(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定すること
(51)【国際特許分類】
G02B 7/36 20210101AFI20220704BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20220704BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20220704BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
G02B7/36
G03B13/36
G02B7/28 N
H04N5/232 120
H04N5/232 290
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021026928
(22)【出願日】2021-02-24
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2020-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208205
【氏名又は名称】アクシス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イェップソン, ヨーアン
(72)【発明者】
【氏名】ベンデリウス, ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】スヴェンソン, ニクラス
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン, フリチョフ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン, ヨナス
(72)【発明者】
【氏名】リンドグレン, ステファン
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3054668(EP,A1)
【文献】特開2019-216365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/36
G03B 13/36
G02B 7/28
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオカメラ(100)が焦点はずれであるかどうかを判定するための方法であって、
前記ビデオカメラの画像センサ(102)によって、画像データ(113)を取り込む(S1002)こと、
および
フィルター関数(104)のフィルターの設定に基づいて焦点設定差閾値(129)を設定する(S1004)こと
を含み、
ここにおける前記フィルター関数は、前記画像データをビデオストリーム(119)に変換する
プロセス中に前記画像データをフィルタリング
して、前記画像データからの冗長なまたは余分と見なされる情報
を除去
するように構成されるものであり、
ここにおける前記焦点設定差閾値は、異なる焦点設定によって取り込まれ
た共通画像データに前記フィルター関数を適用することによって前記ビデオストリームを形成する
と、実質的に並みのビデオストリーム画像データ
が得られるように設定さ
れ、
前記方法はさらに、
前記画像データを取り込む間、前記ビデオカメラの焦点設定(123)を現在の焦点設定(125)と変更された焦点設定(127)との間で調整する(S1006)ことであって、それにより、前記現在の焦点設定に前記ビデオカメラが設定された状態で前記画像データの第1のサブセット(115)が取り込まれ、前記変更された焦点設定に前記ビデオカメラが設定された状態で前記画像データの第2のサブセット(117)が取り込まれ、調整することは、前記現在の焦点設定と前記変更された焦点設定との間の差が前記焦点設定差閾値を下回るように実施される、調整する(S1006)こと、
前記画像データに前記フィルター関数を適用することによって前記ビデオストリームを形成する(S1008)こと、
前記画像データの前記第1のサブセットの第1の焦点メトリック(135)および前記画像データの前記第2のサブセットの第2の焦点メトリック(137)を決定する(S1010)ことであって、前記第1の焦点メトリックおよび前記第2の焦点メトリックは、前記画像データに前記フィルター関数を適用する前
の前記画像データに関して決定される、決定する(S1010)こと、および、
前記第1の焦点メトリックと前記第2の焦点メトリックを比較することによって、前記ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定する(S1012)こと
を含む、方法。
【請求項2】
前記フィルター関数はノイズ低減関数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フィルター関数はエンコーディング関数を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記焦点設定は、前記ビデオカメラの前記画像センサと集束レンズとの間の相対位置を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記焦点設定は、レンズ焦点距離、レンズ焦点深度、およびレンズ曲率半径のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像データの前記第1のサブセットの前記第1の焦点メトリックおよび前記画像データの前記第2のサブセットの前記第2の焦点メトリックは画像鮮鋭度メトリックを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像データの前記第1のサブセットの前記第1の焦点メトリックおよび前記画像データの前記第2のサブセットの前記第2の焦点メトリックは画像コントラストメトリックを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記画像データの前記第1のサブセットの前記第1の焦点メトリックおよび/または前記画像データの前記第2のサブセットの前記第2の焦点メトリックに関連する統計情報を決定することをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されると、請求項1から8のいずれか一項の方法を前記コンピュータに実施させる、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
ビデオカメラ(100)であって、
画像データ(113)を取り込むように構成される画像センサ(102)と、
制御回路要素(103)とを備え
、
前記制御回路要素(103)は、フィルター関数(104)のフィルターの設定に基づいて焦点設定差閾値(129)を設定するように構成され、
ここにおける前記フィルター関数は、前記画像データをビデオストリーム(119)に変換する
プロセス中に前記画像データをフィルタリング
して、前記画像データからの冗長なまたは余分と見なされる情報
を除去
するように構成されるものであり、
ここにおける前記焦点設定差閾値は、異なる焦点設定によって取り込まれ
た共通画像データに前記フィルター関数を適用することによって前記ビデオストリームを形成する
と、実質的に並みのビデオストリーム画像データ
が得られるように設定され、
前記制御回路要素(103)はさらに、前記画像データを取り込む間、前記ビデオカメラの焦点設定(123)を現在の焦点設定(125)と変更された焦点設定(127)との間で調整するように構成され、それにより、前記現在の焦点設定に前記ビデオカメラが設定された状態で前記画像データの第1のサブセット(115)が取り込まれ、前記変更された焦点設定に前記ビデオカメラが設定された状態で前記画像データの第2のサブセット(117)が取り込まれ、調整することは、前記現在の焦点設定と前記変更された焦点設定との間の差が前記焦点設定差閾値を下回るように実施され、
前記制御回路要素(103)はさらに、前記画像データに前記フィルター関数を適用することによって前記ビデオストリームを形成するように構成され、
前記制御回路要素(103)はさらに、前記画像データの前記第1のサブセットの第1の焦点メトリック(135)および前記画像データの前記第2のサブセットの第2の焦点メトリック(137)を決定するように構成され、前記第1の焦点メトリックおよび前記第2の焦点メトリックは、前記画像データに前記フィルター関数を適用する前
の前記画像データに関して決定され、
前記制御回路要素(103)はさらに、前記第1の焦点メトリックと前記第2の焦点メトリックを比較することによって、前記ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定するように構成される、ビデオカメラ。
【請求項11】
前記フィルター関数はノイズ低減関数を含む、請求項10に記載のビデオカメラ。
【請求項12】
前記フィルター関数はエンコーディング関数を含む、請求項10または11に記載のビデオカメラ。
【請求項13】
前記焦点設定は、前記ビデオカメラの前記画像センサと集束レンズとの間の相対位置を含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のビデオカメラ。
【請求項14】
前記焦点設定は、レンズ焦点距離、レンズ焦点深度、およびレンズ曲率半径のうちの1つまたは複数を含む、請求項10から13のいずれか一項に記載のビデオカメラ。
【請求項15】
前記画像データの前記第1のサブセットの前記第1の焦点メトリックおよび前記画像データの前記第2のサブセットの前記第2の焦点メトリックは画像鮮鋭度メトリックを含む、請求項10から14のいずれか一項に記載のビデオカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定するための方法およびそのような方法を実施するように構成されるビデオカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
画像を先鋭に保ち、シーン詳細の考えられる最良の取り込みを保証するために、ビデオカメラは、カメラが焦点はずれOOF(out-of-focus)であるかどうかを判定する或る種のチェックをしばしば特徴とする。時として、この機能は、その焦点設定を自動的に調節するためにカメラの焦点情報を適用するように構成される、カメラの自動焦点機能AF(autofocus function)に関連する。連続AFを有するカメラの場合、OOF判定は、典型的には、時々、カメラが、依然として合焦状態である(in focus)ことを検証するために、ヒルクライミング(hill climbing)としても知られる、いわゆるヒルチェッキング(hill ckecking)を実施することを含むとすることができる。ヒルチェッキングは、カメラ焦点設定の前後への変更、および、例えば画像鮮鋭度の観点からの、結果として得られる画像の解析を伴うことができる。このプロセスは、さらなる反復によって鮮鋭度をもはや上げることができなくなるまで、すなわち、ヒルの頂上に達するまで、反復して繰り返すことができる。ヒルはガウス曲線に似ているとすることができる。理想的には、ヒルチェッキングは、カメラがOOFであるかどうかに関する連続フィードバックを可能にするためにほぼ連続して実施されるべきである。しかしながら、ヒルチェッキングは、概して、焦点設定の前後への変更により画像の詳細を劣化させる。この効果は、取り込まれる画像を観察する誰かにとって視覚的にやっかいなものとして知覚される場合がある。その効果は、画像を歪ませ、したがって、画像に含まれる微細な詳細を意図せずに破壊する場合もある。したがって、本技術分野内の改善についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、上記問題の一部を少なくとも軽減することである。
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定するための方法が提供され、方法は、
ビデオカメラの画像センサによって、画像データを取り込むこと、
フィルター関数のフィルター設定に基づいて焦点設定差閾値を設定することであって、フィルター関数は、画像データをビデオストリームに変換することの一部として、画像データをフィルタリングするように構成される、設定すること、
画像データを取り込む間、ビデオカメラの焦点設定を現在の焦点設定と変更された焦点設定との間で調整することであって、それにより、現在の焦点設定にビデオカメラが設定された状態で画像データの第1のサブセットが取り込まれ、変更された焦点設定にビデオカメラが設定された状態で画像データの第2のサブセットが取り込まれ、調整することは、現在の焦点設定と変更された焦点設定との間の差が焦点設定差閾値を下回るように実施される、調整すること、
画像データにフィルター関数を適用することによってビデオストリームを形成すること、
画像データの第1のサブセットの第1の焦点メトリックおよび画像データの第2のサブセットの第2の焦点メトリックを決定することであって、第1の焦点メトリックおよび第2の焦点メトリックは、画像データにフィルター関数を適用する前に、画像データに関して決定される、決定すること、および、
第1の焦点メトリックと第2の焦点メトリックを比較することによって、ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定することを含む。
【0005】
用語、画像データは、デジタル画像に関与するまたは関連するデータを指す。画像データは、デジタル画像のグラフィカル表現または任意の他のタイプの表面を指すことができる。
【0006】
用語、焦点設定は、カメラ焦点に関与するまたは関連するカメラの任意の設定を指す。焦点設定の1つの例は、カメラ光学部品と画像センサとの間の距離であるとすることができる。さらなる例は本開示内で探求されるであろう。
【0007】
用語、フィルター関数は、ビデオストリームを形成するプロセス中に、画像データからの冗長なまたは余分と見なされる情報を除去する任意の関数として理解することができる。フィルター関数は、画像データを圧縮するように設計されたビデオエンコーディングステップとして、または代替的に、ノイズフィルタリングステップなどの画像をフィルタリングするよりアクティブなステップとして理解することができる。種々のビデオエンコーディング法およびノイズフィルタリングステップが、当業者に利用可能である。
【0008】
用語、焦点メトリックは、特定のセットアップにおけるカメラの焦点のレベルを示す任意の手段を指す。焦点メトリックは、例えば、画像データ鮮鋭度に関連する数値表現であるとすることができ、より高い値は、画像データがより高い鮮鋭度を有することを示す。
【0009】
OOF判定が、画像内の継続的な歪を生成することなく実施することができることを、本発明者等は認識した。これは、焦点設定を十分になだらかに変更することによって、すなわち、現在の焦点設定と変更された焦点設定との間で焦点設定差閾値に適合して達成される。異なる焦点設定によって取り込まれる画像データの変化は、カメラの焦点メトリックを変更することに関する情報を依然として提供することができる。同時に、画像データの変化は、ビデオストリームを形成するときのステップとしていずれにしても適用されなければならない場合があるフィルター関数が、焦点設定を変更することによる画像データのいずれの変化も、画像データにフィルター関数を適用することによって形成されるビデオストリームにおいて見えなくすることになるほどに十分に小さいとすることができる。
【0010】
方法は、画像データの第1のサブセットの第1の焦点メトリックおよび/または画像データの第2のサブセットの第2の焦点メトリックに関連する統計情報を決定することをさらに含むことができる。
【0011】
用語、統計情報は、異なる焦点設定によって取り込まれる画像データについての焦点メトリックの統計解析、例えば、平均によって確立される情報を指すことができる。
【0012】
したがって、より完全でかつ信頼性のある情報を、異なる画像データおよび焦点設定に関して取得することができる。次に、これは、OOF判定の信頼性を改善することもできる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体が提供され、命令は、コンピュータによって実行されると、第1の態様の方法をコンピュータに実施させる。
【0014】
第1の態様の方法を実行することを意図される非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、したがって、第1の態様と同様の利点を提供することができる。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、ビデオカメラが提供され、ビデオカメラは、
画像データを取り込むように構成される画像センサと、
制御回路要素(circuitry)とを備え、制御回路要素は、
フィルター関数のフィルター設定に基づいて焦点設定差閾値を設定するように構成され、フィルター関数は、画像データをビデオストリームに変換することの一部として、画像データをフィルタリングするように構成され、
画像データを取り込む間、ビデオカメラの焦点設定を現在の焦点設定と変更された焦点設定との間で調整するように構成され、それにより、現在の焦点設定にビデオカメラが設定された状態で画像データの第1のサブセットが取り込まれ、変更された焦点設定にビデオカメラが設定された状態で画像データの第2のサブセットが取り込まれ、調整することは、現在の焦点設定と変更された焦点設定との間の差が焦点設定差閾値を下回るように実施され、
画像データにフィルター関数を適用することによってビデオストリームを形成するように構成され、
画像データの第1のサブセットの第1の焦点メトリックおよび画像データの第2のサブセットの第2の焦点メトリックを決定するように構成され、第1および第2の焦点メトリックは、画像データにフィルター関数を適用する前に、画像データに関して決定され、
第1および第2の焦点メトリックを比較することによって、ビデオカメラが焦点はずれであるかどうかを判定するように構成される。
【0016】
ビデオカメラは、第1の態様の方法を実施するように構成されるビデオカメラとして理解することができる。ビデオカメラは、第1の態様の利点および第2の態様の利点と同様の利点を提供することができる。
【0017】
焦点設定差閾値は、異なる焦点設定によって取り込まれる共通画像データにフィルター関数を適用することによってビデオストリームを形成するステップが、実質的に並みの(indifferent)ビデオストリーム画像データをもたらすように設定することができる。
【0018】
異なる焦点設定は、本文脈において、現在の焦点設定および変更された焦点設定として理解されるべきである。
【0019】
本質的に、焦点設定差閾値は、画像データが現在の焦点設定によって取り込まれるか、変更された焦点設定によって取り込まれるかによらず、予想出力ビデオストリームが同じに見えるようにセットアップすることができる。
【0020】
フィルター関数はノイズ低減関数およびエンコーディング関数の一方または両方を含むことができる。
【0021】
ノイズ低減関数、例えば、ノイズフィルターの利点は、本発明を実装することに対して、より予測可能でかつモジュール式の手法を含む。エンコーディング関数は、エンコードされたビデオストリームを形成するために、そのような関数がいずれにしても含まれる必要がある場合があるため、有利であるとすることができる。
【0022】
焦点設定は、ビデオカメラの画像センサと集束レンズとの間の相対位置を含むことができる。
【0023】
そのような焦点設定は、集束レンズおよび画像センサの機械式の一方または両方によって現在の焦点設定と変更された焦点設定との間で容易に調整することができる。
【0024】
焦点設定は、レンズ焦点距離、レンズ焦点深度、およびレンズ曲率半径のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0025】
概して、用語、レンズまたは集束レンズは、画像データを取り込むために、画像センサ上に光子を集束させるように配置され構成される、任意の光学コンポーネントまたは光学コンポーネントのシステムを指すことができる。
【0026】
画像データの第1のサブセットの第1の焦点メトリックおよび画像データの第2のサブセットの第2の焦点メトリックは画像鮮鋭度メトリックを含むことができる。
【0027】
画像先鋭度メトリックは、代替的に、アキュータンスメトリック(acutance metric)として理解することができる。アキュータンスメトリックは、どれほど鮮鋭なエッジコントラストが画像において知覚されるかに関連するとすることができる。
【0028】
画像データの第1のサブセットの第1の焦点メトリックおよび画像データの第2のサブセットの第2の焦点メトリックは画像コントラストメトリックを含むことができる。
【0029】
画像コントラストメトリックは、画像内の空間的色差に関連するとすることができる。概して、鮮鋭でかつ高コントラストな画像データは、高周波数ピクセル情報を特徴とするものと理解することができる。そのような高周波数情報は、画像内の隣接ピクセル間の突然でかつ大きい変化から生じる。
【0030】
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以下で与える詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の例が、本発明の好ましい実施形態を示しながら、例証としてのみ与えられ、なぜならば、本発明の範囲内の種々の変更および修正が、詳細な説明から当業者に明らかになるからであることが理解されるべきである。
【0031】
したがって、本発明が、述べるデバイスの特定のコンポーネント部品または述べる方法の特定の動作に限定されず、なぜならば、そのようなデバイスおよび方法が変動する場合があるからであることが理解される。本明細書で使用される用語が特定の実施形態を述べるためのものに過ぎず、制限的であることを意図されないことも理解される。
【0032】
本明細書および添付特許請求の範囲で使用するとき、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、および「前記(said)」が、別段に文脈が明確に指示しない限り、要素の1つまたは複数が存在することを意味することを意図されることが留意されなければならない。そのため、例えば、「1つのユニット(a unit)」または「そのユニット(the unit)」に対する言及は、幾つかのデバイスおよび同様なものを含むことができる。さらに、語「備えている(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含んでいる(containing)」、および同様な語は、他の要素またはステップを排除しない。
【0033】
本発明の上記のおよび他の態様は、以下において、添付図を参照してより詳細に述べられる。図は、制限的であると考えられるべきでない;代わりに、図は、説明し理解するために考えられるべきである。
【0034】
図に示すように、層および領域のサイズは、例証のために誇張することができ、したがって、全体的な構造を示すために提供される。同様の参照符号は全体と通して同様の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】カメラが焦点はずれであるかどうかを判定する方法を概略的に示す図である。
【
図2】カメラが焦点はずれであるかどうかを判定する方法についてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、ここで、現在のところ好ましい本発明の実施形態が示される添付図面を参照して以降でより完全に述べられるであろう。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書で述べる実施形態に限定されるものと解釈されるべきでない;むしろ、これらの実施形態は、徹底さおよび完全さ(thoroughness and completeness)のために、また、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるために提供される。
【0037】
図1は、カメラが焦点はずれであるかどうかを判定する方法を概略的に示し、一方、
図2は、同じ方法のフローチャートを示す。方法は、以下のステップ/動作を含む。ステップ/動作は、任意の適切な順序で実施することができる。
【0038】
ビデオカメラ100の画像センサ102によって画像データ113を取り込むS1002。フィルター関数104のフィルターの設定に基づいて焦点設定差閾値129を設定することS1004であって、フィルター関数104は、画像データ113をビデオストリーム119に変換することの一部として、画像データ113をフィルタリングするように構成される、設定するS1004。画像データ113を取り込む間、ビデオカメラの焦点設定123を現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間で調整するS1006。ビデオカメラの焦点設定123を現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間で調整することS1006は、現在の焦点設定125にビデオカメラ100が設定された状態で画像データ113の第1のサブセット115が取り込まれ、変更された焦点設定127にビデオカメラ100が設定された状態で画像データ113の第2のサブセット117が取り込まれるように実施される。さらに、調整することS1006は、現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間の差が焦点設定差閾値129を下回るように実施される。画像データ113にフィルター関数104を適用することによってビデオストリーム119を形成するS1008。画像データ113の第1のサブセット115の第1の焦点メトリック135および画像データ113の第2のサブセット117の第2の焦点メトリック137を決定するS1010。第1および第2の焦点メトリック135、137は、画像データ113にフィルター関数104を適用する前に、画像データ113に関して決定されるS1010。第1および第2の焦点メトリック135、137を比較することによって、ビデオカメラ100が焦点はずれであるかどうかを判定するS1012。
【0039】
画像データ113を取り込むS1002ステップは、連続して実施することができ、したがって、画像データ113の連続した途切れのないストリームを形成する。
【0040】
画像データ113は、デジタル画像形式である、あるいは、1つまたは複数の画像を表すピクセル色値のアレイまたはリストであるとすることができる。画像データ113は、未処理ビデオストリームの一部である1つの画像フレームまたは複数の画像フレームに対応することができる。画像データ113の第1のサブセット115および第2のサブセット117への細分は、画像データ113のその特定の部分の取り込み中に、現在の焦点設定125がアクティブであったか、変更された焦点設定127がアクティブであったかに基づくとすることができる。画像データ113の第1のサブセット115は画像フレームの第1のサブセットに対応することができる。画像データ113の第2のサブセット117は画像フレームの第2のサブセットに対応することができる。画像データ113の第1のサブセット115および画像データ113の第2のサブセット117は経時的に交互配置された(chronologically interleaved)画像フレームに対応することができる。
【0041】
焦点設定123は、それを表す数値に関連するとすることができる。同じことは、現在の焦点設定125、変更された焦点設定127、および焦点設定差閾値129について当てはまる。現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間の差が焦点設定差閾値129を下回ることを維持することは、焦点設定差閾値129を表す数値より小さい、焦点設定125、127の数値の間の差を有するものと理解することができる。
【0042】
焦点設定差閾値129を設定するS1004ステップは、どのタイプのフィルター関数104が使用されるか、および、どのフィルター設定を上記フィルター関数104が特徴とするかを決定すること、および、この情報を焦点設定差閾値129の数値表現に変換することを含むことができる。
【0043】
ビデオカメラ100の焦点設定123を現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間で調整するS1006ステップは、現在の焦点設定125が、或る数の画像について使用され、それに続いて、変更された焦点設定127を使用してビデオカメラ100によって或る数の画像が取り込まれる時間ステップ関数(temporal step function)として理解することができる。
【0044】
画像データ113の第1および第2のサブセット115、117のそれぞれは、時間的に直ちに連続する画像を含むことができる。サブセット115、117は、時間的に直ちに連続しない画像、すなわち、他の画像によって時間的に分離された画像を含むこともできる。
【0045】
画像データ113にフィルター関数104を適用することによってビデオストリーム119を形成するステップは、連続して実施することができる。画像データ113の第1および第2のサブセット115、117は、フィルター関数を適用しビデオストリーム119を形成する前に、それらの元の時間的順序に応じて共にスティッチング(stitch)することができる。
【0046】
図2に示すように、焦点メトリック135、137を決定するS1010ステップは、ビデオストリーム119を形成するS1008ステップにおいてフィルタリング関数104を適用する前に画像データ113のサブセット115、117に対して実施することができる。これは、決定することS1010が、時間的に、形成するS1008ステップの前に実施されるものと理解することができる。それは、決定することS1010が、時間的に、形成するS1008ステップの後に実施される場合でも、形成するS1008ステップに対する別個のステップとして、決定することS1010が画像データのサブセット115、117に対して実施されるものと理解することもできる。実際には、画像データ113のサブセット115、117は、画像データ113が取り込まれたときにビデオカメラ100がOOFであったかどうかを判定するためにずっと後まで記憶することができる。ビデオストリーム119を形成するS1008ことは、連続してかつ決定するS1010、S1012ステップと独立に進行することができる。
【0047】
焦点メトリック135、137は、ビデオカメラ100の焦点のレベルを表す数値として理解することができる。これらは、画像データ113のそれぞれのサブセット115、117の空間周波数画像コンテントに関連するとすることができる。概して、高空間周波数画像コンテントは、画像内の隣接ピクセル間の突然のおよび/または大きい変化に関連する。高空間周波数画像コンテントは、低空間周波数画像コンテントと比較してより高い焦点レベルに関連するとすることができる。画像コンテントの空間周波数は、種々の異なる因子によって影響を受ける場合があり、ビデオカメラ100の焦点設定123はこれらの因子のうちの1つの因子である。
【0048】
焦点メトリック135、137は、例えば、エッジ検出アルゴリズムによって決定することができる。焦点メトリック135、137は、画像データ113の空間的変動を解析することによって決定することができる。
【0049】
焦点メトリック135、137を比較することによってビデオカメラ100がOOFであるかどうかを判定するS1012ステップは、焦点メトリック135、137の数値表現を比較することを含むことができる。比較は、焦点メトリック135、137の間の絶対差、または、焦点メトリック135、137の間のパーセンテージ/分数差を決定することを含むことができる。ビデオカメラ100は、比較が、所定の閾値より小さい差を返す、すなわち、焦点メトリック135、137が共に、焦点メトリックヒルの頂上の近くにあることを示す場合、合焦状態であると判定することができる。
【0050】
代替的に、判定することS1012は、画像データ113のサブセット115、117について最大値の焦点メトリック135、137を生成する焦点設定125、127を比較することを単に含むことができる。例えば、現在の焦点設定125が、変更された焦点設定127によって生成される焦点メトリック137より小さい焦点メトリック135を生成する場合、ビデオカメラ100は、OOFであると判定することができる。このため、例えば、現在の焦点設定125から両方向に焦点設定を調整して、さらなる焦点メトリックをチェックすることが有利である場合がある。
【0051】
焦点設定差閾値129は、異なる焦点設定123によって取り込まれる共通画像データにフィルター関数104を適用することによってビデオストリーム119を形成するS1008ステップが、実質的に並みのビデオストリーム画像データをもたらすように設定することができる。
【0052】
フィルター関数104は、ノイズ低減関数およびノイズエンコーディング関数の一方または両方を含むことができる。
【0053】
フィルター関数104は時間的ノイズフィルタリング関数(TNF:temporal noise filtering function)を含むことができる。フィルター関数104は空間フィルタリング関数を含むことができる。フィルター関数104は、ビデオストリーム119を記憶し送信するためのメモリおよび帯域幅要件を低減することを意図される圧縮関数を含むことができる。
【0054】
焦点設定差閾値129は、フィルター関数104のフィルター強度に基づくとすることができる。これは、例えば、フィルターカットオフ周波数として理解することができる。焦点設定差閾値129は、エンコーディング関数または圧縮関数であるフィルター関数104の量子化パラメータQP(quantization parameter)に基づくとすることができる。
【0055】
焦点設定123は、ビデオカメラ100の画像センサ102と集束レンズ101との間の相対位置を含むことができる。この場合、焦点設定差閾値129は、現在の焦点設定125にビデオカメラ100が設定されるときの集束レンズ101と画像センサ102との間の距離と、変更された焦点設定127にビデオカメラ100が設定されるときの対応する距離の差として理解することができる。焦点設定差閾値129は、最大光学部品シフト距離として理解することができる。
【0056】
焦点設定123は、レンズ焦点距離、レンズ焦点深度、およびレンズ曲率半径のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0057】
レンズ焦点距離は、集束レンズ101からその焦点までの距離であるとすることができる。レンズ焦点深度は、ピント(focus)が許容可能であると判定される集束レンズ101の焦点の周りの範囲であるとすることができる。レンズ曲率半径は、レンズの湾曲を延長することによって作成される楕円体または回転楕円体の半径であるとすることができる。半径は、湾曲の表面と楕円体または回転楕円体の中心との間の距離であるとすることができる。半径は、凸レンズの場合、正であり、凹レンズの場合、負でるとすることができる。
【0058】
ビデオカメラ100は、焦点設定123を調整するための種々の手段を特徴とすることができる。焦点設定123を調整するためのビデオカメラ100手段は、ビデオカメラ100の自動焦点機能またはOOF補正機能に関連するとすることができる。
【0059】
焦点設定123を調整するための手段は、代替的に、方法が実施されることを可能にするのに十分に広い範囲内で焦点設定123を調整するために主として適切であるように構成することができる。実際には、これは、焦点設定123を調整するための手段が、ビデオカメラ100がOOFであると判定された場合に、焦点設定123を実際に補正するのに十分でない場合があることを意味することができる。したがって、方法は、ビデオカメラ100がOOFであるかどうかを判定するための方法であると考えることができる。したがって、方法は、焦点設定調整手段を実質的に欠く、複雑でないカメラシステムに適用可能であるとすることができる。これは、通常動作条件下で焦点設定調整を概して全く必要としない、実質的に静的なシーンを取り込むことを意図されるカメラについて当てはまる場合がある。
【0060】
焦点設定123は、ビデオカメラ100の光学経路において、光学部品、例えばレンズを、物理的に付加する、取り外す、または置き換えることによって調整することができる。光学部品は、ガラスベース光学部品またはポリマーベース光学部品として理解することができる。
【0061】
焦点設定123は、一部の場合、実質的に固定であるとすることができる。そのようなカメラの場合、カメラがOOFであるかどうかを判定する必要性が、カメラが結局OOFであることになることをもたらす物理的効果のせいで、必要とされる場合がある。そのような物理的効果は、カメラ光学部品の振動および変形などの機械的効果、カメラ光学部品の膨張および収縮などの熱効果、または、カメラ光学部品の表面上への埃および粒子集結などの汚染効果を含むとすることができる。
【0062】
画像データ113の第1のサブセット115の第1の焦点メトリック135および画像データ113の第2のサブセット117の第2の焦点メトリック137は画像鮮鋭度メトリックを含むことができる。
【0063】
画像データ113の第1のサブセット115の第1の焦点メトリック135および画像データ113の第2のサブセット117の第2の焦点メトリック137は画像コントラストメトリックを含むことができる。
【0064】
方法は、画像データ113の第1のサブセット115の第1の焦点メトリック135および/または画像データ113の第2のサブセット117の第2の焦点メトリック137に関連する統計情報を決定することをさらに含むことができる。決定された焦点メトリック135、137を平均することができる。それぞれの焦点メトリック135、137についての平均値は、そのような場合、比較することができる。焦点メトリック135、137の中央値を採取することもでき、そのような場合、中央値を比較することができる。
【0065】
方法は、コンピュータまたは他の処理デバイスによって実装することができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は命令を含み、命令は、コンピュータによって実行されると、方法をコンピュータに実施させることができる。コンピュータまたは他の処理デバイスならびに非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、ビデオカメラ100と通信可能にまたは物理的に一体化することができる。
【0066】
図1に示すように、ビデオカメラ100は画像センサ102および制御回路要素103を備えることができる。画像センサ102は画像データ113を取り込むS1002ように構成される。
【0067】
制御回路要素103は、フィルター関数104のフィルター設定に基づいて焦点設定差閾値129を設定するS1004ように構成され、フィルター関数104は、画像データ113をビデオストリーム119に変換することの一部として、画像データ113をフィルタリングするように構成される。
【0068】
制御回路要素103は、ビデオカメラ100の焦点設定123を現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間で調整するS1006ようにさらに構成される。調整することS1006は、画像データ113を取り込む間に実施することができる。ビデオカメラ100の焦点設定123を現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間で調整することS1006は、現在の焦点設定125にビデオカメラ100が設定された状態で画像データ113の第1のサブセット115が取り込まれ、変更された焦点設定127にビデオカメラ100が設定された状態で画像データ113の第2のサブセット117が取り込まれるように行うことができる。さらに、調整することS1006は、現在の焦点設定125と変更された焦点設定127との間の差が焦点設定差閾値129を下回るように実施することができる。
【0069】
制御回路要素103は、画像データ113にフィルター関数104を適用することによってビデオストリーム119を形成するS1008ようにさらに構成さる。
【0070】
制御回路要素103は、画像データ113の第1のサブセット115の第1の焦点メトリック135および画像データ113の第2のサブセット117の第2の焦点メトリック137を決定するS1010ようにさらに構成される。第1および第2の焦点メトリック135、137は、画像データ113にフィルター関数104を適用する前に、画像データ113に関して決定することができる。
【0071】
制御回路要素103は、ビデオカメラ100が焦点はずれであるかどうかを判定するS1012ようにさらに構成される。これは、第1および第2の焦点メトリック135、137を比較することによって行うことができる。
【0072】
制御回路要素103は、ハードウェア、すなわち処理デバイスとして、ソフトウェア、すなわちコンピュータ命令で、またはその組み合わせで実装することができる。
【0073】
ビデオカメラ100はモニタリングカメラであるとすることができる。ビデオカメラ100は、画像フレームごとに画像データ113を連続して取り込むS1002ことができる。画像データ113はシーンを示すことができる。ビデオカメラ100によって取り込まれるシーンは主に静的なシーンを示すことができる。主に静的によって、ビデオカメラ100が、シーン内でのカメラの移動またはオブジェクトの移動に関連する、シーン内での実質的な動きを対象としないとすることができることが理解されるべきである。通常条件下で、そのようなシーンに関連する画像データ113内のピクセルの少数のみが画像間で変化することになる。そのようなシーンの例は、駐車場、交通ジャンクション、工業作業場などのような屋外環境を含む。シーンのさらなる例は、部屋、廊下、工場ホール、倉庫などのような屋内環境を含む。
【0074】
ビデオカメラ100は、可視光カメラであるとすることができる、すなわち、主に、380nmと740nmとの間の波長範囲内の光子を取り込む。ビデオカメラ100は、赤外カメラであるとすることができる、すなわち、700nmと1mmとの間の範囲のどこかの波長範囲内の光子を取り込む。画像センサ102は、異なる光子波長範囲のために構成することができる。画像センサ102は、入力光子信号を出力電気信号に変換する半導体デバイスを備えることができる。画像センサ102は電荷結合素子CCD(charge-coupled device)であるとすることができる。画像センサ102は、相補的金属酸化物半導体CMOS(complementary metal-oxide-semiconductor)に基づくアクティブピクセルセンサであるとすることができる。画像センサ102はPINダイオードを備えることができる。画像センサ102はフォトダイオードを備えることができる。フォトダイオードはピン留め(pinned)であるとすることができる。
【0075】
ビデオカメラ100は集束レンズ101を備えることができる。集束レンズ101は、画像センサ102上に光子を集束させるように構成される単一光学レンズまたは光学システムを備えることができる。集束レンズ101は凹レンズを備えることができる。集束レンズ101は凹レンズを備えることができる。さらに、図面、本開示、および添付特許請求の範囲の調査によって、開示する実施形態に対する変形を、特許請求される本発明を実施するときに当業者が理解し実施することができる。