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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】配合物を製造するための生産システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 11/13 20060101AFI20220704BHJP
   B01F 23/43 20220101ALI20220704BHJP
   B01F 27/05 20220101ALI20220704BHJP
   B01F 35/88 20220101ALI20220704BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G05D11/13 A
B01F23/43
B01F27/05
B01F35/88
G05B19/418 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019564096
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018061157
(87)【国際公開番号】W WO2018210562
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】17171952.9
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】イェゲ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】フュザー,ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】グレーチュ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】コルベ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フーイル,ジュルミ
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,ヤン
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-238143(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0195055(US,A1)
【文献】特表2004-504930(JP,A)
【文献】特表2004-532110(JP,A)
【文献】米国特許第6533449(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 11/13
G05B 19/418
B01F 27/05
B01F 23/43
B01F 35/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色および/または効果顔料を含む液体塗料配合物を連続的に製造する方法であって、
- 供給原材料の混合のための混合装置を備えた小容量プロセスミキサー(kP)に、供給原材料を連続的に供給する工程と、
- 前記プロセスミキサー(kP)内で供給原材料を混合することにより配合物を連続的に製造し前記配合物が、混合装置を有するバッファタンクに移送されて、この移送が、前記プロセスミキサー(kP)と前記バッファタンク間の接続を介して行われる工程と、
- 連続的に製造される配合物の特性を測定装置により、当該測定装置を前記プロセスミキサー(kP)と前記バッファタンク間の前記接続に割り当てるか、または対応する導管システムとともに配置して、確認する工程と、
- 評価ユニットにより、前記連続的に製造され配合物の特性の、所定の目標状態の特性からの乖離を決定する工程と、
- 前記連続的に製造され配合物の特性の目標状態からの乖離と、総量の目標状態を確立するための製造される配合物の量の総量と、の観点から、必要な供給原材料の調節量を確認する工程と、
- 前記プロセスミキサーへの供給原材料の供給を調節することにより確認された前記調節量を考慮して、前記プロセスミキサー内で、配合物のさらなる部分を連続的に製造する工程と、
- 製造された各部分を組み合わせて配合物の総量の製造を行う工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
液体供給原材料および前処理によって液体供給原材料として使用することができる供給原材料を用いて前記着色および/または効果顔料を含む液体塗料配合物を製造する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体供給原材料および前処理により液体供給原材料として使用できる供給原材料を排他的に用いて前記着色および/または効果顔料を含む液体塗料配合物を製造する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記供給原材料の連続的な供給を手段(M)を用いることにより行い、前記手段(M)は、リザーバーから規定量の供給原材料を取り出すための装置であって、それぞれの供給原材料の質量流量を監視し、閉ループ制御する技術的手段を組み込んだ装置を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記手段(M)は、規定量の供給原材料を前記プロセスミキサーに移送するための流体伝導配管システムをさらに備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記測定装置において確認される特性は、粘度、pH、色、導電率、密度および/または温度を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
供給原材料の供給の前記調節のためのユニットをさらに有し、該ユニット総量の製造後に、前記総量が所定の目標状態を有するように、供給原材料の供給の調節を行う、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配合物を製造のための新規な生産システムに関する。本発明はさらに、好ましくは生産システムを用いて実施される、配合物、例えば塗料の連続製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配合物、すなわち、多寡はあるが複雑な多成分システム、およびそれらの製造は、多種多様な異なる産業部門の中心的な要素である。例えば、塗料産業、食品飲料産業、または医療産業が含まれる。対応する製品(配合物)は、液体(可流動)と固体材料(原材料)および/または事前に対応する原材料から製造される中間体の、物理的混合によって製造される。
【0003】
配合物の製造のための生産システムおよび対応する方法は、常識である。それらは通常、その中で製造される材料の成分が計量された後に一緒に混合される、1つまたは複数の混合容器(プロセスミキサー)を含む。
【0004】
工業生産で存在する製造される幅広い製品(配合物)は、使用される原材料および中間体(集合的に製品(配合物)の生産のための供給原材料とも呼ばれ、そこでは中間体は配合物と呼ばれることもあるため、特に指定のない限り、この用語は製品および中間体の包括的な用語と見なされる)の同様に非常な複雑さを頻繁に伴う。
【0005】
特に樹脂、顔料および添加剤のような多くの原材料は、例えば製造方法のいくつかは複雑であるため、常に完全に一貫した特性が提供されて使用されるとは限らないことも重要である。配合物の生産に使用する場合、その時に存在している個々の特性プロファイルは、製造される材料の特性に予期できない変化をもたらす可能性がある。したがって、通常、配合物は文書化されたレシピ仕様に基づいて生産される。決定されるべき生産された材料の実際の状態が、所望のおよび基本的に期待される目標状態から大きく離れている場合、仕様外の材料を調節する必要がある。
【0006】
さらなる要因は、現代の生産工場でも、供給原材料の計量または投与は限られた精度でのみ可能なことである。わずかな変化でさえ、特に供給原材料の特性の上記の非定常なプロファイルと一緒になって、製造される材料の特性の乖離をもたらす可能性がある。製造された材料に対応する調節は、したがって、避けられない。
【0007】
従来技術は、この問題を通常、製造された材料の特性(実際状態)の決定、目標状態からの実際状態の乖離の決定、および目標状態の確立のために製造された材料への1つまたは複数の供給原材料の追加によって解決する。
【0008】
この形態の調節の欠点は、第一に、供給原材料の追加によってのみ、調節を行うことができることである。容認される方法での調整は、したがって、一方向でのみ可能である。例えば、製造された材料の粘度が高すぎる場合、その後の溶媒の追加により粘度を下げることが可能である。多数の樹脂成分と添加剤を、例えば特定の比率で追加することによって、低すぎる粘度を補償することは実行不可能である。例えば、自動車用塗料などの色相を調節する場合も同様である。下地の顔料または対応するカラーペーストの量が多すぎる場合、さらなる成分の追加による調整は非常に複雑である。
【0009】
さらなる欠点は、実際のバッチ製造と以降のみの調節を含む製造方法全体が、非常に時間がかかるという事実である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明によって解決される課題は、上記のような欠点を克服することができる配合物の生産システムを提供すること、および、工業的な生産プロセスの過程で製造される材料の不可避的に必要な調節を、プロセス技術および時間の観点から改善することであった。このようにして、例えば自動車用塗料などの色および/または効果付与塗料を効果的に製造することが可能であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
配合物の製造のための新規な生産システムが見出され、該生産システムは、配合物の生産のためのユニット(1)を備え、該ユニット(1)は、配合物を連続的に製造するためのサブユニット(1.1)を含み、
I. プロセスミキサー(kP)およびバッファタンクが混合装置を含む、小容量プロセスミキサー(kP)およびバッファタンクの少なくとも1つの組み合わせと、
II. 前記プロセスミキサー(kP)内で連続的に製造された配合物を前記プロセスミキサー(kP)から前記バッファタンクに移送するための、前記プロセスミキサーと前記バッファタンクとの間の少なくとも1つの接続と、
III. 規定量の供給原材料を前記プロセスミキサー(kP)に供給する手段(M)と、
IV. 前記プロセスミキサー(kP)で連続的に製造された配合物の特性を確認するための少なくとも1つの測定ユニットと、
V. 前記測定ユニットと通信する少なくとも1つの評価ユニットであって、前記プロセスミキサー(kP)で連続的に製造された配合物の特性の、所定の目標状態の特性からの乖離を決定する少なくとも1つの評価ユニットと、
VI. 前記評価ユニットと通信し、前記プロセスミキサー(kP)への供給原材料の規定量の供給を調節する少なくとも1つのユニットであって、所定の目標状態の特性からの連続的に製造された配合物の部分の特性の乖離、および、さらなる部分の連続的製造に供給される供給原材料の量を調節するために、それらを使用することを考慮するように設定された、少なくとも1つのユニットと、を含む。
【0012】
また、配合物を連続的に製造するための方法も見出され、該方法は、
- 供給原材料の混合のための混合装置を備えた小容量プロセスミキサー(kP)に、供給原材料を連続的に供給する工程と、
- 前記プロセスミキサー(kP)内で供給原材料を混合し、前記プロセスミキサー(kP)と前記バッファタンク間の接続を介して前記混合装置を有する前記バッファタンクに配合物を移送することにより、配合物を連続的に製造する工程と、
- 連続的に製造される配合物の特性を測定装置により確認する工程と、
- 評価ユニットにより、前記連続的に製造された配合物の特性の、所定の目標状態の特性からの乖離を決定する工程と、
- 前記連続的に製造された配合物の特性の目標状態のからの乖離、および、総量の目標状態を確立するための製造される配合物の量の総量の観点から、必要な供給原材料の調節量を確認する工程と、
- 前記プロセスミキサーへの供給原材料の供給を調節することにより確認された前記調節量を考慮して、前記プロセスミキサー内でさらなる配合物の部分を連続的に製造する工程と、
- 総量の製造のために製造された部分を組み合わせる工程と、を含む。
【0013】
本発明の生産システムおよび本発明の方法は、上述した従来技術の欠点を克服し、製造される配合物の必要な調節を、プロセス技術および時間の点で改善することを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
生産システム
本発明の生産システムは、ユニット(1)および/またはサブユニット(1.1)を含む。
【0015】
本発明によれば、用語「ユニット」または「サブユニット」は、それぞれのユニットまたはサブユニットの、範囲を定めることが可能な特性および個々の機能を表す。例えば、2つのユニットまたはサブユニットが互いに空間的または物理的に明確に分離されている必要はなく、および/または1つのサブユニットが空間的および/または物理的に個別化された領域を構成する必要もない。たとえば、1つのサブユニットが多くの異なる領域をもっていてよい。これらの領域はそれぞれ、互いに直接並んでいてもよいし、互いに重なっていてもよい。あるいは、それらは、全体的にまたは部分的に空間的に互いに等しく分離されていてもよく、その場合、例えば、生産システムの他の領域、ユニットまたはサブユニットは、対応する分離領域内に配置される。
【0016】
サブユニット(1.1)は、液体製品(配合物)の連続製造のために設定されることが好ましい。さらに、それは任意の形態の中間体、特に液体中間体の製造に好適であることが好ましい。これは、固体および液体原材料から製造される中間体および液体原材料のみから製造される中間体の両方に適用される。これは、あらかじめ製造された中間体、またはあらかじめ製造された中間体と固体および/または液体原材料から製造された中間体についても同様である。
【0017】
この文脈で、サブユニット(1.1)は、液体供給原材料および前処理により液体供給原材料として使用できる供給原材料を排他的に用いて製品および中間体を製造するように設定されることが好ましい。対応する前処理は、例えば、振動、撹拌、および/または回転、加熱によって行うことができる。
【0018】
当業者は、サブユニット(1.1)をこの関連でどのように設定すべきかを知っており、これは以下の説明(液体供給原材料のための混合装置、プロセスミキサーとバッファタンクとの間の流体伝導接続、液体供給原材料の規定量を供給するために設定された手段(M))からもさらに明らかである。
【0019】
本発明の文脈において、特に明記しない限り、液体(自由流)状態は、各場合において、20°Cの温度、標準圧力(1013.25 hPa)、および1000s-1の1分間のせん断応力に関係する。この条件でコンポーネントの粘度が10000mPas(例えば、Mettler-Toledo社のRheomat RM180装置を用いて測定された)以下の場合、それは基本的に液体として参照する。
【0020】
前処理によって液体供給原材料として使用できる供給原材料は、以下のように理解されるべきである。もちろん、例えば、製品の製造に使用される原材料や中間体であって、上述した基本的な条件の下では液体として記載する表すことができないものを、ここでいう液体供給原材料として使用できるように前処理することも可能である(粘度10000mPas以下)。
【0021】
最も好ましくは、サブユニット(1.1)は、液体供給原材料および前処理により液体供給原材料として使用できる供給原材料を排他的に用いて着色および/または効果付与液体配合物を連続的に製造するように設定されることが好ましい。
【0022】
対応する配合物は、特に、着色および/または効果顔料を含む塗料、例えば、無地着色ベースコートまたは効果付与ベースコートを含有する塗料である。塗料、例えば一般に白色および/または黒色顔料を含有するフィラーサーフェーサーのような塗料も、原則として着色配合物の中に含まれる。これらの配合物の製造に有用な供給原材料には、特に、色および/または効果ペースト、およびさらに後述するサブユニット(1.2)で製造される中間体(混合ワニス)が含まれる。もちろん液体原材料を使用することも可能である。
【0023】
サブユニット(1.1)は、少なくとも2つの異なる容器の1つまたは複数の組み合わせを含み、その組み合わせ内の第1の容器は、小容量プロセスミキサー(kP)であり、第2の容器は、プロセスミキサー(kP)から排出される混合物、好ましくは液体混合物のためのバッファタンクである。その中で原則使用できる混合装置、例えば、溶解機(dissolver)は当業者に知られている。混合装置は供給原材料の混合を保証するため、特に液体配合物の製造(プロセスミキサー)、または製造されたコンポジションは、沈殿プロセス(バッファタンク)を防止するために均質化された形態に維持することができる。プロセスミキサーおよびバッファタンクは、プロセスミキサーで製造された混合物、例えば中間体または製品を制御された方法でバッファタンクに移送することができるように、互いに接続されている。これは、対応する配管、好ましくは流体伝導配管、およびポンプやバルブなどの搬送手段の中間接続を介して、問題なく技術的に可能である。
【0024】
ユニット(1.1)は、このように、まず、混合装置を含む小容量プロセスミキサー(kP)を備える。混合装置は、好ましくは、インラインディスソルバー、スタティックミキサー、または回転子-固定子原理によって作動するミキサーである。ここで、「小容量」という用語は、工業生産規模(通常数トンの容量)で使用されるプロセスミキサーに比べて著しく小さい容量に関する。プロセスミキサーは、例えば、0.1リットルから100リットルの容量、例えば、0.5リットルから50リットルの容量、あるいは、1リットルから20リットルの容量、特に、1リットルから10リットルの容量、例えば、5リットルの容量を有する。プロセスミキサーは、好ましくは、供給原材料を供給するための入口と、製造された配合物を搬出するための少なくとも1つの出口との間に混合装置が配置されるようにセットアップされる。プロセスミキサー(kP)に流入する供給原材料は、このように、プロセスミキサーから流出する前に混合装置を通過しなければならない。プロセスミキサーの小さいサイズと混合装置を介した対応する高エネルギー入力によって規定される小さい混合容量は、配合物の連続製造の状況内での供給原材料の効率的な混合を可能にする。「連続製造」とは、製造のための供給原材料が、連続的に、特に調節可能な質量流量でプロセスミキサー(kP)に流入し、供給原材料が混合装置を通過した後、混合物の形態で、すなわち配合物として、次いで同様に連続的な質量流量で出口を介してプロセスミキサーから再び流出することを意味すると理解される。混合装置の典型的な出力、例えば回転子-固定子原理により動作するミキサーの出力は、1から250kW、特に5から200kW、好ましくは25から150kW、より好ましくは50から125kW、またはその他85から95kWの範囲であり、当業者は、プロセスミキサー(kP)の他の特性、例えば容量(比較的低い出力に対応する低容量)に対する問題がなく、出力を調節することができる。回転速度は設計に応じて変えることができ、典型的な回転速度は1000から10000rpm、特に2000から6000rpm、またはその他3000から4000rpmである。好ましくは、プロセスミキサーは完全に充填されており、したがって、生産中に空気が存在しないので、泡を形成することなく生産が可能である。
【0025】
手段(M)を介したプロセスミキサー(kP)への所定量の供給原材料の供給は、この文脈において当業者に原理的に既知の方法で行われる。
【0026】
例として、供給原材料の対応するリザーバー、例えばタンクおよびこの点で知られている他の供給ユニットからの移送または取り出しは、監視および特定の供給原材料の質量流量の閉ループ制御の技術的手段を組み込むことで可能である。
【0027】
この目的のために、手段(M)は、流れを監視し調整および調節することができる計量ユニット(例えば計量セル)および/または質量流量計を備えることができ、その結果、まず、供給原材料のリザーバーから規定量を取り出すことが可能となる。
【0028】
好ましい液体供給原材料に関連して、ここでの具体的な質量流量計の大きさは、供給原材料の流量および粘度に依存する。流れ(質量流量)は、例えば、一般的に可能な搬送手段、例えば、搬送出力を広範囲において調節可能なポンプや、流量断面の絞りを介して搬送出力に影響を与える調整バルブにより調整される。個々の要素、例えば調整バルブの全体構造における正確な位置は、個々のケースに適合させることができる。これらは、例えば、搬送手段に直接近接していてもよいし、または、以下で説明するように収集ラインに直接近接していてもよい。それらは、収集ラインの中に存在することさえできる。既知のシステムの計量精度は、加算値に基づいて、少なくとも1%である。計量率を目標値に制限することもできる。
【0029】
同様に原則的に使用できる固体供給原材料に関連して、質量流量は、コーンの振動および/またはスクリューの駆動によって調整することができる。振動ユニット等(固体流動特性を促進する必要がある場合)が存在してもよい。既知のシステムの計量精度は、加算値に基いて、少なくとも2%である。また、計量率を例えば1kg/秒に制限することも可能である。この場合、手段(M)は、このように、いずれにしても、取り出し量(特に計量セル)を決定する手段を含む。さらに、それらは、実際の取り出し機構(例えばコーンやスクリュー)のための制御手段を含む。次に、制御手段は、特に電子制御ユニットを介して構成され、該電子制御ユニットは、計量セルによって確認された情報を考慮して取り出し機構を制御し、これに対応して、要求に応じて引き出しプロセスを調整および調節する。
【0030】
質量流量の調節のための対応する要求、したがって単位時間当たりまたは全体で供給される供給原材料の量は、レシピ仕様を介して電子制御下で得ることができる。
【0031】
手段(M)は、規定量の供給原材料をプロセスミキサーに実際に供給するためにさらに設定される。この目的のために、手段(M)は、例えば、配管システム、特に流体伝導配管システムを含み、該配管システムは規定量をプロセスミキサーに移送する。
【0032】
供給原材料は、好ましくは以下のように供給される。
【0033】
まず、後述するサブユニット(1.2)で製造された中間体、特に透明な中間体は、メインフローとして、特に、既に説明した質量流量計とポンプおよび追加のバルブのような搬送手段の任意の中間接続を備えた流体伝導配管を介して、前記サブユニット(1.2)から直接供給される。質量流量の調節要求は、レシピ仕様を介して電子制御下で得ることができる。
【0034】
追加的に、着色および/または効果顔料および機能性充填剤は、好ましくは、予め製造された液体中間体、例えば着色および/または効果ペーストを用いて導入される。この種の供給原材料は、最後に、手段(M)に含まれる対応する流体伝導配管を通して供給される。質量流量の調節、したがって単位時間当たりまたは全体の供給原材料の量の調節に対応する要求は、レシピ仕様を介して電子制御下で得ることができる。
【0035】
プロセスミキサー(kP)から排出された質量流量は、次に、流体伝導配管を介して、沈殿プロセスを防止するための混合装置を含むバッファタンクに移送される。バッファタンクは、例えば、0.1トンから60トン、例えば、0.5トンから30トン、あるいは1トンから15トン、あるいはその他2トンから5トンの容量を有し、プロセスミキサー(kP)から排出される材料によって連続的に補充される。もちろん、割り当てられたプロセスミキサー(kP)よりも大きい。
【0036】
プロセスミキサー(kP)および他のタンクの組合せの上述したプラント設計の利点は、特に効果的で正確な製造、プロセスレジーム内で調節可能な配合物および中間体の製造がこの方法でバッチサイズに関係なく、可能であることである。
【0037】
例えば、レシピ仕様、特に電子文書の形態に基づいて、プロセスミキサー(kP)によって製造される材料のバッチの連続的な生産が開始される。バッチ生産の開始時に生産される材料の特性(実際状態)、全体的に製造される材料の所望の特性(目標状態)、およびバッチのサイズ(質量、体積)に応じて、製造における供給原材料の供給の制御された調節が可能である。このようにして、例えば、固定質量流量の場合、目標状態から乖離しした実際状態を有する材料の製造につながる可能性のある、使用される供給原材料の特性の変化を補償することが可能である。個々のケースに整合させるため、バッファタンクの比較的大きな容量は、バッチのサイズを引き続き調節できることをさらに確実にする。しかしながら、本発明のサブユニット(1.1)の文脈において、さまざまなコンポーネント、特に以下に説明する測定ユニット、評価ユニット、および供給原材料の供給を調節するためのユニットの特定の組み合わせのために、このような後続のバッチサイズの調節は一般に不要であることを指摘しなければならない。その代わりに、サブユニットを使用して、事前に決められた量だけ目標状態の材料を生産することができる。この点に関するさらなる詳細は、本発明の方法の文脈においてさらに後述される。
【0038】
したがって、サブユニット(1.1)は、プロセスミキサー(kP)で製造された好ましくは液体配合物または前記配合物の部分の特性を確認するための測定ユニットを追加的に有する。測定ユニットは、例えば、プロセスミキサー(kP)およびバッファタンクの流体伝導配管(接続)に割り当てられる。これは、配管(または対応する接続導管システム)によって、製造された液体材料を分岐し、最終的に測定ユニットに移送することが可能であることを意味する。測定ユニットへの移送は、自動でもよいし、他に手動でもよい。測定ユニットでは、自動または手動で誘導された方法で、液体材料の様々な特性、例えば粘度、pH、色、密度、導電率および温度が次いで検出され得る。測定ユニットが導管システム内に配置され、分析が自動化された方法で、例えば液体材料の特性を検出するための1つまたは複数のセンサによって、行われることも可能である。
【0039】
サブユニット(1.1)は、同様に、前記測定ユニットと通信し、プロセスミキサーで製造された材料の特性(実際状態)と所定の目標状態の対応する特性との乖離を決定するための評価ユニットを含む。この評価も、例えば、実際状態の電子的に送信された特性データを目標状態の電子的に文書化されたデータを比較することによって、自動化された方法で行うことができる(実際状態と参照値の比較)。
【0040】
ユニット(1.1)は、プロセスミキサーへ供給原材料の供給を調節するための特定の装置を少なくとも備える。
【0041】
供給原材料の供給を調節するためのユニットは、例えば電子情報転送ユニットを介して評価ユニットに接続され、それと通信することができる。
【0042】
例えば、連続バッチ生産の開始時に、製造された材料が関連する特性に関して分析され、これらの特性が目標状態と比較された場合、プロセスミキサーへの供給原材料の供給の調節をすることにより、さらなる連続製造を行うことができる。ここでは、特定の時間間隔でまたは連続的に生産された材料の特性を定期的に分析し、それらを目標状態と比較して、このようにして、供給原材料の供給の相互作用的調節を可能にすることが有利である。最終的には、仕様どおりの材料、すなわち、許容可能な誤差制限内で目標状態を示す材料のバッチを得ることができる。
【0043】
最終的な目的は、所定の目標状態の特性からの配合物の連続的に製造された部分の特性の乖離を考慮し、それらを用いて、さらなる部分の連続的な製造で供給される供給原材料の量を調節することである。
【0044】
この調節は、さまざまな方法、特に2つの異なる方法で可能である。
【0045】
(i)例えば、目標状態と比較して、1つまたは複数の供給原材料の質量流量の不均衡な減少または増加が、最終的に仕様どおりの材料を得るために可能である。これは、プロセスミキサーに供給される供給原材料の全体の量および/または単位時間当たりの供給量の調節が、連続的に製造される配合物の最初の部分の実際状態と、評価ユニットによって検出された目標状態との間の乖離を使用して可能であることを意味する。例えば、最初の連続的に製造された部分の製造の状況において、第1の供給原材料の過度に高い比率が使用された場合、供給量は、仕様通りの材料を全体的に得るために、さらなる材料の連続的な製造における目標状態と比較して、不均衡に減少される。供給原材料の割合が過度に低い場合には、逆の手順が対応して用いられる。
【0046】
目標状態と比較して供給される供給原材料の量の不均衡な減少および/または増加、したがって使用される供給原材料の量が極端に多いまたは極端に少ないことに対する補償は、異なる投与プロフィールにおいて実行され得る。例えば、補償は、バッチのさらなる生産全体にわたって連続的に行うことができる。同様に、補償は、1つまたは複数の調節間隔で行うことができる。例えば、調節データ(調節ボリューム)が得られた後、配合物材料が最初に、目標状態で生産され得、この場合、補償はバッチの生産の終わりに向かってのみ行われる。同様に、補償を調節データ(調節ボリューム)が得られた直後に行うことも可能であり、その場合には、配合物材料がその後、目標状態で生産される。
【0047】
(ii)しかし、プロセスミキサー(kP)がバッファタンクと比較して非常に小さいということは、高い流量にもかかわらず、目標状態を得るための材料フロー設定が、通常、例えばバッチ体積の5%質量が生産される前に、得られることを意味する。この場合、最終的に仕様どおりの材料を得るために、1つまたは複数の供給原材料の質量流量を目標状態に調節することができる。これにより、目標状態を得るための設定を維持したまま生産が行われ、目標状態と比較して供給原材料の質量流量を不均衡に調節することなく製品がバッファタンクに排出される。仕様どおりの材料のバッチが次いで取得され、開始時に生産された材料がブレンドされる。このように目標状態が調節(i)の場合のような正確さで得られなくても、仕様が満たされる。
【0048】
供給原材料の供給の調節は、手段(M)を介して対応するリザーバーから取得される供給原材料の量の自動調節によって行われ、したがって、プロセスミキサーへの供給の調節も行われ得る。既に上で説明したように、供給される供給原材料の基本量は、質量流量の調整によって制御され得る。もちろん、供給原材料の質量流量を閉ループ制御し、このように調節することも可能である。そして、これは、評価ユニットから取得した情報を利用して行われる。
【0049】
評価ユニットからの情報の転送は、電子情報転送ユニットの関与を伴って行われることが好ましい。
【0050】
供給原材料の供給の調節のためのユニットは、したがって、評価ユニットから電子的に送信された特性データを処理し、任意にそれをさらに関連する入力パラメータ、特に製造される配合物量の総量と相関させ、供給原材料の補正量を確認し、次いで、供給原材料の供給の調節を電子的に誘発する電子制御ユニットとして構成されることが好ましい。この目的のためには、閉ループ制御およびしたがって質量流量の調節(手段(M))のための技術的手段によって保有される実際の投与機構が、電子制御ユニットを介して電子的に対応可能であることが当然必要である。
【0051】
以上のことから、実際の調節に関して、供給原材料の供給を調節するためのユニットが、全バッチの製造後に、この全バッチが目標状態(つまり、仕様どおり)を有するように、調節することが好ましいことは明らかである。これは、全バッチで目標状態を確立するために必要な供給原材料の対応する補正量が、調節のためのユニットで、供給原材料の供給に対応する調節を導入する前に、確認されることを意味する。
【0052】
サブユニット(1.1)で製造された配合物の全バッチは、次いで、それ自体既知の方法で分配され得る。この目的のために、例えば配送梱包品のような装填ユニットは、適切な位置に用意しておくことができ、必要に応じてバッファタンクから充填される。分配は、次いで、例えば、目的のために提供される生産システムの専用分配ユニット内の分配プローブ付き分配ヘッドなどの典型的な装置の組み込みを介して実施することができる。
【0053】
上記から、手段(M)は、サブユニット(1.2)内で製造された下記のサブユニット(1.2)から規定量の液体中間体を直接供給するように設定された手段を含むことが好ましい。
【0054】
ユニット(1)は、液体供給原材料および/または前処理によって液体供給原材料として使用できる供給原材料を使用して、配合物および中間体を製造するためのさらなるサブユニット(1.2)を好ましくは含み、該サブユニット(1.2)が、
a.プロセスミキサーおよびバッファタンクが混合装置を含む、プロセスミキサーおよびバッファタンクの少なくとも1つの組み合せ、
b.前記プロセスミキサー内で製造された配合物の部分バッチを前記プロセスミキサーから前記バッファタンクに移送するための前記プロセスミキサーと前記バッファタンクとの間の少なくとも1つの流体伝導接続、
c.規定量の供給原材料を前記プロセスミキサーに供給する手段、
d.前記プロセスミキサーで製造された配合物の部分バッチの特性を確認するための少なくとも1つの測定ユニット、
e.前記測定ユニットと通信する少なくとも1つの評価ユニットであって、前記プロセスミキサーで製造された部分バッチの特性の、所定の目標状態の特性からの乖離を決定するための少なくとも1つの評価ユニット、
f.前記評価ユニットと通信し、前記プロセスミキサーへの所定量の供給原材料の供給を調節するための少なくとも1つのユニットであって、製造された部分バッチの特性の、所定の目標状態の特性からの乖離とさらなる部分バッチの数とサイズを考慮し、さらなる部分バッチの製造において供給原材料の供給量を調節するように設定される、少なくとも1つのユニット、を含む。
【0055】
サブユニット(1.2)は、液体製品(配合物)の製造のために設定されることが好ましい。さらに、それは任意の形態の中間体、特に液体中間体の製造に好適であることが好ましい。これは、固体および液体原材料から製造される中間体および液体原材料のみから製造される中間体の両方に適用される。これは、あらかじめ製造された中間体から、またはあらかじめ製造された中間体と固体および/または液体原材料から製造された中間体についても同様である。
【0056】
この文脈で、サブユニット(1.2)は、液体供給原材料および前処理により液体供給原材料として使用できる供給原材料を排他的に用いて製品および中間体を製造するように設定されることが好ましい。対応する前処理は、例えば、振動、撹拌、および/または回転、加熱によって行うことができる。
【0057】
より好ましくは、サブユニット(1.2)において、透明で白色の液体配合物(製品および中間体)が製造され、好ましくは透明で白色の液体配合物のみが製造される。非常に好ましくは、透明な液体配合物のみが製造される。透明な製品の一例はクリアコートである;透明な中間体の例は、後の段階で塗料のような製品の製造のために使用される混合ワニスである。白色製品の例は、無地白色ベースコートである。
【0058】
この理由は、特にプロセスミキサーとバッファタンクの組合せで説明されているプラント設計は、公知のCIP(定位置洗浄)法による手作業を必要とせず、迅速かつ効率的に洗浄できるからである。
【0059】
サブユニット(1.2)は、少なくとも2つの異なる容器の1つまたは複数の組み合わせを含み、その組み合わせ内の第1の容器は、プロセスミキサーであり、第2の容器は、プロセスミキサーから排出される混合物、好ましくは液体混合物のためのバッファタンクである。その中で使用される混合装置、例えば、溶解機(dissolver)は当業者に知られている。混合装置は供給原材料の混合を保証するため、特に液体配合物の製造(プロセスミキサー)、または製造されたコンポジションは、沈殿プロセス(バッファタンク)を防止するために均質化された形態に維持することができる。プロセスミキサーおよびバッファタンクは、プロセスミキサーで製造された混合物、例えば中間体または製品を制御された方法でバッファタンクに排出することができるように、互いに接続されている。これは、対応する配管、好ましくは流体伝導配管、およびポンプやバルブなどの搬送手段の中間接続を介して、問題なく技術的に可能である。さらなる混合装置、例えば、インラインディスソルバーをプロセスミキサーとバッファタンクとの間の接続ユニット内に配置することもできる。これは、プロセスミキサー内の現在の内容物が、生産方法に供給されるべきさらなる供給原材料のためのキャリアストリームとしてサーブするために、ポンプで循環される場合に推奨される。その場合、さらなる混合装置が、このキャリアストリームを混合するのにサーブすることができる。
【0060】
組み合わせ内で、バッファタンクは、プロセスミキサーよりも大きい容量を有することが好ましい。より好ましくは、バッファタンクは、プロセスミキサーと比較して少なくとも2倍の容量を有し、特に好ましくは少なくとも3倍の容量を有する。ここでのプロセスミキサーは、例えば、0.1から60トン、例えば、0.5から30トンまたはそれ以外の場合は、1から15トン、または2から5トンの容量を有する。
【0061】
プロセスミキサーへの規定量の供給原材料の供給は、特に特定の質量流量の実施を介して、上記の手段(M)と同様または同等の手段を介して行うことができる。質量流量の調節のための対応する要求、したがって単位時間当たりまたは全体で供給される供給原材料の量は、レシピ仕様を介して電子制御下で得ることができる。
【0062】
好ましい液体供給原材料に関連したサブユニット(1.2)の手段は、特に収集ラインを含む。これは、リザーバーから採取された供給原材料が、それ自体既知の流体伝導配管システムを介して1つまたは複数の収集ラインに最初に移送され、次いで、それを介してプロセスミキサーに供給されることを意味する。
【0063】
例えば、純粋な形態または高度に濃縮された形態では、互いに反応し、かつ/または、非適合性である供給原材料を、プロセスミキサーへ互いに別々に供給するために、供給原材料は、自動化されおよび電子的に制御された方法で、任意のシーケンス(連続的に、並行に、部分的に並行に)で供給することができる。この関連で、プロセスミキサーの現在の内容物が、収集ラインを介してポンプで循環され、さらなる供給原材料のためのキャリアストリームとしてサーブすることも可能である。
【0064】
プロセスミキサーに供給された供給原材料は次いで、対応する混合装置によって混合される。
【0065】
プロセスミキサーとバッファタンクの組み合わせの記載されたプラント設計の利点は、配合物および中間体の、プロセスレジーム内で調節可能な特に効果的で正確な製造が、このようにして可能であることである。
【0066】
例えば、プロセスミキサーで製造される材料の最初の部分バッチが、レシピ仕様、特に電子的に文書化された形式で、に基づいて製造されている場合、これをバッファタンクに移送することができる。最初の部分バッチの特性(実際状態)、全体として製造される材料の所望の特性(目標状態)、および全体として製造される部分バッチの数および/またはさらなる部分バッチのサイズ(質量、体積)に応じて、1つまたは複数のさらなる部分バッチの製造における供給原材料の供給の制御された調整が可能である。このようにして、最初に説明したように、使用される供給原材料の特性の変化、該変化は固定使用量の場合には目標状態から逸脱した実際状態を有する最初の部分バッチの製造につながり得るが、を補償することが特に可能である。この点に関するさらなる詳細は、方法の文脈において以下でも説明される。
【0067】
したがって、サブユニット(1.2)は、さらに、プロセスミキサーで製造された好ましくは液体配合物の特性または前記配合物の最初の部分バッチの特性を確認するための測定ユニットを有する。測定ユニットは、例えば、プロセスミキサーおよびバッファタンクの好ましくは流体伝導配管(接続)に割り当てることができる。これは、配管(または対応する接続導管システム)によって、製造された液体材料を分岐し、最終的に測定ユニットに移送することが可能であることを意味する。測定ユニットへの移送は、自動でもよいし、他に手動でもよい。測定ユニットでは、自動または手動で誘導された方法で、液体材料の様々な特性、例えば粘度、pH、導電率、密度、温度が次いで検出され得る。測定ユニットが導管システム内に配置され、分析が自動化された方法で、例えば液体材料の特性を検出するための1つまたは複数のセンサによって、行われることも可能である。
【0068】
サブユニット(1.2)は、同様に、評価ユニットを含み、該評価ユニットは、測定ユニットと通信し、プロセスミキサーで製造された材料の特性(実際状態)と所定の目標状態の対応する特性との乖離を決定するための評価ユニットを含む。この評価も、例えば、自動化することができる(実測値と参照値の比較)。
【0069】
ユニット(1.2)は、プロセスミキサーへの供給原材料の供給を調節するための特定の装置を少なくとも備えている。
【0070】
供給原材料の供給を調節するためのユニットは、例えば電子情報転送ユニットを介して評価ユニットに接続され、それと通信することができる。
【0071】
最初に製造された部分バッチが関連する特性に関して分析されている場合、これらの特性は目標状態と比較され、部分バッチがバッファタンクに移送され、1つまたは複数のさらなるバッチの製造が、プロセスミキサーへの供給原材料の調節を伴って行われ得る。最終的には、仕様どおりの材料、すなわち、許容可能な誤差制限内で目標状態を示す材料を得ることができる。
【0072】
例えば、評価ユニットによって検出された、最初の部分バッチの実際状態と目標状態との間の乖離は、1つまたは複数のさらなる部分バッチにおいて、プロセスミキサーに供給される供給原材料の全体および/または単位時間あたりの量の調節に使用することができる。例えば、最初の部分バッチの製造の状況で第1の供給原材料の過度に高い比率が使用された場合、供給される量は、仕様通りの材料を全体的に得るために、1つまたは複数のさらなる部分バッチにおいて、目標状態と比較して不均衡に減少される。供給原材料の割合が過度に低い場合には、逆の手順が対応して用いられる。
【0073】
供給原材料の供給の調節は、手段(M)を介して対応するリザーバーから取得される供給原材料の量の自動調節によって行われ、したがって、プロセスミキサーへの供給の調節も行われ得る。既に上で説明したように、供給される供給原材料の基本量は、質量流量の調整によって制御され得る。もちろん、供給原材料の質量流量を閉ループ制御し、このように調節することも可能である。そして、これは、評価ユニットから取得した情報を利用して行われる。
【0074】
質量流量の調節と、電子制御ユニットとしての供給原材料の供給量を調節するためのユニットの構成は、サブユニット(1.1)で説明した方法で可能である。
【0075】
以上のことから、実際の調節に関して、供給原材料の供給を調節するためのユニットが、全ての部分バッチ(すなわち全バッチ)の製造後に全バッチが目標状態(つまり、仕様どおり)を有するように、調節することが好ましいことは明らかである。これは、全バッチで目標状態を確立するために必要な供給原材料の対応する補正量が、調節のためのユニットで、供給原材料の供給に対応する調節を導入する前に、確認されることを意味する。
【0076】
サブユニット(1.2)で製造された配合物の全バッチは、次いで、それ自体既知の方法で分配され得る。この目的のために、例えば配送梱包品のような装填ユニットは、適切な位置に用意しておくことができ、必要に応じてバッファタンクから充填される。分配は、次いで、例えば、目的のために提供される生産システムの専用分配ユニット内の分配プローブ付き分配ヘッドなどの典型的な装置の組み込みを介して実施することができる。
【0077】
好ましくは、サブユニット(1.2)は、製造された配合物、すなわち中間体を、本発明のサブユニット(1.1)に向けて前方へ伝導するための前方伝導ユニットをさらに有する。このようにして、サブユニット(1.1)内のそれぞれの中間体を、非常にプロセス効率の良い方法で、中間の分配または再分配なしに、さらなる生産に使用することができる。
【0078】
方法
本発明はまた、配合物を製造する方法に関する。該方法が本発明の生産システムを用いて実施されることは、自明的に好ましい。
【0079】
前記方法の中心的な特徴および実行は、生産システムの説明において既に上述されている。さらに、上述した生産システムに関する具体的な実施例および特徴は、本発明の方法に関しても適用可能であるというのが事実である。これは、液体供給原材料および前処理によって液体である供給原材料、ならびに製造される着色および/または効果付与液体配合物に対する選好に関して特に当てはまる。
【0080】
原則として、この方法は次の工程を有している:
- 供給原材料を混合するための混合装置を備えた小容量プロセスミキサー(kP)に、供給原材料を連続的に供給する工程、
- 前記プロセスミキサー(kP)内で供給原材料を混合することによって、配合物を連続的に製造し、前記プロセスミキサー(kP)とバッファタンクとの間の接続を介して混合装置を有する前記バッファタンクに配合物を移送する工程、
- 連続的に製造された配合物の特性を測定ユニットにより確認する工程、
- 所定の目標状態の特性からの前記連続的に製造された配合物の特性の乖離を、評価ユニットを用いて決定する工程、
- 目標状態からの前記連続的に製造された配合物の特性の乖離、および、総量の目標状態を確立するために製造される配合物の量を考慮して、必要な供給原材料の調節量を確認する工程、
- 前記確認された調整量を考慮して、前記プロセスミキサーへの供給原材料の供給を調節することにより、前記プロセスミキサーでさらなる配合物の部分を連続的に製造する工程、
- 総量の製造のために製造された部分を組み合わせる工程。
【0081】
上記の意味での調節量は、正であっても負であってもよいことは自明である。正の調節量は、全体で製造される配合物量で目標状態を達成するために、特定の供給原材料のより高い比率を全体で使用する必要があることを意味する。これは、連続的なさらなる生産における該供給原材料のより高い割合、および/または連続的なさらなる生産における他の供給原材料のより低い割合を介して達成することができる。状況は負の補正量で対応して逆になる。
【0082】
好ましくは、規定量の供給原材料のプロセスミキサー(kP)への連続供給は、好ましくは存在するサブユニット(1.2)で製造された中間体の直接供給を少なくとも含む。このようにして、これらの供給原材料はサブユニット(1.2)から直接供給される。
【0083】
本発明の方法の状況において、配合物の連続製造は、プロセスミキサー(kP)で供給原材料を混合し、特定の期間、プロセスミキサー(kP)とバッファタンクとの間の流体伝導接続を介して混合装置を備えたバッファタンクに配合物を移送することによって、停止することが可能である。これは、特性および/または実際状態と目標状態との間の乖離の、測定および/または評価に比較的長い時間がかかる場合のオプションである。連続製造がその後測定および評価が完了するまで停止し、プロセスミキサーへの供給原材料の供給の調節が可能である場合、その後製造を継続することが可能である。これは、特に前述の調節方法(ii)で計画を進める場合のオプションである。
【0084】
最終工程では、製造された全バッチが対応する配送梱包品に分配され、次いで、例えば、長期保存のために倉庫に移送されるか、または顧客に直接発送されることが好ましい。
【0085】
好ましくは(必須ではないが)存在するサブユニット(1.2)に関して、本発明の方法は、好ましくは以下の工程をさらに含む:
- 規定量の供給原材料を、供給原材料の分散と混合のための混合装置が備えられているプロセスミキサーに供給する工程、
- 前記プロセスミキサーで供給原材料を混合することにより、配合物の部分バッチを製造する工程、
- 前記配合物の部分バッチを、プロセスミキサーとバッファタンクの間の接続を介して、混合装置を有するバッファタンクに移送する工程、
- 前記バッファタンクへの移送前、移送中または移送後の前記部分バッチの特性を測定装置(測定ユニット)により確認する工程、
- 所定の目標状態の特性からの前記部分バッチの特性の乖離を、評価ユニットを使用して決定する工程、
- 目標状態からの製造された前記部分バッチの特性の乖離、および全バッチの目標状態を確立するためのさらなる部分バッチの数とサイズを考慮して、必要な供給原材料の補正量を確認する工程、
- さらなる部分バッチの少なくとも1つの製造において確認された補正量を考慮し、供給原材料のプロセスミキサーへの供給を調節することにより、前記プロセスミキサーで少なくとも1つのさらなる部分バッチを製造する工程、
- 前記少なくとも1つのさらなる部分バッチを前記バッファタンクに移送する工程、
- 前記少なくとも1つのさらなる部分バッチと最初の部分バッチを組み合わせ、すべての部分バッチを混合して全バッチを製造する工程。
【0086】
上記の意味での補正量は、正であっても負であってもよいことは自明である。正の補正量は、目標状態を達成するために、特定の供給原材料のより高い比率を全体で使用する必要があることを意味する。これは、少なくとも1つのさらなる部分バッチの生産におして該供給原材料のより高い比率によって、および/または少なくとも1つのさらなる部分バッチの生産において他の供給原材料のより低い割合によって達成することができる。状況は負の補正量で対応して逆になる。
【0087】
測定ユニットにおける特性の非自動測定に関連する手順は、以下のようにすると有利であることが見いだされた。合計3つの部分バッチが製造され、第1の部分バッチと第2の部分バッチは同じ方法で生産される。第2の部分バッチの生産中に、第1の部分バッチの特性が測定され、目標状態からの乖離に関して評価される。さらに、補正量が確認される。次いで、第3の部分バッチは、補正量を考慮して生産される。このようにして、第1の部分バッチからの材料を分析することができる十分な時間が残る。第1の部分バッチの特性の測定に時間がよりかかる場合には、もちろん、原則を拡張することができる。この場合、例えば4つの部分バッチが製造され、この場合、第4の部分バッチが補正量を考慮して製造される。
【0088】
もちろん、前記方法では、さらなる工程で、製造された全バッチは対応する配送梱包品に分配され、次いで、例えば、長期保存のために倉庫に移送されるか、または顧客に直接発送され得る。これは、製品、例えばクリアコートまたは塗料の完全なコンポーネント、例えば2成分塗料のためのベースワニスおよび硬化剤の製造の場合に好ましい。中間体を製造する場合には、該方法が、最終工程において、中間体を本発明に不可欠であるサブユニット(1.1)(該サブユニットはしたがって存在する)に移送することを含むのが好ましい。
【0089】
本発明の生産システムおよび本発明の方法は、調節プロセスを含め、非常にプロセス効率が高く時間を節約する配合物の製造が可能となることを確実にする。