が転換される2つの位置の間で、拭き取り対象の窓の外側の面の少なくとも一部分を拭い取る往復動作を行う少なくとも1本のフロントガラスワイパーブレードと、
-外側の面に液体を噴射する噴射装置と、
-噴射装置に液体を供給する供給ポンプと、
-拭い取り方向に応じて、供給ポンプによる噴射装置への供給を制御する制御回路と、を備え、
往復拭い取り動作中に駆動アームまたはフロントガラスワイパーのフロントガラスワイパーブレードの加速度の値を示す信号を制御回路に送るために、駆動アームまたはフロントガラスワイパーブレードによって保持されるとともに制御回路に接続された、フロントガラスワイパーの加速度センサを備えることを特徴とする、車両の窓用のワイパーシステムを提案する。
【0006】
このワイパーシステムの他の特徴によると、
-制御回路が、加速度センサから送られる信号を分析し、フロントガラスワイパーの拭い取り方向の転換を検知する手段を備え、
-フロントガラスワイパーが、フロントガラスワイパーブレードと、往復拭い取り動作中にフロントガラスワイパーブレードを駆動する駆動アームとを備え、加速度センサがフロントガラスワイパーブレードまたは駆動アームによって保持され、
-噴射装置が、フロントガラスワイパーブレードの側面に沿って液体を噴射するように構成され、
-噴射装置が、フロントガラスワイパーブレードまたは駆動アームによって保持され、
-制御回路が、フロントガラスワイパーブレードまたは駆動アームによって保持され、噴射装置が、フロントガラスワイパーブレードの側面に沿ってフロントガラスに噴射するように構成され、
-供給ポンプが制御回路によって制御され、
-ワイパーシステムが、制御回路に接続された供給ポンプの駆動モータへの電力供給を制御する継電器を備える。
【0007】
さらに、本発明は、
-フロントガラスワイパーの加速度センサと、
-窓に液体を噴射する噴射装置への液体の供給を制御する制御回路と、を保持し、
加速度センサが制御回路に接続されることを特徴とする、自動車の窓のフロントガラスワイパーを提案する。
【0008】
このフロントガラスワイパーの他の特徴によると、
-フロントガラスワイパーブレードと、フロントガラスワイパーブレードの往復拭い取り動作を駆動する駆動アームとを備え、加速度センサと制御回路がフロントガラスワイパーブレードによって保持され、
-噴射装置がフロントガラスワイパーブレードによって保持される。
【0009】
さらに、本発明は、
-フロントガラスワイパーの加速度センサと、
-窓に液体を噴射する噴射装置への液体の供給を制御する制御回路と、を保持し、
加速度センサが制御回路に接続されることを特徴とする、自動車のフロントガラスワイパーブレードを提案する。
【0010】
噴射装置は、例えばフロントガラスワイパーブレードによって保持される。
【0011】
さらに、本発明は、
-拭い取り方向が転換される2つの位置の間で、車両の窓の外側の面の少なくとも一部分を拭い取る往復動作を行うフロントガラスワイパーブレードを駆動する少なくとも1本の駆動アームと、
-外側の面に液体を噴射する噴射装置と、
-噴射装置に液体を供給する供給ポンプと、を備える車両の窓用のワイパーシステムの自動車への取り付け方を変更する方法であって、
--液体を噴射するための複数の孔を有するフロントガラスワイパーブレードを駆動アームに取り付け、このフロントガラスワイパーブレードを供給ポンプに接続することと、
--駆動アームまたはフロントガラスワイパーブレードに加速度センサを取り付けることと、
--拭い取り方向に応じて、供給ポンプによる噴射装置への供給を制御する、制御回路を車両に取り付けるとともに、往復拭い取り動作中に駆動アームまたはフロントガラスワイパーのフロントガラスワイパーブレードの加速度の値を示す信号を制御回路に送る加速度センサに制御回路を接続することと、を含むことを特徴とする方法を提案する。
【0012】
この方法の他の特徴によると、
-供給ポンプの駆動モータへの電力供給を制御する継電器を車両に取り付けるとともに、この継電器を制御回路に接続することを含み、
-制御回路を駆動アームまたはフロントガラスワイパーブレードに据え付けることを含み、
-制御回路がマイクロコントローラに一体化される。
【0013】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な説明を読んで理解することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】フロントガラスワイパーブレードが最下部の停止位置にある状態のワイパーシステムの一部の概略図である。
【
図2】上方の外側に向かって拭き取りを行っている状態のフロントガラスワイパーブレードを示す
図1に類似の図である。
【
図3】フロントガラスワイパーブレードを駆動する補完部品および窓の洗浄液を噴射する補完部品と共に
図1の要素を示す概略図である。
【
図4】本発明の教示を採用したワイパーシステムを示す
図3に類似の図である。
【
図5】ワイパーシステムの別の設計を示す
図4に類似の図である。
【
図6】本発明のワイパーシステムの変形例を示す
図5に類似の図である。
【
図7】往復拭き取りサイクルの間、角位置に応じて変化するフロントガラスワイパーブレードの加速度を示すグラフである。
【
図8】往復拭き取りサイクルの間、角位置に応じて変化するフロントガラスワイパーブレードの速度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、同一の構造または類似の機能を有する要素には同じ符号を付与する。
【0016】
図1および
図2には、車両のフロントガラス12の外側の面等の自動車の窓用のワイパーシステム10の一般的に知られている設計が概略的に示されている。
【0017】
フロントガラスワイパーブレードシステムとしても知られているワイパーシステム10は、2本のフロントガラスワイパー11を備えており、各フロントガラスワイパー11はフロントガラスワイパーブレード14を備えている。両フロントガラスワイパーブレード14がフロントガラス12の外側の面の2箇所を拭き取ることができるように、両フロントガラスワイパー11はフロントガラス12に対する拭い取り動作を行いながら移動することができる。両フロントガラスワイパーブレード14により拭き取られるフロントガラス12の外側の面の2箇所は、別々の場所でも一部重なっていてもよい。
【0018】
ここでは、各フロントガラスワイパーブレード14は、往復拭い取り動作を行うことができる。
【0019】
以下、一方のフロントガラスワイパー11および一方のフロントガラスワイパーブレード14について記載するが、他方のフロントガラスワイパー11および他方のフロントガラスワイパーブレード14についても同じことが言える。
【0020】
フロントガラスワイパーブレード14は、例えば「フラットブレード」のフロントガラスワイパーブレードとして知られている薄いフロントガラスワイパーブレードである。このフロントガラスワイパーブレードは、上部支持フレーム20を備えている。上部支持フレーム20は、下にあるワイパーブレードを保持し、フロントガラス12の外側の面に対して押さえつける。これにより、フロントガラスワイパーブレード14は、拭い取り動作のために駆動されると、特に外側の面にある水を拭き取ることができる。
【0021】
この実施例では、フロントガラスワイパーブレード14は、往復拭い取り動作中、すなわち軸Aを中心として
図1に示されている下方の停止位置と上方の最も高い拭き取り位置との間で往復回転をしているときに移動できるように組み付けられる。軸Aは、拭き取り対象の外側の面に対してほぼ垂直に設けられる。フロントガラスワイパーブレード14は、下方の停止位置においてフロントガラス12の下端部12aと実質的に平行になり、上方の最も高い拭き取り位置においてフロントガラス12を横切って延びる。
【0022】
フロントガラスワイパーブレード14は、駆動アーム16により軸Aを中心に回転するように駆動される。駆動アーム16は、フロントガラスワイパーアームとも呼ばれ、車両の構成要素(図示せず)に対して軸Aを中心に回転できるように組み付けられる。
【0023】
往復拭い取り動作は、2つの段階に分けられる。フロントガラスワイパーブレード14が下方の停止位置から上方の最も高い位置に向かって「外側に」すなわち「上方に」移動する第1段階と、フロントガラスワイパーブレード14が上方の最も高い位置から下方の停止位置に向かって逆向きに「戻ってくる」すなわち下降する第2段階である。
【0024】
よって、下方の停止位置と上方の最も高い位置において、拭い取り方向が転換される。
【0025】
上記のワイパーシステムは、2枚のフロントガラスワイパーブレード14が曇ったパネルを拭う往復動作を行うシステムに対応するものである。
【0026】
さらに、ワイパーシステムは、フロントガラスワイパーブレードが往復動作を行わず窓の外側の面を拭うシステム、またはフロントガラスワイパーブレードが直線的に窓の外側の面を拭うシステムに対応するものであってもよい。従って、フロントガラスワイパーブレードの停止位置および最も高い位置は、選択されるワイパーシステムに応じて変更されうることに留意されたい。
【0027】
ワイパーシステム10は、洗浄液を噴射してフロントガラスワイパーブレード14の拭き取りを補助する少なくとも1つのノズル18をさらに備えている。
【0028】
ここでは、ノズル18は、フロントガラスワイパーブレード14によって保持されている。
【0029】
噴射ノズル18は、パイプ(流体導管)24により洗浄液供給装置(
図1および
図2には図示せず)に接続されている。
【0030】
非制限的実施例として、ノズル18は、フロントガラスワイパーブレード14によって保持され、ここでは、回転軸Aに最も近いフロントガラスワイパーブレード14の端部14aのところに配置されている。
【0031】
ノズル18は、フロントガラスワイパーブレード14にほぼ平行な噴射液26として液体を噴射するように製造・構成されている。
【0032】
さらに、噴射液26は、フロントガラスワイパーブレードの「上流側」側面、つまりフロントガラスワイパーブレード14が下方の停止位置にあるときにフロントガラス12の上端部12bを向く側面に沿って噴射される(
図1参照)。
【0033】
ノズル18のフロントガラスワイパーブレード14に対する方向は、例えば洗浄液の噴射液26がワイパーブレードにまっすぐに沿って噴射されるように設定される。
【0034】
沿わせる面は、フロントガラスワイパーブレード14が外側に向かって拭い取り動作を行う第1段階にあるときに、最も高い拭い取り位置の方向を向くフロントガラスワイパーブレード14の側面である。
【0035】
このようなワイパーシステム10を制御する方法は、拭き取りステップと洗浄液噴射ステップを複数回連続して行う拭き取り・洗浄サイクルを形成することを目的とする。
【0036】
サイクルの各ステップは、フロントガラスワイパーブレード14の往復動作となるため、上記の様にフロントガラスワイパーブレード14が外側に向かう第1段階と戻ってくる第2段階とを含む。
【0037】
液体を噴射するステップは、ノズル18により液体を噴射するステップになる。噴射液26は、所定の時間の間、決まった量の液体をフロントガラスワイパーブレード14の側面に沿って噴射するように形成される。
【0038】
図3には、フロントガラスワイパーブレード14をモータで駆動するための補完要素や部品、および噴射ノズル18に接続されたパイプ24に洗浄液を加圧して供給する補完要素や部品と共に
図1のワイパーシステム10の部品や要素が示されている。
【0039】
特に車両のバッテリーの例として電源30が示されている。
【0040】
また、各駆動アーム16に関して往復拭い取り動作の駆動をする電気モータ32も概略的に示されている。電気モータ32への電力供給および電気モータ32の制御は、制御電子回路34により行われる。
【0041】
あるいは、1つの駆動モータ32を2本のフロントガラスワイパー11に共有させることもできる。駆動モータ32は、リンク機構等により片方または両方の駆動アーム16に接続される。
【0042】
窓の洗浄液の貯蔵槽36も示されている。窓洗浄用ポンプと呼ばれる電気ポンプ38により貯蔵槽36から窓の洗浄液がくみ上げられる。
【0043】
窓洗浄用ポンプ38を駆動する電気モータMへの電力供給および電気モータMの制御は、制御電子回路34により行われる。
【0044】
窓洗浄用ポンプ38の放出口は、パイプ24に接続されている。
【0045】
よって、モータMに電力が供給されると、窓洗浄用ポンプ38が、窓の洗浄液を加圧して放出し、噴射ノズル18に供給する。
【0046】
このように窓洗浄用ポンプ38を動作させることにより、停止段階中に、または上方の外側に向かう段階の開始時に、洗浄液噴射ステップが開始されてもよい。
【0047】
噴射ステップは、フロントガラスワイパーブレード14が上方の外側に向かい、フロントガラス12の外側の面に噴射された液体をすぐに擦り取り拭き取る第1段階が終わるまで、または途中まで継続する。
【0048】
一方、フロントガラスワイパーブレード14が下方に戻ってくる段階に入った後は、この段階の最後までまたは途中までに関わらず、特に視界が悪くなるという理由から、噴射ステップが継続されるまたは実行されることは望ましくない。
【0049】
実際、このような状況では、窓の洗浄液がフロントガラスワイパーブレード14より「上方で」フロントガラス12の外側の面の全体に直接噴射されるが、この液体は下方に戻っている段階のフロントガラスワイパーブレードによって擦り取られ拭き取られることはない。
【0050】
よって、各噴射ステップを、実質的に1回以上連続して上方の外側に向かう段階を行う間においてのみ行い、フロントガラスワイパーブレードが下方に向かって拭い取りながら戻ってくる段階においては、洗浄液の噴射を中断する、または開始しないことが望ましい。
【0051】
このような動作を実現するために、本発明は、連続した上方の外側に向かう段階と下方に戻ってくる段階とを検知し、往復拭い取り動作中にフロントガラスワイパーブレードの加速度の変化を分析することにより拭い取り方向の転換を検知することを提案する。
【0052】
実際、
図7および
図8に示されているように、2つの連続した段階からなる拭き取りサイクル中、速度はゼロから始まった後、増加し(上方の外側に向かう段階では通常正の値をとる)、その後減少し、上方の最も高い位置で再びゼロになり、ここから反対に負の値として増加し、そして減少した後、下方の最も低い位置で再びゼロに戻るということを繰り返す。
【0053】
図8に示されている速度変化および速度転換は、
図7に示されている加速度の変化に関連する。
【0054】
これらの変化を検知するために、本発明は、フロントガラスワイパー11の瞬間加速度を示す信号を出力する加速度センサCAを少なくとも1本のフロントガラスワイパー11に取り付けることを提案する。
【0055】
この様子は
図4に概略的に示されている。
図4には、モジュール40が示されており、モジュール40は、フロントガラスワイパーブレード14に固定され、加速度計および/またはジャイロスコープ等の加速度センサCAを収容している。
【0056】
モジュール40は、電源30に接続されており、加速度センサCAは、概略的に示されているように、窓洗浄用ポンプ38のモータMへの電力供給を制御する継電器Rに接続されている。
【0057】
ここでは、モジュール40は、窓洗浄用ポンプ38への電力供給を制御する回路CPも一体化している。
【0058】
よって、「Arduino(アルデュイーノ)」タイプのマイクロコントローラ等の制御回路が、加速度センサCAからの信号を受け取り分析することにより、フロントガラスワイパーブレード14つまりフロントガラスワイパー11が上方に向かっているか下方に向かっているかを推定し、上方の外側に向かっている段階以外では継電器Rが窓洗浄用ポンプ38のモータMに電力を供給しないように、そして下方に戻ってくる段階では継電器Rを遮断するように継電器Rを制御する。
【0059】
この制御は、ドライバーがフロントガラスへの噴射を行うために車内にある制御装置を用いて行う操作、例えば制御コモド(control comodo)の延長操作等から独立したものである。
【0060】
図7および
図8に概略的に示されているように、電力供給の時間長「D」は、上方の外側に向かう段階の時間長より短くてもよい。これにより、上方に向かう段階中に、噴射された液体を表面から全て確実に拭き取り除去することで、「ウォータープルバック(液戻り)」として知られている現象の発生を防ぐことができる。
【0061】
変形例(図示せず)として、
-加速度センサは駆動アーム16によって保持されてもよく、
-2本のフロントガラスワイパー11が同じ動きをせず、噴射装置を独立して制御する必要がある場合、各ワイパーに加速度センサが取り付けられてもよく、
-制御回路は、加速度センサから独立していてもよく、例えば車両に搭載され、特に窓洗浄用ポンプ38への電力供給を制御する制御電子回路34に一体化され、有線または無線接続により加速度センサに接続されてもよく、
-各噴射装置は、フロントガラスの外側の面の特定の領域に窓の洗浄液を噴射するのに適した任意の設計であってもよく、
-各噴射装置は、例えば噴射ノズル18の形であってもよく、フロントガラスワイパー11(フロントガラスワイパーブレード14または駆動アーム)によって保持されても、車両の動かない部分に据え付けられてもよい。
【0062】
図5には、
図3に示されているワイパーシステム10に類似しているが、よく知られているように噴射ノズル18が車両の動かない部分、例えばフロントガラス12の最下部やボンネットに据え付けられているという点で実質的に異なっているワイパーシステム10が示されている。
【0063】
図6に概略的に示されているように、加速度センサCAおよび関連する制御回路CPにより液体の噴射を制御するという本発明の教示を実施する際に、このようなワイパーシステムの設計および据え付けを変更することができる。
【0064】
この目的のために、液体を噴射するための複数の孔を有する噴射ノズル18等を備えるフロントガラスワイパーブレード14を各駆動アームに取り付けるために各フロントガラスワイパーブレードを取り替え、このようなフロントガラスワイパーブレード14を、予め「固定された」噴射ノズル18(
図5)に供給するための窓洗浄用ポンプ38に対してパイプ24等により接続する必要がある。
【0065】
図4のワイパーシステムの場合は、フロントガラスワイパーブレード14または駆動アーム16に、加速度センサCAが取り付けられる。
【0066】
さらに、拭い取り方向に応じてポンプによる噴射装置への供給を制御する回路CPが車両に取り付けられる。この回路CPは加速度センサCAに接続され、往復拭い取り動作中の駆動アームまたはフロントガラスワイパーのフロントガラスワイパーブレードの加速度の値を示す信号が加速度センサCAから回路CPに送られる。
【0067】
さらに、加速度センサCAと制御回路CPは、一般的なモジュール40に一体化されてもよい。
【0068】
上記の様に、窓洗浄用ポンプ38の駆動モータMへの電力供給を制御する継電器Rが、車両に取り付けられ、制御回路CPに接続される。