(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】無線カバレッジを提供する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20220704BHJP
H04W 24/02 20090101ALI20220704BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20220704BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W24/02
H04W84/00 110
(21)【出願番号】P 2018561217
(86)(22)【出願日】2017-05-23
(86)【国際出願番号】 US2017033906
(87)【国際公開番号】W WO2017205314
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-14
(32)【優先日】2016-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518341334
【氏名又は名称】インターディジタル・シーイー・パテント・ホールディングス・ソシエテ・パ・アクシオンス・シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ボロット,ジーン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ライアンズ,ケント
(72)【発明者】
【氏名】プシュパラヤ,アクシャイ
(72)【発明者】
【氏名】プディヤビーティル,アジス
【審査官】桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/012889(WO,A1)
【文献】特開2007-233751(JP,A)
【文献】特表2017-527176(JP,A)
【文献】特開2011-250159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線装置に無線信号カバレッジを提供する可動装置であって、
無線信号トランシーバと、
ゾーン内で前記無線信号トランシーバを移動させる変位アセンブリと、
前記ゾーンの無線カバレッジマップを取得し、前記複数の無線装置のそれぞれの位置を決定し、前記無線カバレッジマップと、前記複数の無線装置のそれぞれの位置と、前記複数の無線装置の優先順位とに基づいて、前記無線信号トランシーバを、方針を満たす無線信号カバレッジを提供するように選択された位置に、移動させるために前記変位アセンブリを制御するように構成されたプロセッサと、
を備える可動装置。
【請求項2】
前記可動装置の移動経路上の障害物の存在を検出する障害物センサを更に含み、前記プロセッサが、障害物検出に基づいて、前記変位アセンブリの移動を制御するように構成されている、請求項1に記載の可動装置。
【請求項3】
前記プロセッサが、ユーザ履歴に基づく前記複数の無線装置の一つ以上の位置の予測を用いて、前記変位アセンブリの移動を制御するように更に構成されている、請求項1又は2に記載の可動装置。
【請求項4】
前記複数の無線装置の一つ以上の位置が、音声認識コマンド、GPS信号、三角測量、赤外線信号検出、振動検出、オーディオ検出、及びユーザ行動履歴の少なくとも1つに基づいて決定される、請求項1又は2に記載の可動装置。
【請求項5】
前記方針は、
単一の最優先無線装置用の最良の無線信号カバレッジを提供すること、
複数の無線装置ユーザの降順の優先順位のランクに基づいて無線信号カバレッジを提供すること、
複数の無線装置のRSSI、カバレッジ、及び信号強度の何れかを優先権に応じて重くすること、
最もひどいカバレッジを受信する複数の無線装置の無線装置によって受信されるカバレッジを最大化すること、
の一つ以上に基づいて、無線信号カバレッジを提供することを含む、請求項1又は2に記載の可動装置。
【請求項6】
ゾーンにおける無線信号カバレッジを提供する方法であって、
前記ゾーンの無線カバレッジマップを取得することと、
複数の無線装置のそれぞれの位置を決定することと、
前記無線カバレッジマップと、前記複数の無線装置のそれぞれの位置と、前記複数の無線装置の優先順位とに基づいて、無線信号カバレッジを提供する無線信号トランシーバを含む可動装置を制御し、前記無線信号トランシーバを、方針を満たす無線信号カバレッジを提供するように選択された位置に、移動させることと、
を含む方法。
【請求項7】
前記可動装置の移動経路上の障害物の存在を検出することと、
障害物検出に基づいて、前記可動装置の移動を制御することと、
を更に含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
ユーザ履歴に基づく前記複数の無線装置の一つ以上の位置の予測を用いて、前記可動装置の移動を制御することを更に含む、請求項
6又は
7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の無線装置の一つ以上の位置が、音声認識コマンド、GPS信号、三角測量、赤外線信号検出、振動検出、オーディオ検出、及びユーザ行動履歴の少なくとも1つに基づいて決定される、請求項
6又は
7に記載の方法。
【請求項10】
前記方針は、
単一の最優先無線装置用の最良の無線信号カバレッジを提供すること、
複数の無線装置ユーザの降順の優先順位のランクに基づいて無線信号カバレッジを提供すること、
複数の無線装置のRSSI、カバレッジ、及び信号強度の何れかを優先権に応じて重くすること、
最もひどいカバレッジを受信する複数の無線装置の無線装置によって受信されるカバレッジを最大化すること、
の一つ以上に基づいて、無線信号カバレッジを提供することを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線カバレッジを提供する方法及び装置に関する。限定的ではないが、特に実施形態は、無線ネットワークアクセスを提供する可動装置(mobile device)、例えば無線ローカルエリアネットワークの可動中継器か又はネットワークへのアクセス用の少なくとも部分的に可動なゲートウェイに関する。可動装置の移動は、無線カバレッジ及びユーザ位置に基づいてもよい。
【背景技術】
【0002】
家庭環境などのローカルエリアにおける無線カバレッジは、場所に従って変化する可能性がある。無線通信は、電波信号(例えばWiFi(登録商標)等)、赤外線信号などの無線信号による通信を含んでもよい。所与のゾーンにおけるローカルエリアネットワークWLAN接続、例えばWiFi接続は、映画を見る、買い物をする、検索する、且つ多数のアプリケーションを実行するために、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)にアクセスするための不可欠な要素になり得る。例えば家庭環境におけるユーザは、均一で優れたWiFiカバレッジを体験できないことが多い。これは、WiFi信号の強度及び従ってカバレッジの質が、ユーザ装置がゲートウェイ又はアクセスポイント(AP)から離れれば離れるほど低下するからである。更に、壁及び物体(家具、器具...)などの障害物が、カバレッジの質を更に低下させる。
【0003】
本開示は、前述のことを念頭に考案された。
【発明の概要】
【0004】
一般的な形態では、本開示は、所与のゾーンにおける無線信号カバレッジを提供する可動装置であって、ゾーン内の無線カバレッジ及び/又はゾーンに対するユーザの位置に従って変位される可動装置に関する。実施形態は、ネットワーク、例えばWLAN、LAN、WANネットワークへの可動アクセスポイントに関係してもよい。可動アクセスポイントは、例えば無線中継器(WiFi信号を増幅するか若しくは強化する)又はワイドエリアネットワークへのアクセスを提供するゲートウェイ装置の少なくとも一部であってもよい。
【0005】
本開示の第1の態様によれば、無線信号カバレッジを提供する装置であって、無線信号カバレッジを提供するために、無線信号を受信し送信する無線信号トランシーバと、ゾーン内で無線信号トランシーバを移動させる変位アセンブリと、ゾーン内の無線信号カバレッジ、及び無線信号カバレッジにアクセスするように動作可能な無線装置のゾーンに対する位置に基づいて、可動装置を移動させるために変位アセンブリを制御するように構成されたプロセッサとを含む装置が提供される。
【0006】
実施形態において、可動アクセスポイント装置は、WiFi中継器である。別の実施形態において、可動アクセスポイント装置は、ゲートウェイ装置の一部を含む。
【0007】
実施形態において、所与のゾーン内のWiFiカバレッジは、マップされる。カバレッジは、例えばRSSIを測定することによってマップされてもよい。プロセッサは、マップされたカバレッジに基づいて、可動装置を移動させるように構成されてもよい。
【0008】
可動性は、例えば車輪付きプラットフォーム、球状回転装置によって提供されてもよい。移動は、WiFiカバレッジ及びユーザの位置に従ってプロセッサによって導かれる。
【0009】
実施形態において、ユーザの位置及び可動性のパターンは、例えば予め中継器若しくはゲートウェイ装置を位置決めするために、且つ/又はそれらの位置を必要に応じて適合させるために学習される。
【0010】
ユーザの位置は、例えばgpsか、ユーザの声か、又はテキスト入力によって決定されてもよい。
【0011】
実施形態において、装置、位置及び帯域幅割り当てごとの使用の学習パターンが、体験の質QoE(例えばビデオ対メール閲覧)を最適化するように決定される。
【0012】
実施形態において、方法は、複数のロボット装置用に、複数のAP用に、複数の無線技術用に、密集したアパート環境における複数の家庭用にさえ最適化される。
【0013】
実施形態において、中継器又はゲートウェイ用のロボット装置は、以下における1つ又は複数を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサを設けられる。即ち、
- ユーザの位置を特定し、WiFiカバレッジレイアウトをマップすることと、
- ユーザ装置(決定された位置に基づいた)が、貧弱なWiFiカバレッジエリアにあると識別することと、
- 例えば、静的又は動的な自律的無線カバレッジマップを構築することと、
- ユーザのカバレッジを改善するための最適な静止位置を識別することと、
- 所与のレイアウト、ユーザ位置及びカバレッジマップに最適化を提供することと、
- Kの周知の位置の1つにおける「区分的に静的なユーザ」に最適化を広げることと、
- ユーザ履歴に基づいた学習を追加し、ユーザ履歴に従って適切な位置でロボット装置を予め位置決めすることと、
- 履歴的なユーザパターンを学習し、それに応じてロボット移動を計画し実行することと、
- Nユーザのより一般的な事例を扱うことと、
である。
【0014】
更なる態様は、メモリと、1つ又は複数のプロセッサと、メモリに格納され、且つ1つ又は複数のプロセッサによる実行のために構成された1つ又は複数のモジュールであって、本開示で説明されるプロセスを実行するための命令を含む1つ又は複数のモジュールとを含む電子装置を提供する。
【0015】
別の態様は、ゾーンにおける無線信号カバレッジを提供する方法であって、ゾーン内の無線信号カバレッジと、無線信号カバレッジにアクセスするように動作可能な無線装置のゾーンに対する位置とに基づいて、無線信号カバレッジを提供する可動装置の移動を制御することを含む方法を提供する。
【0016】
実施形態によって実行されるプロセスの幾つかのステップは、コンピュータによって実行されてもよい。従って、かかる要素は、完全なハードウェア実施形態、完全なソフトウェア実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)、又は本明細書で一般に全て「回路」、「モジュール」若しくは「システム」と呼ばれるソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせる実施形態の形を取ってもよい。更に、かかる要素は、コンピュータが使用可能なプログラムコードを媒体に具体化する任意の有形表現媒体に具体化されたコンピュータプログラムプロダクトの形を取ってもよい。
【0017】
少なくとも幾つかの特徴が、ソフトウェアにおいて実現され得るので、本発明は、任意の適切なキャリヤ媒体における、プログラマブル機器に提供するためのコンピュータ可読コードとして具体化することができる。有形キャリヤ媒体は、フロッピーディスク、CD-ROM、ハードディスクドライブ、磁気テープ装置、又はソリッドステートメモリ装置などの記憶媒体を含んでもよい。一時的キャリヤ媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音響信号、磁気信号又は電磁気信号、例えばマイクロ波若しくはRF信号などの信号を含んでもよい。
【0018】
ここで本発明の実施形態が、例としてのみ、以下の図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の1つ又は複数の実施形態に従って、無線カバレッジの例を示す。
【
図2】実施形態に従って、無線カバレッジを提供する装置を示す。
【
図3】本開示の実施形態に従って、部分的に可動なゲートウェイ装置を含む無線システムの例を示す。
【
図4】本開示の実施形態に従って、可動ロボット装置の例を示す。
【
図5】実施形態による、無線カバレッジを提供する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、実施形態が実施され得るゾーン1000の例を示す。ゾーンは、建物内の多数の部屋で構成された家庭環境である。ゲートウェイ装置1200の形をしているネットワークアクセスポイントが、居間1001内の無線ネットワークカバレッジを提供する。
図1における無線信号強度マップ(ヒートマップに似ている)によって示されているように、無線ネットワークカバレッジの強度は、アクセスポイントからの距離と共に低下する。更に、建物におけるアクセスポイントと他のポイントとの間の、壁及び家具などの障害物の存在は、或るエリアにおける無線カバレッジに影響を与える。
【0021】
ゾーンにおける無線信号カバレッジを提供する装置の実施形態が、
図2に関連して説明される。
【0022】
装置200は、無線信号を送信及び受信する通信ユニット210と、ゾーン内で1つのポイントから別のポイントに装置200を移動させる変位アセンブリ220と、無線信号カバレッジ、及び無線ネットワークにアクセスするように動作可能なユーザ無線装置250の位置に基づいて、装置200を移動させる変位アセンブリ220にコマンドを供給するプロセッサ230とを含む。変位アセンブリ220は、グランドを横切って装置200を移動させる車輪状又は球状の可動要素を含んでもよい。通信ユニット210は、例えばゲートウェイ装置260及びユーザ無線装置250と無線信号を交換する。幾つかの実施形態において、通信ユニット210は、ゲートウェイ260又はユーザ装置250から受信された無線信号を強化又は中継するために、WiFi中継器として動作してもよい。
【0023】
プロセッサ230は、無線ユーザ装置250の位置に基づいて、装置200を移動させるために変位アセンブリ220に制御信号を供給するように構成されている。このように、装置200は、よりよい無線ネットワークカバレッジを無線ユーザ装置250に提供するために移動させることができる。装置200が、可動なので、それは、改善された無線カバレッジをユーザ無線装置250に提供するために、ローカルエリアのどこにでも移動され得る。
【0024】
幾つかの実施形態において、無線カバレッジを提供する装置は、ゲートウェイの一部であってもよい。かかるゲートウェイは、ドッキングステーションに似ている不動部と、ドッキングステーションと協力する可動部とを含んでもよい。不動部は、有線インターネットアクセス、即ちケーブル、DSL、ファイバ等に接続可能である。ゲートウェイはまた、電源へのアクセス、可動部への接続、及びWiFiなどの他の無線接続性と、前の実施形態の可動装置200に似ている可動部とを含む。可動部もまた、WiFi及び/又は他の無線能力を有してもよい。
【0025】
幾つかの実施形態において、無線カバレッジを提供する可動装置は、コンテキスト認識及び位置認識用の感知コンポーネントを含んでもよい。
【0026】
ゾーンにおける無線信号カバレッジを提供するシステムの特定の実施形態が、
図3に関連して説明される。
【0027】
システム300は、ゲートウェイ装置310と、ドッキングステーション320と、ドッキングステーション320と関連する可動ロボット装置330とを含む。図示の実施形態において、ドッキングステーションは、ゲートウェイと別個であるが、他の実施形態において、ドッキングステーション330が、ゲートウェイ310の一部であってもよいことが認識されよう。ゲートウェイ装置310は、有線インターネットアクセス、即ちケーブル、DSL、ファイバ等に接続可能であり、且つ無線ローカルエリアネットワークによってアクセスを提供する。
【0028】
無線ユーザ装置350は、無線装置350用のWiFiカバレッジを向上させるために、無線ユーザ装置350の位置の方へ移動する可動ロボット装置330により、ゲートウェイ装置310を介してインターネットにアクセスすることができる。無線リンクは、ユーザ無線装置350と可動ロボット装置330との間で、且つ可動ロボット装置330と、ゲートウェイ310と通信するドッキングステーション320との間で設定される。
【0029】
幾つかの実施形態において、可動ロボット装置330は、無線装置が、貧弱な無線カバレッジを有する場合を捕捉、推定及び/又は予想するように、且つその無線カバレッジをユーザ装置用に改善するために可動ロボット装置330自体を位置決めするように構成されてもよい。可動ロボット装置330はまた、カバレッジを改善するために、ユーザの行動に依存して、その位置を適合することができる。このように、可動ロボット装置330は、ユーザの習慣が学習され、それに応じてユーザ位置が予測される場合に、優れた無線ネットワークカバレッジを無線装置ユーザに提供するために、適切な位置に予め位置決めされ得る。
【0030】
ユーザが貧弱なカバレッジを有する場合及びユーザが移動する場所等がどのように推定又は予測されるかが、更に説明される。
【0031】
図4は、実施形態に従って、ネットワークへの無線アクセスポイントに可動性を提供する可動装置の3つの例を示す。図示の装置は、WiFi中継器、又はゲートウェイの一部であってもよい。
【0032】
ロボット中継器A及びBは、動き回るための3つ又は4つの電池式車輪と、経路上の障害を検出するセンサとを設けられる。ロボットCは、ボールか球の形をしている可動装置、例えばSphero SPRKであり、それは、例えば、無線カバレッジを提供するゲートウェイの一部又は中継器などの積み荷を運ぶブラック構造であるチャリオットと共に可動性を提供する。
【0033】
しかしながら、ロボット中継器又はロボットゲートウェイ装置など、無線信号カバレッジを提供する可動装置用の変位アセンブリは、限定するわけではないが、例えば
■ 車輪付きプラットフォームと、
■ 球内の可動無線カバレッジ装置(例えばWiFi中継器又は可動ゲートウェイ部)である球又は他の幾何学的形状に基づいたプラットフォームと、
■ ロボット+ドッキングステーションであって、例えば電池を充電するためにロボットがドッキングステーションに戻るロボット+ドッキングステーションと、
■ ドローンか、ドローン+ドッキングステーションの組み合わせか、又はドローン+地上ロボット+ドッキングステーションと、
■ 気球、例えばヘリウムベースの気球若しくはツェッペリン型飛行船、又は同様の種類の装置と、
■ 脚型ロボットか、蛇型フォームファクタか、又は可動性を可能にする任意の他のフォームファクタと、
などの他の任意の数のフォームファクタを有し得ることが認識されよう。
【0034】
幾つかの実施形態において、無線カバレッジを提供する可動装置は、コンテキスト認識及び位置認識用の感知コンポーネントを含んでもよい。
【0035】
実施形態において、無線アクセスを提供する装置、例えばロボット中継器又はロボットゲートウェイ装置は、ユーザが貧弱なカバレッジを有する場合を捕捉、推定、又は予測し、且つそれ自体を位置決めして、そのカバレッジを改善するように構成されてもよい。無線カバレッジを決定するために、装置は、
図1に示されているヒートマップなど、家におけるWiFiカバレッジの「ヒートマップ」を取得するか又は作成することができる。これは、使用ゾーンを歩き回る、且つ相異なる位置の信号強度を測定する装置又は別の無線カバレッジ推定装置によって実行されてもよい。カバレッジの質は、受信信号強度インジケータ(RSSI)を用いて測定されてもよい。RSSIは、典型的には、一般に0~-120dBまでのデシベルで測定され、カバレッジが優れていればいるほど0に近い。RSSI>-45dBは優れており、-50dB未満は、普通か又はより悪い。
【0036】
ユーザ装置の位置は、決定又は予測されてもよく、且つヒートマップ及びユーザの推定された位置を組み合わせることによって、ユーザ装置が、優れた又は貧弱な無線カバレッジを有するかどうかが決定されてもよい。幾つかのツールは、例えば
図1に示されているように、家庭における位置の関数としてRSSIをプロットすることによって、WiFiカバレッジの「ヒートマップ」が測定され描かれ得るようにする。
【0037】
ユーザの無線ユーザ装置の位置は、多数の手法で決定され得る。
■ 例えば「私は台所にいる」又は「座標xyzにいる」というユーザの位置を示す、ユーザから受信された声(音声認識による)又はテキスト情報。
■ ロボットに対するユーザの位置を推定するために用いることができるオーディオ、振動又は他のセンサなどのセンサを用いること(歩行による強い振動は、ユーザが装置に近いことを示す)、又は赤外線、UWB(超広帯域)センサ又は他のセンサのような距離センサを用いること。
■ ユーザ行動を捕捉するデータ、例えば可動アクセスポイントによって読み取られる、ユーザから受信したRSSI(ユーザと無線APとの間の距離を示す)を用いること。
■ 例えばユーザの電話又はタブレットで実行されているアプリケーションを介して受信した、ユーザから直接の、gps又は三角測量(WiFi又は他のもの)。
■ 信号強度又はカバレッジに関するRSSI又は他の情報が、ユーザから直接取得されてもよく、例えばユーザが装着している電話、タブレット、若しくはウェアラブルなどの装置上で、又は例えば「カバレッジが悪い」と言うユーザからの声又はテキストコマンドを介して測定される。
【0038】
無線カバレッジを提供する装置は、アクセスポイント(そこにおいて我々は、ユーザカバレッジ情報をプッシュ又はプルすることが可能である)、クラウド、又は他の或る第三者サービス若しくはアプリケーションなどの第三者を介して、RSSI又は他の関係のある無線カバレッジ情報を取得してもよい。
【0039】
装置が、リアルタイムで情報を取得してもよいこと、情報が、事前に取得されてもよいこと、又はユーザカバレッジデータが、(例えば、ユーザ習慣及びカバレッジデータに関する過去の情報を用いて、予測解析論技法を用いて)予測され得ることに留意されたい。
【0040】
ユーザが、無線装置で無線ネットワークにアクセスするためのカバレッジが低いと推定又は予測される場合に、可動装置は、それに応じて移動されてもよい。
【0041】
例えば家など、監視エリアの任意の場所において、可動装置は、ユーザ体験を改善するか、(例えば、RSSIレベルを0に向けて増加させる)又はユーザのための体験メトリックの任意の他の質を改善する。
【0042】
例えば、ロボット中継器又はゲートウェイは、ユーザカバレッジ又は体験以外の基準、例えば、利便性(家庭における人のよく通る経路の外に留まる、戸口から離れている等。可動性がドローンによって提供される場合に、装置は、衝突を回避するために、ユーザの身長より高い高さで飛ぶことが可能である等)を考慮し、ロボット用の電池使用を最小化するか又は電力関連問題を最適化し、ロボットが動く経路を最短化し、障害物を回避し、WiFiに関してユーザ活動に適合する(例えば、ユーザが映画を見ている場合に、ロボットは、ユーザRSSIを最適化しようとするが、しかしユーザが、メールを送信しているか、又は閲覧している場合に、OKカバレッジ(ある合理的な値の上のRSSI)を提供しようとするだけである)。
【0043】
上記で言及したように、ロボット中継器又はゲートウェイはまた、ユーザに関する学習された行動又はコンテキスト情報、空間構成、APの特徴等に基づいて、それ自体を予め位置決めすることができる。かかる情報は、装置上のセンサから、又は別の装置によって取得されたセンサデータから取得することが可能である。
【0044】
ロボット中継器又はゲートウェイはまた、明示的な要求、例えば「ここに来て」又は「台所にいる」という声又はテキスト要求に応えることができる。
【0045】
図5は、本発明の実施形態による無線カバレッジを提供する方法である。ステップS501において、使用ゾーンの無線カバレッジマップが取得される。上記のように、無線カバレッジマップは、使用ゾーンのRSSI測定値に基づいてもよい。無線カバレッジマップは、可動無線カバレッジ装置に提供されるデータを用いて別の装置によって事前に取得されてもよく、又は可動無線カバレッジ装置によって実行された信号強度測定値によって取得されてもよい。
【0046】
ステップS502において、無線カバレッジを用いるように動作可能なユーザ装置の位置が決定される。決定は、ユーザ履歴に基づいたユーザ装置の位置の予測であってよく、又は音声認識コマンド、GPS信号、三角測量、赤外線信号検出、振動検出、オーディオ検出の少なくとも1つに基づいて決定されてもよい。
【0047】
ステップS503において、プロセッサは、ユーザ装置への無線カバレッジが最適化されるように、無線カバレッジマップ及びユーザ装置の位置に基づいて制御信号を生成し、それに応じて変位アセンブリ装置を移動させる。
【0048】
本発明の実施形態は、複数のロボット、複数のユーザ、複数のAP、複数のタイプの無線接続及びカバレッジの事例に適用されてもよい。
【0049】
例えば、無線カバレッジを提供する単一の可動装置に関し、装置は、複数のユーザの位置を取得、推定、又は予測し、装置は、それに応じて、それらのユーザに、より優れた又は最良のカバレッジを提供するように位置決めされる。位置は、例えば、多数の方針を満たすように、例えば単一の最優先ユーザ(他のユーザを無視する)用の最良のカバレッジのように、降順の優先権でユーザをランク付けし、優先権に応じてユーザのRSSI/カバレッジ/信号強度を重くするように、最もひどい状態のユーザによって受信されるカバレッジを最大限にする等のように選択されてもよい。これらは、全て、マルチユーザ環境における古典的な最適化技法であり、それらの全ては、本明細書で考慮することが可能である。
【0050】
無線カバレッジを提供する複数のロボット可動装置、及び複数のユーザ装置を含む実施形態において、ロボット可動装置は、ユーザ当たり1つ又は複数が割り当てられ得、又は1人又は複数のユーザが、単一のロボット可動装置に割り当てられてもよい。
【0051】
本発明の幾つかの実施形態において、装置は、WiFi、Zigbee、セルラー、3/4/5/6G以上のUWBなどの複数の技術/規格用に無線カバレッジを提供してもよい。
【0052】
複数のロボット装置が用いられる実施形態において、ロボット装置は、互いに独立して動作するか、又は更なる最適化のために情報(例えば衝突を回避するためのそれらの位置、最適なチャネル割り当てためのWiFiチャネル使用、又はそれらの学習かコールドスタートプロセスを加速するコンテキスト情報)を共有するか、又は協力的に(例えばロボット中継器のメッシュを生成することによって)動作することができる。
【0053】
本発明の実施形態はまた、例えば密集したアパート環境における複数のゾーン、例えば複数の家庭の場合に適合し、ロボットは、複数の家庭にわたって感知、学習及び位置決めを最適化する。例えば、1つ又は複数の可動ロボット装置は、アパート#1及び下の階/上の階/隣のアパート#2の両方におけるユーザにより優れたカバレッジを提供するために、アパート#1において、よりうまくユーザの位置を特定し、且つロボット自体を位置決めするために用いられてもよい。
【0054】
既に言及したように、スマート可動中継器のアイデアは、家庭用に作用するが、しかしまた企業において、工場現場において、飛行機において等でWiFi(又は他の無線接続)用に作用する。換言すれば、どこでもWiFi又は無線接続は提供される。
【0055】
本発明の実施形態は、例えばネットワークへのアクセスポイント、例えば可動且つスマートに構成された中継器又はゲートウェイ装置を作ることに関する。
【0056】
上記の設計は、「標準」ゲートウェイの通常の機能を提供し、改善されたカバレッジは、可動部によって提供される。可動部はまた、新しい能力を提供する。例えば、固定部及び可動部の両方にWiFi送信機及び受信アンテナを有することによって、家庭におけるユーザの高精度な位置測定と同様に、ユーザの呼吸パターン、ジェスチャ等の検出が可能になる。次に、このユーザ及びコンテキスト情報の全ては、個人化及び他の新しいサービス用に用いることができる。
【0057】
別の手法は、ボックスを完全に解き放つことであり、それは、5G及び他にマイクロセル/異種ネットワークなどの技術で可能になる。そのとき、今日の静的なボックスは、スマート可動ボックスになる。電力は、電池、床の誘導充電、環境発電、又は上記の組み合わせによって供給することが可能である。
【0058】
本発明の実施形態のコンポーネントは、機能モジュールによって実現されてもよく、機能モジュールは、識別可能な物理装置に対応してもしなくてもよい。例えば、複数のかかるモジュールが、独特なコンポーネント又は回路において関連付けられるか、又はソフトウェア機能に対応してもよい。更に、モジュールは、潜在的に、別個の物理的エンティティ又はソフトウェア機能から構成されてもよい。
【0059】
機能モジュールは、例えばVLSI回路又はゲートアレイを含むハードウェア回路、論理チップなどのディスクリート半導体コンダクタ、トランジスタ等として実現されてもよい。モジュールはまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイ論理、プログラマブル論理装置などのプログラマブルハードウェア装置において実現されてもよい。
【0060】
モジュールはまた、様々なタイプのプロセッサによる実行のためのソフトウェアにおいて実現されてもよい。実行可能コードのモジュール若しくはコンポーネントは、コンピュータ命令の1つ若しくは複数の物理若しくは論理ブロックを含んでもよく、又は例えばオブジェクト、手順若しくは機能として組織化されてもよい。モジュールの実行ファイルは、必ずしも一緒に位置しなくてもよい。
【0061】
更に、モジュールはまた、ソフトウェア及び1つ又は複数のハードウェア装置の組み合わせとして実現されてもよい。例えば、モジュールは、運転データセットを操作するプロセッサの組み合わせにおいて具体化されてもよい。更に、モジュールは、送信回路を介して通信される電気信号の組み合わせにおいて実現されてもよい。
【0062】
本開示は、特定の実施形態に関連して提示されたが、本発明は、特定の実施形態に限定されず、修正が、本発明の範囲内にいる当業者には明らかであろう。
【0063】
例えば、前述の例は、WiFiカバレッジに関連して説明されたが、実施形態が、例えば赤外線通信などの他の無線通信を提供するために、用いられてもよいことが認識されよう。
【0064】
本実施形態が、家庭環境の文脈で説明されるが、本発明の実施形態が、企業環境、工場現場、飛行機、列車等におけるネットワークアクセス用に適用されてもよいことが認識されよう。
【0065】
多くの更なる修正及び変形が、前述の実例的な実施形態を参照すれば、当業者の心に浮かぶであろう。前述の実例的な実施形態は、例としてのみ与えられ、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。本発明の範囲は、もっぱら添付の特許請求の範囲によって決定される。特に、相異なる実施形態からの相異なる特徴は、適切な場合に交換されてもよい。
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限定されない。
(付記1)
無線信号カバレッジを提供する装置であって、
無線信号トランシーバと、
ゾーン内で前記無線信号トランシーバを移動させる変位アセンブリと、
前記ゾーン内の無線信号カバレッジと、前記無線信号カバレッジにアクセスするように動作可能な無線装置の前記ゾーンに対する位置とに基づいて、可動装置を移動させるために前記変位アセンブリを制御するように構成されたプロセッサと、
を含む装置。
(付記2)
前記無線信号トランシーバが、ネットワークへのアクセスを提供する、付記1に記載の装置。
(付記3)
前記装置が、WiFi中継器を含む、付記1に記載の装置。
(付記4)
前記装置が、ゲートウェイの一部である、付記1又は2に記載の装置。
(付記5)
前記無線信号カバレッジが、前記ゾーンで測定された受信信号強度インジケータに基づいている、付記1又は2に記載の装置。
(付記6)
前記装置の移動経路上の障害物の存在を検出する障害物センサを更に含み、前記プロセッサが、障害物検出に基づいて、前記変位アセンブリの移動を制御する制御信号を生成するように構成されている、付記1~5のいずれか一項に記載の装置。
(付記7)
前記プロセッサが、前記無線装置の使用に基づいて、前記変位アセンブリの移動を制御する制御信号を生成するように更に構成されている、付記1~6のいずれか一項に記載の装置。
(付記8)
前記無線装置の位置が、音声認識コマンド、GPS信号、三角測量、赤外線信号検出、振動検出、オーディオ検出の少なくとも1つに基づいて決定される、付記1~7のいずれか一項に記載の装置。
(付記9)
前記無線装置の位置が、ユーザ行動履歴に基づいて予測される、付記1~8のいずれか一項に記載の装置。
(付記10)
複数の無線装置に無線カバレッジを提供するように構成され、前記プロセッサが、前記複数の無線装置の優先順位に基づいて前記変位を制御するように構成されている、付記1~9のいずれか一項に記載の装置。
(付記11)
ゾーンにおける無線信号カバレッジを提供する方法であって、
前記ゾーン内の前記無線信号カバレッジと、前記無線信号カバレッジにアクセスするように動作可能な無線装置の前記ゾーンに対する位置とに基づいて、無線信号カバレッジを提供する可動装置の移動を制御することを含む方法。
(付記12)
前記装置の移動経路上の障害物の存在を検出することと、障害物検出に基づいて前記装置の移動を制御する制御信号を生成することとを更に含む、付記11に記載の方法。
(付記13)
前記無線装置の使用に基づいて、前記装置の移動を制御することを更に含む、付記11又は12に記載の方法。
(付記14)
前記無線装置の位置が、音声認識コマンド、GPS信号、三角測量、赤外線信号検出、振動検出、オーディオ検出の少なくとも1つに基づいて決定される、付記11~13のいずれか一項に記載の方法。
(付記15)
付記11~14のいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を自らに格納した非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。