(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】内視鏡用先端カバー、内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220704BHJP
A61B 1/12 20060101ALI20220704BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
A61B1/00 651
A61B1/12 531
A61B1/00 715
A61B1/00 716
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2021537546
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 JP2019031505
(87)【国際公開番号】W WO2021024487
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山谷 高嗣
【審査官】鷲崎 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-301026(JP,A)
【文献】特開2013-154182(JP,A)
【文献】実開平1-130701(JP,U)
【文献】特開平7-275185(JP,A)
【文献】特開2012-254188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の挿入部の先端部に対して着脱する内視鏡用先端カバーであって、
少なくとも前記挿入部の前記先端部に設けられた観察窓または該観察窓の視野範囲に位置する部位に流体を吹き付けるためのノズルを有する第1のカバーと、
前記第1のカバーの周面に少なくとも一部が係合するとともに、前記ノズルに対して前記内視鏡の流体通路から送られた前記流体を流通させる流路を有する第2のカバーと、
を具備することを特徴とする内視鏡用先端カバー。
【請求項2】
前記第2のカバーは、前記第1のカバーよりも弾性を有する部材からなり、
前記第1のカバーと前記第2のカバーとが係合したとき、前記流路は、前記第2のカバーの弾性力により前記ノズルに対して水密な状態において前記ノズルに前記流体を流通させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項3】
前記第1のカバーは複数種類存在し、
前記第2のカバーは、複数種類の前記第1のカバーのいずれに対しても係合する構造を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項4】
前記第1のカバーまたは前記第2のカバーの外周面もしくは内周面に水密に取付けられるとともに、前記内視鏡の前記挿入部の外表面を前記挿入部の長手軸方向に亘って覆うシースを更に有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項5】
前記第1のカバーまたは前記第2のカバーに対して水密に取付けられるとともに前記観察窓の前記視野範囲に位置する部位を有し、
前記挿入部の前記観察窓に対向する第1の面と、前記第1の面の反対側に位置し、前記ノズルから前記流体が吹き付けられる第2の面とを有する光透過性を有する透光板を更に具備することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項6】
前記第2のカバーは、前記第1のカバーとともに前記挿入部の前記先端部の外周面に装着されたとき、基端側部位が前記先端部の前記外周面及び前記第1のカバーの外周面に対して密着する筒形状を有することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項7】
前記第2のカバーの内周面の一部は、前記第1のカバーの外周面に密着することを特徴とする請求項2に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項8】
前記第1のカバーには、前記第1のカバーの前記外周面と内周面とを貫通する貫通孔が形成され、
前記第2のカバーは、前記第2のカバーの前記内周面から径方向に突出する流路接続部を有し、
前記第1のカバーの前記外周面と前記第2のカバーの前記内周面が係合した際、前記流路接続部は前記貫通孔を介して前記第1のカバー内に挿入されることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項9】
前記第1のカバーの前記外周面に前記第2のカバーが係合された際、前記流路は、前記第2のカバーの前記流路接続部が有する弾性力により、前記ノズルに対して水密な状態で接続することを特徴とする請求項8に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項10】
前記第1のカバーが前記内視鏡の前記挿入部の前記先端部に対して装着された際、前記流路は、前記第2のカバーの前記流路接続部が有する弾性力により、前記内視鏡の前記流体通路に対して水密な状態で接続することを特徴とする請求項9に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項11】
前記第1のカバーは、内周面に、前記挿入部の前記先端部の外周面に設けた第1の係止部に係合する第2の係止部を有し、
前記第1の係止部と前記第2の係止部とが係合することにより、前記先端部と前記第1のカバーとの位置決めが行われることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項12】
前記第1のカバーに、前記内視鏡の前記挿入部外において該挿入部に沿って延出するチャンネルが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項13】
前記チャンネルは、前記第2のカバーに設けられる前記流路とは別に設けられることを特徴とする請求項12に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項14】
前記チャンネルは、前記第1のカバーに対して、可撓性を有する連結部材を介して取り付けられることを特徴とする請求項12に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項15】
前記第2のカバーに設けられる前記流路は、前記内視鏡の前記流体通路に連通されることを特徴とする請求項12に記載の内視鏡用先端カバー。
【請求項16】
被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、
少なくとも前記挿入部の先端部に設けられた観察窓または該観察窓の視野範囲に位置する部位に流体を吹き付けるためのノズルを有する第1のカバーと、該第1のカバーの周面に少なくとも一部が係合するとともに、前記ノズルに対して前記内視鏡の流体通路から送られた前記流体を流通させる流路を有する第2のカバーとを具備する、前記挿入部の前記先端部に対して着脱する内視鏡用先端カバーと、
前記第1のカバーまたは前記第2のカバーの外周面もしくは内周面に水密に取付けられるとともに、前記内視鏡の前記挿入部の外表面を前記挿入部の長手軸方向に亘って覆うシースと、
前記第1のカバーまたは前記第2のカバーに対して水密に取付けられるとともに前記観察窓の前記視野範囲に位置する部位を有し、前記内視鏡用先端カバーが取付けられた前記挿入部の前記観察窓に対向する第1の面と、前記第1の面の反対側に位置し、前記ノズルから前記流体が吹き付けられる第2の面とを有する光透過性を有する透光板と、
を具備することを特徴とする内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の挿入部の先端部に対して着脱する内視鏡用先端カバー、内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において用いられる内視鏡は、特に検査及び治療を目的として体腔内に挿入されて使用されるものであるため、使用後、再使用するためには洗浄処理、消毒処理、滅菌処理が必要となる。
【0003】
しかしながら、内視鏡の洗浄処理、消毒処理、滅菌処理には時間が掛かるため、内視鏡の使用効率が低下してしまう他、これらの処理は大変煩雑であるといった問題があった。
【0004】
このような問題に鑑み、日本国特開平7-47051号公報においては、内視鏡の挿入部に装着された際、具体的には、挿入部の先端部に固定された際、挿入部の外表面を該挿入部の長手軸方向に亘って覆うシースを有する内視鏡用先端カバー、該内視鏡用先端カバーを具備する内視鏡装置が開示されている。
【0005】
内視鏡用先端カバーを装着した状態において挿入部を体腔内に挿入すれば、体腔内の体液等は、挿入部には付着せずシースを含む内視鏡用先端カバーにのみに付着する。このため、体腔内から抜去後、挿入部から内視鏡用先端カバーを脱却して廃棄すれば、再使用に際し、使用後の内視鏡に対する上述した各種処理を省略または簡素化することができる。
【0006】
ここで、内視鏡用先端カバーのシースは、挿入部の外周面に密着させても複数のシワが発生してしまうため該シワに起因して体腔内に対する挿入性が悪い。
【0007】
また、小腸に挿入される内視鏡においては、肛門からだけではなく経口的に体腔内に挿入する場合もある。この場合、挿入部の大径化を防ぐため、挿入部に対しシースは覆われていないほうが好ましい。
【0008】
このため、1本の内視鏡の挿入部に対し、内視鏡用先端カバーを装着せずに内視鏡単体にて使用したい場合もある。
【0009】
ところが、日本国特開平7-47051号公報に開示された内視鏡装置の構成においては、内視鏡の挿入部には、観察窓を有する撮像ユニットや照明ユニットしか設けられていない。
【0010】
よって、挿入部を覆う内視鏡用先端カバーの観察窓の視野範囲に付着した汚れ等の視野を妨げる対象物を除去する流体通路や流体供給ノズルは、内視鏡用先端カバー側に設けられている。即ち、内視鏡と内視鏡用先端カバーとを組み合わせて使用することが前提の構成となっている。
【0011】
このことから、内視鏡単体にて使用しようとしても、観察窓に付着する汚れ等を、流体供給ノズルからの流体の供給によって除去出来ないため、内視鏡として使用することができないといった問題があった。
【0012】
このような問題に鑑み、一般的な単体で使用可能な内視鏡の挿入部に内視鏡用先端カバーを用いる構成も考えられる。
【0013】
ところが、この構成では、内視鏡側に流体供給ノズルが設けられているが、内視鏡用先端カバーにて観察窓前方は覆われていることから、内視鏡用先端カバー側の観察窓の視野範囲に汚れ等が付着してしまうと、さらに外付けチャンネル等の流体供給管路を設けない限り流体を汚れ等に供給できないといった問題が発生する。
【0014】
以上から、医療施設においては、シースを装着する場合と、装着しない場合とにおいてそれぞれ対応する別々の種類の内視鏡を用意しなければいけないといった問題があった。
【0015】
このような問題に鑑み、内視鏡用先端カバーや内視鏡装置においては、1本の内視鏡の挿入部に対して、シースにて挿入部を覆う使用形態と、シースにて挿入部を覆わない使用形態とを使い分けることができるとともに、確実に観察窓の視野範囲の汚れを除去できる構成が望まれていた。
【0016】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、シースにて覆う使用形態とシースにて覆わない使用形態とのいずれの場合においても使用可能かつ、流体通路を有する1本の内視鏡の挿入部に対して、内視鏡の観察窓の視界を妨げる対象物を流体通路から供給された流体により除去する流体供給ノズルを設けた内視鏡用先端カバー、内視鏡装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するため本発明の一態様による内視鏡用先端カバーは、内視鏡の挿入部の先端部に対して着脱する内視鏡用先端カバーであって、少なくとも前記挿入部の前記先端部に設けられた観察窓または該観察窓の視野範囲に位置する部位に流体を吹き付けるためのノズルを有する第1のカバーと、前記第1のカバーの周面に少なくとも一部が係合するとともに、前記ノズルに対して前記内視鏡の流体通路から送られた前記流体を流通させる流路を有する第2のカバーと、を具備する。
【0018】
また、本発明の一態様による内視鏡装置は、被検体内に挿入される挿入部を有する内視鏡と、少なくとも前記挿入部の先端部に設けられた観察窓または該観察窓の視野範囲に位置する部位に流体を吹き付けるためのノズルを有する第1のカバーと、該第1のカバーの周面に少なくとも一部が係合するとともに、前記ノズルに対して前記内視鏡の流体通路から送られた前記流体を流通させる流路を有する第2のカバーとを具備する、前記挿入部の前記先端部に対して着脱する内視鏡用先端カバーと、前記第1のカバーまたは前記第2のカバーの外周面もしくは内周面に水密に取付けられるとともに、前記内視鏡の前記挿入部の外表面を前記挿入部の長手軸方向に亘って覆うシースと、前記第1のカバーまたは前記第2のカバーに対して水密に取付けられるとともに前記観察窓の前記視野範囲に位置する部位を有し、前記内視鏡用先端カバーが取付けられた前記挿入部の前記観察窓に対向する第1の面と、前記第1の面の反対側に位置し、前記ノズルから前記流体が吹き付けられる第2の面とを有する光透過性を有する透光板と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施の形態の内視鏡用先端カバーが装着された内視鏡装置の構成を概略的に示す図
【
図2】
図1の内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有さない先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図
【
図3】
図2の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図
【
図4A】
図4の先端カバーにおける第1のカバーの正面図
【
図4B】
図4の先端カバーにおける第1のカバーの上面図
【
図4C】
図4の先端カバーにおける第1のカバーの底面図
【
図4D】
図4の先端カバーにおける第1のカバーの一側面図
【
図4E】
図4の先端カバーにおける第1のカバーの他側面図
【
図4F】
図4の先端カバーにおける第1のカバーの背面図
【
図4G】
図4の先端カバーにおける第2のカバーの正面図
【
図4H】
図4の先端カバーにおける第2のカバーの上面図
【
図4I】
図4の先端カバーにおける第2のカバーの底面図
【
図4J】
図4の先端カバーにおける第2のカバーの一側面図
【
図4K】
図4の先端カバーにおける第2のカバーの他側面図
【
図4L】
図4の先端カバーにおける第2のカバーの背面図
【
図5】
図2の先端部及び先端カバーを、
図2中のV方向からみた正面図
【
図6】
図5中のVI-VI線に沿う先端部及び先端カバーの部分断面図
【
図7】
図6の先端部から先端カバーを脱却した状態を示す部分断面図
【
図8】
図1の内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有する先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図
【
図9】
図8の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図
【
図11】
図8の先端部及び先端カバーを、
図8中のXI方向からみた正面図
【
図12】
図11中のXII-XII線に沿う先端部及び先端カバーの部分断面図
【
図13】
図12の先端部から先端カバーを脱却した状態を示す部分断面図
【
図14】
図1の内視鏡の挿入部の先端部にシースを有する先端カバーが装着された状態において、処置具挿通口金に栓が装着され、吸引口金に吸引ポンプが接続された状態を示す図
【
図15】
図14の吸引切替釦が塞がれ、吸引ポンプによるチャンネルを介した吸引により、シースが密着した状態を示す図
【
図16】
図1の内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有さず透光板を有する先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図
【
図17】
図16の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図
【
図19】
図8の先端カバーにおける第1のカバーに、チャンネルが外付けされた変形例を示す斜視図
【
図20】第2実施の形態の内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有さない先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図
【
図21】
図20の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図
【
図23】第2実施の形態の内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有する先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図
【
図24】
図23の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(第1実施の形態)
図1は、本実施の形態の内視鏡用先端カバーが装着された内視鏡装置の構成を概略的に示す図である。
【0022】
図1に示すように、内視鏡装置100は、内視鏡用先端カバー1と、内視鏡50とを具備して主要部が構成されている。
【0023】
内視鏡50は、長手軸方向Nに沿って細長に形成されているとともに体腔内に挿入される挿入部55と、該挿入部55の長手軸方向Nの基端(以下、単に基端と称す)に連設された操作部56と、該操作部56から延出されたユニバーサルコード57と、該ユニバーサルコード57の延出端に設けられたコネクタ58とを具備して主要部が構成されている。
【0024】
挿入部55は、長手軸方向Nの先端側(以下、単に先端側と称す)に、図示しない撮像ユニット、照明ユニット等が設けられた先端部51を具備している。
【0025】
尚、先端部51に対して、内視鏡用先端カバー(以下、単に先端カバーと称す)1は、着脱自在となるよう構成されている。
【0026】
また、挿入部55、操作部56、ユニバーサルコード57、コネクタ58内に、吸引管路を兼ねた処置具挿通用チャンネル(以下、単にチャンネルと称す)61と、流体通路62とが設けられている。
【0027】
チャンネル61の長手軸方向Nの先端(以下、単に先端と称す)は、先端部51の先端面51sにおいて先端開口61rとして開口されており、基端は、コネクタ58に設けられた吸引口金58aに連通している。尚、吸引口金58aに、後述する
図14に示すような吸引ポンプ30が着脱自在となるよう構成されている。
【0028】
また、チャンネル61の操作部56内に位置から分岐された管路61aは、操作部56に設けられた処置具挿通口金56kに連通している。
【0029】
流体通路62の先端は、後述する
図3に示すように、先端部51の先端面51sに形成された凹み51dに先端開口62iとして露出されている。
【0030】
また、流体通路62の基端は、コネクタ58に設けられた供給口金58bに連通している。尚、供給口金58bに、図示しない流体供給装置が着脱自在となるよう構成されている。
【0031】
さらに、操作部56に、吸引切替釦56aと、送気送水切替釦56bとが設けられている。
【0032】
吸引切替釦56aは、チャンネル61を介して体腔内の固体、液体等を吸引する際、吸引ポンプ30に接続した管路との連通路を開閉する等を、操作者によって釦操作されるものである。
【0033】
送気送水切替釦56bは、流体通路62を介して後述する観察窓52(
図2参照)または該観察窓52の視野範囲に位置する部位を有する透光板90の第2の面90b(いずれも
図10参照)に流体を供給する際、図示しない流体供給装置に接続した管路との連通路を開閉する等を、操作者によって釦操作されるものである。
【0034】
尚、実際はチャンネル61の管路上に吸引切替釦56a、流体通路62の管路上に送気送水切替釦56bが配設されるが、各切替釦の構造は周知のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0035】
次に、先端カバー1の構成について、
図2~
図15を用いて説明する。
【0036】
【0037】
また、
図5は、
図2の先端部及び先端カバーを、
図2中のV方向からみた正面図、
図6は、
図5中のVI-VI線に沿う先端部及び先端カバーの部分断面図、
図7は、
図6の先端部から先端カバーを脱却した状態を示す部分断面図である。
【0038】
さらに、
図8は、
図1の内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有する先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図、
図9は、
図8の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図、
図10は、
図9の先端カバーの分解斜視図である。
【0039】
また、
図11は、
図8の先端部及び先端カバーを、
図8中のXI方向からみた正面図、
図12は、
図11中のXII-XII線に沿う先端部及び先端カバーの部分断面図、
図13は、
図12の先端部から先端カバーを脱却した状態を示す部分断面図である。
【0040】
さらに、
図14は、
図1の内視鏡の挿入部の先端部にシースを有する先端カバーが装着された状態において、処置具挿通口金に栓が装着され、吸引口金に吸引ポンプが接続された状態を示す図、
図15は、
図14の吸引切替釦が塞がれ、吸引ポンプによるチャンネルを介した吸引により、シースが密着した状態を示す図である。
【0041】
図2、
図3、
図5~
図7に示すように、先端カバー1は、先端部51に対して着脱自在となるよう構成されている。また、先端カバー1は、
図3、
図3A~
図3Fに示すような形状を有している。
【0042】
先端部51は、
図3に示すように、先端面51sに、観察窓52と、照明窓53と、チャンネル61の先端開口61rとが設けられている。
【0043】
また、先端面51sに、長手軸方向Nの後方(以下、単に後方と称す)に向かう凹み51dが形成されており、凹み51dの底面51dtに、流体通路62の先端側62sが、底面51dtから長手軸方向Nの前方(以下、単に前方と称す)に突出するよう設けられている。このことにより、凹み51dに、流体通路62の先端開口62iが露出されている。
【0044】
さらに、先端部51の外周面51gに、係止ピン51tが形成されている。係止ピン51tは、先端部51の外周面51gに先端カバー1が装着された際、第1のカバー10の後述する係止孔10hが、
図2に示すように係止される。
【0045】
また、先端部51の外周面51gに、
図3に示すように、長手軸方向Nに沿った係止溝51m(第1の係止部)が形成されている。係止溝51mは、先端部51の外周面51gに先端カバー1が装着された際、第1のカバー10の後述する係止突起11が、
図2、
図5に示すように係合(嵌合)する。
【0046】
先端カバー1は、
図4に示すように、第1のカバー10と、第2のカバー20とにより構成されている。尚、第1のカバー10は、
図4、
図4A~
図4Fに示すような形状を有しており、第2のカバー20は、
図4G~
図4Lに示すような形状を有している。
【0047】
第1のカバー10は、プラスチック等の硬質な樹脂から長手軸方向Nに沿って短い円筒に形成されているとともに、先端部51の外周面51gに対して内周面10nが係合自在となるよう構成されている。
【0048】
また、第1のカバー10に、
図2、
図5、
図6に示すように、先端部51の外周面51gに第1のカバー10が取り付けられた際、
図6に示すように、吐出口12tが観察窓52に対向するノズル12が設けられている。ノズル12は、観察窓52に対して吐出口12tから流体を吹き付けるためのものである。
【0049】
尚、第1のカバー10が硬質な樹脂から形成されているのは、ノズル12から流体を吹き付ける際の圧力による変形を防ぐためである。
【0050】
さらに、第1のカバー10の内周面10nに、長手軸方向Nに沿って係止突起11(第2の係止部)が設けられている。
【0051】
係止突起11は、先端部51の外周面51gに第1のカバー10が係合された際、係止溝51mに係合される。このことにより、先端部51に対する第1のカバー10の回動方向の位置決めがなされる。
【0052】
また、第1のカバー10の外周面10gに、周状の溝10wが形成されており、溝10wに、外周面10gと内周面10nとを貫通する係止孔10hが形成されている。
【0053】
係止孔10hは、先端部51の外周面51gに第1のカバー10が係合された際、係止ピン51tが係止される。このことにより、先端部51に対する第1のカバー10の回動方向及び長手軸方向Nの位置決めがなされる。
【0054】
さらに、第1のカバー10の溝10wにおいて周方向におけるノズル12が設けられた位置に、外周面10gと内周面10nとを貫通する貫通孔10pが形成されている。
【0055】
第2のカバー20は、第1のカバー10よりも弾性を有する部材、例えばゴム等を含んで構成され、長手軸方向Nに沿って短い円筒に形成されている。
【0056】
さらに、第2のカバー20は、内周面20nの一部が第1のカバー10の外周面10gに密着するよう係合自在であるとともに、内周面20nの長手軸方向Nの基端側(以下、単に基端側と称す)部位が、外周面51gの密着面Gに密着するよう係合自在となるよう構成されている。
【0057】
尚、第2のカバー20がゴムから構成されているのは、外周面51gに、先端カバー1を装着した際、先端部51に対する水密性を確保するためである。
【0058】
また、第2のカバー20の内周面20nに、内周方向(径方向内側)に突出する流路接続部20pが設けられている。
【0059】
流路接続部20pは、
図4、
図7に示すように、内部に流路接続部20pの先端と基端とを連通させる流路21が設けられている。
【0060】
流路接続部20pは、
図3に示すように、第1のカバー10の外周面10gに第2のカバー20の内周面20nが密着するよう係合された際、
図4の1点鎖線に示すように、貫通孔10pを介して第1のカバー10内に挿入される。その結果、流路21の先端側の突出部位は、ノズル12内に挿入されることにより、流路21は、ノズル12内の流路に連通する。
【0061】
また、流路21は、先端カバー1が先端部51に装着された際、
図6に示すように、流体通路62の先端側62sが流路21内に挿入されることにより、流体通路62に連通される。
【0062】
このことにより、流路21は、流体通路62から送られた流体をノズル12に対して流通させる。その結果、ノズル12の吐出口12tから観察窓52に流体が吹き付けられる。
【0063】
また、第1のカバー10の外周面10gに第2のカバー20が係合された際、流路21は、第2のカバー20の流路接続部20pの弾性力により、ノズル12に対して水密な状態においてノズル12に流体を流通させる。
【0064】
さらに、外周面51gに先端カバー1が装着された際、流路接続部20pの弾性力により、流路21と流体通路62とが水密な状態において連通される。
【0065】
尚、上述においては、第2のカバー20は、第1のカバー10の外周面10gに対して係合自在であると示したが、実際は、第1のカバー10の外周面10gに対して第2のカバー20を係合させた後は、係合させたままでもよく、また接着することにより第1のカバー10及び第2のカバー20の両者が分離できないようにしてもよい。
【0066】
また、第1のカバー10と第2のカバー20とは、先端カバー1として一体的に形成されていても構わない。
【0067】
以上のように、先端カバー1が先端部51に装着された状態において、挿入部55は、体腔内に挿入される。
【0068】
その後、観察窓52が汚れて観察し難くなった場合には、送気送水切替釦56bが操作者によって操作されることにより、流体通路62から流路21を介して送られた流体がノズル12の吐出口12tから観察窓52に吹き付けられて汚れが除去されることにより、観察窓52の視界が確保される。
【0069】
尚、先端カバー1も先端部51の外周面51gに対して着脱自在であると示したが、実際は、使用後に先端部51に対して接着等により先端カバー1を固定してしまうため、使用後、先端部51から先端カバー1を取り外す際は、先端カバー1を破壊することにより先端部51から取り外す。
【0070】
その後、先端カバー1を廃棄するとともに、内視鏡50の洗浄消毒滅菌処理が施される。
【0071】
さらに、第2のカバー20は、
図2~
図7に示した第1のカバー10の外周面10gに対してのみならず、
図8~
図13に示すような第1のカバー110の外周面110gに対しても係脱自在な構成を有している。また、実施形態によっては第2のカバー20が第1のカバー110gに対して係脱出来ない構造であってもよい。
【0072】
以下、第1のカバー110と、第2のカバー20とを具備する先端カバー101の構成を、
図8~
図15を用いて説明する。
【0073】
尚、第2のカバー20の構成は、
図2~
図7に示した構成と同じであるため、その説明は省略する。また、この構成においては、先端カバー101と内視鏡50とにより、内視鏡装置100は構成される。
【0074】
図8~
図15に示す構成においては、先端カバー101は、第1のカバー110と、第2のカバー20と、透光板90と、シース115とにより構成されている。
【0075】
第1のカバー110は、プラスチック等の硬質な樹脂から長手軸方向Nに沿って短い円筒に形成されているとともに、先端部51の外周面51gに対して内周面110nが係合自在な構成を有している。
【0076】
また、第1のカバー110に、
図8、
図11、
図12に示すように、先端部51の外周面51gに第1のカバー110が取り付けられた際、
図11に示すように、吐出口12tが透光板90の観察窓52の視野範囲に位置する部位に対向するノズル112が設けられている。
【0077】
ノズル112は、透光板90の後述する第2の面90bにおいて観察窓52の視野範囲に位置する部位に対して吐出口112tから流体を吹き付けるためのものである。
【0078】
尚、ノズル112は、透光板90に対して流体を吹き付けることから、観察窓52に対して流体を吹き付ける上述したノズル12に比べて前方への突出量が多くなっている。
【0079】
尚、第1のカバー110が硬質な樹脂から形成されているのは、ノズル112から流体を吹き付ける際の圧力による変形を防ぐためである。
【0080】
さらに、第1のカバー110の内周面110nに、長手軸方向Nに沿って係止突起111が設けられている。
【0081】
係止突起111は、先端部51の外周面51gに第1のカバー110が装着された際、係止溝51mに係合される。このことにより、先端部51に対する第1のカバー110の回動方向の位置決めがなされる。
【0082】
また、第1のカバー110の外周面110gに、周状の溝110wが形成されており、溝110wに、外周面110gと内周面110nとを貫通する係止孔110hが形成されている。
【0083】
係止孔110hは、先端部51の外周面51gに第1のカバー110が装着された際、係止ピン51tが係止される。このことにより、先端部51に対する第1のカバー110の回動方向及び長手軸方向Nの位置決めがなされる。
【0084】
さらに、第1のカバー110の溝110wにおいて周方向におけるノズル112が設けられた位置に、外周面110gと内周面110nとを貫通する貫通孔110pが形成されている。
【0085】
尚、上述においては、第2のカバー20は、第1のカバー110の外周面110gに対して着脱自在であると示したが、実際は、第1のカバー110の外周面110gに対して第2のカバー20を係合させた後は、そのまま係合状態を継続させてもよく、また接着することにより第1のカバー10及び第2のカバー20の両者が分離できないようにしてもよい。
【0086】
また、第1のカバー110と第2のカバー20とは、先端カバー101として一体的に形成されていても構わない。
【0087】
シース115は、ゴム、ビニール、ポリエチレン等の柔軟かつ薄い樹脂から構成されているとともに、先端が第2のカバー20の外周面20gに水密的に、例えば接着固定または挟み込みによって固定される。
【0088】
尚、シース115は、先端が第1のカバー110の外周面110gに水密的に固定されていても構わないし、各内周面20n、110nに水密的に固定されていても構わない。また、シース115の内径は、挿入部55を被覆しやすい大きさに設定されている。
【0089】
また、シース115は、
図14、
図15に示すように、先端カバー101が先端部51の外周面51gに装着された際、挿入部55の外表面を長手軸方向Nに亘って覆うものである。
【0090】
透光板90は、光透過性を有する材料から構成されており、
図10に示すように、第1のカバー110の前面開口110rを覆うように第1のカバー110に水密的に取り付けられる。尚、透光板90は、第2のカバー20に水密的に取り付けられていても構わない。
【0091】
また、透光板90は、取り付け後、第1のカバー110の前面開口110rを塞ぐことにより、観察窓52の視野範囲に位置する部位を有している。
【0092】
さらに、透光板90は、取り付け後、観察窓52に対向する第1の面90aと、該第1の面90aの反対側に位置し、ノズル112から流体が吹き付けられるとともに観察窓52の視野範囲に位置する部位を有する第2の面90bとを有している。
【0093】
流路接続部20pは、
図9、
図13に示すように、第1のカバー110の外周面110gに第2のカバー20の内周面20nが密着するよう装着された際、
図10の1点鎖線に示すように、貫通孔110pを介して第1のカバー110内に挿入される。その結果、流路21の先端側の突出部位は、ノズル112内に挿入されることにより、流路21は、ノズル112内の流路に連通する。
【0094】
また、流路21は、先端カバー101が先端部51に装着された際、
図12に示すように、流体通路62の先端側62sが流路21内に挿入されることにより、流体通路62に連通される。
【0095】
このことにより、流路21は、流体通路62から送られた流体をノズル112に対して流通させる。その結果、ノズル112の吐出口112tから第2の面90bの観察窓52の視野範囲に位置する部位に流体が吹き付けられる。
【0096】
また、第1のカバー110の外周面110gに第2のカバー20が係合された際、流路21は、第2のカバー20の弾性力により、ノズル112に対して水密な状態においてノズル112に流体を流通させる。
【0097】
さらに、外周面51gに先端カバー101が装着された際、流路接続部20pの弾性力により、流路21と流体通路62とが水密な状態において連通される。
【0098】
また、先端部51に先端カバー101を装着し、シース115によって
図14に示すように挿入部55を被覆した後、挿入部55の外表面にシース115を密着させるには、先ず、シース115の基端にシース口金41を装着し、シース口金41を、Oリング42を介して操作部56の外周面に水密気密に接続する。
【0099】
その結果、シース115内の空間Yは、基端がOリング42により閉じられ、先端が先端カバー101によって閉じられる。
【0100】
その後、処置具挿通口金56kに、ゴム栓40を装着し、ゴム栓内における管路61aに連通する空間と、シース口金41内の空間とを分岐チューブ43を用いて連通させる。
【0101】
次いで、吸引口金58aに、チューブ32、33、タンク31を介して吸引ポンプ30を接続する。
【0102】
尚、この
図14に示す状態においては、吸引ポンプ30を駆動させても、吸引切替釦56aが開成されているため、吸引ポンプ30は、チャンネル61、吸引切替釦56aを介して内視鏡装置100外の気体を吸引しているのみである。
【0103】
また、この際、チャンネル61の先端開口61rは、先端カバー101によって塞がれているため、気密状態が保持されている。
【0104】
その後、
図15に示すように、操作者の指Hにて、吸引切替釦56aの開口が塞がれると、吸引ポンプ30は、チャンネル61、管路61a、分岐チューブ43、シース口金41内の空間を介して、シース115内の空間Yの気体を吸引する。結果、シース115は、挿入部55の外表面に密着する。
【0105】
尚、上述したように、挿入部55の外表面にシース115を密着させるに際し、通常の吸引に使用される吸引ポンプ30にて密着作業を行えることから、別途特別な吸引装置や治具を用意する必要がない。
【0106】
さらには、吸引ポンプ30、チャンネル61を用いた簡単な構成により、低コストにて挿入部55の外表面にシース115を密着させることができる。
【0107】
このシース115が挿入部55の外表面に密着された状態において、挿入部55は、体腔内に挿入される。
【0108】
その後、透光板90の第2の面90bにおいて、観察窓52の視野領域に位置する部位が汚れて観察し難くなった場合には、送気送水切替釦56bが操作者によって操作されることにより、ノズル112の吐出口112tから第2の面90bに流体が供給されて汚れが除去され、観察窓52の視界が確保される。
【0109】
尚、先端カバー101は、先端部51の外周面51gに対して着脱自在であると示したが、実際は、使用後に、先端部51から先端カバー101を取り外す際は、先端カバー101を破壊することにより先端部51から取り外す。その後、先端カバー101を廃棄するとともに、内視鏡50全体に対して洗浄消毒滅菌処理が施される。
【0110】
このように、本実施の形態においては、1本の内視鏡50の挿入部55の先端部51に対して、シース115を有さない先端カバー1と、シース115を有する先端カバー101とが選択的に着脱自在であると示した。
【0111】
また、先端カバー1は、第2のカバー20の流路21により、先端部51に装着した際、流体通路62とノズル12とを流路接続部20pの弾性力により水密的に連通させ、観察窓52に対し流体を吹き付けることが可能であると示した。
【0112】
さらに、先端カバー101は、第2のカバー20の流路21により、先端部51に装着した際、流体通路62とノズル112とを流路接続部20pの弾性力による水密的に連通させ、透光板90の第2の面90bにおける観察窓52に視野範囲に位置する部位に対し流体を吹き付けることが可能であると示した。
【0113】
このような構成によれば、先端部51に先端カバー1を取り付ければ、従来の挿入部55をシースにて覆わない内視鏡と同様に使用することが出来、先端カバー101を取り付ければ、従来の挿入部55をシースにて覆う内視鏡としても使用することが出来る。
【0114】
即ち、1本の内視鏡50にて、先端カバーを付け替えるのみにより、シース115にて挿入部55を覆う使い方と覆わない使い方とを、症例内容等に応じて使い分けることができる。
【0115】
よって、使用者は、シース115にて挿入部55が覆う必要がある内視鏡と、覆う必要のない内視鏡とを2本用意する必要がなくなる。
【0116】
また、先端カバー1においても先端カバー101においても、流体通路62とノズル12とを連通させる流路21、流体通路62とノズル112とを連通させる流路21は、先端カバー1、先端カバー101における第2のカバー20内に設けられている。
【0117】
このことから、従来の先端部に装着後、長手軸方向Nに沿って挿入部と並設して流路が設けられた先端カバーと比して、先端カバーに設けられる流路21が短い分、座屈し難く、流体通路62からの流体を、送気送液不良なくノズル12、112に供給することができる。
【0118】
さらには、従来の先端カバー装着後、挿入部の径方向の外側に流体通路が設けられる先端カバーよりもノズル12、112を、観察窓52の視野中心に近接させることができるため、観察窓52や、透光板90の観察窓52の視野範囲に位置する部位への流体供給力を大きくすることができ、水切り性も良くなる。
【0119】
以上から、シース115にて覆う使用形態とシース115にて覆わない使用形態とのいずれの場合においても使用可能かつ、流体通路62を有する1本の内視鏡50の挿入部55に対して、内視鏡50の観察窓52の視界を妨げる対象物を流体通路62から供給された流体により除去する流体供給ノズル12、112を設けた内視鏡用先端カバー1、101、内視鏡装置100を提供することを目的とする。
【0120】
尚、以下、変形例を、
図16~
図18を用いて示す。
図16は、
図1の内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有さず透光板を有する先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図、
図17は、
図16の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図、
図18は、
図17の先端カバーの分解斜視図である。
【0121】
上述した本実施の形態においては、先端カバー1は、第1のカバー10と第2のカバー20とから構成されていると示した。また、透光板90は、先端カバー101に設けられていると示した。
【0122】
これに限らず、透光板690は、
図16~
図18に示すように、シース115を用いない先端カバー1'に設けられていても構わない。この場合、内視鏡装置100は、先端カバー1'と内視鏡50とから構成される。
【0123】
即ち、シース115を用いない先端カバー1'は、先端カバー101に用いた第1のカバー110と、第2のカバー20と、透光板690とから構成されていても構わない。
【0124】
尚、この際、透光板690により第1のカバー110の先端側を塞いでしまうと、シース115を用いないにも関わらずチャンネル61の先端開口61rまで塞いでしまうことから、透光板690のチャンネル61の先端開口61rに対向する位置に開口690yが形成されていれば良い。
【0125】
このような構成によれば、上述した本実施の形態においては、シース115を用いない先端カバー1と、シース115を用いる先端カバー101とでは、第1のカバーが異なっていたが、先端カバー1'においては、透光板690を用いるか透光板90を用いるかによって、シース115を用いない場合と用いる場合とにおいて、第1のカバー110を共通化することができる。尚、その他の効果は、上述した本実施の形態と同じである。
【0126】
また、以下、他の変形例を、
図19を用いて示す。
図19は、
図8の先端カバーにおける第1のカバーに、チャンネルが外付けされた変形例を示す斜視図である。
【0127】
上述した
図8に示すように、先端カバー101が先端部51に装着された状態においては、透光板90によりチャンネル61の先端開口61rは塞がれてしまっているとともに、
図15に示すように、処置具挿通口金56kは、栓40が装着されてしまっていることから、処置具をチャンネル61を介して体腔内に挿抜することや、チャンネル61を介して体腔内の液体や固体等を吸引することが出来ない。
【0128】
よって、
図19に示すように、挿入部55外において長手軸方向Nに沿って延出されるとともに流路21とは異なる外付けチャンネル200が、例えば第1のカバー110に対して、可撓性を有する連結部材210を介して固定されていても構わない。
【0129】
尚、連結部材210は、第1のカバー110に対して、溶着等により固定されている。また、連結部材210は、第2のカバー20に対して固定されていても構わない。
【0130】
また、外付けチャンネル200は、長手軸方向Nの中途位置が、挿入部55の外表面に対してシース115を介して係止される複数の係止部211の各スライド部211sにそれぞれ長手軸方向Nに沿って挿通されていることにより、シース115に近接して長手軸方向Nに沿って位置する。
【0131】
尚、外付けチャンネル200の基端は、上述した吸引ポンプ30とは異なる他の吸引ポンプに接続されている。
【0132】
このような構成によれば、チャンネル61の先端開口61rが透光板90によって塞がれていたとしても、外付けチャンネル200を介して、体腔内に対する処置具の挿抜や、体腔内の液体、固体等の吸引を行うことができる。尚、その他の効果は、上述した本実施の形態と同じである。
【0133】
【0134】
また、
図23は、本実施の形態の内視鏡装置において、内視鏡の挿入部の先端部に、シースを有する先端カバーが装着された状態を示す部分拡大斜視図、
図24は、
図23の先端部から先端カバーが脱却された状態を示す分解斜視図、
図25は、
図24の先端カバーの分解斜視図である。
【0135】
この第2実施の形態の内視鏡装置、先端カバーの構成は、上述した
図1~
図15に示した第1実施の形態の内視鏡装置、先端カバーの構成と比して、内視鏡が側視型の内視鏡から構成されており、それに応じて先端カバーの形状が異なる。
【0136】
よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0137】
図20~
図22に示すように、内視鏡装置100の先端カバー301は、挿入部55の先端部351に対して着脱自在な構成を有している。また、先端カバー301は、
図21、
図21A~
図21Fに示すような形状を有している。
【0138】
図21に示すように、先端部351は、外周面351gの一部が切り欠かれた形状に形成されており、切り欠き面351cに、観察窓352と、照明窓353とが設けられている。
【0139】
即ち、本実施の形態においては、内視鏡50は、長手軸方向Nに対して交差する方向を観察する、所謂側視型の内視鏡から構成されている。
【0140】
また、先端部351内に、既知の処置具起上台390が設けられており、長手軸方向Nにおいて処置具起上台390に対向するよう、チャンネル361の先端開口361rが先端部351において露出されている。尚、チャンネル361は、上述した第1実施形態のチャンネル61と同じ機能を有している。
【0141】
さらに、先端部351において、長手軸方向Nにおいて観察窓352に対向するよう、流体通路362の先端開口362iが露出されている。尚、流体通路362は、上述した第1実施形態の流体通路62と同じ機能を有している。
【0142】
また、先端部351の外周面351gに、係止ピン351tが形成されている。係止ピン351tは、先端部351の外周面351gに先端カバー301が装着された際、第1のカバー310の後述する係止孔310hが、
図20に示すように係止される。
【0143】
また、先端部351の外周面351gに、長手軸方向Nに沿った係止溝351mが形成されている。係止溝351mは、先端部351の外周面351gに先端カバー301が装着された際、第1のカバー310の後述する係止突起311が、
図20に示すように係合される。
【0144】
先端カバー301は、
図22に示すように、第1のカバー310と、第2のカバー320とにより構成されている。尚、第1のカバー310は、
図22、
図22A~
図22Fに示すような形状を有しており、第2のカバー320は、
図22G~
図22Lに示すような形状を有している。
【0145】
第1のカバー310は、プラスチック等の硬質な樹脂から長手軸方向Nに沿って細長であるとともに先端が塞がれたキャップ状に形成されており、先端部351の外周面351gに対して内周面310nが係合自在な構成を有している。
【0146】
また、第1のカバー310の外周面310gの一部に、先端部351に係合された際、観察窓352、照明窓353、処置具起上台390を、
図20に示すように露出させる開口319が形成されている。
【0147】
さらに、第1のカバー310の内周面310nに、長手軸方向Nに沿って係止突起311が設けられている。
【0148】
係止突起311は、先端部351の外周面351gに第1のカバー310が係合された際、係止溝351mに係合される。このことにより、先端部351に対する第1のカバー310の回動方向の位置決めがなされる。
【0149】
また、第1のカバー310の外周面310gに、周状の溝310wが形成されており、溝310wに、外周面310gと内周面310nとを貫通する係止孔310hが形成されている。
【0150】
係止孔310hは、先端部351の外周面351gに第1のカバー310が係合された際、係止ピン351tが係止される。このことにより、先端部351に対する第1のカバー310の回動方向及び長手軸方向Nの位置決めがなされる。
【0151】
さらに、第1のカバー310の溝310wにおいて周方向における開口319が設けられた位置に、外周面310gと内周面310nとを貫通する貫通孔310pが形成されている。
【0152】
第2のカバー320は、第1のカバー310よりも弾性を有する部材、例えばゴムからなり、長手軸方向Nに沿って短い円筒に形成されているとともに、内周面320nの一部が第1のカバー310の外周面310gに密着するよう係合自在であるとともに、内周面320nの基端側部位が、外周面351gの面G(
図21参照)に密着するよう係合自在な構成を有している。
【0153】
尚、第2のカバー320がゴムから構成されているのは、外周面351gに、先端カバー1を装着した際、先端部351に対する水密性を確保するためである。
【0154】
また、第2のカバー320の内周面320nに、内周方向(径方向内側)かつ前方に突出する流路接続部312が設けられている。
【0155】
流路接続部312は、
図21に示すように、第1のカバー310の外周面310gに第2のカバー320の内周面320nが密着するよう係合された際、
図22の1点鎖線に示すように、貫通孔310pを介して第1のカバー310内に挿入される。その結果、流路接続部312は、開口319の基端に位置する。
【0156】
尚、第1のカバー310の外周面310gに第2のカバー320が係合された際、流路接続部312は、弾性力により、第1のカバー310の内周面310nと362s(
図21参照)の両面に対して水密な状態において密着する。
【0157】
この状態において、先端カバー301が、
図20に示すように、先端部51の外周面351gに取り付けられると、流路接続部312は、先端部351において露出された流体通路362の先端側傾斜部362s上部を塞ぐため、開口319の基端において開口319に臨む先端開口362iは、流路接続部312によって流体通路362の吐出口312tとなり、流路接続部312によって上部が塞がれた流体通路362は、流路321を構成する。
【0158】
即ち、流路接続部312は、観察窓352に対向するノズルを構成する。尚、流路接続部312の形状は
図22に示すようなノズル形状に限定されない。また、以下、ノズルにも符号312を付す。
【0159】
ノズル312は、観察窓352に対して吐出口312tから流体を吹き付けるためのものである。
【0160】
尚、上述したように、第1のカバー310が硬質な樹脂から形成されているのは、ノズル312から流体を吹き付ける際の圧力による変形を防ぐためである。
【0161】
尚、上述においては、第2のカバー320は、第1のカバー310の外周面310gに対して係合自在であると示したが、実際は、第1のカバー310の外周面310gに対して第2のカバー320を係合させた後は、係合させたままでもよく、また接着することにより第1のカバー310及び第2のカバー320の両者が分離できないようにしてもよい。
【0162】
また、第1のカバー310と第2のカバー320とは、先端カバー301として一体的に形成されていても構わない。
【0163】
以上のように、先端カバー301が先端部351に装着された状態において、挿入部55は、体腔内に挿入される。
【0164】
その後、観察窓352が汚れて観察し難くなった場合には、送気送水切替釦56bが操作者によって操作されることにより、流体通路362、流路321から送られた流体がノズル312の吐出口312tから観察窓352に吹き付けられて汚れが除去されることにより、観察窓352の視界が確保される。
【0165】
尚、先端カバー301も先端部351の外周面351gに対して着脱自在であると示したが、実際は、使用後に、先端部351から先端カバー301を取り外す際は、先端カバー301を破壊することにより先端部351から取り外す。
【0166】
その後、先端カバー301を廃棄するとともに、内視鏡50全体に対して洗浄消毒滅菌処理が施される。
【0167】
さらに、第2のカバー320は、
図20~
図22に示した第1のカバー310の外周面310gに対してのみならず、
図23~
図25に示すような第1のカバー410の外周面410gに対しても係脱自在な構成を有している。また、実施形態によっては第2のカバー20が第1のカバー110gに対して係脱出来ない構造であってもよい。
【0168】
以下、第1のカバー410と、第2のカバー320'とを具備する先端カバー501の構成を、
図23~
図25を用いて説明する。
【0169】
尚、第2のカバー320'の構成は、
図20~
図22に示した構成と同様であるため、その説明は省略する。また、この構成においては、先端カバー501と内視鏡50とにより、内視鏡装置100は構成される。
【0170】
図23~
図25に示す構成においては、先端カバー501は、第1のカバー410と、第2のカバー320'と、透光板490と、シース115とにより構成されている。
【0171】
第1のカバー410は、プラスチック等の硬質な樹脂から長手軸方向Nに沿ったキャップ状に形成されているとともに、先端部351の外周面351gに対して内周面410nが係合自在な構成を有している。
【0172】
また、第1のカバー410の外周面410gの一部に、先端部351に係合された際、観察窓352、照明窓353、処置具起上台390を、
図23に示すように露出させる開口419が形成されている。
【0173】
さらに、第1のカバー410の内周面410nに、長手軸方向Nに沿って係止突起411が設けられている。
【0174】
係止突起411は、先端部351の外周面351gに第1のカバー410が係合された際、係止溝351mに係合される。このことにより、先端部351に対する第1のカバー410の回動方向の位置決めがなされる。
【0175】
また、第1のカバー410の外周面410gに、周状の溝410wが形成されており、溝410wに、外周面410gと内周面410nとを貫通する係止孔410hが形成されている。
【0176】
係止孔410hは、先端部351の外周面351gに第1のカバー410が係合された際、係止ピン351tが係止される。このことにより、先端部351に対する第1のカバー410の回動方向及び長手軸方向Nの位置決めがなされる。
【0177】
さらに、第1のカバー410の溝410wにおいて周方向における開口419が設けられた位置に、外周面410gと内周面410nとを貫通する貫通孔410pが形成されている。
【0178】
尚、上述においては、第2のカバー320'は、第1のカバー410の外周面410gに対して係合自在であると示したが、実際は、第1のカバー410の外周面410gに対して第2のカバー320'を係合させた後は、係合させたままでもよく、また接着することにより第1のカバー410及び第2のカバー320'の両者が分離できないようにしてもよい。
【0179】
よって、第1のカバー410と第2のカバー320とは、先端カバー501として一体的に形成されていても構わない。
【0180】
シース115は、先端が第2のカバー320'の外周面320gに水密的に、例えば接着固定または挟み込みによって固定される。
【0181】
尚、シース115は、第1のカバー410の外周面410gに水密的に固定されていても構わないし、各内周面320n、410nに水密的に固定されていても構わない。また、シース115の挿入部55の外表面に対する密着方法、構成は、上述した第1実施の形態と同様である。
【0182】
透光板490は、光透過性を有する材料から構成されており、
図23に示すように、第1のカバー410の開口419を塞ぐように第1のカバー410に水密的に取り付けられる。尚、透光板490は、第2のカバー320に水密的に取り付けられていても構わない。
【0183】
また、透光板490は、取り付け後、第1のカバー410の開口419を塞ぐことにより、観察窓352の視野範囲に位置する部位を有している。
【0184】
さらに、透光板490は、取り付け後、観察窓352に対向する第1の面490aと、該第1の面490aの反対側に位置し、ノズル312から流体が吹き付けられるとともに観察窓352の視野範囲に位置する部位を有する第2の面490bとを有している。
【0185】
流路接続部312'は、
図25に示すように、第1のカバー410の外周面410gに第2のカバー320の内周面320nが密着するよう係合された際、
図25の1点鎖線に示すように、貫通孔410pを介して第1のカバー410内に挿入される。その結果、流路接続部312'は、開口419の基端に位置する。
【0186】
尚、第1のカバー410の外周面410gに第2のカバー320'が係合された際、流路接続部312は、弾性力により、第1のカバー410の内周面410nと362s(
図21参照)の両面に対して水密な状態において密着する。
【0187】
この状態において、先端カバー501、
図23に示すように、先端部351の外周面351gに取り付けられると、流路接続部312'は、先端部351において露出された流体通路362の先端側傾斜部362s上部を塞ぐため、開口419の基端において透光板490に臨む先端開口362iは、流路接続部312によって流体通路362の吐出口312tとなり、流路接続部312'によって上部が塞がれた流体通路362は、流路321を構成する。即ち、流路接続部312'は、観察窓352に対向するノズルを構成する。
【0188】
ノズル312'は、透光板490の第2の面490bにおける観察窓352に視野範囲に位置する部位に対して吐出口312t'から流体を吹き付けるためのものである。
【0189】
尚、上述したように、第1のカバー410が硬質な樹脂から形成されているのは、ノズル312から流体を吹き付ける際の圧力による変形を防ぐためである。
【0190】
以上のように、先端カバー501が先端部351に装着され、シース115が挿入部55の外表面に密着された状態において、挿入部55は、体腔内に挿入される。
【0191】
その後、透光板490の第2の面490bにおいて、観察窓352の視野領域に位置する部位が汚れて観察し難くなった場合には、送気送水切替釦56bが操作者によって操作されることにより、ノズル312の吐出口312tから第2の面490bに流体が供給されて汚れが除去され、観察窓352の視界が確保される。
【0192】
尚、先端カバー501は、先端部351の外周面351gに対して着脱自在であると示したが、実際は、使用後に、先端部351から先端カバー501を取り外す際は、先端カバー501を破壊することにより先端部351から取り外す。その後、先端カバー501を廃棄するとともに、内視鏡50全体に対して洗浄消毒滅菌処理が施される。
【0193】
このように、シース115にて覆う使用形態とシース115にて覆わない使用形態とのいずれの場合においても使用可能かつ、流体通路362を有する1本の側視型の内視鏡50の挿入部55に対して、内視鏡50の観察窓352の視界を妨げる対象物を流体通路362から供給された流体により除去する流体供給ノズル312あるいは312'を装着できる内視鏡用先端カバー301、501、内視鏡装置100を提供することを目的とする。
【0194】
尚、本実施の形態においても、開口419を透光板490にて塞ぐ構成においては、上述した
図19に示すように、挿入部55外において長手軸方向Nに沿って延出される外付けチャンネル200が、例えば第1のカバー410に対して、可撓性を有する連結部材210を介して固定されていても上述した第1実施形態の変形例と同様の効果を得ることができる。
【0195】
さらに、第1実施形態と同様に、先端カバー301の第1のカバー310の開口319にも、処置具起上台390に対向する位置に開口が形成された透光板が設けられていても良いことは勿論である。