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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】固定部材及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20220704BHJP
   F16B 21/08 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
F16B19/00 Q
F16B21/08
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019014321
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020122517
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-06-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山中 英岳
(72)【発明者】
【氏名】堀内 俊亨
(72)【発明者】
【氏名】森下 大
(72)【発明者】
【氏名】江村 卓士
(72)【発明者】
【氏名】林 秀治
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-059080(JP,U)
【文献】国際公開第2016/084670(WO,A1)
【文献】実開平05-019014(JP,U)
【文献】特開2017-210982(JP,A)
【文献】特開2004-129363(JP,A)
【文献】特開2011-236927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 17/00- 19/14
F16B 21/00- 21/20
B60R 16/02
H01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端部に設けられたコネクタを固定対象に固定するための固定部材であって、
前記コネクタにおける互いに直交する3方向をそれぞれコネクタの前後方向、幅方向、高さ方向として、
前記コネクタの被固定部が前後方向に挿入され、前記被固定部に対して少なくとも前後方向に係止されるロック部と、
前記ロック部を有する底壁部、及び前記底壁部から延出され、前記コネクタの幅方向の両側をそれぞれ保持する一対の側壁部を有する第1保持部と、
前記各側壁部に対して前記底壁部とは反対側で連結され、前記第1保持部の前記底壁部と協働して前記コネクタを高さ方向において挟む態様で保持する第2保持部と、
前記第1保持部及び前記第2保持部のいずれか一方に設けられ、前記固定対象に固定される対象側固定部と、を備え
前記ロック部は、前記コネクタの前記被固定部に対して前記高さ方向においても係止される固定部材。
【請求項2】
前記第2保持部は、前記第1保持部に対して着脱可能に構成され、請求項1に記載の固定部材。
【請求項3】
前記電線を案内するための電線案内部を、前記第1保持部の前記底壁部及び前記各側壁部から延出する態様で備えた、請求項1または請求項2に記載の固定部材。
【請求項4】
前記固定対象に固定される第2の対象側固定部を前記電線案内部に備えた、請求項3に記載の固定部材。
【請求項5】
電線と、
前記電線の端部に設けられたコネクタと、
前記コネクタを固定対象に固定するための、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の固定部材と、を備えたワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固定部材及びワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電線の端部に設けられたコネクタを車両ボディなどの固定対象に固定するための固定部材が記載されている。この固定部材とコネクタとの固定構造では、コネクタの一部位を当該固定部材のロック部に挿入することで、固定部材とコネクタとが固定されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-326726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような固定構造では、コネクタの一部位が挿入されるロック部においてコネクタが固定部材に固定されるのみであるため、固定部材とコネクタとの間のガタつきが生じる問題があった。
【0005】
そこで、コネクタとの間のガタつきを抑制することを可能にした固定部材及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の固定部材は、電線の端部に設けられたコネクタを固定対象に固定するための固定部材であって、前記コネクタにおける互いに直交する3方向をそれぞれコネクタの前後方向、幅方向、高さ方向として、前記コネクタの被固定部が前後方向に挿入され、前記被固定部に対して少なくとも前後方向に係止されるロック部と、前記ロック部を有する底壁部、及び前記底壁部から延出され、前記コネクタの幅方向の両側をそれぞれ保持する一対の側壁部を有する第1保持部と、前記各側壁部に対して前記底壁部とは反対側で連結され、前記第1保持部の前記底壁部と協働して前記コネクタを高さ方向において挟む態様で保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部のいずれか一方に設けられ、前記固定対象に固定される対象側固定部と、を備えた固定部材である。
【0007】
また、本開示のワイヤハーネスは、電線と、前記電線の端部に設けられたコネクタと、前記コネクタを固定対象に固定するための上記固定部材と、を備えたワイヤハーネスである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コネクタとの間のガタつきを抑制することを可能にした固定部材及びワイヤハーネスを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態にかかるワイヤハーネスの斜視図である。
図2図2は、同実施形態にかかるワイヤハーネスの平面図である。
図3図3は、同実施形態にかかるワイヤハーネスの側面図である。
図4図4は、同実施形態にかかる固定部材の斜視図である。
図5図5は、同実施形態にかかるコネクタの斜視図である。
図6図6は、図2における6-6線断面図である。
図7図7は、図2における7-7線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の固定部材は、
(1)電線の端部に設けられたコネクタを固定対象に固定するための固定部材であって、前記コネクタにおける互いに直交する3方向をそれぞれコネクタの前後方向、幅方向、高さ方向として、前記コネクタの被固定部が前後方向に挿入され、前記被固定部に対して少なくとも前後方向に係止されるロック部と、前記ロック部を有する底壁部、及び前記底壁部から延出され、前記コネクタの幅方向の両側をそれぞれ保持する一対の側壁部を有する第1保持部と、前記各側壁部に対して前記底壁部とは反対側で連結され、前記第1保持部の前記底壁部と協働して前記コネクタを高さ方向において挟む態様で保持する第2保持部と、前記第1保持部及び前記第2保持部のいずれか一方に設けられ、前記固定対象に固定される対象側固定部と、を備えた固定部材である。
【0011】
上記態様によれば、ロック部に装着されたコネクタの幅方向の両側を一対の側壁部で保持するとともに、該コネクタを第2保持部と第1保持部の底壁部とで挟む態様で保持することで、コネクタを固定部材に対して安定して保持させることができ、固定部材とコネクタとの間のガタつきを抑制することが可能となる。
【0012】
(2)前記第2保持部は、前記第1保持部に対して着脱可能に構成され、前記ロック部は、前記コネクタの前記被固定部に対して前記高さ方向においても係止されることが好ましい。この態様によれば、第2保持部が第1保持部から外された状態であっても、ロック部の係止によってコネクタが各側壁部の間から抜け出てしまうことを防ぐことが可能である。
【0013】
(3)本開示の固定部材は、前記電線を案内するための電線案内部を、前記第1保持部の前記底壁部及び前記各側壁部から延出する態様で備えることが好ましい。この態様によれば、コネクタを保持する第1保持部から延出された電線案内部にて、コネクタから延びる電線を案内させることが可能となる。
【0014】
(4)本開示の固定部材は、前記固定対象に固定される第2の対象側固定部を前記電線案内部に備えることが好ましい。この態様によれば、電線案内部に備えた第2の対象側固定部が固定対象に固定されるため、電線案内部に案内される電線を安定して保持することが可能となる。
【0015】
(5)本開示のワイヤハーネスは上述の(1)から(4)のいずれかに記載の固定部材を用いたワイヤハーネスである。この態様によれば、ロック部に装着されたコネクタの幅方向の両側を一対の側壁部で保持するとともに、該コネクタを第2保持部と第1保持部の底壁部とで挟む態様で保持することで、コネクタを固定部材に対して安定して保持させることができ、固定部材とコネクタとの間のガタつきを抑制することが可能となる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の固定部材及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0017】
本実施形態のワイヤハーネス10は、車両のエンジン100(図3参照)の例えば鉛直方向上面に固定されるワイヤハーネスである。
図1図3に示すように、ワイヤハーネス10は、1つの線又は複数の線からなる電線11と、電線11の一端部に設けられたコネクタ12と、コネクタ12をエンジン100の側面に固定するための固定部材13とを備えている。コネクタ12は、例えばエンジン100側から延びる図示しない相手側コネクタと接続される。なお、一部の図面においては、説明の便宜上、電線11の図示を省略している。また、図面中のXYZ軸におけるX軸は、コネクタ12の前後方向を表し、Y軸はX軸と直交するコネクタ12の幅方向を表し、Z軸はXY平面に対して直交するコネクタ12の高さ方向を表している。
【0018】
コネクタ12は、前記相手側コネクタに対してX軸方向に沿って装着される。図5及び図7に示すように、コネクタ12のコネクタハウジング14は、前記相手側コネクタとの電気的接点となる接続端子などが収容されるハウジング本体部15と、固定部材13に対して固定される被固定部16とを有している。本例においては、被固定部16は、ハウジング本体部15の下面(Z軸方向の一側面)から突出するように設けられている。なお、図7では、説明の便宜上、ハウジング本体部15の内部の図示を省略している。
【0019】
固定部材13は合成樹脂材からなる射出成形品である。図1図3に示すように、固定部材13は、コネクタ12を保持するコネクタ保持部21と、コネクタ保持部21から一体をなして延びる電線案内部22とを備えている。電線案内部22は、コネクタ保持部21に固定された状態のコネクタ12から延びる電線11を案内する。コネクタ保持部21及び電線案内部22には、エンジン100に固定される部位である第1固定部23及び第2固定部24がそれぞれ設けられている。
【0020】
図4及び図7に示すように、コネクタ保持部21は、ヒンジ部25を介して互いに連結された第1保持部26及び第2保持部27を備えている。なお、第1保持部26、第2保持部27及びヒンジ部25は、射出成形にて形成された一体品である。コネクタ保持部21は、第1保持部26と第2保持部27とによってコネクタ12を高さ方向(Z軸方向)に挟持可能に構成されている。
【0021】
第1保持部26は、底壁部31と、一対の側壁部32a,32bとを有している。第1保持部26は、底壁部31と各側壁部32a,32bとから、X軸方向と直交する断面が上方(Z軸方向一方)に開口する断面凹状をなしている。
【0022】
図4図6及び図7に示すように、底壁部31には、コネクタ12の被固定部16が固定されるロック部33が設けられている。ロック部33は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向においてコネクタ12の被固定部16と係合する。
【0023】
ロック部33は、底壁部31の上面からZ軸方向に窪む嵌合凹部34と、嵌合凹部34内に形成されたX軸方向に延びる係止片35とを有している。嵌合凹部34は、コネクタ12の被固定部16がX軸方向に挿入可能に構成されている。また、嵌合凹部34は、該嵌合凹部34に嵌合された被固定部16のY軸方向両側面にそれぞれ当接する当接部34aを有している。
【0024】
係止片35は、ロック部33におけるX軸方向に対して垂直な壁面33aからX軸方向に延出されている。係止片35のX軸方向の先端部(延出方向の先端部)に形成された先端係止部35aは、コネクタ12の被固定部16に形成されたコネクタ側係止部16aに対してX軸方向に係止されるようになっている。嵌合凹部34に対してX軸方向に挿入された被固定部16は、嵌合凹部34の壁面33aと係止片35の先端係止部35aとによって、X軸方向において固定される。
【0025】
また、ロック部33の係止片35は、コネクタ12の被固定部16の一対の爪部16b(図5参照)に対してZ軸方向に係止される。コネクタ12がZ軸方向の上方に外れないようになっている。なお、係止片35は、一対の連結部36によって嵌合凹部34のZ軸方向の底面と連結されている(図7参照)。これにより、係止片35がZ軸方向において容易に撓まない構成となっている。
【0026】
図4及び図7に示すように、底壁部31は、嵌合凹部34のY軸方向両側において前記ハウジング本体部15の下面とZ軸方向に対向する対向部37を有している。各側壁部32a,32bは、Y軸方向における底壁部31の両端縁(各対向部37の外側縁)からZ軸方向の上方に延びている。各側壁部32a,32bは、互いに略平行をなし、Y軸方向に互いに対向している。一対の側壁部32a,32bは、当該一対の側壁部32a,32bの間に収容されたコネクタ12のY軸方向両側を保持する。
【0027】
第1保持部26の一方の側壁部32aの上端部と第2保持部27のY軸方向の一側縁とは、ヒンジ部25を介して繋がっている。第2保持部27は、ヒンジ部25を回動軸として、第1保持部26の上部開口を塞ぐ閉位置と当該上部開口を開放する開位置との間を回動可能に構成されている。
【0028】
第2保持部27のY軸方向の他側縁(ヒンジ部25と繋がる側とは反対側の側縁)には、第1保持部26の他方の側壁部32bに設けられた被係止部38に係止可能な係止部27aが形成されている。
【0029】
図7に示すように、第2保持部27は、前記閉位置にある状態において、側壁部32bの被係止部38に係止される。これにより、第2保持部27が第1保持部26の各側壁部32a,32bに対して連結された状態となる。第2保持部27が各側壁部32a,32bに連結された状態では、第1保持部26と第2保持部27とによって、コネクタ保持部21がコネクタハウジング14を包囲する筒状をなす。
【0030】
エンジン100側に固定される第1固定部23は、第1保持部26と一体的に形成されており、詳しくは、底壁部31からZ軸方向の下方に突出している。第1固定部23は、エンジン100側の被固定部位を構成する板材に形成された図示しない貫通孔に挿入されることで、該板材に固定される。第1固定部23は、一対の付勢部23aと一対の羽根部23bとを備えている。そして、各付勢部23aと各羽根部23bとで前記板材を厚さ方向に挟むことで、固定部材13を同板材に対して固定する。
【0031】
図1及び図4に示すように、電線案内部22は、底壁部41と、一対の側壁部42とを有している。底壁部41は、第1保持部26の底壁部31から一体をなして延びている。一対の側壁部42はそれぞれ、第1保持部26の側壁部32a,32bから一体をなして延びている。電線案内部22は、底壁部41と各側壁部42とから、X軸方向と直交する断面が上方(Z軸方向一方)に開口する断面凹状をなしている。なお、電線案内部22の底面(底壁部41の上面)には、補強リブ43が形成されている。また、コネクタ保持部21の第2保持部27は、電線案内部22側に延びて該電線案内部22の一部を被覆する被覆部27bを有している。被覆部27bは、各側壁部42の上端部(開放側端部)とZ軸方向に当接するとともに、底壁部41のZ軸方向に対向している。被覆部27bは、電線案内部22に収容された電線11の一部を覆う。
【0032】
図1に示すように、コネクタ12から延びる電線11は、電線案内部22に沿って該電線案内部22内に収容される。また、電線11は、電線案内部22に複数回巻回されたテープ50によって、電線案内部22に収容された状態で固定部材13に固定される。電線案内部22の後端部(コネクタ保持部21とは反対側の端部)には、電線11を導出する導出部22aが形成されている。
【0033】
図3に示すように、エンジン100側に固定される第2固定部24は、電線案内部22と一体的に形成されており、詳しくは、電線案内部22の底壁部41からZ軸方向の下方に突出している。第2固定部24は、前記第1固定部23と同様に、エンジン100側の被固定部位を構成する板材に形成された図示しない貫通孔に挿入されることで、該板材に固定される。第2固定部24は、一対の付勢部24aと一対の羽根部24bとを備えている。そして、各付勢部24aと各羽根部24bとで前記板材を厚さ方向に挟むことで、固定部材13を同板材に対して固定する。
【0034】
次に、固定部材13に対するコネクタ12及び電線11の組付態様について説明する。
コネクタ12を固定部材13に組み付ける際には、コネクタ12の被固定部16をロック部33の嵌合凹部34に対してX軸方向に挿入する。このとき、コネクタ側係止部16aがロック部33の係止片35との当接によってZ軸方向に撓むとともに、コネクタ側係止部16aがX軸方向の所定位置まで挿入されたときの弾性復帰により、コネクタ側係止部16aと係止片35の先端係止部35aとがX軸方向において係止される。また、係止片35及び嵌合凹部34は、被固定部16に対してY軸方向に当接するようになっている。また、被固定部16の爪部16bが係止片35とZ軸方向に係止されることで、コネクタ12のZ軸方向の上方への移動が規制される。このように、コネクタ12の被固定部16をロック部33の嵌合凹部34に対してX軸方向に挿入することで、被固定部16がロック部33に固定される。
【0035】
コネクタ12の被固定部16をロック部33に固定した後、第2保持部27を前記閉位置まで回動させて、第2保持部27の係止部27aを側壁部32bの被係止部38に係止させる。これにより、コネクタ12が第2保持部27と第1保持部26の底壁部31とでZ軸方向において挟まれるように保持される。
【0036】
また、コネクタ12から延びる電線11を電線案内部22内に収容した後、電線案内部22の周囲にテープ50を巻き付けることで、電線案内部22に電線11を固定する。
その後、コネクタ12及び電線11が固定された固定部材13の第1及び第2固定部23,24を、エンジン100の被固定部位(前記板材)に対して固定する。これにより、コネクタ12及び電線11をエンジン100の例えば鉛直方向上面に沿って配線できる。
【0037】
上記実施形態の効果について説明する。
(1)ロック部33に装着されたコネクタ12の幅方向(Y軸方向)の両側を一対の側壁部32a,32bで保持するとともに、該コネクタ12を第2保持部27と第1保持部26の底壁部31とで高さ方向(Z軸方向)に挟む態様で保持する。これにより、コネクタ12を固定部材13に対して安定して保持させることができ、固定部材13とコネクタ12との間のガタつきを抑制することが可能となる。その結果、エンジン100の振動が固定部材13に伝わったときに、固定部材13とコネクタ12との間のガタつきによってコネクタ12の振動が増幅されることを抑制できる。特に、上記実施形態では、振動の生じやすいエンジン100にコネクタ12を固定する固定部材13に適用しているため、上記したコネクタ12の振動抑制効果を顕著に得ることができる。
【0038】
(2)ロック部33は、コネクタ12の被固定部16に対して高さ方向(Z軸方向)においても係止される。このため、第2保持部27の係止部27aが第1保持部26の被係止部38から外れて第2保持部27が開いた状態(第1保持部26が開放された状態)となっても、ロック部33の係止によってコネクタ12が各側壁部32a,32bの間から抜け出てしまうことを防ぐことが可能である。
【0039】
(3)固定部材13は、電線11を案内するための電線案内部22を、第1保持部26の底壁部31及び各側壁部32a,32bから延出する態様で備える。この態様によれば、コネクタ12を保持する第1保持部26から延出された電線案内部22にて、コネクタ12から延びる電線11を案内させることが可能となる。また、電線11が電線案内部22に固定されることで、固定部材13、コネクタ12及び電線11が一体的に構成される。これにより、固定部材13が振動したときの、電線11におけるコネクタ12からの導出部位に掛かる負荷を抑制できる。
【0040】
(4)固定部材13は、エンジン100に固定される第2固定部24を電線案内部22に備える。この態様によれば、電線案内部22に案内される電線11を安定して保持することが可能となり、電線11の振動を抑制することが可能となる。
【0041】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、第1固定部23は、第1保持部26からZ軸方向に突出しているが、これに特に限らず、例えば、第1保持部26の底壁部31及び一対の側壁部32a,32bのいずれかからY軸方向に突出するように構成してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス10がエンジン100の鉛直方向上面に固定される例を示したが、エンジン100の側面(鉛直直交方向の端面)に設けられるワイヤハーネスにも適用可能である。
【0043】
・上記実施形態では、固定対象としてのエンジン100に固定される対象側固定部(第1固定部23)を、第1保持部26に設けた例としたが、これに限らず、対象側固定部を例えば第2保持部27に設けてもよい。
【0044】
・上記実施形態の固定部材13から第2固定部24を含む電線案内部22を省略して構成してもよい。
・第2保持部27を第1保持部26に対して別体で構成してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、コネクタ12をエンジン100に固定するための固定部材13を例にとって説明したが、固定部材13を固定する対象は、エンジン100以外に例えば車両のボディパネルや、車両以外の固定対象としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
10…ワイヤハーネス
11…電線
12…コネクタ
13…固定部材
16…被固定部
23…第1固定部(対象側固定部)
24…第2固定部(第2の対象側固定部)
26…第1保持部
27…第2保持部
31…底壁部
32a,32b…側壁部
33…ロック部
100…エンジン(固定対象)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7