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特許7098565超音波イメージングプレーンと器具のアライメント及び追跡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】超音波イメージングプレーンと器具のアライメント及び追跡
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 1
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019079176
(22)【出願日】2019-04-18
(62)【分割の表示】P 2016543075の分割
【原出願日】2015-01-02
(65)【公開番号】P2019134958
(43)【公開日】2019-08-15
【審査請求日】2019-05-17
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】61/922,882
(32)【優先日】2014-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョン フランソワ ギ ジェラルド マリー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン アミート クマール
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】福島 浩司
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-185041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの超音波トランスデューサを有する介入ツールの位置を追跡するための追跡技法を実行するハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は回路を有するツールトラッカであって、
前記超音波トランスデューサは、超音波プローブに関連して、前記介入ツールの遠位先端に配置され、前記超音波プローブから前記超音波トランスデューサに伝送される複数のビームの各々に対応する超音波信号の飛行時間及び振幅に基づいて、前記超音波プローブによって生成される解剖学的領域の超音波画像に対応する音響画像プレーンに対して位置付けられ、
前記ツールトラッカは、方法の各ステップを実施することによって、前記音響画像プレーンの2D位置への前記少なくとも1つの超音波トランスデューサの3D位置の投影を決定するアルゴリズムを実行するように構成され、前記超音波トランスデューサの前記3D位置は、前記超音波トランスデューサのアジマス、深さ及び高さを含み、
前記方法は
前記超音波プローブから前記超音波トランスデューサへの前記超音波信号の飛行時間を測定することによって、深さ座標を決定するステップと、
前記超音波トランスデューサにおいて受信された前記超音波プローブからのビームの最大受信振幅を探すことによってアジマス位置を決定するステップと、
前記超音波信号の受信振幅を前記少なくとも1つの超音波トランスデューサにおいて記録し、それを前記超音波信号の過去の履歴と比較することによって、前記超音波トランスデューサの、前記音響画像プレーンまでの距離である前記高さを推定するステップであって、増加する振幅は、前記超音波トランスデューサが前記音響画像プレーンに近づいていることを意味し、減少する振幅は、前記超音波トランスデューサが前記音響画像プレーンから離れるほうへ進んでいることを意味する、ステップと、
を実行するツールトラッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、音響イメージング装置(例えば1次元(「1D」)トランスデューサアレイを有する2次元(「2D」)超音波イメージングプローブ)によって生成される音響画像プレーンに対する、介入ツール(例えば、ニードル、カテーテル、その他)の相対位置の3次元(「3D」)アライメント及び追跡に関する。本発明は、特に、音響画像プレーンに対する介入ツールの相対的なアライメント及び位置追跡を容易にするために、(例えばニードル又はカテーテルの遠位先端に取り付けられ又は埋め込まれる)介入ツールに対し空間的にアラインされる音響センサに関する。
【背景技術】
【0002】
1Dトランスデューサアレイを有する2D超音波プローブは、広範囲の臨床インターベンションにおいて、ターゲット解剖学的プレーンを視覚化するために一般に使用される。しかしながら、2D超音波プローブによって生成されるターゲット解剖学的プレーンの音響イメージングの範囲外にある介入ツール(例えば、ニードル、カテーテル、その他)の位置を評価することが課題となっている。従って、臨床医は、ターゲット解剖学的プレーンの音響画像内において介入ツール、特に介入ツールの遠位先端、を正確に位置付けようとすることに、多くの努力及び時間を費やすことがある。より具体的には、ターゲット解剖学的プレーンへの介入ツールの斜位/直交刺入を含むインターベンションの場合、ターゲット解剖学的プレーンの音響画像内への介入ツールのエントリの正確な時間及び位置を規定することは困難であることが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、超音波ガイダンス下のニードル挿入は、さまざまなインターベンション(例えば、生検、流体ドレナージ、神経ブロック、脈管アクセス、その他)のために一般に実施される。ニードルシャフトに対しほぼ垂直にイメージングビームをステアすることに基づくニードル視覚化技法が実現されているが、多くの場合、ニードルは、組織不均質性及び/又はベベル非対称性のため、音響画像プレーンから逸脱する。本質的に、面外ニードルは、スマートニードル視覚化改善ソフトウェアの洗練度に関係なく、音響画像プレーンから消える。臨床医は、ニードルの画像を再び取得するために音響画像プレーンを移動させなければならず、その結果、ターゲット解剖学的プレーンの音響画像を失う。更に、臨床医は、音響画像プレーンに対しニードルがどこにあるのか分からず、従って、臨床医は、ニードルを見つけるために2D超音波プローブをどのように移動させるかの標示をもたない。
【0004】
要するに、音響イメージングの場合、ターゲット解剖学的プレーンをイメージングすることを維持しつつ、同時に、ターゲット解剖学的プレーンに対するニードルの相対位置を知ることが、必須の作動原理である。しかしながら、音響イメージングにおける1つの大きな技術的問題は、面内アプローチのためにニードル及び超音波イメージングプレーンを正しくアラインし、面外アプローチのためにシャフトと対照的にニードル先端を視覚化することである。小さいプローブ及びニードルの移動は、ニードル及び画像プレーンのミスアライメントにつながり、これは、貧弱なニードル視覚化、フラストレーション、ストレス、時間の浪費、患者に苦痛を与える複数のニードル穿刺、及びおそらく不適当なプロシージャ結果(例えば、生検の偽陰性、局所麻酔又は疼痛管理の不成功の遮断、並びに血管及び神経の損傷)をもたらす。
【0005】
例えば、図1A及び図1Bは、音響画像プレーン11の方へのニードル30の小さいY方向移動を示す。この小さいY方向移動は、超音波画像10に同じく表示される白色のグラフィックアイコンによって示されるように、ニードル30及び音響画像プレーン11のY方向のミスアライメントにつながりうる。更に、ニードルは、イメージングプレーン内でニードルの挿入角度に依存する反射の程度をもってイメージングプローブから離れるほうへ音波を反射する鏡面反射体であるので、ニードルは、超音波下で貧弱に視覚化されることが多い。それにもかかわらず、ニードルがプレーン内にあるが見えないとき又はプレーン外にあるとき、ニードル先端及び期待される軌道を示すことは有用である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超音波画像上に介入ツールを示すグラフィックアイコン(例えばマーカ)をオーバレイして介入ツールの追跡及び視覚化を容易にすることによって、音響イメージングの作動原理を支持する。グラフィックアイコンの1又は複数のフィーチャ/特徴(例えば、サイズ、色、形状、その他)が、介入ツール(例えば介入ツールの先端)の超音波イメージングプレーンに対する距離の関数として変更される。例えば、図2A及び図2Bに示すように、介入ツールが、図1A及び図1Bに示すように音響画像プレーン11のY方向に移動するに従って、超音波画像10にオーバレイされる白色のXマーカとして示されるグラフィックアイコンのサイズが増大する。これは、医師が、介入ツールをイメージングプローブにアラインすることを大幅に支援し、これは、特に介入ツールが従来のイメージングにおいて可視でないときでさえ(すなわちプレーン外にある)、良好な信頼、速いプロシージャ及び良好な結果をもたらす。
【0007】
本発明の1つの形態は、超音波プローブ、超音波スキャナ、介入ツール(例えばニードル又はカテーテル)、複数の超音波トランスデューサ、ツールトラッカ及び画像ナビゲータを用いるツールナビゲーションシステムである。動作中、超音波プローブは、解剖学的領域をスキャンするために音響画像プレーンを生成し、超音波スキャナは、解剖学的領域のスキャンから解剖学的領域の超音波画像を生成する。スキャン中、介入ツールは、解剖学的領域内において音響画像プレーンに対しナビゲートされ、超音波トランスデューサは、介入ツールの音響画像プレーンに対する距離のツールトラッカによる追跡を容易にする。画像ナビゲータは、ツールトラッカによる音響画像プレーンに対する介入ツールの追跡を示すために、超音波スキャナによって生成される解剖学的領域の超音波画像内にグラフィックアイコンを表示する。介入ツールが解剖学的領域においてナビゲートされるに従って、グラフィックアイコンの1又は複数の特徴が、介入ツールの音響画像プレーンに対する距離に応じて画像ナビゲータによって変更される。
【0008】
本発明の上述の形式及び他の形式並びに本発明のさまざまな特徴及び利点は、添付の図面に関連して読み取られる本発明のさまざまな実施形態の詳細に後述される説明から一層明らかになる。詳細な説明及び図面は、本発明を単に説明するものであって、制限的なものではなく、本発明の範囲は、添付の請求項及びそれと等価なものによって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Bと共に、当分野で知られている超音波画像を示す例示的な図。
図1B図1Aと共に、当分野で知られている超音波画像を示す例示的な図。
図2A-2B】図1Aに示される超音波画像における本発明のグラフィックアイコンの例示的な変更、及び図1Bに示される超音波画像における本発明のグラフィックアイコンの例示的な変更を示す図。
図3】本発明のツール追跡システムの例示的な実施形態を示す図。
図4図3に示されるツール追跡システムを伴う例示的な介入プロシージャを示す図。
図5】当分野において知られている三辺測量の例示的な実行を示す図。
図6】本発明によるグラフィックアイコン変更方法の第1の例示的な実施形態を表すフローチャート。
図7】本発明によるグラフィックアイコン変更方法の第2の例示的な実施形態を表すフローチャート。
図8】本発明によるグラフィックアイコン変更方法の第3の例示的な実施形態を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の理解を容易にするために、本発明の例示的な実施形態が、図3に示すツールナビゲーションシステムに方向づけられてここに提供される。
【0011】
図3を参照して、ツールナビゲーションシステムは、超音波プローブ20、介入ツール30、超音波スキャナ60、ツールトラッカ70及び画像ナビゲータ80を用いる。
【0012】
超音波プローブ20は、皮下身体構造(例えば、腱、筋肉、関節、血管及び内部器官、その他)を視覚化するために音響エネルギーを通じて患者の解剖学的領域をスキャンするための、例えば図3に示す患者11の解剖学的領域12をスキャンするための、当分野において知られている任意の装置である。超音波プローブ20の例は、線形の又はカーブした1次元(「1D」)トランスデューサアレイを有する2次元(「2D」)超音波プローブであるが、これに限定されるものではない。
【0013】
超音波スキャナ60は、超音波プローブ20によってスキャンされる患者の解剖学的領域の超音波画像(例えば図1図3に示される胎児の超音波画像10)を生成するための、当分野において知られているハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は回路の構造である。
【0014】
介入ツール30は、解剖学的領域内の介入ツール30のナビゲーションを伴う介入プロシージャを実施するための、当分野において知られている任意のツールである。介入ツール30の例は、ニードル及びカテーテルを含むが、これに限定されるものではなく、介入プロシージャの例は、生検、流体ドレナージ、神経ブロック、脈管アクセスなどを含むが、これに限定されるものではない。
【0015】
実際にナビゲーションを容易にするために、介入ツール30は、当分野において知られている送信器、受信器及び/又はトランシーバの形の1又は複数の超音波トランスデューサを備えることができる。より具体的には、1つの超音波トランスデューサは、介入ツール30の指定された領域(例えば介入ツール30の遠位先端)の位置の情報を提供し、2又はそれ以上の超音波トランスデューサは、介入ツール30の投射された経路の表示を容易にする向き情報、及び超音波イメージングプレーン11と投射された経路との交差ポイントを提供し、それにより、面外アプローチを一層容易にする(さもなければ盲目的である)。
【0016】
一実施形態において、図4に示すように、一対の超音波トランスデューサ31が、介入ツール30上の遠位先端に隣接する、知られている装置構成に埋め込まれる。送信器として動作する場合、超音波トランスデューサ31は、重複しない周波数レンジによって分離されることができ、及び/又は超音波トランスデューサ31の個別の追跡を容易にするために1つずつ順に活性化されてもよい。受信器として動作する場合、各々の超音波トランスデューサ31の信号は、(例えば、重複しない帯域幅、スイッチ、2つの独立したケーブル、又は信号分離のための信号処理方法によって)個別に扱われる必要がある。
【0017】
図4に示す介入ツール30のこの実施形態の場合、超音波プローブ20は、超音波トランスデューサ31を追跡するために1又は複数の超音波トランスデューサ21を備えることができる。より具体的には、3又はそれより多い超音波トランスデューサ21が、超音波トランスデューサ31の満足な位置評価を与える。実際、超音波トランスデューサ21は、広い視野内で超音波トランスデューサ31を効率的に追跡するために、広い受光角を提供する態様で超音波プローブ20に配置される。
【0018】
図4に示す超音波プローブ20の一実施形態において、6つの超音波トランスデューサ21が、超音波プローブ20のアレイ周囲の2D表面上に配置されている。この実施形態において、実際、超音波トランスデューサ21は、クリップ式の装置として超音波プローブ20に載置されることができ、又は超音波プローブ20の設計構造に埋め込まれることができる。いずれの場合も、追跡された位置と画像との間の簡単な較正が必要でありうる。このような較正は、制御されたイメージング環境下、パルスエコー画像上で介入ツール30の先端をクリックすることを含むことができる。
【0019】
ツールトラッカ70は、解剖学的領域の超音波画像に対して介入ツール30の位置を追跡する技法を実行するための、当分野において知られているハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は回路の構造である。図4に示す超音波プローブ20及び介入ツール30の超音波追跡の実施形態の場合、ツールトラッカ70は、超音波トランスデューサ21と超音波トランスデューサ31との間の信号の飛行時間(time of flight)に基づいて、超音波トランスデューサ31の3D位置を決定するために三辺測量アルゴリズムを実行する。
【0020】
実際、ロケーション-距離の3対が、3Dローカライゼーションを実施するために必要であり、ロケーション-距離の任意の付加の対は、ロバストネスを増大する。図5によってサポートされる一実施形態において、超音波トランスデューサ31のロケーションの線形最小二乗計算は、下式によって得られることができる:
xi=[xi yi zi]は、i番目(i=1,...,N)のトランスデューサ21のロケーションを示し、Ri=||xi||は、仮想トランスデューサ21から座標系原点までの距離であり、Di=||xi-xs||は、各々のトランスデューサ21とセンサ31との間の距離であり、x1=[0 0 0]は、原点として示される各トランスデューサ21のロケーションである。
【0021】
超音波トランスデューサ31を利用し、超音波トランスデューサ21を省く代替の実施形態において、ツールトラッカ70は、イメージング座標系に対するセンサ位置を計算するアルゴリズムを実行する。より具体的には、ツールトラッカ70は、イメージングプレーン12(x-z又はr-θ)の2D位置上への3D位置(X-アジマス、Z-深さ、Y-エレベーション)の投影を決定する。この実施形態の場合、Z-深さ(又はレンジ)座標は、超音波プローブ20から超音波トランスデューサ31までの超音波信号の飛行時間を測定することによって得られ、X-アジマス(又は角度)位置は、超音波トランスデューサ31における受信ビーム全体の最大受信振幅を探すことによって得られる。y座標(センサ31のイメージングプレーン11に対する距離)の定性評価は、トランスデューサ31における信号の受信振幅を記録し、それを過去の履歴と比較することによって得られる:増加する振幅は、概して、センサ31がイメージングプレーン11に近づいていることを意味し、減少する振幅は、センサ31がイメージングプレーン11から離れるほうへ進んでいることを意味する。
【0022】
画像ナビゲータ80は、超音波スキャナ60によって生成される超音波画像を表示する技法を実行するため及び本発明により音響画像プレーン11に対する介入ツール30のツールトラッカ70による追跡を示すグラフィックアイコンを生成するための、当分野において知られているハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア及び/又は回路の構造である。より具体的には、介入ツール30が解剖学的領域内でナビゲートされる際、画像ナビゲータ80は、介入ツール30の音響画像プレーン11に対する追跡された距離を定性的に示すために、グラフィックアイコン(例えば、サイズ、色、形状)の1又は複数の特徴を変更する。この目的で、画像ナビゲータ80は、超音波画像10を表すデータ61を超音波スキャナ60から入力し、音響画像プレーン11に対する介入ツール30の3D位置(X-アジマス、Z-深さ)を表すデータ71をツールトラッカ70から入力する。
【0023】
グラフィックアイコン変更の理解を容易にするために、画像ナビゲータ80の例示的な実施形態は、超音波トランスデューサ31の超音波画像プレーン11に対する距離を定性的に示すために、図6図8に示されるマーカのサイズ変更に方向づけられてここに提供される。これらの例示的な実施形態は、受信信号の振幅又は信号対雑音比SNRを使用し、マーカ外観を変更するためにそれらと受信信号の振幅又はSNRの履歴とを比較するが、当業者であれば、これらの例示的な実施形態の原理を、他の変更される特徴(例えば、形状、色、棒グラフ、その他)及びYエレベーション距離を定量化する信号に適用する方法が分かるであろう。当業者であれば、更に、グラフィックアイコン変更のこれらの例示的な実施形態のさまざまな変形例及び変更例が分かるであろう。
【0024】
概して、マーカのサイズ(変数「markerSize」)は、超音波トランスデューサ31の信号レベル(V)が特定の電圧又は特定のSNR以下に下がる場合は最大(固定の最大サイズ「maxSize」)であり、超音波トランスデューサ31が任意の深さのイメージングプレーン11にある場合は最小(固定の最小サイズ「minSize」)であることが望ましい。中程度のレベルにおいては、マーカのサイズは中程度である。実際、マーカのサイズ(変数「markerSize」)は、超音波トランスデューサ31が任意の深さのイメージングプレーン11にある場合は最大(固定の最大サイズ「maxSize」)であり、超音波トランスデューサ31の信号レベル(V)が特定の電圧又は特定のSNR以下に下がる場合は最小(固定の最小サイズ「minSize」)である。
【0025】
更に実際、曲線markerSize=f(V)又はmarkerSize=f(SNR)が単調に増加し又は低下するはずであるが、ここに記述されるように線形あってもよく、又は非線形(例えば対数)であってもよい。信号レベルが設定された最小許容信号レベル(minV又はminSNR)以下に下がる場合、マーカはスクリーンに表示されない。図6図8に示されるすべての実施形態において、最小マーカサイズ(「minSize」)は、固定のパラメータ(「minV」/「minSNR」)である最小許容受信電圧又は受信SNRに対応する。もっと低い受信信号レベルでは、マーカはもはや表示されない。これは、低いSNRの状況の潜在的に誤ったセンサロケーションを表示する可能性を排除する。
【0026】
固定最大電圧の実施形態において、最小マーカサイズ「minSize」に基づいて、サイズ対受信信号振幅又はSNRの単調な増加曲線が実現される。従って、マーカサイズ「markerSize」は、受信信号強度を直接的に表現し、かかる受信信号強度は、超音波トランスデューサ31がイメージングプレーン11に接近するにつれて所与の深さで増大し、超音波トランスデューサ31がイメージングプレーン11から離れるほうへ進むにつれて低下する。マーカの最大サイズを制限するために、マーカが、最大許容信号強度「maxV」の後に「maxSize」を超えて大きくなることを阻止することが決定されうる。
【0027】
図6は、例示的な固定最大電圧の実施形態を表すフローチャート90を示す。図6を参照して、フローチャート90のステージS91は、画像ナビゲータ80が、フローチャート90のステージS92の最中に下式に従って受信信号振幅を示す測定電圧Vの関数として「markerSizeC」を画像ナビゲータ80が計算するのに必要なパラメータを取得することを含む。
markerSizeC = (V - minV) / (maxV - minV) * (maxSize - minSize) + minSize
【0028】
フローチャート90のステージS93は、画像ナビゲータ80が、下式に従って「markerSizeD」を表示することを含む:
markerSizeD = 0 if markerSizeC < minsize
markerSizeD = maxSize if markerSizeC > maxSize
【0029】
画像ナビゲータ80は、必要に応じてステージS92及びS93を繰り返すためにステージS92に戻る。
【0030】
可変最大電圧の実施形態において、最大マーカサイズ(「maxSize」)は、可変であり、実験が始まってから超音波トランスデューサ31によって受信された最大信号強度(可変「maxV」)に対応する。信号が受信されるたびに、その強度は、過去に受信した最大信号と比較される。過去に受信した最大信号を越える場合、最大マーカサイズに対応する信号「maxV」が更新される。この実施形態は、介入ツール30が解剖学的領域内を前進されるとき、最大マーカサイズ変動域を保証する。
【0031】
図7は、例示的な可変最大電圧の実施形態を表すフローチャート100を示す。図7を参照して、フローチャート100のステージS101は、画像ナビゲータ80が、変数「maxVV」に対する受信信号振幅を示す測定電圧Vの関数としてフローチャート100のステージS102の間に「markerSizeC」を画像ナビゲータ80が計算するのに必要なパラメータを取得することを含む。具体的には、ステージS101の初期インプリメンテーションは、「maxV」を0にセットし、markerSizeを「defaultSize」にセットすることを含み、ステージS102は、測定電圧Vが「maxV」より大きい場合に、「maxVV」を測定電圧Vにセットし、他の場合は「maxVV」=「maxV」とセットすることを含む。「maxVV」の設定値は、下式に従って「markerSizeC」の計算に入力される:
markerSizeC = (V - minV) / (maxVV - minV) * (maxSize - minSize) + minSize
その後、「maxV」=「maxVV」にセットする。
【0032】
フローチャート100のステージS103は、画像ナビゲータ80が下式に従って「markerSizeD」を表示することを含む:
markerSizeD = 0 if markerSizeC < minsize
markerSizeD = maxSize if markerSizeC > maxSize
【0033】
画像ナビゲータ80は、必要に応じてステージS102及びS103を繰り返すためにステージS102に戻る。
【0034】
固定最大電圧及び可変最大電圧の実施形態は、超音波トランスデューサ31が、所与のイメージング深さにおけるイメージングプレーン11の方へ移動するにつれて、大きくなるマーカを表示することを確実にする。しかしながら、当分野において知られているように、受信信号の振幅は深さにも依存し、それゆえ、面外距離の関数としてのマーカサイズの変動は、深さ依存であり、センサ深さの変化もまた、マーカサイズの変更をもたらす。
【0035】
この効果を軽減し又は排除するために、最小移動の実施形態において、現在の受信信号の振幅が、信号振幅の短い履歴と比較される。履歴長は、一般に数秒データにセットされる設定パラメータであり、又は、超音波フィールドのセンサ前進のための特徴的な時間である。最大マーカサイズ(設定パラメータ)は、この履歴の間の最大受信信号又はSNRに対応するようにセットされる。他の洗練された例として、超音波トランスデューサ31が、その追跡された位置によって測定されるように(セットされた距離閾値を上回って)大幅に移動するように測定されるたびに、履歴ファイルが更新される。これは、交差プレーン動きの特徴的な時間が、深さ動きのものより速いという条件で、超音波トランスデューサ31が任意の深さのプレーンにあるとき、最大設定マーカサイズが表示されることを確実にする。
【0036】
図8は、最小移動の実施形態を表すフローチャート110を示す。図8を参照して、フローチャート110のステージS111は、画像ナビゲータ80が、介入ツール30の移動に関する受信信号振幅を示す測定された電圧Vの履歴の関数として、フローチャート110のステージS113の間の「markerSizeC」の画像ナビゲータ80による計算のために必要なパラメータを取得することを含む。具体的には、ステージS111の初期インプリメンテーションは、「maxV」を0にセットし、markerSizeを「defaultSize」にセットし、履歴をゼロにセットすることを含む。
【0037】
フローチャート110のステージS112は、介入ツール30が閾値距離を越えて移動したかどうかを画像ナビゲータ80が決定することを含む。そうである場合、画像ナビゲータ80は、ステージS113へ進んで、下式に従って測定電圧Vにより履歴を更新する:
history(1:N-1) = history(2:N)
history(N) = V
maxV = max(history)
markerSizeC = (V - minV) / (maxV - minV) * (maxSize - minSize) + minSize
【0038】
フローチャート110のステージS114は、画像ナビゲータ80が下式に従って「markerSizeD」を表示することを含む:
markerSizeD = 0 if markerSizeC < minsize
markerSizeD = maxSize if markerSizeC > maxSize
【0039】
画像ナビゲータ80は、必要に応じてステージS112-S114を繰り返すためにステージS112に戻る。
【0040】
すべての上述の実施形態は、介入ツール30の測定された現在空間位置(特に深さ)を考慮することによって有利に変形されることができる。具体的には、当分野において知られているように、フィールド振幅が、深さ及び面外距離によって(及びより小さい程度であるがアジマスによって)変動する。目標は、表示されるマーカサイズが深さの関数として変動することを排除し、所与の深さにおける面外距離の関数としてマーカサイズの変動を維持することである。
【0041】
以下は、図6図8の表示フローチャートに深さ(及びアジマス)情報を組み込むためのさまざまな可能なスキームについての議論である。
【0042】
まず、図6の固定最大電圧の実施形態について、固定最大マーカサイズ(変数「maxSize」)に代わって、深さ(及び可能性としてアジマス又はアジマス角度)の関数としてのマーカサイズのルックアップテーブルが確立される。このテーブルは、シミュレーション及び/又は測定又はシミュレーションによるオンザフライによって事前に達成される空間フィールドの較正に基づいて、構築される。正確さの程度を変えるために、異なるルックアップテーブルが、異なるプローブ、イメージングモード、セッティング(例えばビーム密度)及び送信焦点深さのために、用いられることができる。解剖学的領域内のバルク減衰は、深さ(パルスエコーデータに)の関数として、指数を後方散乱されたデータ振幅を与える曲線にフィッティングすることによって算出されることができ、シミュレーションへの入力として加えられる。更に、最大マーカサイズは、介入ツール30の関数でありうる。
【0043】
第2に、履歴ファイル内の過去の最大測定値としてmaxVをセットする実施形態において、現在の測定電圧は、同様の深さ(例えば現在測定値から1cmより遠くない)を有する履歴内の電圧値とのみ比較される。
【0044】
第3に、粗い空間グリッドが確立されることができ、当該グリッド内の各ピクセルについて、対応する領域内の最大測定値が、局所最大測定値maxVとしてセットされる。これらの後者の実施形態は、実際の測定値によりシミュレーションを抑制することによって、フィールドシミュレーションに関係し得る。
【0045】
本発明のさまざまな実施形態が図示され記述されたが、当業者であれば、ここに記述される本発明の実施形態は説明的であり、さまざまな変形及び変更が行われることができ、等価なものが、本発明の真の範囲を逸脱することなくその構成要素と置き換えられることができる。更に、多くの変更が、その中心の範囲を逸脱することなく、本発明の教示を適応させるために実施されることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために企図される最良の形態として開示される特定の実施形態に制限されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図される。
【0046】
以下、本発明の実施形態に関する他の例を付記する。
【0047】
(付記1)
解剖学的領域をスキャンするために音響画像プレーンを生成する超音波プローブと、
前記超音波プローブに接続され、前記解剖学的領域の超音波画像を生成する超音波スキャナと、
前記音響画像プレーンに対し前記解剖学的領域内においてナビゲートされる介入ツールと、
前記超音波プローブ及び前記介入ツールの少なくとも一方に接続される複数の超音波トランスデューサであって、前記介入ツールが前記解剖学的領域内をナビゲートされる際、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離を示す超音波追跡信号を、前記超音波プローブと前記介入ツールとの間で通信する複数の超音波トランスデューサと、
前記複数の超音波トランスデューサに接続され、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離を追跡するツールトラッカと、
前記超音波スキャナ及び前記ツールトラッカに接続され、前記超音波スキャナによって生成される前記解剖学的領域の超音波画像上に、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離の前記ツールトラッカによる追跡を示すグラフィックアイコンを表示する画像ナビゲータと、
を有し、前記画像ナビゲータが、前記ツールトラッカによって追跡される前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離に応じて、前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴を変更する、ツールナビゲーションシステム。
【0048】
(付記2)
前記超音波プローブがトランスデューサアレイを有し、前記複数の超音波トランスデューサは、前記トランスデューサアレイの周囲に配される少なくとも3つの超音波トランスデューサを有する、付記1に記載のツールナビゲーションシステム。
【0049】
(付記3)
前記複数の超音波トランスデューサが、前記トランスデューサアレイの周囲に配される少なくとも3つの超音波トランスデューサを有する、付記2に記載のツールナビゲーションシステム。
【0050】
(付記4)
前記ツールトラッカが、前記超音波プローブと前記介入ツールとの間の超音波追跡信号の飛行時間を測定する、付記2に記載のツールナビゲーションシステム。
【0051】
(付記5)
前記ツールトラッカは更に、前記超音波プローブと前記介入ツールとの間の超音波追跡信号の飛行時間の関数として、前記音響画像プレーンに対する前記解剖学的領域内の少なくとも1つの超音波トランスデューサの位置を決定する、付記4に記載のツールナビゲーションシステム。
【0052】
(付記6)
前記介入ツールは遠位先端を有し、前記複数の超音波トランスデューサは、前記介入ツールの遠位先端に配される少なくとも1つの超音波トランスデューサを有し、前記ツールトラッカは、少なくとも1つの超音波追跡信号の振幅の関数として、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離を評価する、付記1に記載のツールナビゲーションシステム。
【0053】
(付記7)
前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴が、前記グラフィックアイコンのサイズ、形状及び色のうち少なくとも1つを含む、付記1に記載のツールナビゲーションシステム。
【0054】
(付記8)
前記画像ナビゲータは、前記ツールトラッカによって追跡される前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離に応じて、前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴を単調に変化させる、付記1に記載のツールナビゲーションシステム。
【0055】
(付記9)
前記画像ナビゲータは、前記少なくとも1つの超音波追跡信号の振幅及び信号対雑音比の少なくとも一方の関数として、前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴を単調に変化させる、付記1に記載のツールナビゲーションシステム。
【0056】
(付記10)
画像ナビゲータは、前記少なくとも1つの超音波追跡信号の固定の最小振幅及び固定の最大振幅の間で前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴を単調に変化させる、付記9に記載のツールナビゲーションシステム。
【0057】
(付記11)
前記画像ナビゲータは、前記少なくとも1つの超音波追跡信号の固定の最小信号対雑音比及び固定の最大信号対雑音比の間で前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴を単調に変化させる、付記9に記載のツールナビゲーションシステム。
【0058】
(付記12)
前記画像ナビゲータは、前記少なくとも1つの超音波追跡信号の固定の最小信号対雑音比及び可変の最大信号対雑音比の間で前記グラフィックアイコンの少なくとも1つの特徴を単調に変化させる、付記9に記載のツールナビゲーションシステム。
【0059】
(付記13)
前記画像ナビゲータは、前記ツールトラッカによって追跡される前記音響画像プレーンに垂直な方向における前記介入ツールの最小の移動に応じて、前記少なくとも1つの特徴を単調に変化させる、付記9に記載のツールナビゲーションシステム。
【0060】
(付記14)
解剖学的領域をスキャンするために音響画像プレーンを生成する超音波プローブと、
前記超音波プローブに接続され、前記解剖学的領域の超音波画像を生成する超音波スキャナと、
前記音響画像プレーンに対し前記解剖学的領域内でナビゲートされる介入ツールと、
前記超音波プローブ及び前記介入ツールの少なくとも一方に接続される複数の超音波トランスデューサであって、前記介入ツールが前記解剖学的領域内でナビゲートされる際、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離を示す少なくとも1つの超音波追跡信号を、前記超音波プローブと前記介入ツールとの間で通信する、複数の超音波トランスデユーサと、
前記複数の超音波トランスデューサに接続され、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離を追跡するツールトラッカと、
前記超音波スキャナ及び前記ツールトラッカに接続され、前記超音波スキャナによって生成される前記解剖学的領域の超音波画像上に、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離の前記ツールトラッカによる追跡を示すグラフィックアイコンを表示する画像ナビゲータと、
を有するツールナビゲーションシステム。
【0061】
(付記15)
解剖学的領域をスキャンするために音響画像プレーンを生成する超音波プローブと、
前記超音波プローブに接続され、前記解剖学的領域の超音波画像を生成する超音波スキャナと、
前記音響画像プレーンに対し前記解剖学的領域内でナビゲートされる介入ツールと、
前記超音波プローブ及び前記介入ツールの少なくとも一方に接続され、前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離を追跡するツールトラッカと、
前記超音波スキャナ及び前記ツールトラッカに接続され、前記超音波スキャナによって生成される前記解剖学的領域の超音波画像上に、前記ツールトラッカによる前記音響画像プレーンに対する前記解剖学的領域内の前記介入ツールの追跡を示すグラフィックアイコンを表示する画像ナビゲータと、
を有し、前記画像ナビゲータは、前記ツールトラッカによって追跡される前記介入ツールの前記音響画像プレーンに対する距離に応じて、前記グラフィックアイコンのサイズ、形状及び色のうち少なくとも1つを変化させる、ツールナビゲーションシステム。
図1A
図1B
図2A-2B】
図3
図4
図5
図6
図7
図8