(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20220704BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20220704BHJP
A61B 34/30 20160101ALI20220704BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B5/055 311
A61B5/055 376
A61N5/10
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2018567083
(86)(22)【出願日】2017-06-22
(86)【国際出願番号】 US2017038867
(87)【国際公開番号】W WO2017223382
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-22
(32)【優先日】2016-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512129837
【氏名又は名称】ビューレイ・テクノロジーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViewRay Technologies, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・エフ・デンプシー
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-513560(JP,A)
【文献】国際公開第2015/138945(WO,A1)
【文献】特表2014-502541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61N 5/10
A61B 34/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴イメージングシステム(MRI)であって、
1.0テスラ未満の磁場強度を有するメイン磁石と、
勾配コイル部品と、
RFコイルシステムと、
ヒト患者からの磁気共鳴イメージングデータの取得及び処理のために構成され、パラレルイメージングを伴わないスパースサンプリングイメージング技術を利用するよう構成されるコントロールシステム
であって、1800Hz未満のRF周波数帯に対して構成されているコントロールシステムとを備える、
磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項2】
前記勾配磁場強度は20mT/mを下回る、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項3】
前記フリップアングルは40度より大きい、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項4】
前記コントロールシステムは、ケミカルシフト及び磁化率によるアーティファクトを0.5ミリメートル未満に保つために
前記RF周波数帯を利用するようさらに構成される、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項5】
前記メイン磁石の磁場強度は約0.35テスラである、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項6】
前記コントロールシステムは、ディフェージングパルスを必要としないパルス列を採用するよう構成される、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項7】
前記コントロールシステムは、75mT/m/msを超える勾配スルーレートを利用するよう構成される、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項8】
前記コントロールシステムは、同時マルチスライスイメージング技術を採用するよう構成される、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項9】
前記コントロールシステムは、シネMRIを生成するようにさらに構成される、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項10】
前記コントロールシステムは、少なくとも毎秒4フレームのシネMRIを実現可能にする速度で磁気共鳴イメージングデータを取得するようさらに構成される、
請求項
9に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項11】
前記メイン磁石は分割された磁石である、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項12】
前記勾配コイル部品は分割された勾配コイル部品である、
請求項
11に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項13】
前記システムに組み込まれる放射線治療デバイスをさらに備え、
前記放射線治療デバイスは、ヒト患者の放射線治療のために構成される、
請求項
11に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項14】
前記コントロールシステムは、前記ヒト患者中の組織の位置を追跡するためにシネMRIを利用するようさらに構成される、
請求項
13に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項15】
前記放射線治療デバイスは線形加速器である、
請求項
13に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項16】
前記線形加速器は、4~6MVの範囲内のエネルギーを有する、
請求項
15に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項17】
前記放射線治療デバイスは、陽子治療システム、重イオン治療システム及びラジオアイソトープ治療システムからなるグループから選択される、
請求項
13に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項18】
前記分割された磁石の間隙における手術的介入を許容するようさらに構成される、
請求項
12に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項19】
前記システムに組み込まれたロボット手術デバイスをさらに備える、
請求項
18に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項20】
前記メイン磁石は超伝導磁石である、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項21】
前記メイン磁石は抵抗磁石である、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項22】
前記メイン磁石はバッテリシステムにより電源を供給される、
請求項
21に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項23】
前記メイン磁石は非超伝導磁石である、
請求項
13に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項24】
前記RFコイルシステムは表面コイルを含まない、
請求項1に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項25】
少なくとも1つのプログラマブルプロセッサにより実行された時に、前記少なくとも1つのプログラマブルプロセッサに、
1.0テスラ未満の磁場強度のメイン磁石と、勾配コイル部品と、RFコイルシステムとを備える磁気共鳴イメージングシステム(MRI)を通じてヒト患者から磁気共鳴イメージングデータを取得するステップであって、前記取得するステップはパラレルイメージングを伴わないスパースサンプリングイメージング技術を利用
し、1800Hz未満のRF周波数帯を利用する、取得するステップと、
前記磁気共鳴イメージングデータを処理するステップであって、ヒト患者の画像を再構築することを含むステップと
を含む動作を実行させる命令を格納する、非一時的機械可読媒体を備える、
コンピュータプログラム製品。
【請求項26】
前記取得するステップは、20mT/m未満の勾配磁場強度を利用する、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
前記取得するステップは、40度よりも大きいフリップアングルを利用する、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項28】
前記取得するステップは、ケミカルシフト及び磁化率によるアーティファクトを0.5ミリメートル未満に保つために
前記RF周波数帯を利用する、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項29】
前記取得するステップは、磁場強度が約0.35テスラであるメイン磁石を利用する、
請求項
25に記載の磁気共鳴イメージングシステム。
【請求項30】
前記取得するステップは、ディフェージングパルスを必要としないパルス列を採用する、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項31】
前記取得するステップは、75mT/m/msを超える勾配スルーレートを利用する、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項32】
前記取得するステップは、同時マルチスライスイメージング技術を利用する、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項33】
前記処理するステップ及び再構築するステップは、シネMRIを生成するステップを含む、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項34】
前記シネMRIを生成するステップは、少なくとも毎秒4フレームを含む、
請求項
33に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項35】
前記動作は、前記ヒト患者に放射線治療を施すために放射線治療デバイスを制御するステップをさらに含む、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項36】
前記動作は、前記ヒト患者中の組織の位置を追跡するために前記磁気共鳴イメージングデータを利用するステップをさらに含む、
請求項
35に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項37】
前記動作は、前記ヒト患者中の組織の位置の追跡結果に基づいて、前記放射線治療デバイスによる前記放射線治療の施術を変更するステップをさらに含む、
請求項
35に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項38】
前記動作は、手術介入をモニタするために前記磁気共鳴イメージングデータを利用するステップをさらに含む、
請求項
25に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本出願は、「磁気共鳴イメージング」と題され、2016年6月22日に受理された、米国特許仮出願第62/353583号に基づく優先権を主張し、当該仮出願の開示内容は、全体を通して本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に説明される目的課題は、磁気共鳴イメージング及びそれに関連する様々な診断への介入的応用のためのシステム、方法及びコンピュータソフトウェアに関する。
【背景技術】
【0003】
磁気共鳴イメージング(MRI)、又は核磁気共鳴イメージングは、ラジオ波信号、強力な磁場(位相及び周波数を局所化並びにエンコード又はデコードするために、交差方向に弱い勾配の磁場がかけられている)及び体組織の間の相互作用を用いて患者の体内の射影、スペクトル信号、及び、平面若しくは立体の画像を獲得する非侵襲的イメージング技術である。磁気共鳴イメージングは特に軟らかい組織のイメージングに役立ち、病症の診断のために用いられ得る。患者の内部で動く構造のイメージングを必要とする医療条件の診断のためには、リアルタイムMRI又はシネMRIが用いられ得る。リアルタイムMRIは、放射線治療又は画像誘導手術といった介入手順の他、そのような手順の計画と共に用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
磁気共鳴イメージングのシステム、方法及びソフトウェアが開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施例は、低磁場強度を有するメイン磁石、勾配コイル部品、RFコイルシステム、及びヒト患者からの磁気共鳴イメージングデータの取得及び処理のためのコントロールシステムを伴って用いられ得る。
【0006】
いくつかの実施例では、メイン磁石の磁場強度は、1.0テスラ未満であり、他の実施例では磁場強度は約0.35テスラである。いくつかの実施例では、MRIのコントロールシステムは、(例えば20mT/mを下回る)低勾配磁場強度を利用し、(例えば40度よりも大きい)大きいフリップアングルを利用し、ケミカルシフトアーティファクト及び磁化率アーティファクトを1ミリメートル未満(例えば1800Hz未満のRF周波数帯)に保つためにRF周波数帯を利用し、75mT/m/msを上回る勾配スルーレートを利用し、及び/又はディフェージングパルス又はスポイラーパルスを必要としないパルス列を採用するように構成される。いくつかの実施例では、RFコイルシステムは表面コイルを含み得ない。
【0007】
磁気共鳴イメージングシステムのコントロールシステムは、(例えば少なくとも4FPSの)シネMRIを生成するようにも構成される。別の実施例において、磁気共鳴イメージングシステムは、ヒト患者の放射線治療のための放射線治療デバイスを組み込まれてもよく、コントロールシステムは、ヒト患者中の組織の位置を追跡するためにシネMRIを利用するようにさらに構成されてもよい。放射線治療デバイスは、例えば4~6MVの範囲内のエネルギーを有する線形加速器であり得る。放射線治療デバイスは、陽子治療システム、重イオン治療システム、又はラジオアイソトープ治療システムでもあり得る。
【0008】
磁気共鳴イメージングシステムは分割オープンボア型の磁石を備えてよく、例えばシステムに組み込まれたロボット手術デバイスによる、分割された磁石の間隙における手術的介入を許容するよう設定され得る。同様に、勾配コイル部品は分割された勾配コイル部品であり得る。メイン磁石は超伝導磁石、非超伝導磁石、又は抵抗磁石であり得る。メイン磁石はバッテリシステムにより電源を供給されてもよい。
【0009】
現在の要旨の実施例は、有形に実施されかつ、1つ以上の機械(たとえばコンピュータなど)に、説明された特徴のうち1つ以上を実施する動作を引き起こさせる機械可読媒体を含む物品及びコンピュータプログラム製品に加え、本明細書に提供された説明に係る方法を含み得る。同様に、コンピュータシステムは、1つ以上のプロセッサ及び当該1つ以上のプロセッサに結合された1つ以上のメモリを含み得ることをも想定されている。コンピュータ可読記憶媒体を含み得るメモリは、本明細書で説明された動作の1つ以上を実行させる1つ以上のプログラムを含み、エンコードし、又は格納等してよい。現在の要旨の1つ以上の実施例に係るコンピュータ実行の方法は、単一の計算システム内、又は複数の計算システムにわたって存在する1つ以上のデータプロセッサにより実行され得る。そういった複数の計算システムは接続されてよく、1つ以上の接続を通じてデータ及び/又はコマンド若しくは他の命令等を交換可能であり、当該接続はネットワーク経由の接続(例えばインターネット、無線広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、有線ネットワーク等)、当該複数の計算システムのうち1つ以上の間の直接接続を通じた接続などを含み得るが、これらに限定されない。
【0010】
本明細書で説明される要旨の1つ以上の変形の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本明細書で説明される要旨の他の特徴及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかとなる。例示を目的として、現在開示される要旨の特定の特徴は特定の実施例に触れながら説明されているが、そういった特徴が限定を意図するものではないことは即座に理解されるべきである。本開示に続く特許請求の範囲は、保護される要旨の保護範囲を定めることを意図するものである。
【0011】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本明細書で開示される目的課題の特定の態様を開示し、開示された実施例に関する概念のいくつかを説明するのを助ける。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の特定の態様に係る磁気共鳴イメージングのシステムの例を示す単純化した斜視図である。
【
図2】本開示の特定の態様に係る、例示的な介入装置を組み込んだ磁気共鳴イメージングのシステムの例を示す単純化した斜視図である。
【
図3】本開示の特定の態様に係る、リアルタイムMRI誘導の放射線治療の例示的方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、とりわけ、制限された磁化率歪み及びケミカルシフトアーティファクトを伴う高品質の磁気共鳴イメージングを可能にするシステム、方法及びコンピュータソフトウェアを説明する。これは、ミリメートル未満の空間精度、適切な比吸収率(SAR)を伴う高いフレームレートでの映像化能力、並びにリアルタイムな2D及び立体のMRI誘導の、診断的及び介入的応用をサポートする能力に結びつく。
【0014】
図1は、本開示の特定の態様に係る磁気共鳴イメージングシステム(MRI)100の1つの実施例を示す。
図1において、MRI100は、メイン磁石102、勾配コイル部品104、及びRFコイルシステム106を含む。MRI100内には、ヒト患者110が横たわる患者診察台108がある。MRI100は、以下で詳細に述べるコントロールシステム112も含む。
【0015】
MRI100のメイン磁石102は、
図1に示す間隙116を伴い、バットレス114で仕切られた筒状分割又はオープンボア型の磁石、クローズボアの筒状配置、C字型の配置、双極性磁石などであってよい。メイン磁石102は、電磁石、永久磁石、超電導磁石又はそれらの組み合わせを含む、数種類の磁石で構成され得る。例えば、結合磁石又は「ハイブリッド」磁石は、永久磁石及び電磁石を含む。メイン磁石102は、一般に用いられる任意の磁場強度に対して用いられ得るが、低磁場強度に対して用いられるのが望ましい。本明細書において「低磁場強度」の語が用いられる場合、それは1.0テスラ未満の磁場強度を指す。特に、本開示の特定の実施例では、メイン磁石102の磁場強度は、0.1~0.5テスラのレンジ内に設定されるか、又は約0.35テスラに設定され得る。例えばメイン磁石の磁場強度が概ね0.2テスラ未満である場合、システムは抵抗磁石若しくは永久磁石、又はそれらの組み合わせを用いるように設計され得る。ある実施例において、単一又は複数の抵抗磁石を利用するシステムは、例えテスラ社のPowerwall(登録商標)又はその類似品といったリチウムイオンシステムのような、直流バッテリシステムにより電源を供給されてもよい。
【0016】
勾配コイル部品104は、メイン磁石102の磁界の上から微小な可変磁界を加えて、イメージングデータの空間エンコーディングを許容するのに必要なコイルを含む。勾配コイル部品104は、連続した筒型部品、
図1に示すように分割された勾配コイル部品、又は特定のMRIに必要な他のデザインであってよい。
【0017】
RFコイルシステム106は、患者110内の水素プロトンの回転を誘起し、次いで患者110から発せられる信号を受信することが可能である。RFコイルシステム106は従って、RF送信部とRF受信部を含む。
図1の実施例は、RF送信及びRF受信の両方の機能を動作する単一のボディコイルを含む。RFコイルシステム106はかわりに、送信機能及び受信機能をボディコイル及び表面コイルに分割するか、又は表面コイルに送受信機能の両方を与えてもよい。
図1の実施例に示されるRFコイルシステム106は連続した筒型の形状を持つが、これは間隙116が患者からメイン磁石102の外周まで開くような分割のやり方でデザインされてもよい。
【0018】
コントロールシステム112は、患者110からの磁気共鳴イメージングデータの取得及び処理を行うよう設定される。コントロールシステム112は、複数のサブシステムを含んでよい。サブシステムは例えば、勾配コイル部品104の機能、RFコイルシステム106の機能、又はシステムそれ自身の一部の機能を制御するもの、並びにRFコイルシステム106から受信したデータを処理して画像の再構築を実行するものである。
【0019】
有益なある実施例では、コントロールシステム112は、パラレルイメージングを用いず、スパースサンプリングイメージ技術を利用するように設定されてよい。本明細書において「スパースサンプリングイメージング技術」の語が用いられる場合、周波数空間の一部のみ(本開示の目的としては、通常の逆投影法を用いて画像を再構築するための周波数情報の50%以下)が計測され、再構築された画像の周波数情報及び計測された周波数情報の間の一貫性を概ね満たしつつも、イメージング対象の前提知識に沿うよう再構築された画像を最適化することで画像の再構築を行う、画像取得及び再構築の技術を指す。スパースサンプリングイメージング技術は従って、本出願と同時に提出されてViewRay Technologies社にアサインされた米国特許出願第62/353530号に開示されている、圧縮センシング及び容積イメージング技術といった技術を含む。
【0020】
パラレルイメージング技術は、データ取得のために必要な時間を短縮するために、磁気共鳴イメージングで、特にシネMRIと共によく用いられる。パラレルイメージング法は、複数の(「要素」の配列を有する表面コイルといった)RFディテクタにより受信された信号の空間分布の知識を用いることで、MRIプロセスにおいて時間のかかるフェーズエンコードステップの一部に取って代わる。このやり方では、信号は複数のコイル要素から「並行に」受信され、読み出し軌跡に沿うk空間におけるより少ない部分のサンプリングは、全コイル要素からのデータの重複により補われる。
【0021】
しかしながら、本開示の特定の実施例は、パラレルイメージング技術を利用することのないデータ取得及び処理を想定している。本開示では「非パラレルイメージングの」磁気共鳴データ取得及び取得と呼ばれるこのような場合、それは、(おそらく侵害を避けようとする中で)信号対ノイズ比率を有意に大きく増加させるには足りない程度に少量のパラレルイメージングを組み込み、他の値はすべて定数となるよう設計されたシステム、方法及びコンピュータソフトウェアも想定するものである。
【0022】
いくつかの有益な実施例では、MRI及びコントロールシステム112は、例えば20mT/m、又は他の場合では12mT/mを下回る低勾配磁場強度を利用するよう構成されてよい。加えて、いくつかの有益な実施例では、75mT/m/msを上回るスルーレートといった、比較的高勾配のスルーレート又は上昇時間を利用してよい。コントロールシステム112は、例えば40度より大きい、大きなフリップアングルを利用するのに有利に構成されていてもよい。加えて、コントロールシステム112は、ディフェージングパルスを必要としないパルス列(ここでこのようなパルス列は、ディフェージングパルスを全く有しないか、又は、患者処理能力の観点から見てデータ取得の速度に有意な上昇がないような、少数のディフェージングパルス又はスポイリングパルスのみを有することを想定している)を採用するのに有利に構成されていてよい。
【0023】
いくつかの実施例では、コントロールシステム112は、ケミカルシフトアーティファクト及び磁化率アーティファクトを1ミリメートル、又は0.5ミリメートルを下回る値に保つために、RF周波数帯を利用するよう構成されていてよい。例えば、コントロールシステム112は、1800Hz未満のRF周波数帯に対して構成されていてよい。磁化率及びケミカルシフトに起因する潜在的な最悪ケースにおけるアーティファクトの評価が評価され得る。例えば、人間の歪み評価値に観測される最悪の、例えば8ppmの、乱れの場合に対し、磁化率アーティファクトを推定するのに以下の式[1]が用いられ得る。
【0024】
【0025】
ここで、δms[mm]は、磁化率アーティファクトに起因する空間歪みで、単位はミリメートルである。磁化率アーティファクトは、磁化率誘発の磁場変化に起因する。ただし磁化率は、メイン磁場強度Bo[T](単位テスラ)の百万分率で表される。また、Ge[T/mm]は勾配符号化強度であり、単位はテスラ・パー・ミリメートルである。
【0026】
また、ケミカルシフトに起因するずれを推定するために、以下の式[2]が用いられ得る。
【0027】
【0028】
ここで、δcs[mm]は、ケミカルシフトに起因する空間歪みであり、単位はミリメートルである。ただし、3.5[ppm]は、あるピクセル又はボクセルのサイズ(PixelSize、単位ミリメートル)において、炭素に結合した水素(C-H)に対する酸素に結合した水素(O-H)の、ラーモア周波数における百万分率の相対的な差である。また、fBoは水中の水素のラーモア周波数であり、BW[Hz/pixel]はあるピクセル又はボクセルに対する周波数帯であり、単位はヘルツ・パー・ピクセル又はヘルツ・パー・ボクセルである。
【0029】
最悪の場合の歪みは、これら2つの歪みの合計に、補正されていない勾配磁場の非線形成分に起因する残ったすべての歪みを足したものである。
【0030】
本開示に係る磁気共鳴イメージングシステム100の特定の一実施例において、メイン磁石102の磁場強度は約0.35テスラであり、コントロールシステム112は12mT/mを下回る勾配磁場強度と、75mT/m/msを上回る勾配スルーレートと、40度より大きいフリップアングルと、1800Hz未満のRF周波数帯と、ディフェージングパルスを含まないパルス列とを利用するよう構成される。コントロールシステム112は、非パラレルイメージングのスパースサンプリングイメージング技術を利用するよう構成されていてもよい。
【0031】
磁気共鳴イメージングシステム100の別の実施例において、メイン磁石102の磁場強度は約0.15テスラであり、コントロールシステム112は、10mT/mを下回る勾配強度と、75mT/m/msを上回る勾配スルーレート、1000Hz未満のRF周波数帯、及びディフェージングパルスを含まないパルス列を利用するよう構成されてよい。この実施例では、コントロールシステム112は、非パラレルイメージングのスパースサンプリングイメージング技術を利用するよう構成されていてもよい。
【0032】
本明細書でさらに議論されるとおり、本開示のシステム、方法及びコンピュータソフトウェアの特定の実施例は、シネ平面、シネ複平面、又はリアルタイム容積若しくは「4D」(3D空間+時間次元)の磁気共鳴イメージングにとって有益である。コントロールシステム112は従って、必要に応じてデータを取得及び処理し、画像を再構築してシネMRIを作成し、例えば、患者110中で許容可能な特定の吸収率を保ちつつ、少なくとも毎秒4フレームのシネMRIを実現可能にするよう構成されていてよい。
【0033】
高い信号対ノイズ比率のためにはメイン磁石の磁場強度が高いことが常に望ましいが、所望の磁場強度は主にサイズ及びコストを考慮して制限されるというのが従来の知識である。より高い信号対ノイズ比率、コントラスト、及び解像度を通じて、より高い磁場強度は典型的には、医師が結果画像に基づいた診断を行う能力を向上させる。しかしながら、(例えば1.0テスラを下回る)低いメイン磁石磁場強度を利用する本開示の実施例は、高品質の画像に結びつき、加えて複数の利益を提供する。
【0034】
例えば、本開示の実施例は、1800Hz未満のRF周波数帯を含むことができ、これによりケミカルシフトアーティファクト(すなわち、水及び油脂といった異なる化学環境における水素原子が、O-H及びC-H化学結合に係る電子の共有における差異による、メイン磁場から部分的にシールドされ、そのため異なる原子磁気共鳴ケミカルシフトを持つ場合に、周波数符号化による信号を位置づけるときに異なる空間位置に現れることを指す)が減少する。高磁場システムは重大なケミカルシフトアーティファクトを示し、高いRF周波数帯(及びそれに付随する低い信号対ノイズ比)を要求する一方で、本明細書に開示される低磁場システムは、より低いRF周波数帯を用いて高い空間整合性を維持することができる。
【0035】
加えて、イメージング対象の反磁性及び常磁性(及び稀に強磁性)が磁場を乱す場合、メイン磁場強度が高いシステムは重大な磁気感度アーティファクトを示し、空間的に歪んだ画像につながる。こういった高磁場システムにおける問題は、典型的には勾配磁場強度の増加を通じて対処され得るが、本開示の実施例は同じレベルのアーティファクトを回避し、それゆえ低い勾配磁場強度を利用し得るため、改善された信号対ノイズ比率、及びより低い比吸収率に結びつく。
【0036】
さらに、本明細書で議論されるシステム、方法及びソフトウェアは、信号対ノイズ比率の低下を引き起こすパラレルイメージングを用いずに実施することができるため、イメージング速度の上昇が期待される。かわりに、本明細書で開示されるスパースサンプリング技術は、画像取得速度を大幅に減ずることのない程度に比較的高い信号対ノイズ比率を持つ、高いフレームレートでの取得を可能にする。例えば、スキャンの前に取得された先験的データを通じて、「グリッド」k空間データの使用を避け、再帰的な最適化技術を適用する。パラレルイメージングをしようしないことにより、位相配列受信コイルの使用も回避され得る。これにより、より複雑でない技術で高品質のイメージングが達成される。使用されるRF受信チャネルの数は減少し、事実上はただ1つのRF受信チャネルが採用され得るのに伴い、高価な分光器の数も減少する。
【0037】
本開示の特定の実施例は、患者と接触する表面コイルなしに採用されることもできる。かわりに、送信及び受信コイルの両方を含み、MRIのボア内に組み込まれたボディコイルのみでイメージングが実行される。
【0038】
加えて、複数のイメージングスライス又は部分容積が同時に刺激され同時に読み出される、同時マルチスライスイメージング技術が有益に採用され得る。同時マルチスライス刺激の一実施例は、異なる位相変調関数を持つ複数のRF波形を総和し、共通のスライス選択勾配の存在の下で、所望のスライスを刺激することのできるマルチバンドパルスに結びつく。
【0039】
さらに、本開示の実施例は、高いメイン磁場強度においては患者の過熱を引き起こす、比較的高いフリップアングルを利用することができる。本開示の実施例において大きいフリップアングルは、画像のコントラスト及び信号対ノイズ比率の改善に結びつく。
【0040】
加えて、本明細書で議論される低メイン磁場強度の実施例は、より速いRF信号の減衰を示し、(より低い比吸収率の利点とともに)ディフェージングパルスを必要としないパルス列を許容する。
【0041】
本開示の特定の実施例における低メイン磁場強度は、より低い周波数のRF刺激パルスを許容するため、それらのパルスによる患者の加熱を低減させることもできる。
【0042】
さらにまた、本開示の実施例に示される良好に制御された比吸収率により、高フレームレートのシネMRIに十分なスピードでデータを処理及び取得できるようになる。
【0043】
上述された数々の利点により、本開示の実施例は、許容可能な患者比吸収率を有する高品質のシネMRIのために適切である。これらの実施例は、磁気感度及びケミカルシフトアーティファクトをコントロールし、高い空間整合性を提供する。これは特定の診断及び介入の応用において重大であり得る。
【0044】
本開示の実施例は、診断用シネMRIのための数々の応用において有益であり得る。例えば、解剖学的ローカライザ、(例えば発声といった)動作の位置確認及び研究のための繰り返しの高速イメージング、(例えば胎児MRIといった)自由に移動する対象のイメージング、心臓のイメージング等が例に含まれる。
【0045】
本開示の実施例は、高い空間整合性及び制御された比吸収率からも利益を得る介入的応用にも有益である。介入的応用の例は、血管形成、ステントデリバリー、血栓溶解、動脈瘤の解消、血栓溶解、筋腫塞栓、及び現在蛍光透視法が用いられている(かつシネMRIの使用が患者の放射線被曝量を減少させる)多数の他の応用を含む。
【0046】
本開示の実施例は、画像誘導手術のためにも用いられ得、かつ複数の直行平面におけるリアルタイムな手続中誘導、装置の位置に関するイメージングフィードバック、誘導及び/又は警告システムなどを提供し得る。
図1に図示したものと類似の(ただし分割RFコイルシステム106を有する)オープンボアMRIの実施例は、特にそういった介入手続のために有益であり得る。従ってMRI100は、分割磁石における手術的介入を許容するよう設定され得、かつシステムに組み込まれたロボット手術デバイスをさらに含み得る。
【0047】
本開示の特定の実施例に低磁場強度を伴うことのさらに別の利点は、ロボット手術装置、生検装置、極低温切除ユニット、小線源療法装置、放射線治療装置などといった、MRI100に交えて採用される任意の介入装置に加えられる磁力の減少である。
【0048】
介入装置(たとえば、リニアックといった放射線治療装置)と組み合わせられる磁気共鳴イメージングシステム100のある実施例において、例えば抵抗磁石、永久磁石又はハイブリッド磁石などの、低磁場強度で非超伝導の磁石が利用される。
【0049】
本開示の特定の実施例の別の有益な応用は、画像誘導放射線治療の分野におけるものである。放射線治療の応用も、高い空間整合性を有する高フレームレートのシネMRIを提供する本開示の能力からの利益を受ける。これらはどちらも、治療されている対象を正確に追跡し、多量の電離放射線を患者の致命的な構造体に当てることを回避するための鍵である。
【0050】
図2は、患者110を治療するために放射線治療デバイスを組み込まれるようにさらに設定されたMRI100を示す。ある実施例において、MRI100はオープンボアMRIの間隙116に位置するガントリー202を含み得る。ガントリー202は、放射線治療デバイス204を組み込み、放射線治療ビーム206を患者110に向けるよう設定され得る。ある特定の実施例において、放射線治療デバイス204は4~6MVの範囲内のエネルギーを有する線形加速器であり、図示されたように、線形加速器のコンポーネントは、ガントリー202の周りに配置される個別のシールドコンテナ208に分割され得る。これらのリニアックコンポーネントは次いでRF導波管210に接続されてよい。
図2は特定の放射線治療デバイスの配置を示しているが、本開示は、陽子治療法、重イオン治療法、ラジオアイソトープ療法など任意の種類の放射線治療システムの組み込みを考慮している。
【0051】
上で注意したように、磁気共鳴イメージングシステム100のコントロールシステム112は、シネMRIのために設定され、さらにシネMRIを利用してヒト患者110中の組織の位置を追跡するように設定され得る。
【0052】
低磁場強度のメイン磁石102を利用する本開示の実施例の追加の利点は、セカンダリ電子(及び陽電子)の移動によりはたらく磁気ローレンツ力によって生じる、患者110における電離放射線被曝量分布の歪みが減少することである。より高い磁場のメイン磁石により及ぼされるローレンツ力は、電子(及び陽電子)の散乱能を過剰に強くし、電子(及び陽電子)を、その自然な軌道を外れて回転させかつ低密度インターフェースに捕らえる。これは、患者内で予期されない有害な被曝量集中に結びつく可能性を有する。
【0053】
図3は、本開示の実施例に係るリアルタイム画像誘導放射線治療の方法の例を示す。302において、磁気共鳴イメージングデータは、低磁場強度の超伝導メイン磁石、勾配コイル部品104、磁気共鳴イメージングシステム100を通じて、ヒト患者110から取得され得る。304において、磁気共鳴イメージングデータが処理される。306において、ヒト患者110に放射線治療が施される。308において、患者110中の単一又は複数の組織の位置を追跡するのに磁気共鳴イメージングデータが利用される。そして、310において、患者110内の単一又は複数の組織の位置の追跡結果に基づいて、放射線治療の施術が変更される。治療の変更は、治療の停止、治療の再最適化、放射線治療ビームの調整などが考慮される。
図3に示す方法の例は、上述の(たとえば、低勾配磁場強度、大きいフリップアングル、空間的一貫性を保つためのRF周波数帯などの)特徴の一部又は全部を含み得る。
【0054】
本開示が「磁気共鳴イメージングシステムは特定のやり方で動作するよう設定される」と表記する時、それはそれらのシステムがそのやり方で動作するようにセットアップされ、かつそうすることを意図されるように設定されることを意味する。これは本明細書において説明又は特許請求されるやり方で動作しない単一若しくは複数のパルスシーケンス又は設定を利用するように設定されてもいるか否かに関わらない。
【0055】
本開示は、本明細書の実施形態において開示された計算は、本明細書で教示されたのと同じ概念を適用して、いくつもの道筋で実行され得ること、並びにそういった計算が開示された実施形態と等価であることを、本開示は想定する。
【0056】
本明細書で説明された要旨の1つ以上の態様又は特徴は、デジタル電子回路、組み込み回路、特別に設計された特定用途向け組み込み回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにより実現可能である。これらの様々な態様又は特徴は、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は翻訳可能な1つ以上のコンピュータプログラムによる実施例を含む。当該プロセッサは、専用でも汎用でもよく、データ及び命令を送受信するためのストレージシステム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置と接続されてよい。プログラマブルシステム又は計算システムは、クライアント及びサーバを含んでよい。クライアント及びサーバは一般には互いに遠隔であり、典型的には遠隔通信ネットワークを通じてインタラクトする。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上でコンピュータプログラムを実行し、互いにクライアント-サーバ関係を持つことによって発生する。
【0057】
これらのコンピュータプログラムは、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、アプリケーション、コンポーネント、又はコードとも呼ばれ、プログラマブルプロセッサのための機械命令を含み、かつ高級手続言語、オブジェクト指向プログラミング言語、関数型プログラミング言語、論理プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語により実行され得る。本明細書で用いられる「機械可読媒体」(又は「コンピュータ可読媒体」)の用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを提供するために用いられる磁気ディスク、光ディスク、メモリ、及びプログラマブル論理デバイス(PLD)といった任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイスを指し、機械命令を機械可読信号として受信する機械可読媒体を含む。「機械可読信号」(又は「コンピュータ可読信号」)の用語は、プログラマブルプロセッサに機械命令及び/又はデータを送信するために用いられる任意の信号を指す。機械可読媒体は、例えば非一時的ソリッドステートメモリ若しくは磁気ハードドライブ、又は任意の等価な記憶媒体に例示されるように、そういった機械命令を非一時的に格納可能である。機械可読媒体は、代替的又は追加で、プロセッサキャッシュ又は1つ以上の物理プロセッサコアと関係づけられた他のランダムアクセスメモリに例示されるように、そういった機械命令を一時的なやり方で格納可能であり得る。
【0058】
ユーザとのインタラクションを提供するために、本明細書で説明される要旨の1つ以上の態様又は特徴は、例えばカソードレイチューブ(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)若しくは発光ダイオード(LED)モニタといったユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイスと、ユーザがコンピュータに入力を提供できる、キーボード及び、例えばマウス又はトラックボールといったポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実行され得る。ユーザとのインタラクションを提供するために他の種類のデバイスも用いられ得る。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、例えば視覚フィードバックといった感覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックの任意の形であってよい;ユーザからの入力は、音、声、又は接触の入力を含む任意の形で受信されてよいが、これらに限定されない。他の可能な入力デバイスは、タッチスクリーン、又は、シングルポイント又はマルチポイントの抵抗式又は静電容量式トラックパッドといった他の接触感知デバイス、音声認識ハードウェア及びソフトウェア、光学スキャナ、光学ポインタ、デジタルイメージキャプチャデバイス、及び関係づけられた翻訳ソフトウェアなどを含むが、これらに限定されない。
【0059】
上記の説明及び特許請求の範囲において、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」に類する表現は、要素又は特徴の接続的なリストにより追随されて現れ得る。「及び/又は」の用語も、2つ以上の要素又は特徴のリストにおいても現れ得る。これらの表現は、前後の文脈で暗に又は明に言及されているのでない限り、記載された要素又は特徴のいずれかを個別に意味するか、又は、列挙された要素又は特徴のいずれか1つを、他の列挙された要素又は特徴のいずれか1つと組み合わせたものを意味することを意図するものである。例えば、「A及びBの少なくとも1つ」、「A及びBのうち1つ以上」及び「A及び/又はB」の表現はいずれも、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味する。同様の解釈は、3つ以上のものを含むリストにおいても同様に意図されている。例えば、「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B及びCのうち1つ以上」及び「A、B及び/又はC」の表現はいずれも、「Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの両方、A及びCの両方、B及びCの両方、並びに、A~Cのすべて」を意味することが意図されている。上述及び特許請求の範囲における「~に基づいて」の表現は、「少なくとも部分的に~に基づいて」を意味し、列挙されていない特徴又は要素も許容するものである。
【0060】
本明細書で説明された要旨は、所望される配置によってシステム、装置、方法、コンピュータプログラム及び/又は物品の上で実施され得る。添付の図面で示され、及び/又は本明細書で説明された方法又はロジックフローは、所望の結果を達成するために、必ずしも示された順序、又は手続順序を必要としない。先述の説明で記載された実施例は、本明細書で説明された要旨と一致する全ての実施例を表現するものではなく、それらは説明された要旨に関連する態様と一致するいくつかの例に過ぎない。いくつかの変形は上記で詳細に説明されたが、他の変更又は追加も可能である。特に、本明細書に記載されたものに加え、さらなる特徴及び/又は変形が提供され得る。上述された実施例は、開示された要素の様々な組み合わせ及び部分的組み合わせ、及び/又は上で示された、いくつかのさらなる特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせが対象となり得る。さらに、上述の利点は、発行されるいかなる特許請求の範囲の応用をも、いずれか又は全ての利点を達成するプロセス又は構造に限定することを意図しない。
【0061】
加えて、節の見出しは、本開示から発行し得るいかなる特許請求の範囲に定められる単一又は複数の発明をも、限定又は特徴付け得ない。特に、かつ例として、見出しが「技術分野」を参照しても、そういった特許請求の範囲は、いわゆる技術分野を説明するために本見出しの元で選択された言語により限定されるべきではない。さらに、「技術的背景」における技術の説明は、当該技術が本開示のいずれかの単一又は複数の発明に対する先行技術であることの自認として構成されるものではない。「発明の概要」も、主張する特許請求の範囲に記載された単一又は複数の発明の特徴として認識されるものではない。さらに、本開示への一般の参照又は単数形の「発明」という語の使用は、下で記載される特許請求の範囲におけるいかなる限定をも示唆するものではない。複数の発明が、本開示により主張される複数の特許請求の範囲の限定により記載され得る。またそれに応じて、そういった複数の特許請求の範囲が、それにより保護される単一若しくは複数の発明及びそれらの均等を定める。