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特許7098729光ファイバ温度検出システムを有する原子力装置用ヒートパイプアセンブリ
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  • 特許-光ファイバ温度検出システムを有する原子力装置用ヒートパイプアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】光ファイバ温度検出システムを有する原子力装置用ヒートパイプアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/02 20060101AFI20220704BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20220704BHJP
   G01K 11/32 20210101ALI20220704BHJP
   G21D 1/00 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G21C17/02 100
F28D15/02 D
G01K11/32 A
G21D1/00 Q
G21D1/00 S
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020530327
(86)(22)【出願日】2018-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018059135
(87)【国際公開番号】W WO2019112727
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-27
(31)【優先権主張番号】15/830,654
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】カルバハル、ジョージ、ブイ
(72)【発明者】
【氏名】トゥウィーダル、トーマス、ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】アヴァリ、ラグー、ケイ
(72)【発明者】
【氏名】アラファト、ヤシール
(72)【発明者】
【氏名】ヘイゼル、マシュー、アール
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・ウィク、ジュリエ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0208413(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027536(US,A1)
【文献】特開2002-048898(JP,A)
【文献】特開2007-093413(JP,A)
【文献】特開2009-300378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/02
F28D 15/02
G01K 11/32
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力装置(8)のヒートパイプアセンブリ(4)であって、当該ヒートパイプアセンブリは、
各々が細長く、断面が実質的に円形の多数のヒートパイプ(12)と、
当該多数のヒートパイプのうちの少なくとも一部のヒートパイプの各々に沿う多数の場所の各々において多数の温度を測定するように構成された検出システム(16)であって、細長い少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリ(20)が当該少なくとも一部のヒートパイプの外面(36)上に螺旋状に巻き付けられている検出システムとを具備し、
当該検出システムは、光信号を生成して当該光ファイバケーブルアセンブリへ送信するように構成された光信号生成器(24)をさらに具備し、
当該検出システムは、当該光ファイバケーブルアセンブリの全長の少なくとも一部に沿う多数の場所からの、当該光信号の少なくとも一部の反射信号を多数検出して、その一部が、当該多数の反射信号の少なくとも一部を表す出力を発生するように構成されたセンサ(28)をさらに具備し、
当該ヒートパイプアセンブリはさらに、当該出力を受信し、少なくとも部分的に当該出力に基づいて当該多数の温度を突き止めるように構成された計測システム(32)を具備すること
を特徴とするヒートパイプアセンブリ(4)。
【請求項2】
前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが、前記少なくとも一部のヒートパイプのうちの別のヒートパイプの別の外面上に螺旋状に巻き付けられている、請求項1のヒートパイプアセンブリ。
【請求項3】
前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが、前記ヒートパイプと前記別のヒートパイプとの間に延びる、請求項2に記載のヒートパイプアセンブリ。
【請求項4】
前記ヒートパイプおよび前記別のヒートパイプが、互いにほぼ平行に延びる、請求項3のヒートパイプアセンブリ。
【請求項5】
前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが、前記少なくとも一部のヒートパイプのうちのさらに別のヒートパイプのさらに別の外面上に螺旋状に巻き付けられ、前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが、前記別のヒートパイプと当該さらに別のヒートパイプとの間を延びることを特徴とする、請求項3のヒートパイプアセンブリ。
【請求項6】
前記ヒートパイプ、前記別のヒートパイプおよび前記さらに別のヒートパイプの各々が互いに反対側となる第1の端部(40)および第2の端部(44)を有し、当該第1の端部が互いに隣接し、前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが前記ヒートパイプの当該第2の端部と前記別のヒートパイプの当該第2の端部との間を延びることによって前記ヒートパイプと前記別のヒートパイプとの間を橋渡しし、前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが前記別のヒートパイプの当該第1の端部と前記さらに別のヒートパイプの当該第1の端部との間を延びることによって前記別のヒートパイプと前記さらに別のヒートパイプとの間を橋渡しすることを特徴とする、請求項5のヒートパイプアセンブリ。
【請求項7】
前記検出システムは、前記外面上に螺旋状に巻き付けられた細長い第2の光ファイバケーブルアセンブリ(20)をさらに含む、請求項1のヒートパイプアセンブリ。
【請求項8】
前記外面上に巻き付けられた前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリ(20A)の少なくとも一部と、前記外面上に巻き付けられた前記第2の光ファイバケーブルアセンブリ(20B)の少なくとも一部とが、互いに離間して、前記外面上に二重巻螺旋パターンを形成する、請求項7のヒートパイプアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが、少なくとも1つの光ファイバケーブル(52)とシース(48)とを具備し、当該少なくとも1つの光ファイバケーブルが当該シース内に位置し、当該シースが前記外面上に巻き付けられている、請求項1のヒートパイプアセンブリ。
【請求項10】
前記シースが、内部領域(56)に前記少なくとも1つの光ファイバケーブルが位置する細長い管体である、請求項9のヒートパイプアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願において開示し特許請求する発明は概して原子力装置に関し、具体的には、光ファイバケーブルアセンブリを用いる検出システムにより、複数のヒートパイプの各々に沿う多数の場所の温度を検出するように構成された原子力装置のヒートパイプアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
関連する技術分野において、原子力発電システムには多くのタイプのあることが知られている。そのような原子力発電システムは、原子炉内で核分裂反応を起こさせ、発生する熱により原子炉を循環する流体を加熱し、加熱された流体を、例えば、典型的には熱交換器を通過させ、抽出した熱を用いてタービンを作動させ、発電機を回転させるのが一般的である。
【0003】
極端な温度およびそれに伴う他の要因が存在するため、原子力環境内の様々な場所の様々な温度を把握することが望ましい。しかしながら、原子力環境内の温度感知装置はそれぞれ別個の配線を必要とし、また、温度センサの数が非常に多くなるため、センサとコンピュータ化されたデータシステムとを接続するワイヤ対が、それに応じて、非常に多くなる。したがって、改善策が望まれる。
【発明の概要】
【0004】
原子力装置のヒートパイプアセンブリは、多数の細長いヒートパイプと、1つ以上の細長い光ファイバケーブルアセンブリが1本以上のヒートパイプの外面上に螺旋状に巻き付けられた検出システムとを含む。当該検出システムは、光信号を各光ファイバアセンブリへ送信する光信号生成器のほかに、当該光信号の反射信号を多数検出して出力を発生するセンサをさらに含む。この出力は、各光ファイバケーブルアセンブリに沿う複数の場所の温度を検出して、1本以上のヒートチューブに沿う多数の場所の温度を突き止めるために、計測/制御システムによって使用可能である。
【0005】
したがって、本願において開示し特許請求する発明の一局面は、検出システムが、ヒートパイプの外面上に螺旋状に巻回された光ファイバケーブルアセンブリによりヒートパイプに沿う多数の場所の温度を検出する、原子力装置用のヒートパイプアセンブリを提供する。
【0006】
本願において開示し特許請求する発明の別の局面は、光ファイバケーブルアセンブリを複数のヒートパイプの各々に沿って螺旋状に巻き付けることにより、必要とするデータチャンネルの数を減少させたヒートパイプアセンブリを提供する。
【0007】
本願において開示し特許請求する発明の別の局面は、単一の光学的データチャンネルを用いて、複数の場所の各々の温度を測定する温度検出システムを提供する。
【0008】
したがって、本願において開示し特許請求する発明の一側面は、原子力装置用の改良型ヒートパイプアセンブリを提供する。当該ヒートパイプアセンブリは、各々が細長く、断面が実質的に円形の多数のヒートパイプと、当該多数のヒートパイプのうちの少なくとも一部のヒートパイプの各々に沿う多数の場所の各々において多数の温度を測定するように構成された検出システムとを含むと一般的に言え、当該検出システムは、細長い少なくとも第1の光ファイバケーブルアセンブリが当該少なくとも一部のヒートパイプの外面上に螺旋状に巻き付けられていると一般的に言え、当該検出システムはさらに、光信号を生成して当該光ファイバケーブルアセンブリへ送信するように構成された光信号生成器を具備すると一般的に言え、当該検出システムはさらに、当該光ファイバケーブルアセンブリの全長の少なくとも一部に沿う多数の場所からの、当該光信号の少なくとも一部の反射信号を多数検出して、その一部が、当該多数の反射信号の少なくとも一部を表す出力を発生するように構成されたセンサを具備すると一般的に言え、当該ヒートパイプアセンブリはさらに、当該出力を受信し、少なくとも部分的に当該出力に基づいて当該多数の温度を突き止めるように構成された計測システムを具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本願において開示し特許請求する発明の詳細を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0010】
図1】本願において開示し特許請求する発明に基づく改良型ヒートパイプアセンブリの斜視図である。
【0011】
図2図1のヒートパイプアセンブリの上面図である。
【0012】
図3図1のヒートパイプアセンブリの多数のヒートパイプの温度プロファイルを示すグラフである。
【0013】
図4図1のヒートパイプアセンブリの検出システムの概略図である。
【0014】
図5図1のヒートパイプアセンブリの光ファイバケーブルアセンブリの断面図である。
【0015】
同じ参照番号は、本明細書を通して同じ部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
改良型ヒートパイプアセンブリ4を、図1、2に略示する。ヒートパイプアセンブリ4は、多くのタイプがある原子力装置8の構成要素である。ヒートパイプアセンブリ4は複数のヒートパイプを含み、その一部を参照符号12A、12B、12C、12Dで示すが、本願ではこれらのヒートパイプを集合的または個別に参照符号12で表すことがある。各々が細長く、円形断面を有するヒートパイプ12は、加熱された流体を原子力装置8の或る場所から別の場所へ送配するように構成されている。図1、2に示すヒートパイプ12は、あくまでも例示的なものであり、原子力装置8は、図に明示された19本だけでなく、同様のヒートパイプ12を数千本含む可能性が高いことを理解されたい。
【0017】
ヒートパイプアセンブリ4は、多数のヒートパイプ12の各々の長手方向に沿う多数の場所の多数の温度を検出するように構成された検出システム16をさらに含む。本願に用いる表現「多数の」およびその変化形は、広義には、ゼロを除き1を含む任意の数量を指す。検出システムはさらに、複数の光ファイバケーブルアセンブリを含み、その一部を参照符号20A、20B、20Cで示す。本願では、これらの光ファイバケーブルアセンブリを集合的または個別に参照符号20で表すことがある。検出システム16はさらに、光ファイバケーブルアセンブリ20の各々が接続される処理システム22を含むと言える。
【0018】
処理システム22は、光信号生成器24と、センサアレイ28を有する信号測定装置26と、計測/制御システム32とを含むと言える。光信号生成器24は、1つ以上の光ファイバケーブルアセンブリ20へ出力される光信号を生成するように構成されている。センサアレイ28は複数の光センサより成り、光ファイバケーブルアセンブリ20はそれぞれ、センサアレイ28の中の一個の光センサに対応する。
【0019】
光信号生成器24からの光信号34が光ファイバケーブルアセンブリ20の第1の端部に入力されると、光信号34の一部は、光ファイバケーブルアセンブリ20の長手方向の様々な位置で反射して第1の端部に戻り、光信号34のそのような反射成分が、対応するセンサ28により多数の反射信号38として検出される。光信号34が光ファイバケーブルアセンブリ20へ入力されてから、センサアレイ28が様々な反射信号38を検出するまでの経過時間は、光信号34が光ファイバケーブルアセンブリ20の中を光速度で進行することに基づき、光ファイバケーブルアセンブリ20に沿う第1の端部と様々な反射が発生する位置との間の距離を指示する。検出される各反射信号38の振幅は、光ファイバケーブルアセンブリ20に沿うそのような各反射位置に対応する温度を指示する。
【0020】
光ファイバケーブルアセンブリ20はそれぞれ、温度に応答するように最適化された様々な物質がドープされた多数の光ファイバケーブル52を含む。光ファイバケーブル52に、必要に応じてヒートパイプ12の他の特性を検出するように最適化された他の物質をドープすることができる。
【0021】
信号測定装置26は計測/制御システム32への出力42として提供される信号を生成するが、この信号は計測/制御システム32によって、多数のヒートパイプ12の各々に沿う複数の場所の複数の温度に変換される。計測システム32は、必要に応じて、例えば図3に略示するような、1つ以上のヒートパイプ12の温度プロファイルを示す可視出力を生成することができる。図3に例示するグラフは、温度データを提示する一つの方法を示すことを意図しており、色および/または他の多種多様なデータ提示手法を用いるなど、他のデータ提示方式も使用できることを理解されたい。以下に詳述するように、計測/制御システム32はさらに、他の目的に使用される温度信号46を電子的に出力する。
【0022】
図1からわかるように、各ヒートパイプ12は、一部を参照符号36A、36B、36C、36Dで示す外面を有する。これらの外面を、集合的または個別に参照符号36で表すこともある。各ヒートパイプ12はさらに、一部を参照符号40A、40B、40C、40Dで示す第1の端部(集合的または個別に参照符号40で表すこともある)および一部を参照符号44A、44B、44C、44Dで示すその反対側の第2の端部(集合的または個別に参照符号44で表すこともある)を有する。
【0023】
図1、2からわかるように、ヒートパイプに光ファイバケーブルアセンブリ20Aが螺旋状に巻き付けられているが、その起点は、例えばヒートパイプ12A、より明確にはヒートパイプ12Aの第1の端部40Aである。光ファイバケーブルアセンブリ20Aのこのような螺旋構造は、ヒートパイプ12Aの外面36A上を長手方向に、ほぼ第2の端部44Aに到達するまで続く。光ファイバケーブルアセンブリ20Aは、ヒートパイプ12Aのその第2の端部44Aからヒートパイプ12Bの第2の端部44Bへ延びたあと、その第2の端部44Bからヒートパイプ12Bの外面36B上を螺旋状に第1の端部40Bまで延びる。光ファイバケーブルアセンブリ20Aはさらに、ヒートパイプ12Bのその第1の端部40Bからヒートパイプ12Cの第1の端部40Cへ延びたあと、その第1の端部40Cからヒートパイプ12Cの外面36上を螺旋状にほぼ第2の端部44Cまで延び、そこからさらに別のヒートパイプ12へ延び、その外面36上を螺旋状にその第1の端部40まで延びたあとさらに他のヒートパイプ12へ延びる。
【0024】
図1からさらにわかるように、光ファイバケーブルアセンブリ20Bも同様に、ヒートパイプ12A、12B、12Cの外面36上を螺旋状に延びる。しかしながら、光ファイバケーブルアセンブリ20Bは、外面36上を光ファイバケーブルアセンブリ20Aから離間して延びるため、光ファイバケーブルアセンブリ20Aと20Bとが、ヒートパイプ12の外面36上に二重巻き螺旋パターンを形成する。一対の光ファイバケーブルアセンブリ20の使用により、冗長性のある温度検出が可能になるか、あるいはヒートパイプ12の長手方向における温度検出点の間隔をより小さくすることができる。その他の変形例についても自明である。
【0025】
図1、2は、光ファイバケーブルアセンブリ20Cが、ヒートパイプ12Dを含む他のヒートパイプ12の外面36上を延びることを示す。光ファイバケーブルアセンブリ20Cもまた、他のすべての光ファイバケーブルアセンブリ20と同様に、ヒートパイプ12の外面36上を螺旋状に延びる。
【0026】
一般的に、各光ファイバケーブルアセンブリ20は、その長手方向の200箇所で反射して戻る、温度を表す信号を提供することができる。したがって、このことから、各光ファイバケーブルアセンブリ20は、200個のそれぞれ独立した温度値を返信できる単一の光データチャネルを構成することがわかる。一例として、各ヒートパイプ12の長手方向における5箇所の温度を検出することが望ましい場合を考える。ヒートパイプアセンブリ4が、例えば3000本のヒートパイプ12を含む場合、各ヒートパイプ12に沿う5箇所で温度を検出すると、温度測定点は15,000個である。上述の15,000点の温度検出を15,000個の温度センサで別々に行うとすれば、ヒートパイプ12とデータ収集装置との間に15,000本の同軸ケーブルまたは他の有線のデータ接続が必要になるであろう。そのような配線を通すには大きな領域が必要であり、配線および温度センサが夥しい数存在するという理由だけでも、信頼性に疑問が生じる可能性が高い。
【0027】
しかしながら、単一の光ファイバケーブルアセンブリ20が200個のデータ値(すなわち、1つまたは複数のヒートパイプ12に沿う200箇所の各々につき1つのデータ値)を返信できるので、わずか75個の光ファイバケーブルアセンブリ20を用いるだけで、総計15,000の温度データ値が得られることになる。光学的温度検出に必要なデータチャネル数は個別の電子的温度センサを用いる場合のわずか200分の1なので、15,000本の電子データチャネルの代わりに75本の光データチャネルを使用すればよいということで、ヒートパイプ12に沿う温度検出がはるかに実用的なものとなる。このことは、スペースと費用の節約ならびに信頼性の向上につながり、非常に有利である。
【0028】
図5からわかるように、光ファイバケーブルアセンブリ20の各々は管体48であり、内部領域56に光ファイバケーブル52を収納するシースを構成すると言える。管体48自体は、ヒートパイプ12の外面36上に配設可能である。管体48は、光ファイバケーブル52を損傷から保護するとともに、光ファイバケーブル52とヒートパイプ12との間のしっかりした物理的接続を可能にするため、光ファイバケーブル52への熱伝達が増加し、ひいては温度測定の精度が向上する。
【0029】
図4からわかるように、処理システム22は、光ファイバケーブルアセンブリ20に入力される光信号34を生成する光信号生成器24を含む。開示を簡明にするため、図4には単一の光ファイバケーブルアセンブリ20を示してある。検出可能な多数の光反射信号が光ファイバケーブルアセンブリ20に沿って搬送されるが、そのような光反射信号38を検出するのは、入力される信号測定装置26のセンサアレイ28である。信号測定装置26は、検出された光反射信号38の振幅および他の特性を測定し、また、光信号34の生成と様々な光反射信号38の検出との間の遅延時間を測定する。次いで、信号測定装置26が発生する出力42は、計測/制御システム32が検出して、ヒートパイプ12に沿う様々な場所における多数の温度値に変換する。この点に関して、計測/制御システムは、例えば、ヒートパイプ12上の光ファイバケーブルアセンブリ20の分布モデル、ならびに計測/制御システム32からの様々な温度信号出力46の生成に使用できる他のデータを含む様々なデータ76を有する。
【0030】
温度信号46は、原子力装置8の反応度を調節するための制御ドラムを制御するドラム制御システム84に送られる。温度データ80は、原子力装置8の高温設定値に関する様々なデータが保存されている比較器88にも送信される。比較器88は、様々なルーチンを使用して原子力装置8の運転停止動作を開始すべきか否かを決定することができるコンピュータベースのトリップ決定マトリクス92への別の出力を発生させる。
【0031】
したがって、光ファイバケーブルアセンブリ20と処理システム22によって提供される光データチャネルを使用すると、数を最小限に抑えたデータチャネルによってヒートパイプ12に沿う様々な場所の温度を検出できることがわかる。これが可能なのは、各光ファイバケーブルアセンブリ20が1つの信号データチャネルで200個の温度信号を生成できるからである。他の恩恵も自明である。
【0032】
本発明の特定の実施態様について詳しく説明してきたが、当業者は、本開示書全体の教示するところに照らして、これら詳述した実施態様に対する種々の変更および代替への展開が可能である。したがって、ここに開示した特定の実施態様は説明目的だけのものであり、本発明の範囲を何ら制約せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に記載の全範囲およびその全ての均等物を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5