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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】多段フェンス
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
E04H17/16 103
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018188923
(22)【出願日】2018-10-04
(65)【公開番号】P2020056265
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】古川 忠司
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-313939(JP,A)
【文献】実開昭63-078662(JP,U)
【文献】特開2003-239571(JP,A)
【文献】特開2002-227460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/00 -17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上段フェンスと下段フェンスとを備え、各フェンスは、上桟及び下桟と上下桟間に設けた複数の格子とを有し、上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟と格子、見えがかり面に共通する特徴を有する意匠面を有し、上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とは、互いの前記意匠面が露出する状態で一方に他方が呑み込ませてあり、上段フェンスの上桟から下段フェンスの下桟にわたって、見えがかり面に上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とによる意匠面と共通の意匠面が繰り返すように設けてあることを特徴とする多段フェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上段フェンスと下段フェンスとを備える多段フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、パネル状のフェンスを上下に並べて柱に取付けた多段フェンスが知られている(例えば、非特許文献1参照)。かかる従来の多段フェンスは、下段フェンスの上桟の上に上段フェンスの下桟が乗り、両者が合わさって上下段のフェンスの連結部が太く目立つため、上段フェンスと下段フェンスに意匠が分割されて統一感がなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「エクステリア 総合カタログ」(カタログNo.STX1175A KY.18.02-3000)、2018年2月、p.708
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、意匠全体として統一感のある多段フェンスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による多段フェンスは、上段フェンスと下段フェンスとを備え、各フェンスは、上桟及び下桟と上下桟間に設けた複数の格子とを有し、上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟と格子、見えがかり面に共通する特徴を有する意匠面を有し、上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とは、互いの前記意匠面が露出する状態で一方に他方が呑み込ませてあり、上段フェンスの上桟から下段フェンスの下桟にわたって、見えがかり面に上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とによる意匠面と共通の意匠面が繰り返すように設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による多段フェンスは、上段及び下段の各フェンスが、上桟及び下桟と上下桟間に設けた複数の格子とを有し、上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟と格子、見えがかり面に共通する特徴を有する意匠面を有し、上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とは、互いの前記意匠面が露出する状態で一方に他方が呑み込ませてあり、上段フェンスの上桟から下段フェンスの下桟にわたって、見えがかり面に上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とによる意匠面と共通の意匠面が繰り返すように設けてあることで、上段フェンスと下段フェンスとが意匠的に分断されることなく連続し、全体として統一感のある意匠になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図3のA-A断面図である。
図2図3のB-B断面図である。
図3】本発明の多段フェンスの第1実施形態を示す正面図である。
図4】左右のフェンスの連結部の他の実施形態を示す横断面図である。
図5】フェンスの小口材を分離して示す斜視図である。
図6】左右フェンスの上桟を連結する上桟接続具と下桟を連結する下桟接続具を示す斜視図である。
図7】本発明の多段フェンスの第2実施形態を示す正面図である。
図8図7のD-D断面図である。
図9-1】多段フェンスの施工手順を示す正面図である。
図9-2】多段フェンスの施工手順(図9-1の続き)を示す正面図である。
図10】多段フェンスの施工手順を示す縦断面図である。
図11】多段フェンス同士をコーナー部で連結した実施形態を示す斜視図である。
図12】コーナー部を拡大して示す平面図である。
図13】コーナー部を拡大して示す斜視図であって、(a)は縦材及び連結材にキャップを取付ける前の状態、(b)はキャップを取付けた後の状態を示す。
図14】コーナー部の他の実施形態(出隅納まり)を示す平面図である。
図15】コーナー部の他の実施形態(入隅納まり)を示す平面図である。
図16-1】多段フェンスのコーナー部の施工手順を示す正面図である。
図16-2】多段フェンスのコーナー部の施工手順(図16-1の続き)を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~3は、本発明に係る多段フェンスの第1実施形態を示している。本多段フェンスは、道路と敷地との境界部に設置されるものであり、図3に示すように、地面に間隔をおいて立設した複数の支柱3,3,3と、支柱3,3,3に取付けた上段フェンス1及び下段フェンス2を備える。上段フェンス1は、右フェンス1aと左フェンス1bを連結して構成してある。下段フェンス2も、右フェンス2aと左フェンス2bを連結して構成してある。
【0009】
上段フェンス1の左右のフェンス1a,1bは、図1,2に示すように、上桟4a及び下桟5aの左右両端部間に縦桟6,6を、中間部間に中縦桟7,7をそれぞれ取付け、縦桟6,6及び中縦桟7,7の道路側面に形成した係止部8に係止して、上桟4a及び下桟5a間に複数の格子9,9,…を所定のピッチで取付けたものとなっている。
下段フェンス2の左右のフェンス2a,2bも上段フェンス1と同様に、上桟4b及び下桟5bの左右両端部間に縦桟6,6を、中間部間に中縦桟7,7をそれぞれ取付け、縦桟6,6及び中縦桟7,7の道路側面に形成した係止部8に係止して、上桟4b及び下桟5b間に複数の格子9,9,…を所定のピッチで取付けたものとなっている。
【0010】
図1に示すように、上段フェンス1の下桟5aの下面には溝10が形成してあり、下段フェンス2の上桟4bの上面には突起11が形成してあり、該突起11を前記溝10内の敷地側の端部に係止して溝10内に呑み込ませてある。また、上段フェンス1の下桟5aの敷地側の壁の下端34が、下段フェンス2の上桟4bの上面に乗っている。
上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bは、道路側の見えがかり面に、垂直で同じ見付幅の見付面12aと、見付面12aの上端より敷地側に斜め45°で上向きにのびる傾斜面12bとからなる共通する特徴を有する意匠面12を有している。上段フェンス1の格子9と、下段フェンス2の格子9及び下桟5bは、上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bと同様に、垂直で同じ見付幅の見付面12aと、見付面12aの上端より敷地側に斜め45°で上向きにのびる傾斜面12bとからなる共通する特徴を有する意匠面12を有している。上段フェンス1及び下段フェンス2の上桟4a,4bと格子9と下桟5a,5bの見付面12aは面一になっており、各見付面12a間の隙間sは同じ寸法になっている。これにより本多段フェンスは、上段フェンス1の上桟4aから下段フェンス2の下桟5bにわたって、見えがかり面に上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bとによる意匠面12と同様の意匠面12が繰り返すように設けてある。これにより本多段フェンスは、図3に示すように、上段フェンス1と下段フェンス2との境目が目立たず、全体として統一感のある意匠となっている。
【0011】
図7,8は、本発明に係る多段フェンスの第2実施形態を示している。本多段フェンスは、図8に示すように、上段フェンス1の下桟5aの下面には溝10が形成してあり、下段フェンス2の上桟4bの上面には突起11が形成してあり、該突起11を前記溝10内の敷地側の端部に係止して溝10内に呑み込ませてある。また、上段フェンス1の下桟5aの敷地側の壁の下端34が、下段フェンス2の上桟4bの上面に乗っている。
また本多段フェンスは、図8に示すように、上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bは、道路側の見えがかり面に、上下方向の中央部が凹んだ見付面12cと、見付面12cの上端より敷地側に階段状にのびる段部12dと、上下方向の中央部が凹んだ見付面12eと、見付面12eの上端より敷地側に階段状にのびる段部12fとからなる共通する特徴を有する意匠面12を有している。上段フェンス1及び下段フェンス2の格子9は、道路側の見えがかり面に、上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bと同様に、上下方向の中央部が凹んだ見付面12cと、見付面12cの上端より敷地側に階段状にのびる段部12dと、上下方向の中央部が凹んだ見付面12eと、見付面12eの上端より敷地側に階段状にのびる段部12fとからなる共通する特徴を有する意匠面12を有している。さらに、上段フェンス1の上桟4aの道路側の見えがかり面には、上下方向の中央部が凹んだ見付面12cを有し、下段フェンス2の下桟5bの道路側の見えがかり面には、上下方向の中央部が凹んだ見付面12eと、見付面12eの上端より敷地側に階段状にのびる段部12fを有している。上段フェンス1及び下段フェンス2の上桟4a,4bと格子9と下桟5a,5bの見付面12c,12eは面一になっており、見付面12cの見付寸法v1と見付面12eの見付寸法v2は35mmで共通であり(見付面12c,12e中の凹部の見付寸法と上下位置は若干異なる)、見付面12cの上端と見付面12eの下端間の隙間s1及び見付面12eの上端と見付面12cの下端間の隙間s2は15mmと同じ寸法になっている。これにより本多段フェンスは、上段フェンス1の上桟4aから下段フェンス2の下桟5bにわたって、見えがかり面に上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bとによる意匠面12と同様の意匠面12が繰り返すように設けてある。これにより本多段フェンスは、図7に示すように、上段フェンス1と下段フェンス2との境目が目立たず、全体として統一感のある意匠となっている。
【0012】
以上に述べたように本多段フェンスは、上段及び下段の各フェンス1,2が、上桟4a,4b及び下桟5a,5bと上下桟4a,4b,5a,5b間に設けた複数の格子9,9,…とを有し、上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bは、一方に他方が呑み込ませてあり、見えがかり面に共通する特徴を有する意匠面12を有し、上段フェンス1の上桟4aから下段フェンス2の下桟5bにわたって、見えがかり面に上段フェンス1の下桟5aと下段フェンス2の上桟4bとによる意匠面12と共通の意匠面12が繰り返すように設けてあることで、上段フェンス1と下段フェンス2とが意匠的に分断されることなく連続し、全体として統一感のある意匠になる。
【0013】
上段フェンス1の右フェンス1aと左フェンス1bの上桟4a,4aは、図1,2に示すように、上桟接続具20aで接続してあり、上段フェンス1の右フェンス1aと左フェンス1bの下桟5a,5aは、下桟接続具20bで接続してある。同じように、下段フェンス2の右フェンス2aと左フェンス2bの上桟4b,4bは、図1,2に示すように、上桟接続具20aで接続してあり、下段フェンス2の右フェンス2aと左フェンス2bの下桟5b,5bは、下桟接続具20bで接続してある。
上桟接続具20aと下桟接続具20bは、樹脂製で、図6に示すように、上桟4a,4b及び下桟5a,5bの中空部内に挿入し、敷地側からネジ止めしてある。また、上桟接続具20aと下桟接続具20bは、左右のフェンス1a,1b,2a,2bの上桟4a,4b及び下桟5a,5bの小口に挟み込まれる板状部21を有し、板状部21の前側(道路側)及び後側(敷地側)の端部に左右フェンス1a,1b,2a,2b間の隙間を隠す隙間隠し部22を有している。
【0014】
本多段フェンスは、図2,6に示すように、上桟接続具20aと下桟接続具20bとの間の左右のフェンス1a,1b及び2a,2bの縦桟6,6間に、隙間カバー35を有している。隙間カバー35は、図2の例では、右フェンス1a,2aの縦桟6に取付く小口材13aと、左フェンス1b,2bの縦桟6に取付く小口材13bの二部材で構成してある。
各小口材13a,13bは、見込壁14と一対の係止片15,15を有し、係止片15,15を縦桟6に形成された溝16に側方より弾発的に係止させて、縦桟6に取付けてある。左フェンス1b,2bの小口材13bは、左右フェンス1a,1b及び2a,2bの前側(道路側)と後側(敷地側)とに、左右フェンス1a,1b及び2a,2b間の隙間を隠す隙間隠し部17,17を有している。隙間隠し部17の見付寸法aは、6mmとなっている。左フェンス1b,2bの小口材13bと右フェンス1a,2aの小口材13aは当接しており、且つ互いに係合する雄雌の係合部18a,18bを有している。
左右フェンス1a,1b,2a,2bは、図2,5に示すように、格子9,9,…の小口が上下桟4a,4b,5a,5bの小口と略同じ位置にあり、小口材13a,13bで格子9,9,…の小口を隠している。
【0015】
図4は、隙間カバー35の他の実施形態を示している。図4(a)の実施形態は、図2の実施形態と同様に、隙間カバー35が右フェンス1a,2aの縦桟6に取付く小口材13aと、左フェンス1b,2bの縦桟6に取付く小口材13bの二部材で構成され、右フェンス1a,2a側の小口材13aは、左右フェンス1a,1b及び2a,2bの前側(道路側)に隙間隠し部17を有し、左フェンス1b,2b側の小口材13bは、左右フェンス1a,1b及び2a,2bの後側(敷地側)に隙間隠し部17を有している。
図4(b)の実施形態は、隙間カバー35が、右フェンス1a,2aの縦桟6に取付く小口材13aと、左フェンス1b,2bの縦桟6に取付く小口材13bと、両小口材13a,13bの間に挟み込むように設けた連結材19の三部材で構成され、小口材13a,13bには隙間隠し部17を有しておらず、連結材19の道路側及び敷地側の端部に隙間隠し部17を設けてある。連結材19は、左右のフェンスの小口材13a,13bに当接しており、且つ互いに係合する雄雌の係合部18a,18bを有している。
【0016】
以上に述べたように本多段フェンスは、右フェンス1a,2aと左フェンス1b,2bの上桟4a,4bが上桟接続具20aで、下桟5a,5bが下桟接続具20bでそれぞれ接続され、上桟接続具20aと下桟接続具20bとの間で左右のフェンス1aと1b及び2aと2bの縦桟6,6間に隙間カバー35が設けてあり、隙間カバー35に左右フェンス1a,1b,2a,2b間の隙間を隠す隙間隠し部17が左右フェンス1a,1b,2a,2bの前側と後側に設けてあるので、左右のフェンス1a,1b,2a,2bに熱収縮があったとしても、左右フェンス1a,1b間及び2a,2b間に隙間が生じない。
隙間カバー35は、上下桟4a,5a間及び4b,5b間に設けた格子9,9,…の小口を隠しているので、意匠性が良い。また、格子9,9,…が収縮して格子9,9,…の小口と小口材13a,13bの間に隙間ができても、隙間隠し部17で隠れてその隙間が見えない。
図2図4(a)の実施形態の隙間カバー35は、右フェンス1a,2aの縦桟6に取付く部材(小口材)13aと、左フェンス1b,2bの縦桟6に取付く部材(小口材)13bの二部材からなるので、あらかじめ左右のフェンス1a,1b,2a,2bの縦桟6に部材13a,13bを取付けてから、両部材13a,13bを突き合わせるだけで左右フェンス1a,1b,2a,2b間の隙間を隠すことができ、施工性が良い。
左フェンス1b,2bの小口材13bと右フェンス1a,2aの小口材13aとが当接しているので、隙間隠し部17の見付寸法を小さくでき、左右のフェンス1a,1b,2a,2bの連結部を目立たなくできる。
図4(b)に記載のものは、連結材19が左右のフェンスの小口材13a,13bに当接していることで、隙間隠し部17の見付寸法を小さくでき、左右のフェンス1a,1b,2a,2bの連結部を目立たなくできる。
【0017】
支柱3は、図1に示すように、上段フェンス1及び下段フェンス2の下桟5a,5bと上桟4a,4bを引っ掛け、支柱3の道路側の見付面に引き寄せて固定する引寄せ金具23a,23bを有している。下段フェンス2の下桟5bと上桟4b、及び上段フェンス1の下桟5a用の引寄せ金具23bは、道路側からねじ24を締め付けることで、下桟5a,5b及び上桟4bを支柱3に引き寄せて固定する。上段フェンス1の上桟4a用の引寄せ金具23aは、敷地側からねじ25を締め付けることで、上桟4aを支柱3に引き寄せて固定する。支柱3は、左右方向に位置を移動できるいわゆるフリー支柱となっている。
【0018】
図3に示すように、多段フェンスの右側及び左側の端部には、上段フェンス1と下段フェンス2に跨る長尺材である縦材26が取付けてある。縦材26は、図2に示すように、略コ字形の断面となっており、コーナー部が斜め45°に面取りしてあり、面取りしたコーナー部に溝27a,27bが形成してある。当該溝27a,27bは、後述するように、多段フェンス同士をコーナー部で連結する際に連結材28を取付けるためのものである。縦材26の上下端部には、キャップ29が縦材26に形成されたタッピングホールを利用してねじ止めして取付けてある。
【0019】
次に、本多段フェンスの施工手順を説明する。まず、支柱3,3,3を適当な位置に立設する。次に、図9-1(a)に示すように、下段フェンス2の右フェンス2aを取付ける。このとき、図10(a)に示すように、上桟4b用の引寄せ金具23bのねじ24をあらかじめ緩めておき、下桟5bと上桟4bを引寄せ金具23b,23bに引っ掛けて仮付けし、左右方向の位置を調整してから、図10(b)に示すように、道路側からねじ24を締め付けて固定する。次に、図9-1(b)に示すように、上桟4bと下桟5bの端部に上桟接続具20aと下桟接続具20bを取付け、下段フェンス2の左フェンス2bを上桟接続具20aと下桟接続具20bで右フェンス2aと連結しつつ、支柱3に取付ける。次に、図9-2(c)に示すように、上段フェンス1の右フェンス1aを取付ける。このとき、図10(c)に示すように、上桟4a用の引寄せ金具23aのねじ25をあらかじめ緩めておき、下桟5aと上桟4aを引寄せ金具23a,23bに引っ掛けてから、図10(d)に示すように、敷地側からねじ25を締め付けて固定する。次に、図9-2(d)に示すように、上桟4aと下桟5aの端部に上桟接続具20aと下桟接続具20bを取付け、上段フェンス1の左フェンス1bを上桟接続具20aと下桟接続具20bで右フェンス1aと連結しつつ、支柱3に取付ける。上段フェンス1の左右のフェンス1a,1bを取付ける際、下段フェンス2の上桟4bの上に上段フェンス1の下桟5aを乗せることで、上段フェンス1の取付けが一人でも容易に行える。その後、図9-2(e)に示すように、左右の端部に上段フェンス1と下段フェンス2に跨って縦材26,26を取付ける。
【0020】
図11~13は、右多段フェンス30と左多段フェンス31をコーナー部でコーナー連結具36により連結した実施形態を示している。コーナー連結具36は、右多段フェンス31の左側端部に取付けた縦材26と、左多段フェンス31の右側端部に取付けた縦材26と、両縦材26,26間に取付けた連結材28とからなる。
縦材26は、先に説明した単体の多段フェンスの側端部に取付けられる縦材26と同じものであり、上段フェンス1と下段フェンス2に跨る長尺材である。連結材28は、図11に示すように、上段フェンス1と下段フェンス2に跨る長尺材であり、図12に示すように、略板状に形成してあり、左右の端部に略円柱状となった膨らみ部32,32が設けてあり、膨らみ部32,32の中心は板状部に対して前後方向に偏心した位置にある。各膨らみ部32,32は、左右の多段フェンス30,31の縦材26の後側のコーナー部に形成した溝27bに係合している。連結材28の上下端部には、板状部に形成されたタッピングホールを利用してキャップ33がねじ止めして取付けてある。
【0021】
上述した左右多段フェンスの縦材26,26と連結材28とによるコーナー連結具36は、左右の多段フェンス30,31を90°で連結する場合に限らず、図14(a)に示すように、左右の多段フェンス30,31を90°より小さい角度で連結したり、図14(b)に示すように、90°より大きい角度で連結したりすることもできる。コーナー部の角度が90°より大きい場合は、連結具28を前後逆向きで取付ける。
さらに、図15に示すように、入隅のコーナー部にも対応することができる。入隅のコーナー部に用いる場合は、連結材28の膨らみ部32,32は、縦材26の前側のコーナー部の溝27aに係合させる。
【0022】
次に、コーナー部の施工手順を説明する。まず、図16-1(a)に示すように、右多段フェンス用支柱3,3の見付面に右多段フェンス30の下段フェンス2を取付ける。次に、図16-1(b)に示すように、下段フェンス2の上桟4bの上に上段フェンス1の下桟5aを乗せた状態で、上段フェンス1を右多段フェンス用支柱3,3の見付面に取付ける。次に、図16-1(c)に示すように、コーナー連結具36の右側の縦材26を右多段フェンス30の端部に装着する。次に、図16-2(d)に示すように、左多段フェンス31の下段フェンス2を左多段フェンス用支柱3,3に引寄せ金具23bで仮付けした状態(上側の引寄せ金具23bのねじ24を緩めた状態、図10(a),(b)参照)で、右側にスライドして端部をコーナー連結具36の左側の縦材26に挿入する。次に、図16-2(e)に示すように、下段フェンス2の上桟4bの上に上段フェンス1の下桟5aを乗せた状態で、上段フェンス1を左多段フェンス用支柱3,3の見付面に仮付けし、右側にスライドして端部をコーナー連結具36の左側の縦材26に挿入する。その後、右多段フェンス30及び左多段フェンス31のコーナー連結具36と反対側の端部に連結して、上段フェンス1及び下段フェンス2を連設する(図9-2参照)。
【0023】
以上に述べたように本多段フェンスは、右多段フェンス30及び左多段フェンス31が、下段フェンス2の上桟4bの上に上段フェンス1の下桟5aを乗せた状態で支柱3,3の見付面に取付けてあり、上段フェンス1と下段フェンス2に跨る長尺材である左右の縦材26,26を連結材28で連結したコーナー連結具36の左右の縦材26,26に右多段フェンス30と左多段フェンス31の端部を装着したので、左右の多段フェンス30,31を上段フェンス1の上部から下段フェンス2の下部までコーナー連結具36で一連で連結できるので、コーナー部の施工が容易である。また、コーナー連結具36の縦材26,26及び連結材28が、上段フェンス1と下段フェンス2に跨る長尺材であり、上下の境目が無いから見た目も良い。下段フェンス2の上桟4bの上に上段フェンス1の下桟5aを乗せることで、上段フェンス1の取付けが一人でも容易に行える。
右多段フェンス30又は/及び左多段フェンス31は、支柱3,3に取付けた状態で左右方向にスライドしてコーナー連結具36の縦材26,26に挿入自在であるため、コーナー部の施工がより一層容易に行える。
【0024】
また、本多段フェンスの製造方法は、一方側多段フェンス用支柱3,3に一方側多段フェンス(右多段フェンス)30を取付け、上段フェンス1と下段フェンス2とに跨る長尺材である左右の縦材26,26を連結材28で連結したコーナー連結具36の一方側縦材26を一方側多段フェンス30の端部に装着し、他方側多段フェンス用支柱3,3の見付面に他方側多段フェンス(左多段フェンス)31を仮付けし、左右方向にスライドして他方側多段フェンス31の端部をコーナー連結具36の他方側縦材26に挿入することで、左右の多段フェンス30,31を上段フェンス1の上部から下段フェンス2の下部までコーナー連結具36で一連で連結できるので、コーナー部の施工が容易である。また、コーナー連結具36の縦材26,26及び連結材28が、上段フェンス1と下段フェンス2に跨る長尺材であり、上下の境目が無いから見た目も良い。
下段フェンス2の上桟4bに上段フェンス1の下桟5aを乗せることで、上段フェンスの取付けが一人でも容易に行える。
右多段フェンス30又は/及び左多段フェンス31は、それぞれ左右方向に長く連設することができるが、先にコーナー部を施工した後、その端部に連結して順次施工することで、施工誤差を生じることなく施工できる。
【0025】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。本発明の多段フェンスは、上段フェンスの上桟から下段フェンスの下桟にわたって、見えがかり面に上段フェンスの下桟と下段フェンスの上桟とによる意匠面と共通の意匠面が繰り返すように設けてあればよく、意匠面の具体的な形態は問わない。上段フェンス及び下段フェンスは、必ずしも左右のフェンスを連結したものでなくてもよい。
【符号の説明】
【0026】
1 上段フェンス
1a 右フェンス
1b 左フェンス
2 下段フェンス
2a 右フェンス
2b 左フェンス
3 支柱
4a,4b 上桟
5a,5b 下桟
6 縦桟
9 格子
12 意匠面
13a,13b 小口材
17 隙間隠し部
20a 上桟接続具
20b 下桟接続具
26 縦材
28 連結材
35 隙間カバー
36 コーナー連結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9-1】
図9-2】
図10
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図16-1】
図16-2】