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特許7098666電気光学素子のための複合基板とその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】電気光学素子のための複合基板とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/03 20060101AFI20220704BHJP
   C30B 29/30 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G02F1/03 505
C30B29/30
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020006927
(22)【出願日】2020-01-20
(62)【分割の表示】P 2019528149の分割
【原出願日】2018-05-22
(65)【公開番号】P2020098345
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多井 知義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 順悟
【審査官】坂上 大貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-349778(JP,A)
【文献】特開2018-073984(JP,A)
【文献】国際公開第2018/056210(WO,A1)
【文献】特開2003-156723(JP,A)
【文献】特開2015-075568(JP,A)
【文献】国際公開第2007/114367(WO,A1)
【文献】特開平06-289346(JP,A)
【文献】米国特許第06593212(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123309(US,A1)
【文献】常温接合界面の原子構造,1991年度精密工学会春季大会学術講演会講演論文集,日本,1991年,pp.159-160
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
1/21-7/00
G02B 6/12-6/14
C30B 1/00-35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学素子のための複合基板であって、
電気光学効果を有する電気光学結晶基板と、
前記電気光学結晶基板に、少なくともアモルファス層を介して接合された支持基板と、
前記電気光学結晶基板と前記アモルファス層との間に位置し、前記電気光学結晶基板に接しているとともに、前記電気光学結晶基板よりも屈折率の低い低屈折率層と、
前記低屈折率層と前記アモルファス層との間に位置し、前記低屈折率層に接しているとともに、前記低屈折率層とは異なる材料で構成された第1接合層と、
前記アモルファス層と前記支持基板の間に位置するとともに、前記電気光学結晶基板よりも屈折率の低い第2低屈折率層と、
前記アモルファス層と前記第2低屈折率層との間に位置し、前記第2低屈折率層に接しているとともに、前記第2低屈折率層とは異なる材料で構成された第2接合層と、
を備え、
前記アモルファス層は、前記アモルファス層に一方側から接する層又は基板を構成する元素と、前記アモルファス層に他方側から接する層又は基板を構成する元素とで構成されており、
前記アモルファス層に前記一方側から接する層又は基板は、前記第1接合層であり、
前記アモルファス層に前記他方側から接する層又は基板は、前記第2接合層である、
複合基板。
【請求項2】
前記低屈折率層は、酸化シリコン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム及びフッ化カルシウムのうちの少なくとも一つで構成されている、請求項1に記載の複合基板。
【請求項3】
前記第2低屈折率層は、酸化シリコン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、フッ化マグネシウム及びフッ化カルシウムのうちの少なくとも一つで構成されている、請求項1又は2に記載の複合基板。
【請求項4】
前記第2低屈折率層を構成する材料は、低屈折率層を構成する材料と同じである、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項5】
前記支持基板は、サイアロン、ムライト、窒化シリコン、酸化マグネシウム、窒化ガリウム、酸化ガリウムのうちのいずれかの基板である、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項6】
前記低屈折率層の厚みは、0.1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項7】
前記第2低屈折率層の厚みは、0.1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項8】
前記電気光学結晶基板の厚みは、0.1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下である、請求項6又は7に記載の複合基板。
【請求項9】
前記第2低屈折率層と前記支持基板との間に位置する導電層をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項10】
前記導電層は、金、銀、銅、アルミニウム、白金、又は、それらのうちの少なくとも二つを含む合金の層を有する、請求項9に記載の複合基板。
【請求項11】
前記導電層の厚みは、0.05マイクロメートル以上であって、5マイクロメートル以下である、請求項10に記載の複合基板。
【請求項12】
前記導電層は、支持基板と接触する下地層として、チタン、クロム、ニッケル、又は白金の層を有する、請求項10又は11に記載の複合基板。
【請求項13】
前記電気光学結晶基板の表面には、リッジ部が形成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項14】
前記電気光学結晶基板のc軸は、前記電気光学結晶基板に対して平行であり、
前記リッジ部の一方の側面に設けられた第1の電極と、前記リッジ部の他方の側面に設けられ、前記リッジ部を挟んで前記第1の電極に対向する第2の電極とをさらに備える、請求項13に記載の複合基板。
【請求項15】
前記電気光学結晶基板のc軸は、前記電気光学結晶基板に対して垂直であり、
前記リッジ部の頂上面に設けられた第1の電極と、前記電気光学結晶基板の表面のうちの前記リッジ部の部分を除いた範囲に設けられた第2の電極とをさらに備える、請求項13に記載の複合基板。
【請求項16】
前記リッジ部内には、不純物を含有する光導波路領域が、前記リッジ部の長手方向に沿って形成されている、請求項13から15のいずれか一項に記載の複合基板。
【請求項17】
電気光学素子のための複合基板の製造方法であって、
電気光学効果を有する電気光学結晶基板に、前記電気光学結晶基板に接するとともに前記電気光学結晶基板よりも屈折率の低い低屈折率層と、前記低屈折率層に接するとともに前記低屈折率層とは異なる材料で構成された第1接合層とを成膜する工程と、
支持基板に、前記電気光学結晶基板よりも屈折率の低い第2低屈折率層と、前記低屈折率層に接するとともに前記第2低屈折率層とは異なる材料で構成された第2接合層とを成膜する工程と、
前記電気光学結晶基板に成膜された前記第1接合層を、前記支持基板に成膜された第2接合層の表面に直接接合する工程と、
を備える製造方法。
【請求項18】
前記直接接合は、真空チャンバ内において常温で行わる、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記直接接合は、各接合面に中性化ビームを照射して行われる、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
前記直接接合は、直径4インチの面積に対して100~20000ニュートンの荷重で行われる、請求項19に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電気光学効果を利用する電気光学素子(例えば、光変調器)のための複合基板に関する。
【背景技術】
【0002】
光変調器といった電気光学素子が知られている。電気光学素子は、電気光学効果を利用して、電気信号を光信号に変換することができる。電気光学素子は、例えば光電波融合通信に採用されており、高速かつ大容量な通信を実現するために、その開発が進められている。
【0003】
特開2010-85789号公報に、光変調器が開示されている。この光変調器は、複合基板を用いて構成されている。複合基板は、電気光学効果を有する電気光学結晶基板と、電気光学結晶基板に接合された支持基板とを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の複合基板では、電気光学結晶基板と支持基板との間が、接着剤によって接合されている。このような構成であると、接着剤が経時的に劣化することによって、複合基板に剥離が生じることや、さらにこの剥離が原因となって、電気光学結晶基板にクラックといった損傷が生じることがある。このような問題を避けるために、接着剤を用いることなく、電気光学結晶基板と支持基板とを直接接合することが考えられる。しかしながら、電気光学結晶基板と支持基板とを直接接合すると、電気光学結晶基板と支持基板との間には、電気光学結晶基板の元素と支持基板の元素から構成されるアモルファス層が形成される。このアモルファス層は結晶性がなく、光学物性も双方の基板とは異なり、電気光学結晶基板とアモルファス層との間の界面も平坦ではない。このような平坦でない界面は、電気光学結晶基板を伝わる光を、散乱(例えば、乱反射や漏出)、吸収させるおそれがある。
【0005】
従って、本明細書は、上述した問題を回避又は低減し得る複合基板及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電気光学素子のための複合基板を開示する。この複合基板は、電気光学効果を有する電気光学結晶基板と、電気光学結晶基板に、少なくともアモルファス層を介して接合された支持基板と、電気光学結晶基板とアモルファス層との間に位置するとともに、電気光学結晶基板よりも屈折率の低い低屈折率層とを備える。アモルファス層は、アモルファス層に一方側から接する層又は基板を構成する元素と、アモルファス層に他方側から接する層又は基板を構成する元素とで構成されている。
【0007】
上記した複合基板は、次の製造方法によって製造することができる。この製造方法は、電気光学効果を有する電気光学結晶基板に、電気光学結晶基板よりも屈折率の低い低屈折率層を含む、少なくとも一つの層を成膜する工程と、少なくとも一つの層が成膜された電気光学結晶基板を、支持基板の表面に直接接合する工程とを備える。ここでいう直接接合とは、接合される二つの部材の間で原子が拡散し合い、それらの原子間で共有結合が形成される接合を意味する。なお、直接接合に先立って、支持基板の表面には、少なくとも一つの層が成膜されていてもよい。
【0008】
上記した製造方法によると、接着剤を必要とすることなく、電気光学結晶基板に支持基板が接合された複合基板を製造することができる。製造された複合基板では、直接接合に起因するアモルファス層が形成されるが、アモルファス層と電気光学結晶基板との間には低屈折率層が介在し、アモルファス層が電気光学結晶基板に接しない。従って、電気光学結晶基板を伝わる光が、アモルファス層やこのアモルファス層と電気光学結晶基板との間の平坦でない界面で、散乱又は吸収されることがない。加えて、電気光学結晶基板に接する低屈折率層は、電気光学結晶基板よりも屈折率が低いことから、光ファイバにおけるクラッドのように、電気光学結晶基板を伝わる光の漏出を抑制することができる。この複合基板を用いることで、高性能、かつ耐久性に優れた電気光学素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の複合基板10を模式的に示す斜視図。
【0010】
図2】実施例1の複合基板10の断面構造を模式的に示す図。
【0011】
図3】実施例1の複合基板10の製造方法の一工程を示す図。
【0012】
図4】実施例1の複合基板10の製造方法の一工程を示す図。
【0013】
図5】実施例1の複合基板10の製造方法の一工程を示す図。
【0014】
図6】複合基板10の一変形例を示しており、電気光学結晶基板12に電界を形成する電極32、34と、電気光学結晶基板12内に設けられた光導波路領域36が付加されている。
【0015】
図7】複合基板10の一変形例を示しており、電気光学結晶基板12の上面12aにリッジ部13が形成されている。
【0016】
図8】複合基板10の一変形例を示しており、図7に示す変形例と比較して、第1の電極42及び第2の電極44が付加されている。この変形例では、電気光学結晶基板12のc軸(c-axis)が、電気光学結晶基板12に対して平行である。
【0017】
図9】複合基板10の一変形例を示しており、図7に示す変形例と比較して、第1の電極52及び第2の電極54が付加されている。この変形例では、電気光学結晶基板12のc軸(c-axis)が、電気光学結晶基板12に対して垂直である。
【0018】
図10】実施例2の複合基板10aの断面構造を模式的に示す図。
【0019】
図11】実施例2の複合基板10aの製造方法を説明する図。
【0020】
図12】実施例3の複合基板10bの断面構造を模式的に示す図。
【0021】
図13】実施例3の複合基板10bの製造方法を説明する図。
【0022】
図14】実施例4の複合基板10cの断面構造を模式的に示す図。
【0023】
図15】実施例4の複合基板10cの製造方法を説明する図。
【0024】
図16】実施例5の複合基板10dの断面構造を模式的に示す図。
【0025】
図17】実施例5の複合基板10dの製造方法を説明する図。
【0026】
図18】実施例6の複合基板10eの断面構造を模式的に示す図。
【0027】
図19】実施例6の複合基板10eの製造方法を説明する図。
【0028】
図20】実施例7の複合基板10fの断面構造を模式的に示す図。
【0029】
図21】実施例7の複合基板10fの製造方法を説明する図。
【0030】
図22】実施例8の複合基板10gの断面構造を模式的に示す図。
【0031】
図23】実施例8の複合基板10gの製造方法を説明する図。
【0032】
図24】実施例9の複合基板10hの断面構造を模式的に示す図。
【0033】
図25】実施例9の複合基板10hの製造方法を説明する図。
【0034】
図26】実施例10の複合基板10iの断面構造を模式的に示す図。
【0035】
図27】実施例10の複合基板10iの製造方法を説明する図。
【0036】
図28】実施例11の複合基板10jの断面構造を模式的に示す図。
【0037】
図29】実施例11の複合基板10jの製造方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本技術の一実施形態において、電気光学結晶基板は、ニオブ酸リチウム(LiNbO:LN)、タンタル酸リチウム(LiTaO:LT)、チタン酸リン酸カリウム(KTiOPO:KTP)、ニオブ酸カリウム・リチウム(KLi(1-x)NbO:KLN)、ニオブ酸カリウム(KNbO:KN)、タンタル酸・ニオブ酸カリウム(KNbTa(1-x):KTN)、ニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムとの固溶体、のうちのいずれかの基板であってよい。
【0039】
本技術の一実施形態において、低屈折率層は、酸化シリコン(SiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、フッ化マグネシウム(MgF)及びフッ化カルシウム(MgF)のうちの少なくとも一つで構成されていてもよい。
【0040】
本技術の一実施形態において、支持基板は、シリコン(Si)、ガラス、サイアロン(Si-Al)、ムライト(3Al・2SiO,2Al・SiO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、サファイア、石英、水晶、窒化ガリウム(GaN)、炭化シリコン(SiC)、酸化ガリウム(Ga)のうちのいずれかの基板であってよい。
【0041】
本技術の一実施形態において、アモルファス層に一方側から接する層又は基板は、低屈折率層であってもよい。このような複合基板は、低屈折率層が成膜された電気光学結晶基板を、支持基板に直接接合して製造することができる。このとき、支持基板の表面には、少なくとも一つの層が予め成膜されていてもよい。
【0042】
本技術の一実施形態では、複合基板が、低屈折率層とアモルファス層との間に位置する第1導電層をさらに備えてもよい。この場合、アモルファス層に一方側から接する層又は基板は、第1導電層であってよい。このような複合基板は、低屈折率層上に第1導電層が成膜された電気光学結晶基板を、支持基板に直接接合して製造することができる。このとき、支持基板の表面には、少なくとも一つの層が予め成膜されていてもよい。第1導電層は、複合基板から製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、第1導電層は、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0043】
第1導電層は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、又は、それらのうちの少なくとも二つを含む合金の層を有してもよい。なお、第1導電層は、単層構造であってもよいし、多層構造を有してもよい。
【0044】
第1導電層のアモルファス層に接する表層は、白金で構成されていてもよい。白金は直接接合に適した材料である。そのことから、第1導電層の表層が白金で構成されていていると、第1導電層が成膜された電気光学結晶基板を、支持基板に対して良好に直接接合することができる。
【0045】
上記した実施形態において、複合基板は、低屈折率層とアモルファス層との間に位置する第1接合層をさらに備えてもよい。この場合、アモルファス層に一方側から接する層又は基板は、第1接合層であってよい。第1接合層を構成する材料は、特に限定されないが、例えば酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)といった、直接接合に適した材料であるとよい。
【0046】
上記した実施形態において、複合基板は、低屈折率層と接合層との間に位置する第1導電層をさらに備えてもよい。第1導電層は、複合基板から製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、第1導電層は、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0047】
本技術の一実施形態において、アモルファス層に他方側から接する層又は基板は、支持基板であってよい。このような複合基板は、電気光学結晶基板を、支持基板の表面に直接接合して製造することができる。このとき、電気光学結晶基板には、低屈折率層に加えて、第1導電層及び/又は第1接合層が設けられていてもよい。
【0048】
本技術の一実施形態において、複合基板は、アモルファス層と支持基板との間に位置する第2接合層をさらに備えてもよい。この場合、アモルファス層に他方側から接する層又は基板は、第2接合層であってよい。第2接合層を構成する材料は、特に限定されないが、例えば酸化タンタル(T2O)、酸化ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)といった、直接接合に適した材料であるとよい。
【0049】
上記した実施形態において、複合基板は、第2接合層と支持基板との間に位置するとともに、電気光学結晶基板よりも屈折率の低い第2低屈折率層をさらに備えてもよい。一般に、屈折率は誘電率の平方根に比例するので、第2低屈折率層は低い誘電率を有している。従って、複合基板が第2低屈折率層を備えていると、複合基板から製造される電気光学素子において、速度整合条件を満足させることや、特性インピーダンスを調整することが容易になる。また、浮遊容量や誘電損失が低減できることから、電気光学素子の高速での動作や低電圧化が可能となる。
【0050】
上記した実施形態において、複合基板は、第2低屈折率層と支持基板との間に位置する第2導電層をさらに備えてもよい。第2導電層は、複合基板から製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、第2導電層は、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0051】
本技術の一実施形態において、複合基板は、アモルファス層と支持基板との間に位置する第2導電層をさらに備えてもよい。この場合、アモルファス層に他方側から接する層又は基板は、第2導電層であってよい。このような複合基板は、第2導電層が成膜された支持基板に、電気光学結晶基板を直接接合して製造することができる。第2導電層は、複合基板から製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0052】
第2導電層は、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、又は、それらのうちの少なくとも二つを含む合金の層を有してもよい。なお、第2導電層は、単層構造であってもよいし、多層構造を有してもよい。
【0053】
第2導電層のアモルファス層に接する表層は、白金で構成されていてもよい。白金は直接接合に適した材料である。そのことから、第2導電層の表層が白金で構成されていていると、第2導電層が成膜された支持基板を、電気光学結晶基板に対して良好に直接接合することができる。
【0054】
本技術の一実施形態において、複合基板は、アモルファス層と支持基板の間に位置するとともに、電気光学結晶基板よりも屈折率の低い第2低屈折率層をさらに備えてもよい。この場合、アモルファス層に他方側から接する層又は基板は、第2低屈折率層であってよい。前述したように、屈折率は誘電率の平方根に比例するので、第2低屈折率層は低い誘電率を有している。従って、複合基板が第2低屈折率層を備えていると、複合基板から製造された電気光学素子において誘電損失が低減される。
【0055】
上記した実施形態において、複合基板は、第2低屈折率層と支持基板との間に位置する第2導電層をさらに備えてもよい。第2導電層は、複合基板から製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、第2導電層は、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0056】
本技術の一実施形態において、電気光学結晶基板の表面には、リッジ部が形成されていてもよい。複合基板にリッジ部が予め形成されていると、リッジ型光導波路を必要とする電気光学素子の製造を、容易に行うことができる。なお、リッジ部に加えて、又は代えて、電気光学結晶基板には、不純物(例えばチタン又は亜鉛)がドーピングされた光導波路領域が形成されていてもよい。但し、不純物がドーピングされた光導波路領域は、不純物のドーピングによる屈折率の増加量が小さく、光の閉じ込め効果が小さいので、光の近視野像(ニアフィールド径)は比較的に大きくなる。その結果、複合基板から製造される電気光学素子では、電界効率が低下することから、必要とされる駆動電圧が大きくなる。このため素子サイズも大きくなる。電気光学素子の低駆動電圧化や小型化の観点では、光の閉じ込め効果が大きいリッジ型光導波路の方が好ましい。
【0057】
上記した実施形態において、電気光学結晶基板のc軸(即ち、結晶主軸)が、電気光学結晶基板に対して平行であってもよい。即ち、電気光学結晶基板は、xカット又はyカットの基板であってもよい。この場合、複合基板は、リッジ部の一方の側面に設けられた第1の電極と、リッジ部の他方の側面に設けられ、リッジ部を挟んで第1の電極に対向する第2の電極とをさらに備えてもよい。これらの第1及び第2の電極は、複合基板から電気光学素子を製造するときに、リッジ型光導波路へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。
【0058】
あるいは、電気光学結晶基板のc軸(即ち、結晶主軸)が、電気光学結晶基板に対して垂直であってもよい。即ち、電気光学結晶基板は、zカットの基板であってもよい。この場合、複合基板は、リッジ部の頂上面に設けられた第1の電極と、電気光学結晶基板の表面のうちのリッジ部の部分を除いた範囲に設けられた第2の電極とをさらに備えてもよい。これらの第1及び第2の電極は、複合基板から製造された電気光学素子において、リッジ型光導波路へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。
【0059】
電気光学結晶基板がリッジ部を有する実施形態では、不純物を含有する光導波路領域が、リッジ部の長手方向に沿って形成されていてもよい。このような構成によると、リッジ部を変更することなく、不純物をドーピングする領域を変更することによって、所望の光導波路を容易に形成することができる。
【0060】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された複合基板、並びにそれらの使用及び製造方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0061】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0062】
本明細書及び/又はクレームに記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【実施例
【0063】
図面を参照して、実施例の複合基板10とその製造方法について説明する。本実施例の複合基板10は、例えば光変調器といった、各種の電気光学素子に採用することができる。図1に示すように、本実施例の複合基板10は、いわゆるウエハの形態で製造され、電気光学素子の製造者へ提供される。一例ではあるが、複合基板10の直径は、およそ10センチ(4インチ)である。通常、一枚の複合基板10から、複数の電気光学素子が製造される。なお、複合基板10は、ウエハの形態に限定されず、様々な形態で製造され、提供されてもよい。
【0064】
図1図2に示すように、複合基板10は、電気光学結晶基板12と、支持基板14と、低屈折率層16と、アモルファス層18とを備える。電気光学結晶基板12は、低屈折率層16及びアモルファス層18を介して、支持基板14に接合されている。これらの基板12、14及び層16、18は、複合基板10の全体に亘って、互いに平行に広がっている。
【0065】
電気光学結晶基板12は、外部に露出する上面12aと、複合基板10内に位置する下面12bとを有する。電気光学結晶基板12の一部又は全部は、複合基板10から製造される電気光学素子において、光を伝える光導波路となる。電気光学結晶基板12は、電気光学効果を有する材料の結晶で構成されている。詳しくは、電気光学結晶基板12に電界が印加されると、電気光学結晶基板12の屈折率が変化する。特に、電気光学結晶基板12のc軸に沿って電界が印加されると、電気光学結晶基板12の屈折率は大きく変化する。ここで、電気光学結晶基板12のc軸は、電気光学結晶基板12に平行であってもよい。即ち、電気光学結晶基板12は、例えばxカット又はyカットの基板であってもよい。あるいは、電気光学結晶基板12のc軸は、電気光学結晶基板12に垂直であってもよい。即ち、電気光学結晶基板12は、例えばzカットの基板であってもよい。電気光学結晶基板12の厚みT12は、特に限定されないが、例えば0.1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下であってよい。
【0066】
電気光学結晶基板12を構成する材料は、特に限定されないが、ニオブ酸リチウム(LiNbO:LN)、タンタル酸リチウム(LiTaO:LT)、チタン酸リン酸カリウム(KTiOPO:KTP)、ニオブ酸カリウム・リチウム(KLi(1-x)NbO:KLN)、ニオブ酸カリウム(KNbO:KN)、タンタル酸・ニオブ酸カリウム(KNbTa(1-x):KTN)、ニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムとの固溶体のいずれかであってよい。なお、電気光学結晶基板12は、屈折率に加えて、又は代えて、他の光学定数を変化させる電気光学効果を有してもよい。
【0067】
支持基板14は、複合基板10内に位置する上面14aと、外部に露出する下面14bとを有する。支持基板14には、電気光学結晶基板12が接合されている。支持基板14は、複合基板10の強度を高めるために設けられており、これによって、電気光学結晶基板12の厚みを薄くすることができる。支持基板14は、特に限定されないが、例えばシリコン(Si)、ガラス、サイアロン(Si-Al)、ムライト(3Al・2SiO,2Al・SiO)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化シリコン(Si)、酸化マグネシウム(MgO)、サファイア、石英、水晶、窒化ガリウム(GaN)、炭化シリコン(SiC)、酸化ガリウム(Ga)のうちのいずれかの基板であってよい。なお、複合基板10の熱変形(特に反り)を抑制するために、支持基板14を構成する材料の線膨張係数は、電気光学結晶基板12を構成する材料の線膨張係数に近いほどよい。特に限定されないが、支持基板24を構成する材料の線膨張係数は、電気光学結晶基板12を構成する材料の線膨張係数の±50パーセント以内であるとよい。
【0068】
低屈折率層16は、電気光学結晶基板12とアモルファス層18との間に位置しており、電気光学結晶基板12の下面12bに沿って設けられている。低屈折率層16は、電気光学結晶基板12よりも低い屈折率を有する。これにより、電気光学結晶基板12の下面12b(即ち、低屈折率層16に接する界面)では、電気光学結晶基板12を伝わる光が全反射されやすく、電気光学結晶基板12から漏れ出すことが抑制される。低屈折率層16は、特に限定されないが、例えば酸化シリコン(SiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、フッ化マグネシウム(MgF)及びフッ化カルシウム(MgF)のうちの少なくとも一つで構成されていてもよい。低屈折率層16の厚みT16は、特に限定されないが、例えば0.1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下であってもよい。
【0069】
一般に、屈折率は誘電率の平方根に比例する。低屈折率層16の屈折率は、電気光学結晶基板12の屈折率よりも低いことから、低屈折率層16の誘電率は、電気光学結晶基板12の誘電率よりも低い。従って、複合基板10が低屈折率層16を備えていると、複合基板10から製造された電気光学素子において、速度整合条件を満足させることや、特性インピーダンスを調整することが容易になる。また、浮遊容量や誘電損失が低減できることから、電気光学素子の高速での動作や低電圧化が可能となる。
【0070】
アモルファス層18は、低屈折率層16と支持基板14との間に位置している。アモルファス層18は、アモルファス構造を有しており、アモルファス層18に上方から接する低屈折率層16を構成する元素と、アモルファス層18に下方から接する支持基板14を構成する元素とで構成されている。アモルファス層18の厚みT18は、特に限定されないが、0.1ナノメートル以上であって、100ナノメートル以下であってよい。後述するように、複合基板10は、低屈折率層16が成膜された電気光学結晶基板12に、支持基板14を直接接合することによって、製造することができる。アモルファス層18は、この直接接合において生成される層であり、低屈折率層16及び支持基板14の原子がそれぞれ拡散することによって形成される。従って、アモルファス層18の上面18a(即ち、低屈折率層16に接する界面)、及び、アモルファス層18の下面18b(即ち、支持基板14に接する界面)は、必ずしも平坦ではない。
【0071】
一般に、直接接合に起因するアモルファス層は、その上下に位置する材料を構成する元素から構成され、結晶性がなく、外部から異なる元素が取り込まれることもあり、光学特性が上下に位置する材料と異なる。またアモルファス層の界面が平坦でなく、光学的に吸収や散乱が生じ得る。このため、仮に、アモルファス層18が電気光学結晶基板12へ直接接触していると、電気光学結晶基板12を伝わる光が、アモルファス層18によって減衰する。これに対して、本実施例の複合基板10では、アモルファス層18と電気光学結晶基板12との間に低屈折率層16が介在しており、アモルファス層18が電気光学結晶基板12に接していない。従って、電気光学結晶基板12を伝わる光が、アモルファス層18やこの上面18aで散乱されることがない。加えて、電気光学結晶基板12に接する低屈折率層16は、電気光学結晶基板12よりも屈折率が低いことから、光ファイバにおけるクラッドのように、電気光学結晶基板12を伝わる光の漏出を抑制し、光導波路伝搬することができる。
【0072】
以上のように、本実施例の複合基板10では、電気光学結晶基板12が支持基板14によって補強されているので、電気光学結晶基板12の厚みT12を比較的に小さくすることができる。また、低屈折率層16により光の閉じ込め効果に優れた光導波路構造を形成することができるので、不純物がドープされていない高品質なバルク結晶中で光を伝搬させることができる。さらに、電気光学結晶基板12と支持基板14との間は、接着剤を用いることなく直接接合されているので、接着剤の変質及び変形がなく、高い信頼性を有している。また、接着剤による誘電損失もない。そして、直接接合に起因するアモルファス層18は、低屈折率層16によって電気光学結晶基板12から隔てられているので、電気光学結晶基板12を伝わる光は、損失なく出力側へ伝搬されることができる。
【0073】
次に、図3図5を参照して、複合基板10の製造方法について説明する。先ず、図3に示すように、電気光学結晶基板12を用意する。電気光学結晶基板12は、xカット又はyカットの基板(c軸が基板に平行)であってもよい。また、分極反転部が形成される場合、電気光学結晶基板12は、c軸が基板の水平面と10°以内の角度を成すオフセット基板であってもよい。あるいは、zカットの基板(c軸が基板に垂直)であってもよい。次に、図4に示すように、電気光学結晶基板12の下面12bに、低屈折率層16を成膜する。低屈折率層16の成膜は、特に限定されないが、蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。なお、電気光学結晶基板12の下面12bは、電気光学結晶基板12の一方の主表面である。次に、図5に示すように、支持基板14を用意し、低屈折率層16が成膜された電気光学結晶基板12の下面12bに、支持基板14を直接接合する。このとき、支持基板14と低屈折率層16との間に、前述したアモルファス層18が形成される。これにより、図1図2に示す複合基板10が製造される。
【0074】
上記した直接接合について、具体的な手順や加工条件は特に限定されない。互いに接合される層又は基板の各材料に応じて、適宜定めることができる。一例ではあるが、本実施例の製造方法では、先ず、高真空チャンバー内(例えば、1×10-6パスカル程度)において、各接合面に中性化ビームを照射する。これより、各接合面が活性化される。次いで、真空雰囲気で、活性化された接合面同士を接触させ、常温で接合する。この接合時の荷重は、例えば、100~20000ニュートンとすることができる。この製造方法において、中性化ビームによる表面活性化を行う際には、チャンバーに不活性ガスを導入し、チャンバー内に配置した電極へ、直流電源から高電圧を印加する。これにより、電極(正極)とチャンバー(負極)との間に生じる電界により、電子が運動して、不活性ガスによる原子とイオンのビームが生成される。グリッドに達したビームのうち、イオンビームはグリッドで中和されるので、中性原子のビームが高速原子ビーム源から出射される。ビームを構成する原子種は、不活性ガス元素(例えば、アルゴン(Ar)、窒素(N)等)が好ましい。ビーム照射による活性化時の電圧は0.5~2.0キロボルト、電流は50~200ミリアンペアとすることができる。
【0075】
図6に示すように、複合基板10には、電気光学結晶基板12に電界を形成するための電極32、34が、電気光学結晶基板12の上面12aに設けられてもよい。電極32、34を構成する材料は、導電体であればよく、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、プラチナ(Pt)といった金属であってよい。電極32、44は、電気光学結晶基板12と接触する下地層(最下層)として、電極32、34のはがれやマイグレーションを防止するために、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の層を有してもよい。電極32、34の数、位置、形状については、特に限定されない。例えば、電極32、34の数については、複合基板10から製造される電気光学素子の数や、各々の電気光学素子が必要とする電極32、34の数に応じて、適宜定めることができる。複合基板10に電極32、34が予め設けられていると、電気光学素子の製造者は、複合基板10から電気光学素子を容易に製造することができる。図6に示す電極32、34は、後述する他の実施例の複合基板10a-10jにも、同様に設けることができる。
【0076】
加えて、又は代えて、電気光学結晶基板12内には、不純物をドーピングすることによって、光導波路領域36が設けられてもよい。電気光学結晶基板12では、チタン又は亜鉛といった特定の不純物をドーピングすることで、屈折率を選択的に(即ち、局所的に)高めることができ、これによって光導波路領域36を形成することができる。光導波路領域36の数、位置、形状についても、特に限定されない。例えば、光導波路領域36の数については、複合基板10から製造される電気光学素子の数や、各々の電気光学素子が必要とする光導波路領域36の数に応じて、適宜定めることができる。複合基板10に光導波路領域36が予め設けられていると、電気光学素子の製造者は、複合基板10から電気光学素子を容易に製造することができる。図6に示す光導波路領域36は、後述する他の実施例の複合基板10a-10jにも、同様に設けることができる。
【0077】
図7に示すように、電気光学結晶基板12の上面12aには、リッジ部13が形成されてもよい。リッジ部13は、上面12aに沿って細長く延びる突出部である。リッジ部13は、複合基板10が製造される電気光学素子において、リッジ型光導波路を構成する。複合基板10にリッジ部13が予め形成されていると、リッジ型光導波路を必要とする電気光学素子の製造を、容易に行うことができる。リッジ部13の幅Wは、特に限定されないが、1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下であってよい。リッジ部13の高さTRについても、特に限定されないが、電気光学結晶基板12の厚みT12の10パーセント以上であって、95パーセント以下であってよい。リッジ部13の数、位置、形状についても、特に限定されない。一例ではあるが、複合基板10がマッハツェンダー型の電気光学変調器の製造に用いられるときは、少なくとも一部が平行に延びる二つのリッジ部13が形成されるとよい。図7に示すリッジ部13は、後述する他の実施例の複合基板10a-10jにも、同様に設けることができる。
【0078】
図8に示すように、リッジ部13を有する複合基板10には、第1の電極42及び第2の電極44がさらに設けられてもよい。ここで、電気光学結晶基板12のc軸(c-axis)が、電気光学結晶基板12に対して平行である場合、第1の電極42はリッジ部13の一方の側面13aに設けられるとよい。そして、第2の電極44は、リッジ部13の他方の側面13bに設けられ、リッジ部13を挟んで第1の電極42に対向するとよい。このような構成によると、電気光学素子において光導波路となるリッジ部13に対して、第1の電極42及び第2の電極44はc軸と平行に電界を印加することができる。第1の電極42及び第2の電極44を構成する材料は、導電体であればよく、例えば金(Au)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)といった金属であってよい。電極42、44は、電気光学結晶基板12と接触する下地層(最下層)として、電極42、44のはがれやマイグレーションを防止するために、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の層を有してもよい。また、第1の電極42と電気光学結晶基板12や、第2の電極44と電気光学結晶基板12との間には、電気光学結晶基板12よりも屈折率の低い低屈折率膜が設けられてもよい。このような低屈折率膜は、クラッド層として機能し、リッジ部13を伝わる光の損失を抑制することができる。図8に示す第1の電極42及び第2の電極44は、リッジ部13と共に、後述する他の実施例の複合基板10a-10jにも、同様に設けることができる。
【0079】
図9に示すように、電気光学結晶基板12のc軸(c-axis)は、電気光学結晶基板12に対して垂直であってもよい。この場合でも、電気光学結晶基板12の上面12aには、リッジ部13が形成されてもよい。また、電気光学結晶基板12の上面12aには、第1の電極52及び第2の電極54が設けられてもよい。但し、第1の電極52は、リッジ部13の頂上面13cに設けられるとよく、第2の電極54は、電気光学結晶基板12の上面12aのうちのリッジ部13の部分を除いた範囲に設けられるとよい。このような構成によると、電気光学素子において光導波路となるリッジ部13に対して、第1の電極52及び第2の電極54はc軸と平行に電界を印加することができる。図9に示す第1の電極52及び第2の電極54は、リッジ部13と共に、後述する他の実施例の複合基板10a-10jにも、同様に設けることができる。なお、複合基板10a-10jが導電層20、20’を備える場合、導電層20、20’を第2の電極54の代わりに利用することもできる。この場合、第2の電極54は必ずしも必要とされず、省略することができる。
【0080】
(実施例2)図10、11を参照して、実施例2の複合基板10aについて説明する。図10に示すように、実施例2の複合基板10aは第1導電層20をさらに備えており、この点において実施例1の複合基板10と相違する。第1導電層20は、低屈折率層16とアモルファス層18との間に位置しており、アモルファス層18に上方から接している。従って、本実施例におけるアモルファス層18は、第1導電層20を構成する元素と、支持基板14を構成する元素とで構成されている。第1導電層20は、複合基板10aから製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板12へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、第1導電層20は、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0081】
第1導電層20を構成する材料は、導電体であればよく、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、又は、それらのうちの少なくとも二つを含む合金の層を有してよい。第1導電層20は、単層構造であってもよいし、多層構造を有してもよい。第1導電層20は、低屈折率層16と接触する下地層として、第1導電層20のはがれやマイグレーションを防止するために、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の層を有してもよい。第1導電層20の厚みT20は、特に限定されないが、0.05マイクロメートル以上であって、5マイクロメートル以下であってよい。
【0082】
図11に示すように、本実施例の複合基板10aについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。但し、本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bには、低屈折率層16と第1導電層20とが形成される。低屈折率層16は、電気光学結晶基板12の下面12b上に成膜され、第1導電層20は、低屈折率層16上に成膜される。従って、本実施例における直接接合は、第1導電層20と支持基板14との間で実施される。この場合、第1導電層20の表層20aは、白金で構成されていてもよい。白金は直接接合に適した材料である。そのことから、第1導電層20の表層20aが白金で構成されていていると、第1導電層20が成膜された電気光学結晶基板12を、支持基板14に対して良好に直接接合することができる。なお、第1導電層20の成膜は、例えばスパッタリングや蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。
【0083】
(実施例3)図12、13を参照して、実施例3の複合基板10bについて説明する。図12に示すように、実施例3の複合基板10bは第1接合層22をさらに備えており、この点において実施例2の複合基板10bと相違する。第1接合層22は、第1導電層20とアモルファス層18との間に位置しており、アモルファス層18に上方から接している。従って、本実施例におけるアモルファス層18は、第1接合層22を構成する元素と、支持基板14を構成する元素とで構成されている。
【0084】
第1接合層22を構成する材料は、特に限定されないが、例えば酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)といった、直接接合に適した材料であるとよい。第1接合層22の厚みT22は、特に限定されないが、0.01マイクロメートル以上であって、0.5マイクロメートル以下であってよい。第1接合層22は、第1導電層20によって電気光学結晶基板12から隔てられているので、複合基板10bの特性に対して実質的な影響を与えない。
【0085】
図13に示すように、本実施例の複合基板10bについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。但し、本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bに、低屈折率層16と第1導電層20と第1接合層22とが形成される。低屈折率層16は、電気光学結晶基板12の下面12b上に成膜され、第1導電層20は、低屈折率層16上に成膜される。そして、第1接合層22は、第1導電層20上に成膜される。従って、本実施例における直接接合は、第1接合層22と支持基板14との間で実施される。第1接合層22は、直接接合に適した材料で構成されているので、第1接合層22が成膜された電気光学結晶基板12を、支持基板14に対して良好に直接接合することができる。なお、第1接合層22の成膜は、特に限定されないが、スパッタリングや蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。
【0086】
(実施例4)図14、15を参照して、実施例4の複合基板10cについて説明する。図14に示すように、実施例4の複合基板10cは第2接合層22’をさらに備えており、この点において実施例3の複合基板10cと相違する。第2接合層22’は、アモルファス層18と支持基板14との間に位置しており、アモルファス層18に下方から接している。従って、本実施例におけるアモルファス層18は、第1接合層22を構成する元素と、第2接合層22’を構成する元素とで構成されている。
【0087】
第2接合層22’を構成する材料は、特に限定されないが、例えば酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)といった、直接接合に適した材料であるとよい。第2接合層22’の厚みT22’は、特に限定されないが、0.01マイクロメートル以上であって、0.5マイクロメートル以下であってよい。第2接合層22’は、第1導電層20によって電気光学結晶基板12から隔てられているので、複合基板10bの特性に対して実質的な影響を与えない。
【0088】
図15に示すように、本実施例の複合基板10cについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。但し、本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、支持基板14の上面14aに、第2接合層22’が成膜される。なお、電気光学結晶基板12の下面12bに、実施例3と同様に、低屈折率層16と第1導電層20と第1接合層22とが形成される。従って、本実施例における直接接合は、第1接合層22と第2接合層22’との間で実施される。第1接合層22及び第2接合層22’は、直接接合に適した材料で構成されているので、第1接合層22が成膜された電気光学結晶基板12を、第2接合層22’が成膜された支持基板14に対して、良好に直接接合することができる。なお、第2接合層22’の成膜についても、第1接合層22と同様に、蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。
【0089】
(実施例5)図16、17を参照して、実施例5の複合基板10dについて説明する。図16に示すように、実施例5の複合基板10dは第1導電層20を備えておらず、この点において実施例3の複合基板10cと相違する。即ち、第1導電層20は、必ずしも必要とされない。図17に示すように、本実施例の複合基板10dについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bに、低屈折率層16と第1接合層22とが形成される。低屈折率層16は、電気光学結晶基板12の下面12b上に成膜され、第1接合層22は、低屈折率層16上に成膜される。従って、本実施例における直接接合は、第1接合層22と支持基板14との間で実施される。
【0090】
(実施例6)図18、19を参照して、実施例6の複合基板10eについて説明する。図18に示すように、実施例6の複合基板10eは、第2接合層22’をさらに備えており、この点において実施例5の複合基板10dと相違する。言い換えると、本実施例の複合基板10eは、第1導電層20を備えておらず、この点において実施例4の複合基板10eと相違する。図19に示すように、本実施例の複合基板10eについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bに、低屈折率層16と第1接合層22とが形成される。また、支持基板14の上面14aに、第2接合層22’が成膜される。従って、本実施例における直接接合は、第1接合層22と第2接合層22’との間で実施される。
【0091】
(実施例7)図20、21を参照して、実施例7の複合基板10fについて説明する。図20に示すように、実施例7の複合基板10fは第2導電層20’をさらに備えており、この点において実施例1の複合基板10と相違する。第2導電層20’は、アモルファス層18と支持基板14との間に位置しており、アモルファス層18に下方から接している。従って、本実施例におけるアモルファス層18は、低屈折率層16を構成する元素と、第2導電層20’を構成する元素とで構成されている。第2導電層20’は、複合基板10fから製造された電気光学素子において、電気光学結晶基板12へ電気信号(即ち、電界)を加える電極として利用することができる。あるいは、第2導電層20’は、電気光学素子から電界が漏れ出ることを抑制するシールドとして利用することができる。
【0092】
第2導電層20’を構成する材料は、導電体であればよく、例えば金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、又は、それらのうちの少なくとも二つを含む合金の層を有してよい。第2導電層20’は、単層構造であってもよいし、多層構造を有してもよい。第2導電層20’は、支持基板14と接触する下地層として、第2導電層20’のはがれやマイグレーションを防止するために、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の層を有してもよい。第2導電層20’の厚みT20’は、特に限定されないが、0.05マイクロメートル以上であって、5マイクロメートル以下であってよい。
【0093】
図21に示すように、本実施例の複合基板10fについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。但し、本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、支持基板14の上面14aに第2導電層20’が成膜される。電気光学結晶基板12の下面12bには、実施例1と同様に、低屈折率層16が成膜される。従って、本実施例における直接接合は、低屈折率層16と第2導電層20’との間で実施される。この場合、第2導電層20’の表層20a’は、白金で構成されていてもよい。前述したように、白金は直接接合に適した材料である。そのことから、第2導電層20’の表層20a’が白金で構成されていていると、電気光学結晶基板12を、第2導電層20’が成膜された支持基板14に対して、良好に直接接合することができる。なお、第2導電層20’の成膜は、例えばスパッタリングや蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。
【0094】
(実施例8)図22、23を参照して、実施例8の複合基板10gについて説明する。図22に示すように、実施例8の複合基板10gは第2低屈折率層16’をさらに備えており、この点において実施例7の複合基板10fと相違する。第2低屈折率層16’は、低屈折率層16と同様に、電気光学結晶基板12よりも低い屈折率を有する。第2低屈折率層16’は、アモルファス層18と支持基板14との間に位置しており、アモルファス層18に下方から接している。従って、本実施例におけるアモルファス層18は、低屈折率層16を構成する元素と、第2低屈折率層16’を構成する元素とで構成されている。第2低屈折率層16’の厚みT16’は、特に限定されないが、例えば0.1マイクロメートル以上であって、10マイクロメートル以下であってもよい。
【0095】
第2低屈折率層16’は、特に限定されないが、酸化シリコン(SiO)、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウム(Al)、フッ化マグネシウム(MgF)及びフッ化カルシウム(MgF)のうちの少なくとも一つで構成されていてもよい。第2低屈折率層16’を構成する材料は、低屈折率層16を構成する材料と同じであってもよい。あるいは、第2低屈折率層16’を構成する材料は、低屈折率層16を構成する材料とは異なってもよい。前述したように、屈折率は誘電率の平方根に比例する。第2低屈折率層16’の屈折率は、電気光学結晶基板12の屈折率よりも低いことから、第2低屈折率層16’の誘電率は、電気光学結晶基板12の誘電率よりも低い。従って、複合基板10が第2低屈折率層16’を備えていると、複合基板10から製造された電気光学素子において、速度整合条件を満足させることや、特性インピーダンスを調整することが容易になる。また、浮遊容量や誘電損失が低減できることから、電気光学素子の高速での動作や低電圧化が可能となる。
【0096】
図23に示すように、本実施例の複合基板10gについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、支持基板14の上面14aに第2導電層20’と第2低屈折率層16’とが形成される。第2導電層20’は、支持基板14の上面14a上に成膜され、第2低屈折率層16’は、第2導電層20’上に成膜される。電気光学結晶基板12の下面12bには、実施例1と同様に、低屈折率層16が成膜される。従って、本実施例における直接接合は、低屈折率層16と第2低屈折率層16’との間で実施される。なお、第2低屈折率層16’の成膜は、低屈折率層16と同様に、スパッタリングや蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。
【0097】
(実施例9)図24、25を参照して、実施例9の複合基板10hについて説明する。図24に示すように、実施例9の複合基板10hは、第1接合層22と第2接合層22’とをさらに備えており、この点において実施例8の複合基板10gと相違する。第1接合層22は、低屈折率層16とアモルファス層18との間に位置しており、アモルファス層18に上方から接している。第2接合層22’は、アモルファス層18と第2低屈折率層16’との間に位置しており、アモルファス層18に下方から接している。従って、本実施例におけるアモルファス層18は、第1接合層22を構成する元素と、第2接合層22’を構成する元素とで構成されている。
【0098】
前述したように、第1接合層22と第2接合層22’とのそれぞれは、例えば酸化タンタル(Ta)、酸化ニオブ(Nb)、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)といった、直接接合に適した材料で構成されることができる。第1接合層22と第2接合層22’は、同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。第1接合層22と第2接合層22’の厚みT22、T22’は、特に限定されないが、0.01マイクロメートル以上であって、0.5マイクロメートル以下であってよい。第1接合層22と第2接合層22’の厚みT22、T22’は、同じであってもよいし、異なってもよい。
【0099】
図25に示すように、本実施例の複合基板10hについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bに、低屈折率層16と第1接合層22とが形成される。低屈折率層16は、電気光学結晶基板12の下面12b上に成膜され、第1接合層22は、低屈折率層16上に成膜される。支持基板14の上面14aには、第2導電層20’と第2低屈折率層16’と第2接合層22’が形成される。第2導電層20’は、支持基板14の上面14a上に成膜され、第2低屈折率層16’は、第2導電層20’上に成膜される。そして、第2接合層22’が、第2低屈折率層16’上に成膜される。従って、本実施例における直接接合は、第1接合層22と第2接合層22’との間で実施される。第1接合層22及び第2接合層22’の成膜は、スパッタリングや蒸着(物理蒸着又は化学蒸着)によって行うことができる。
【0100】
(実施例10)図26、27を参照して、実施例10の複合基板10iについて説明する。図26に示すように、実施例10の複合基板10iは、第2導電層20’を備えておらず、この点において実施例9の複合基板10hと相違する。即ち、第2導電層20’は、必ずしも必要とされない。図27に示すように、本実施例の複合基板10iについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bに、低屈折率層16と第1接合層22とが形成される。低屈折率層16は、電気光学結晶基板12の下面12b上に成膜され、第1接合層22は、低屈折率層16上に成膜される。支持基板14の上面14aには、第2低屈折率層16’と第2接合層22’とが形成される。第2低屈折率層16’は、支持基板14の上面14a上に成膜され、第2接合層22’は、第2低屈折率層16’上に成膜される。従って、本実施例における直接接合は、第1接合層22と第2接合層22’との間で実施される。
【0101】
(実施例11)図28、29を参照して、実施例11の複合基板10jについて説明する。図28に示すように、実施例11の複合基板10jは、第1接合層22及び第2接合層22’を備えておらず、この点において実施例10の複合基板10iと相違する。即ち、第1接合層22及び第2接合層22’は、必ずしも必要とされない。図29に示すように、本実施例の複合基板10jについても、電気光学結晶基板12を支持基板14に直接接合することによって、製造することができる。本実施例の製造方法では、直接接合を実施するのに先立って、電気光学結晶基板12の下面12bに低屈折率層16が成膜され、支持基板14の上面14aに第2低屈折率層16’が成膜される。従って、本実施例における直接接合は、低屈折率層16と第2低屈折率層16’との間で実施される。
【符号の説明】
【0102】
10:複合基板
12:電気光学結晶基板
13:リッジ部
14:支持基板
16:低屈折率層
16’第2低屈折率層
18:アモルファス層
20:第1導電層
20’:第2導電層
22:第1接合層
22’:第2接合層
図1
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