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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】旋転作業台
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/10 20060101AFI20220704BHJP
   F16D 55/40 20060101ALI20220704BHJP
   F16D 55/06 20060101ALI20220704BHJP
   B23Q 5/54 20060101ALI20220704BHJP
   B23Q 1/28 20060101ALI20220704BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20220704BHJP
   B23Q 16/10 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
F16D55/10 A
F16D55/40 A
F16D55/06 A
B23Q5/54 A
B23Q1/28 C
B23Q1/52
B23Q16/10 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021081662
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022076984
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】109139153
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】596016557
【氏名又は名称】上銀科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】卓文恒
(72)【発明者】
【氏名】張耀仁
(72)【発明者】
【氏名】張宇榮
(72)【発明者】
【氏名】李俊霖
(72)【発明者】
【氏名】黄立文
【審査官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特許第4732734(JP,B2)
【文献】特開平07-243459(JP,A)
【文献】実公平02-007298(JP,Y2)
【文献】特公昭61-053565(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 55/10
F16D 55/40
F16D 55/06
B23Q 5/54
B23Q 1/28
B23Q 1/52
B23Q 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機台、回転軸、作業ディスクおよび推力式制動装置を備え、
前記推力式制動装置は、
環状ケース、ブレーキディスク、制動ピストン、解除ピストンおよび複数の制動ユニットを備え、
前記ブレーキディスクは、制動位置と解除位置との間を移動可能に前記環状ケースの中に配置され、第一表面と、前記第一表面に背を向けた第二表面とを有し、
前記制動ピストンは、前記ブレーキディスクの前記第一表面に当接するように前記環状ケースの中に配置され、第一流体の作用によって前記ブレーキディスクに第一軸方向推力を生じ、
前記解除ピストンは、前記ブレーキディスクの前記第二表面の近くに位置するように前記環状ケースの中に配置され、第二流体の作用によって前記ブレーキディスクに第二軸方向推力を生じ、
複数の前記制動ユニットは前記制動ピストンとともに前記ブレーキディスクと同じ側に位置するように前記環状ケースの中に配置され、常に前記ブレーキディスクに第三軸方向推力を生じ、
前記第一流体が前記制動ピストンに作用せず、前記第二流体が前記解除ピストンに作用しない場合、複数の前記制動ユニットによって前記ブレーキディスクに生じた前記第三軸方向推力が、前記ブレーキディスクを前記制動位置に維持し、
前記第一流体が前記制動ピストンに作用するのに対し、前記第二流体が前記解除ピストンに作用しない場合には、前記制動ピストンによって前記ブレーキディスクに生じた前記第一軸方向推力と、複数の前記制動ユニットによって前記ブレーキディスクに生じた前記第三軸方向推力とが前記ブレーキディスクを前記制動位置に維持し、
前記第一流体が前記制動ピストンに作用しないのに対し、前記第二流体が前記解除ピストンに作用する場合には、前記解除ピストンによって前記ブレーキディスクに生じた前記第二軸方向推力が、複数の前記制動ユニットによって前記ブレーキディスクに生じた前記第三軸方向推力に反発し、前記ブレーキディスクを前記解除位置に維持し、
前記回転軸は前記機台に回転可能に差し込まれ、外周面に突出環状部を有し、
前記作業ディスクは前記回転軸の前端に接続され、回転軸とともに同調回転することができ、
前記環状ケースが前記機台に装着され、
前記回転軸は前記前端が前記環状ケースを貫通し、
前記ブレーキディスクを前記制動位置に維持すると、前記ブレーキディスクが前記回転軸の前記突出環状部を押さえ、
前記ブレーキディスクを前記解除位置に維持すると、前記ブレーキディスクが前記回転軸の前記突出環状部から離れ、前記回転軸との間に隙間が生じることを特徴とする、
旋転作業台。
【請求項2】
前記ブレーキディスクは前記第一表面に凸状位置決め部を有し、前記制動ピストンは前記ブレーキディスクに相対する側面に凹状位置決め部を有し、前記ブレーキディスクの前記凸状位置決め部は前記制動ピストンの前記凹状位置決め部に嵌まり込むことを特徴とする請求項1に記載の旋転作業台
【請求項3】
前記環状ケースは第一筐体および第二筐体を有し、前記第二筐体は前記第一筐体に装着され、前記制動ピストンおよび複数の前記制動ユニットは前記第一筐体内に配置され、前記解除ピストンは前記第二筐体内に配置され、前記ブレーキディスクは前記第一筐体と前記第二筐体との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の旋転作業台
【請求項4】
前記第一筐体は前記第二筐体に相対する側面に前記制動ピストンを格納するための第一環状溝を有し、外周縁部に前記第一環状溝に繋がる第一流体注入孔を有し、前記第二筐体は前記第一筐体に相対する側面に前記解除ピストンを格納するための第二環状溝を有し、外周縁部に前記第二環状溝に繋がる第二流体注入孔を有することを特徴とする請求項3に記載の旋転作業台。
【請求項5】
前記第一筐体は前記第二筐体に相対する側面にさらに複数の第一格納溝を有し、複数の前記第一格納溝は前記第一環状溝の周りに環状に配置され、前記ブレーキディスクは前記第一表面に複数の第二格納溝を有し、複数の前記制動ユニットは圧縮スプリングから構成され、それぞれ第一格納溝内に格納され、一端が前記第一格納溝の端部に当接し、別の一端が前記第二格納溝の端部に当接するため、弾性力によって前記第三軸方向推力を生じることを特徴とする請求項4に記載の旋転作業台。
【請求項6】
前記第一筐体は前記第二筐体に相対する側面にさらに複数の第一格納溝を有し、複数の前記第一格納溝は前記第一環状溝の周りに環状に配置され、前記ブレーキディスクは前記第一表面に複数の第二格納溝を有し、複数の前記制動ユニットは第一磁石および第二磁石から構成され、前記第一磁石は前記第一格納溝内に配置され、前記第二磁石は前記第二格納溝内に配置され、前記第一磁石および前記第二磁石は相互に相対する一端に同じ極を有するため、前記第一磁石および前記第二磁石の間の反磁性によって生じる反発力が第三軸方向推力になることを特徴とする請求項4に記載の旋転作業台。
【請求項7】
前記回転軸は前記突出環状部に締め付けられたブレーキプレートを有し、前記ブレーキディスクは内周縁部に制動部を有し、前記ブレーキディスクを前記制動位置に維持すると、前記ブレーキディスクは前記制動部によって前記ブレーキプレートを押さえることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の旋転作業台。
【請求項8】
前記環状ケースが前記機台に装着される際、前記ブレーキディスクは第四軸方向推力によって前記解除位置に維持されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の旋転作業台。
【請求項9】
前記回転軸は内部に気体流路を有し、前記環状ケースを前記機台に装着し、気体を前記気体流路に注入すると、前記気体は前記ブレーキディスクに前記第四軸方向推力を生じることを特徴とする請求項に記載の旋転作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋転作業台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工作業の終了後、回転軸が急に回転することを防止するために、構造に一組のブレーキを配置することが一般的である。一組のブレーキは制動力を生じて静止中の回転軸を安定させる。しかし、突然の停電または管路破裂などの特殊な状況が発生する際、従来のブレーキは回転軸に制動力を生じることができないため、機械を損傷し、しばしば周囲の作業員の安全を脅かす。
【0003】
特許文献1により開示されている常閉式油圧ブレーキ装置は、停止状態または待機状態などの際、複数のスプリングが弾力によってピストンを押さえて常閉式油圧ブレーキ装置に主軸を挟み込ませ、主軸の回転を抑制させる。常閉式油圧ブレーキ装置を解除する際、油圧作動オイルによってピストンを逆方向に動かせば常閉式油圧ブレーキ装置を解除し、主軸を正常に作動させることができる。
しかし、特許文献1において、装置全体はモジュール化されておらず、付属品を別々に組み合わせることが必要であり、メンテナンスおよび調整が非常に不便である。また複数のスプリングによって生じる制動力は限られるため、比較的大きいサイズの主軸に対応することが難しい。
【0004】
特許文献2により開示されている分度盤は、空気圧シリンダーのマンドレルによってオイルチャンバー内の油圧作動油をオイル流路に押し込む。オイル流路に押し込まれた油圧作動油がピストンシャーシとピストンディスクとの間に流入すると、ピストンディスクおよび大きなブレーキディスクに軸方向変位を生じさせ、大きなブレーキディスクと小さなブレーキディスクを相互に擦り合わせることによって主軸およびディスクをロックすることができる。空気圧シリンダーのマンドレルを内部に後退させれば、複数の弾性部材はピストンディスクに当接し、大きなブレーキディスクと小さなブレーキディスクを分離させるため、主軸およびディスクが解除され、回転できるようになる。
しかし、特許文献2において、装置全体がモジュール化されていないため、付属品を別々に組み合わせることが必要であり、メンテナンスおよび調整が非常に不便である。複数の弾性部材は弾性力によって大きなブレーキディスクおよび小さなブレーキディスクに解除効果を発揮する。しかし、ある程度使用された弾性部材に弾性疲労が生じると、大きなブレーキディスクおよび小さなブレーキディスクが完全に分離せず、一部分が相互に接触して摩耗するという問題が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】CN 210024594U号公報
【文献】TW M359398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はモジュール化され、かつ常時閉鎖式ブレーキ効果を発揮し、操作上の安全性を向上させることができる推力式制動装置を提供することを主な目的とする。
【0007】
本発明は、前記推力式制動装置を使用する旋転作業台を提供することをもう一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための推力式制動装置は、環状ケース、ブレーキディスク、制動ピストン、解除ピストンおよび複数の制動ユニットを備える。ブレーキディスクは制動位置と解除位置との間を移動可能に環状ケースの中に配置され、第一表面と、第一表面に背を向けた第二表面とを有する。制動ピストンはブレーキディスクの第一表面に当接するように環状ケースの中に配置され、第一流体の作用によってブレーキディスクに第一軸方向推力を生じる。解除ピストンはブレーキディスクの第二表面に当接するように環状ケースの中に配置され、第二流体の作用によってブレーキディスクに第二軸方向推力を生じる。複数の制動ユニットは制動ピストンとともにブレーキディスクと同じ側に位置するように環状ケースの中に配置され、常にブレーキディスクに第三軸方向推力を生じる。
【0009】
上述した構造の特徴により、第一流体が制動ピストンに作用する前および第二流体が解除ピストンに作用する前には、制動ユニットによってブレーキディスクに生じた第三軸方向推力はブレーキディスクを制動位置に維持する。第一流体が制動ピストンに作用するのに対し、第二流体が解除ピストンに作用しない場合には、制動ピストンによってブレーキディスクに生じた第一軸方向推力と、複数の制動ユニットによってブレーキディスクに生じた第三軸方向推力とはブレーキディスクを制動位置に維持する。第一流体が制動ピストンに作用しないのに対し、第二流体が解除ピストンに作用する場合には、解除ピストンによってブレーキディスクに生じた第二軸方向推力は、複数の制動ユニットによってブレーキディスクに生じる第三軸方向推力に反発し、ブレーキディスクを解除位置に維持する。
言い換えれば、本発明による推力式制動装置は第一流体が制動ピストンを流れることによってブレーキディスクに制動効果を発揮し、第二流体が解除ピストンを流れることによってブレーキディスクに解除効果を発揮する。また、制動ピストンが機能を失っても、本発明による推力式制動装置は制動ユニットによってブレーキディスクを制動位置に維持し、常時閉鎖式ブレーキ効果を発揮し、操作上の安全性を向上させることができる。
【0010】
比較的好ましい場合、ブレーキディスクは第一表面に凸状位置決め部を有する。制動ピストンはブレーキディスクに相対する側面に凹状位置決め部を有する。ブレーキディスクの凸状位置決め部は制動ピストンの凹状位置決め部に嵌まり込んでブレーキディスクの位置を固定する。
【0011】
環状ケースは第一筐体および第二筐体を有する。第二筐体は第一筐体に装着される。制動ピストンおよび制動ユニットは第一筐体内に配置される。解除ピストンは第二筐体内に配置される。ブレーキディスクは第一筐体と第二筐体との間に配置される。
【0012】
比較的好ましい場合、第一筐体は制動ピストンを格納するための第一環状溝と、第一環状溝に繋がる第一流体注入孔とを有する。第一流体は第一流体注入孔から第一環状溝に流れ込んで制動ピストンに力が作用する。第二筐体は解除ピストンを格納するための第二環状溝と、第二環状溝に繋がる第二流体注入孔とを有する。第二流体は第二流体注入孔から第二環状溝に流れ込んで解除ピストンに力が作用する。
【0013】
比較的好ましい場合、第一筐体は第二筐体に相対する側面に複数の第一格納溝を有する。複数の第一格納溝は第一環状溝の周りに環状に分布する。ブレーキディスクは第一表面に複数の第二格納溝を有する。制動ユニットは相対する第一格納溝および第二格納溝の間に配置される。
【0014】
比較的好ましい場合、制動ユニットは圧縮スプリングまたは第一磁石および第二磁石から構成される。制動ユニットが圧縮スプリングから構成される場合、制動ユニットは弾性力によって第二軸方向推力を生じる。制動ユニットが第一磁石および第二磁石から構成される場合、第一磁石および第二磁石は相対する一端に同じ極を有するため、反磁性による反発力が第三軸方向推力になる。
【0015】
上述した課題を解決するための前記推力式制動装置を使用する旋転作業台は、機台、回転軸および作業ディスクを備える。回転軸は機台に回転可能に差し込まれ、前端が作業ディスクに連結される。回転軸は前端の外周面に突出環状部を有する。前記推力式制動装置の環状ケースは機台に締め付けられる。回転軸は前端が前記推力式制動装置の環状ケースを貫通する。ブレーキディスクを制動位置に維持すれば、ブレーキディスクは回転軸の突出環状部に当接し、回転軸に制動効果を発揮する。ブレーキディスクを解除位置に維持すれば、ブレーキディスクは回転軸の突出環状部から離れ、回転軸との間に隙間が生じる。
【0016】
上述した技術内容をまとめると、本発明による推力式制動装置はモジュール化されているため、回転軸と固定することを必要とせず、組立作業の利便性を向上させることができる。また、推力式制動装置全体を機台から取り外すことが簡単であるため、調整およびメンテナンスの便をはかることができる。
【0017】
比較的好ましい場合、回転軸は突出環状部に締め付けられたブレーキプレートを有する。ブレーキディスクは内周縁部に制動部を有する。ブレーキディスクを制動位置に維持すれば、ブレーキディスクは制動部によってブレーキプレートを押さえる。
【0018】
比較的好ましい場合、環状ケースが機台に装着される場合、ブレーキディスクは第四軸方向推力によって解除位置に維持され、両者の接触面が相互に衝突して損壊することを防止する。
【0019】
比較的好ましい場合、回転軸は内部に気体流路を有する。環状ケースを機台に装着し、気体を気体流路に注入すれば、気体はブレーキディスクに第四軸方向推力を生じる。
【0020】
本発明による推力式制動装置およびそれを使用する旋転作業台の詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法について、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。
なお、以下の詳細な説明および本発明により開示される実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある者ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を示す分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を一端から見た平面図である。
図4図3中の4-4線に沿った断面図である。
図5図3中の5-5線に沿った断面図である。
図6図3中の6-6線に沿った断面図である。
図7】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を使用する旋転作業台を示す斜視図である。
図8図7中の8-8線に沿った断面図である。
図9】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を使用する旋転作業台においてブレーキディスクが制動位置に維持される状態を示す断面図の一部分である。
図10】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を使用する旋転作業台においてブレーキディスクが解除位置に維持される状態を示す断面図の一部分である。
図11】本発明の第2実施形態による推力式制動装置を示す分解斜視図である。
図12】本発明の第2実施形態による推力式制動装置を示す断面図である。
図13】本発明の第2実施形態による推力式制動装置を使用する旋転作業台においてブレーキディスクが制動位置に維持される状態を示す断面図の一部分である。
図14】本発明の第2実施形態による推力式制動装置を使用する旋転作業台においてブレーキディスクが解除位置に維持される状態を示す断面図の一部分である。
図15】本発明の第1実施形態による推力式制動装置を使用する旋転作業台において気体がブレーキディスクに第四軸方向推力を生じる状態を示す断面図の一部分である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明による推力式制動装置およびそれを使用する旋転作業台を図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造の特徴を示す。
【0023】
(第1実施形態)
図1および図2に示すように、推力式制動装置10は環状ケース20、ブレーキディスク50、制動ピストン60、解除ピストン64および複数の制動ユニット66を備える。
【0024】
環状ケース20は第一筐体30および第二筐体40を有する。第一筐体30および第二筐体40は複数のねじ22によってまとめて固定される。第一筐体30は外側面および内側面を貫通する第一軸孔32を有する。
図2および図3に示すように、第一筐体30は内側面(即ち第二筐体40に相対する側面)に第一環状溝34および複数の第一格納溝36を有する。第一環状溝34は第一軸孔32の周りに環状に形成される。複数の第一格納溝36は第一環状溝34の周りに環状に分布する。本実施形態において第一環状溝36の数は16であるが、これに限定されない。第二筐体40は外側面および内側面を貫通する第二軸孔42を有する。第二軸孔42は第一軸孔32に繋がり、孔径が第一軸孔32より大きい。第二筐体40は内側面(即ち第一筐体30に相対する側面)に第二環状溝44を有する。第二環状溝44は第二軸孔42の周りに環状に形成される。
図2および図5に示すように、第一筐体30は外周縁部に第一環状溝34に繋がる第一流体注入孔38を有する。
図2および図6に示すように、第二筐体40は第二環状溝44に繋がる第二流体注入孔46を有する。
【0025】
ブレーキディスク50は第一筐体30および第二筐体40の間に配置され、第一筐体30に相対する第一表面51、第二筐体40に相対する第二表面52、凸状位置決め部53、複数の第二格納溝54および制動部55を有する。凸状位置決め部53は第一表面51に環状に形成される。複数の第二格納溝54は凸状位置決め部53の周りに分布するように第一表面51に環状に形成される。制動部55はブレーキディスク50の内周縁部に形成され、第二軸孔42の径方向に沿って第二軸孔42に突出する。
【0026】
制動ピストン60はブレーキディスク50の第一表面51に当接するように第一筐体30の第一環状溝34に嵌まり込む。第一流体12が第一流体注入孔38から注入される際、図5に示すように、制動ピストン60は第一流体12の作用によってブレーキディスク50に第一軸方向推力F1を生じる。
制動ピストン60は内側面(即ちブレーキディスク50に相対する側面)に凹状位置決め部62を有する。ブレーキディスク50の凸状位置決め部53を制動ピストン60の凹状位置決め部62に嵌め込めば、ブレーキディスク50および制動ピストン60の相対位置を固定することができる。本実施形態において、第一流体12は気体であるが、これに限定されず、液体であってもよい。
【0027】
解除ピストン64はブレーキディスク50の第二表面52に隣接するように第二筐体40の第二環状溝44内に嵌まり込む。第二流体の作用によってブレーキディスクに第二軸方向推力を生じる。第二流体14が第二流体注入孔46から注入される際、図6に示すように、解除ピストン40は第二流体14の作用によってブレーキディスク50に第二軸方向推力F2を生じる。本実施形態において、第二流体14は気体であるが、これに限定されず、液体であってもよい。
【0028】
複数の制動ユニット66は第一格納溝36と第二格納溝54との間に配置され、数が第一格納溝36と第二格納溝54の数に対応する。本実施形態において、制動ユニット66は圧縮スプリングである。
図2および図4に示すように、複数の制動ユニット66はそれぞれ一端が第一格納溝36の端部に当接し、別の一端が第二格納溝54の端部に当接するため、弾性力によって常にブレーキディスク50に第三軸方向推力F3を生じる。
【0029】
図7および図8に示すように、旋転作業台70は機台71、回転軸72および作業ディスク75を備える。回転軸72は機台71に回転可能に差し込まれ、前端が作業ディスク75に連結される。機台71に内蔵された動力源(モーター)の駆動力によって回転軸72は作業ディスク75と、作業ディスク75に固定した加工対象(図中未表示)とを回転させて加工作業を進める。
図9および図10に示すように、回転軸72は前端の外周面に突出環状部74およびブレーキプレート76を有する。ブレーキプレート76はブレーキディスク50に対応するように突出環状部74に締め付けられる。
【0030】
本発明による推力式制動装置10を旋転作業台70に装着して使用する際、まず作業ディスク75を取り外し、回転軸72の前端に環状ケース20を着け、続いて環状ケース20と機台71を複数のねじ77でまとめて固定する。続いて、再び作業ディスク75を取り付けると、推力式制動装置10の装着作業が完了する。
【0031】
続いて、図5に示すように、第一流体12を第一流体注入孔38から注入すれば、制動ピストン60は第一流体12の作用によってブレーキディスク50に第一軸方向推力F1を生じる。複数の制動ユニット66は弾性力によって常にブレーキディスク50に第三軸方向推力F3を生じる。制動ピストン60によってブレーキディスク50に生じた第一軸方向推力F1と、複数の制動ユニット66によってブレーキディスク50に生じた第三軸方向推力F3とはブレーキディスク50を制動位置P1(図9参照)に維持する。このときブレーキディスク50は制動部55によってブレーキプレート76を押さえる。ブレーキプレート76は回転軸72の突出環状部74に固定されるため、回転軸72に制動効果を生じる。
【0032】
F3≦F1、F1=A1×f1・・・(式1)
【0033】
図9に示すように、ブレーキディスク50が制動位置P1に維持される際、ブレーキディスク50の回転軸72に対する制動力を最大限にするために、第一軸方向推力F1と第三軸方向推力F3の関係は式1を満足しなければならない。つまり、第一軸方向推力F1は第三軸方向推力F3より大きいかそれに等しい。式1において、制動ピストン60の面積はA1で表示され、単位はmmである。第一流体12の制動ピストン60に作用する力はf1で表示され、設定値は0.6N/mmである。
【0034】
続いて、回転軸72を正常に回転させようとする際、第一液体注入孔38から流入する第一流体12を停止させれば、制動ピストン60はブレーキディスク50に生じる第一軸方向推力F1が解除される。続いて、図6に示すように、第二流体注入孔46から第二流体14を注入すれば、解除ピストン64は第二流体14の作用によってブレーキディスク50に第二軸方向推力F2を生じる。複数の制動ユニット66は依然としてブレーキディスク50に第三軸方向推力F3を生じるため、図10に示すように、解除ピストン64によってブレーキディスク50に生じた第二軸方向推力F2は、複数の制動ユニット66によってブレーキディスク50に生じた第三軸方向推力F3に反発し、ブレーキディスク50を解除位置P2に維持する。このときブレーキディスク50の制動部55はブレーキプレート76から離れ、両者の間に隙間が生じるため、回転軸72を正常に回転させることができる。
【0035】
F3<F2、F2=A2×f2・・・(式2)
F3×ρ=F2=A2×f2・・・(式3)
F3=A2/2・・・(式4)
【0036】
図10に示すように、ブレーキディスク50を解除位置P2に維持するために、第二軸方向推力F2と第三軸方向推力F3の関係は式2を満足しなければならない。つまり、第二軸方向推力F2は第三軸方向推力F3より大きい。式2において、解除ピストン64の面積はA2で表示され、単位はmmである。第二流体14の解除ピストン64に作用する力はf2で表示され、設定値は0.6N/mmである。
第二軸方向推力F2と第三軸方向推力F3の関係を精確に表示するために、式2に安全係数ρの設定を追加すれば式3が成り立つ。式3において、安全係数ρは1.2である。続いてf2=0.6およびρ=1.2の数値に基づいて式3を演算すれば式4が成り立つ。つまり、第三軸方向推力F3を式4に基づいて算出することができる。
【0037】
突然の停電または管路破裂などの特殊な状況が発生したことが原因で第一流体12および第二流体14が機能を失った場合、制動ピストン60はブレーキディスク50に第一軸方向推力F1を生じることができなくなるが、複数の制動ユニット66は依然としてブレーキディスク50に第三軸方向推力F3を生じ、図9に示すように、ブレーキディスク50を制動位置P1に維持し、回転軸72を安全に停止させる。言い換えれば、正常な状況下で制動ピストン60と複数の制動ユニット66を同時に作動させればブレーキディスク50に制動力を最大限に発揮することができる。
制動ピストン60および解除ピストン64が故障した場合、複数の制動ユニット66が依然として作動できるため、複数の制動ユニット66からの制動力によってブレーキディスク50を制動位置P1(図9参照)に維持し、常時閉鎖式ブレーキ効果を発揮し、操作上の安全性を向上させることができる。
【0038】
(第2実施形態)
制動ユニット66の弾性力によって第三軸方向推力F3を生じる第1実施形態に対し、第2実施形態は反磁性によって第三軸方向推力F3を生じる。詳しく言えば、図11および図12に示すように、第2実施形態において、複数の制動ユニット80は第一磁石82および第二磁石84から構成される。第一磁石82は第一筐体30の第一格納溝36内に配置される。第二磁石84はブレーキディスク50の第二格納溝54内に配置される。第一磁石82および第二磁石84は相対する一端に同じ極を有するため、第一磁石82および第二磁石84の間の反磁性によって生じる反発力が第三軸方向推力F3になる。
【0039】
第一流体12が第一流体注入孔38から注入される際、図13に示すように、制動ピストン60によってブレーキディスク50に生じた第一軸方向推力F1と、複数の制動ユニット80によってブレーキディスク50に生じた第三軸方向推力F3とはブレーキディスク50を制動位置P1に維持し、ブレーキディスク50に回転軸72を制動させる。
【0040】
続いて、回転軸72を正常に回転させようとする際、第一液体注入孔38から流入する第一流体12を停止させれば、制動ピストン60はブレーキディスク50に生じる第一軸方向推力F1が解除される。続いて、第二流体注入孔46から第二流体14を注入すれば、解除ピストン64は第二流体14の作用によってブレーキディスク50に第二軸方向推力F2を生じる。
複数の制動ユニット80は依然としてブレーキディスク50に第三軸方向推力F3を生じるため、図14に示すように、解除ピストン64によってブレーキディスク50に生じた第二軸方向推力F2は、複数の制動ユニット80によってブレーキディスク50に生じた第三軸方向推力F3に反発し、ブレーキディスク50を解除位置P2に維持し、回転軸72を正常に回転させる。
【0041】
突然の停電または管路破裂などの特殊な状況が発生したことが原因で第一流体12および第二流体14が機能を失った場合であっても、複数の制動ユニット80は依然としてブレーキディスク50に第三軸方向推力F3を生じることができるため、図13に示すように、複数の制動ユニット80の第三軸方向推力F3によってブレーキディスク50を制動位置P1に維持し、常時閉鎖式ブレーキ効果を発揮することができる。
【0042】
言い換えれば、ブレーキディスク50を制動位置に維持し、常時閉鎖式ブレーキ効果を発揮することさえできれば、制動ユニット66および制動ユニット88のいずれかを使用してもよい。また本発明による推力式制動装置10を機台71に装着する際、ブレーキディスク50と回転軸72の接触面が相互に衝突して損壊することを防止するために、装着作業において第四軸方向推力F4によってブレーキディスク50を解除位置P2に維持し、組立作業が完了するまで持続させればよい。第四軸方向推力F4は解除ピストン64によって提供されるか、図15に示すように、回転軸72の内部の気体流路から気体を注入し、ブレーキディスク50と回転軸72の接触面にエアカーテンを生成させることによって提供される。
【0043】
上述した技術内容をまとめると、本発明による推力式制動装置10は第一流体12が制動ピストン60を流れることによってブレーキディスク50に制動効果を発揮し、第二流体14が解除ピストン64を流れることによってブレーキディスク50に解除効果を発揮することができる。また、制動ピストン60が機能を失っても、本発明による推力式制動装置10は制動ユニット66、80によってブレーキディスク50を制動位置P1に維持し、常時閉鎖式ブレーキ効果を発揮し、操作上の安全性を向上させることができる。
また本発明による推力式制動装置10はモジュール化されているため、旋転作業台70との組立作業において回転軸72と固定することを必要とせず、組立作業の利便性を向上させることができる。また、推力式制動装置10全体を機台71から取り外すことが簡単であるため、調整およびメンテナンスの便をはかることができる。
【0044】
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 推力式制動装置
12 第一流体
14 第二流体
20 環状ケース
22 ねじ
30 第一筐体
32 第一軸孔
34 第一環状溝
36 第一格納溝
38 第一流体注入孔
40 第二筐体
42 第二軸孔
44 第二環状溝
46 第二流体注入孔
50 ブレーキディスク
51 第一表面
52 第二表面
53 凸状位置決め部
54 第二格納部
55 制動部
60 制動ピストン
62 凹状位置決め部
64 解除ピストン
66 制動ユニット
70 旋転作業台
71 機台
72 回転軸
74 突出環状部
75 作業ディスク
76 ブレーキプレート
77 ねじ
78 気体流路
80 制動ユニット
82 第一磁石
84 第二磁石
F1 第一軸方向推力
F2 第二軸方向推力
F3 第三軸方向推力
F4 第四軸方向推力
P1 制動位置
P2 解除位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15