(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】ベントナイト材料を含む耐汚染性で再生可能な乾燥剤
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
B01D53/26 230
(21)【出願番号】P 2020500107
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(86)【国際出願番号】 US2018041114
(87)【国際公開番号】W WO2019010433
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-04-15
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル イー.バシャム
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ピー.コラルッソ
(72)【発明者】
【氏名】カイル ドス
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル エー.トンプソン
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0363331(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0836307(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285328(US,A1)
【文献】特開平04-323007(JP,A)
【文献】特表2007-538392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26-53/28
B01J 20/00-20/28,20/30-20/34
C01B 33/20-39/54
B60Q 1/00-1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.1)ヒーターを有する第1のチャンバーと、
2)前記第1のチャンバーへ延びる少なくとも1つの吸着ポートと、
3)前記少なくとも1つの吸着ポートに近接して配置された乾燥剤部材と
を備えるハウジング、及び
b.前記ハウジング内に位置し、吸着位置と脱着位置の間で移行可能である弁アセンブリ、
を含んでなる筐体アセンブリであって、前記乾燥剤部材は、
1.ポリマー材料と、
2.ベントナイト材料と
を含み、さらに前記乾燥剤部材は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸収す
ることができることを特徴とする、筐体アセンブリ。
【請求項2】
前記ハウジングが前記第1のチャンバーからの通気ポートをさらに備え、そして前記吸着位置が、前記第1のチャンバーと前記通気ポートの間の脱着ポートをシールし、かつ、前記第1のチャンバーに水蒸気を送るために前記第1のチャンバーへの前記吸着ポートを開く、請求項1に記載の筐体アセンブリ。
【請求項3】
前記乾燥剤部材が柔軟である、請求項1又は2に記載の筐体アセンブリ。
【請求項4】
前記ベントナイト材料が、ナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイト、1種又は複数のフィロシリケート、又はそれらの混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項5】
前記ポリマー材料が、ポリオレフィン、ポリウレタン、又はフルオロポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項6】
前記乾燥剤部材が0.1~15mmの厚さを有する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項7】
前記乾燥剤部材が、前記雰囲気中の有機物の沸点よりも高い温度で湿気を脱着する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項8】
前記ポリマー材料が多孔質ポリマーマトリックスであり、前記ベントナイト材料が前記多孔質ポリマーマトリックス内に配置される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項9】
前記多孔質ポリマーマトリックス中の前記ベントナイト材料の充填量が、前記乾燥剤部材の総質量に対して50~99%である、請求項
8に記載の筐体アセンブリ。
【請求項10】
前記ポリマー材料が前記ベントナイト材料に隣接する層である、請求項1~
7のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項11】
前記多孔質ポリマーマトリックスが前記ベントナイト材料を封入してパウチを形成する、請求項
8に記載の筐体アセンブリ。
【請求項12】
前記ポリマー材料の表面に付着している前記ベントナイト材料の1つ又は複数のビーズをさらに備える、請求項1~
7のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項13】
前記雰囲気中のシロキサン濃度が少なくとも1ppm以上である、請求項1~
12のいずれか一項に記載の筐体アセンブリ。
【請求項14】
前記1種又は複数のフィロシリケートが、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、及び/もしくはヘクトライトを含む、請求項4に記載の筐体アセンブリ。
【請求項15】
a.1)ヒーターを有する第1のチャンバーと、
2)前記第1のチャンバーへ延びる少なくとも1つの吸着ポートと、
3)前記少なくとも1つの吸着ポートに近接して配置された乾燥剤部材と
を備えるハウジング、及び
b.前記ハウジング内に位置し、吸着位置と脱着位置とを有する弁アセンブリ、
を含んでなる筐体アセンブリであって、前記乾燥剤部材は、
1.少なくとも一種のポリマー材料と、
2.少なくとも一種のベントナイト材料と
を含み、さらに筐体アセンブリは、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸収するように構成されている、筐体アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2017年7月6日に出願された米国特許仮出願第62/529,199号明細書及び2017年8月11日に出願された米国特許仮出願第62/544,407号明細書の優先権を主張し、このすべての内容及び開示を参照により本明細書中に取り込む。
【0002】
全体として、本開示は、耐汚染性であり、再生可能な乾燥剤部材に関する。より詳細には、本開示は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含む雰囲気から湿気を吸着することができるベントナイトを含む乾燥剤部材に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの製品は、過度の湿気によって引き起こされる損傷を受けやすい。本明細書で使用される場合、「湿気」という用語は、周囲の雰囲気から、液体形態であろうと蒸気形態であろうと、拡散又は凝縮される水を含むことが意図される。例えば、過度の湿気のため、電気及び電子製品が壊れる、又は変質することがある。同様に、熱サイクルを経る密閉された部品、例えばハウジングに入れられたものは、湿気に関連する問題の影響を受けやすい。望ましくない湿気の影響を受けやすい筐体の例としては、例えば、自動車のヘッドランプユニット、ソーラーインバータ、密閉されたハウジングに入れられた電子機器、及び筐体内の熱源のオン/オフサイクルが湿気の蓄積という結果をもたらす他のシステムが挙げられる。
【0004】
湿気を除去する1つの手段は、筐体を横切る、又は筐体を通るより大きな空気流を形成することである。しかしながら、部品が密閉されたハウジングに配置されている場合、適切な空気流を形成することが困難なことがあり、その場合、通気開口のサイズを大きくするなど、より伝統的な湿気を低減するためのアプローチは、筐体の汚染などの問題を悪化させる可能性がある。
【0005】
筐体の湿気を対処する別の手段は、筐体内に乾燥剤(drying agent)又は乾燥剤(desiccant)を設置することである。シリカゲルは乾燥剤として商業的に使用されており、米国特許第4830643号明細書に記載されているような多孔質ポリマーマトリックスに組み込まれることができる。しかし、シリカゲルは湿気を吸着する限られた能力を有し、筐体の雰囲気から湿気を除去する手段として機能し続けるには、吸着された湿気を「再生」又は除去することを必要とする。
【0006】
筐体内の湿気を対処する別の手段は湿気ポンプによるものであり、そこでは吸着サイクルの間、空気が密閉された空間から加熱チャンバーのシリカゲル乾燥剤に移動し、脱着サイクルの間、湿気が外部環境に蒸発する。
【0007】
米国特許出願公開第20160363331号明細書は、内部環境から外部環境に湿気を除去するための湿気ポンプを備えるシステムを開示している。湿気ポンプは、加熱チャンバーと凝縮チャンバーを画定するハウジングを備える。ハウジングによって維持されるのは、乾燥剤、ヒーター、及びヒーターがオフの場合に加熱チャンバーの水蒸気を選択的に吸着し、ヒーターがオンの場合に水蒸気を加熱チャンバーに脱着するヒートシンクである。また、弁アセンブリが、吸着位置と脱着位置の間で移行可能なハウジングによって維持される。吸着位置は、水蒸気が内部環境から加熱チャンバーに選択的に送られることを可能にする。脱着位置は、外部環境に送るために、水蒸気が加熱チャンバーから凝縮チャンバーにそれぞれ送られることを可能にする。断熱材が加熱チャンバーの周りに任意で使用されて、乾燥剤の脱着効率を高める。
【0008】
国際公開第1997027042号パンフレットは、自動車のランプなどの熱源又は熱サイクリング装置に近接して使用できる乾燥剤を構成する乾燥剤(drying agent)と混合された多孔質ポリマー材料を開示する。熱源によって生成された熱は、多孔質ポリマー材料の乾燥剤を再生する。乾燥剤材料は、熱源に近接して材料を設置又は固定しやすくするために、さまざまな形状に形成されることができる。
【0009】
米国特許出願公開第2007/0197711号明細書は、改善された色彩安定性を有するポリマー/有機粘土組成物を開示する。この組成物はハロゲン化ポリマーマトリックスを含む。さらにそれは、フィロシリケート粘土と1種以上の第四級アンモニウム化合物からなる有機粘土組成物も含む。第四級アンモニウム化合物としては、トリ-及びテトラ[ポリ]オキシアルキレン第四級アンモニウム化合物、それらのエーテル及びエステル誘導体が挙げられる。フィロシリケート粘土としてはスメクタイト粘土が挙げられ、ポリマーとしてはポリ塩化ビニルが挙げられる。ポリマー/有機粘土組成物は、以下から選択される四級アンモニウム化合物を含む:トリス[2-ヒドロキシエチル]牛脂アルキルアンモニウムイオン、トリス[2-ヒドロキシエチル]水素化牛脂アルキルアンモニウムイオン、及びトリス[2-ヒドロキシエチル]ステアリルアルキルアンモニウムイオン。
【0010】
欧州特許第1818609号明細書は、装置に存在する内部空気から空気の湿気を吸着するため、及び吸着された空気の湿気を外部空気に放出するために使用される乾燥媒体を有する装置を開示する。電気調整要素は吸着位置と脱着位置の間を動かされる。乾燥媒体の一部は、湿気を吸収するために吸着位置で一時的に内部空気と接触し、空気の湿気を解放するために脱着位置で一時的に外部空気と接触する。
【0011】
米国特許第6290758号明細書は、閉じられたハウジングから湿気を抽出し、それを外部の雰囲気に放出する湿度ポンプを提供することによって、機器ハウジングの湿気を下げることを開示する。チューブが、ハウジングの壁を貫通し、内部及び外部の雰囲気に解放されている。チューブは、ハウジングの湿気を吸収する吸湿性再生乾燥剤の第1の部分を含有する。ウィッキング材料が湿気を再生乾燥剤の第2の部分に移す。ヒーターが第2の部分から湿気を追い出し、「湿気勾配」を作り出し、これによって、湿気がハウジングの内部から連続的に取り出される。
【0012】
米国特許第6235219号明細書は、乾燥剤として有用な組成物を開示する。組成物は、溶媒中の吸湿性材料と有機ポリマーを含む成分を混合して溶液を形成し、続いて溶液を乾燥させて溶媒を除去し、有機ポリマー中に分散した湿気不足の吸湿性材料を形成することによって調製されることができる。代替的に、組成物は、吸湿性材料及び溶融有機ポリマーを含む成分を混合して流体混合物を形成し、続いて流体混合物を非流体状態に冷却することによって調製されることができる。米国特許第6235219号明細書の組成物は、(1)ポリビニルアルコールに分散された吸湿性材料、(2)有機ポリマーに分散された潮解性材料、又は(3)溶媒にともに溶解された吸湿性材料とポリマー材料を含むことができる。
【0013】
このような筐体の汚染は、筐体の内側と外側の両方から生じる。例えば、コンピュータのハードドライブでは、外部汚染と同様に内部源から発生する粒子及び蒸気からも損傷が生じうる。
【0014】
米国特許第7306659号明細書は、フィルター性能を向上すること及び可能なら複数の濾過機能を単一フィルターに組み込むことによって、汚染の影響を受けやすい電子又は光学機器などの閉鎖環境(例えばコンピュータディスクドライブ)から、微粒子及び気相汚染物質などの汚染物質を濾過する装置を開示する。フィルターは、フィルター性能を向上するフロー層を含む。濾過機能は、受動吸着剤アセンブリを含み、インレット又はブリーザーフィルター及び吸着剤フィルターの組み合わせを含むことができる。さらに、筐体内の所望の機能に応じて、再循環フィルター、拡散チューブ、及び外部マウント機能がフィルターに追加されることができる。
【0015】
米国特許第5593482号明細書は、接着剤層、吸着剤層、及び濾過層を有する筐体から気体汚染物質を除去するための吸着剤アセンブリを開示する。また、筐体に電磁シールドをもたらす金属又は金属化材料を含有する外層を有する外部取り付けアセンブリも提供されている。
【0016】
米国特許第5500038号明細書は、汚染物質を選択的に収着するためのコンパクトな収着剤フィルター及びフィルターで筐体から汚染物を除去する方法が開示する。フィルターは、そのなかに汚染物質吸着材料を含む収着剤コア、収着剤コアを完全に含むように内側収着剤コアの周りに巻き付けられた外側保護カバーを備え、コアの露出端が、フィルター内に存在する収着剤コアを封入するようにキャップされているが、そのなかに含まれる材料の量を制限しない。収着フィルターが筐体内に設置されて、そのなかのガス汚染を除去する。このフィルターは、ガス放出による汚染が問題となりうるコンピュータディスクドライブ又は同様の筐体での使用に特に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
作業湿気容量を、再生可能な方法で、例えば相対湿度30~80%という高湿度環境中で長年にわたり維持する必要性が引き続き存在する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
全体として、本発明は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を除去する。一態様では、ポリマー材料とベントナイト材料を含む乾燥剤部材が提供され、この乾燥剤部材は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸収する一方で、再生可能な方法で作業湿気容量を維持することができる。さらなる態様では、ベントナイト材料を充填した多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンマトリックスを含む乾燥剤部材が提供され、そこにおいて乾燥剤部材は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸収する一方で、再生可能な方法で作業湿気容量を維持することができる。
【0019】
別の態様では、ヒーターを有する第1のチャンバーと、第1のチャンバーへの少なくとも1つの吸着ポートと、少なくとも1つの吸着ポートに近接して配置されたベントナイト材料とを備えるハウジング、及びハウジング内に置かれ、吸着位置と脱着位置の間で移行可能である弁アセンブリを含んでなる筐体アセンブリが提供される。この筐体アセンブリは、加熱式湿気ポンプと呼ばれることがある。一態様では、ベントナイト材料を含む乾燥剤部材が提供される。ベントナイト材料は再生されて内部雰囲気の湿気を制御する。シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機物、又はそれらの混合物を含有する内部雰囲気は、ベントナイト材料に曝され、ベントナイト材料は作業湿気容量を維持することができる。
【0020】
別の態様では、熱サイクルする電子機器を保持するように構成されたハウジングと、ハウジングのインレットと、ハウジングのインレットに挿入された保護ベントとを備える筐体アセンブリが提供される。ここで当該保護装置は剛体を含み、その剛体はその内部に空気流を可能にするポートと、そのポートに隣接するベントナイト材料とを有する。電子機器はソーラーインバータであってもよい。
【0021】
受動的な防湿のために、剛体を含む保護ベントであって、その剛体がその内部に空気流を可能にするポートと、そのポートに隣接するベントナイト材料とを有する、そのような保護ベントが提供される。
【0022】
複数の態様が開示されているが、本発明の例示的態様を示し、説明する以下の詳細な記載から、本発明のさらに他の態様が当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、一態様による、ポリマーマトリックス及びベントナイト材料を含む乾燥剤部材の断面図である。
【
図2】
図2は、一態様による、ベントナイト材料に隣接するポリマー材料のフィルムを備える乾燥剤部材の断面図である。
【
図3】
図3は、一態様による、ベントナイト材料に隣接するポリマー材料のパウチ(pouch)を備える乾燥剤部材の断面図である。
【
図4】
図4は、一態様による、それに付着したベントナイト材料の別個のビーズを有するポリマー材料のフィルムを備える乾燥剤部材の断面図である。
【
図5】
図5は、一態様による、電子部品用ケーシングの保護ベントの透視図である。
【
図6】
図6は、一態様による、脱着構成の湿気ポンプの透視図である。
【
図7】
図7は、一態様による、吸着構成の湿気ポンプの透視図である。
【
図8】
図8は、一態様による、脱着構成の差動弁を有する湿気ポンプの透視図である。
【
図9】
図9は、一態様による、吸着構成の差動弁を有する湿気ポンプの透視図である。
【
図16】
図16は、536回のサイクルにおける実施例1及び2ならびに比較例1の比較グラフである。
【
図17】
図17は、536回のサイクルにおける実施例1及び2ならびに比較例1の比較グラフである。
【
図22】
図22は、536回のサイクルにおける実施例3及び比較例2の比較グラフである。
【
図23】
図23は、536回のサイクルにおける実施例3及び比較例2の比較グラフである。
【
図32】
図32は、536回のサイクルにおける実施例4~6及び比較例3の比較グラフである。
【
図33】
図33は、536回のサイクルにおける実施例4~6及び比較例3の比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
全体として、本発明はベントナイト材料を含む乾燥剤部材を提供する。一態様では、乾燥剤部材はポリマー材料及びベントナイト材料を含む。本明細書に記載の乾燥剤部材は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸着することができる。これは、内部源及び外部源によって引き起こされる汚染が発生する厳しい環境で、乾燥剤部材が使用されることを可能にする。内部の部品からのガス放出は、内部の雰囲気中に蓄積し、汚染物質が湿気とともに乾燥剤部材に吸着される可能性がある。さらに、隣接する電子機器などの外部源から、又は汚染源からの汚染が、乾燥剤部材が湿気を除去している雰囲気に濃縮される可能性もある。本発明の発明者らは、これらの汚染物質が、いくつかの乾燥剤材料、特にシリカゲルに悪い効果を与えことを見出した。厳しい環境はしばしば、乾燥剤部材を再生することを必要するが、これらの汚染物質に曝されたシリカゲルを再生する場合、シリカゲルが交換されなければならないレベルまで使用可能な寿命が下がるという程度にシリカゲルの作業湿気容量が低下する。メンテナンスを減らし、過酷な環境で使用可能な寿命を向上するために、本明細書に記載の乾燥剤部材は、シロキサン、60℃以上の沸点を持つ有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸収する一方で、再生可能な方法で作業湿気容量を維持することができるベントナイト材料を使用する。
【0025】
本明細書に記載の乾燥剤部材はたいていの雰囲気から湿気を除去することができるが、ベントナイトを含む乾燥剤部材は、汚染物質を含有する雰囲気から湿気を除去するのに特に適している。一態様では、汚染物質は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含む。雰囲気は、乾燥剤部材によって吸着されるに充分な量の汚染物質を含有する。雰囲気中のシロキサン濃度は、少なくとも1pp以上、例えば少なくとも5ppm以上になり得る。同様に、雰囲気中の有機化合物の総濃度は、少なくとも1ppm以上、例えば少なくとも5ppm以上になり得る。ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない多種多様なシロキサンが雰囲気中に存在しうる。60℃より高い沸点を有する有機化合物は、芳香族又は脂肪族アルコールを含むことがある。芳香族アルコールの例としては、ベンジルアルコール又は2,4-ジ-tert-ブチルフェノールが挙げられる。脂肪族アルコールの例としては、2-エチル-ヘキサノール又はドデカノールが挙げられる。アルコールに加えて、トルエン、キシレン、ベンゼン、イソプロピルベンゼン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタレン、カプロラクタム、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ヘプタナール、ヘキサナール、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン、又はテトラデカンなどの数種の他の有機化合物もまた存在しうる。60℃より大きい沸点を有する他の有機物が雰囲気中に存在しうることも理解されるべきである。
【0026】
このような雰囲気にシリカゲルを曝した場合、これらの成分のいくつかが1ppmより高い有意な量で、シリカゲルに吸着されることが見出された。特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、トルエン、2-エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、及びカプロラクタムの合計濃度が有意な量であることが見出された。他の有機物もまたシリカゲルに吸着されることが見出された。シリカゲルにおけるこれらの化合物の存在は、湿気を管理している雰囲気中に、望ましくないことに汚染物質が蓄積していることを示す。雰囲気から汚染物質を除去することは難しい場合があるので、シリカゲルは性能が低く、頻繁に交換されなければならない。本明細書に記載されるように、シリカゲルとは異なり、予想外にもベントナイト材料が、これらの汚染物質に抵抗性があり、かつ、再生可能な方法で作業湿気容量を維持できることが見出された。
【0027】
ベントナイトは、天然に存在するフィロシリケート粘土で、スメクタイト族の鉱物を含む。ベントナイトは、ナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイト、又はそれらの混合物として市販されている。ベントナイト材料は、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、及び/又はヘクトライトを含むがこれらに限定されない1つ又はより多くのフィロシリケートを含む。フィロシリケートの量はベントナイトの供給源によって異なる。フィロシリケートに加えて、ベントナイトは石英(結晶性シリカ)、ガラス粒子、及び可溶性塩も含む。一例示的態様では、ベントナイト材料は、70~99%のモンモリロナイト、例えば75~97%のモンモリロナイト、75~95%のモンモリロナイト、又は75~90%のモンモリロナイトを含む。
【0028】
シリカゲルに関連する問題を回避するために、本明細書で使用されるベントナイト材料は実質的にシリカゲルを含まず、好ましくは湿気を吸着するために有効量のシリカゲルを含まない。ベントナイトを、湿気に曝されていない新鮮なシリカゲルと比較した場合、未曝露のシリカゲルは、汚染を有しない清潔な環境では、等質量ベースで未曝露のベントナイトよりも大きい湿気容量を有する。このような未曝露時の湿気容量の違いのため、シリカゲルが主要な商業的乾燥剤になっている。シリカゲルは、湿気の保持を表面積に依存しており、脱着/吸着サイクル後に表面積の減少を被る。シリカゲルとは異なり、ベントナイトは湿気を膨潤作用によって吸着する。ベントナイトも同等の表面積減少を示すが、本発明の発明者らは、驚くべきことにかつ予想外に、ベントナイトが汚染の存在下でもシリカゲルよりも高い作業湿気容量を維持することを見出した。これは、耐汚染性の乾燥剤部材を本発明の態様に提供する。
【0029】
予想外にかつ驚くべきことに、本発明の発明者らによって、汚染された雰囲気中の乾燥剤部材のベントナイト材料が、作業湿気容量への長期的な影響をほとんど示さないことが見出された。これは、特に、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気に曝された場合、本発明の乾燥剤部材にシリカゲルよりも大きい作業湿気容量をもたらす。作業湿気容量とは、各サイクル間の変化が小さいかゼロである連続した再生サイクル後に得られる平衡をいう。作業湿気容量を維持することは、本明細書に記載の乾燥剤部材が、1、5、10、15、20、又はさらには25年間などのより長い期間、厳しい環境で使用されることを可能にする。これは、30%以上、35%以上、40%以上、50%以上、55%以上、かつ80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、又は60%以下、例えば30~80%の相対湿度で特に有益である。シリカゲルは、初期湿気容量の最大90%の作業湿気容量の減少を経験する可能性がある。これは、より多くのメンテナンス及び増加したシリカゲルの交換費用を必要とする。
【0030】
本明細書に記載のさまざまな態様は、作業湿気容量を維持し、これは他の材料に比べて向上を示す。特に、ベントナイト材料の湿気容量は、再生された後、実質的に保持される。作業サイクルの湿気が長いサイクル時間にわたって維持されて、耐久性のある乾燥剤部材を提供する。一例示的態様では、短い時間、作業湿気容量は、セ氏25度(50%の相対湿度)及び67回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の25%より大きいことができる。別の態様では、作業湿気容量は、セ氏25度(25℃)及び67回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の50%より大きいことができる。別の態様では、作業湿気容量は、セ氏25度及び67回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の70%より大きいことができる。
【0031】
長期間の再生後、例示的態様では、作業湿気容量は、セ氏25度(50%の相対湿度)及び536回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の10%より大きい、例えば、セ氏25度及び536回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の15%より大きい、セ氏25度及び536回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の20%より大きい、セ氏25度及び536回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の25%より大きい、又はセ氏25度及び536回の再生サイクルで領域11.5g/m3の水蒸気濃度において初期湿気容量の40%より大きいことができる。たいていの用途では、536回のサイクルが約1年の動作時間である。
【0032】
一態様では、作業湿気容量は、536回の再生サイクルで30~80%の相対湿度の範囲にわたって初期湿気容量の20%超で維持されることができる。例を用いて下でさらに説明されるように、特に
図17、23、及び33に示されるようにシリカゲルは汚染物質の存在下で作業湿気容量を維持することができない。より大量のシリカゲルが、その作業湿気容量を向上するのに必要とされるが、これらの量は非常に大きいので、それはほとんどの用途、特により小さない筐体アセンブリに適さない場合がある。
【0033】
向上した作業湿気容量にくわえて、絶対値の点で、ベントナイト材料は、多数のサイクル再生された後、向上した湿気容量保持を示す。サイクリング期間は電子機器とサービスによって異なりうるが、湿気をより長く保持する能力は、乾燥剤が厳しい環境で使用されることを可能にし、メンテナンスコストを削減する。一態様では、ベントナイト材料の湿気容量は、再生された後、実質的に保持される。一般的に、ベントナイト材料は減少した湿気容量の変化を有する。25℃で50%の相対湿度(11.5g/m3の水蒸気濃度)において、一例示的態様では、ベントナイトを含む乾燥剤部材は、67回のサイクルで75%以下、例えば67回のサイクルで60%以下、67回のサイクルで50%以下、67回のサイクルで40%以下、67回のサイクルで35%以下、又は67回のサイクルで30%以下の湿気容量変化を有する。湿気容量の変化が75%より大きい場合、67回のサイクルなどの短期使用では、乾燥剤が被る初期減少が大きすぎて厳しい環境で使用されることができない。長期使用では、25℃で50%の相対湿度(11.5g/m3の水蒸気濃度)において、一例示的態様では、ベントナイトを含む乾燥剤部材は、536回のサイクルで90%以下、例えば536回のサイクルで80%以下、536回のサイクルで70%以下、536回のサイクルで60%以下、536回のサイクルで55%以下、又は536回のサイクルで50%以下の湿気容量変化を有する。
【0034】
一態様では、乾燥剤部材はポリマー材料を含む。乾燥剤部材の総質量に対して、多孔質ポリマーマトリックス中のベントナイト材料の充填量は、50~99%、例えば50~80%又は50~75%の範囲である。典型的には、50%未満の充填量は、湿気調節に充分なベントナイトを用いず、部材の増加された厚さを必要とする。
【0035】
乾燥剤部材は0.1~15mmの厚さを有することができる。別の態様では、乾燥剤部材は0.1~3mmの厚さを有することができる。いくつかの態様では、乾燥剤部材は、ベントナイト材料及びポリマー材料を含み、0.8~2.5mmの厚さを有することができる。いくつかの態様では、ベントナイト及びポリマー材料を含む乾燥剤部材は、0.85~2.15mmの厚さを有することができる。小さい厚さは、乾燥剤部材が、小さい通気ポートを有するいくつかの用途で使用されることを可能にする。いくつかの態様では、厚さが増やされて、ベントナイト材料の低充填量に対してより大きな容量をもたらすことができるけれども。乾燥剤部材の厚さは、乾燥剤部材の領域全体で厚さの点で実質的に均一であることができる。ある態様では、乾燥剤部材は、0.5mm未満、又は場合によっては0.25mm未満の厚さの変動をすることができる。
【0036】
本明細書に記載の乾燥剤部材は柔軟性があってもよく、これはいくつかの利点を提供する。通気ポート又は本明細書に記載の他の関連部品と同様に、柔軟な乾燥剤部材は、ヒートスプレッダ又は熱への順応性を可能にする。順応性を増加させることは、乾燥剤部材の再生する場合、熱伝達を高めることができる。柔軟な乾燥剤部材フォーム(member form)は、乾燥剤部材が平らな面として製造され、乾燥剤部材を曲げてハウジング又はポート内に据え付けることによって設置されうるように屈曲に耐えることができる。ある態様では、柔軟な乾燥剤部材は、微粒子を生成することなく、3ミリメートル以下、例えば1ミリメートル以下又は0.5ミリメートル以下の半径をもつ湾曲に順応することができ場合がある。目に見える表面の亀裂や粒子の発生なしに、柔軟な部材フォーム(member form)がX方向とY方向の両方で小さな半径でマンドレルに丸められる単純なマンドレルロール試験で屈曲耐久性が測定されることができる。
【0037】
乾燥剤部材は、繊維、シート、チューブ、テープ、ペレット、又はビーズを含むさまざまな三次元形状に構成されることができる。
【0038】
乾燥剤部材10の構造は用途に基づいて適合されることができる。乾燥剤部材10は、ベントナイト材料が再生可能であることを可能にする構造を有する。乾燥剤部材10のさまざまな断面図が
図1~4に示される。一態様では、
図1に示されるように、ベントナイト材料12は、ポリマー材料のマトリックス13内に組み込まれて乾燥剤部材10を形成することができる。ポリマー材料は、空隙を有する相互接続されたネットワークであるマトリックス13を形成することができる。一態様では、相互接続されたネットワークは、1つ又は複数のフィブリル16によって接続された複数の節14を備えることができる。他の態様では、相互接続されたネットワークは、接合されて空隙を作り出すフィブリルを備えることができる。マトリックス13は、ベントナイト材料12によって完全に又は部分的に充填又は含浸された空隙領域を有する。一態様では、ベントナイト材料12は、1つの空隙領域からのベントナイト材料12が隣接する空隙領域のベントナイト材料と接触する相互接続ネットワークを形成することができる。マトリックス13を埋め込むこと又は含浸することは、マトリックスからのベントナイトダスト又は破片の漏出を減らす。一態様では、マトリックス13は、シート、チューブ、又はテープの形態の多孔質ポリマーマトリックスであり、多孔質ポリマーマトリックスはPTFEを含む。別の態様では、
図2及び3に示されるように、ポリマー材料は、ベントナイト材料12に隣接して乾燥剤部材10を形成するフィルム20であることができる。フィルム20は、
図2に示されるように、ントナイト材料12の少なくとも1つの表面に隣接する層であることができ、又はフィルム20は、ベントナイト材料12を囲む
図3に示されるパウチ30であることができる。いくつかの態様では、フィルム20は、ベントナイト材料12の複数の表面に隣接できることが理解されるべきである。パウチ30は、縁34に沿ってシール又は接合されて、ベントナイト材料12を筐体に設けるポリマー材料のフィルムシート32を有することができる。ベントナイト材料は、個々のばらばらの粒子であってもよく、又はタブレットに圧縮されてもよい。シールされたパウチ30は、ベントナイト材料12によって引き起こされる任意のダストを封じ込めるのにも有用でありうる。さらなる態様では、
図4に示されるように、フィルム又はマトリックスなどのポリマー材料42に付着しているベントナイト材料12の1つ又は複数のビーズ40が存在することができる。ビーズ40は別個であってもよく、かつポリマー材料42に融合されてもよく、又は接着剤層44で接着されてもよい。ベントナイト材料は、これらの技術の1つ又は複数を使用して乾燥剤部材に組み込まれることができることが、当業者によって理解されるべきである。
【0039】
多孔性及び非多孔性ポリマーを含むさまざまなポリマー材料が使用されることができる。ベントナイト材料からの脱着を可能にするために、ポリマー材料は水蒸気に対して透過性があることができるが、液体不透過性であることができる。これは、乾燥剤部材が、通気を用いて内部圧力を調節する環境で使用されることを可能にする。熱的に安定なポリマー材料が好ましく、ポリマー材料の融点はベントナイトの再生温度より高いべきである。融点が再生温度よりも低い場合、再生の間、ポリマー材料が変形するか、又はその形状を失うことがあり、これは湿気容量の減少やベントナイト材料のダスティングを引き起こす可能性がある。好適なポリマー材料としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、又はフルオロポリマーが挙げられうる。フルオロポリマーとしては、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、塩化ビニリデン-塩化ビニルコポリマー、塩化ビニルコポリマー、フッ化ビニリデンポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられうる。延伸PTFE(ePTFE)、延伸ポリエチレン、延伸ポリプロピレン(二軸延伸ポリプロピレン)などの延伸ポリマーを使用して、多孔質ポリマーマトリックスを作り出すことができる。
【0040】
ポリマー材料が一態様では使用されているが、他の態様では、ベントナイト材料は、メッシュの金属スクリーンを使用して保持されること、織物、不織布、又は編まれた織物材料を使用して保持されること、又は二原子粘土などの好適なバインダーを使用して保持されることができる。したがって、一態様では、少なくとも1つの金属スクリーン、金属メッシュ、織物、又は二原子粘土、及びベントナイト材料を含む乾燥剤部材が提供され、そこにおいて乾燥剤部材は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含む雰囲気から湿気を吸着することができる。
【0041】
一態様では、乾燥剤部材は、ベントナイト材料を充填したePTFEマトリックスを備える。この乾燥剤部材は、シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸着することができる。くわえて、ePTFEはベントナイト材料の再生温度で熱的に安定である。
【0042】
本明細書に記載の乾燥剤部材は、受動システムと能動システムを含む湿気調節を必要とするいくつかの異なる用途で使用されることができる。一般に、そのなかに、それを通って空気流を可能にするポート及びポートに隣接するベントナイト材料を有する剛体を備える保護ベントが存在することができる。保護ベントは、液体及び微粒子が筐体に入らないようにし、一方で同時に、空気が通過することを可能にするのに有用である。空気が通過することを可能にすることで、筐体のシールへのストレスを軽減し、ケーシング又は筐体内の圧力を均等にすることができる。特に内部雰囲気がシロキサンや有機物などの汚染物質を含む場合、ベントナイト材料を保護ベントに組み込むことは、湿気管理をさらに向上する。
【0043】
一態様では、熱サイクルする電子機器を保持するように構成されたケーシング、ケーシングのインレット、ハウジングのインレットに挿入された保護ベントが提供され、そこにおいて保護ベントは、それを通って空気流を可能にするポートをそのなかに有し、ポートに隣接するベントナイト材料を含む剛体を備える。マトリックスやフィルムなどのポリマー材料を使用して、ベントナイト材料を押さえることもできる。保護ベントは、ケーシングのインレットにねじ込む、又はスナップで留めることができる。
【0044】
図5は、筐体を画定し、外部環境104を内部雰囲気106から隔てるケーシング102を備える筐体アセンブリ100の透視図である。一態様では、ケーシングは、外部環境104と内部雰囲気106の間の唯一の空気通路がインレット108を通るように、気密、防湿(moisture-tight)、及び水密シールの少なくとも1つを形成する。本明細書で使用される場合、「外側」及び「内側」は、例えば、ケーシングの反対側にある、ケーシング102に対する空間を説明するのに使用される用語である。
図5に示されるように、保護ベント120がインレット108に挿入される。空気流は保護ベント120を通過することができ、これはケーシング102内の圧力を等しくすることができる。保護ベント120は剛体及びポートを有することができる。一態様では、保護ベント120はベントナイト材料を含み、さらなる態様では、ポリマー材料及びベントナイト材料を含む乾燥剤部材備える。
図5に示されていないが、ケーシングは、熱サイクルするソーラーインバータなどの電子機器を備えてもよい。自動車用途では、これはヘッドランプ用の電球を備えることができる。熱サイクリングすることは、湿気110を内部雰囲気106に蓄積させる。湿気110の存在は、加熱源又は他の部品、特にケーシング内の電気又は電子部品の有用なライフサイクルを減らす可能性がある。さらに、ガス放出又は外部汚染のために、内部雰囲気106は、シロキサン112又は60℃より高い沸点を有する有機物114も含みうる。本明細書に記載されるように、ベントナイト材料を含む保護ベントが、そのような雰囲気に曝された場合、湿気管理に有用な作業湿気容量を維持できることは予想外でかつ驚くべきことである。
【0045】
保護ベントの1つのタイプは加熱された湿気ポンプである。さらに詳しく説明されるように、ベントナイト材料は、加熱された湿気ポンプに特に適している。
【0046】
加熱されたポンプの一態様では、ハウジングと、ハウジング内に置かれ、吸着位置と脱着位置の間で移行可能な弁アセンブリを備える筐体アセンブリが提供される。ハウジングは、ヒーター、第1のチャンバーへの少なくとも1つの吸着ポート、及び少なくとも1つの吸着ポートに近接して配置されたベントナイト材料を有する第1のチャンバーをさらに備える。一態様では、ベントナイト材料は、本明細書に記載のように乾燥剤部材中に存在することができる。ハウジングは、さらに凝縮チャンバーと、凝縮チャンバーから出る通気ポートを備える。吸着位置は、加熱チャンバーと凝縮チャンバーの間の脱着ポートをシールし、加熱チャンバーに水蒸気を送るために加熱チャンバーへの吸着ポートを開く。脱着位置は、吸着ポートをシールし、加熱チャンバーから水蒸気を送るために加熱チャンバーと凝縮チャンバーの間の脱着ポートを開く。この装置は、ヒートポンプ又は湿気ポンプといわれることがある。加熱された湿気ポンプのさまざまな詳細が以下の態様で説明されるであろう。
【0047】
一態様では、
図6及び
図7に示されるように、ポンプハウジング210(部分破断図で示される)、ベントナイト材料212(部分破断図で示される)、ヒーター214、ヒートシンクとして機能しうるヒートスプレッダ216(部分破断図で示される)、及びポンプハウジング210によって画定された1つ又は複数のチャンバー220、222、224の内外に水蒸気を送ることを選択的に可能にする移行可能な弁アセンブリ218(部分破断図で示される)を有する湿気ポンプ200の透視図が存在する。一態様では、ベントナイト材料212を含む乾燥剤部材が存在する。湿気ポンプ200は、一般に、湿気ポンプ200に入る内部雰囲気206から湿気を除去し、湿気ポンプ200を出ることによって湿気を外部環境204に戻すように動作する。ベントナイト材料212は、一般に、加熱されていない場合、空気から水蒸気を吸着するように構成されている。
図6に示されるように、湿気ポンプ200は吸着位置である。
図7は、脱着位置にある湿気ポンプを示す。湿気ポンプ200はさまざまな形状が企図されるが、図示されるように、円筒形部品を備えた回転対称形状を有する。
【0048】
ヒーター214の非限定的な例は、正の熱係数(PTC)ヒーターであり、これは自己調節であることができる。ヒーター214は、AC又はDC電流によって電力を供給されることができる。多くの用途では、ヒーター214用の電源としてDC電流が容易に利用可能である。ヒーター214は、用途で利用可能な電圧を引き出すように選択されることができる。利用可能な電圧で動くヒーターを選択することは、システム全体のコストを削減することができる。特定の態様では、自動車、コンピュータシステム、照明、及び電子筐体を含むがこれらに限定されない広範な用途に関して、DC電圧は2V~80V、例えば2V~24V又は10V~16Vであることができる。
【0049】
ポンプハウジング210は、ケーシングのインレットに挿入される場合、ケーシングとの気密、防湿、及び水密シールの少なくとも1つを形成する。ポンプハウジング210は、別々の接続された部品が企図されるが、一体の剛性材料で形成されてもよい。湿気ポンプ200は、内部雰囲気206からの湿気をポンプハウジング内の1つ又は複数のチャンバー210に導き、1つ又は複数のチャンバーから外部環境204に湿気を導く。このようにして、湿気ポンプ200は、内部雰囲気206からの湿気の除去を促進して、ケーシング内の電子部品の有用なライフサイクルを延ばす。
【0050】
ポンプハウジング210は、加熱チャンバー220、加熱チャンバー220に隣接する凝縮チャンバー222を画定する。さらなる態様では、ポンプハウジング210は、加熱チャンバー220に隣接するデブリチャンバー224を画定することができる。動作中、水蒸気は、内部雰囲気206から加熱チャンバー220に(例えば、デブリチャンバー224を通して)選択的に送られ、次に今度は、加熱チャンバー220から凝縮チャンバー222に送られて外部環境204に排出される。
【0051】
図示されるように、ポンプハウジング210は、加熱チャンバー220、凝縮チャンバー222、及びデブリチャンバー224の少なくとも側面境界を形成する壁230を備える。凝縮チャンバー222において、壁230の内面は、水蒸気が液体として集まる又は凝結する場所として任意で機能する凝縮表面を画定し、凝縮チャンバー222の空気中の湿気を減らす。
【0052】
図6と7に示されるように、ポンプハウジング210は、吸着ポート240、脱着ポート242、及び通気ポート244も有する。吸着ポート240は、加熱チャンバー220に水蒸気を送るための領域を提供し、脱着ポート242は、加熱チャンバー220から凝縮チャンバー222への水蒸気を送るための領域を提供する。図示されるように、脱着ポート242は加熱チャンバー220と凝縮チャンバー222の間に配置され、さまざまな構成が企図されるが、一般にポンプハウジング210が直径を小さくする領域に対応する。より詳細に説明されるように、チャンバー220、222、224は、典型的には、弁及び/又はフィルター(例えば膜)構造によって選択的に又は連続的に隔てられる。
【0053】
ヒーター214は、乾燥剤212を加熱するために熱をヒートスプレッダ216に導く。動作中、ヒーター214は選択的に電力を供給されて熱を発生させる。熱の一部は(例えば対流を介して)空気又は他の成分を通して放散されうるが、一般、発生した熱のかなりの部分がヒートスプレッダ216に吸着される。ヒートスプレッダ216の熱の少なくとも一部は、ベントナイト材料212に(例えば伝導を介して)吸着される。例えば、ベントナイト材料212に吸着された水蒸気は加熱され、ベントナイト材料212から加熱チャンバー220の空気に放出される。ヒーター214が電力を供給されておらず、ベントナイト材料212が充分に冷却されている場合、ベントナイト材料212は空気から水蒸気を吸着する。
【0054】
弁アセンブリ218は、第1の位置と第2の位置の間でハウジング210に対して弁アセンブリ218を移行するように構成されたアクチュエータ260を含む。一態様では、ヒーター214が加熱チャンバー220に熱を送る場合、アクチュエータ260及びベントナイト材料212は、ヒートスプレッダ216を介して加熱される。それに応えて、アクチュエータ260が延伸し、ベントナイト材料212は湿気を加熱チャンバー220に脱着する。ヒーター214が加熱チャンバー220に熱を送らない場合、アクチュエータ260及びベントナイト材料212は冷める。それに応じて、アクチュエータ260が収縮し、ベントナイト材料212が加熱チャンバー220の空気から水蒸気を吸着する。他の態様では、アクチュエータは、相変化材料などの温度に応答する熱機械的アクチュエータであることができる。相変化材料の非限定的な例としては、ワックス(例えばパラフィンワックス)、バイメタル元素、及びニチノールが挙げられる。
【0055】
湿気ポンプ200のさまざまな態様は、1つ又は複数の膜を含む。ベントポート250を覆う膜252は、ベントナイト材料212から遊離された又は払い落された粒子がポンプハウジング210から離れ、外部環境204に入るのを防ぐことなど、固体デブリが湿気ポンプ200に入る又は出るのを防ぐ。膜252はまた、粒子(例えばダスト)が外部環境204から入るのを防ぐ。任意の膜254を使用してインレットポートを覆い、ベントナイト材料212から遊離された又は払い落された粒子がポンプハウジング210から離れ、内部雰囲気206に入るのを防ぐ。
【0056】
1つ又は複数の膜252、254の別の目的は、空気及び水蒸気がそれを通って送られることを可能にすることである。1つ又は複数の膜252、254のさらに別の目的は、液体の水がそれを通って送られるのを防ぐことである。1つ又は複数の膜のいっそう別の目的は、油が膜上に蓄積するのを妨げることである。いくつかの態様では、1つ又は複数の膜は、選択された1つ又は複数の目的に応じて、固体デブリ不透過性、空気透過性、蒸気透過性(例えば水蒸気透過性)、水不透過性、及び疎油性である。図示されるように、膜252は通気ポート250を覆う。また、図示されるように、任意の膜254は吸入ポート256を覆い、ポンプハウジング210と内部雰囲気206の間に配置されて、ベントナイト材料212から遊離された粒子が内部環境206に入るのを防ぐ。いくつかの態様では、膜250はポンプハウジング210に付着している。好適な膜材料の例としては、米国特許第6,210,014号明細書、同第6,709,493号明細書、及び同第8,968,063号明細書に記載のものなどのePTFE膜が挙げられ、この内容をすべての目的のために参照により本明細書中に取り込む。
【0057】
図7に示される脱着位置では、アクチュエータ260が延伸される、又は伸ばされた位置にある。脱着位置への移行において、弁アセンブリ218は吸着ポート240をシールし、脱着ポート242を開く。特に、ガスケット246を含む吸着ポートカバー244は、ポンプハウジング210に接触して吸着ポート240をシールする。加熱サイクルの間及び/又は加熱サイクル後の所望の期間、弁アセンブリ218は脱着位置にあり、熱は加熱チャンバー220、特にアクチュエータ260及びベントナイト材料212に送られる。ヒーター214によって送られた熱に応えて、アクチュエータ260が延伸し、ベントナイト材料212が湿気を空気中に放出し始める。図示されるように、脱着位置又は吸着位置のいずれにおいても、ヒーター214は、ポンプハウジング210の凝縮チャンバー222の外側のポンプハウジング210に対して固定された位置に留まる。
【0058】
水蒸気は、例えば拡散によって、加熱チャンバー220から凝縮チャンバー210に自由に送られる。しかし、
図6及び7に図示される動作によれば、湿気ポンプ200が脱着位置にある場合、吸着ポートカバー244のシールにより、一般に水蒸気はデブリチャンバー224又は内部雰囲気206に送られることができない。したがって、加熱チャンバー220からの水蒸気も、一般に、任意の膜254から送られることができない。凝縮チャンバー222の加熱された水蒸気は、膜252を通って抜ける、又は凝縮チャンバー222の1つ又は複数の表面上に凝縮し始める。
【0059】
一態様では、凝縮チャンバー222を有する湿気ポンプ200は、ベントナイト材料212からの湿気脱着を増加させる。これは、ベントナイト材料212がより多くの湿気を除去することを可能にする。
【0060】
本開示のさまざまな態様は、弁アセンブリ位置とベントナイト材料212の加熱との間の適切なタイミングを容易にして、湿気を放出させる。適切なタイミングを容易にする、代替的に又は組み合わせて提示される構成の非限定的な例としては、アクチュエータ260のワックス融解温度をベントナイト材料212の脱着温度よりも低く設定すること、ヒーター214をアクチュエータ260により近く、ヒートスプレッダ216上のベントナイト材料212から相対的により遠くに置くこと、ベントナイト材料212に対してよりもアクチュエータ260に対して、より多くの一過性熱流束を優先するようにヒートスプレッダ216の断面積を設定すること、及びベントナイト材料212の前のアクチュエータ260への高い熱伝達率を優先するようにヒートスプレッダ212の材料特性を選択することが挙げられる。さらに、いくつかの態様では、マイクロコントローラが任意で利用されて、相変化アクチュエータ(図示されず)ではなく、ヒーターの温度及び持続時間、ならびに/又は電子(例えばソレノイド)の動作を直接制御する。
【0061】
場合によっては、選択された時間の後、熱は加熱チャンバー220に送られなくなり、弁アセンブリ218が脱着ポート240をシールして蒸発サイクルを開始する。凝縮チャンバー222の液体の水は自由に蒸発し続け、凝縮チャンバー222に残っている水蒸気は、湿気ポンプ200が吸着位置に留まっている間、一定期間にわたって凝縮チャンバーから送ることを自由に継続する。脱着ポートカバー248による脱着ポート242のシールにより、この湿気は一般に、凝縮チャンバー222から加熱チャンバー220に再び入ることができない。脱着ポートカバー248は、吸着位置にある場合、脱着ポート242をシールするためのガスケット材料249も有する。図示されていないが、吸着ポートカバー244及び脱着ポートカバー248は、カバーがアクチュエータ260の動きともに動くように、1つ又は複数のコネクタによってリンクされることができる。ベントナイト材料212は、吸着ポート240を通して加熱チャンバー220に入る湿気を自由に吸着し始める。当業者及び本開示の利益を有する者ならば、特定の用途及び湿気ポンプ特性を考慮して、加熱、脱着、及び吸着のための適切な時間を選択することができるであろう。
【0062】
図6と
図7に示されるように、吸着ポート及び脱着ポートの弁領域はほぼ等しい。一態様では、吸収ポートの弁領域が脱着ポートのそれよりも大きく、したがって弁領域の差を生み出す加熱された湿気ポンプを使用することが有利でありうる。この差は、サイズを増加させることに頼ることなく、湿気を捕捉する速度を有利に増加させることができる。一態様では、吸着ポート及び脱着ポートはそれぞれ、吸着領域及び脱着領域をそれぞれ画定し、吸着領域は脱着領域よりも大きくて、差動弁領域を形成する。吸着ポートは、平行セットに配列されたハウジングの複数の開口を備え、各開口は、弁アセンブリの移動の方向に対して垂直に配置される。したがって、吸着ポートは、ハウジングの複数の開口を備え、吸着領域を画定する。開口はそれぞれ、脱着ポートの幅とほぼ等しい弁アセンブリの移動方向の幅を有する。弁アセンブリは、そのなかに、弁アセンブリが吸着位置にある場合、吸着ポート開口と整列するように配置された複数の開口及び弁アセンブリが脱着位置にある場合、吸着ポート開口と整列し、吸着ポート開口を遮断するように配置された開口の間に配置された複数の遮断領域を有する弁アセンブリを備える。脱着ポートは、複数の吸着開口の各開口の幅にほぼ等しい幅を有する。好ましくは、複数の吸着開口の各開口の幅は、弁アセンブリのそれぞれの遮断領域の対応する幅より小さい又は等しい。
【0063】
吸着ポートは、ベントナイト材料又は乾燥剤部材に近接し、実質的に平行であるハウジングの壁に少なくとも1つの開口を備えることができる。例えば、ハウジングはその中に空隙を含むことができ、開口(複数の開口)は、ベントナイト材料又は乾燥剤部材の表面に平行で、ベントナイト材料又は乾燥剤部材から空隙を横切って配置されることができる。ハウジングが円筒形のバレルである場合、乾燥剤も実質的に円筒状であり、かつハウジング内部に配置され、かつハウジングから空隙よって隔てられることができる。いくつかの態様では、ハウジングの壁は、少なくとも部分的にベントナイト材料又は乾燥剤部材を囲み、ある距離、すなわちハウジングの壁とベントナイト材料又は乾燥剤部材との間の空気流を許容する距離だけ除去される。いくつかの態様では、弁アセンブリは、ハウジングの内部にあり、ハウジング内でスライド可能に取り付けられた弁アセンブリであって、この弁アセンブリは、吸着位置で脱着ポートを覆うように動作可能であり、脱着位置で少なくとも1つの吸着ポートを覆うように動作可能である。
【0064】
差動弁領域を備えた態様では、脱着ポートと通気ポートの間に画定された、凝縮チャンバーという第2のチャンバーが存在しうる。通気ポートは、通気ポートを覆う膜を有することができる。膜は、水蒸気透過性及び液体水不透過性であることができる。弁アセンブリは、弁アセンブリが、脱着ポートカバーで加熱チャンバーと凝縮チャンバーの間の脱着ポートをシールし、加熱チャンバーに水蒸気を送るために吸着ポートを加熱チャンバーに開く吸着位置と、弁アセンブリが、吸着ポートカバーで吸着ポートをシールし、加熱チャンバーからの水蒸気を送るために加熱チャンバーと凝縮チャンバーの間の脱着ポートを開く脱着位置との間で移行可能であることができる。
【0065】
図8は、差動弁領域を有する脱着構成における湿気ポンプ300の破断側面図である。
図9は吸収構成の湿気ポンプ300を示す。湿気ポンプ300は、弁アセンブリ318を収容するハウジング310を含む。弁アセンブリ318は、ハウジング310に隣接して配置された遮断部材、及び遮断部材をアクチュエータ360に機械的に接続するための任意の好適な連結を含む。ハウジング310の内部にあるのは、ヒートスプレッダ312に隣接するベントナイト材料314を収容するチャンバー320であり、ヒートスプレッダはヒーター316と熱的に接続されている。これは、ヒートスプレッダ316を、ヒーター314とベントナイト材312の両方に接触させて設置する。ヒーター314、ヒートスプレッダ316、ベントナイト材料312、及び弁アセンブリ318のアセンブリは、アクチュエータ360によって、ハウジング310の第1の端334の内面332に対して付勢され、かつスプリング362によってハウジングの第2の端336に対して付勢される。アクチュエータ360は、ハウジング310内部の弁アセンブリ318を動かすように動作可能である。図示されるように、アクチュエータ360は、それが動作する場合、ヒーター314、ヒートスプレッダ316、ベントナイト材料312、及び弁アセンブリ318のアセンブリ全体を動かす。しかし、実際には、アクチュエータは、湿気ポンプ300の内部部品のうちのわずか、例えば弁アセンブリ318のみと機械的に結合されることができる。
【0066】
ハウジング310は、湿気を含む、又は送るための1つ又は複数のチャンバーを画定する。
図8及び9に示されるように、ハウジング310はチャンバー320を画定する。動作中、水蒸気は、吸着ポート340を通してチャンバー320に選択的に送られ、次に今度は、チャンバー320から、
図8では開かれて、
図9では閉じられて示されている脱着ポート342を通して外に出る。ある態様では、チャンバー320は円筒状であり、ベントナイト材料312は、チャンバー320に向かって外側に、かつハウジング310の内壁に面するヒートスプレッダ316の外面上に配置される。チャンバー320は、ベントナイト材料312を囲む空隙を形成し、ベントナイト材料312とチャンバー330の空気の間の湿気移動をもたらす。チャンバー330から脱離ポート342から外へ送られた蒸気は、一般に、脱離開口350を介して外部環境304へ妨げられることなく通過する。ある態様では、小さい割合の蒸気が開口350の内側の表面に凝縮することがあり、この開口は脱着ポート342に張り出して、異物及び外部湿気の侵入を防止又は緩和する。一般に、「脱着ポート」は、弁アセンブリ318が移行してチャンバー320と外部環境304の間の空気流を遮断する領域をいう。脱着ポート342は、空気の追加量によって外部環境304(例えば開口350)から隔てられていてもよく、又は外部環境に直接接続してもよい。任意の態様では、膜が開口部350を覆うことができる。
【0067】
ハウジング310は、一般に、1つ又は複数の直径を有する円柱の形状に形成される。ハウジング310は、任意で、電気伝導体(図示されず)を収容するための1つ又は複数の開口(図示されず)を含む。電気伝導体は、ヒーター314へなど、ハウジング310の内部への電力の送達を可能にする。ある態様では、弁アセンブリ318及びハウジング318は両方とも、弁アセンブリがハウジング内部に入れ子になって、シリンダーの形態であることができる。
【0068】
上記のように、ヒーター314は、ベントナイト材料312を加熱するために熱をヒートスプレッダ316に導く。ヒーター314は、ハウジング310の1つ又は複数の開口を通して配置された、それに動作可能に結合された電気伝導体を通して任意に電力を供給される。ヒーター314の非限定的な例は正の熱係数(PTC)ヒーターである。
【0069】
動作中、湿気ポンプ300は、吸着構成と脱着構成の間で移行可能である。
図8及び9は脱着構成を示し、そこでは、吸着ポート340が弁アセンブリ318によって遮断されるように弁アセンブリ318は脱着位置に配置され、脱着ポート342はハウジング310の第1の端332と弁アセンブリ318の間で開いている。この脱着位置は、内部雰囲気306とチャンバー320の間の空気流を遮断し、一方では、チャンバー320と外部304の間の空気流を可能にする。一般に、湿気ポンプ300は、ヒーター314がヒートスプレッダ316及びベントナイト材料312を能動的に加熱している場合、ベントナイト材料312に含有される湿気が蒸発し、脱着ポート342を通して湿気ポンプ300から排出されることを可能にするように脱着構成にある。
【0070】
湿気ポンプ300は、ハウジング310の第1の端334の内面332を押圧するアクチュエータ360によって脱着構成に保持されることができる。さまざまな態様では、アクチュエータ360は、温度に応答する熱機械アクチュエータである。いくつかの態様では、アクチュエータ360は、相変化材料、例えば相変化ドライブを含む。本明細書で使用される場合、相変化材料は、例えば加熱に応答して延伸し、冷却に応答して収縮するように、温度に応答して延伸又は収縮する。相変化材料の非限定的な例としては、ワックス(例えばパラフィンワックス)、バイメタル元素、及びニチノールが挙げられる。アクチュエータ360は、弁アセンブリ318と機械的に接続されており、その結果アクチュエータが延伸する場合、弁アセンブリは吸着位置と脱着位置の間を動くことができる。
【0071】
湿気ポンプ300は、所定の期間、すなわち、乾燥剤からの湿気の除去に充分な脱着又は再生の期間、脱着構成に保持されることができる。脱着又は再生の期間は比較的速いプロセスである。ベントナイト材料312の能動的な加熱は、ベントナイト材料から湿気を除去して、ベントナイト材料を再生し、チャンバー320の加熱は、湿気ポンプ300から比較的迅速に湿気を輸送するのを助ける強い対流空気流を引き起こす。熱駆動対流により、脱着ポート342は、湿気を排出する湿気ポンプ300の能力を損なうことなく、比較的小さな領域を有することができる。ある態様では、脱着又は再生は、乾燥剤を95℃より大きい又は等しい脱着温度まで加熱することによって達成することができる。一態様では、乾燥剤部材は、雰囲気中のシロキサン及び/又は有機物の沸点よりも高い温度で湿気を脱着する。脱着温度は、95℃~150℃、例えば105℃~150℃又は110℃~135℃の範囲であることができる。
【0072】
ひとたびベントナイト材料が充分に再生されると、典型的には10~30分後に、任意のさらなる時間の加熱は電力及び熱を浪費する。さらに、弁アセンブリ318は、脱着構成にある場合、保護ケーシング302の内部雰囲気306とチャンバー320との間のアクセスを防止するように配置されているので、脱着(再生)期間の間、湿気低減機能がない。したがって、吸着の時間と比較して、比較的短い時間でチャンバー320を加熱することが望ましい。
【0073】
図9は、側面透視(外観)図からの脱着構成の湿気ポンプ300を示す。図示されるように、弁アセンブリ318は脱着位置まで下げられ、脱着開口350を通して見える脱着ポート342を開く。吸着ポート340は、弁アセンブリ318によって閉じられる。
【0074】
一態様では、吸着ポート340は、脱着ポート342に対し、差動弁領域を有することができる。吸着及び脱着ポートの領域の非対称性は、湿気ポンプ300が吸着構成にある吸着期間の間、より迅速な湿気の吸着をもたらすことができる。脱着期間の間、湿気を放出する際の脱着ポートの有効性は、より小さい領域を有することによって影響を受けない。
図8~9に示されるように、吸着ポート340は、ハウジング310の周りに円周方向に配置された複数の開口を含む。したがって、吸着領域は、吸着ポート340を構成するすべての開口の開口領域の合計によって画定されることができる。例えば、吸着領域は、吸着ポート340を備える各開口の高さ、(ハウジング310の半径370によって画定されることができる)円周、及び吸着ポートを備える開口の列の数によって画定することができ、開口を塞ぐハウジングの支持構造は除外される。対照的に、脱着領域は脱着ポート342の点によって画定され、この場合、脱着領域は脱着ポートの高さ及びハウジング310の周囲によって画定されることができる。一般に、吸着ポート340の各開口の高さは、脱着ポート342の高さとほぼ等しい、又はわずかに低い。したがって、一般に、湿気ポンプの吸着領域は、吸着ポート340を備える開口の平行な列の数にほぼ等しいか、又はそれよりわずかに少ない係数だけ脱着領域を超える。ある態様では、吸着ポート340を備える開口の平行な列は、弁アセンブリ318の移動の方向に対して垂直に延び、弁アセンブリの移動の方向に互いにオフセットしている。一態様では、吸着領域は、800~1000mm
2、700~1000mm
2、600~1000mm
2、500~1000mm
2、又は500~1200mm
2であることができる。
【0075】
別の態様では、弁アセンブリ318は、可変サイズ(例えば、脱着部の弁アセンブリのサイズより小さい又はより大きい吸着ポートでの段階的なサイズ)を有することができる。例えば、いくつかの態様では、湿気ポンプ300は、実質的に円筒形のハウジング310を吸着ポート340に、実質的に円筒形のハウジングを脱着ポート342に有することができるが、吸着と脱着ポートの間で異なる、ハウジングの段階的な半径を有する。この構成の下では、弁アセンブリ318も段階的な半径を有することができ、ハウジング310内部に入れ子になるように構成されることができる。
【0076】
図8~9に示される構成及び同様の構成では、吸着ポート340を備える開口の列の数を増やすことによって吸着領域を増やすことができる。したがって、追加の開口の列が提供されることができるので、吸着ポート340の開口の各列の高さと円周は吸着領域を制限しない。対照的に、単一の吸着ポートを採用する湿気ポンプは、充分な吸着領域を提供するために吸着弁の充分な移動を提供しなければならない、又は吸着弁のより大きい半径を提供しなければならない。したがって、
図8~9に示される構成は、従来の湿気ポンプよりもより小さい行程で、かつより小さい設置スペースを用いる装置で、適切な吸着領域を提供することができる。例として、いくつかの態様では、20mm以下、例えば25mm以下、又は30mm以下の半径をもつ湿気ポンプで充分な吸着効率が提供されることができる。ある態様では、吸着ポート340に3つ以上の列の開口を設けることができ、それぞれ3mm以下、例えば3.5mm以下又は4.0mm以下の個々の高さを有することができる。ある態様では、吸着ポート340の高さは列ごとに異なることができ、他の態様では、各列の吸着ポート340は同じ高さを有する。脱着ポート342の高さは、3mm以下、例えば3.5mm以下、4.0mm以下、又は5.0mm以下であることができる。列の数のため、吸着ポート340の全体の高さは、脱着ポート342の領域に対し、差動弁領域を提供する。吸着ポートの全体の高さは、脱着ポートの高さよりも大きく、例えば少なくとも2倍又は少なくとも3倍である。いくつかの態様では、用途に応じて、かつ湿気ポンプ300がケーシング302の内部に入り込むことが許される深さに応じて、3列より多い開口を吸着ポート340に設けることができる。例えば、低い吸着速度を必要とする用途では、吸着ポート340は2又は3列の開口を備えることができる。より大きい吸着速度を必要とする用途では、吸着ポート340は3列以上の開口を備えることができる。ある態様では、脱着ポート342の高さは、弁アセンブリ318が移動できる距離(すなわち弁行程)に等しくすることができる。吸着ポート340を構成する個々の窓の高さも、弁行程に等しい、又はより少なくすることができる。いくつかの態様では、吸着ポートの窓は、吸着ポートが閉じている場合、空気が吸着ポートで弁アセンブリの周りを通過できないように、弁の移動の距離よりわずかに狭くすることができる。
【0077】
さらに、吸着ポート340の構成は、ベントナイト材料312に遭遇するための内部雰囲気306からの空気流及び/又は湿気拡散の短縮された経路を設けることによって、吸着プロセスの効率に影響を与えることができる。ある態様では、
図8~9に示されるように、吸着ポート340は、チャンバー320の領域にわたって、ベントナイト材料312の少なくとも一部の周りに配置され、取り囲んでいる複数列の開口を備える。この配置及び同様の配置では、内部雰囲気306からの空気は、ハウジング310の周囲の多くの点で吸着ポート340を容易に通過し、チャンバー320を横断する必要なくベントナイト材料31に容易に遭遇することができる。この配置は、一方の側又は端に唯一の吸着ポートを有する湿気ポンプとは対照的であり、この場合、湿気ポンプに入る空気は、最初に乾燥剤のごく一部にしか遭遇しないことになる。
【0078】
ベントナイト材料312、ヒーター314、及びヒートスプレッダ316は、チャンバー320内に配置又は維持されて示されている。ベントナイト材料31は、チャンバー320の空気中の湿気に曝される。他の態様(図示されず)では、ベントナイト材料312、ヒーター314、及びヒートスプレッダ316は、チャンバー320に部分的に配置されることができる。さらに他の態様(図示されず)では、ヒーター314は、チャンバー320の外側に配置されることができ、ヒートスプレッダ316は、チャンバー320に配置される、又は部分的に配置される。上記の態様は、実質的に円筒形の湿気ポンプ300を主に言及するが、本明細書に記載の原理は、弁アセンブリ318をハウジング310内に摺動自在に配置できる他の任意の好適な形状に関して適用できることが理解されるであろう。さまざまな代替的な態様では、ハウジング310及び関連する弁アセンブリ318は、楕円形断面、長方形断面、又は任意の他の適切な断面を有することができる。上で述べられたように、さまざまな代替的な態様は、段階的な断面積を用いることができる。
【0079】
図8~9に示される態様は、第2のチャンバー、例えば凝縮チャンバーなしで動作可能であり、湿気ポンプ300が脱着構成にある場合、空気はチャンバー320から外部環境306に直接流入することができる。他の態様では、凝縮チャンバーが含まれることができる。上記のように、凝縮チャンバーが使用される場合、通気ポートと通気ポートを覆う膜が存在することができる。通気ポートは、凝縮チャンバーからの、例えば外部環境に水蒸気を送るための開口を提供する。通気ポートは、湿気ポンプへのいくつかの物質、例えばデブリ、液体水、油、及び/又は他の物質の侵入を防ぐように動作可能である。水蒸気は脱着の間、凝縮チャンバーに集まり、通気ポートを凝縮チャンバーから出る。ある態様では、水蒸気の少なくとも一部は、凝縮チャンバーから送られる前に、凝縮チャンバー内部に凝結する。例えば、凝縮された液体水は、脱着ポートが閉じている(すなわち吸着構成にある)間に凝縮チャンバーの空気中に時間とともに蒸発し、続いて通気ポートを通過する、又は排水部(図示されず)から排出される。ある態様では、通気ポートを構成する膜又は複数の膜は水蒸気透過性であるが、外部環境から湿気ポンプへの侵入又はデブリ又は液体水を防ぐようにデブリ及び液体水に対して不浸透性である。1つ又は複数の膜は、吸着ポート(図示されず)を覆って存在して、例えば乾燥剤から遊離された粒子が内部環境に入るのを防ぐことができる。
【0080】
ベントナイトを含む乾燥剤部材は、乾燥剤層を曲げることによって、ベントナイト材料がさまざまな内部寸法を有する加熱チャンバーで組み立てられることを可能にするように柔軟であることができる。また、柔軟な乾燥剤層は、乾燥剤を加熱チャンバーに巻き付けることによって、水蒸気の吸着を高めることができる表面積と体積の比を可能にするように配置されることもできる。
【0081】
ベントナイト材料を含む柔軟な乾燥剤部材は、粒子が放出されるのを防止するのに充分に強力でありうる。これはベントナイト材料の減少を防ぎ、部材の寿命を増加させる。さらに、より少ない粒子の放出は、デブリチャンバー、又はケーシングから粒子を除去する他の手段の必要性を減らす。また、柔軟な乾燥剤部材は、より高い濃度のベントナイト材料を供給することによって、チャンバーのベントナイト材料の充填効率を増加させることもできる。本明細書で使用される場合、充填効率は、装置当たりの又は柔軟な乾燥剤部材中のベントナイト材料の量(充填量)を意味することが意図される。柔軟な乾燥剤部材の高充填量は、柔軟な乾燥剤部材のより小さい(すなわちより薄い)層を可能にして、筐体を乾燥させるための有効な総乾燥剤の充填量を達成する。例えば、いくつかの態様では、可撓性乾燥剤部材の充填効率は、50%質量を超えることができる(すなわち、乾燥剤部材の質量は、50%以下の柔軟な基材又はマトリックスと比較して、50%以上の乾燥剤であることができる)。場合によっては、乾燥剤部材におけるベントナイト材料の充填効率は、90質量%を超えてもよい。少なくとも1つの態様では、湿気ポンプは、湿気ポンプによって保護されるべき筐体の6L~14Lの保護される体積を有する筐体用に3~4グラムのベントナイト材料を使用することができる。約2mmの厚さ及び約3414mm2の外面表面積を有する乾燥剤部材中に、3~4グラムのベントナイト材料が供給されることができる。いくつかの態様では、4グラムより多いベントナイト材料が乾燥剤部材に含まれることができる。
【0082】
ある態様では、乾燥剤部材は、高温(HT)耐性であり、95℃を超える、例えば105℃を超える、又は150℃を超える温度に耐えることができる。一般に、高温に耐えることは、乾燥剤部材が高温でその乾燥剤特性と構造特性を保持する(すなわち、構造的に健全な状態を維持する、又は自重に耐える)ことができることを意味する。柔軟な乾燥剤部材もHT耐性であることができる。一般に、乾燥剤部材は、繰り返し加熱される場合、蒸気を吸着するそれらの能力を再生することができる。熱はベントナイト材料から湿気を追い出し、それによってより短い期間でその吸着能力を回復する。いくつかの乾燥剤部材は、約5分以内に95℃まで加熱される場合、それらの22℃/50%RH平衡含水量の少なくとも15%、又は約5分以内に101℃まで加熱される場合、それらの22℃/50%平衡含水量の少なくとも25%を脱着することができる。乾燥剤部材を再生する特定の時間は、乾燥剤の厚さ、特定の温度、周囲の湿度、加熱の効率、及び他の要因に依存しうることが理解されるであろう。いくつかの態様では、乾燥剤部材は、95℃の脱着温度で20分以内に、22℃/50%RH平衡含水量で捕捉された湿気の少なくとも40%を脱着することができる。いくつかの他の態様では、乾燥剤部材は、95℃の脱着温度で20分以内に、22℃/50%RH平衡含水量で捕捉された湿気の少なくとも60%を脱着することができる。迅速に脱着するために、乾燥剤部材は105℃以上の温度に加熱されることができる。105℃範囲及びより高い温度では、乾燥剤部材は、長時間、例えば最大3時間、それらの高温での溶融や変形に耐えるべきである。105℃超で動作可能な特定の乾燥剤及び構造材料としては、ベントナイト材料を含浸させた柔軟なPTFEが挙げられる。いくつかの態様では、乾燥剤部材は、約150℃までの温度に耐えることができるエポキシ接着剤層によってヒートスプレッダに固定される。いくつかの態様では、加熱された湿気ポンプは、150℃より高い温度で動作するように構成されることができる。このような場合、ベントナイト含浸ePTFEを含む乾燥剤を含めて、乾燥剤は、175℃又は200℃を超える温度に耐えることができる。乾燥剤部材は、耐熱性接着剤及び機械的手段を含むがこれらに限定されない150℃を超える温度に耐える取り付け手段によって、ヒートスプレッダに取り付けられることができる。例えば、いくつかの態様では、乾燥剤部材は、乾燥剤部材及びヒートスプレッダを囲む高温耐性メッシュ、ネット、又はケージを手段として、ベントナイト材料への空気流を妨げることなくヒートスプレッダに取り付けられることができる。そのようなメッシュ、ネット、又はケージは、高温ポリマー、金属、又は他の好適な材料で形成されることができる。
【0083】
追加の態様
追加の非限定的な態様がさらに記載される。
【0084】
E1.シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機化合物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気から湿気を吸収する一方で、再生可能な方法で作業湿気容量を維持することができるポリマー材料とベントナイト材料を含む乾燥剤部材。
【0085】
E2.雰囲気中のシロキサン濃度が少なくとも1ppm以上である例E1の乾燥剤部材。
【0086】
E3.雰囲気中の有機化合物の濃度が少なくとも1ppm以上である例E1又はE2のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0087】
E4.60℃より高い沸点を有する有機化合物が芳香族アルコール又は脂肪族アルコールを含む例E1~E3のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0088】
E5.質量で50%~90%の充填効率を有する例E1~E4のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0089】
E6.乾燥剤部材が柔軟である例E1~E5のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0090】
E7.ベントナイト材料がナトリウムベントナイト、カルシウムベントナイト、又はそれらの混合物を含む例E1~E6のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0091】
E8.ベントナイト材料が1種又は複数のフィロシリケート、好ましくはモンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、及び/又はヘクトライトを含む例E1~E7のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0092】
E9.ベントナイト材料が粘土材料のスメクタイト族からの鉱物を含む例E1~E8のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0093】
E10.ベントナイト材料がモンモリロナイトを含む例E1~E9のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0094】
E11.実質的にシリカゲルを含まない例E1~E10のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0095】
E12.ポリマー材料がベントナイト材料の再生温度より高い融点を有する例E1~E11のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0096】
E13.ポリマー材料が、ポリオレフィン、ポリウレタン、又はフルオロポリマーを含む例E1~E12のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0097】
E14.ポリマー材料が、延伸フルオロポリマー、延伸ポリエチレン、又は延伸ポリプロピレンを含む例E1~E13のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0098】
E15.ポリマー材料が延伸ポリテトラフルオロエチレンを含む例E1~E14のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0099】
E16.繊維、シート、チューブ、テープ、ペレット、又はビーズを含む三次元形状になるように構成されている例E1~E15のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0100】
E17.ベントナイト材料の湿気容量が、再生された後、実質的に保持されている例E1~E16のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0101】
E18.ベントナイト材料が、低減された湿気容量の変化を有する例E1~E17のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0102】
E19.ベントナイト材料が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び67回の再生サイクルで75%以下の湿気容量の変化を有する例E1~E17のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0103】
E20.ベントナイト材料が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び536回の再生サイクルで90%以下の湿気容量の変化を有する例E1~E17のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0104】
E21.作業湿気容量が維持される例E1~E20のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0105】
E22.作業湿気容量が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び67回の再生サイクルで初期湿気容量の25%よりも大きい例E1~E20のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0106】
E23.作業湿気容量が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び536回の再生サイクルで初期湿気容量の10%より大きい、好ましくは11.5g/m3の水蒸気濃度及び536回の再生サイクルで初期湿気容量の15%より大きい例E1~E20のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0107】
E24.部材が0.1~15mmの厚さを有する例E1~E23のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0108】
E25.雰囲気中の有機物の沸点よりも高い温度で湿気を脱着する、例E1~E24のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0109】
E26.ポリマー材料が多孔質ポリマーマトリックスである例E1~E25のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0110】
E27.ベントナイト材料が多孔質ポリマーマトリックス内に配置されている例E26の乾燥剤部材。
【0111】
E28.多孔質ポリマーマトリックスがシート、チューブ、又はテープであり、多孔質ポリマーマトリックスがPTFEを含む例E26の乾燥剤部材。
【0112】
E29.多孔質ポリマーマトリックスが、空隙を有する相互接続されたネットワークを備える例E26の乾燥剤部材。
【0113】
E30.多孔質ポリマーマトリックスへのベントナイト材料の充填量が、乾燥剤部材の総質量に対して50~99%である例E26の乾燥剤部材。
【0114】
E31.ポリマー材料が、ベントナイト材料に隣接する層である例E1~E24のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0115】
E32.多孔質ポリマーマトリックスがベントナイト材料を封入してパウチ(pouch)を形成する例E31の乾燥剤部材。
【0116】
E33.ベントナイト材料が乾燥剤部材の総質量に対して50~99%である例E31の乾燥剤部材。
【0117】
E34.ポリマー材料の表面に付着しているベントナイト材料の1つ又は複数のビーズをさらに備える例E1~E24のいずれか1つの乾燥剤部材。
【0118】
E35.ヒーターを有する第1のチャンバー、第1のチャンバーへの少なくとも1つの吸着ポート、及び少なくとも1つの吸着ポートに近接して配置されたベントナイト材料を備えるハウジング、ならびにハウジング内に置かれ、吸着位置と脱着位置の間で移行可能である弁アセンブリを備える筐体アセンブリ。
【0119】
E36.ハウジングが第1のチャンバーからの通気ポートをさらに備える例E35の筐体アセンブリ。
【0120】
E37.吸着位置が第1のチャンバーと通気ポートの間の脱着ポートをシールし、第1のチャンバーに水蒸気を送るために第1のチャンバーへの吸着ポートを開く例E35又はE36のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0121】
E38.吸着ポートの弁領域が脱着ポートの弁領域よりも大きい例E35~E37のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0122】
E39.脱着位置は吸着ポートをシールし、第1のチャンバーから水蒸気を送るために、第1のチャンバーと通気ポートチャンバーの間の脱着ポートを開く例E35~E38のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0123】
E40.ハウジングが、凝縮チャンバー及び凝縮チャンバーからの通気ポートをさらに備える例E35~E39のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0124】
E41.吸着位置が、第1のチャンバーと凝縮チャンバーの間の脱着ポートをシールし、第1のチャンバーに水蒸気を送るために第1のチャンバーへの吸着ポートを開く例E40の筐体アセンブリ。
【0125】
E42.脱着位置が吸着ポートをシールし、第1のチャンバーから水蒸気を送るために第1のチャンバーと凝縮チャンバーの間の脱着ポートを開く例E40の筐体アセンブリ。
【0126】
E43.シロキサン、60℃より高い沸点を有する有機物、又はそれらの混合物を含有する雰囲気が、ベントナイト材料に曝される例E35~E42のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0127】
E44.雰囲気中のシロキサン濃度が少なくとも1ppm以上である例E43の筐体アセンブリ。
【0128】
E45.雰囲気中の有機化合物濃度が少なくとも1ppm以上である、例E43又はE44のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0129】
E46.60℃より高い沸点を有する有機化合物が、芳香族アルコール又は脂肪族アルコールを含む例E43~E45のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0130】
E47.ベントナイト材料がナトリウムベントナイト又はカルシウムベントナイトである例E35~E46のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0131】
E48.ベントナイト材料が、1種又は複数のフィロシリケート、好ましくはモンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、及び/又はヘクトライトを含む例E35~E47のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0132】
E49.ベントナイト材料が粘土材料のスメクタイト族の鉱物を含む例E35~E48のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0133】
E50.ベントナイト材料がモンモリロナイトを含む例E35~E49のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0134】
E51.実質的にシリカゲルを備えない例E35~E50のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0135】
E52.ベントナイト材料を含む乾燥剤部材をさらに備える例E35~E51のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0136】
E53.乾燥剤部材が柔軟である例E52の筐体アセンブリ。
【0137】
E54.質量で50%~90%の充填効率を有する例E52又はE53のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0138】
E55.乾燥剤部材が、繊維、シート、チューブ、テープ、ペレット、又はビーズを含む三次元形状になるように構成されている例E52~E54のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0139】
E56.ベントナイト材料の湿気容量が、再生された後、実質的に保持されるE52~E55のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0140】
E57.ベントナイト材料が低減された湿気容量の変化を有するE52~E56のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0141】
E58.ベントナイト材料が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び67回の再生サイクルで70%以下の湿気容量の変化を有する例E52~E56のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0142】
E59.ベントナイト材料が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び536回の再生サイクルで90%以下の湿気容量の変化を有する例E52~E56のいずれか1つ筐体アセンブリ。
【0143】
E60.作業湿気容量が維持される例E52~E56のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0144】
E61.ベントナイト材料が、11.5g/m3の水蒸気濃度及び67回の再生サイクルで初期湿気容量の25%より大きい作業湿気容量を有する例E52~E56のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0145】
E62.ベントナイト材料が、11.5g/m3水蒸気濃度及び536回の再生サイクルで初期湿気容量の10%より大きい、好ましくは11.5g/m3水蒸気濃度及び536回の再生サイクルで初期湿気容量の15%より大きい作業湿気容量を有するE52~E56のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0146】
E63.部材が0.1~15mmの厚さを有する例E52~E62のいずれか1つに記載の筐体アセンブリ。
【0147】
E64.部材が雰囲気中の有機物の沸点よりも高い温度で湿気を脱着する例E52~E63のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0148】
E65.乾燥剤部材が、金属スクリーン、織物材料、又はバインダーをさらに含む例E52~E64のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0149】
E66.乾燥剤部材が、ポリオレフィン、ポリウレタン、又はフルオロポリマーを含むポリマー材料をさらに含む例E52~E65のいずれか1つの筐体アセンブリ。
【0150】
E67.ポリマー材料が、ベントナイト材料の再生温度を超える融点を有する例E66の筐体アセンブリ。
【0151】
E68.ポリマー材料が多孔質ポリマーマトリックスである例E66の筐体アセンブリ。
【0152】
E69.ベントナイト材料が多孔質ポリマーマトリックス内に配置されている例E68の筐体アセンブリ。
【0153】
E70.多孔質ポリマーマトリックスが、空隙を有する相互接続されたネットワークを備える例E68の筐体アセンブリ。
【0154】
E71.多孔質ポリマーマトリックスへのベントナイト材料の充填量が、乾燥剤部材の総質量に対して50~99%である例E68の筐体アセンブリ。
【0155】
E72.ポリマー材料が、ベントナイト材料に隣接する層である例E66の筐体アセンブリ。
【0156】
E73.多孔質ポリマーマトリックスが、ベントナイト材料を封入してパウチ(pouch)を形成する例E72の筐体アセンブリ。
【0157】
E74.ベントナイト材料が、乾燥剤部材の総質量に対して50~99%である例E72の筐体アセンブリ。
【0158】
E75.ポリマー材料の表面に付着しているベントナイト材料の1つ又は複数のビーズをさらに備える例E66の筐体アセンブリ。
【0159】
E76.熱サイクルする電子機器を保持するように構成されたハウジング、ハウジングのインレット、そのなかに、それを通って空気流を可能にするポートとポートに隣接するベントナイト材料を有する剛体を備える、ハウジングのインレットに挿入された保護装置を備える筐体アセンブリ。
【0160】
E77.電子機器がソーラーインバータである例E76の筐体アセンブリ。
【0161】
E78.そのなかに、それを通って空気流を可能にするポート及びポートに隣接するベントナイト材料を有する剛体を備える保護ベント。
【実施例】
【0162】
本発明は、以下の非限定的な実施例を考えると、より良く理解されるであろう。
【0163】
ストリングインバータの例
実施例1及び2は、請求項1に記載の汚染物質を含む環境にさらされたベントナイト化合物の湿気収着能の保持を示す。比較例1は、請求項1に記載の汚染物質を含む環境にさらされたシリカゲルの湿気収着能の著しい減少を示す。実施例3は、請求項1に記載の汚染物質を含む環境にさらされたベントナイト-PTFEテープの湿気収着能の保持を示す。比較例2は、請求項1に記載の汚染物質を含む環境にさらされたシリカゲル-PTFEテープの湿気収着能の著しい減少を示す。これらの例では、収着材はすべて、SUN2000-30KTL-USストリングインバータ内部で熱サイクルされた。定められた期間の熱サイクルの後、材料試料がインバータから取り出され、水蒸気吸着能について特徴付けられた。次いでサイクル済みの材料の能力が初期能力と比較された。
【0164】
実施例1
このテープの例で使用された収着材料は、CAS番号1302-78-9のベントナイト粉末(部品番号A15795、アルファ・エイサー製)である。ベントナイトは、VTI SGA-100収着における25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。
【0165】
試験装置は、収着剤材料がファーウェイSUN2000-30KTL-USストリングインバータ(Colinda Solar)内部で熱サイクルすることを可能にするように設計された。装置は、収着剤材料を試験するための6つの場所を有した。それぞれの場所は、特注のステレオリソグラフィ印刷された断片を使用して、銅製加熱パンを押さえた。ステレオリソグラフィ印刷された断片は、Somos PerFORM樹脂を用いて3D Systems Viper SLAシステムで作られた。銅製パンは、多目的110銅シート(部品番号8963K36、McMaster-Carr製)から切り出され、1.25インチ×1.625インチの寸法であった。正の温度係数のサーミスタ(部品番号SOP5173-11、Thermistors Unlimited,Inc製)を介してそれぞれのパンに熱が加えられた。サーミスタは、熱及び電気伝導性のエポキシ(部品番号AA-Duct902、Atom Adhesives)を用いて、パンの下側に取り付けられた。サーミスタは155℃の最高温度に達した。装置は、新しいSUN2000-30KTL-USストリングインバータ内部に取り付けられた。インバータは、35℃、周囲相対湿度70%に維持された環境チャンバーに設置された。
実験全体の間、インバータは毎日12時間7.2kWの電力を供給された。
【0166】
1.5gのアルファ・エイサーベントナイトがインバータ内の加熱パンに分けられた。収着剤材料は、次のように熱サイクルされた。特注電気制御システムは、12V DCをサーミスタに60分間印加して、収着剤材料から湿気を脱着させた。サーミスタは155℃で収着剤材料を再生した。60分間の加熱ステップの後、サーミスタは止められ、収着剤に周囲の湿気を90分間吸着させた。吸着ステップの間、3軸のブレード付ファン(部品番号259-1550-ND、Digikey)を90分間オンにして、収着剤の上の空気を混合し、収着剤への物質移動を増加させた。この熱サイクルは連続的であり、1週間に67回の熱サイクルに等しかった。
【0167】
熱サイクルの期間の後、収着剤の20~30mgの試料がインバータから取り出された。この材料は、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。収着能の特徴付けでは、材料は125℃まで再生された。
【0168】
図10は、30%~80%の相対湿度の質量変化%に関して吸着等温線を示すグラフである。
図10に示されるように、質量変化%は、この湿度範囲で67~804回のサイクルで頑健である。
図11は、実施例1が高い湿気容量保持を有することを示す。
【0169】
比較例1
このテープの例で使用される収着剤材料は、シリカゲル粉末(タイプA、Transo-Pharm USA製)である。シリカゲルは、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。
【0170】
実施例1と同じサイクリング装置が使用された。装置は、新しいSUN2000-30KTL-USストリングインバータ内部に取り付けられた。インバータは、35℃、周囲相対湿度70%に維持された環境チャンバーに設置された。実験全体の間、インバータは毎日12時間7.2kWの電力を供給された。
【0171】
1.5gのTranso-Pharmシリカゲルがインバータ内の加熱パンに分けられた。収着材料は、実施例1と同じ方法で熱サイクルされた。
【0172】
熱サイクル期間の後、収着剤の20~30mgの試料がインバータから取り出された。この材料は、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。収着能の特徴付けでは、材料は125℃まで再生された。
図12は、30%~80%の相対湿度の質量変化%に関して吸着等温線を示すグラフであり、質量変化%の顕著な低下が比較例2によって示されている。
図13は、比較例1が低い湿気容量保持を有することを示す。これにより、比較例1が厳しい環境での長期の用途に不適切であることになる。
【0173】
実施例2
このテープの例で使用される収着剤材料は、Tyvek(登録商標)バッグにシールされた粒状ベントナイト(NatraSorb(登録商標)M、Multisorb Technologies製)である。ベントナイトは、サプライヤーによってCAS番号1302-78-9で分類され、「モンモリロナイト粘土」とも呼ばれる。収着剤材料にアクセスするために、バッグは切り開かれた。ベントナイトは、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。
【0174】
実施例1と同じサイクリング装置が使用された。装置は、新しいSUN2000-30KTL-USストリングインバータ内部に取り付けられた。インバータは、35℃、周囲相対湿度70%に維持された環境チャンバーに設置された。
実験全体の間、インバータは毎日12時間7.2kWの電力を供給された。
【0175】
1.5gのMultisorbベントナイトがインバータ内の加熱パンに分けられた。収着材料は実施例1と同じ方法で熱サイクルされた。
【0176】
熱サイクル期間の後、収着剤の20~30mgの試料がインバータから取り出された。この材料は、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。収着能の特徴付けでは、材料は125℃まで再生された。
【0177】
図14は、30%~80%の相対湿度の質量変化%に関して吸着等温線を示すグラフである。
図14に示されるように、質量変化%はこの湿度範囲で67~804回のサイクルで頑健である。
図15は、実施例1が高い湿気容量保持を有することを示す。
【0178】
用途での1年間の使用に相当する536回のサイクルでは、比較例1よりも実施例1及び2の質量変化%に関して、
図16に示されるように吸着等温線及び
図17の湿気容量保持に顕著な改善がある。
【0179】
実施例3
充填テープが実施例1のストリングインバータで試験された。収着剤材料は、参照により取り込まれる米国特許第4,985,296号明細書によって教示されるように、収着剤粒子が通常のPTFE構造内に閉じ込められた収着剤充填PTFEテープを利用する。このテープの例で使用される収着剤材料は、ベントナイト粉末(ベントナイト34、Charles B.Crystal Co.製)である。充填(filled)テープは、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。多孔質PTFE構造内のベントナイト材料の充填量は、乾燥剤部材の総質量に対して約80%である。
【0180】
試験装置は、実施例1のファーウェイSUN2000-30KTL-USストリングインバータ内部で収着剤テープが熱サイクルされることを可能にするように設計された。Charles B.ベントナイト-PTFEテープの1.25インチ×1.63インチ×0.08インチの断片が、インバータ内の加熱パンで圧縮された。実施例1に記載されているように、収着剤材料が熱サイクルされた。
【0181】
熱サイクル期間の後、収着剤テープの20~30mgの試料がインバータから取り出された。この材料は、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。収着能の特徴付けでは、材料は125℃まで再生された。
図18は、30%~80%の相対湿度の質量変化%に関して吸着等温線を示すグラフである。
図18に示されるように、質量変化%は、この湿度範囲にわたって、67~804回のサイクルで頑健である。
図19は、実施例3が高い湿気容量保持を有することを示している。
【0182】
比較例2
充填(filled)PTFEテープが、比較例1のシリカゲル粉末(タイプA、Transo-Pharm USA製)を使用して試験された。シリカゲル粉末の充填量は、乾燥剤部材の総質量に対して約80%であった。試験は実施例1と同じ条件下であった。結果は下記の表で比較されている。
図20は、30%~80%の相対湿度の質量変化%に関して吸着等温線を示すグラフであり、質量変化%の顕著な低下が比較例2によって示されている。
図21は、比較例2が低い湿気容量保持を有することを示す。これにより、比較例2が厳しい環境での長期の適用に不適切であることになる。
【0183】
用途での1年間の使用に相当する536サイクルでは、比較例2に比べて、実施例3の質量変化%に関して、
図22に示されるように吸着等温線及び
図23の湿気容量保持に顕著な改善がある。
【0184】
表1は、さまざまな水蒸気濃度における収着剤材料の湿気容量を、インバータ内部の熱サイクルに応じて示す。表2は、収着剤材料が熱サイクルに供された後に保持されていた湿気吸着能の割合を示す。湿気は次の相対湿度で試験された:10%(2.3@25℃(g/m3))、30%(6.9@25℃(g/m3))、40%(9.2@25℃(g/m3))、50%(11.5@25℃(g/m3))、60%(13.8@25℃(g/m3))、70%(16.1@25℃(g/m3))、80%(18.4@25℃(g/m3))、及び90%(20.7@25℃(g/m3))。比較例は初期サイクルにおいてより高い湿気容量を有したが、収着能は長期間にわたって維持されず、シリカゲルをストリングインバータでの長期用途に望ましくないものにした。これは、ストリングインバータ内のシロキサンと芳香族アルコールによると考えられている。対照的に、収着能は、本発明の実施例によって長期間にわたって維持され、長期収着能への適合性を示している。
【表1-1】
【表1-2】
【表2-1】
【表2-2】
【0185】
ポリカーボネート筐体の例
実施例4~6は、オクタメチルシクロテトラシロキサンとベンジルアルコールを含有するポリカーボネート筐体内部で、充填PTFE収着剤材料を試験した。この試験は、ストリングインバータ内部の条件を模倣する、より厳しい環境であると見なされる。この違いは、ポリカーボネート筐体に対する連続的な熱サイクルは、1週間に96回の熱サイクルに等しいことである。ストリングインバータを使用する実施例と同様に、定められた期間の熱サイクルの後、材料試料は筐体から取り出され、水蒸気吸着能について特徴付けられる。次いで、サイクル済み材料の能力がその初期能力と比較される。
【0186】
実施例4
収着剤材料は、米国特許第4,985,296号明細書によって教示されているように、収着剤粒子が通常のPTFE構造内に閉じ込められた収着剤充填(filled)PTFEテープを利用する。このテープの例で使用される収着剤材料は、CAS番号1302-78-9を有するベントナイト粉末(アルファ・エイサー製の部品番号A15795)である。充填(filled)テープは、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。
【0187】
試験装置が、ポリカーボネートボックス(アイテムAR12106CHSSLT、Solutions Direct Online製)内部で収着剤テープが熱サイクルされることを可能にするように設計された。装置は、収着剤テープを試験するための8つの場所を有した。それぞれの場所は、特注の(custom)ステレオリソグラフィ印刷された断片を使用して、銅製加熱パンを押さえた。ステレオリソグラフィ印刷された断片は、Somos PerFORM樹脂を用いて3D Systems Viper SLAシステムで作られた。銅製パンは、多目的110銅シート(部品番号8963K36、McMaster-Carr製)から切り出され、1.25インチ×1.625インチの寸法であった。正の温度係数のサーミスタ(部品番号SOP5173-11、Thermistors Unlimited,Inc製)を介してそれぞれのパンに熱が加えられた。サーミスタは、熱及び電気伝導性のエポキシ(部品番号AA-Duct902、Atom Adhesives)を用いて、パンの下側に取り付けられた。サーミスタは155℃の最高温度に達した。装置はポリカーボネートの筐体内に取り付けられた。筐体は、35℃に維持されたオーブンに設置された。
【0188】
筐体は、化学物質が詰められた2つの開いた瓶を追加で含んだ。1つの瓶は、最初、15mlのオクタメチルシクロテトラシロキサンを含んだ。もう1つの瓶は、最初、15mlのベンジルアルコールを含んだ。瓶は、実験の間、15mlの各化学物質で補充された。
【0189】
アルファ・エイサーベントナイト-PTFEテープの1.25インチ×1.63インチ×0.08インチの断片が、筐体内の加熱パンで圧縮された。収着剤材料は次のように熱サイクルされた。特注(custom)電気制御システムが、24V DCをサーミスタに15分間印加して、収着剤材料から湿気を脱着させた。サーミスタは、155℃で収着剤材料を再生する。15分間の加熱ステップの後、サーミスタは止められ、収着剤は周囲の湿気を90分間吸着させられる。吸着ステップの間、2軸のブレード付ファン(部品番号9GA0624G702-ND、Digikey)を90分間オンにして、収着剤の上の空気を混合し、収着剤への物質移動を増加させる。この熱サイクルは連続的であり、1週間に96回の熱サイクルに等しい。
【0190】
熱サイクル期間の後、収着剤テープの20~30mgの試料が筐体から取り出される。この材料は、VTI SGA-100収着システムで25℃での水蒸気収着能について特徴付けられた。収着能の特徴付けでは、材料は125℃まで再生される。表3は、さまざまな水蒸気濃度でのアルファ・エイサーベントナイトPTFEテープの能力を、ポリカーボネート筐体内部の熱サイクルに応じて示す。
【0191】
図24に示されるように、質量変化%は30~80%の湿度範囲にわたって96~768回のサイクルで頑健である。
図25は、実施例4が高い湿気容量保持を有することを示す。
【0192】
実施例5
実施例4が、異なる収着剤材料を用いて繰り返される。この例の充填PTFEテープは、CAS番号1302-78-9を有するベントナイト粉末(Bulk NatraSorb M、DSR6212、Multisorb Technologies製)を使用する。実施例4に記載されているように、収着剤材料は熱サイクルされた。
【0193】
図26に示されるように、30~80%の湿度範囲にわたって96~768回のサイクルで質量変化%は頑健である。
図27は、実施例5が良好な湿気容量保持を有することを示す。
【0194】
実施例6
実施例4が、異なる収着剤材料を用いて繰り返される。この例の充填PTFEテープは、CAS番号1318-93-0を有し、95%より多いモンモリロナイトの指定のベントナイト粉末(ナトリウムモンモリロナイト粘度、638MCP8CM25、Sorbent Systems製)を使用する。実施例4に記載されているように、収着剤材料は熱サイクルされた。
【0195】
図28に示されるように、質量変化%は、この湿度範囲にわたって96~768回のサイクルで頑健である。
図29は、実施例6が良好な湿気容量保持を有することを示す。
【0196】
比較例3
充填(filled)PTFEテープが、比較例2のシリカゲル粉末(タイプA、Transo-Pharm USA製)を使用して試験された。シリカゲル粉末の充填量は、乾燥剤部材の総質量に対して約80%であった。試験は実施例4と同じ条件下であった。結果は下記の表で比較されている。
【0197】
図30は、30%~80%の相対湿度の質量変化%に関して吸着等温線を示すグラフであり、質量変化%の顕著な低下が比較例3によって示されている。
図31は、比較例2が低い湿気容量保持を有することを示す。これにより、比較例3が厳しい環境での長期の適用に不適切であることになる。
【0198】
536サイクル、約1年の試験において、比較例3に比べて、実施例4~6の質量変化%に関して、
図32に示されるように吸着等温線及び
図33の湿気容量保持に顕著な改善がある。
【0199】
表3は、オクタメチルシクロテトラシロキサンとベンジルアルコールを含有するポリカーボネート筐体における熱サイクルに応じて、さまざまな水蒸気濃度でのアルファ・エーザーベントナイト充填PTFEテープ、Multisorbベントナイト充填PTFEテープ、Sorbent Systemsベントナイト充填PTFEテープ、及びTranso-Pharmシリカゲル充填PTFEテープの水蒸気収着能を示す。
【表3-1】
【表3-2】
【0200】
表4は、オクタメチルシクロテトラシロキサンとベンジルアルコールを含有するポリカーボネート筐体における熱サイクルに応じて、さまざまな水蒸気濃度でのアルファ・エイサーベントナイト充填PTFEテープ、Multisorbベントナイト充填PTFEテープ、Sorbent Systemsベントナイト充填PTFEテープ、及びTranso-Pharmシリカゲル充填PTFEテープの水蒸気収着能の百分率割合を示す。実施例4は、さまざまな相対湿度で、短期及び長期のサイクル期間にわたって頑健な性能を示す。実施例5及び6は、相対湿度30~80%での改善された性能を示し、この試験におけるより低い又はより高い湿度条件でのシリカゲルに匹敵する。
【表4-1】
【表4-2】
【0201】
さまざまな修正及び追加が、本発明の範囲から逸脱することなく、議論された例示的態様になされることができる。上記の態様は特定の特徴をいうが、本発明の範囲は、特徴の異なる組み合わせを有する態様及び上記の特徴のすべてを含まない態様も含む。