(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】カッターブロッキング防止機能付きヘアカットユニット
(51)【国際特許分類】
B26B 19/14 20060101AFI20220704BHJP
【FI】
B26B19/14 L
(21)【出願番号】P 2021523301
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2019081861
(87)【国際公開番号】W WO2020109094
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-27
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】グラスマイヤー イングマー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ラールテ マルガリータ ズワネット
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03398733(EP,A1)
【文献】特表2015-500123(JP,A)
【文献】特表2002-500543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B19/14-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェービング装置に使用されるヘアカットユニットであって、
前記ヘアカットユニットが、外部切断部材と、回転軸の周りでの回転方向において前記外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材とを有し、
前記内部切断部材が、複数の切断要素を含み、各切断要素は、前記回転軸に対して半径方向に延びるそれぞれの主方向を備える切断エッジを含み、
前記外部切断部材が、前記内部切断部材とは反対側を向いた外面を持つ環状の壁部と、毛髪誘導要素により相互に分離された複数の毛髪入口開口部とを含み、各毛髪入口開口部及び各毛髪誘導要素は、前記回転軸に対して半径方向に延びるそれぞれの主方向を持ち、各毛髪誘導要素が、前記内部切断部材の前記回転方向への回転中に、前記内部切断部材の切断エッジと協働する逆切断エッジを持ち、
各切断要素は、前記毛髪誘導要素に面する上面と、前記回転方向において面する前面とを持ち、前記上面及び前記前面が、それぞれの切断要素の切断エッジで相互に接続され、前記半径方向に垂直に取られたそれぞれの切断要素の断面において、前記前面の法線ベクトルは、前記切断要素から離れる方向で規定され、
各毛髪誘導要素が、前記切断要素に対向する内面と、前記回転方向と反対方向において面する側面とを持ち、前記内面及び前記側面は、それぞれの毛髪誘導要素の逆切断エッジで相互に接続され、前記半径方向に垂直な方向で取られるそれぞれの毛髪誘導要素の断面において、前記側面の法線ベクトルが前記毛髪誘導要素から遠ざかる方向で規定され、
前記内部切断部材の前記回転方向における回転中に、前記回転軸に対する軸方向で見られるとき、前記切断エッジが前記逆切断エッジを通過し、前記通過中に前記切断エッジ及び前記逆切断エッジは剪断角を囲み、それぞれの前記通過が、前記回転軸に対する半径方向の初期通過位置から始まり、前記半径方向の初期通過位置は、それぞれの切断エッジに沿った他の半径方向の位置と比較して、それぞれの切断エッジがそれぞれの逆切断エッジと最初に出会う半径方向の位置として規定され、
前記半径方向初期通過位置で半径方向に垂直な断面において、前記内部切断部材及び前記外部切断部材の一方のみが当接セグメントを具備し、前記当接セグメント上の各位置において、前記法線ベクトルは、前記回転軸に平行で、かつ、前記内部切断部材及び前記外部切断部材の他方に向けられる
、大きさがゼロではない軸方向成分を持ち、
前記内部切断部材が前記当接セグメントを備えている場合、前記当接セグメントは、前記切断エッジから前記前面のセグメントの端点まで延びる前面のセグメントであり、前記軸方向成分が、前記当接セグメント上の各位置において、前記外部切断部材の環状壁部の外面に向けられ、
前記外部切断部材が前記当接セグメントを備えている場合、前記当接セグメントは、前記逆切断エッジから前記側面のセグメントの端点まで延びる側面のセグメントであり、前記軸方向成分が、前記当接セグメント上の各位置で前記外面から離れる方向に向けられる、ヘアカットユニット。
【請求項2】
前記回転軸と前記切断要素の前面における前記法線ベクトルとの間の第1の角度α1が、角度範囲0°≦α1≦90°において規定され、
前記回転軸と前記毛髪誘導要素の側面における前記法線ベクトルとの間の第2の角度α2は、角度範囲0°≦α2≦90°において規定され、
前記内部切断部材が前記当接セグメントを備えている場合、前記回転軸と前記切断要素の前面の前記当接セグメントにおける前記法線ベクトルとの間の前記第1の角度α1は、45°≦α1<90°、好ましくは50°≦α1<80°の範囲内であり、
前記外部切断部材が前記当接セグメントを備えている場合、前記回転軸と前記毛髪誘導要素の側面の前記当接セグメントにおける前記法線ベクトルとの間の前記第2の角度α2は、45°≦α2<90°、好ましくは50°≦α2<80°の範囲内である、請求項1に記載のヘアカットユニット。
【請求項3】
前記前面及び前記側面のそれぞれの前記当接セグメントが直線状である、請求項1又は2に記載のヘアカットユニット。
【請求項4】
前記前面及び前記側面のそれぞれの前記当接セグメントが、凸状又は凹状湾曲形状である、請求項1又は2に記載のヘアカットユニット。
【請求項5】
前記半径方向初期通過位置で前記半径方向に垂直な前記断面において、前記前面及び前記側面のそれぞれの前記当接セグメントが、軸方向にH≧1/(500*T)の距離にわたり延在し、Tは、前記毛髪誘導要素の最小の厚さであり、H及びTが、mmで表される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヘアカットユニット。
【請求項6】
前記半径方向初期通過位置で前記半径方向に垂直な前記断面において、前記前面及び前記側面のそれぞれの前記当接セグメントが、前記毛髪誘導要素の最小厚さの10%から80%の範囲の距離Hにわたって軸方向に延在する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のヘアカットユニット。
【請求項7】
前記外部切断部材が前記当接セグメントを備えている場合、前記側面は、前記半径方向初期通過位置で前記半径方向に垂直な前記断面において、前記側面の前記当接セグメントの端点から前記外部切断部材の環状壁部の外面に向かう方向に延びる更なるセグメントを持ち、前記更なるセグメント上の各位置において、前記側面への法線ベクトルが、軸方向成分を持たないか、又は、前記外面に向けられた
、大きさがゼロで
はない軸方向成分を持つ、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヘアカットユニット。
【請求項8】
前記内部切断部材が前記当接セグメントを備えている場合、前記前面は、前記半径方向初期通過位置で前記半径方向に垂直な前記断面において、前記前面の前記当接セグメントの端点から前記外部切断部材の環状壁部の外面から離れる方向に延びる更なるセグメントを持ち、前記更なるセグメント上の各位置において、前記前面に対する法線ベクトルが、前記外面から離れる方向に向けられた
、大きさがゼロで
はない軸方向成分を持つ、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のヘアカットユニット。
【請求項9】
前記当接セグメントが、前記半径方向の初期通過位置を含む前記回転軸に対する半径方向の位置の範囲内で、前記半径方向に垂直な任意の断面に設けられる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘアカットユニット。
【請求項10】
前記当接セグメントが、前記半径方向位置の範囲内でのみ提供される、請求項9に記載のヘアカットユニット。
【請求項11】
前記切断エッジが、前記回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、前記回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延在し、前記半径方向位置の範囲は、前記第1半径方向位置を含む、請求項9又は10に記載のヘアカットユニット。
【請求項12】
前記切断エッジが、前記回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、前記回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延在し、前記半径方向位置の範囲は、前記第2の半径方向位置を含む、請求項9又は10に記載のヘアカットユニット。
【請求項13】
前記切断エッジが、前記回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、前記回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延在し、前記半径方向の位置の範囲は、前記回転軸に対する第3の半径方向の位置から前記回転軸に対する第4の半径方向の位置まで延在し、
前記第3の半径方向位置及び前記第4の半径方向位置の間の半径方向距離が、前記第1の半径方向位置及び前記第2の半径方向位置の間の半径方向距離の5%から50%の間であり、好ましくは前記第1の半径方向位置及び前記第2の半径方向位置の間の半径方向距離の5%から25%の間である、請求項9乃至12のいずれか1項に記載のヘアカットユニット。
【請求項14】
前記切断エッジが、前記回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、前記回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延在し、前記半径方向の位置の範囲は、前記第1及び前記第2の半径方向の位置を含む、請求項9又は10に記載のヘアカットユニット。
【請求項15】
シェービング装置に使用されるシェービングユニットであって、前記シェービングユニットが、支持部材と、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の少なくとも2つのヘアカットユニットとを有する、シェービングユニット。
【請求項16】
シェービング装置であって、請求項15に記載のシェービングユニットと、モータ及び駆動システムを収容する本体とを有し、前記シェービングユニットが、前記駆動システムを介して前記モータにより前記ヘアカットユニットの内部切断部材が回転可能となるように前記本体に結合される、シェービング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング装置に使用されるヘアカットユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ヘアカットユニットは、外部切断部材と、回転軸の周りでの回転方向において上記外部切断部材に対して回転可能な内部切断部材とを有し、
上記内部切断部材が、上記回転軸に対して半径方向に延びるそれぞれの主方向を備える切断エッジを持つ複数の切断要素を有し、
上記外部切断部材は、上記内部切断部材とは反対側を向いた外面を持つ環状の壁部と、毛髪誘導要素により相互に分離された複数の毛髪入口開口部とを有し、各毛髪入口開口部及び各毛髪誘導要素は、上記回転軸に対して半径方向に延びるそれぞれの主方向を持ち、各毛髪誘導要素は、上記内部切断部材の上記回転方向における回転中に、上記内部切断部材の切断エッジと協働する逆切断エッジを持ち、
各切断要素は、上記毛髪誘導要素と向き合う上面と、回転方向に向き合う前面とを持ち、上記上面及び上記前面が、それぞれの切断要素の切断エッジで相互に接続され、それぞれの切断要素の半径方向に垂直な断面において、前面の法線ベクトルが、切断要素から遠ざかる方向で規定され、
各毛髪誘導要素は、上記切断要素に面する内面と、上記回転方向と反対方向において対向する側面とを持ち、上記内面及び上記側面が、それぞれの毛髪誘導要素の逆切断エッジで相互に接続され、それぞれの毛髪誘導要素の半径方向に垂直な断面において、側面の法線ベクトルが毛髪誘導要素から遠ざかる方向で規定され、
上記内部切断部材の上記回転方向における回転中に、上記回転軸に対する軸方向から見て、上記切断エッジが上記逆切断エッジを通過し、上記通過の際に、上記切断エッジ及び上記逆切断エッジが剪断角度を取り囲み、それぞれの上記通過は、回転軸に対する半径方向の初期通過位置から始まり、上記半径方向の初期通過位置は、それぞれの切断エッジに沿った他の半径方向の位置と比較して、それぞれの切断エッジがそれぞれの逆切断エッジと最初に出会う半径方向の位置として規定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的には、上記で最初に特定されたようなタイプのヘアカットユニットでは、ヘアカットプロセスの許容可能な程度の接近性を提供するために、外部切断部材の毛髪誘導要素の厚さは比較的小さい。しかしながら、毛髪誘導要素の厚さが小さいと、皮膚からの圧力の影響を受けて毛髪誘導要素が変形しやすくなるという欠点がある。即ち、毛髪誘導要素は、内部切断部材の回転切断要素に向かって押し付けられる場合がある。これは、切断要素が、窪みのある(depressed)毛髪誘導要素に衝突することをもたらし、切断要素及び毛髪誘導要素が損傷すること、又は更には内部切断要素の回転運動が妨げられることをもたらす場合がある。
【0004】
本発明の目的は、上述した切断要素及び毛髪誘導要素の損傷を低減し、内部切断要素の回転運動が上述したように妨害される危険性を低減すると同時に、毛髪誘導要素の厚みを比較的小さくすることを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明は、添付の独立請求項1によるヘアカットユニットを提供する。本発明の好ましい実施形態は、添付の従属請求項2~16により提供される。
【0006】
従って、本発明は、上記で最初に特定されたようなタイプのヘアカットユニットを提供し、ヘアカットユニットは更に、上記半径方向初期通過位置での半径方向に垂直な断面において、上記内部切断部材及び上記外部切断部材の一方のみがアバットメント形状を具備することにより特徴付けられ、これにより、アバットメントセグメント上の各位置において、上記法線ベクトルが、回転軸に平行な非ゼロの軸方向成分を持ち、内部切断部材及び外部切断部材の他方に向けられ、その結果、
上記内部切断部材が上記アバットメント形状を備えている場合、上記アバットメントセグメントは、上記切断エッジから上記前面のセグメントの端点まで延びる前面のセグメントであり、上記軸方向成分は、上記アバットメントセグメント上の各位置において、上記外部切断部材の環状壁部の外面に向けられ、
外部切断部材が上記アバットメント形状を備えている場合、上記アバットメントセグメントは、上記逆切断エッジから上記側面のセグメントの端点まで延びる側面のセグメントであり、上記軸方向成分は、上記アバットメントセグメント上の各位置で上記外面から離れる方向に向けられる。
【0007】
上記半径方向の初期通過位置は、半径方向の位置を示し、その位置では、内部切断部材の回転中に、切断要素の相互に協働する切断エッジ及び毛髪誘導要素の逆切断エッジのそれぞれが、自身の第1の相互交差部分を持つ。言い換えれば、本発明は、協働する切断エッジ及び逆切断エッジの上記第1の相互交差部分の少なくとも半径方向の位置に、上記のアバットメント形状が適用されることを提供する。これは、押してくる皮膚によって、回転する切断要素に向かってかなり遠くまで毛髪誘導要素が押し下げられる場合、協働する切断エッジ及び逆切断エッジの上記第1の相互交差部分の半径方向の位置で、少なくともアバットメント形状が有効であることを意味する。そのため、その半径方向の位置にある回転する切断要素が、押し下げられた毛髪誘導要素に衝突する場合、前面又は側面が軸方向に対して傾斜しているおかげで、切断要素及び押し下げられた毛髪誘導要素が、軸方向に互いに離れるよう押し出され、その結果、切断要素は、ブロックされることなく及び大きな衝突ダメージをもたらすことなく、毛髪誘導要素を通過するという態様で、切断要素に反力が生じる。
【0008】
更に、内部及び外部切断部材の一方のみにアバットメント形状を設けることは、アバットメント形状の位置で、適切な/良好な切断性能が維持されるという追加の利点を持つ点にも留意されたい。
【0009】
本発明の観点から、「切断エッジ」及び「逆切断エッジ」という用語は、それぞれ逆切断エッジ又は切断エッジと協力して毛髪切断を可能にする曲率半径を持った刃と解釈されるべきである。特に、切断エッジの曲率半径は、30マイクロメートル以下、より好ましくは20マイクロメートル以下、最も好ましくは15マイクロメートル以下である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、
回転軸と切断要素の前面における上記法線ベクトルとの間の第1の角度α1は、鈍角の角度範囲90°≦α1≦180°に対して、鋭角の角度範囲0°≦α1≦90°において規定される。
上記回転軸と上記毛髪誘導要素の側面における上記法線ベクトルとの間の第2の角度α2は、鈍角の角度範囲90°≦α2≦180°に対して、鋭角の角度範囲0°≦α2≦90°において規定される。
内部切断部材が上記アバットメント形状を備えている場合、回転軸と切断要素の前面の上記アバットメントセグメントにおける上記法線ベクトルとの間の上記第1の角度α1は、45°≦α1<90°、好ましくは50°≦α1<80°の範囲内であり、
外部切断部材が上記アバットメント形状を備えている場合、回転軸と上記毛髪誘導要素の側面の上記アバットメントセグメントにおける上記法線ベクトルとの間の上記第2の角度α2は、45°≦α2<90°、好ましくは50°≦α2<80°の範囲内である。
【0011】
第1の角度α1及び第2の角度α2の範囲は、毛髪誘導要素が落ち込んでいる場合に、衝突によるダメージ及びカッターの詰まりのリスクを軽減するのに特に効果的であると考えられる。
【0012】
本発明の更に好ましい実施形態では、前面及び側面のそれぞれの上記アバットメントセグメントは直線である。
【0013】
毛誘導要素の変形特性などの状況に基づき、斯かる直線アバットメントセグメントは、毛誘導要素が窪んでいる場合に、衝突損傷及びカッター閉塞のリスクを低減するのに特に有効である場合がある。
【0014】
本発明の更に好ましい実施形態では、前面及び側面のそれぞれの上記アバットメントセグメントは、凸状又は凹状に湾曲している。
【0015】
毛髪誘導要素の変形特性などの状況に基づき、斯かる凸状又は凹状に湾曲したアバットメントセグメントは、毛髪誘導要素が窪んでいる場合の衝突ダメージ及びカッターの詰まりのリスクを軽減するのに特に効果的である。
【0016】
本発明の更に好ましい実施形態では、上記半径方向の初期通過位置で上記半径方向に垂直な上記断面において、上記前面及び上記側面のそれぞれの上記アバットメントセグメントは、距離H≧1/(500*T)で軸方向に延びている。ここで、Tは毛髪誘導要素の最小の厚さであり、H及びTは、mmで表される。
【0017】
こうして、上記アバットメントセグメントを軸方向にH≧1/(500*T)の距離にわたり延ばすことは、より厚い毛髪誘導要素のために必要なアバットメントセグメントの最小「高さ」Hを小さくすることを提供する。アバットメントセグメントの最小必要高さHが小さければ十分である。なぜなら、厚みのある毛髪誘導要素は変形が小さいからである。
【0018】
本発明の更に好ましい実施形態では、上記半径方向初期通過位置で上記半径方向に垂直な上記断面において、上記前面及び上記側面のそれぞれの上記アバットメントセグメントは、上記毛髪誘導要素の最小厚さの10%から80%の範囲内の距離Hにわたって軸方向に延びている。
【0019】
斯かるアバットメントセグメントの軸方向の延在は、窪みのある毛髪誘導要素が比較的小さい最小厚さを持つ場合、衝突による損傷及びカッターの閉塞を防ぐために特に効果的であると思われる。
【0020】
本発明の更に好ましい実施形態は、外部切断部材が上記アバットメント形状を備えている場合、上記半径方向初期通過位置で上記半径方向に垂直な上記断面で、上記側面は、上記側面の上記アバットメントセグメントの端点から上記外部切断部材の環状壁部の外面に向かう方向に延びる追加的なセグメントを持ち、上記追加的なセグメント上の各位置において、上記側面への法線ベクトルが、軸方向成分を持たないか、又は、上記外面に向けられた非ゼロの軸方向成分を持つという更なる特徴を持つ。
【0021】
最後に述べた更なる特徴は、毛髪誘導性能の観点から特に効果的な外部切断部材の設計を可能にする。
【0022】
本発明の更に好ましい実施形態は、内部切断部材が上記アバットメント形状を備えている場合、上記半径方向初期通過位置で半径方向に垂直な上記断面で、上記前面が、前面の上記アバットメントセグメントの端点から外部切断部材の環状壁部の外面から離れる方向に延びる更なるセグメントを持ち、上記更なるセグメント上の各位置において、上記前面に対する法線ベクトルが、上記外面から離れる方向に向けられた非ゼロの軸方向成分を持つという更なる特徴を持つ。
【0023】
最後に述べた更なる特徴は、毛髪切断性能の観点から特に効果的な内部切断部材の設計を可能にする。
【0024】
本発明の更に好ましい実施形態では、上記アバットメント形状は、上記半径方向初期通過位置を含む回転軸に対する半径方向位置の範囲内で、半径方向に垂直な任意の断面に設けられる。
【0025】
上記アバットメント形状を、上記半径方向の初期通過位置のみではなく、上記半径方向の位置の範囲で提供することは、それぞれの切断要素とそれぞれの落ち込んだ(depressed)毛髪誘導要素との間の軸方向の押し退け力の半径方向の分布の改善をもたらし、これは、落ち込んだ毛髪誘導要素の場合の衝突による損傷及びカッターの閉塞のリスクを更に減らす。
【0026】
本発明の更に好ましい実施形態では、上記アバットメント形状は、上記半径方向位置の範囲内でのみ提供される。
【0027】
上記半径方向位置の範囲外に上記アバットメント形状を設けないことは、上記半径方向位置の範囲外において、毛髪切断性能に関して、上記切断要素の前面及び上記導毛要素の側面の形状を最適化することを可能にする。
【0028】
本発明の更に好ましい実施形態では、切断エッジは、回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延びており、上記半径方向位置の範囲は、上記第1半径方向位置を含む。
【0029】
これは、協働する切断エッジ及び逆切断エッジの第1の相互交差部分が、上記半径方向内側の切断エッジチップにあるか、又はこれに近い場合、それぞれの切断エッジ要素とそれぞれの窪みのある毛髪誘導要素との間の軸方向の押し退け力の半径方向の分布の上述の改善をもたらす。
【0030】
本発明の更に好ましい実施形態では、切断エッジは、回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延びており、上記半径方向位置の範囲は、上記第2の半径方向位置を含む。
【0031】
これは、協働する切断エッジ及び逆切断エッジの第1の相互交差部分が、上記半径方向外側の切断エッジチップにあるか、又はこれに近い場合、それぞれの切断エッジ要素とそれぞれの窪みのある毛髪誘導要素との間の軸方向の押し退け力の半径方向の分布の上述の改善をもたらす。
【0032】
本発明の更に好ましい実施形態では、切断エッジは、回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延びており、上記半径方向の位置の範囲が、回転軸に対する第3の半径方向の位置から回転軸に対する第4の半径方向の位置まで延びており、第3の半径方向位置と第4の半径方向位置との間の半径方向距離は、第1の半径方向位置と第2の半径方向位置との間の半径方向距離の5%から50%の間、好ましくは第1の半径方向位置と第2の半径方向位置との間の半径方向距離の5%から25%の間である。
【0033】
第3の半径方向位置と第4の半径方向位置との間の斯かる半径方向の距離は、窪みのある毛髪誘導要素が比較的小さい最小厚さを持つ場合、衝突による損傷及びカッターの詰まりを防止するのに特に効果的であると思われる。
【0034】
本発明の更に好ましい実施形態では、切断エッジは、回転軸に対して第1の半径方向位置にある半径方向内側の切断エッジチップから、回転軸に対して第2の半径方向位置にある半径方向外側の切断エッジチップまで延びており、上記半径方向位置の範囲は、上記第1及び第2の半径方向位置を含む。
【0035】
これは、それぞれの切断要素とそれぞれの窪みのある毛髪誘導要素との間の軸方向の押し退け力の半径方向の分布の更なる改善をもたらし、これは、窪みのある毛髪誘導要素の場合、衝突による損傷及びカッターの詰まりのリスクを更に減らす。
【0036】
本発明は更に、シェービング装置で使用するためのシェービングユニットにおいて具現化されてもよく、上記シェービングユニットは、支持部材と、本発明の上述した実施形態のいずれか1つによると少なくとも2つのヘアカットユニットとを有する。
【0037】
本発明は更に、本発明に述べた実施形態によるシェービングユニットと、モータ及び駆動システムを収容する本体とを有するシェービング装置において具現化することができ、上記シェービングユニットは、上記駆動システムを介して上記モータにより上記ヘアカットユニットの内部切断部材が回転可能となるように上記本体に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明によるシェービング装置の一例を透視表示で示す図である。
【
図2】
図1のシェービング装置の3つの同一のヘアカットユニットの1つを個別に示す図であり、図示されたヘアカットユニットの内部切断部材及び外部切断部材が分解透視図で示される、図である。
【
図3】
図2のヘアカットユニットの一部のより詳細な上面図であり、上記上面図が、上記ヘアカットユニットの回転軸に平行な方向において上記外部切断部材の外面で取られたものである、図である。
【
図4A】本発明の第1の実施形態を示す図であり、外部切断部材が、
図3の線A-Aによる断面、即ち、半径方向の初期通過位置で、半径方向に垂直に取った断面において、アバットメント形状を備え、
図4Aは、上記断面において、外部切断部材の毛髪誘導要素と、毛髪誘導要素の側面における法線ベクトルとを示し、上記法線ベクトルが毛髪誘導要素から離れる方向を向いている、図である。
【
図4B】本発明の第1の実施形態に関連する
図4Aの状況及び断面を再び示す図であり、ここでは、内部切断部材の回転切断要素の一部とともに、皮膚によりその上に及ぼされる圧力の影響下にある毛髪誘導要素が回転切断要素に向かってわずかに落ち込んでいる状態を示し、
図4Bは、回転する切断要素の切断エッジが、押し下げられた(depressed)毛髪誘導要素のアバットメント形状に衝突する瞬間の直前の状況を示す、図である。
【
図5A】本発明の第2の実施形態を示す図であり、内部切断部材が、
図3のA-A線による上記断面において、アバットメント形状を備え、
図5Aは、上記断面において、内部切断部材の回転する切断要素と、切断要素の前面における法線ベクトルとを示し、上記法線ベクトルが切断要素から遠ざかる方向を向いている、図である。
【
図5B】本発明の第2の実施形態に関連する
図5Aの状況及び断面を再び示し、ここでは、皮膚によりその上に及ぼされる圧力の影響を受けて、回転する切断要素に向かってわずかに押し下げられた状態の外部切断部材の毛髪誘導要素の一部を示し、
図5Bは、回転する切断要素のアバットメント形状が、押し下げられた毛髪誘導要素の逆切断エッジに衝突する瞬間の直前の状況を示す、図である。
【
図6A】本発明の更なる実施形態を、
図3と同様の上面表示で示す図である。
【
図6B】本発明の更に別の実施形態を、
図3と同様の上面表示で示す図である。
【
図7A】本発明の更に別の実施形態を、
図3と同様の上面表示で示す図である。
【
図7B】本発明の更に別の実施形態を、
図3と同様の上面表示で示す図である。
【
図8A】本発明の更に別の実施形態を、
図3と同様の上面表示で示す図である。
【
図8B】本発明の更に別の実施形態を、
図3と同様の上面表示で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の上述した側面及び他の側面が、非限定的な例を用いて、及び図面における概略図を参照して、以下に説明される実施形態から明らかになり、実施形態を参照して説明されるであろう。
【0040】
上述の
図1~
図8Bで使用される参照符号は、本発明の上述の部分及び側面、並びに関連する部分及び側面を、以下のように参照している。
1 シェービング装置
2 本体
3 シェービングユニット
4 支持部材
5 ヘアカットユニット
6 外部切断部材
7 内部切断部材
8 回転方向
9 回転軸
10 切断要素
11 切断エッジ
12 環状の壁部分
14 外面
15 毛髪入口開口部
16 毛髪誘導要素
17 逆切断エッジ
18 上面
19 前面
20 前面の法線ベクトル
21 内面
22 側面
23 側面の法線ベクトル
24 剪断角
25 前面のアバットメントセグメント
26 前面のアバットメントセグメントの端点
27 側面のアバットメントセグメント
28 側面のアバットメントセグメントの端点
29 側面の更なるセグメント
30 前面の更なるセグメント
31 半径方向内側の切断エッジチップ
32 半径方向外側の切断エッジチップ
α1 第1の角度
α2 第2の角度
R 半径方向
R0 半径方向初期通過位置
R1 第1の半径方向位置
R2 第2の半径方向位置
R3 第3の半径方向位置
R4 第4の半径方向位置
【0041】
図1~
図8Bでは、これらの図に示される異なる実施形態で同様の部品及び側面に同じ参照符号が使用されることがある。
【0042】
図面の簡単な説明を含む上記の導入的な説明と、図面に使用される上述の参照符号とに基づき、
図1~
図8Bに示される実施例は、その大部分が容易に自明である。以下に更なる説明が与えられる。
【0043】
図2は、
図1のシェービング装置1のヘアカットユニット5の内部切断部材7が、回転軸9を中心に円周方向に等間隔に配置された複数の切断要素10を持つことを示す。
【0044】
図3は、半径方向内側の切断エッジチップ31と半径方向外側の切断エッジチップ32とを持つ切断エッジ11を備えた、斯かる1つの切断要素10を示す。示される例では、上記半径方向内側の切断エッジチップ31は、上記半径方向初期通過位置に位置している。これは、内部切断部材7の回転方向8における回転中に、切断エッジ11の半径方向内側の切断エッジチップ31が、切断エッジ11の他の部分に比べて、それぞれの逆切断エッジ17に最初に出会うことを意味する。実際、
図3は、半径方向の初期通過位置で、切断エッジ11及びそれぞれの逆切断エッジ17がその意味で初めて出会う瞬間を示す。
図3は更に、半径方向内側の切断エッジチップ31が位置する半径方向初期通過位置において、切断エッジ11及び逆切断エッジ17により囲まれた剪断角24を示す。
【0045】
図4Aは特に、本発明の上記第1の実施形態による、半径方向の初期通過位置における外部切断部材6のアバットメント形状の構成を説明するのに役立つ。
図4Aは、外部切断部材6の毛髪誘導要素16の内面21及び側面22を示す。側面22は、逆切断エッジ17から端点28まで延びるアバットメントセグメント27を有することが分かる。示される例では、アバットメントセグメント27は直線状である。前述のように、代替的な実施形態では、アバットメントセグメント27は、凸状又は凹状湾曲形状とすることも可能である。更に、アバットメントセグメント27における示された法線ベクトル23は、その規定によれば、毛髪誘導要素16の反対側を向いていることが分かる。
図4Aは更に、回転軸9と法線ベクトル23との間の上述の第2の角度α2を示しており、当該第2の角度α2は、軸とベクトルとの間の0°≦α2≦90°の鋭角範囲において規定される。
図4Aから、示された法線ベクトル23は、外部切断部材6の環状壁部12の示された外面14から離れる方向に向けられた非ゼロの軸方向成分(即ち、回転軸9に平行な成分)を持つことが分かる。
【0046】
図4Aの例では、側面22は、アバットメントセグメント27の端点28から外面14に向かう方向に延びる上述の更なるセグメント29を持つことに留意されたい。上記更なるセグメント29上の各位置において、上記側面22への法線ベクトルが、軸方向成分を持たないか、又は上記外面14に向けられた非ゼロの軸方向成分を持つ。
【0047】
次に、
図4Bを参照すると、これは、本発明の第1の実施形態に関連する
図4Aの状況及び断面を再び示すが、今回は、内部切断部材7の回転切断要素10の一部とともに、皮膚によりその上に及ぼされる圧力の影響下にある毛髪誘導要素16が回転切断要素7に向かってわずかに窪んでいる状態を示す。ここで、
図4Bは、回転切断要素10の切断エッジ11が、窪んだ毛髪誘導要素16の側面22のアバットメントセグメント27に衝突する瞬間の直前の状況を示す。
【0048】
図4Bから、
図4A~
図4Bの半径方向初期通過位置にある切断エッジ11がこうしてアバットメントセグメント27に衝突するとき、回転軸9に対する側面22のアバットメントセグメント27の傾斜方向のおかげで(
図4A参照)、切断要素10及び窪んだ毛髪誘導要素16は、軸方向に互いに離れて押し出され、その結果、切断要素10が、ブロックされることなく及びあまり衝突ダメージをもたらすことなく、回転方向8において毛髪誘導要素16を通過する態様で、切断要素10に反力が発生することが容易に理解されるであろう。
【0049】
図4Bに示される構成は同時に、切断要素10の鋭利な切断エッジ11と窪みのある毛髪誘導要素16の側面22のアバットメントセグメント27との間の毛髪切断の非常に良好なパフォーマンスを可能にすることに留意されたい。
【0050】
図5Aは特に、本発明の上記第2の実施形態による、半径方向の初期通過位置における内部切断部材7のアバットメント形状の構成を説明するのに役立つ。
図5Aは、内部切断部材7の切断要素10の上面18及び前面19を示す。前面19は、切断エッジ11から端点26まで延びるアバットメントセグメント25を有していることが分かる。示される例では、アバットメントセグメント25は直線状である。前述のように、代替的な実施形態では、アバットメントセグメント25は、凸状又は凹状湾曲形状とすることも可能である。更に、アバットメントセグメント25における示された法線ベクトル20は、その規定によれば、切断要素10の反対側を向いていることが分かる。
図5Aは更に、回転軸9と法線ベクトル20との間の上述の第1の角度α1を示しており、上記第1の角度α1は、軸とベクトルとの間の0°≦α2≦90°の鋭角範囲において規定される。
図5Aから、示される法線ベクトル20は、非ゼロの軸方向成分(即ち、回転軸9に平行な成分)を持ち、この成分は、外部切断部材6の環状壁部12の図示される外面14に向けられることがわかる。
【0051】
図5Aの示された例では、前面19は、アバットメントセグメント25の端点26から外面14から離れる方向に延びる上述の更なるセグメント30を持つことに留意されたい。上記更なるセグメント30上の各位置において、上記前面19に対する法線ベクトルが、上記外面14から離れる方向に向けられた非ゼロの軸方向成分を持つ。
【0052】
次に、
図5Bを参照すると、これは、本発明の第2の実施形態に関連する
図5Aの状況及び断面を再び示すが、今回は、外部切断部材6の毛髪誘導要素16の一部と一緒に共に、皮膚によりその上に及ぼされる圧力の影響を受けて、毛髪誘導要素16が、回転切断要素7に向かってわずかに落ち込んでいる状態を示す。ここで、
図5Bは、回転切断要素10の前面19のアバットメントセグメント25が、窪んだ毛髪誘導要素16の逆切断エッジ17に衝突する瞬間の直前の状況を示す。
【0053】
図5Bから、
図5A~
図5Bの半径方向の初期通過位置にあるアバットメントセグメント25が、こうして逆切断エッジ17に衝突するとき、回転軸9に対する前面19のアバットメントセグメント25の傾斜方向のおかげで(
図5A参照)、切断要素10及び窪みのある毛髪誘導要素16は、軸方向に互いに離れて押し出され、その結果、切断要素10が、ブロックされることなく及びあまり衝突ダメージをもたらすことなく、回転方向8において毛髪誘導要素16を通過する態様で、切断要素10に反力が発生することが容易に理解されるであろう。
【0054】
図5Bに示される構成は同時に、切断要素10の前面19のアバットメントセグメント25と、窪みのある毛髪誘導要素16の鋭い逆切断エッジ17との間の毛髪切断の非常に良好な性能を可能にすることに留意されたい。
【0055】
次に、
図6A~
図8Bに示される本発明の更なる実施形態が参照される。
【0056】
図6A~
図8Bのこれらの更なる実施形態は、本発明の上述したすべての更に好ましい実施形態の例であり、アバットメント形状が、上記半径方向初期通過位置R0を含む回転軸に対する半径方向位置の範囲内で、半径方向に垂直に取った任意の断面に設けられるという更なる特徴を持つ。
【0057】
図6A~
図8Bのすべての実施形態は、それぞれの毛髪誘導要素16の平面形状が同じである点で共通していることがわかる。
図6A~
図8Bのすべての実施形態は更に、切断エッジ11が、第1の半径方向位置R1にある半径方向内側の切断エッジチップ31から、第2の半径方向位置R2にある半径方向外側の切断エッジチップ32まで延びている点で共通している。
【0058】
図6A及び
図6Bの実施形態は、切断エッジ11と逆切断エッジ17との間の相対的な向きが同じである点で共通している。
図7A及び
図7Bの実施形態は、切断エッジ11と逆切断エッジ17との間の相対的な向きが同じである点も共通している。しかしながら、
図6A及び
図6Bの実施形態と比較して、
図7A及び
図7Bの実施形態は、異なる形状の切断エッジ11を持ち、半径方向Rに沿った剪断角の異なる分布を生じさせ、半径方向の異なる初期通過位置R0をもたらす。
図8A及び
図8Bの実施形態は、切断エッジ11と逆切断エッジ17との間の相対的な向きが同じである点も共通している。しかしながら、
図6A及び
図6Bの実施形態と比較して、及び
図7A及び
図7Bの実施形態と比較して、
図8A及び
図8Bの実施形態は、更に異なる形状の切断エッジ11を持ち、半径方向Rに沿って更に異なる剪断角の分布を生じさせ、半径方向の更に異なる初期通過位置R0をもたらす。
【0059】
図6A、
図7A、
図8Aの実施形態は、それらが、外部切断部材、具体的にはその示される毛髪誘導要素16がアバットメント形状を備えている場合の例である点で共通する。例えば、
図6A、
図7A、
図8Aにおいて参照数字27は、半径方向の初期通過位置R0において、毎回、毛髪誘導要素16の側面22のアバットメントセグメント27(
図4A参照)の位置を示す。
図6B、
図7B、
図8Bの実施形態は、それらが、内部切断部材、具体的にはその示される切断要素10がアバットメント形状を備えている場合の例である点で共通する。例えば、
図6B、
図7B、
図8Bにおいて参照数字25は、半径方向の初期通過位置R0において、毎回、切断要素10の前面19のアバットメントセグメント25(
図5A参照)の位置を示す。より具体的には、
図6A~
図8Bのすべての実施形態において、アバットメント形状は、それぞれの図に示されるように、R3及びR4の間の半径範囲内で、半径方向に垂直に取った任意の断面に設けられる。
図6A~
図8Bのすべての実施形態において、R3及びR4の間の上記半径方向の範囲は、それぞれの半径方向の初期通過位置R0を含むことがわかる。
【0060】
本発明が、上述の説明及び図面において詳細に図示及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、例示的及び/又は説明的であり、限定的と見なされるべきではない。本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。
【0061】
開示された実施形態に対する他の変形は、図面、開示、及び添付の請求項の研究から、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解及び達成され得る。請求項において、「有する」という語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、請求項に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。明快さ及び簡潔な説明とするために、本書において、特徴は、同一又は別個の実施形態の一部として開示されるが、本発明の範囲は、開示された特徴のすべて又は一部の組み合わせを持つ実施形態を含むことができる点を理解されたい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項における参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。