(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】ずれのある極を備えた磁石リング
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
G01D5/245 110M
G01D5/245 B
(21)【出願番号】P 2021521850
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2019057816
(87)【国際公開番号】W WO2020092116
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-17
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ガッサン,ブレイズ
(72)【発明者】
【氏名】レニウス,サミュエル
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-506180(JP,A)
【文献】特開2001-296144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0123412(US,A1)
【文献】特開2006-333668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069710(US,A1)
【文献】特開2015-95544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特徴的なシフトパターンを測定された磁場パターンに相関させることによって回転位置を決定するための装置であって、
第1の側を有する第1のプラットフォームと、
前記第1のプラットフォームの前記第1の側と少なくとも部分的に重なる第2の側を有する第2のプラットフォームであって、前記第2のプラットフォームが、軸の周りを前記第1のプラットフォームに対して回転するように構成されている、第2のプラットフォームと、
前記第1のプラットフォームの前記第1の側に取り付けられ、前記軸を中心とする磁石リングであって、前記磁石リングが、4つ以上の磁化された極を備え、前記4つ以上の磁化された極は、前記4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界が、前記磁石リングの周りの前記4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされるように位置付けられており、前記4つ以上の極の前記シフトされた境界が、前記磁石リングの前記特徴的なシフトパターンを画定する、磁石リングと、
前記第2のプラットフォームの前記第2の側に接続され、前記4つ以上の極によって生成される磁場の特性を測定することによって前記測定された磁場パターンを生成するように構成された磁場センサーと、を備える、装置。
【請求項2】
前記第2のプラットフォームが前記第1のプラットフォームに対して回転している間に前記磁場センサーによって生成されたデータに基づいて、前記測定された磁場パターンを決定し、
前記特徴的なシフトパターンを前記測定された磁場パターンと相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定する、ように構成された回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記4つ以上の磁化された極が、交互に反対方向に磁化され、前記方向が、前記軸に実質的に平行である第1の方向と、前記第1の方向と反対の第2の方向とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記4つ以上の極が、k個の極を備え、n番目の極と、時計回り方向において前記n番目の極に隣接する後続の極との間の公称境界が、(360n)/(k)度によって画定される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記4つ以上の極が、偶数の極を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界が、それぞれのシフト量だけ前記対応する公称境界に対してシフトされて、前記特徴的なシフトパターンの選択された自己相関を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記選択された自己相関の最大値が、前記選択された自己相関の2番目に高い値を少なくとも閾値だけ超える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記磁石リングの前記特徴的なシフトパターンが、(i)第1の方向から第2の方向への前記磁場の方向の変化を表す第1のタイプの遷移と、(ii)前記第2の方向から前記第1の方向への前記磁場の方向の変化を表す第2のタイプの遷移と、を含み、前記装置が、
前記測定された磁場パターン内の前記第1および第2のタイプの遷移のパターンを決定し、
(i)前記測定された磁場パターン内の前記第1のタイプの遷移を、前記特徴的なシフトパターン内の前記第1のタイプの遷移に、および、(ii)前記測定された磁場パターン内の前記第2のタイプの遷移を、前記特徴的なシフトパターン内の前記第2のタイプの遷移に、相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定する、ように構成された回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のプラットフォームが、一定の角速度で前記第1のプラットフォームに対して回転するように構成されており、前記装置が、
前記測定された磁場パターン内の2つの隣接する境界の検出間の期間を決定することと、
前記期間に基づいて、前記2つの隣接する境界間の角変位を決定することと、
(i)前記角変位と、(ii)前記磁石リングに沿った前記4つ以上の極の境界の前記均一な間隔によって画定される公称極サイズとに基づいて、前記2つの隣接する境界のうちの少なくとも1つの測定されたシフトを決定することと、
前記測定されたシフトと、前記特徴的なシフトパターン内の1つ以上の特徴的なシフトとの間の差を決定することと、
前記差に基づいて、前記差を最小化する(i)前記特徴的なシフトパターンと、(ii)前記測定された磁場パターンとの間のオフセットを決定することであって、前記オフセットが、前記磁場センサーに対する前記磁石リングの角度位置を示す、決定することと、によって前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定するように構成された回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記磁場センサーが、前記磁石リングの周囲の周りに非対称に配設された複数の磁場センサーを含み、前記磁石リングの複合の特徴的なシフトパターンが、前記シフトされた境界に基づいて前記複数の磁場センサーの各々によって検出されることが予想される磁場パターンの組み合わせを含み、前記装置が、
前記複数の磁場センサーの各々について、それぞれの磁場パターンを決定し、
前記複数の磁場センサーの各々について決定された前記それぞれの磁場パターンを組み合わせることによって、複合磁場パターンを決定し、
前記複合磁場パターンを前記複合の特徴的なシフトパターンに相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの回転位置を決定する、ように構成された回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記複合の特徴的なシフトパターンが、前記磁石リングの1回転の間、非周期的である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
第1のプラットフォームが、第2のプラットフォームに対して回転軸の周りを回転するように、前記第1のプラットフォームに取り付けられた磁石リングの4つ以上の極によって生成される第2の磁場と相互作用する第1の磁場を生成することと、
前記第2のプラットフォームに接続された磁場センサーから、前記第2の磁場の特性を示すデータを受信することであって、前記4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界が、前記磁石リングの周りの前記4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされている、受信することと、
前記磁場センサーから受信した前記データに基づいて、磁場パターンを決定することと、
前記磁場パターンを前記磁石リングの特徴的なシフトパターンに相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの回転位置を決定することであって、前記特徴的なシフトパターンが、前記磁石リングの前記4つ以上の極の前記シフトされた境界によって画定される、決定することと、を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の磁場を生成することが、前記第2のプラットフォームに含まれる導電性経路を通して電流を流すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記磁石リングの前記特徴的なシフトパターンが、(i)第1の方向から第2の方向への前記第2の磁場の方向の変化を表す第1のタイプの遷移と、(ii)前記第2の方向から前記第1の方向への前記第2の磁場の方向の変化を表す第2のタイプの遷移と、を含み、前記方法が、
前記磁場パターン内の前記第1および第2のタイプの遷移のパターンを決定することと、
(i)前記磁場パターン内の前記第1のタイプの遷移を、前記特徴的なシフトパターン内の前記第1のタイプの遷移に、および、(ii)前記磁場パターン内の前記第2のタイプの遷移を、前記特徴的なシフトパターン内の前記第2のタイプの遷移に、相関させることによって、前記第2プラットフォームに対する前記第1プラットフォームの前記回転位置を決定することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のプラットフォームが、一定の角速度で前記第1のプラットフォームに対して回転するように構成されており、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定することが、
前記磁場パターン内の2つの隣接する境界の検出間の期間を決定することと、
前記期間に基づいて、前記2つの隣接する境界間の角変位を決定することと、
(i)前記角変位と、(ii)前記磁石リングに沿った前記4つ以上の極の境界の前記均一な間隔によって画定される公称極サイズとに基づいて、前記2つの隣接する境界のうちの少なくとも1つの測定されたシフトを決定することと、
前記測定されたシフトと、前記特徴的なシフトパターン内の1つ以上の特徴的なシフトとの間の差を決定することと、
前記差に基づいて、前記差を最小化する(i)前記特徴的なシフトパターンと、(ii)前記磁場パターンとの間のオフセットを決定することであって、前記オフセットが、前記磁場センサーに対する前記磁石リングの角度位置を示す、決定することと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記磁場センサーが、前記磁石リングの周囲の周りに非対称に配設された複数の磁場センサーを含み、前記磁石リングの複合の特徴的なシフトパターンが、前記シフトされた境界に基づいて前記複数の磁場センサーの各々によって検出されることが予想される磁場パターンの組み合わせを含み、前記方法が、
前記複数の磁場センサーの各々について、それぞれの磁場パターンを決定することと、
前記複数の磁場センサーの各々について決定された前記それぞれの磁場パターンを組み合わせることによって、複合磁場パターンを決定することと、
前記複合磁場パターンを前記複合の特徴的なシフトパターンに相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記複合の特徴的なシフトパターンが、前記磁石リングの1回転の間、非周期的である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
コンピューティングデバイスによって実行されるとき、前記コンピューティングデバイスに、
導電性経路を通して電流を流すことによって第1の磁場を生成するための命令を提供することであって、前記第1の磁場は、第1のプラットフォームが第2のプラットフォームに対して回転軸の周りを回転するように、前記第1のプラットフォームに取り付けられた磁石リングの4つ以上の極によって生成される第2の磁場と相互作用し、前記導電性経路は、前記第2のプラットフォームに含まれる、提供することと、
前記第2のプラットフォームに接続された磁場センサーから、前記第2の磁場の特性を示すデータを受信することであって、前記4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界が、前記磁石リングの周りの前記4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされている、受信することと、
前記磁場センサーから受信した前記データに基づいて、磁場パターンを決定することと、
前記磁場パターンを前記磁石リングの特徴的なシフトパターンに相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの回転位置を決定することであって、前記特徴的なシフトパターンが、前記磁石リングの前記4つ以上の極の前記シフトされた境界によって画定される、決定することと、を含む動作を行わせる命令をその上に格納した、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記磁石リングの前記特徴的なシフトパターンが、(i)第1の方向から第2の方向への前記第2の磁場の方向の変化を表す第1のタイプの遷移と、(ii)前記第2の方向から前記第1の方向への前記第2の磁場の方向の変化を表す第2のタイプの遷移と、を含み、前記動作が、
前記磁場パターン内の前記第1および第2のタイプの遷移のパターンを決定することと、
(i)前記磁場パターン内の前記第1のタイプの遷移を、前記特徴的なシフトパターン内の前記第1のタイプの遷移に、および、(ii)前記磁場パターン内の前記第2のタイプの遷移を、前記特徴的なシフトパターン内の前記第2のタイプの遷移に、相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定することと、をさらに含む、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記磁場センサーが、前記磁石リングの周囲の周りに非対称に配設された複数の磁場センサーを含み、前記磁石リングの複合の特徴的なシフトパターンが、前記シフトされた境界に基づいて前記複数の磁場センサーの各々によって検出されることが予想される磁場パターンの組み合わせを含み、前記動作が、
前記複数の磁場センサーの各々について、それぞれの磁場パターンを決定することと、
前記複数の磁場センサーの各々について決定された前記それぞれの磁場パターンを組み合わせることによって、複合磁場パターンを決定することと、
前記複合磁場パターンを前記複合の特徴的なシフトパターンに相関させることによって、前記第2のプラットフォームに対する前記第1のプラットフォームの前記回転位置を決定することと、をさらに含む、請求項18に記載の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月31日に出願され、「Magnet Ring with Jittered Poles」と題された米国仮特許出願第62/753,446号、および2018年12月28日に出願され、「Magnet Ring with Jittered Poles」と題された米国特許出願第16/235,294号の優先権を主張し、本説明に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ロータリージョイントデバイスは、2つの構造(例えば、固定子と回転子)の間に相対回転を引き起こすことによって動作する電気機械システムにおける1つの構造と別の構造との間の動力および/または電気信号の伝達によく使用される。ロータリージョイントデバイスを採用する例示的なシステムには、とりわけ、リモートセンシングシステム(例えば、RADAR、LIDARなど)およびロボットシステム(例えば、マイクロフォン、スピーカ、ロボット構成要素などを方向付けるための)が挙げられる。
【発明の概要】
【0003】
例示的な実施形態では、ずれのある極を備えた磁石リングを含む回転ジョイントが提供される。磁石リングの隣接する極間の境界は、対応する公称境界に対してずれている。公称境界は、磁石リングの周りの境界の等間隔によって画定される。言い換えると、磁石リングを構成する極は異なるサイズを有し、その結果、磁石リングの周りで境界の分布が不均一になる。この不均一な分布は、磁石リングの回転位置を決定するために磁場センサーによって測定され得る特徴的なシフトパターンを画定する。具体的には、測定された磁場パターンを特徴的な場パターンと相関させて、それらの間の相対オフセットを決定することができ、これは次いで、磁石リングの回転位置を決定するために使用され得る。
【0004】
第1の例示的な実施形態では、特徴的なシフトパターンを測定された磁場パターンに相関させることによって回転位置を決定するための装置が提供されている。本装置は、第1の側を有する第1のプラットフォームと、第1のプラットフォームの第1の側と少なくとも部分的に重なる第2の側を有する第2のプラットフォームとを含む。第2のプラットフォームは、軸の周りを第1のプラットフォームに対して回転するように構成されている。本装置はまた、第1のプラットフォームの第1の側に取り付けられ、軸を中心とする磁石リングを含む。磁石リングは、4つ以上の磁化された極を含む。4つ以上の磁化された極は、4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界が、磁石リングの周りの4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされるように位置付けられている。4つ以上の極のシフトされた境界は、磁石リングの特徴的なシフトパターンを画定する。本装置は加えて、第2のプラットフォームの第2の側に接続され、かつ4つ以上の極によって生成される磁場の特性を測定することによって測定された磁場パターンを生成するように構成された磁場センサーを含む。本装置は、第2のプラットフォームが第1のプラットフォームに対して回転している間に磁場センサーによって生成されたデータに基づいて、測定された磁場パターンを決定するように構成された回路をさらに含み得る。回路はまた、磁場パターンを特徴的なシフトパターンに相関させることによって、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定するように構成され得る。
【0005】
第2の例示的な実施形態では、磁石リングの4つ以上の極によって生成される第2の磁場と相互作用する第1の磁場を生成することを含む方法が提供されている。磁石リングは、第1のプラットフォームが第2のプラットフォームに対して回転軸の周りを回転するように、第1のプラットフォームに取り付けられている。本方法はまた、第2のプラットフォームに接続された磁場センサーから、第2の磁場の特性を示すデータを受信することを含む。4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界は、磁石リングの周りの4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされている。本方法は加えて、磁場センサーから受信したデータに基づいて磁場パターンを決定することを含む。本方法は、磁場パターンを磁石リングの特徴的なシフトパターンに相関させることによって、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定することをさらに含む。特徴的なシフトパターンは、磁石リングの4つ以上の極のシフトされた境界によって画定される。
【0006】
第3の例示的な実施形態では、コンピューティングデバイスによって実行されるとき、コンピューティングデバイスに動作を行わせる命令をその上に格納した、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が提供されている。動作は、導電性経路を通して電流を流すことによって第1の磁場を生成するための命令を提供することを含む。第1の磁場は、第1のプラットフォームが第2のプラットフォームに対して回転軸の周りを回転するように、第1のプラットフォームに取り付けられた磁石リングの4つ以上の極によって生成される第2の磁場と相互作用する。導電性経路は、第2のプラットフォームに含まれている。動作はまた、第2のプラットフォームに接続された磁場センサーから、第2の磁場の特性を示すデータを受信することを含む。4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界は、磁石リングの周りの4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされている。動作は加えて、磁場センサーから受信したデータに基づいて、磁場パターンを決定することを伴う。動作は、磁場パターンを磁石リングの特徴的なシフトパターンに相関させることによって、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定することをさらに伴う。特徴的なシフトパターンは、磁石リングの4つ以上の極のシフトされた境界によって画定される。
【0007】
第4の例示的な実施形態では、システムは、磁石リングの4つ以上の極によって生成される第2の磁場と相互作用する第1の磁場を生成するための手段を含む。磁石リングは、第1のプラットフォームが第2のプラットフォームに対して回転軸の周りを回転するように、第1のプラットフォームに取り付けられている。第1の磁場を生成することは、第2のプラットフォームに含まれる導電性経路を通して電流を流すことを伴い得る。本システムはまた、第2のプラットフォームに接続された磁場センサーから、第2の磁場の特性を示すデータを受信するための手段を含む。4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界は、磁石リングの周りの4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされている。本システムは加えて、磁場センサーから受信したデータに基づいて、磁場パターンを決定するための手段を含む。本システムは、磁場パターンを磁石リングの特徴的なシフトパターンに相関させることによって、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定するための手段をさらに含む。特徴的なシフトパターンは、磁石リングの4つ以上の極のシフトされた境界によって画定される。
【0008】
上記の概要は、単に例証であり、決して限定することを意図するものではない。上記の例証的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図および以下の詳細な説明ならびに添付の図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例示的な実施形態による、ロータリージョイントを含むデバイスの簡略化されたブロック図である。
【
図2】例示的な実施形態による、ロータリージョイントを含むデバイスの側面図を示す。
【
図3A】例示的な実施形態による、磁石リングを示す。
【
図3B】例示的な実施形態による、磁気リングの極のサイジングを示す。
【
図3C】例示的な実施形態による、磁石リングの特徴的なシフトパターンのグラフを示す。
【
図4】例示的な実施形態による、磁石リングおよび磁場センサーを示す。
【
図5】例示的な実施形態による、複合の特徴的なシフトパターンを示す。
【
図6】例示的な実施形態による、フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例示的な方法、デバイス、およびシステムが、本明細書に記載されている。「例」および「例示的」という語は、本明細書においては、「例、事例、または例証としての役割を果たす」ことを意味するために使用されることを理解されたい。本明細書において「例」または「例示的」であるとして説明されるいずれの実施形態または特徴も、そのように示されない限り、必ずしも他の実施形態または特徴よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。本明細書に提示される主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。
【0011】
したがって、本明細書に記載される例示的な実施形態は、限定的であることを意味するものではない。本明細書に概して記載され、図に例証される本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置され、置き換えられ、組み合わされ、分離され、および設計され得ることが、容易に理解されよう。
【0012】
この説明全体を通して、冠詞「ある(a)」または「ある(an)」は、例示的な実施形態の要素を紹介するために使用される。「ある(a)」または「ある(an)」への言及は「少なくとも1つ」を指し、「その(the)」への言及は、特に明記されていない限り、または特に文脈で明確に指示しない限り、「少なくとも1つ」を指す。少なくとも2つの用語の記述されたリスト内で接続詞「または」を使用する目的は、リストされた用語のいずれか、またはリストされた用語の任意の組み合わせを示すことである。
【0013】
「第1」、「第2」、「第3」などの序数の使用は、それらの要素の特定の順序を示すのではなく、それぞれの要素を区別することである。この説明の目的のために、「複数(multiple)」および「複数(a plurality of)」という用語は、「2つ以上(two or more)」または「2つ以上(more than one)」を指す。
【0014】
さらに、文脈が異なることを示唆していない限り、これらの図の各図に示されている特徴は、互いに組み合わせて使用することができる。このように、図は、概して、例証されるすべての特徴が実施形態ごとに必要である訳ではないという理解の下に、1つ以上の実施形態全体の構成要素の態様として見るべきである。図において、特に文脈で指示しない限り、同様の記号は通常、同様の構成要素を指している。さらに、特に断りのない限り、図は一定の縮尺で描かれておらず、例証のみを目的として使用されている。さらに、図は単なる代表的なものであり、すべての構成要素が示されているわけではない。例えば、追加の構造構成要素または拘束構成要素が示されない場合がある。
【0015】
加えて、本明細書または特許請求の範囲における要素、ブロック、またはステップの列挙は、明確にするためのものである。したがって、そのような列挙は、これらの要素、ブロック、もしくはステップが特定の配置に固執する、または特定の順序で実行されることを要求または暗示するものとして解釈されるべきではない。
【0016】
I.概要
多くの自動車、ロボット、および産業用デバイスには、相互に回転する構成要素が含まれている。このような構成要素は、互いに回転するように結合された2つのプラットフォームに含まれる場合もあれば、それ自体が2つのプラットフォームを形成する場合もある。例示的なロータリージョイントデバイスは、2つのプラットフォーム間の相対回転に応答して、第1のプラットフォームの第1の側が第2のプラットフォームの第2の側に対して所定の距離内に留まるように配置された2つのプラットフォームを含む。一例では、2つのプラットフォームは、共通軸の周りの2つのプラットフォームのいずれかの回転に応答して2つのプラットフォーム間の重なりを維持するために、それぞれのディスクの共通軸の周りに同心に配置された円形ディスクを含み得る。
【0017】
場合によっては、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの角度位置が重要になり得る。例えば、角度位置は、経時的に追跡される場合、第1のプラットフォームと第2のプラットフォームとの間の相対変位を決定および追跡するために使用され得る。別の例では、この角度位置を使用して、ロボットデバイスの付属物を制御するか、自動車のセンサーを操縦するか、または他の方法でロータリージョイントを位置付けることができる。例示的な実施形態内において、ずれのある極を備えた磁石リングを第1のプラットフォームに取り付けることができる。極のずれは、第2のプラットフォームに取り付けられ、かつ一方のプラットフォームの他方に対する角度位置を決定するために使用される1つ以上の磁場センサーによって測定され得る。
【0018】
磁石リングは、2つのプラットフォームの回転軸の周りに取り付けることができる。磁石リングは、4つ以上の極を含み得、各々が交互に反対方向(例えば、北-南-北-南)に磁化され、第2のプラットフォームに向いている。一例では、磁石リングは、第2のプラットフォームの第2の側に面している円形ディスクの周囲に沿って(例えば、第1のプラットフォームの第1の側に沿って)配置された複数の永久磁石(例えば、強磁性体など)として実装することができる。この配置では、隣接する磁石は、第2のプラットフォームに面する反対の極性の表面を有し得、したがって、磁場は、隣接する磁石の間に延在し得る。別の例では、磁石リングは、磁石リングの同様の面積にわたって、それぞれ延在する交互の極性を有する印刷されたリング磁石(例えば、磁化された部分を有するリング構造)として実装することができる。例えば、リング磁石は、単体の焼結リング磁石であり得る。さらなる例では、磁石リングは、第2のプラットフォームの第2の側に面している円形ディスクの周囲に沿って配置された複数の電磁石として実装することができる。リング内の隣接する電磁石は、反対方向を有する電流で駆動することができ、それによって、磁石リングの同様の面積にわたって、それぞれ延在する交互の磁気極性を作成することができる。
【0019】
各2つの隣接する極の間の境界は、これらの2つの隣接する極の対応する公称境界に対してずれる(例えば、シフトする)ことがある。公称境界は、磁石リングの円周の周りの極境界の均一な間隔によって画定される基準点であり得る。したがって、ずれのある極は、異なるサイズを有する4つ以上の磁極によって形成され得、その結果、各極が同じサイズである場合に境界が存在する場所に対して、それらの間の境界がシフトする。
【0020】
ずれまたはシフトのサイズは、磁石リングの経年劣化または応力により、予想されるドリフトよりも大きくなるように選択され得る。磁石リングがモーターの一部として使用される場合(例えば、その回転子を形成する場合)、各極のずれのサイズは、最大閾値よりも小さくなり得る。モーターは、磁極の回転対称分布を期待することがあるため、最大閾値は、モーターの性能に大きな影響を与えないように十分に小さくなり得る。例えば、最大閾値は、モーターの磁極およびコイルが、ずれによって導入される回転非対称性のために磁石リングの周囲のまわりに所望の位相関係を有さないため、モーターの振動(例えば、特定の振幅を超える)を引き起こさないように、または、モータートルクを低下させないように、十分に小さい場合がある。特に、そのような場合、デバイスは、同じ磁石リングを使用しながら、電気モーターおよび磁気エンコーダの機能を組み合わせることができる。
【0021】
シフトされた極の境界は、磁石リングの特徴的なシフトパターンを画定し得る。この特徴的なシフトパターンは、磁石リングに伴って使用される制御システムまたは回路に知られ得、磁石リングの回転位置を決定する際の基準として使用され得る。すなわち、1つ以上の磁場センサーを使用して、回転中の磁石リングの磁場パターンを測定し得る。この測定された磁場パターン、またはその態様は、それらの間のオフセットを決定するために、特徴的なシフトパターンと相関(例えば、相互相関)され得る。測定されたパターンと特徴的なパターンとの間のオフセットは、測定されたパターン中の異なる点でのセンサーに対する磁石リングの相対的な位置を示し得る。すなわち、オフセットは、特徴的なシフトパターンに基づいて、どの極が測定された磁場パターンに関連付けられているかを識別し得る。
【0022】
相関は、測定された磁場パターンと特徴的なシフトパターンとの間のスライディングドット積(例えば、相互相関)を計算することを伴い得る。測定された磁場パターンと特徴的なシフトパターンとが、磁石リングの位置を正しく示すように整列されている場合、それらの間のドット積の値は、スライディングドット積の他の計算値よりも高くなり得る。しかしながら、ノイズが存在する場合、スライディングドット積の最高値と他の計算値との間の差が小さくなり得る。場合によっては、これは、磁石リングの位置を誤って示す誤検知一致につながることがある。
【0023】
したがって、特徴的なシフトパターンは、(i)自己相関の最高値と(i)自己相関の任意の他の値との間に大きな差がある自己相関を有するように選択され得る。すなわち、特徴的なシフトパターンの自己相関は、顕著にピークに達し得、特徴的なシフトパターンがそれ自体と整列しているときに高い値を有し、特徴的なシフトパターンがそれ自体と整列していないときに著しく低い値を有する。したがって、この特徴的なシフトパターンは、測定された磁場(ノイズが重ね合わされた特徴的なシフトパターンの遅延バージョンを表す)がそれと高度に相関するときを正確に示すことができ得る。
【0024】
測定された磁場パターンと特徴的なシフトパターンとの相関を計算するとき、極境界を横切る各遷移の方向を考慮に入れることができる。すなわち、回路または制御システムは、測定された磁場パターン内の特定の遷移が、北から南への遷移(例えば、立ち下がり遷移)であるか、南から北への遷移(例えば、立ち上がり遷移)であるかを決定し得る。特徴的なシフトパターンは、同様に各遷移の方向を反映し得る。したがって、相関の計算は、測定された磁場パターン内の立ち上がり遷移および立ち下がり遷移を、それぞれ、特徴的なパターン内の立ち上がり遷移および立ち下がり遷移と比較することによって単純化され得る。言い換えると、測定された磁場パターン内の立ち下がり遷移は、特徴的なパターンにおける立ち上がり遷移と比較されないことがあり、その逆も同様である。
【0025】
いくつかの実装形態では、磁石リングの位置は、複数の磁場センサーによって監視され得る。磁場センサーを1つだけ使用する場合、磁石リングは、その位置が決定され得る前に、全回転の第1の部分または全回転を完了する必要があり得る。一方、複数のセンサーを使用する場合、磁石リングは、その位置が決定され得る前に、この全回転の第2の、より小さな部分だけ回転しさえすればよく、このため遷移の完全なパターンがより早く観察できる。加えて、複数の磁場センサーは、磁石リングの位置においてより高い分解能を提供し、この位置を決定する際に使用される補間の範囲を減らし、磁場センサーによって拾われたノイズの影響を軽減するために平均化され得る追加のデータストリームを提供し得る。
【0026】
そのために、磁石リングの周りの複数の磁場センサーの特定の分布は、これらのセンサーの各々からの信号の組み合わせに基づいて形成される特定の複合の特徴的なパターンをもたらすことが期待され得る。これらのセンサーは、回転中に磁石リングを監視するために使用され得、各々がそれぞれの磁場パターンを検出し得る。検出された磁場パターンは、複合磁場パターンに組み合わされ得、次に、複合の特徴的なシフトパターンと相関されて、磁石リングの位置を決定し得る。
【0027】
一例では、磁場センサーは、非対称配置で磁石リングの周りに配設され得る。結果として、生成された複合磁場パターンは、非周期的であり得る(すなわち、その1周期内に繰り返しパターンを含まない場合がある)。したがって、複合磁場パターンを生成するとき、各それぞれの磁場パターンのソースは無視され得る。つまり、相関は、どのセンサーが特定の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを生成したかを考慮しない場合がある。他方、センサーが磁石リングの周りに対称的に配置される場合、複合磁場パターンは周期的であり得る(すなわち、その1周期内に繰り返しパターンを含み得る)。したがって、各立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのソースセンサーは追跡され得、相関により、複合磁場パターン内の異なる繰り返しパターンを互いに明確にすることを可能にする。
【0028】
II.ロータリージョイントの例
図1は、ロータリージョイントを含むデバイス100の簡略化されたブロック図である。図示のように、デバイス100は、第1のプラットフォーム110および第2のプラットフォーム130を含む。第1のプラットフォーム110は、回転子または他の可動構成要素を備えるか、またはそれらに結合され得る。例えば、プラットフォーム110は、プラットフォーム130に対して、およびプラットフォーム110の回転軸(例えば、回転子軸)を中心に回転するように構成され得る。したがって、プラットフォーム110は、ロータリージョイント構成における回転プラットフォームとして構成することができる。図示のように、プラットフォーム110は、センサー112、コントローラ114、通信インターフェース116、電力インターフェース118、および1つ以上の磁石120を含む。
【0029】
いくつかの例では、プラットフォーム110は、プラットフォーム110の様々な構成要素を支持するおよび/または取り付けるのに適した任意の固体材料を含み得る。例えば、プラットフォーム110は、通信インターフェース116および/またはプラットフォーム110の他の構成要素を実装するプリント回路基板(PCB)を含み得る。この場合のPCBはまた、プラットフォーム110の構成要素(例えば、センサー112、コントローラ114、通信インターフェース116、電力インターフェース118など)のうちの1つ以上を互いに電気的に結合する回路(図示せず)も含むことができる。この場合のPCBは、実装された構成要素が、プラットフォーム130の対応する側に面するか、または対向するプラットフォーム110の側に沿うように位置付けることができる。この構成では、例えば、プラットフォーム110および130は、プラットフォーム130に対するプラットフォーム110の回転に応答して、互いに所与の距離内に留まり得る。
【0030】
センサー112は、プラットフォーム110に取り付けられたセンサーの任意の組み合わせを含み得る。例示的なセンサーの非包括的なリストは、他の例の中でもとりわけ、方向センサー(例えば、ジャイロスコープ、加速度計など)、リモートセンシングデバイス(例えば、RADAR、LIDARなど)、音センサー(例えば、マイクロフォン)を含み得る。
【0031】
コントローラ114は、第1のプラットフォーム110の構成要素のうちの1つ以上を動作させるように構成され得る。そのために、コントローラ114は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、データストレージ、論理回路、および/またはデバイス100の1つ以上の構成要素を動作させるように構成された任意の他の回路の任意の組み合わせを含み得る。一実装形態では、コントローラ114は、データストレージに格納された命令を実行してセンサー112、インターフェース116 などを動作させる1つ以上のプロセッサを含む。別の実装形態では、コントローラ114は、代替的または追加的に、デバイス100の1つ以上の構成要素を動作させるために本明細書に記載の機能およびプロセスの1つ以上を行うように配線された回路を含む。一例では、コントローラ114は、センサー112によって収集されたセンサーデータを受信し、センサーデータを示す変調された電気信号を通信インターフェース116に提供するように構成することができる。例えば、センサーデータは、測定された配向、周辺環境のスキャン、検出された音、および/またはセンサー112の任意の他のセンサー出力を示し得る。
【0032】
通信インターフェース116は、プラットフォーム110と130との間でデータおよび/または命令を送信および/または受信するように構成された無線または有線通信構成要素(例えば、送信機、受信機、アンテナ、光源、光検出器など)の任意の組み合わせを含み得る。通信インターフェース116が光通信インターフェースである一例では、インターフェース116は、プラットフォーム130に含まれる光検出器による受信のために変調光信号102を放出するように構成された1つ以上の光源を含み得る。例えば、信号102は、センサー112によって収集されたセンサーデータを示し得る。さらに、この例では、インターフェース116は、プラットフォーム130から放出された変調光信号104を受信するための光検出器を含み得る。例えば、信号104は、センサー112および/またはプラットフォーム110に結合された任意の他の構成要素を動作させるための命令を示し得る。この場合、コントローラ114は、インターフェース116を介して検出された受信された命令に基づいて、センサー112を動作させることができる。
【0033】
電力インターフェース118は、プラットフォーム110と130との間の電力の無線(または有線)伝達のために構成された1つ以上の構成要素を含み得る。例として、インターフェース118は、トランスコイルを通って延在する磁束を受け取るように配置されたトランスコイル(複数可)(図示せず)を含み、プラットフォーム110の1つ以上の構成要素(例えば、センサー112、コントローラ114、通信インターフェース116など)に電力供給するための電流を誘導し得る。例えば、トランスコイルは、プラットフォーム130に含まれる対応するトランスコイルに対向するプラットフォーム110の中央領域の周りに配置することができる。さらに、例えば、デバイス100はまた、インターフェース118内のトランスコイル(および/またはプラットフォーム130に含まれるトランスコイル)を通って延在する磁気コア(図示せず)も含み、それぞれのトランスコイルを通る磁束を誘導し、それにより、2つのプラットフォーム間の電力伝達の効率を向上させ得る。他の構成も同様に可能である。
【0034】
磁石(複数可)120は、鉄、強磁性化合物、フェライトなど強磁性材料、および/または磁化されてプラットフォーム110の第1のプラットフォーム磁場を生成する任意の他の材料から形成することができる。例えば、磁石(複数可)120は、ネオジム-鉄-ホウ素(NdFeB)磁石であり得る。別の例では、磁石(複数可)120は、その組成物中に鉄を含まない場合があり、したがって、他の可能性の中でも、例えば、アルミニウム-ニッケル-コバルト(AlNiCo)磁石であり得る。
【0035】
一実装形態では、磁石120は、プラットフォーム110の回転軸の周りに実質的に円形配置にある複数の磁石として実装することができる。例えば、磁石120は、回転軸に同心である円に沿って配置されて、プラットフォーム130に向かっておよび/またはプラットフォーム130を通って延在する結合磁場を生成することができる。さらに、例えば、磁石120の隣接する磁石は、プラットフォーム130に面している所与の磁石の表面に沿った所与の磁石の磁極が、同様の表面に沿った隣接する磁石の磁極と反対になるように交互方向に磁化され得る。例えば、この配置では、磁場は、所与の磁石の表面からプラットフォーム130に向かって、次いで、隣接する磁石の表面に向かって延在し得る。さらに、別の磁場は、所与の磁石の表面からプラットフォーム130に向かって、次いで、別の隣接する磁石に向かって延在し得る。
【0036】
別の実装形態では、磁石120は、第1のプラットフォームの回転軸と同心である単一のリング磁石として実装することができる。この実装形態では、リング磁石は、上記の複数の磁石と同様の磁化パターンを有するように磁化され得る。例えば、リング磁石は、複数のリングセクタ(例えば、それぞれの放射軸間のリング磁石の領域)を有するプリント磁石として実装され得る。この例では、リング磁石の隣接するリングセクタを交互方向に磁化して、プラットフォーム130に面する複数の交互の磁極を画定し得る。
【0037】
さらなる実装形態では、磁石120は、プラットフォーム110の回転軸の周りに実質的に円形配置にある複数の電磁石として実装することができる。この実装形態では、電磁石は、上記の複数の磁石の磁化パターンと同様の磁化パターンを有するように磁化され得る(例えば、特定の方向を有する電流で駆動されて)。例えば、実質的に円形配置の隣接する電磁石は、交互の方向に磁化されて、プラットフォーム130に面する複数の交互の磁極を画定し得る。
【0038】
第2のプラットフォーム130は、ロータリージョイント構成にある固定子プラットフォームとして構成され得る。例えば、プラットフォーム110の回転軸は、プラットフォーム110が、プラットフォーム130に対して所与の距離内に留まりながらプラットフォーム130に対して回転するように、プラットフォーム130を通って延在することができる。示されるように、プラットフォーム130は、コントローラ134、通信インターフェース136、電力インターフェース138、導電性構造140、回路150、および磁場センサー190を含む。そのために、プラットフォーム130は、プラットフォーム130に取り付けられた、または他の方法で結合された様々な構成要素を支持するのに適した固体材料の任意の組み合わせから形成することができる。いくつかの例では、プラットフォーム130は、デバイス100の1つ以上の構成要素(例えば、インターフェース136、138、センサー190など)を実装する回路基板を含み得る。
【0039】
コントローラ134は、例えば、コントローラ114と同様に、様々な物理的な実装(例えば、プロセッサ、論理回路、アナログ回路、データストレージなど)を有することができる。さらに、コントローラ134は、例えば、それぞれ、コントローラ114、通信インターフェース116、および信号102と同様に、通信インターフェース136を動作させて、データまたは命令の送信を示す信号104を送信し得る。例えば、コントローラ134は、インターフェース136(例えば、トランシーバ、アンテナ、光源など)を動作させて、センサー112および/またはプラットフォーム110の任意の他の構成要素を動作させるための命令を示す変調無線信号を提供し得る。さらに、例えば、コントローラ134は、インターフェース136から、プラットフォーム110から送信された変調信号102を示す変調電気信号を受信し得る。
【0040】
通信インターフェース136は、インターフェース116と同様に実装され、信号102および104を介したプラットフォーム110と130との間の通信を容易にし得る。
【0041】
電力インターフェース138は、電力インターフェース118と同様に構成され得、したがって、電力インターフェース118と共に動作されて、プラットフォーム110と130との間の電力の伝達を容易にし得る。例として、インターフェース138は、トランスコイル(図示せず)を備え得、コントローラ134は、トランスコイルを通して電流を流すように構成され得る。次に、電流は、電力インターフェース118の対応するトランスコイル(図示せず)を通って延在する磁束を生成して、対応するトランスコイルを通る電流を誘導し得る。したがって、誘導された電流は、プラットフォーム110の1つ以上の構成要素に電力を提供することができる。
【0042】
導電性構造140は、一緒に電気的に結合されて、プラットフォーム110の回転軸の周りに延在する導電性経路を画定して、磁石(複数可)120によって生成された第1のプラットフォーム磁場と重なる、導電性材料(例えば、銅、他の金属など)の部分を含み得る。例として、導電性構造140は、プラットフォーム110の回転軸と同心である円に沿った第1の同一平面の配置で第1の複数の導電性構造を含み得る。さらに、この例では、導電性構造140はまた、第1の複数の導電性構造に平行に重なり合うように、第2の同一平面の配置で第2の複数の導電性構造を含み得る。例えば、回路基板の実装において、第1の複数の導電性構造は、回路基板の単層に沿って配設またはパターン化され得、第2の複数の導電性構造は、回路基板の別の層に沿って配設またはパターン化され得る。
【0043】
上記の例を続けると、デバイス100はまた、例えば、回路基板の2つの層間のドリル穴(例えば、ビア)を通って延在する導電性材料などの複数の電気接点(図示せず)を含むことができる。電気接点は、第1の複数の導電性構造を第2の複数の導電性構造に結合して、第1のプラットフォームの磁石(複数可)120の円形配置と重なるように回転軸の周りに延在する1つ以上の導電性コイルを画定し得る。次に、回路150(および/またはコントローラ134)は、1つ以上の電流を1つ以上のコイルを通して流し、1つ以上のコイル内に延在する第2のプラットフォーム磁場を生成することができる。次に、第1のプラットフォーム磁場は、第2のプラットフォーム磁場と相互作用して、プラットフォーム110に作用する力またはトルクを提供することができる。次に、誘導された力は、プラットフォーム110をその回転軸の周りで回転させ得る。さらに、場合によっては、回路150(および/またはコントローラ134)は、コイル(複数可)を通して流れる電流(複数可)を調整することによって、第2のプラットフォーム磁場を変調することができる。そうすることにより、例えば、デバイス100は、回転軸を中心としたプラットフォーム110の回転方向または回転速度を制御することができる。
【0044】
したがって、回路150は、配線、導電性材料、コンデンサ、抵抗器、増幅器、フィルタ、コンパレータ、電圧レギュレータ、コントローラの任意の組み合わせ、ならびに/または導電性構造140を通って流れる電流(複数可)を提供および変調するように構成された任意の他の回路を含み得る。例えば、回路150は、電流(複数可)を調整して、第2のプラットフォーム磁場を変更し、それによって、回転するプラットフォーム110の特定の回転特性(例えば、方向、速度など)を達成するように構成され得る。
【0045】
磁場センサー190は、磁石(複数可)120に関連付けられた第1のプラットフォーム磁場の1つ以上の特性(例えば、方向、角度、大きさ、磁束密度など)を測定するように構成され得る。例えば、センサー190は、磁石(複数可)120および/または第1のプラットフォーム磁場に重なるように配置された1つ以上の磁力計を含み得る。例示的なセンサーの非包括的なリストは、他の例の中でもとりわけ、プロトン磁力計、オーバーハウザー効果センサー、セシウム蒸気センサー、カリウム蒸気センサー、回転コイルセンサー、ホール効果センサー、磁気抵抗素子センサー、フラックスゲート磁力計、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサー、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)センサー、スピン交換緩和フリー(SERF)原子センサーを含む。一実装形態では、センサー190は、直交座標系表現(例えば、xyz軸構成要素)または他のベクトル場表現に従って、センサー190の位置における第1のプラットフォーム磁場の角度(および/または大きさ)の指示を出力する3次元(3D)ホール効果センサーを含み得る。
【0046】
したがって、デバイス100は、回転軸の周りのプラットフォーム110の配向または位置を決定するための基礎として、センサー190からの出力(複数可)を使用することができる。例として、センサー190は、磁石(複数可)120のうちの2つの隣接する磁石の間に延在する第1のプラットフォーム磁場の一部分と重なるように位置付けられ得る。第1のプラットフォーム110が回転すると、その部分の角度がセンサー190の位置において変化し得るため、回路150(および/またはコントローラ134)は、センサー190からの出力をサンプリングして、2つの隣接する磁石に対するセンサー190の位置を推定することができる。
【0047】
したがって、この構成では、デバイス100は、プラットフォーム110を作動させることと、プラットフォーム110(例えば、磁気エンコーダ)の配向を測定することの両方ための構成要素(複数可)として磁石(複数可)120を使用することができる。この構成により、コストが削減され、よりコンパクトな設計のアクチュエータおよび磁気エンコーダが提供され得る。
【0048】
いくつかの実装形態では、デバイス100は、示されたものよりも少ないまたは多い構成要素を含み得る。一例では、デバイス100は、センサー190、および/または示された任意の他の構成要素なしで実装することができる。別の例では、プラットフォーム110および/または130は、追加のまたは代替のセンサー(例えば、マイクロフォンなど)、コンピューティングサブシステム、および/または任意の他の構成要素を含み得る。加えて、示された様々な機能ブロックは、示されたものとは異なる配置で配置され得るか、または組み合わされ得ることに留意されたい。例えば、プラットフォーム110に含まれる構成要素のいくつかは、代替的に、プラットフォーム130に含まれ得るか、またはデバイス100の別個の構成要素として実装され得る。
【0049】
図2は、ロータリージョイントを含むデバイス200の側面図を示す。示されるように、デバイス200は、それぞれプラットフォーム110および130と同様であり得る回転子プラットフォーム210および固定子プラットフォーム230を含む。示された例では、プラットフォーム210の側210aは、プラットフォーム230の側230aに対して所与の距離208に位置付けられている。プラットフォーム210は、回転軸206を中心に回転する回転子プラットフォームとして構成することができる。さらに、プラットフォーム230は、軸206を中心としたプラットフォーム210の回転に応答して、プラットフォーム210に対して距離208内に留まる固定子プラットフォームとして構成することができる。いくつかの例では、側210aは、プラットフォーム210の平坦な取り付け面(例えば、回路基板の外層)に対応し得る。同様に、例えば、側230aは、プラットフォーム230の平坦な取り付け面に対応し得る。
【0050】
III.ずれのある極を備えた磁石リングの例
図3Aは、ずれのある極を有する磁石リング300を図示する。具体的には、
図3Aは、例えば、プラットフォーム230の側230aに配設され得る磁石リング300の上面図を図示する。あるいは、磁石リング300は、リング磁石、磁気リング、または単にリングと呼ばれることもある。この例では、磁石リング300は、8つの磁極302、304、306、308、310、312、314、および316(すなわち、極302~316)を含む。極302、306、310、および314は、それぞれの北極(「N」)がページの外側を向くように(すなわち、プラットフォーム230からプラットフォーム210に向かって上向きに)磁化されている。他方、極304、308、312、および316は、それぞれの南極(「S」)がページの外側を向くように(すなわち、プラットフォーム230から下向きに)磁化されている。この例では、磁石リング300は8つの磁極を含むが、磁極の数は、例えば、磁石リング300のサイズに応じて、4極から数百または数千極の範囲であり得ることが理解されるべきである。極302~316は、個別の磁石によって、リング磁石のリングセクタによって、または電磁石によって画定され得る。
【0051】
極302~316の隣接する極(例えば、極302および極304)の間の境界がずれている。つまり、境界は、各極のサイズが等しい場合に、境界がある場所を基準にしてシフトされている。別の言い方をすれば、極302~316の各々は、わずかに異なるサイズを有し、その結果、磁石リング300の周りの極境界の不均一な間隔(すなわち、非対称の分布)が生じている。
【0052】
図3Aにおいて、線320、322、324、326、328、330、332、および334(つまり、線320~334)は、極302~316の各々が同じサイズだった場合、極の境界がどこにあるかを示している。つまり、線320~334は、磁石リング300に沿った等間隔の極境界(すなわち、対称分布)を示している。線320~334によって画定される境界は、名目上の境界と呼ばれることがある。しかしながら、磁石リング300において、極302~316における隣接する極間の実際の境界の各々は、公称境界320~334における対応する公称境界に対してそれぞれの量だけシフトされ、それによって、極境界の特徴的なシフトパターンを画定する。例えば、極304は、線322の前に始まり、線324の後に終わるが、そのようなずれがなければ、極304は、線322で始まり、線324で終わる。
【0053】
極302~316の間の遷移または境界におけるそれぞれのシフトのパターンは、それに対して回転する別の構造に対する磁石リング300の回転位置を決定するために使用され得る。具体的には、動作中に、隣接する極間の遷移を磁場センサーによって測定することができる。次に、測定された遷移を、磁石リング300の既知の遷移パターンと比較して、以下でより詳細に説明するように、その回転位置を特定し得る。例えば、プラットフォーム210に対するプラットフォーム230(磁石リング300が結合され得る)の位置が決定され得る。
【0054】
図3Bは、
図3Aに示した極境界の分布をまとめた表を示す。すなわち、
図3Bは、2つの隣接する極間の遷移(すなわち、境界)、その境界に対応する公称遷移角度、公称遷移角度に対する実際の極境界のシフト、および結果として生じる極サイズを示す列を示す。すなわち、極316から極302への第1の遷移は、0度の公称遷移角度(線320に対応する)を有し、公称遷移角度に対して+1度シフトだけされている。これにより、極302の実際の遷移角度は1度、極サイズは43度になる。極302から極304への第2の遷移は、45度の公称遷移角度(線322に対応する)を有し、公称遷移角度に対して-1度だけシフトされている。これにより、極304の実際の遷移角度は44度、極サイズは47度になる。
【0055】
同様に、極304から極306への第3の遷移は、90度の公称遷移角度(線324に対応)を有し、+1度だけシフトされており、その結果、極306の実際の遷移角度は91度、極サイズは45度になる。極306から極308への第4の遷移は、135度の公称遷移角度(線326に対応)を有し、+1度だけシフトされており、その結果、極308の実際の遷移角度は136度、極サイズは43度になる。極308から極310への第5の遷移は、180度の公称遷移角度(線328に対応)を有し、-1度だけシフトされており、その結果、極310の実際の遷移角度は179度、極サイズは45度になる。極310から極312への第6の遷移は、225度の公称遷移角度(線330に対応)を有し、-1度だけシフトされており、その結果、極312の実際の遷移角度は224度、極サイズは47度になる。極312から極314への第7の遷移は、270度の公称遷移角度(線332に対応)を有し、+1度だけシフトされており、その結果、極314の実際の遷移角度は271度、極サイズは45度になる。最後に、極314から極316への第8の遷移は、315度の公称遷移角度(線334に対応)を有し、+1度だけシフトされており、その結果、極316の実際の遷移角度は316度、極サイズは45度になる。
【0056】
いくつかの実施形態では、シフトされる極境界の総数の割合は、
図3Aおよび
図3Bに示されるものよりも小さくてもよい。つまり、一部の極境界はシフトされ得るが、他の極境界はそれぞれの公称位置に留まる。一例では、極境界のうちの1つ以上はシフトされ得るが、残りの極境界はそれらの公称位置に留まる。特に、シフトされる極境界の数を増やすと、極境界の位置決めでの製造上のバラツキおよび磁石リング300の経年劣化または応力による極境界のドリフトに対して磁石リング300をより弾力性のあるものとする。加えて、シフトされる極境界の数を増やすことは、磁石リング300の回転位置が、さもなければシフトされた極境界の数が少ない場合に可能であるよりも、その全回転のより小さなサブセットに基づいて決定されることを可能にする。
【0057】
いくつかの実施形態では、他のシフト値を各遷移に使用することができる。すなわち、遷移は、1度を超えてシフトまたはずれる場合がある。モーターの一部として磁石リング300を使用する実装形態において(すなわち、磁石リング300がモーターの固定子である場合)、ずれの量は、所望のモーター性能によって部分的に決定される場合がある。すなわち、モーターは、極302~316がリングの周りに対称的に分布するように、磁石リング300がずれを含まない場合に、最良に動作し得る。例えば、コントローラ134は、極302~316が等しいサイズであり、したがって、それらの間の境界が均一に間隔を置いて配置されていると想定する電流パターンで導電性構造140を駆動し得る。ずれが大きいと、電流パターンが極302~316の間隔と一致しない結果となり得、その結果、望ましくないモーターの動作(例えば、振動、出力トルクの変動など)を引き起こす。それにもかかわらず、いくらかのずれ(例えば、最大3度)は、モーターの性能に感知できるほどの影響を与えないかもしれず、磁石リング300の位置の決定を可能にする場合がある。
【0058】
特に、シフト値は、モーターによって生成される逆電磁力(すなわち、逆起電力)パターンが、遷移のずれによって影響を受けない(例えば、磁石リング300にずれが存在しなかった場合と同じである)ように選択され得る。例えば、シフト値は、逆起電力が磁石リング300の複数の対応する極と相互作用する複数のコイル(モーターを形成する)にわたって合計されるとき、逆起電力パターンが複数の極にわたって一定のままであるように選択され得る。磁石右300を構成する極の数が増えると、モーターの性能パラメータ(例えば、トルク、振動、逆起電力など)に対する遷移ずれの影響が減少し得る。
【0059】
各境界に含まれるずれの量は、極302~316の間の境界の予想されるドリフトに基づくこともできる。すなわち、境界は、磁石リング300が経年変化し、機械的摂動を経験し、および/またはそのようなドリフトを引き起こす他の状態を経験するにつれて、磁石リング300の寿命にわたって元の位置からドリフトすることがある。境界はまた、磁石リング300の製造プロセスの変動のために、それらの意図された(ずれのある)位置から変化し得る。したがって、ずれの量は、境界の位置における予想される最大ドリフトまたは製造のばらつきよりも大きくなるように選択することができる。例えば、ずれの量は、予想される最大ドリフトまたは製造のばらつきよりも10倍大きくなるように選択され、したがって、磁石リング300の経年変化および製造のばらつきによるノイズの影響を軽減し得る。あるいは、別の例では、ずれの量は、平均的な予想されるドリフトまたは製造のばらつきよりも5倍大きくなるように選択され得る。
【0060】
隣接する極間のずれ遷移は、1つ以上の磁場センサーによって動作中に検出され得る。検出されたずれパターンは、磁気リング300の既知のずれパターン(すなわち、特徴的なシフトパターン)と相関させて、したがって、磁場センサーおよびこのセンサーが結合されている任意の構造に対する磁石リング300の位置を決定するために使用され得る。そのために、
図3Cは、磁石リング300に対応する既知のずれパターンを図示している。すなわち、
図3Cの上部および下部のチャートは、それぞれ、磁石リング300の角度位置および時間の関数としての磁場センサーの予想される応答を図示している。
【0061】
図3Cは、破線の公称遷移角度と矢印の付いた実線の実際の遷移角度とを図示している。つまり、南から北への遷移は上向きの矢印の線として示され、一方、反対の遷移は下向きの矢印の線として示されている。任意の2つの隣接する極について、公称境界と実際の境界との間の違い(つまり、シフト量)は、矢印の付いた線とそれに最も近い破線との間の水平距離によって視覚的に図示されている。下部のチャートのタイムスタンプは、磁気リング300の回転周期τの関数として表されている。したがって、1周期は360度に対応し、半周期は180度に対応し、4分の1周期は90度に対応する、等々。
【0062】
特に、
図3Cに示されるチャートは、磁石リング300が一定の角速度で回転するときの磁場センサーの予想される応答を図示している。場合によっては、角速度が一定でない、または実質的に一定でない(すなわち、角加速度が閾値未満である)場合、特徴的なパターンは、磁石リング300の角度位置を決定するために使用できない場合がある。つまり、角速度が少なくとも実質的に一定でない場合、2つの極間の境界で観測されたシフトは、極のずれではなく速度の変化によって引き起こされる場合がある。しかしながら、境界において観察されるシフトは、それにもかかわらず、磁石リング300の2つ以上の回転にわたって一緒に平均化され、したがって、その回転速度が実質的に一定でない場合も、磁石リング300の位置を決定することを可能にし得る。
【0063】
IV.ずれパターンの選択例
磁石リング300の回転位置を決定することは、一定期間にわたって磁場センサーによって観察される磁場の変化を監視することを伴い得る。具体的には、磁場センサーによって観察される各立ち上がりエッジ(すなわち、南から北への遷移)および立ち下がりエッジ(すなわち、北から南への遷移)について、磁石リング300を利用するシステムまたはデバイスに関連付けられた回路または制御システム(例えば、コントローラ114または134)は、それぞれ北極または南極を示す出力値が維持される期間を決定するように構成され得る。例えば、磁場センサーの出力が方形波として表される場合、回路は、この方形波のそれぞれの高い部分および低い部分の持続時間をカウントするように構成され得る。これらの持続時間は、n個の検出された遷移の各々についてt(n)として表すことができる。あるいは、いくつかの実装形態では、各立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの時間が決定され得る。次に、連続する立ち上がりエッジおよび/または立ち下がりエッジ間の時間の長さは、連続するエッジ間の時間の量に基づいて決定され、それによって、方形波の高い値および低い値の測定された持続時間と同様の情報を提供することができる。
【0064】
磁気リング300は一定の角速度で回転するので、対応する角距離a(n)は、持続時間t(n)の各々について決定され得る。すなわち、a(n)=360°x f x t(n)であり、ここでfはヘルツ単位の回転周波数を表し、a(n)は度単位の角距離を表す。次に、この角距離を使用して、検出された遷移の測定されたシフトパターンb(n)を決定し得る。すなわち、b(n)=a(n)-360/kであり、ここで、kは、磁石リング300の極数を表す。測定されたシフトパターンb(n)は、ε(n)として表される磁気リング300の特徴的なシフトパターンと相関し得る。具体的には、ε(n)信号の複数の遅延バージョンをb(n)信号と比較することができる。この操作は、相互相関、スライディングドット積、またはb(n)とε(n)との間のスライディング内積と呼ばれることもある。
【0065】
【数1】
(「式1」)を計算することによって、測定されたシフトパターンと特徴的なシフトパターンとの間の最小の差を生成するmの値が決定され得る。このmの値は、(i)
図3Aの極302と304との間の遷移、および(ii)測定されたシーケンスの第1の遷移を分離する極数を表し、それにより、磁場センサーに対する磁気リング300の実際の角度位置を示す。特に、ユークリッドノルム以外のノルムは、式1の代替式で使用され得る。
【0066】
測定されたシフトb(n)は、ノイズが重ね合わされたε(n)の遅延バージョンを表す。すなわち、磁場センサーによって測定された量は、磁石リング300の予想される磁場パターンを反映するが、実際の動作条件によるノイズも含む。したがって、上記の式1を最小化するmの値は、(i)ε(n)とそれ自体の積が高い値を有する、(ii)ε(n)とそれ自体のタイムシフトバージョン(例えば、ε(n-m))の積が低い値を有する(すなわち、(i)よりはるかに低い)、および(iii)予想されるノイズが、(i)と(ii)の差よりも小さい、場合を識別するのに最も簡単である。
【0067】
言い換えれば、測定されたシフトパターンを磁石リング300の特徴的なシフトパターンに正確にマッピングし、それによって磁石リング300の実際の位置を検出しやすくするために、特徴的なシフトパターンε(n)は、A(0)が最大化され、A(2m)が最小化される(m≠0の場合)ようなものでなければならない、ここで
【数2】
(「式2」)である。別の言い方をすれば、b(n)とε(n)のタイムシフトバージョンとの間の相関は、測定されたシフトパターンが特徴的なシフトパターンと一致する(すなわち、磁石リング300の位置が正しく検出されている)ように2つが整列されているときに最も高くなるはずであり、2つが整列していない場合は低くなるはずである。
【0068】
特に、A(2m)を最小化することは、測定された立ち上がりエッジが、特徴的なパターンで立ち下がりエッジではなく立ち上がりエッジと比較されることを前提としている。つまり、相関は、立ち上がりエッジと(正の一致を生成することは期待されていない)立ち下がりエッジの比較を回避するために、2のステップサイズで実行される。対照的に、相関が、所与のエッジが立ち上がっているか立ち下がっているかを無視し、代わりに遷移の測定されたシフトを特徴的なシフトパターンの異なるシフトと比較するだけの場合、代わりにA(m)を最小化する必要がある。つまり、相関は1のステップサイズで実行され、エッジが立ち上がっているか立ち下がっているかを無視し、代わりに測定されたシフト値と既知のシフト値との間の類似度に焦点を合わせている。
【0069】
したがって、特徴的なシフトパターンε(n)(例えば、
図3Bの列3)は、式2を使用して選択され得る。具体的には、特徴的なシフトパターンは、(i)ε(n)の自己相関(すなわち、ε(n)とそれ自体との相関)の最大値が第1の閾値を超える、および、(ii)ε(n)の自己相関の2番目に高い値が、第2の閾値よりも小さくなる、ように選択され得る。あるいは、特徴的なシフトパターンの自己相関の最大値と2番目に高い値との間の差が第3の閾値よりも大きくなるように、特徴的なシフトパターンを選択することができる。特に、この第3の閾値は、磁石リング300の位置を正しく識別しながら、システムが許容できるノイズの範囲を表す。
【0070】
特に、特徴的なシフトパターンは、複数の方法で選択され得る。一例では、複数の異なるシフト値を手動で決定し、式2を使用して評価することができる。例えば、各境界でのシフト値は、所望のモーター性能によって指示されるように、2度の最大値を有し得る。組み合わせは、満足のいく組み合わせが見つかるまで手動で生成され得る(例えば、上で説明したように、第3の閾値を超えたもの)。あるいは、候補シフト値は、プログラムによって生成され、コンピューティングデバイスによって評価され得る。第3の閾値を最大量超えるシフト値の組み合わせを選択して、磁石リング300に物理的に実装することができる。さらに別のアプローチは、例えば、数値シミュレーションを通じて式2の最適値を見つけることを伴い得る。他のアプローチは、低自己相関バイナリシーケンスを生成するためのさまざまな手法を適応する場合がある。
【0071】
いくつかの実装形態では、測定されたシフトパターンが特徴的なシフトパターンとうまく相関し、磁石リング300の回転位置が決定されると、追加の相関の頻度が減少することがある。例えば、モーターの始動時に、磁石リング300の絶対位置が、上記の相関プロセスを使用して決定される場合、回転位置は、追加の相関なしに継続して監視され得る。代わりに、磁石リング300の回転位置は、磁場センサーによって検出された立ち上がりおよび立ち下がり遷移のパターンに基づいて監視され得る。しかしながら、相関プロセスは、より低い頻度(例えば、100回転ごと対1回転ごと)で繰り返され、例えば、磁石リング300の位置を検証することができる。
【0072】
V.磁気リングフィンガープリント用のセンサーポジショニングの例
上で論じたように、単一の磁場センサーを使用して、磁石リング300が回転するときの磁場パターンを検出することができる。この磁場パターンを特徴的な磁場パターンと比較して、磁石リング300の回転位置を決定し得る。この比較には、測定された磁場パターンと特徴的なシフトパターンとの間の相関性を計算することを伴い得る。一実装形態では、この計算は、1のステップサイズで実行され得、その結果、検出された各シフト値が、特徴的なシフトパターンに反映された各既知のシフト値と比較され、したがって、特定の遷移が立ち上がり遷移であるか立ち下がり遷移であるかを無視する。
【0073】
別の実装形態では、この計算は、2のステップサイズで実行され得、その結果、(i)特徴的なシフトパターンの立ち上がり遷移に対する測定されたシフトパターンの立ち上がり遷移と、(ii)特徴的なシフトパターンの立ち下がり遷移に対する測定されたシフトパターンの立ち下がり遷移との間の比較がもたらされる。特に、立ち上がり遷移は立ち下がり遷移と比較されなくてもよく、逆もまた同様である。磁石リング300の異なる極によって生成される磁場のそれぞれの方向は交互であるため、2のステップサイズは、このタイプの遷移を意識した比較をもたらす。
【0074】
したがって、そのような遷移を意識した相関は、遷移のタイプを無視する相関として計算するのに約半分の時間を要し得る。さらに、遷移を意識した相関は、(測定されたシフトパターンの遷移が特徴的なシフトパターンの遷移と一致しないために)正しくない可能性のある回転位置を除外するため、誤った回転位置を決定する可能性を低減する。さらに、磁石リング300は、遷移を意識した相関を使用してその位置を決定し得る前に、磁場センサーに対して全回転の大部分を完了する必要がない場合がある(そうでなければ、遷移を意識した比較なしで完了する必要がある)。代わりに、遷移を意識した相関は、完全回転のこの大部分のサブセットを完了した後、磁石リング300の位置を明確に決定することができ得る。
【0075】
加えて、いくつかの実装形態では、磁石リング300を利用するシステムまたはデバイスは、磁石リング300の位置を決定する際に複数の磁場センサーを採用することができる。特に、追加の磁場センサーは、磁石リング300の円周の周りに間隔を置いて配置され得、したがって、所与の時間ウィンドウ内で、または磁石リング300の所与の角変位に対して、単一の磁場センサーよりも多くの極遷移を検出し得る。
【0076】
図4は、磁石リング300の周りの磁場センサー400、402、および404(すなわち、センサー400~404)の例示的な配置を図示する。センサー400~404は、それらが磁石リング300(プラットフォーム230の側230aに接続されている)に対して移動するように、プラットフォーム210の側210aに接続され、したがって、極302~316を横切る磁場の特性の変化を検出し得る。
【0077】
一実施形態では、センサー400は0度に配設され得、センサー402は100度に配設され得、センサー404は220度に配設され得る。すなわち、センサー402は、センサー400から100度だけ離れていてもよく、センサー404は、センサー402から120度だけ離れていてもよく、センサー404は、センサー400から140度だけ離れていてもよい。したがって、磁気リングを140度だけ回転させることにより、センサー400~404は、その上の遷移の各々を集合的に検出することができる。
【0078】
センサー400~404の各々からの信号は、より特徴的なシフトパターンのように、単一の一連の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジに組み合わされ、磁石リング300の回転位置を決定するために使用され得る。
図5は、センサー400~404の各々に対応する個々のパターンから構成される例示的な複合パターンを図示する。すなわち、チャート500は、磁気リングが
図4に示される位置から360度回転されたときに、センサー400によってある期間にわたって測定された磁場パターンを図示する。同様に、チャート502は、磁気リングが
図4に示される位置から360度回転されたときに、センサー402によって同じ期間にわたって測定された磁場パターンを図示する。最後に、チャート504は、磁気リングが
図4に示される位置から360度回転されたときに、センサー404によって同じ期間にわたって測定された磁場パターンを図示する。
【0079】
チャート506は、磁気リングが
図4に示される位置から360度回転されたときに、すべてのセンサー400~404によってこの期間にわたって測定された立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの複合パターンを図示する。すなわち、チャート506は、チャート500~504に示される立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを組み合わせ、センサー400~404によって生成された複合の特徴的なパターンを図示するために、各々を異なる対応する線パターンで示している。チャート506の複合の特徴的なパターンは、磁石リング300のシフトパターンおよび磁場センサー400~404の位置決めに固有である。換言すれば、磁石リング300の特徴的なシフトパターンまたはセンサー400~404のうちの1つ以上の位置のいずれかを変更することは、異なる複合の特徴的なシフトパターンを生成することになる。
【0080】
特に、センサー400~404が、磁石リング300の周りに非対称に間隔を置いて配置されている場合(例えば、互いに120度離れていない)、チャート506の複合の特徴的なパターンは非周期的である。具体的には、特定の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのソースが無視される場合でも(つまり、すべての線が1つのパターンで示されている場合)、特徴的なパターンは非周期的である。その結果、磁場センサー400~404が、磁石リング300の周りに非対称に位置付けられる場合、磁石リング300の角度位置は、各立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのソースに関係なく決定することができる。代わりに、複合パターンは、各信号のソースを追跡することなく、センサー400~404からのすべての信号を組み合わせることによって生成され得る。次に、この複合パターンを、磁石リング300およびセンサー400~404の既知の特徴的な複合パターンと相関させて、センサー400~404に対する磁石リング300の相対位置を決定することができる。
【0081】
立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの両方が、センサー400~404の各々によって追跡される場合、相関は、2より大きいステップサイズで続行され得る。例えば、センサー400~404の各々が1つのエッジを検出すると、3つのエッジの複合パターンが形成される(例えば、立ち上がり~立ち下り~立ち下り)。この検出された複合パターンは、一連の同じ立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを有する既知の複合パターンの部分と相関していることがあるが、このような比較から正の一致が生じるとは予想されないため、一連の異なる立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを有する部分とは比較されないことがある。
【0082】
磁場センサー400~404は、これらのセンサー間に所望の電気的位相差を生成するように、磁石リング300の周りに間隔を置いて配置することができる。例えば、センサー400~404は、それによって生成された方形波が60度だけ位相がずれていると予想されるように間隔を置いて配置するすることができ、一方、センサー400~404は、磁石リング300の周りで機械的に非対称な配置のままである。この実装形態では、測定された複合パターンは、6つのエッジの繰り返しパターン(例えば、立ち上がり~立ち上がり~立ち上がり~立ち下り~立ち下り~立ち下り)を含み得、各エッジは、隣接する極間の予想される公称境界に対する測定されたシフトを反映している。したがって、この検出された複合パターンは、6のステップサイズを使用して既知の複合の特徴的なパターンと相関され得る。
【0083】
いくつかの実装形態では、センサー400~404は、対称的に(例えば、互いに120度離れて)磁石リング300の周りに間隔を置いて配置され得る。そのような場合、複合の特徴的なパターンを使用して、センサー400~404に対する磁石リング300の位置を決定することもできる。しかしながら、センサー400~404の各々によって生成されたパターンは、120度ごとに定期的に繰り返される。例えば、磁石リング300が120度回転すると、センサー402は、第1の出力パターンを生成する。磁石リング300がさらに120度反時計回りに回転すると、センサー400は、第1の出力パターンとほぼ同一の(ノイズは別として)第2の出力パターンを生成する。
【0084】
センサー400~404によって生成された立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの個々のパターンが、各パターンのソースに関係なく組み合わされる場合、結果として生じる複合パターンは、1回の回転中に3回繰り返される周期的な特徴を有する。したがって、センサー400~404が対称的に間隔を置いて配置されているときに磁石リング300の回転位置を決定するために、複合パターンの各信号のソースを追跡することができる。すなわち、相関を計算するときに、各立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジのソースを追跡し、考慮に入れることができる。したがって、全体的な特徴的なパターンは、立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジの所与のパターンを特徴とする繰り返し部分で構成され得るが、この繰り返し部分の異なる事例は、各立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを生成したセンサーを考慮することによって、互いに明確にされ得る。
【0085】
したがって、複数のセンサー400~404を使用することの1つの利点は、さもなければ単一のセンサーを使用する場合に行われ得るのと同じくらい完全な回転の大部分を磁石リング300が完了せずに、磁石リング300の位置を決定する能力である。場合によっては、センサー400~404からのデータは、追加的または代替的に、相関プロセスに冗長性を提供するために使用することができる。すなわち、センサー400~404からの各個々の測定磁場パターンを、特徴的なシフトパターンと個別に相関させて、磁石リング300の同じ位置が3つのセンサーすべてにわたって決定されるか、またはその大部分にわたって決定されるかを決定することができる。したがって、センサーが、さもなければ誤った位置決定につながるノイズを経験する場合、他のセンサーからのデータを使用して、決定された位置が検証または修正されることを可能にすることによって、このノイズの影響を軽減し得る。特に、磁石リング300がブラシレスモーターの一部を形成する場合、センサー400~404からのデータはまた、ブラシレスモーターを形成する導電性コイルの整流シーケンスを決定するために使用することもできる。
【0086】
VI.追加の動作例
図6は、磁石リングの回転位置の決定に関連する動作のフローチャート600を示す。動作は、デバイス100もしくは200のいずれか、または磁石リング300で使用することができる。動作は、例えば、コントローラ114、コントローラ134、または動作を行うように構成されている回路によって実行され得る。
【0087】
ブロック602は、第1のプラットフォームが第2のプラットフォームに対して回転軸の周りを回転するように、第1のプラットフォームに取り付けられた磁石リングの4つ以上の極によって生成される第2の磁場と相互作用する第1の磁場を生成することを伴い得る。
【0088】
ブロック604は、第2のプラットフォームに接続された磁場センサーから、第2の磁場の特性を示すデータを受信することを伴い得る。4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界は、磁石リングの周りの4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される対応する公称境界に対してシフトされている。
【0089】
ブロック606は、磁場センサーから受信したデータに基づいて磁場パターンを決定することを伴い得る。いくつかの実施形態では、磁場パターンは、代替的に、測定された磁場パターンと呼ばれ得る。
【0090】
ブロック608は、磁場パターンを磁石リングの特徴的なシフトパターンに相関させることによって、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定することを伴い得る。特徴的なシフトパターンは、磁石リングの4つ以上の極のシフトされた境界によって画定される。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1の磁場を生成することは、第2のプラットフォームに含まれる導電性経路を通して電流を流すことを伴い得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、回路は、(i)第2のプラットフォームが第1のプラットフォームに対して回転している間に磁場センサーによって生成されたデータに基づいて、磁場パターンを決定し、(ii)特徴的なシフトパターンを測定された磁場パターンと相関させることにより、第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定するように構成され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、4つ以上の磁化された極が、交互に反対方向に磁化され得る。方向は、軸に実質的に平行である第1の方向と、第1の方向と反対の第2の方向とを含み得る。実質的に平行は、例えば、正確に平行から最大10度の偏差を包含し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、4つ以上の極は、k極を含み得る。n番目の極と、時計回りにn番目の極に隣接する後続の極との間の公称境界は、(360n)/(k)で画定され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、4つ以上の極は、偶数の極を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、4つ以上の極の隣接する極間の各それぞれの境界は、特徴的なシフトパターンの選択された自己相関を提供するために、対応する公称境界に対してそれぞれのシフト量だけシフトされ得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、選択された自己相関の最大値は、選択された自己相関の2番目に高い値を少なくとも閾値だけ超え得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、磁石リングの特徴的なシフトパターンは、(i)第1の方向から第2の方向への磁場の方向の変化を表す第1のタイプの遷移、および(ii)第2の方向から第1の方向への磁場の方向の変化を表す第2のタイプの遷移、を含み得る。磁場パターン内の第1および第2のタイプの遷移のパターンを決定することができる。第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置は、(i)特徴的なシフトパターン内の第1のタイプの遷移に対する磁場パターン内の第1のタイプの遷移、および(ii)特徴的なシフトパターン内の第2のタイプの遷移に対する磁場パターン内の第2のタイプの遷移、を相関させることによって決定され得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、第2のプラットフォームは、一定の角速度で第1のプラットフォームに対して回転するように構成され得る。第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置を決定することは、磁場パターン内の2つの隣接する境界の検出の間の期間を決定することを伴い得る。2つの隣接する境界間の角変位は、期間に基づいて決定され得る。2つの隣接する境界のうちの少なくとも1つの測定されたシフトは、(i)角変位と、(ii)磁石リングに沿った4つ以上の極の境界の均一な間隔によって画定される公称極サイズとに基づいて決定され得る。測定されたシフトと、特徴的なシフトパターン内の1つ以上の特徴的なシフトとの間の差を決定することができる。差を最小にする(i)特徴的なシフトパターンと、(ii)磁場パターンとの間のオフセットを決定することができる。オフセットは、磁場センサーに対する磁石リングの角度位置を示し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、磁場センサーは、磁石リングの円周の周りに非対称に配設された複数の磁場センサーを含み得る。磁石リングの複合の特徴的なシフトパターンは、シフトされた境界に基づいて複数の磁場センサーの各々によって検出されることが予想される磁場パターンの組み合わせを含み得る。それぞれの磁場パターンは、複数の磁場センサーの各々について決定され得る。複合磁場パターンは、複数の磁場センサーの各々について決定されたそれぞれの磁場パターンを組み合わせることによって決定され得る。第2のプラットフォームに対する第1のプラットフォームの回転位置は、複合磁場パターンを複合の特徴的なシフトパターンに相関させることによって決定され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、複合の特徴的なシフトパターンは、磁石リングの1回転の間、非周期的であり得る。
【0102】
VII.結論
本開示は、本出願に記載の特定の実施形態に関して限定されるものではなく、特定の実施形態は、様々な態様の例証として意図される。当業者には明らかであるように、多くの変形および変更を本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書において列挙される方法および装置に加えて、本開示の範囲内の機能的に同等の方法および装置は当業者には、これまでの説明から明らかであろう。このような変形および変更は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【0103】
上記の詳細な説明は、添付の図を参照して、開示されたシステム、デバイス、および方法の様々な特徴および機能を説明している。図では、特に文脈で記載しない限り、同様の記号は通常、同様の構成要素を指している。本明細書および図に記載されている例示的な実施形態は、限定することを意図していない。本明細書において提示される主題の趣旨または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行なうことができる。概して本明細書で説明され、かつ図に例証されている、本開示の態様は、多種多様な異なる構成で配置、置換、組み合わせ、分離、および設計することができ、そのすべてが、本明細書において明示的に企図されていることが容易に理解されよう。
【0104】
情報の処理を表すブロックは、本明細書に記載の方法または技法の特定の論理機能を果たすように構成することができる回路に対応し得る。代替的に、または追加的に、情報の処理を表わすブロックは、モジュール、セグメント、またはプログラムコード(関連データを含む)の一部に対応することができる。プログラムコードは、特定の論理機能または動作を方法または技法において実行するプロセッサにより実行可能な1つ以上の命令を含むことができる。プログラムコードまたは関連データは、ディスクまたはハードドライブまたは他の記憶媒体を含むストレージデバイスのような任意のタイプのコンピュータ可読媒体に格納することができる。
【0105】
コンピュータ可読媒体は、レジスタメモリ、プロセッサキャッシュ、およびランダムアクセスメモリ(RAM)のような、データを短期間にわたって格納するコンピュータ可読媒体のような非一時的なコンピュータ可読媒体を含むこともできる。コンピュータ可読媒体は、例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、光ディスクもしくは磁気ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)のような二次的または永続長期ストレージのような、プログラムコードまたはデータを長期間にわたって格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むこともできる。コンピュータ可読媒体は、任意の他の揮発性または不揮発性ストレージシステムとすることもできる。コンピュータ可読媒体は、例えば、コンピュータ可読記憶媒体、または有形のストレージデバイスであると考えることができる。
【0106】
さらに、1つ以上の情報伝達を表わすブロックは、同じ物理デバイス内のソフトウェアまたはハードウェアモジュール間の情報伝達に対応することができる。しかしながら、他の情報伝達は、異なる物理デバイス内のソフトウェアモジュールまたはハードウェアモジュール間で行なうことができる。
【0107】
図に示す特定の配置は、限定としてみなされるべきではない。他の実施形態が、所与の図に示される各要素をそれより多く、またはそれより少なく含み得ることを理解されたい。さらに、図示の要素のうちのいくつかを組み合わせてもよく、省略してもよい。またさらに、例示的な実施形態は、図に示されていない要素を含むことができる。
【0108】
様々な態様および実施形態が本明細書において開示されているが、当業者には、その他の態様および実施形態が明らかであろう。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、例証を目的とするものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示される。