(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】塀
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20220704BHJP
E04B 2/02 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
E04H17/14 101Z
E04B2/02 211
(21)【出願番号】P 2018133033
(22)【出願日】2018-07-13
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 聖太
【審査官】齋藤 卓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-044283(JP,A)
【文献】中国実用新案第203145573(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/14
E04B 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材を積み上げて構成される塀であって、
前記複数の部材のうち上下方向に重なる第一部材および第二部材の間には、前記第一部材に対する前記第二部材
の一端側における高さ位置を調整可能な調整機構が構成されて
おり、
前記複数の部材は、最下段に前記第一部材を配し、前記第一部材の上方に前記第二部材が積み上げられて構成されるものであり、
前記調整機構は、前記第一部材および前記第二部材の間に配置された調整具によって構成されており、
前記調整具は、前記第一部材に固定される固定部材と、前記固定部材に対して上下方向に移動可能に連結されていると共に前記第二部材が取り付けられる可動部材と、前記可動部材の前記固定部材に対する上下位置を調整する高さ調整部材とを備えている
ことを特徴とする塀。
【請求項2】
複数の部材を積み上げて構成される塀であって、
前記複数の部材のうち上下方向に重なる第一部材および第二部材の間には、前記第一部材に対する前記第二部材の一端側における高さ位置を調整可能な調整機構が構成されており、
前記複数の部材のうち前記第二部材よりも上方に位置する部材は、前記第一部材および前記第二部材の継ぎ目を覆うカバー側面部を有している
ことを特徴とする塀。
【請求項3】
複数の部材を積み上げて構成される塀であって、
前記複数の部材のうち上下方向に重なる第一部材および第二部材の間には、前記第一部材に対する前記第二部材の一端側における高さ位置を調整可能な調整機構が構成されており、
前記第一部材は、一対の側面部と、前記一対の側面部を連結した上面部と、前記一対の側面部の下縁から側方に延出した一対の支持片部とを有しており、
前記第二部材は、一対の側面部と、前記一対の側面部を連結した上面部および下面部とを有しており、
前記第一部材の上面部には、当該上面部から下方に延出した一対の凹部側片部および凹部底片部によって凹部が形成されており、
前記第二部材の下面部には、当該下面部から下方に延出した一対の凸部側片部および凸部頂片部によって凸部が形成されており、
前記調整機構は、前記凹部側片部および前記凸部側片部のうちの一方に上下方向に沿って形成されたガイド部と、前記凹部側片部および前記凸部側片部のうちの他方に突設されていると共に前記ガイド部に配置されたガイド軸と、前記凸部頂片部に螺合し且つ下端が前記凹部底片部に当接する高さ調整部材とによって構成されている
ことを特徴とする塀。
【請求項4】
請求項1
から請求項3のいずれか一項に記載の塀において、
前記調整機構は、少なくとも前記第一部材に対する前記第二部材の一端側の高さ位置を調整可能な第一調整機構と、前記第一部材に対する前記第二部材の他端側の高さ位置を調整可能な第二調整機構とによって構成される
ことを特徴とする塀。
【請求項5】
請求項
1に記載の塀において、
前記調整具は、前記可動部材を前記固定部材に固定する固定具を備えており、
前記可動部材には、前記固定具が上下方向に挿通される挿通孔が形成されており、
前記固定部材には、前記固定具が螺合する固定孔が形成されている
ことを特徴とする塀。
【請求項6】
請求項
5に記載の塀において、
前記固定部材は、一対の固定縦片部と、前記一対の固定縦片部を連結した固定上片部と、前記一対の固定縦片部の下縁から側方に延出していると共に前記第一部材に取り付けられる一対の取付片部とを有しており、
前記可動部材は、前記一対の固定縦片部に沿って配置される一対の可動縦片部と、前記一対の可動縦片部を連結した可動上片部とを有しており、
前記固定上片部には、前
記固定孔が形成されており、
前記可動上片部には、前記高さ調整部材が螺合する調整孔と、前
記挿通孔とが形成されており、
前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの一方には、上下方向に沿ったガイド孔が形成されており、
前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの他方には、前記ガイド孔に配置された一つのガイド軸が突設されている
ことを特徴とする塀。
【請求項7】
請求項
1または請求項
5に記載の塀において、
前記固定部材は、一対の固定縦片部と、前記一対の固定縦片部を連結した固定上片部と、前記一対の固定縦片部の下縁から側方に延出していると共に前記第一部材に取り付けられる一対の取付片部とを有しており、
前記可動部材は、前記一対の固定縦片部に沿って配置される一対の可動縦片部と、前記一対の可動縦片部の間にある可動上片部とを有しており、
前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの一方には、上下方向に沿ったガイド部が形成されており、
前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの他方には、前記ガイド部に配置されたガイド軸が突設されており、
前記可動上片部には、前記高さ調整部材がそれぞれ螺合する二つの調整孔が形成されており、
前記二つの調整孔は、前記一対の可動縦片部が対向する方向に間隔を隔てて配置されている
ことを特徴とする塀。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される塀に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立設された支柱に沿ってブロック片を積み上げてなる塀が知られている(特許文献1参照)。ブロック片はプラスチック製の押出し材によって形成されてコンクリートブロックよりも軽量なものとされており、横向きに配置されて順次積み上げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の塀では、基礎に対して支柱を立設する際の垂直出しや、ブロック片が配置される二つの支柱間の間隔調整を行う必要があり、設置作業が煩雑である。
【0005】
本発明の目的は、設置作業を簡略化できる塀を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の塀は、複数の部材を積み上げて構成される塀であって、前記複数の部材のうち上下方向に重なる第一部材および第二部材の間には、前記第一部材に対する前記第二部材の前記一端側における高さ位置を調整可能な調整機構が構成されていることを特徴とする。
本発明の塀によれば、基礎等に設置される第一部材に傾き誤差があっても、調整機構によって第二部材の一端側における第一部材に対する高さ位置を調整することで、第二部材の第一部材に対する長手方向の傾きを調整できる。このため、例えば支柱の垂直出しおよび支柱間の間隔調整を行う場合に比べて、第二部材の水平出しをするだけでよく、設置作業を簡略化できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設置作業を簡単に行うことができる塀を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る塀を示す斜視図。
【
図3】第1実施形態に係る塀の調整具を展開して示す斜視図。
【
図4】第1実施形態に係る塀の第一形材および調整具を示す斜視図。
【
図5】第1実施形態に係る塀の調整具による高さ調整を示す斜視図。
【
図6】第1実施形態に係る塀の第三形材の取り付けを示す斜視図。
【
図7】第1実施形態に係る塀の第四形材の取り付けを示す縦断面図。
【
図8】第1実施形態に係る塀の第五形材の取り付けを示す斜視図。
【
図9】第1実施形態に係る塀の第六形材の取り付けを示す斜視図。
【
図10】第1実施形態に係る塀の笠木の取り付けを示す斜視図。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る塀を示す斜視図。
【
図12】第2実施形態に係る塀の連結構造を示す斜視図。
【
図13】第2実施形態に係る塀の他の連結構造を示す斜視図。
【
図14】本発明の第3実施形態に係る塀の要部を示す斜視図。
【
図15】第3実施形態に係る塀の調整機構を展開して示す斜視図。
【
図16】第3実施形態に係る塀の調整機構による高さ調整を示す斜視図。
【
図17】本発明の変形例に係る塀の調整具の取付状態を示す斜視図。
【
図18】前記変形例に係る塀の調整具を展開して示す斜視図。
【
図19】前記変形例に係る塀の調整具による高さ調整を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態の構成]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、第1実施形態に係る塀1は、戸建住宅や集合住宅などを囲む塀として用いられるものであり、地盤に設置されたコンクリート製の基礎10に立設されている。塀1は、基礎10上に積み上げられた複数の形材2と、複数の形材2の左右の側縁および上縁に取り付けられた横笠木3および上笠木4とを備えている。
以下の説明において、塀1の左右方向(横方向)をX軸方向とし、塀1の上下方向をY軸方向とし、塀1の厚さ方向をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交している。
【0010】
複数の形材2は、アルミ押出形材によってそれぞれ構成されており、X軸方向に横たえられている。
図2では複数の形材2のうち最下段の第一形材11および第一形材11上に積み上げられる下から2段目の第二形材12を示しており、
図6では第二形材12上に積み上げられる下から3段目の第三形材13を示しており、
図7では第三形材13上に積み上げられる下から4段目の第四形材14を示しており、
図8では第四形材14に積み上げられる下から5段目の第五形材15を示しており、
図9では第五形材15に積み上げられる第六形材16を示している。この塀1では第五形材15の数を増減することで塀1の高さ寸法を設定する。
第一形材11および第二形材12の間には、第二形材12の第一形材11に対するX軸方向における一方の端部の高さ位置を調整する第一調整機構5Aと、第二形材12の第一形材11に対するX軸方向における他方の端部の高さ位置を調整する第二調整機構5Bとが設置されている(
図1参照)。これらの調整機構5A,5Bは、本実施形態では、第一形材11に固定され且つ第二形材12が取り付けられた調整具50によってそれぞれ構成されている。
【0011】
調整具50は、
図3に示すように、第一形材11に固定される固定部材51と、第二形材12が取り付けられる可動部材55と、可動部材55の固定部材51に対するY軸方向における高さ位置を調整する
高さ調整部材である高さ調整ねじ61と、可動部材55を固定部材51に固定する固定具である固定ねじ62とを備えている。固定部材51および可動部材55は、スチール製やステンレス製の板材が折曲されて形成されている。
固定部材51は、Z軸方向において対向する一対の固定縦片部52および固定縦片部52を連結した固定上片部53によって形成された断面略コ字形状の部分と、一対の固定縦片部52の下縁から側方に延出した一対の取付片部54とを有している。一対の固定縦片部52には、ガイド軸としての段付きビス63がZ軸方向にそれぞれ突設されており、段付きビス63の軸部には環状のスペーサー64が装着されている。固定上片部53には、固定ねじ62が螺合する固定孔531と、第二形材12を可動部材55に取り付ける取付ねじ65(
図5(A)、
図5(B)参照)が挿通される二つの挿通孔532とが形成されている。挿通孔532の径寸法は取付ねじ65の軸部の径寸法よりも大きく形成されており、これにより、挿通孔532と取付ねじ65との間に若干の隙間が形成される。一対の取付片部54には、固定部材51を第一形材11に取り付ける取付ねじ66(
図4(B)参照)が挿通される取付孔541がそれぞれ形成されている。
可動部材55は、Z軸方向において対向する一対の可動縦片部56と、一対の可動縦片部56を連結した可動上片部57とを有して断面略コ字形状に形成されている。一対の可動縦片部56は、一対の固定縦片部52に沿って外側にそれぞれ配置されており、段付きビス63の軸部が配置されるY軸方向に沿ったガイド部であるガイド孔561がそれぞれ形成されている。ガイド孔561は固定縦片部52のX軸方向における中央に配置されている。可動縦片部56および固定縦片部52の間には前記スペーサー64が介在されており、このスペーサー64によって可動部材55の固定部材51に対するZ軸方向のガタツキを抑えている。可動部材55は、前述したようにガイド孔561に段付きビス63の軸部が配置されることで、固定部材51に対してY軸方向に上下移動可能に連結されている。可動上片部57は、高さ調整ねじ61が螺合する調整孔571と、固定ねじ62が挿通される挿通孔572と、取付ねじ65が螺合する二つの取付孔573とが形成されている。高さ調整ねじ61および固定ねじ62は、可動上片部57のZ軸方向における中央においてX軸方向に並んで配置されており、二つの取付孔573は、可動上片部57のX軸方向における中央においてZ軸方向に並んで配置されている。挿通孔572の径寸法は固定ねじ62の径寸法よりも大きく形成されており、これにより、挿通孔572と固定ねじ62との間に若干の隙間が形成される。
【0012】
第一形材11は、
図4,
図5に示すように、基礎10に植設されたアンカーボルト101(
図4(A)参照)によって基礎10に固定されている。第一形材11は、Z軸方向において対向する一対の側面部111,112と、側面部111,112を連結した上面部113および下面部114とを有して中空枠状に形成されている。上面部113には、一対の凹部側片部115および凹部底片部116によって下方に凹んだ凹部117が形成されており、凹部底片部116のX軸方向における両端部には固定部材51の一対の取付片部54が取付ねじ66によってねじ止めされている。
【0013】
第二形材12は、
図5に示すように、Z軸方向において対向する一対の側面部121,122と、側面部121,122を連結した上面部123および下面部124とを有して中空枠状に形成されている。側面部121,122には、X軸方向に沿った係合溝121A,122Aがそれぞれ形成されている。
図7に示すように、側面部121,122のうち係合溝121A,122Aよりも下側部分は、第一形材11の側面部111,112に沿って配置されており、側面部121,122のうち係合溝121A,122Aよりも上側部分は、前記下側部分よりもZ軸方向において外側に位置していると共に、第三形材13の後述する側面部131,132に沿って配置されている。上面部123には、そのX軸方向における両端が略十字形状に切り欠かれて形成された切欠部123Aと、Z軸方向において切欠部123Aを間にして配置されていると共にX軸方向に沿った二つの位置決め溝123Bとが形成されている。下面部124には、一対の凸部側片部125および凸部頂片部126によって下方に突出した凸部127が形成されており、凸部127は第一形材11の凹部117に嵌合している。一対の凸部側片部125のY軸方向における寸法は、一対の凹部側片部115のY軸方向における寸法よりも短くされており、このため、凸部側片部125が凹部側片部115に重ね合わされた状態では、凸部頂片部126は凹部底片部116に対してY軸方向に離れて配置されることとなり、凸部127および凹部117の間に調整具50が収容される空間が形成される。凸部頂片部126には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた凹状の切欠溝部128が形成されており、切欠溝部128に調整具50の高さ調整ねじ61および固定ねじ62が配置されている。切欠溝部128の上方には切欠部123Aが位置しており、これにより、ドライバー等の工具6によって高さ調整ねじ61、固定ねじ62、取付ねじ65を上方から回転操作可能な構成となっている。
この第二形材12は、調整具50を介して第一形材11に取り付けられるほか、第二形材12の側面部121,122を第一形材11の側面部111,112に連結する連結材7(
図2、
図7参照)によっても第一形材11に取り付けられている。
【0014】
第三形材13は、
図6に示すように、Z軸方向において対向する一対の側面部131,132と、側面部131,132を連結した上面部133および下面部134とを有して中空枠状に形成されている。上面部133には、一対の凸部側片部135および凸部頂片部136によって上方に突出した凸部137が形成されている。一対の凸部側片部135は、上縁が下縁よりも互いに接近するようにY軸方向に対してそれぞれ傾斜している(
図7参照)。凸部頂片部136には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた切欠溝部138が形成されている。上面部133と側面部131,132との連続部分には段部139がそれぞれ形成されている。下面部134には、そのX軸方向における両端が切り欠かれて切欠溝部138と同様に形成された切欠溝部134Aと、Z軸方向において切欠溝部134Aを間にして配置されていると共にX軸方向に沿った二つの位置決め凸条134Bとが形成されている。
この第三形材13は、二つの位置決め凸条134Bが第二形材12の二つの位置決め溝123Bに嵌合されて下面部134が第二形材12の上面部123に重ね合わされ、
図6に示す取付金具8によって第二形材12に取り付けられている。ここで、取付金具8は、縦板部81および横板部82を有して断面略L字形状に形成された金具本体80と、横板部82の下方に配置された裏板83と、横板部82および裏板83を連結したボルト84とによって構成されている。この取付金具8は、ボルト84が切欠溝部134Aおよび切欠部123Aに挿入され、横板部82が第三形材13の下面部134の上面に沿って配置され、且つ、裏板83が第二形材12の上面部123の下面に沿って配置され、この状態でボルト84が締め込まれることで下面部134および上面部123を挟持する。この挟持によって第三形材13は第二形材12に固定される。
【0015】
第四形材14は、
図7に示すように、Z軸方向において対向する一対のカバー側面部141,142と、一対のカバー側面部141,142を連結した上面部143とを有している。カバー側面部141のY軸方向における寸法は、第三形材13の側面部131、第二形材12の側面部121および第一形材11の側面部111を合わせたY軸方向における寸法と同じ寸法とされており、カバー側面部142のY軸方向における寸法は、第三形材13の側面部132、第二形材12の側面部122および第一形材11の側面部112を合わせたY軸方向における寸法と同じ寸法とされている。このため、カバー側面部141,142は、
図7に示すように第四形材14が第三形材13に取り付けられた状態で第一形材11、第二形材12および第三形材13を覆って配置され、第一形材11および第二形材12の継ぎ目、第二形材12および第三形材13の継ぎ目や連結材7を覆っている。また、カバー側面部141,142には、第二形材12の係合溝121A,122Aに係合する係合片部141A,142AがZ軸方向内側に延出して形成されている。上面部143には、一対の凹部側片部145および凹部底片部146によって上方に凹んだ凹部147が形成されている。一対の凹部側片部145は、前述した一対の凸部側片部135の傾斜角度と同じ傾斜角度でY軸方向に対して傾斜しており、凹部底片部146には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた凹状の切欠溝部148が形成されている。上面部143とカバー側面部141,142とが連続した連続部分には、第三形材13の段部139に重なって配置される段部149がそれぞれ形成されている。
この第四形材14は、凹部147が第三形材13の凸部137に重ねられ、カバー側面部141,142の係合片部141A,142Aが第二形材12の係合溝121A,122Aに係合し、且つ、
図8に示すように取付金具8によって凹部底片部146が第三形材13の凸部頂片部136および第五形材15の後述する凹部底片部172とともに挟持されることによって第三形材13に取り付けられ且つ第五形材15が取り付けられる。
【0016】
第五形材15は、
図8に示すように、Z軸方向において対向する一対の側面部151,152と、側面部151,152を連結した上面部153および下面部154と、上面部153および下面部154間において側面部151,152を連結した連結片部159とを有して中空枠状に形成されている。上面部153には、一対の凸部側片部155および凸部頂片部156によって上方に突出した凸部157が形成されており、凸部頂片部156には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた切欠溝部158Aが形成されている。凸部157は、本実施形態では第三形材13の凸部137と同様に形成されている。上面部153と側面部151,152との連続部分には段部151A,152Aがそれぞれ形成されている。側面部151,152のY軸方向における寸法は、第四形材14のカバー側面部141,142のY軸方向における寸法と同じ寸法とされている。側面部151,152の下縁部は、下面部154よりも下方に延出しており、第四形材14の段部149に掛かっている。下面部154には、一対の凹部側片部171および凹部底片部172によって上方に凹んだ凹部170が形成されている。凹部底片部172には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた切欠溝部173が形成されている。凹部170は、本実施形態では第四形材14の凹部147と同様に形成されている。連結片部159には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた切欠溝部159Aが形成されている。前述した切欠溝部158A,159A,173は同様に形成されていると共にY軸方向に並んで配置されている。
この第五形材15は、下面部154の凹部170が第四形材14の凹部147に重ねられ、
図8に示す取付金具8によって凹部底片部172が第三形材13の凸部頂片部136および第四形材14の凹部底片部146とともに挟持されることで、第四形材14に取り付けられる。なお、塀1は第五形材15を複数備えており、凸部157が凹部170に重ねられて取付金具8によって互いに固定されることで、第五形材15同士が積み上げられる。
【0017】
第六形材16は、
図9に示すように、Z軸方向において対向する一対の側面部161,162と、側面部161,162を連結した上面部163および下面部164とを有している。側面部161,162は、上面部163よりも上方に延出していると共に上縁部が内側に折り返されている。また、側面部161,162の下縁部は、下面部164よりも若干下方に延出しており、第五形材15の段部151A,152Aに掛けられている。側面部161,162のY軸方向における寸法は、第五形材15の側面部151,152のY軸方向における寸法と同じ寸法とされている。上面部163には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた切欠溝部163Aが形成されている。切欠溝部163Aは後述する切欠溝部168の上方に位置している。下面部164には、一対の凹部側片部165および凹部底片部166によって上方に凹んだ凹部167が形成されており、凹部底片部166には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた切欠溝部168が形成されている。凹部167は、第四形材14の凹部147と同様に形成されている。
この第六形材16は、下面部164の凹部167が第五形材15の凸部157に重ねられ、
図9に示す取付金具8によって凹部底片部166が第五形材15の凸部頂片部156と挟持されることによって第五形材15に取り付けられる。
【0018】
横笠木3は、第一形材11の下端から第六形材16の上端までY軸方向に延びた板材によって形成されており、
図10に示すように各取付金具8の縦板部81にねじ止めされて、第一形材11から第六形材16のX軸方向における端部を覆う。
上笠木4は、
図1に示すように第六形材16のX軸方向における両端に亘って延びた板材によって形成されており、連結金具41を介して横笠木3がそれぞれねじ止めされている。この上笠木4によって第六形材16の上部を覆う。横笠木3の上端および上笠木4の両端は連結金具41に取り付けられた樹脂製の笠木キャップ42によって覆われている。
【0019】
以下、第1実施形態に係る塀1の施工手順について説明する。
先ず、
図4(A)に示すように第一形材11を基礎10に固定し、
図4(B)に示すように第一形材11の凹部117の端部に取付ねじ66によって調整具50の固定部材51をねじ止めし、続いて、第二形材12を取付ねじ65によって調整具50の可動部材55にねじ止めして
図5(A)に示す状態とする。
次に、
図5(A)に示すように、調整孔571に螺合している高さ調整ねじ61を回転して、下端を固定部材51の固定上片部53に当てながら可動部材55を固定部材51に対して上下移動させて、第二形材12の第一形材11に対する端部の高さ位置を調整する。高さ調整ねじ61を回転させる工具6は、切欠部123Aから挿入される。調整具50による調整は、第一形材11および第二形材12のX軸方向における一方の端部および他方の端部においてそれぞれ行うことで、第二形材12の長手方向における傾きを調整し、水平器を用いて第二形材12の長手方向を水平方向に合わせる。ここで、可動部材55は、挿通孔572の固定ねじ62に対する隙間分と、挿通孔532の取付ねじ65に対する隙間分だけ、段付きビス63の軸周りにおける揺動が可能であるため、第二形材12を第一形材11に対して傾かせる際には、可動部材55も固定部材51に対して傾くので、第二形材12の傾き調整を円滑に行える。また、第二形材12の第一形材11に対する全体の高さ位置も併せて調整する。調整後、
図5(B)に示すように、固定ねじ62を回転して固定部材51に締め込み、固定ねじ62の頭部を可動部材55に当接させることで、可動部材55を固定部材51にしっかりと固定する。
次に、
図6に示すように第三形材13を第二形材12に取り付け、
図7に示すように第四形材14を第三形材13に取り付け、
図8に示すように第五形材15を第四形材14に取り付け、
図9に示すように第六形材16を第五形材15に取り付け、このようにして複数の形材2を基礎10上に積み上げる。
最後に、
図10に示すように横笠木3および上笠木4を複数の形材2に取り付けて、塀1を構成する。なお、第1実施形態では、塀1のZ軸方向への傾き調整は、複数の形材2の間にスペーサー(図示省略)を適宜介在させることによって調整する。
【0020】
[第1実施形態の効果]
(1)第1実施形態では、塀1は、特に、基礎10に固定される第一形材11および第二形材12のX軸方向における両端部に調整具50が設置されることによって調整機構(第一調整機構5A,第二調整機構5B)が構成されることを特徴とする。上記構成を有するため、地盤に設置される基礎10や、基礎10に固定される第一形材11に傾き誤差があっても、調整機構5A,5Bによって第二形材12の各端部における第一形材11に対する高さ位置を調整することで、第二形材12の第一形材11に対する長手方向の傾きを調整できる。このため、例えば支柱の垂直出しや支柱間の間隔調整を行う必要がなく、第二形材12の水平出しをするだけでよく、設置作業を簡略化できる。
また、基礎10に支柱などを立設する場合と比べて、第一形材11を横たえて基礎10に固定するので、塀1を基礎10に安定して固定することができる。
(2)第一形材11に対する第二形材12の一方の端部の高さ位置を調整可能な第一調整機構5Aと、第一形材11に対する第二形材12の他方の端部の高さ位置を調整可能な第二調整機構5Bとがあるので、第一調整機構5Aおよび第二調整機構5Bのうちの一方または双方を調整することで第二形材12の長手方向における傾きを調整でき、更に、第一調整機構5Aおよび第二調整機構5Bの双方を調整することで、第二形材12の第一形材11に対する全体の高さ位置をも調整できる。
(3)調整具50は、第一形材11に固定される固定部材51と、固定部材51に対してY軸方向に移動可能に連結されていると共に第二形材12が取り付けられる可動部材55と、可動部材55に螺合し且つ下端が固定部材51に当てられる高さ調整ねじ61とを備えている。このため、高さ調整ねじ61を回転して可動部材55の固定部材51に対する高さ位置を調整することで、第二形材12の第一形材11に対する長手方向の傾きを調整できて水平方向に合わせることができる。また、調整機構5A,5Bが第一形材11および第二形材12とは別部材である調整具50によって構成されているので、このような調整機構などがない既製形材に対して調整具50を設置することで調整機構5A,5Bを構成でき、既製形材を利用して前述した傾き調整が可能な塀1を構成できる。
(4)調整具50は、可動部材55を固定部材51に固定する固定ねじ62を備えており、可動部材55には、固定ねじ62がY軸方向に挿通される挿通孔572が形成されており、固定部材51には、固定ねじ62が螺合する固定孔531が形成されている。このため、可動部材55を固定部材51に対してY軸方向に位置調整した後、固定ねじ62を固定部材51の固定孔531に締め込んで可動部材55を固定部材51に固定することができ、この固定によって可動部材55の浮き上がりを抑制できる。
(5)可動縦片部56には、Y軸方向に沿ったガイド孔561が形成されており、固定縦片部52には、ガイド孔561に配置された一つのガイド軸である段付きビス63が突設されている。このため、固定ねじ62によって可動上片部57が固定上片部53に固定される前には、可動部材55は固定部材51に対して段付きビス63を中心としてある程度揺動可能であるので、高さ調整ねじ61による第二形材12の第一形材11に対する傾き調整を円滑に行うことができる。また、固定ねじ62によって可動上片部57を固定上片部53に固定することで、可動部材55に前記揺動が生じなくなるので、第二形材12をしっかりと固定できる。
(6)第一形材11の上面部113には下方に凹んだ凹部117が形成されており、第二形材12の下面部124には下方に突出した凸部127が形成されており、凸部127は凹部117に嵌合しており、凹部117および凸部127の間に調整具50が配置されている。このため、凸部127を凹部117に嵌合することで第二形材12を第一形材11に簡単に重ねることができ、また、凹部117および凸部127の間に調整具50が収容されることとなるので、調整具50が外部に露出しないシンプルな外観を構成できる。
(7)第二形材12よりも上方に位置する第四形材14は、第一形材11および第二形材12の継ぎ目を覆うカバー側面部141,142を有している。このため、第二形材12の第一形材11に対する傾きを調整することで、第一形材11および第二形材12の継ぎ目が開いてしまっても、この継ぎ目がカバー側面部141,142に覆われているので外観上目立たない構成にできる。
【0021】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図11において、第2実施形態に係る塀1Bは、前述した塀1がX軸方向に連続して構成されており、二つの塀1の連続部分には横笠木3に代えて中間笠木9が設置されている。
中間笠木9は、
図12に示すようにY軸方向に延びた板材によって形成されており、その両面には一対の取付金具8がY軸方向に間隔を隔てて複数固定されている。中間笠木9の上端部には、中間笠木キャップ91が装着されており、塀1の連続部分では前述した笠木キャップ42の代わりに中間笠木キャップ91によって上笠木4の端部および中間笠木9の上端部を覆う。
この塀1Bは、先ず基礎10に第一形材11,11を固定し、第一形材11,11間に中間笠木9の下部を差し込んで立設させる。次に、第二形材12,12、第三形材13,13,第四形材14,14、第五形材15,15および第六形材16,16を前述同様に順次積み上げながら取付金具8によって各形材2同士を固定し、最後に横笠木3および上笠木4を取り付けることによって施工される。調整具50による傾き調整などは第1実施形態と同様である。
このように構成された連続タイプの塀1Bによっても、第1実施形態の塀1の作用効果と同様に作用効果を発揮できる。
【0022】
ここで、第2実施形態に係る塀1Bでは、前述したように中間笠木9を用いて塀1同士を連続させているが、例えば
図13(A)に示す連結金具92によって複数の形材2同士を連結してもよい。
連結金具92は、前述した二つの取付金具8をX軸方向に逆向きに合わせて連結板93で連結することによって構成されている。この連結金具92を用いて
図13(B)に示すように形材2同士を連結した場合、形材2間の隙間には、Y軸方向に沿った塞ぎ部材94が差し込まれて当該隙間を塞ぐ。
【0023】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
図14において、第3実施形態に係る塀1Cは、前述した調整具50を備えておらず、第一形材11および第二形材12に代えて、第一形材21および第二形材22を備えている点で塀1と構成が異なり、これらの点以外の構成は塀1と同様である。
第一形材21は、
図15に示すように、Z軸方向において対向する一対の側面部211,212と、側面部211,212を連結した上面部213と、側面部211,212の下縁から側方に延出した一対の支持片部214とを有している。一対の支持片部214は基礎10Cに固定されており、第一形材21よりも上方に積み上げられる複数の形材2を支持する。上面部213には、一対の凹部側片部215および凹部底片部216によって下方に凹んだ凹部217が形成されている。一対に凹部側片部215のX軸方向における両端部には、
図16に示すガイド軸23が突設されている。
第二形材22は、
図15に示すように、Z軸方向において対向する一対の側面部221,222と、側面部221,222を連結した上面部223および下面部224とを有して中空枠状に形成されている。上面部223には、そのX軸方向における両端が切り欠かれた凹状の切欠部228が形成されている。下面部224には、一対の凸部側片部225および凸部頂片部226によって下方に突出した凸部227が形成されている。凸部側片部225のX軸方向における両端部には、Y軸方向に沿ったガイド部であるガイド孔229がそれぞれ形成されており、ガイド孔229にはガイド軸23が配置されている。凸部頂片部226のX軸方向における両端部には、下端で第一形材21の凹部底片部216に当接する高さ調整ねじ61が螺合する調整孔226Aが形成されている。この第二形材22の断面形状は第二形材12の断面形状と概略同様であるが、凸部227は、第二形材12の凸部127よりも大きく下方に突出している。また、第二形材22は、固定ねじ62を備えていないが、前述した連結材7によって第一形材21に連結される。
塀1Cでは、調整孔226Aに螺合した高さ調整ねじ61、ガイド孔229、ガイド軸23によって前述した調整機構5A,5Bが構成されており、
図16(A)に示すように第一形材21に第二形材22を重ねた状態で高さ調整ねじ61を回転し、
図16(B)に示すように第二形材22の第一形材21に対する端部における高さ位置を調整し、これにより、第二形材22の傾き調整や第二形材22全体の高さ位置を調整する。
このように構成された塀1Cでは、前述した調整具50を備えていなくても、第一形材21および第二形材22に設けたガイド孔229、ガイド軸23および高さ調整ねじ61によって第二形材22の第一形材21に対する長手方向の傾きを調整可能な調整機構5A,5Bを構成できる。
【0024】
[変形例]
第1実施形態では、調整具50は一つの高さ調整ねじ61を備えているが、例えば
図17に示すように二つの高さ調整ねじ61を備えた調整具50Aを備えていてもよい。
調整具50Aは、
図18に示すように、固定部材51と、可動部材55と、固定ねじ62と、段付きビス63と、スペーサー64とを備えている。調整具50Aは、固定部材51に二つの調整孔571が形成されている点を除いて調整具50と同様に構成されているので、調整具50と同様な構成については図に同符号を適宜付す。可動部材55の可動上片部57に形成された二つの調整孔571は、Z軸方向に間隔を隔てて配置されており、可動上片部57のZ軸方向における中央から等間隔を隔てている。これら二つの調整孔571には高さ調整ねじ61がそれぞれ螺合している。
なお、第二形材12に形成された切欠部123Aおよび切欠溝部128は、第1実施形態のものと比べて、高さ調整ねじ61の回転操作が可能となるように形状変更されている。
この調整具50Aを備えている場合には、第1実施形態と同様に第二形材12の長手方向における傾きを調整できる。更に、二つの高さ調整ねじ61をそれぞれ回転させることで、
図19に示すように、可動部材55の固定部材51に対するZ軸方向の傾きを調整でき、これにより、第二形材12の長手方向に沿った軸周りの傾きをも調整できる。
なお、第2実施形態の塀1Bにおいても、調整具50に代えて調整具50Aを備えていてもよい。
【0025】
第1~第3実施形態では、第一調整機構5Aおよび第二調整機構5Bの双方を構成しているが、一方だけを構成していてもよい。この場合、第二形材12,22の全体の高さ位置の調整はできなくなるが、その長手方向における傾きは調整できる。
第1、第2実施形態では、調整具50は固定ねじ62を備えているが、固定ねじ62の構成を省略してもよい。この場合であっても、第二形材12が連結材7によって第一形材11に連結されることで、第二形材12の浮き上がりは抑制される。
第1~第3実施形態では、ガイド孔561,229に一つのガイド軸63,23が配置されているが、二つ以上配置されていてもよい。
第1~第3実施形態では、第一形材11,21に下方に凹んだ凹部117,217が形成され、第二形材12,22に下方に突出した凸部127,227が形成されているが、これに限らず、第一形材11,21に上方に突出した凸部が形成され、第二形材12,22に上方に凹んだ凹部が形成され、これらが嵌合される構成とされていてもよい。
第1~第3実施形態では、第四形材14は第一形材11,21および第二形材12,22の継ぎ目を覆うカバー側面部141,142を有しているが、例えば塀1,1B,1Cに表面材を装着する場合には、カバー側面部141,142のY軸方向における寸法を短くし、前記継ぎ目を覆わない構成とされていてもよい。
第3実施形態では、第二形材22に形成された一つの調整孔226Aに一つの高さ調整ねじ61が螺合しているが、これに限らず、Z軸方向に間隔を隔てた二つの調整孔226Aが第二形材22に形成され、二つの調整孔226Aに高さ調整ねじ61がそれぞれ螺合していてもよい。
【0026】
[本発明のまとめ]
本発明の塀は、複数の部材を積み上げて構成される塀であって、前記複数の部材のうち上下方向に重なる第一部材および第二部材の間には、前記第一部材に対する前記第二部材の前記一端側における高さ位置を調整可能な調整機構が構成されていることを特徴とする。
本発明の塀によれば、基礎等に設置される第一部材に傾き誤差があっても、調整機構によって第二部材の一端側における第一部材に対する高さ位置を調整することで、第二部材の第一部材に対する長手方向の傾きを調整できる。このため、例えば支柱の垂直出しおよび支柱間の間隔調整を行う場合に比べて、第二部材の水平出しをするだけでよく、設置作業を簡略化できる。
【0027】
本発明の塀では、前記調整機構は、少なくとも前記第一部材に対する前記第二部材の一端側の高さ位置を調整可能な第一調整機構と、前記第一部材に対する前記第二部材の他端側の高さ位置を調整可能な第二調整機構とによって構成されてもよい。
このような構成によれば、第一調整機構および第二調整機構のうちの一方または双方を調整することで第二部材の長手方向における傾きを調整でき、更に、第一調整機構および第二調整機構の双方を調整することで、第二部材の第一部材に対する全体の高さ位置をも調整できる。
【0028】
本発明の塀では、前記複数の部材は、最下段に前記第一部材を配し、前記第一部材の上方に前記第二形材が積み上げられて構成されるものであり、前記調整機構は、前記第一部材および前記第二部材の間に配置された調整具によって構成されており、前記調整具は、前記第一部材に固定される固定部材と、前記固定部材に対して上下方向に移動可能に連結されていると共に前記第二部材が取り付けられる可動部材と、前記可動部材の前記固定部材に対する上下位置を調整する調整部材とを備えていてもよい。
このような構成によれば、調整機構によって調整部材を回転して可動部材の固定部材に対する高さ位置を調整することで、第二部材の第一部材に対する長手方向の傾きを調整できて水平方向に合わせることができる。
また、調整機構が第一部材および第二部材とは別部材である調整部材によって構成されているので、このような調整機構などがない既製部材に対して調整部材を設置することで、既製部材を利用して前述した傾き調整が可能な塀を構成できる。
【0029】
本発明の塀では、前記調整具は、前記可動部材を前記固定部材に固定する固定具を備えており、前記可動部材には、前記固定具が上下方向に挿通される挿通孔が形成されており、前記固定部材には、前記固定具が螺合する固定孔が形成されていてもよい。
このような構成によれば、可動部材を固定部材に対して上下方向に位置調整した後、固定具を固定部材の固定孔に締め込んで可動部材を固定部材に固定することができ、この固定によって可動部材の浮き上がりを抑制できる。
【0030】
本発明の塀では、前記固定部材は、一対の固定縦片部と、前記一対の固定縦片部を連結した固定上片部と、前記一対の固定縦片部の下縁から側方に延出していると共に前記第一部材に取り付けられる一対の取付片部とを有しており、前記可動部材は、前記一対の固定縦片部に沿って配置される一対の可動縦片部と、前記一対の可動縦片部を連結した可動上片部とを有しており、前記固定上片部には、前記固定具が螺合する固定孔が形成されており、前記可動上片部には、前記高さ調整部材が螺合する調整孔と、前記固定具が挿通される挿通孔とが形成されており、前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの一方には、上下方向に沿ったガイド孔が形成されており、前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの他方には、前記ガイド孔に配置された一つのガイド軸が突設されていてもよい。
このような構成によれば、固定具によって可動上片部が固定上片部に固定される前には、可動部材は固定部材に対してガイド軸を中心としてある程度揺動可能であるので、調整部材による第二部材の第一部材に対する傾き調整を円滑に行うことができる。また、固定具によって可動上片部を固定上片部に固定することで、可動部材に前記揺動が生じなくなるので、第二部材をしっかりと固定できる。
【0031】
本発明の塀では、前記固定部材は、一対の固定縦片部と、前記一対の固定縦片部を連結した固定上片部と、前記一対の固定縦片部の下縁から側方に延出していると共に前記第一部材に取り付けられる一対の取付片部とを有しており、前記可動部材は、前記一対の固定縦片部に沿って配置される一対の可動縦片部と、前記一対の可動縦片部の間にある可動上片部とを有しており、前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの一方には、上下方向に沿ったガイド部が形成されており、前記固定縦片部および前記可動縦片部のうちの他方には、前記ガイド部に配置されたガイド軸が突設されており、前記可動上片部には、前記高さ調整部材がそれぞれ螺合する二つの調整孔が形成されており、前記二つの調整孔は、前記一対の可動縦片部が対向する方向に間隔を隔てて配置されていてもよい。
このような構成によれば、前述したように第二部材の長手方向における傾きを調整できるうえ、二つの調整部材をそれぞれ回転させることで、第二部材の長手方向に沿った軸周りの傾きをも調整できる。
【0032】
本発明の塀では、前記複数の部材のうち前記第二部材よりも上方に位置する部材は、前記第一部材および前記第二部材の継ぎ目を覆うカバー側面部を有していてもよい。
このような構成によれば、第二部材の第一部材に対する傾きを調整することで、第一部材および第二部材の継ぎ目が開いてしまっても、この継ぎ目がカバー側面部に覆われているので、この継ぎ目が外観上目立たない構成にできる。
【0033】
本発明の塀では、前記第一部材は、一対の側面部と、前記一対の側面部を連結した上面部と、前記一対の側面部の下縁から側方に延出した一対の支持片部とを有しており、前記第二部材は、一対の側面部と、前記一対の側面部を連結した上面部および下面部とを有しており、前記第一部材の上面部には、当該上面部から下方に延出した一対の凹部側片部および凹部底片部によって凹部が形成されており、前記第二部材の下面部には、当該下面部から下方に延出した一対の凸部側片部および凸部頂片部によって凸部が形成されており、前記調整機構は、前記凹部側片部および前記凸部側片部のうちの一方に上下方向に沿って形成されたガイド部と、前記凹部側片部および前記凸部側片部のうちの他方に突設されていると共に前記ガイド部に配置されたガイド軸と、前記凸部頂片部に螺合し且つ下端が凹部底片部に当接する高さ調整部材とによって構成されていてもよい。
このような構成によれば、前述した調整具を備えていなくても、第一部材および第二部材に設けたガイド部、ガイド軸および高さ調整ねじによって第二部材の第一部材に対する長手方向の傾きを調整可能な調整機構を構成できる。この調整機構では、調整部材を回転させることでその下端が凹部底片部に当接し、第二部材の端部を高い位置に上げる。また、調整部材を逆方向に回転させることで第二部材の端部を低い位置に下げる。このように第二部材の傾きを調整することで、塀全体の傾きを補正できる。
【符号の説明】
【0034】
1,1B,1C…塀、10,10C…基礎、11,21…第一形材、117,147,167,170…凹部、127,137,157,227…凸部、12,22…第二形材、13~16…第三形材~第六形材、141,142…カバー側面部、2…形材、226A,571…調整孔、229,561…ガイド孔、23…ガイド軸、3…横笠木、4…上笠木、50,50A…調整具、51…固定部材、52…固定縦片部、53…固定上片部、531…固定孔、532,572…挿通孔、54…取付片部、55…可動部材、56…可動縦片部、57…可動上片部、573…取付孔、5A…第一調整機構、5B…第二調整機構、61…高さ調整ねじ、62…固定ねじ、63…段付きビス(ガイド軸)、64…スペーサー、65,66…取付ねじ。