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  • 特許-多層粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】多層粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220704BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220704BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
C09J133/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020524130
(86)(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 KR2018013244
(87)【国際公開番号】W WO2019088752
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2017-0146213
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522063974
【氏名又は名称】コザ ノベル マテリアル コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Koza Novel Materials Korea Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】301-1, B1, No. 327 Gangnam Avenue, Seocho-gu, Seoul Special City (Daelong Seocho Tower, Seocho-dong), Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スレ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・マン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/129200(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0115226(KR,A)
【文献】特開2013-040256(JP,A)
【文献】特開2006-144014(JP,A)
【文献】特表2016-505668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外側粘着層と、中間粘着層と、第2外側粘着層とが順次に備えられ、
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層のうちの少なくとも1つは、重量平均分子量100,000以上1,500,000以下の高分子量プレポリマーおよび重量平均分子量1,000以上80,000以下の低分子量プレポリマーを含み、
前記高分子量プレポリマーは、高分子量アクリル系プレポリマーであり、
前記低分子量プレポリマーは、低分子量アクリル系プレポリマーであり、
前記中間粘着層は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含む中間粘着重合体を含み、
前記低分子量プレポリマーのガラス転移温度は、0℃以上80℃以下であり、
前記低分子量プレポリマーの含有量は、前記高分子量プレポリマー100重量部に対して、1重量部以上25重量部以下であり、
前記低分子量プレポリマーは、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位を、低分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、70重量部以上90重量部以下で含み、
前記低分子量プレポリマーは、ベンゾフェノン系官能基、キノン系官能基、およびチオキサントン系官能基からなる群より選択される1種以上の光重合官能基が結合した(メタ)アクリレート単量体である光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含む
外側粘着組成物の硬化物を含む多層粘着テープ。
【請求項2】
前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記低分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下である、請求項に記載の多層粘着テープ。
【請求項3】
前記高分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体の重合単位;および極性官能基含有単量体の重合単位を含む、請求項1または2に記載の多層粘着テープ。
【請求項4】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記高分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下である、請求項に記載の多層粘着テープ。
【請求項5】
前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量は、前記高分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、0重量部超過20重量部以下である、請求項に記載の多層粘着テープ。
【請求項6】
前記中間粘着層のガラス転移温度は、-40℃以上0℃以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項7】
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層のガラス転移温度は、それぞれ-60℃以上-20℃以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項8】
前記中間粘着重合体は、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位;および極性官能基含有単量体の重合単位をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項9】
前記中間粘着層の厚さは、30μm以上100μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項10】
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層の厚さは、それぞれ25μm以上60μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項11】
前記多層粘着テープは、前記第1外側粘着層と中間粘着層との間に備えられた第1界面混合層と、前記第2外側粘着層と前記中間粘着層との間に備えられた第2界面混合層とをさらに含む、請求項1~1のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2017年11月3日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2017-0146213号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。本発明は、多層粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には多様な部材が粘着剤によって付着できる。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シートなどのような多様な光学部材が粘着テープによって付着できる。また、タッチスクリーンパネルには、導電性膜、ガラス基材などのような多様な部材が粘着テープによって付着できる。
【0003】
最近、粘着テープを用いる機器の性能の向上に伴い、粘着テープに要求される物性も次第に複雑になっている。具体的には、高い温度変動による優れた耐久性および半永久的な粘着性能を要求する場合もあり、さらに、再施工のために粘着テープを除去する時に残留物が残らず、粘着テープが破断しないリワーク性を要求する場合もある。
【0004】
特に、粘着テープが段差のある部材に付着する場合、粘着テープの回復特性に起因して部材から剥離されて発生するディレイバブル(delayed bubble)の発生を抑制する物性も要求されている。
【0005】
このように向上した要求事項に適した粘着テープに関する持続的な研究が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、多層粘着テープを提供しようとする。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、第1外側粘着層と、中間粘着層と、第2外側粘着層とが順次に備えられ、
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層のうちの少なくとも1つは、重量平均分子量100,000g/mol以上1,500,000g/mol以下の高分子量プレポリマーおよび重量平均分子量1,000g/mol以上80,000g/mol以下の低分子量プレポリマーを含む外側粘着組成物の硬化物を含む多層粘着テープを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施態様に係る粘着シートは、段差を有する被着体への付着力に優れるという利点がある。
【0010】
本発明の一実施態様に係る粘着シートは、再作業時に容易に除去できるという利点がある。
【0011】
本発明の一実施態様に係る粘着シートは、被着体に付着させた後に除去しても、被着体の粘着シート残留物の量を最小化して被着体の再作業を容易に行うことができる。
【0012】
本発明の一実施態様に係る粘着シートは、高温および高湿耐久性に優れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施態様に係る多層粘着テープの積層構造を模式化したものである。
図2】本発明の一実施態様に係る多層粘着テープの積層構造を模式化したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0015】
本明細書において、用語「単量体の重合単位」は、その単量体が重合反応を経てその重合体の骨格、例えば、主鎖もしくは側鎖を形成している形態を意味することができる。
【0016】
本明細書において、単位「重量部」は、各成分間の重量比率を意味することができる。
【0017】
本明細書において、「Aおよび/またはB」は、「AおよびB」または「AまたはB」を意味することができる。
【0018】
本明細書において、重量平均分子量(g/mol)は、GPC(gel permeation chromatography)によって測定されるポリスチレンに対する換算数値であり得る。
【0019】
本明細書において、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)(Q-1000、TA Instrument社製)を用いて、-70℃~100℃の温度範囲で加熱速度5℃/minで昇温して測定して、DSC曲線の中間点として決定された値であり得る。
【0020】
本明細書において、ある部材の厚さは、当該部材の断面を電子顕微鏡(SEM、TEM、STEM)で観察することによって得られた任意の10点の測定値の平均値であり得る。当該部材の厚さが非常に薄い場合には、高倍率で観察された写真を拡大して測定することができ、拡大時、層間界面ラインを幅方向に二等分した中心部分を境界線として測定することができる。
【0021】
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味することができる。
【0022】
本明細書において、アルキル基は、炭素数1~20のアルキル基を含むことができる。
【0023】
本明細書において、ヘテロシクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在せず、炭素以外の異種元素が含まれた環構造を含むことができ、炭素数2~20の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0024】
本明細書において、シクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことができ、炭素数3~20の単環(monocyclic ring)または多環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0025】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
【0026】
本発明の一実施態様は、第1外側粘着層と、中間粘着層と、第2外側粘着層とが順次に備えられ、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層のうちの少なくとも1つは、重量平均分子量100,000g/mol以上1,500,000g/mol以下の高分子量プレポリマーおよび重量平均分子量1,000g/mol以上80,000g/mol以下の低分子量プレポリマーを含む外側粘着組成物の硬化物を含む多層粘着テープを提供する。
【0027】
図1は、本発明の一実施態様に係る多層粘着テープの積層構造を模式化したものである。具体的には、図1によれば、第1外側粘着層101および中間粘着層201および第2外側粘着層102が順次に積層したことを示すものである。
【0028】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層は、それぞれ重量平均分子量100,000g/mol以上1,500,000g/mol以下の高分子量プレポリマーおよび重量平均分子量1,000g/mol以上80,000g/mol以下の低分子量プレポリマーを含む外側粘着組成物の硬化物を含むことができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、前記外側粘着組成物の硬化物を含むことにより、前記多層粘着テープの段差埋め込み性を向上させることができる。具体的には、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、前記低分子量プレポリマーを用いることで低いガラス転移温度に容易に調節することができ、これによって、前記多層粘着テープの段差埋め込み性および被着体への付着力を向上させることができる。また、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、前記低分子量プレポリマーを用いることで前記多層粘着テープの打抜性の低下を最小化することができ、再作業のために前記多層粘着テープの除去時、被着体への残留物を最小化することができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子量プレポリマーの重量平均分子量は、100,000g/mol以上1,500,000g/mol以下、200,000g/mol以上1,000,000g/mol以下、200,000g/mol以上800,000g/mol以下、200,000g/mol以上700,000g/mol以下、または300,000g/mol以上600,000g/mol以下であってもよい。
【0031】
前記高分子量プレポリマーは、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の粘着性を付与する役割を果たすことができる。
【0032】
前記高分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、優れた粘着特性を実現することができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子量プレポリマーは、高分子量アクリル系プレポリマーであってもよい。
【0034】
前記高分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の耐久性を容易に調節することができる。さらに、前記高分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の高温および/または高湿における信頼性の向上に寄与することができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーの重量平均分子量は、1,000g/mol以上80,000g/mol以下、5,000g/mol以上80,000g/mol以下、10,000g/mol以上80,000g/mol以下、20,000g/mol以上80,000g/mol以下、20,000g/mol以上60,000g/mol以下、30,000g/mol以上80,000g/mol以下、30,000g/mol以上60,000g/mol以下、30,000g/mol以上50,000g/mol以下、40,000g/mol以上60,000g/mol以下、または40,000g/mol以上50,000g/mol以下であってもよい。
【0036】
前記低分子量プレポリマーは、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の柔軟性およびガラス転移温度を調節する役割を果たすことができる。
【0037】
前記低分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、優れた段差埋め込み性を実現することができる。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、低分子量アクリル系プレポリマーであってもよい。
【0039】
前記低分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の柔軟性を容易に調節することができる。具体的には、前記低分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層のガラス転移温度を容易に調節できるようにして、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の段差埋め込み性を容易に向上させることができる。さらに、前記低分子量プレポリマーの重量平均分子量が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の形成時に適切な硬化速度を実現することにより、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の段差埋め込み性のような物性を確保することができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーのガラス転移温度は、0℃以上80℃以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーのガラス転移温度は、20℃以上60℃以下、30℃以上60℃以下、または40℃以上50℃以下であってもよい。
【0041】
前記低分子量プレポリマーのガラス転移温度が前記範囲内の場合、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層のガラス転移温度を容易に調節することができ、これによって、前記多層粘着テープのリワーク性および打抜性能を向上させることができる。
【0042】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含むことができる。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記光重合官能基は、水素引き抜き型であってもよい。具体的には、前記光重合官能基は、エステル結合(-COO-)を含むことができ、前記エステル結合は、前記粘着組成物の硬化時、酸素ラジカルおよび炭素ラジカルに分解できる。より具体的には、前記酸素ラジカルは、アクリレート単量体の一側の水素と炭素の結合を分解してアクリレート単量体から水素ラジカルを脱着させ、炭素ラジカルを含むアクリレート単量体を形成することができる。また、前記光重合官能基の酸素ラジカルは、前記アクリレート単量体から脱着された水素ラジカルと結合してヒドロキシ基を形成することができ、前記組成物の硬化時、前記光重合官能基の炭素ラジカルが前記アクリレート単量体の炭素ラジカルと単結合を形成することができる。
【0044】
本発明の一実施態様によれば、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記低分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、0.01重量部以上10重量部以下であってもよい。具体的には、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記低分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、0.01重量部以上8重量部以下、0.01重量部以上5重量部以下、0.1重量部以上10重量部以下、0.1重量部以上8重量部以下、0.1重量部以上5重量部以下、0.5重量部以上10重量部以下、0.5重量部以上8重量部以下、または0.5重量部以上5重量部以下であってもよい。
【0045】
前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位は、前記低分子量プレポリマーと前記高分子量プレポリマーの架橋を容易に補助する役割を果たすことができる。前記範囲内に前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位が前記低分子量プレポリマーに含まれる場合、前記低分子量プレポリマーと前記高分子量プレポリマーの架橋がより容易に調節され、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層の物性を安定して実現させることができる。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体は、ベンゾフェノン系官能基、キノン系官能基、およびチオキサントン系官能基からなる群より選択される1種以上の光重合官能基が結合した(メタ)アクリレート単量体であってもよい。
【0047】
本発明の一実施態様によれば、前記ベンゾフェノン系官能基は、ベンゾフェノン、ベンゾイルベンゾイックアシッド、ベンゾイルベンゾイックアシッドメチルエーテル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾール-4’-メチルジフェニルスルフィド、および3,3’-メチル-4-メトキシベンゾフェノンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する官能基であってもよい。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記キノン系官能基は、キノン、アントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、および2,6-ジクロロ-9,10-アントラキノンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する官能基であってもよい。
【0049】
本発明の一実施態様によれば、前記チオキサントン系官能基は、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、およびイソプロピルチオキサントンからなる群より選択される少なくとも1つの化合物を含有する官能基であってもよい。
【0050】
本発明の一実施態様によれば、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体は、(メタ)アクリレート単量体の単結合酸素に結合した離脱基が前記光重合官能基で置換されたものであってもよい。具体的には、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体は、ベンゾフェノン(メタ)アクリレートであってもよい。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体の重合単位、および極性官能基含有単量体の重合単位を含むものであってもよい。
【0052】
また、本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体の重合単位、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、および極性官能基含有単量体の重合単位を含むものであってもよい。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体、および極性官能基含有単量体の共重合体であってもよい。
【0054】
また、本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、およびヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体、前記光重合官能基含有(メタ)アクリレート単量体、および極性官能基含有単量体の共重合体であってもよい。
【0055】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、および極性官能基含有単量体の重合単位を含むものであってもよい。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーにおいて、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記低分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、50重量部以上90重量部以下、60重量部以上90重量部以下、または70重量部以上90重量部以下であってもよい。
【0057】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーにおいて、極性官能基含有単量体の重合単位の含有量は、前記低分子量プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、10重量部以上40重量部以下、10重量部以上30重量部以下、または10重量部以上20重量部以下であってもよい。
【0058】
前記低分子量プレポリマーは、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位、および極性官能基含有単量体の重合単位の含有量を前記範囲内に調節してガラス転移温度を調節することができる。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーは、1種以上の単量体を含む組成物を溶液重合して製造できる。ただし、これに限定されるものではなく、前記低分子量プレポリマーの製造方法は、当業界で一般的に用いられる重合方法を利用することができる。
【0060】
本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーの含有量は、前記高分子量プレポリマー100重量部に対して、1重量部以上25重量部以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記低分子量プレポリマーの含有量は、前記高分子量プレポリマー100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下、1重量部以上15重量部以下、または5重量部以上10重量部以下であってもよい。
【0061】
前記低分子量プレポリマーの含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープの第1および/または第2外側粘着層は、適切な粘着力を実現して前記多層粘着テープの段差埋め込み性および粘着性能を向上させることができる。さらに、前記多層粘着テープの除去時、被着体への残留物を最小化可能でリワーク性を大きく向上させることができる。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体の重合単位;および極性官能基含有単量体の重合単位を含むものであってもよい。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子プレポリマーにおいて、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記高分子プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、50重量部以上98重量部以下、70重量部以上98重量部以下、80重量部以上95重量部以下、または90重量部以上95重量部以下であってもよい。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子プレポリマーにおいて、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記高分子プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下、または5重量部以上15重量部以下であってもよい。
【0065】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子プレポリマーにおいて、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量は、前記高分子プレポリマーの全重合単位100重量部に対して、0重量部超過20重量部以下、0重量部超過10重量部以下、1重量部以上10重量部以下、または3重量部以上7重量部以下であってもよい。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記高分子量プレポリマーは、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体、ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体のうちの少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体;および極性官能基含有単量体を含む組成物を溶液重合して製造できる。ただし、これに限定されるものではなく、前記高分子量プレポリマーの製造方法は、当業界で一般的に用いられる重合方法を利用することができる。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、前記外側粘着組成物を架橋反応を誘導して硬化させて形成される。具体的には、前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層は、前記外側粘着組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。前記粘着剤組成物を硬化して前記第1外側粘着層および/または前記第2外側粘着層を形成する方法は、当業界で公知の方法が利用可能である。
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層のガラス転移温度は、それぞれ-60℃以上-20℃以下である
【0068】
本発明の一実施態様によれば、外側粘着組成物は、光開始剤、熱開始剤、および硬化剤のうちの少なくとも1種をさらに含んでもよい。
【0069】
前記光開始剤および熱開始剤の種類は、当業界で一般的に知られたものを使用することができる。
【0070】
前記硬化剤は、アクリレート系硬化剤などの当業界で一般的に知られたものを使用することができる。
【0071】
本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層のガラス転移温度は、-40℃以上0℃以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層のガラス転移温度は、-40℃以上-15℃以下、-40℃以上-20℃以下、または-35℃以上-25℃以下であってもよい。
【0072】
前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲を満足する場合、前記多層粘着テープの打抜性およびハンドリングを向上させることができる。さらに、前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープの再施工のための除去時、前記多層粘着テープが切れることなく容易に除去可能である。すなわち、前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープのリワーク性が向上できる。
【0073】
前記中間粘着層は 中間粘着重合体を含む。本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位、および極性官能基含有単量体の重合単位を含むものであってもよい。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層において、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記中間粘着重合体の全重合単位100重量部に対して、30重量部以上90重量部以下、50重量部以上85重量部以下、または60重量部以上85重量部以下であってもよい。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記中間粘着重合体の全重合単位100重量部に対して、0重量部超過30重量部以下であってもよい。具体的には、前記中間粘着層において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量は、前記中間粘着重合体の全重合単位100重量部に対して、5重量部以上30重量部以下、または5重量部以上15重量部以下であってもよい。
【0076】
前記中間粘着層において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープの付着力を適切に実現し、高い段差埋め込み性を確保できるという利点がある。また、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープのリワーク性を向上させることができる。具体的には、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、多層粘着テープの適切な強度を維持させることができるので、再施工が必要な場合に除去を容易にすることができる。
【0077】
また、前記中間粘着層において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、中間粘着組成物を容易に塗布および硬化させることができ、中間粘着層の遅延性気泡(delayed bubble)の発生を最小化することができる。具体的には、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位の含有量が30重量部を超える場合、前記中間粘着層の遅延性気泡(delayed bubble)が急激に増加する恐れがある。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層において、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量は、前記中間粘着重合体の全重合単位100重量部に対して、0重量部超過20重量部以下であってもよい。具体的には、前記中間粘着組成物において、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量は、前記中間粘着重合体の全重合単位100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下、または5重量部以上15重量部以下であってもよい。
【0079】
前記中間粘着層において、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープのリワーク性と段差埋め込み性を同時に適切な水準に実現できるという利点がある。具体的には、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量が過度に高くなると、前記中間粘着層の凝集力が高くなって前記多層粘着テープのリワーク性は高くなるものの、段差埋め込み性は低下することがある。
【0080】
また、前記中間粘着層において、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、前記中間粘着層は、適切な凝集力を確保することができる。これによって、前記極性官能基含有単量体の重合単位の含有量が前記範囲内の場合、前記多層粘着テープの段差埋め込み性および打抜性能を効果的に向上させることができ、前記多層粘着テープが被着体に貼着され、一定時間経過後に発生する遅延性気泡(delayed bubble)の発生を最小化させることができる。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであってもよい。具体的には、前記アルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、メタクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、およびイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)、イソボルニルメチル(メタ)アクリレート、および3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA、3,3,5-trimethylcyclohexylacrylate)からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレート単量体は、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート(THFA)、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート(THPA)、およびサイクリックトリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート(CTFA、cyclictrimethylol-propaneformal(met)acrylate)からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、前記極性官能基含有単量体は、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシ基含有単量体、および窒素含有単量体からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記ヒドロキシ基含有単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記カルボキシ基含有単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、3-カルボキシプロピルアクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、およびマレイン酸からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記窒素含有単量体は、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、およびN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層の厚さは、30μm以上100μm以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層の厚さは、40μm以上80μm以下、または50μm以上60μm以下であってもよい。
【0089】
前記中間粘着層の厚さが前記範囲内の場合、前記多層粘着テープは、適切な硬度を示し、優れたリワーク性および段差埋め込み性を実現することができる。さらに、前記中間粘着層の厚さが前記範囲を外れる場合、前記多層粘着テープの硬度が過度に高くなって段差埋め込み性が低下する恐れがある。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層の厚さは、それぞれ25μm以上60μm以下であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層の厚さは、それぞれ25μm以上50μm以下であってもよい。
【0091】
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層の厚さが前記範囲内の場合、段差埋め込み性を優れたものに実現することができる。さらに、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層の厚さが前記範囲を外れる場合、リワーク性を低下させる恐れがあり、低い凝集力によって長期耐久性が低下する恐れがある。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着テープの総厚さは、100μm以上250μm以下であってもよい。具体的には、前記多層粘着テープの総厚さは、100μm以上200μm以下、または120μm以上170μm以下であってもよい。
【0093】
前記多層粘着テープの総厚さが前記範囲内の場合、薄い厚さにもかかわらず、高い粘着性および段差埋め込み性を同時に満たすことができ、ひいては、高いリワーク性も実現することができる。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層は、同じ組成の組成物を用いて形成されたものであってもよい。さらに、本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層の厚さは、同一であってよい。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外側粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、それぞれ1:4~2:1であってもよい。具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外側粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、それぞれ1:0.7~1:2または1:0.7~1:1.5であってもよい。
【0096】
前記第1外側粘着層および前記第2外側粘着層それぞれに対する前記中間粘着層の厚さ比が前記範囲内の場合、優れた段差埋め込み性を確保すると同時に、優れたリワーク性を実現できるという利点がある。また、前記第1または第2外側粘着層と前記中間粘着層の厚さ比が前記範囲を外れて外側粘着層の厚さ比率が大きくなる場合、相対的に柔軟な外側粘着層の厚さ比が過度に高くなって、加工時の打抜性能およびリワーク性が低下する恐れがある。さらに、前記第1または第2外側粘着層と前記中間粘着層の厚さ比が前記範囲を外れて中間粘着層の厚さ比率が大きくなる場合、相対的に硬い中間粘着層の厚さ比が過度に高くなって段差埋め込み性が低くなる恐れがある。
【0097】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着テープは、前記第1外側粘着層と中間粘着層との間に備えられた第1界面混合層と、前記第2外側粘着層と前記中間粘着層との間に備えられた第2界面混合層とをさらに含んでもよい。
【0098】
具体的には、本発明の一実施態様によれば、前記第1界面混合層は、前記第1外側粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質とをすべて含み、前記第2界面混合層は、前記第2外側粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質とをすべて含むことができる。
【0099】
図2は、本発明の一実施態様に係る多層粘着テープの積層構造を模式化したものである。具体的には、図2によれば、第1外側粘着層101および中間粘着層201の間に第1界面混合層301が備えられ、中間粘着層201と第2外側粘着層102との間に第2界面混合層302が備えられたことを示すものである。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着テープは、第1外側粘着組成物、中間粘着組成物、および外側粘着組成物を順次に積層した後、同時に硬化して製造されるものであってもよい。本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着テープは、第1外側粘着組成物、中間粘着組成物、および第2外側粘着組成物を順次に積層した後、同時に光硬化して製造されるものであってもよい。
【0101】
前記第1外側粘着組成物は、硬化後に前記第1外側粘着層を構成し、前記中間粘着組成物は、硬化後に前記中間粘着層を構成し、前記第2外側粘着組成物は、硬化後に前記第2外側粘着層を構成することができる。
【0102】
具体的には、前記多層粘着テープは、各層を別途に製造した後、これを接合するのではなく、液状組成物を積層した後、これを同時に硬化する方法で製造されるので、各層の間に液混じり区間が発生させることができる。このような液混じり区間によって、一般的な多層粘着テープに比べて優れた層間付着力を確保することができ、極低温の環境でも層間界面分離現象を防止することができる。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着組成物と前記中間粘着組成物との界面および前記中間粘着組成物および前記 第2外側粘着組成物の界面は、それぞれ液混じりによる界面層が存在できる。具体的には、前記第1外側粘着組成物と前記中間粘着組成物との界面での液混じりによる界面層は、硬化後に前記第1界面混合層を構成することができる。また、前記中間粘着組成物と前記第2外側粘着組成物との界面での液混じりによる界面層は、硬化後に前記第2界面混合層を構成することができる。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記第1外側粘着組成物、前記中間粘着組成物、および前記第2外側粘着組成物は、順次に基材上に塗布される。また、前記第1外側粘着組成物、前記中間粘着組成物、および前記第2外側粘着組成物は、同時に基材上に順次に塗布される。前記塗布する方法は、スロット-ダイ、リップ-ダイなどの当業界で一般的に用いられる方法が利用可能である。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、前記中間粘着層の厚さは、前記第1界面混合層の中心から前記第2界面混合層の中心までの距離であってもよい。また、前記第1外側粘着層の厚さは、前記第1界面混合層の中心から前記第1外側粘着層の外側面までの距離であってもよい。さらに、前記第2外側粘着層の厚さは、前記第2界面混合層の中心から前記第2外側粘着層の外側面までの距離であってもよい。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、前記多層粘着テープは、前記中間粘着組成物および前記外側粘着組成物をそれぞれフィルムに硬化した後、これを貼り合わせ工程で形成するものであってもよい。具体的には、第1外側粘着層、中間粘着層、および第2外側粘着層をそれぞれ別途にフィルム形態に製造した後、これを順次に積層した後、圧着して前記多層粘着テープを製造することができる。
【0107】
ただし、前記製造方法に限定されるものではなく、当業界で一般的に適用する製造法を用いて製造できる。
【0108】
前記多層粘着テープは、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルム、および輝度向上フィルムなどのような多様な光学部材の付着のための用途に使用可能である。ただし、これに限定されるものではなく、当業界で用いられる用途に制限なく使用可能である。
【0109】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明に係る実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例
【0110】
[製造例1]-低分子量プレポリマーの製造
5重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、75重量部のイソボルニルアクリレート、20重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および2重量部のベンゾフェノンメタクリレートを溶液重合して、重量平均分子量が40,000g/mol、ガラス転移温度が50℃の低分子量プレポリマーを製造した。
【0111】
[製造例2]-低分子量プレポリマーの製造
5重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、75重量部のイソボルニルアクリレート、20重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および2重量部のベンゾフェノンメタクリレートを含む組成物を溶液重合して、重量平均分子量が50,000g/mol、ガラス転移温度が50℃の低分子量プレポリマーを製造した。
【0112】
[製造例3]-低分子量プレポリマーの製造
10重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、70重量部のイソボルニルアクリレート、20重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および2重量部のベンゾフェノンメタクリレートを含む組成物を溶液重合して、重量平均分子量が50,000g/mol、ガラス転移温度が40℃の低分子量プレポリマーを製造した。
【0113】
[製造例4]-低分子量プレポリマーの製造
5重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、75重量部のイソボルニルアクリレート、20重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および2重量部のベンゾフェノンメタクリレートを含む組成物を溶液重合して、重量平均分子量が500g/mol、ガラス転移温度が50℃の低分子量プレポリマーを製造した。
【0114】
[製造例5]-低分子量プレポリマーの製造
50重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、30重量部のイソボルニルアクリレート、20重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および2重量部のベンゾフェノンメタクリレートを含む組成物を溶液重合して、重量平均分子量が40,000g/mol、ガラス転移温度が-20℃の低分子量プレポリマーを製造した。
【0115】
[製造例6]-低分子量プレポリマーの製造
5重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、75重量部のイソボルニルアクリレート、20重量部のヒドロキシエチルアクリレート、および2重量部のベンゾフェノンメタクリレートを含む組成物を溶液重合して、重量平均分子量が100,000g/mol、ガラス転移温度が50℃の低分子量プレポリマーを製造した。
【0116】
[実施例1]
80重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、10重量部のアクリル酸を溶液重合して、重量平均分子量が500,000g/molの高分子量プレポリマーを製造した。
【0117】
前記製造された高分子量プレポリマー100重量部に対して、製造例1による低分子量プレポリマー5重量部、アクリレート系硬化剤、および光開始剤を混合して外側粘着組成物を製造した。
【0118】
さらに、80重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、10重量部のアクリル酸を含む中間粘着組成物を製造した。この時、前記中間粘着層のガラス転移温度は約-30℃であった。
【0119】
前記外側粘着組成物、前記中間粘着組成物、および前記外側粘着組成物をそれぞれ45μm、60μm、および45μmの厚さに順次に塗布した後、UV照射により同時に硬化して、第1外側粘着層、中間粘着層、および第2外側粘着層が順次に備えられた多層粘着テープを製造した。
【0120】
外側粘着剤組成物に含まれる低分子量体の種類および含有量を下記表1のように変更したことを除けば、実施例1と同様の方法で実施例2~実施例4および比較例1~比較例5の多層粘着テープを製造した。
【0121】
【表1】
【0122】
[実験例]
実施例1~実施例4および比較例1~比較例5による粘着テープの物性評価結果は下記表2の通りである。
【0123】
【表2】
【0124】
段差埋め込み性評価
20μmの印刷段差を有するベゼル部および印刷段差のない画面部を有する1.1Tの厚さのガラス基板上に製造された多層粘着テープを付着させ、その上に0.55Tの厚さのガラス基板を積層した。そして、40℃および4barの条件のオートクレーブに20分間放置した後、ベゼル部の4つの頂点部分で段差を十分に克服できずに生成される気泡の個数、および24時間経過後の画面部での遅延性気泡(delayed bubble)を確認して段差埋め込み性を評価した。具体的には、遅延性気泡が1個以下の場合に◎、遅延性気泡が2個であって遅延性気泡(delayed bubble)が弱く発生する場合に○、遅延性気泡が3個であって遅延性気泡(delayed bubble)が強く発生する場合に△、遅延性気泡が4個以上で遅延性気泡(delayed bubble)が強く発生する場合にXと評価した。
【0125】
リワーク性評価
製造された多層粘着テープを20μmの印刷段差を有するベゼル部および印刷段差のない画面部を有する1.1Tの厚さのガラス基板上に付着させ、40℃および4barの条件のオートクレーブに20分間放置し、常温条件で24時間放置した後、多層粘着テープを除去する時、多層粘着テープが切れずに一度にすべて除去される場合に◎、多層粘着テープが切れるものの5回以下の除去作業が必要な場合に○、多層粘着剤が切れやすくて6回以上の除去作業が必要な場合に△、多層粘着剤が切れやすくて除去作業が不可能な場合にXと評価した。
【0126】
剥離力評価
製造された多層粘着テープをポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにバッキングした後、1.1Tの厚さのガラス基材に2kgのローラを用いて付着させ、オートクレーブ(60℃、7bar)に30分間放置後に、25℃、25RH%の恒温恒湿条件で剥離角度を180度にしてASTM D903により測定し、剥離力が2,500g/in以上の場合に◎、剥離力が2,000g/in以上2,500g/in未満の場合に○、1,500g/in以上2,500g/in未満の場合に△、1,500g/in未満の場合にXと評価した。
【0127】
表2による結果によれば、実施例1~実施例4による粘着テープは、段差埋め込み性、リワーク性および付着力に優れていることを確認することができた。
【0128】
これに対し、低分子量プレポリマーを用いない比較例1は、段差埋め込み性および剥離力が実施例に比べて劣ることを確認することができた。また、低分子量プレポリマーを過度に多く用いた比較例2は、リワーク性が不良で、再作業が必要な場合、被着体から除去が容易でない問題があった。さらに、重量平均分子量が過度に低い低分子量体プレポリマーを用いた比較例3は、段差埋め込み性、リワーク性および剥離力に劣る問題点があった。また、ガラス転移温度が過度に低い低分子量プレポリマーを用いた比較例4は、リワーク性が非常に不良で、剥離力も弱い問題点があった。さらに、重量平均分子量が過度に高い低分子量プレポリマーを用いた比較例5は、リワーク性が非常に不良であり、剥離力も弱い問題点があった。
【符号の説明】
【0129】
101:第1外側粘着層
102:第2外側粘着層
201:中間粘着層
301:第1界面混合層
302:第2界面混合層
図1
図2