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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】歯間クリーナー
(51)【国際特許分類】
   A61C 15/02 20060101AFI20220704BHJP
   A46B 1/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
A61C15/02 501
A46B1/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018556488
(86)(22)【出願日】2017-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 EP2017000507
(87)【国際公開番号】W WO2017186344
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】102016005012.8
(32)【優先日】2016-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518375339
【氏名又は名称】サンスター スイス エス.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ブッツ,ユルゲン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000776(JP,A)
【文献】特開2004-242781(JP,A)
【文献】特開2013-192866(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102006005616(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102006040241(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000215(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 15/02
A61C 15/04
A46B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に軟質弾性プラスチック製のクリーニング部(12)が備えられているプラスチック製の棒状の柄(11)と、プラスチック製の握り部(15)とを有し、前記棒状の柄(11)の握り部(15)側の端部が結合領域(16)においてブリッジ部(19)を介して前記握り部(15)と一体的に結合されており、前記結合領域(16)が関節(23)として形成されており、前記ブリッジ部(19)が軟質弾性プラスチック製の被覆(24)を少なくとも部分的に備えた歯間クリーナー(10)であって、
前記ブリッジ部(19)が少なくとも1つの突出したブリッジ部リブ(20)を有し、及び、前記被覆(24)の外側に少なくとも1つのリブ(17)が形成されており、
前記ブリッジ部(19)の最大の厚さaが0.5mmから1.0mmの範囲にあり、
前記被覆(24)の厚さcが0.3mmから0.8mmの範囲にある、
ことを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項2】
請求項1に記載の歯間クリーナーにおいて、複数の前記ブリッジ部リブ(20)が間隔を置いて互いに並んで配設されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の歯間クリーナーにおいて、前記ブリッジ部(19)の対向する両側にそれぞれ少なくとも1つの前記ブリッジ部リブ(20)が設けられていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項4】
請求項1または2に記載の歯間クリーナーにおいて、前記ブリッジ部(19)の片側だけに前記複数のブリッジ部リブ(20)が形成されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記リブ(17)が前記歯間クリーナー(10)の縦軸Lに対して略垂直に延びていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記被覆(24)の対向する両側にそれぞれ少なくとも1つの前記リブ(17)が設けられていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、複数の前記リブ(17)が間隔を置いて互いに並んで配設されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記ブリッジ部(19)がこの歯間クリーナー(10)の縦軸(L)の方向に延びていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記ブリッジ部(19)内に少なくとも1つの中断部(25)が形成されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記クリーニング部(12)が前記被覆(24)の軟質弾性プラスチックと一体的に結合されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項11】
請求項10に記載の歯間クリーナーにおいて、前記クリーニング部(12)が前記被覆(24)の軟質弾性プラスチックと、結合部位(18)を介して一体的に結合されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項12】
請求項11に記載の歯間クリーナーにおいて、前記結合部位(18)が前記柄(11)の溝(22)の中に配設されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項13】
請求項12に記載の歯間クリーナーにおいて、前記柄(11)の対向する両側にそれぞれ1つの溝(22)が形成されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記ブリッジ部リブ(20)の高さbが0.1a~0.3aの範囲にあることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記ブリッジ部(19)において前記ブリッジ部リブ(20)と平行に少なくとも1つの溝状の凹部(26)が形成されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項16】
請求項15に記載の歯間クリーナーにおいて、前記溝状の凹部(26)の断面が円弧状であり、その半径(R2)が0.8mmから1.6mmの範囲にあることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の歯間クリーナーにおいて、前記被覆(24)において前記リブ(17)と平行に少なくとも1つの溝状の凹部(27)が形成されていることを特徴とする歯間クリーナー。
【請求項18】
請求項17に記載の歯間クリーナーにおいて、前記溝状の凹部(27)の断面が円弧状であり、その半径(R1)が0.5mmから1.0mmの範囲にあることを特徴とする歯間クリーナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端部に軟質弾性プラスチック製のクリーニング部が備えられているプラスチック製の棒状の柄と、プラスチック製の握り部とを有する歯間クリーナーに関し、この場合、この柄の握り部側の端部が結合領域においてブリッジ部を介して握り部と一体的に結合されている。
【背景技術】
【0002】
この種の歯間クリーナーはしばしば、つまようじ(楊枝)とも呼ばれ、例えば特許文献
1で知られている。そこに示された歯間クリーナーは、形状安定性プラスチック製の棒状の柄を有し、その後方の端部に結合領域を介して握り部が一体的に成形されている。この柄には、その前方に、握り部とは反対側の端部に軟質弾性プラスチック製のコーティングが設けられており、この被覆は、例えば、一体成型された、指状の、薄板状の、または、リブ状の、半径方向に突出した複数のストラクチャー要素で形成することができ、クリーニング部を構成している。歯間をクリーニングするために、使用者は歯間クリーナーの握り部を握って、柄の前方の端部を、すなわち、クリーニング部を歯間に挿入し、この歯間クリーナーを前後に動かす。
【0003】
そのクリーニング効果は、使用者がこの歯間クリーナーをどのように歯間の内部に案内するかという方法に本質的に依存することが判った。この場合、歯間クリーナーの方向付けは、使用者がクリーニングすべき歯間に対して握り部を相対的にどのように配置するかによって、ほゞ決まる。この柄は或る程度の弾力性を有し、弾性的に変形することができるが、歯間内部でクリーニング部の特別な斜め配置が必要な場合には、使用者が歯間クリーナー全体を相応に斜めに方向づけることによってのみ可能であり、このことは多くの場合実現するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第0932371号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、歯間内部でのクリーニング部の可変な位置決めを可能とする、上述した方式の歯間クリーナーを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は本発明によれば請求項1の特徴を有する歯間クリーナーにより解決される。この場合、結合領域が関節として形成されており、ブリッジ部が軟質弾性プラスチック製の被覆を少なくとも部分的に備えており、このブリッジ部が少なくとも1つの突出したブリッジ部リブを有し、及び/又は、被覆の外側に少なくとも1つのリブが形成されている。
【0007】
本発明におけるリブ、及び/又は、ブリッジ部リブは様々な方法で形成することができる。一方では、被覆の外側に、及び/又は、ブリッジ部の外側に、歯間クリーナーの縦軸に対して垂直に延び、平行に間隔を置いて互いに並んで配設された複数の溝状の凹部を作り込むことが可能であり、その結果、2つの隣接した凹部の間にそれぞれ1つのリブ、及び/又は、ブリッジ部リブが形成される。他方、リブないしブリッジ部リブを形成するために、被覆、及び/又は、ブリッジ部の肉厚ないし厚さを大きくことができる。
【0008】
本発明の基本となる考えは、柄を握り部と結合する結合領域に関節を形成することである。この場合、この関節は、一方では結合領域内で与えられたブリッジ部の幾何学的寸法により、及び/又は、材料選択により条件づけられる。特に、結合領域内に配設されている軟質弾性プラスチックはバネとして作用し、歯間クリーナーの変形特性およびこのために必要な力に対して本質的な影響を及ぼす。軟質弾性プラスチックのための材料、これには特に熱可塑性のエラストマーまたはシリコーンが使用される、を適切に選択することにより、この歯間クリーナーの変形特性を望ましいように予め与えることができる。棒状の柄の材料、および、特にブリッジ部の領域における棒状の柄の幾何学形状も歯間クリーナーの変形特性に影響を及ぼす。
【0009】
歯間クリーナーを使用する際に、使用者は、結合領域を弾性変形させて、歯間空間に挿入された柄に対して握り部を相対的に曲げることができるので、歯間空間の届きにくい部分も簡単にクリーニングすることができる。
【0010】
この歯間クリーナーの取り扱いにとって、柄と握り部の相互の変位を、好適には歯間クリーナーの縦軸に対して垂直な軸の回りでのみ行うのが好適であることが判った。これはヒンジジョイント(Scharniergelenk)の方式の関節により実現できる。
【0011】
使用者がより大きい力を加えるために、且つ、結合領域の過剰な変形を避けるために、柄と握り部がブリッジ部を介して互いに一体的に結合されるように構成されている。この場合、柄、ブリッジ部および握り部は、第1の方法ステップで、安定性プラスチックから、好適にはモノリシックな部分として射出成型され、第2の方法ステップで、少なくとも結合領域において被覆を形成するために軟質弾性プラスチックが取り付けられる。この場合、そのブリッジ部が、少なくとも部分的に、特には完全に、軟質弾性プラスチックで包み込まれる、すなわち、軟質弾性プラスチックの中に封入されている、ようにすることができる。
【0012】
このブリッジ部があることにより、中央に配置されたブリッジ部がその上側およびその下側を軟質弾性プラスチックで覆われることによって、この結合領域の断面は好適に3層構造を有し、その結果、好適なことに完全な被覆が得られている。
【0013】
結合領域の関節は、結合領域の、すなわち、ブリッジ部および被覆の、弾性変形により得られるが、2つの独立した部分の相対的な変位によっては得られない。結合領域を所望のごとくに予め決められた方向に変形するために、本発明によれば、被覆の外側に少なくとも1つの、好適には多数の、歯間クリーナーの縦軸に対して好適にはほゞ垂直に延びる突出したリブが形成されるように構成されている。これらのリブは補強要素を形成し、この場合、これらのリブの足部に、及び/又は、これらのリブの間に、リブよりも曲げ強度が小さい部分ができるので、支持力のあるこれらのリブにより、柄が握り部に対して相対的にどのように変形するかということが保証される。
【0014】
多数のリブが特に平行に互いに並んで配設されていると好適であり、その結果、柄と握り部との間に曲げモーメントを加えたときに、隣接しているリブの間の部分に好適な曲げ軸または曲げ部分が生じる。
【0015】
被覆のリブの代わりに、又は、これに加えて、本発明によれば、ブリッジ部が少なくとも1つの、好適には多数の、突出したブリッジ部リブを有することができ、これらのブリッジ部リブは、柄を握り部に対して相対的に、歯間クリーナーの縦軸に対してほゞ垂直な予め決められた軸の回りに、変形させることを保証する機能を有する。この目的のために、これらのブリッジ部リブは好適には歯間クリーナーの縦軸に対してほゞ垂直に延びており、好適には多数のブリッジ部リブが特に平行に間隔を置いて互いに並んで配設されている。この場合にも、これらのブリッジ部リブをブリッジ部の片側だけに配設しておくことが可能であり、代案として、ブリッジ部の対向する両側にそれぞれ少なくとも1つのブリッジ部リブを、好適にはそれぞれ少なくとも多数のブリッジ部リブを設けるようにすることができる。
【0016】
本発明によれば、ブリッジ部が上述した複数のブリッジ部リブを有し、及び/又は、被覆が上述した複数の外側のリブを有している。好適にはブリッジ部はほゞ平板状に形成されており、同様に平板状に形成されている握り部と平行に、または、それどころか同一平面で延びている。ある形態では、これらのブリッジ部リブをブリッジ部の2つの対向面に形成することができる。この代案として、これらのブリッジ部リブをブリッジ部の片側だけに形成することができる。この場合、ブリッジ部の、ブリッジ部リブとは反対側は平坦に、特にストラクチャーなしに、形成することができる。
【0017】
ブリッジ部リブの大きさ及び高さが歯間クリーナーの結合領域の曲げ強度を決定する。ある形態では、全てのブリッジ部リブが同一の断面寸法を有するようにすることができる。この代案として、少なくとも幾つかのブリッジ部リブの高さが、及びその結果として、断面が異なるようにすることができる。
【0018】
1つのリブ又は複数のリブを被覆の片側だけに形成することができ、代案として、被覆の対向する両側にそれぞれ少なくとも1つのリブを設けるようにすることができる。しかし、相応の複数のブリッジ部リブがブリッジ部の少なくとも片側に形成されている限りにおいて、被覆のリブを完全に省くことも可能である。
【0019】
柄と握り部を相互に結合するブリッジ部は好適には歯間クリーナーの縦軸方向に延びており、その長さにわたって一定の断面を有することができる。本発明の好適な形態では、このブリッジ部の断面が握り部の方向に広がっているように構成されており、この場合、同時にこのブリッジ部の厚さをその長さにわたって一定とすることができる。
【0020】
ブリッジ部領域における歯間クリーナーの変形特性を調整するために、すなわち、その剛性を小さくするために、本発明の別の形態では、このブリッジ部内に少なくとも1つの、好適には多数の、中断部が配設されているように構成されている。これらの中断部は歯間クリーナーの縦軸方向において間隔を置いて配設されており、この縦軸に対して横方向のスリットの方式で延びている。
【0021】
これらの中断部が被覆の軟質弾性プラスチックで充填されていると好適であり、その結果、一方では、バネ作用が高められ、他方では、この軟質弾性プラスチックがブリッジ部の領域において柄と嵌め合い結合される。
【0022】
使用者がこの握り部を確実に握ることができ、これから滑らないようにするために、この握り部に軟質弾性プラスチック、特に熱可塑性のエラストマーまたはシリコーン製の表層部を設けることができる。このために好適には、被覆の軟質弾性プラスチックとしても使用される、同一の材料が使用される。この場合、握り部のこの表層部を被覆の軟質弾性プラスチックと一体的に結合することができ、このことによって、製造が簡単になり、この部分を対向する両面で支持および保持することができる。
【0023】
柄の特に前方端部にはクリーニング部が設けられており、これは例えば、公知の形態の鞘状のコーティングとして、一体的に成形された、指状の、及び/又は、埋め込まれた毛のような半径方向に突き出たストラクチャー要素を備えている。このクリーニング部も同様に軟質弾性プラスチックで構成されており、特に被覆を構成しているのと同じ軟質弾性プラスチックで構成されている。この場合、このクリーニング部を被覆の軟質弾性プラスチックと一体的に結合することができる。クリーニング部と被覆のこの結合は、好適に歯間クリーナーの縦軸方向に延びている軟質弾性プラスチック製の結合部位を介して行うことができる。この場合、この結合部位を柄の1つの溝、特に軸方向溝内に配設することができ、特にその中に完全に収納することができる。好適には、柄の対向する両面にそれぞれ1つの溝が形成されている。
【0024】
本発明の別の形態では、クリーニング部、結合部位、ブリッジ部の被覆および握り部のコーティングを同一の軟質弾性プラスチックで構成することができ、単に1回の作業工程で一体的な部品として作ることができる。
【0025】
柄、及び/又は、握り部の材料としては、好適には形状安定性プラスチック、特に、ポリプロピレン、ポリアミドまたはポリエチレンが使用される。この材料はファイバー、例えば、グラスファイバー、カーボンファイバーまたは天然素材ファイバー、特に、植物繊維で強化することができる。
【0026】
クリーニング部、及び/又は、被覆、及び/又は、握り部の表層部のための軟質弾性プラスチックとしては、熱可塑性のエラストマーまたはシリコーンを使用することができる。
【0027】
以下、結合領域におけるブリッジ部および被覆の幾つかの寸法について説明する。
【0028】
一実施形態では、ブリッジ部の下側表面は平らで凹凸がなく、隣接している柄および握り部の部分へ平らに、且つ、段差なしに移行している。ブリッジ部のその反対側の上側には、歯間クリーナーの縦軸方向に対して垂直に延び互いに間隔を置いて互いに平行に配設された多数の、特に2つのブリッジ部リブがある。このブリッジ部の上側において歯間クリーナーの縦軸方向に対して垂直に延び互いに間隔を置いて互いに平行に配設された複数の溝状の凹部が形成されることによって、これらのブリッジ部リブが形成されている。2つの隣接している溝状の凹部の間にそれぞれ1つのブリッジ部リブが形成されている。
【0029】
このブリッジ部の最大の厚さaは0.5mmから1.0mmの範囲、特に0.7mmから1.0mmの範囲にある。この溝状の凹部の深さbは0.1aから0.3aの範囲にあり、特に0.2aである。これはブリッジ部リブの高さとも一致する。
【0030】
この溝状の凹部の断面は円弧状であり、その半径は0.8mmから1.6mmの範囲にあり、好適には1.2mmである。
【0031】
結合領域ないしブリッジ部が軟質弾性プラスチック製の被覆で完全に包み込まれていると好適であり、この場合、この被覆は握り部にも柄にも吹き付け被着されている。
【0032】
被覆がブリッジ部の上側でほゞ一定の肉厚を有しており、したがって、ブリッジ部の輪郭に沿っていると好適である。このようにして、被覆の上側に同様に歯間クリーナーの縦軸方向において間隔を置いて相前後し平行に配設されて突出した複数のリブが形成されており、これらはブリッジ部の複数のブリッジ部リブの丁度上に配設されている。被覆の肉厚cすなわち厚さは0.3mmから0.8mmの範囲にあるのが好ましく、特に0.5mmから0.6mmである。
【0033】
被覆の外側の形状はブリッジ部の上側の形状に従うので、被覆の外側にも、歯間クリーナーの縦軸に対して垂直に延び、間隔を置いて配設されている溝状の凹部が多数設けられており、2つの隣接した溝状の凹部の間にそれぞれ1つのリブが形成されている。これらの溝状の凹部の断面は円弧状であり、その半径は0.5mmから1.0mmの範囲、特に0.7mmから1.0mmの範囲にある。
【0034】
ブリッジ部の下側にも同様に被覆が設けられているが、ここで説明している実施例では、この被覆はこの領域においてその形状、すなわち、ブリッジ部の平らな表面、には従わず、これらの溝状の凹部およびリブはブリッジ部を完全に取り囲んで周回しており、したがって、ブリッジ部の下側においても被覆の外側に存在している。
【0035】
本発明の他の個別事項および特徴を図面を基にして以下の実施例の記述により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による歯間クリーナーの斜視図
図2図1による歯間クリーナーの上面図
図3図2におけるIII-III断面図
図4】一実施形態における、一体的な部品としての、棒状の柄、ブリッジ部および握り部の上面図
図5図4による部品の下面図
図6】別の実施形態における、一体的な部品としての、棒状の柄、ブリッジ部および握り部
図7図6による部品の下面図
図8】別の実施形態による歯間クリーナーの縦断面図
図9図8のIXの詳細図
図10】別の実施形態における、図9に相応する断面図
図11】さらに別の実施形態における、図9に相応する断面図
図12】さらに別の実施形態における、図9に相応する断面図
図13】さらに別の実施形態における、図9に相応する断面図
図14】さらに別の実施形態における、図9に相応する断面図
図15】さらに別の実施形態における、図9に相応する断面図
図16】さらに別の実施形態における、一体的な部品としての、棒状の柄、ブリッジ部および握り部
図17】被覆が付けられた図11による部分の概略縦断面図
図18図3の断面拡大図
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1および2は本発明による歯間クリーナー10を示し、これは形状安定性プラスチック製の棒状の柄11を有し、この柄はその前方、これらの図では左側に向けて円錐状に先細になっている。この柄11の前方の、これらの図では左側の端部に、軟質弾性プラスチック製の、例えば、熱可塑性のエラストマーまたはシリコーン製の、鞘状のコーティング13の形状のクリーニング部12が被着され、特に吹き付け被着されている。この鞘状のコーティング13の外側表面に、一体成型された指14の形の複数のストラクチャー要素が半径方向に突き出て形成されている。
【0038】
棒状の柄11の後方部、図1および2では右側の端部は、結合領域16を介してほゞ平板状の握り部15と結合されている。この握り部15は軟質弾性プラスチック製の表層部21を備えており、これは鞘状のコーティング13と同じ材料とすることができる。
【0039】
図3から判るように、柄11と握り部15は、歯間クリーナー10の縦軸Lの方向に軸方向に延びているブリッジ部19を介して互いに一体的に結合されている。
【0040】
結合領域16は関節23を形成しており、この関節で柄11がクリーニング部12と共に、歯間クリーナー10の縦軸Lに対して垂直な軸Dの回りに曲がることができ、これが図1の矢印SおよびSで示唆されている。すなわち、この曲がりは図2の紙面に対して垂直方向に生じる。
【0041】
図3に示すように、柄11と握り部15は、ブリッジ部19を介して互いに一体的に結合されている。このブリッジ部19の下側表面は平らで凹凸がなく、このブリッジ部は隣接している柄11および握り部15の部位に平らに、且つ、段差なしに移行している。それとは反対側の上側において、ブリッジ部19は、歯間クリーナー10の縦軸に対して垂直に延び互いに間隔を置き互いに平行に配設された突出したブリッジ部リブ20を2つ有している。この結合領域16ないしブリッジ部19は軟質弾性プラスチック製の被覆24で完全に覆われており、この場合、この被覆24は握り部15にも柄11にも吹き付け被着されている。
【0042】
この被覆24の外側は、歯間クリーナー10の縦軸Lの方向に間隔を置いて相前後して平行に配設されている2つの突出したリブ17を有しており、これらのリブは、ここに示された実施例では、この結合領域を完全に周回し、少なくともその上側およびその下側に形成されている。被覆24の複数のリブ17はブリッジ部19の複数のブリッジ部リブ20の丁度上に在る。これらのリブ17はこれらのブリッジ部リブ20と共に補強部を形成しているので、軸Dがこれらのリブ17の間、ないし、これらのブリッジ部リブ20の間の部分に生じている。
【0043】
クリーニング部12、被覆24、および、握り部15の表層部21はすべて同一の軟質弾性プラスチックで作られており、クリーニング部12のこれらの図に示された上側も、好適にはこれと対向する下側も、それぞれ棒状の結合部位18を介して結合領域16と結合されていることによって、クリーニング部12、被覆24、および、握り部15の表層部21は一体的な部品として作られている。特に図1が示すように、結合部位18は柄11の軸方向溝22の中に配設されており、その平面がこの軸方向溝と同一面になっている。
【0044】
結合領域16は、縦軸Lの方向で握り部15の方に広がる断面を有するほゞ円錐台の形状である。ブリッジ部19はこの形状に従うが(図6および5を参照されたい)、軸方向の長さ全体にわたって一定の断面を有することもできる(図4および5を参照されたい)。
【0045】
図4および5は第1の実施形態における、形状安定性プラスチック製の部分のみを示し、この部分は柄11、ブリッジ部19および握り部15を含み、その次の方法ステップにおいて、鞘状コーティング13、結合部位18、被覆24および表層部21を形成するために軟質弾性プラスチックでオーバーモールドされる。この場合、軟質弾性プラスチックは結合領域16においてブリッジ部19を完全に取り囲み、これを封入する。結合領域16の外形は図1および2による実施例の外形に対応している。
【0046】
図4および5に示された実施例では、ブリッジ部19はその軸方向長さにわたって一定の断面を有する。そのブリッジ部の上側に(図4)、縦軸Lに対して垂直に延びている複数のブリッジ部リブ20が形成されている。その反対側の下側には(図5)、リブは設けられていない、すなわち、このブリッジ部の下側表面は好適に平坦である。
【0047】
図4および5に示された部分を軟質弾性プラスチックでオーバーモールドする場合に、結合領域16に形成される被覆24は、選択的に、両側に上述の複数のリブを有するか、あるいは、これらのリブを被覆の片側のみに、好適にはブリッジ部のリブも形成されている同じ側に設けることもでき、それどころか、この被覆の外側表面が平らになるように被覆でのリブを完全に省くこともできる。
【0048】
図6および7は、図4および5と同様な部分を示しており、その部分とは以下の点でのみ異なっている。すなわち、ブリッジ部19の断面が歯間クリーナー10の縦軸Lの方向において握り部15に向かって大きくなっている。
【0049】
図6および7に示された部分も、その次の方法ステップにおいて、上述した方法で軟質弾性プラスチックで包み込まれ、この場合、リブの配置についての上述の説明はここでも同様に当てはまる。
【0050】
図8は歯間クリーナー10を通る縦断面図であり、ここでは結合領域16が別の様式に形成されている。この結合領域16が図9に拡大表示されている。
【0051】
図9から判るように、ブリッジ部19はその上側にも下側にもそれぞれ2つの、歯間クリーナー10の縦軸Lに対して垂直に延びている、突出したブリッジ部リブ20を有している。軟質弾性プラスチック製の被覆24の厚さは、図示された実施例では、一定であるので、被覆24の外側表面にも周回する複数のリブ17が形成されている。すなわち、この形態は、両側のブリッジ部リブ17を備えたブリッジ部19、および、両側のリブ17を備えた被覆24を有する。
【0052】
図10図9に対する代案形態を示し、図9とは以下の点で異なっている。すなわち、被覆24には外側のリブがなく、両側は平らな外側表面であり、一方、ブリッジ部19には両側に複数のブリッジ部リブ20が設けられている。
【0053】
図11図10の形態に対する代案であり、ここでもブリッジ部19には両側に複数のブリッジ部リブ20が設けられているが、被覆24は片側にのみ複数のリブ17を有し、その反対側は平らな表面である。
【0054】
別の代案が図12に示されている。この場合、ブリッジ部19の上側には2つのブリッジ部リブ20があり、他方、その下側は平らな、好適には平坦な表面である。被覆24はこの形に従うので、被覆24の上側にも2つのリブ17があり、その下側は平らな、好適には平坦な表面である。
【0055】
図13の形態では、ブリッジ部19の上側には2つのブリッジ部リブ20があり、その下側は平らな、好適には平坦な表面である。被覆24はその上側も下側も、平らな、好適には平坦な表面であり、リブはない。
【0056】
図14は、さらに別の代案形態によるブリッジ部19を備えた結合領域16の断面図である。図14から判るように、柄11がブリッジ部19を介して握り部15と結合されており、このブリッジ部19は、柄11に対しても握り部15に対しても高さが低く、ブリッジ部リブはなく、平らな表面を有している。軟質弾性プラスチックが被覆24を形成し、ブリッジ部19の下側で、結合部位18から平らに、且つ、段差なしに被覆24の表面へ、さらに、ここから平らに、且つ、段差なしに握り部15の表層部21へ移行している。ブリッジ部19の上側では、被覆24に、歯間クリーナー10の縦軸Lに対して垂直な突出したリブ17が2つ設けられている。すなわち、この形態では、ブリッジ部19にはブリッジ部リブはなく、被覆24には片側のみに複数のリブ17がある。
【0057】
図15図14による形態の変形を示しており、図14とは次の点だけが異なっている。すなわち、被覆24の外側表面の両側に、歯間クリーナー10の縦軸Lに対して垂直に延び、突出した、周回している、上述の様式のリブ17が2つ形成されている。
【0058】
図16および17は別の実施例を示す。図16に示された、棒状の柄11、ブリッジ部19および握り部15を含む部分は、歯間クリーナーの長手方向に間隔を置いて配設された多数の中断部25がブリッジ部19に設けられていることが特徴であり、これらの中断部は直線的なスリットとして形成されており、歯間クリーナー10の縦軸に対して横方向に延びている。図16に示された部分に被着される軟質弾性プラスチックが、図17に示されているように、ブリッジ部19のこれらの中断部25に入り込んでいる。これにより、この軟質弾性プラスチックはブリッジ部19の領域において嵌め合い結合で保持されている。
【0059】
ここに示された実施例では、結合領域18の外側に、既述したような複数のリブ17が形成されており、この場合、これらの中断部は歯間クリーナーの縦方向においてこれらのリブに対してずれて配設されている。
【0060】
ブリッジ部19におけるこれらの中断部25は上述した全ての実施形態で設けることができる。すなわち、ブリッジ部の両側に若しくは片側のみにブリッジ部のリブが設けられている、または、ブリッジ部リブが全くない実施形態、ならびに、被覆の両側に若しくは片側のみにリブが設けられている、または、リブが全くない実施形態において設けることができる。
【0061】
図18図3の断面拡大図であり、これに基づいて、結合領域16におけるブリッジ部19および被覆24の幾つかの寸法を説明する。
【0062】
図18に示された実施例では、ブリッジ部19の下側表面は平らで凹凸がなく、隣接している柄11および握り部15の部分に平らに、且つ、段差なしに移行している。ブリッジ部19のその反対の上側には、歯間クリーナー10の縦軸に対して垂直に延び互いに間隔を置いて互いに平行に配設されている2つのブリッジ部リブ20がある。ブリッジ部19の上側に、歯間クリーナー10の縦軸に対して垂直に延び互いに間隔を置いて互いに平行に配設されている複数の溝状の凹部26を形成することによって、これらのブリッジ部リブ20が形成されている。2つの隣接している溝状の凹部26の間に、それぞれ1つのブリッジ部リブ20が形成されている。
【0063】
ブリッジ部19の最大の厚さaは0.5mmから1.0mmの範囲、特に0.7mmから1.0mmの範囲にある。これらの溝状の凹部26の深さbは0.1aから0.3aの範囲にあり、特に0.2aである。これはブリッジ部リブ20の高さとも一致する。
【0064】
図18が示すように、溝状の凹部26の断面は円弧状であり、その半径Rは0.8mmから1.6mmの範囲にあり、好適には1.2mmである。
【0065】
結合領域16ないしブリッジ部19は軟質弾性プラスチック製の被覆24で完全に包み込まれており、この場合、この被覆24は握り部15にも柄11にも吹き付け被着されている。
【0066】
図18が示すように、被覆24はブリッジ部19の上側でほゞ一定の肉厚を有し、したがって、ブリッジ部19の輪郭に沿っている。このようにして、被覆の上側にも同様に歯間クリーナー10の縦軸Lの方向において間隔を置いて相前後し平行に配設され突出した複数のリブ17が形成されており、これらはブリッジ部19の複数のブリッジ部リブ20の丁度上に配設されている。被覆24の肉厚cすなわち厚さは0.3mmから0.8mmの範囲にあるのが好ましく、特に0.5mmから0.6mmの範囲にある。
【0067】
被覆24の外側の形状はブリッジ部19の上側の形状に沿うので、被覆19の外側にも、歯間クリーナー10の縦軸の方向に延び間隔を置いて配設されている溝状の凹部27が多数設けられており、2つの隣接した溝状の凹部27の間にそれぞれ1つのリブ17が形成されている。これらの溝状の凹部27の断面も円弧状であり、その半径Rは0.5mmから1.0mmの範囲、特に0.7mmから1.0mmの範囲にある。
【0068】
ブリッジ部19の下側にも同様に被覆24が設けられているが、ここで説明している実施例では、被覆24はこの領域においてその形状、すなわち、ブリッジ部19の平らな表面、には沿わず、溝状の凹部27およびリブ17はブリッジ部19を完全に取り囲んで周回しており、したがって、溝状の凹部27およびリブ17がブリッジ部19の下側においても被覆24の外側に存在している。
【0069】
上述した寸法及び幾何学形状は別の実施例についても相応の形状で当てはまる。
【符号の説明】
【0070】
10 歯間クリーナー
11 柄
12 クリーニング部
13 鞘状コーティング
14 指状突起
15 握り部
16 結合領域
17 リブ
18 結合部位
19 ブリッジ部
20 ブリッジ部リブ
21 表層部
22 溝
23 関節
24 被覆
25 中断部
26 (ブリッジ部の)凹部
27 (被覆の)凹部
L 縦軸方向
半径
半径
、S 曲げ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18