(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-01
(45)【発行日】2022-07-11
(54)【発明の名称】織物通気アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20220704BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20220704BHJP
A61M 16/20 20060101ALI20220704BHJP
【FI】
A61M16/06 A
A61M16/00 305A
A61M16/20 B
(21)【出願番号】P 2021549383
(86)(22)【出願日】2020-02-21
(86)【国際出願番号】 IB2020051474
(87)【国際公開番号】W WO2020170207
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-05-02
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ムディタ・プラディープ・ダンタナラヤナ
(72)【発明者】
【氏名】メンドゥ・グニー
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/085889(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/129913(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0255948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に呼吸治療のための陽圧のガスを提供するためのCPAPシステムであって、前記CPAPシステムは:
ガス流れを治療圧力において供給するように構成されたRPTデバイスと、
治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを形成する患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造を含む、患者インターフェースと、
前記治療圧力におけるガス流れを、前記RPTデバイスから前記患者インターフェースへと通過させるように構成された空気送達導管と、
前記患者が呼気したガスを加圧体積から雰囲気へ放出させるための通気ガス流れを提供するように構成された通気アセンブリと、を含み、
前記通気アセンブリは:
ベースであって、一次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするように
前記ベースを通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィスと、二次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第2のオリフィ
スと、を含むベースと、
前記ベースに設けられた拡散部材であって、前記拡散部材は、少なくとも1つの前記第1のオリフィスが前記一次通気流路に沿って前記拡散部材によって被覆されるようにかつ少なくとも1つの前記第2のオリフィスが前記二次通気流路に沿って前記拡散部材によって被覆されないような構成および配置にされる、拡散部材と、
前記ベースの少なくとも1つの前記第2のオリフィスに設けられた通気コンポーネントであって、前記通気コンポーネントは、複数の通気オリフィスを含む、通気コンポーネントと、
を含み、
前記通気コンポーネントは、通気ガス流れを呼吸治療全体を通じて前記二次通気流路に沿って調節するような構造および配置にされた膨張ポリマー材料を含む、CPAPシステム。
【請求項2】
前記通気コンポーネントは、水分または湿度の存在に起因して拡張および収縮するように構成されており、前記通気コンポーネントの拡張および収縮は、複数の前記通気オリフィスの拡張および収縮を発生させて、前記二次通気流路に沿った流れを調節するように構成される、請求項
1に記載のCPAPシステム。
【請求項3】
前記通気コンポーネントは、前記拡散部材が前記一次通気流路に沿って閉塞した場合に拡張するような構成にされ、これにより、前記通気ガス流れは前記二次通気流路に制限される、請求項
1~2のいずれか一項に記載のCPAPシステム。
【請求項4】
前記二次通気流路は、前記拡散部材を迂回して、前記拡散部材が水分または湿度に起因して閉塞した際に前記通気ガス流れが入ることを可能にする、請求項
3に記載のCPAPシステム。
【請求項5】
前記拡散部材は、織物材料を含む、請求項
1~4のいずれか一項に記載のCPAPシステム。
【請求項6】
患者に呼吸治療のための陽圧のガスを提供するためのCPAPシステムであって、前記CPAPシステムは:
ガス流れを治療圧力において供給するように構成されたRPTデバイスと、
治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを形成する患者インターフェースであって、前記患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造を含む、患者インターフェースと、
前記治療圧力におけるガス流れを、前記RPTデバイスから前記患者インターフェースへと通過させるように構成された空気送達導管と、
前記患者が呼気したガスを加圧体積から雰囲気へ放出させるための通気ガス流れを提供するように構成された通気アセンブリと、
を含み、
前記通気アセンブリは:
織物材料を含む通気部材であって、前記通気部材は、前記加圧体積から雰囲気へのガス放出を可能にする複数の通気孔を含む、通気部材と、
織物材料を含む拡散部材であって、前記拡散部材は、複数の前記通気孔が前記拡散部材によって被覆されるような構成および配置にされる、拡散部材と、
前記拡散部材を前記通気部材から間隔を空けて支持する支持構造と、
を含み、
前記支持構造は、一次通気流路に沿ったガス放出を可能にする開口部および二次通気流路に沿ったガス放出を可能にする側方開口部を含み、前記拡散部材は、前記開口部が前記拡散部材によって被覆されるように前記支持構造によって支持され、これにより、通気流れを前記一次通気流路に沿って前記拡散部材を通過させかつ前記側方開口部を前記拡散部材によって被覆させないことにより、通気流れを前記二次通気流路に沿って前記拡散部材を迂回させる、CPAPシステム。
【請求項7】
前記通気アセンブリは、前記患者インターフェースに設けられる、請求項
6に記載のCPAPシステム。
【請求項8】
前記二次通気流路は、前記拡散部材が水分または湿度に起因して閉塞した場合、前記拡散部材を迂回して、通気ガス流れが入ることを可能にする、請求項
6~7のいずれか一項に記載のCPAPシステム。
【請求項9】
前記通気アセンブリは、前記患者インターフェースに設けられている、請求項1に記載のCPAPシステム。
【請求項10】
前記通気アセンブリは、前記空気送達導管に設けられる、請求項1に記載のCPAPシステム。
【請求項11】
前記通気コンポーネントは、前記通気コンポーネントの周辺に溝部を含んでおり、前記溝部は、前記通気コンポーネントを前記ベースの少なくとも1つの前記第2のオリフィスの縁部またはリムに対して配置するように適合される、請求項1に記載のCPAPシステム。
【請求項12】
前記通気コンポーネントは、乾燥している場合、前記通気ガス流れが前記一次通気流路に制限されるように収縮するよう構成されている、請求項1に記載のCPAPシステム。
【請求項13】
前記通気コンポーネントは、前記通気コンポーネントの湿り度ひいては前記拡散部材の湿り度に起因して徐々に拡張および収縮し、それによって前記一次通気流路と前記二次通気流路との間における前記通気ガス流れが、呼吸治療全体を通じて分割または配分されるように構成されかつ配置されている、請求項1に記載のCPAPシステム。
【請求項14】
前記拡散部材は、湿気を保持するために1つ以上のコーティングを含む、請求項1に記載のCPAPシステム。
【請求項15】
前記拡散部材は、湿気を閉じ込めるために前記拡散部材の患者側に設けられた疎水コーティング、および/または湿気の移動を止めるために前記拡散部材の雰囲気側に設けられた親水コーティングを備える、請求項14に記載のCPAPシステム。
【請求項16】
前記通気アセンブリは、前記空気送達導管に設けられる、請求項6に記載のCPAPシステム。
【請求項17】
前記支持構造は、前記開口部を形成する壁と、前記壁から突出する複数の支持部材と、を含み、複数の前記支持部材は、前記壁と当該壁上の前記拡散部材とを前記通気部材から間隔を空けて支持する、請求項6に記載のCPAPシステム。
【請求項18】
複数の前記支持部材は、前記通気アセンブリの周囲に沿って、前記側方開口部の少なくとも一部を形成する、請求項17に記載のCPAPシステム。
【請求項19】
さらにベースを備えており、前記ベースと前記支持部材との間に前記通気部材が挟まれている、請求項17に記載のCPAPシステム。
【請求項20】
前記拡散部材は、前記通気アセンブリのカバーまたは外側を形成する、請求項6に記載のCPAPシステム。
【請求項21】
前記拡散部材は、湿気を保持するために1つ以上のコーティングを含む、請求項6に記載のCPAPシステム。
【請求項22】
前記拡散部材は、湿気を閉じ込めるために前記拡散部材の患者側に設けられた疎水コーティング、および/または湿気の移動を止めるために前記拡散部材の雰囲気側に設けられた親水コーティングを備える、請求項21に記載のCPAPシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0002】
1 関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月22日に出願された米国仮出願第62/808,901号および2019年7月30日に出願された米国仮出願第。62/880,338号の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【背景技術】
【0003】
2 技術の背景
2.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連疾患のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【0004】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその疾患
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口腔は、患者の気道への入口を形成する。
【0005】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の肺胞領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸領域と呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0006】
一定範囲の呼吸器疾患が存在している。特定の疾患は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0007】
呼吸器疾患の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0008】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候は一般的な疾患であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。特許文献1(米国特許第4,944,310号:Sullivan)を参照されたい。
【0009】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の疾患であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CCRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。特許文献2(米国特許第6,532,959号:Berthon-Jones)を参照されたい。
【0010】
呼吸不全とは、呼吸器障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO2呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の疾患のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0011】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0012】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0013】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0014】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋肉障害は、以下の急速進行性と緩徐進行性とに区分され得る:(i)急速進行性障害:数ヶ月かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、数年内に死亡に繋がる(例えば、ティーンエージャーにおける筋萎縮性側索硬化症(ALS)およびデュシェンヌ筋ジストロフィー(DMD));(ii)可変性または緩徐進行性障害:数年かけて悪化する筋肉障害によって特徴付けられ、平均余命が若干低減するだけである(例えば、肢帯、顔面肩甲上腕型および筋強直性筋ジストロフィー)。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0015】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0016】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の治療が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸器疾患の予防治療を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0017】
2.2.2 治療法
多様な療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)治療法、非侵襲的換気(NIV)および侵襲的換気(IV))が上記の呼吸器疾患の1つ以上の治療のために用いられている。
【0018】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用機構としては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続陽圧呼吸療法が空気スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP治療によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が治療の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が治療を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0019】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの治療の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
2.2.3 治療システム
これらの治療は、治療システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0022】
治療システムは、呼吸圧力治療デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、およびデータ管理を含み得る。
【0023】
別の形態の治療システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0024】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口腔へのマスク、口腔への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための雰囲気圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば雰囲気圧力に対して約10cmH2Oの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の治療形態において、患者インターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0025】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0026】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0027】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0028】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0029】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸治療期間を通じて動き得る。
【0030】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、治療に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0031】
CPAP治療は、患者が治療を承諾している場合、特定の呼吸器疾患の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、治療を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0032】
る場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0033】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0034】
2.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に直接影響を持ち得る。
【0035】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口腔領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0036】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルの密閉部は、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0037】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。密閉部を形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0038】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のある密閉要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、密閉を達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0039】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に配置された薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、密閉を達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0040】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0041】
別の形態のシール形成構造は、密閉を達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0042】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0043】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0044】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(登録商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの実施例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(登録商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0045】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化
陽圧空気治療に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、密閉を妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対して密閉を維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0046】
1つの技術において、接着部が用いられる。例えば、米国特許出願公開US2010/0000534号を参照されたい。しかし、接着部を用いた場合、不快感がある場合がある。
【0047】
別の技術において、1つ以上のストラップおよび/または安定化ハーネスが用いられる。多数のこのようなハーネスの場合、フィット感が悪い、かさばる、不快および扱いにくいなどの点のうち1つ以上が当てはまる。
【0048】
2.2.3.2 呼吸圧力治療(RPT)デバイス
呼吸圧力治療(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の治療のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。この空気流れは、加圧され得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0049】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0050】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0051】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH
2Oにて測定)。
【表1】
【0052】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠治療システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の実施例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(登録商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0053】
ResMed Elisアクサンテギュee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(登録商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0054】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0055】
2.2.3.3 加湿器
空気流れの送達を加湿無しで行った場合、気道の乾燥に繋がり得る。加湿器をRPTデバイスおよび患者インターフェースと共に用いた場合、加湿ガスが生成されるため、鼻粘膜の乾燥が最小化され、患者気道の快適性が増加する。加えて、より冷涼な気候においては、概して患者インターフェースの周囲の顔領域へ温風を付加すると、冷風の場合よりも快適性が高まる。
【0056】
一定範囲の人工的加湿機器およびシステムが公知であるが、医療加湿器の特殊な要件を満たせていない。
【0057】
医療加湿器は、典型的には患者が(例えば病院において)睡眠時または安静時にあるときに、必要な場合に周囲空気に相対して空気流れの湿度および/または温度を増加させるように、用いられる。枕元に置かれる医療加湿器は、小型である場合がある。医療加湿器は、患者へ送達される空気流れの加湿および/または加熱のみを行うように構成され得、患者の周囲の加湿および/または加熱は行わない。例えば、部屋ベースのシステム(例えば、サウナ、エアコン、または蒸発冷却器)は、呼吸により患者体内に取り込まれる空気も加湿し得るものの、これらのシステムの場合、部屋全体も加湿および/または加熱するため、占有者にとって不快になり得る。さらに、医療加湿器の場合、工業用加湿器よりも安全面での制約がより厳しい場合もある。
【0058】
多数の医療加湿器が公知であるものの、このような医療加湿器の場合、1つ以上の欠陥を被り得る。すなわち、このような医療加湿器の場合、加湿が不適切なものもあれば、患者にとって使用が困難または不便であるものもある。
【0059】
2.2.3.4 データ管理
臨床的理由により、呼吸治療が処方された患者が「コンプライアンスを遵守している」(例えば、患者が自身のRPTデバイスを1つ以上の「コンプライアンスルール」に則っているか)を決定するためのデータを入手する場合がある。CPAP治療についてのコンプライアンスルールの一例として、患者がコンプライアンスを遵守しているとみなすためには、患者が連続30日間のうち少なくとも21日間にわたってRPTデバイスを一晩あたり少なくとも4時間にわたって使用する必要がある。患者のコンプライアンスを決定するためには、RPTデバイスのプロバイダ(例えば、ヘルスケアプロバイダ)は、RPTデバイスを用いた患者の治療を記述するデータを手作業で入手し、所定期間にわたる使用率を計算し、これをコンプライアンスルールと比較し得る。ヘルスケアプロバイダが患者が自身のRPTデバイスをコンプライアンスルールに則って使用したと決定すると、当該ヘルスケアプロバイダは、患者がコンプライアンスを遵守している旨を第三者に通知し得る。
【0060】
患者の治療において、治療データの第三者または外部システムへの通信から恩恵を受ける他の態様があり得る。
【0061】
このようなデータを通信および管理するための既存のプロセスの場合、高コスト、時間がかかること、エラーの発生し易さのうち1つ以上が発生し得る。
【0062】
2.2.3.5 下顎の再位置決め
下顎再位置決めデバイス(MRD)または下顎前方固定デバイス(MAD)は、睡眠時無呼吸およびいびきの治療選択肢の1つである。これは、歯科医または他の供給業者から利用可能である調節可能な口腔用器具であり、下顎部(下顎)を睡眠時に前方位置に保持する。MRDは、取り外し可能なデバイスであり、患者の睡眠前に口腔内に挿入され、睡眠後に取り外される。そのため、MRDは、常時装着用途を想定した設計はされていない。MRDは、カスタム仕様にしてもよいし、あるいは、標準形態で製造してもよく、患者の歯に適合するように設計された咬合印象部位を含む。この下顎からの機械的突出部は、舌の後ろ側の空間を拡張させ、咽頭壁上へ張力を付加して、気道崩壊を低減させ、口蓋振動を低減させる。
【0063】
特定の実施例において、下顎前方固定デバイスは、上顎または上顎骨上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された上側スプリントと、上顎または下顎上の歯と係合するかまたは嵌め合うように意図された下側スプリントとを含み得る。上側スプリントおよび下側スプリントは、一対の接続ロッドを介して相互に横方向に接続される。この1組の接続ロッドは、上側スプリントおよび下側スプリント上において対称に固定される。
【0064】
このような設計において、接続ロッドの長さは、MRDが患者の口腔中に配置されたときに下顎が前方位置に保持されるように、選択される。接続ロッドの長さは、下顎の突出レベルを変化させるように、調節され得る。歯科医は、突出レベルを下顎に合わせて決定することができ、その結果、接続ロッドの長さが決定される。
【0065】
下顎を上顎骨に対して前方に押し出すように構成されているMRDもあれば、ResMed Narval CC(登録商標)MRDなどの他のMADのように、下顎を前方位置に保持するように設計されているものもある。このデバイスにより、歯科的副作用および側頭/下顎間の関節(TMJ)の副作用も低下または最小化される。そのため、このデバイスは、歯のうち1つ以上の任意の移動を最小化または回避するように構成される。
【0066】
2.2.3.6 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、吐き出された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0067】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0068】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0069】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmH
2O圧力)
【表2】
【0070】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmH2Oにて測定)
【0071】
【0072】
2.2.4 スクリーニング、診断、および監視システム
睡眠ポリグラフ(PSG)は、心肺疾患の診断および監視のための従来のシステムであり、典型的には、システム適用のために専門家臨床スタッフを必要とすることが多い。PSGにおいては、多様な身体信号(例えば、脳波検査(EEG)、心電図検査(ECG)、電気眼球図記録(EOG)、筋電図描画法(EMG))を記録するために、典型的には15~20個の接触覚センサを人体上に配置する。睡眠時呼吸障害のPSGのめには、患者を専門病院において二晩にわたって観察する必要があった。すなわち、第一夜は純然たる診断のためであり、第二夜は、臨床医による治療パラメータのタイトレーションのために必要であった。そのため、PSGは高コストであり、利便性も低い。睡眠呼吸障害のスクリーニング/診断/監視は家庭において特に不向きである。
【0073】
一般に、スクリーニングおよび診断は、疾患の兆候と症状によって疾患を特定することである。通常、スクリーニングは、患者のSDBがさらなる調査を求める程であるかないかを示す真/偽結果を出すいっぽう、診断は、臨床で実行可能な情報を出すことが多い。スクリーニングおよび診断は、一回性手続きになる傾向であることに反して、疾患の経過をモニタリングすることは無限定に続けられる。いくつかのスクリーニング/診断システムは、スクリーニング/診断にのみ適合されているが、いくつかはモニタリングにも使用することができる。
【0074】
臨床専門家は、患者のスクリーニング、診断または監視をPSG信号の視覚的観察に基づいて適切に行い得る。しかし、臨床専門家が居ないまたは臨床専門家への支払いができない状況がある。患者の状態について臨床専門家によって意見が異なる場合がある。さらに、或る臨床専門家は、時期によって異なる基準を適用し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0075】
【文献】米国特許第4,944,310号明細書
【文献】米国特許第6,532,959号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0076】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0077】
本技術の第1の態様は、呼吸器疾患のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0078】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0079】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸治療についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0080】
本技術の別の態様は、以下を含む患者インターフェースに関する:周囲空気圧力を超える少なくとも6cmH2Oの治療圧力へ加圧可能であるプレナムチャンバであって、プレナムチャンバは、治療圧力における空気流れを患者の呼吸のために受容するようなサイズおよび構造にされたプレナムチャンバ入口ポートを含む、プレナムチャンバ;患者の気道への入口を包囲する患者の面の領域に対してシールするように構築および配置されたシール形成構造であって、シール形成構造は、その中に穴を有し、これにより、治療圧力における空気流れが少なくとも患者の鼻孔への入口に送達され、シール形成構造は、使用時において患者の呼吸サイクル全体において上記治療圧力をプレナムチャンバ内に維持するように構築および配置される、シール形成構造;シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供する位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、タイを含み、タイは、使用時に少なくとも一部が患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部の領域に載置されるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造;および患者が呼気したガスが連続的にプレナムチャンバ内部から周囲へ連続的に流れることを可能にする通気構造であって、通気構造は、使用時に前記プレナムチャンバ内の前記治療圧力を維持するようなサイズおよび形状にされる、通気構造と、を含み、ここで、患者インターフェースは、患者の口腔を露出させたママにするようにさらに構成されるか、あるいは、シール形成構造が患者の鼻と口の周囲を密閉するように構成される場合には、患者インターフェースは、プレナムチャンバ入口ポートを通じた加圧空気流れが無い場合に患者が自身の口腔を通じて雰囲気から呼吸することを可能にするように構成される。
【0081】
本技術の別の態様は、患者に呼吸治療のための陽圧のガスを提供するCPAPシステムに関する。CPAPシステムは、ガス流れを治療圧力で供給するように構成されたRPTデバイスと、治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを形成する患者インターフェースと、を含み、患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造、治療圧力におけるガス流れを、RPTデバイスから患者インターフェースへと通過させるように構成された空気送達導管、および患者が呼気したガスを加圧体積から雰囲気へ放出させるための通気ガス流れを提供するように構成された通気アセンブリを含む。通気アセンブリは、一次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするようにベースを通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィスと二次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第2のオリフィス、ベースに設けられた拡散部材、およびベースに設けられた膜を含む。拡散部材は、少なくとも1つの第1のオリフィスを拡散部材によって被覆させることによって通気流れを1次通気流れ経路に沿って拡散部材を通過させかつ少なくとも1つの第2のオリフィスを拡散部材によって被覆させないことによって通気流れを2次通気流れ経路に沿って拡散部材を迂回させるように、構成および配置される。膜は、ガス通気流れを呼吸治療全体を通じて1次通気流れ経路および2次通気流れ経路に沿って配分するような構造および構成にされる。
【0082】
本技術の別の態様は、患者に呼吸治療のための陽圧のガスを提供するCPAPシステムに関する。CPAPシステムは、ガス流れを治療圧力で供給するように構成されたRPTデバイスと、治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを形成する患者インターフェースと、を含み、患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造、治療圧力におけるガス流れを、RPTデバイスから患者インターフェースへと通過させるように構成された空気送達導管、および患者が呼気したガスを加圧体積から雰囲気へ放出させるための通気ガス流れを提供するように構成された通気アセンブリを含む。通気アセンブリは、一次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするようにベースを通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィスと二次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第2のオリフィス、ベースに設けられた拡散部材、ベースの少なくとも1つの第2のオリフィスに設けられた、複数の通気オリフィスを含む通気コンポーネントを含む。拡散部材は、少なくとも1つの第1のオリフィスを1次通気流れ経路に沿って拡散部材によって被覆させかつ少なくとも1つの第2のオリフィスを2次通気流れ経路に沿って拡散部材によって被覆させないように、構成および配置される。通気コンポーネントは、膨張ポリマー材料を含む。この膨張ポリマー材料は、ガス通気流れを治療全体を通じて2次通気流れ経路呼吸に沿って調節するような構造および配置にされる。
【0083】
本技術の別の態様は、患者に呼吸治療のための陽圧のガスを提供するCPAPシステムに関する。CPAPシステムは、ガス流れを治療圧力で供給するように構成されたRPTデバイスと、治療圧力まで加圧可能なプレナムチャンバを形成する患者インターフェースと、を含み、患者インターフェースは、患者の気道への入口を包囲する患者の顔領域に対してシールを形成するように構築および配置されたシール形成構造、治療圧力におけるガス流れを、RPTデバイスから患者インターフェースへと通過させるように構成された空気送達導管、および患者が呼気したガスを加圧体積から雰囲気へ放出させるための通気ガス流れを提供するように構成された通気アセンブリを含む。通気アセンブリは、通気部材と、拡散部材と、支持構造とを含み、通気部材は、織物材料を含み、加圧空間から雰囲気へのガス放出を可能にする複数の通気孔を含み、拡散部材は、織物材料を含み、複数の通気孔が拡散部材によって被覆されるような構成および配置にされ、支持構造は、拡散部材を通気部材から間隔を空けて支持する。支持構造は、1次通気流れ経路に沿ったガス放出を可能にする開口部および2次通気流れ経路に沿ったガス放出を可能にする側方開口部を含み、拡散部材は、開口部を拡散部材によって被覆させることによって通気流れを1次通気流れ経路に沿って拡散部材を通過させかつ側方開口部を拡散部材によって被覆させることによって通気流れを2次通気流れ経路に沿って拡散部材を迂回させるように、支持構造によって支持される。
【0084】
本技術の別の態様は、通気アセンブリに関する。この通気アセンブリは、ベース、拡散部材、膜および/または通気コンポーネントを含む。
【0085】
本技術の別の態様は、一次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするようにベースを通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィスと二次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第2のオリフィス、ベースに設けられた拡散部材、およびベースに設けられた膜を含む通気アセンブリに関する。拡散部材は、少なくとも1つの第1のオリフィスを拡散部材によって被覆させることによって通気流れを1次通気流れ経路に沿って拡散部材を通過させかつ少なくとも1つの第2のオリフィスを拡散部材によって被覆させないことによって通気流れを2次通気流れ経路に沿って拡散部材を迂回させるように、構成および配置される。膜は、ガス通気流れを呼吸治療全体を通じて1次通気流れ経路および2次通気流れ経路に沿って配分するような構造および構成にされる。
【0086】
本技術の別の態様は、一次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするようにベースを通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィスと二次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第2のオリフィス、ベースに設けられた拡散部材、ベースの少なくとも1つの第2のオリフィスに設けられた、複数の通気オリフィスを含む通気コンポーネントを含む通気アセンブリに関する。拡散部材は、少なくとも1つの第1のオリフィスを1次通気流れ経路に沿って拡散部材によって被覆させかつ少なくとも1つの第2のオリフィスを2次通気流れ経路に沿って拡散部材によって被覆させないように、構成および配置される。通気コンポーネントは、膨張ポリマー材料を含む。この膨張ポリマー材料は、ガス通気流れを治療全体を通じて2次通気流れ経路呼吸に沿って調節するような構造および配置にされる。
【0087】
本技術の別の態様は、織物通気部材、織物拡散部材、および/または支持構造を含む通気アセンブリに関する。
【0088】
本技術の別の態様は、通気部材と、拡散部材と、支持構造とを含む通気アセンブリに関する。通気部材は、織物材料を含み、加圧空間から雰囲気へのガス放出を可能にする複数の通気孔を含み、拡散部材は、織物材料を含み、複数の通気孔が拡散部材によって被覆されるような構成および配置にされ、支持構造は、拡散部材を通気部材から間隔を空けて支持する。支持構造は、1次通気流れ経路に沿ったガス放出を可能にする開口部および2次通気流れ経路に沿ったガス放出を可能にする側方開口部を含み、拡散部材は、開口部を拡散部材によって被覆させることによって通気流れを1次通気流れ経路に沿って拡散部材を通過させかつ側方開口部を拡散部材によって被覆させることによって通気流れを2次通気流れ経路に沿って拡散部材を迂回させるように、支持構造によって支持される。
【0089】
本技術の別の態様は、ガスを加圧体積から雰囲気へ放出させるための通気ガス流れを提供するように構成された通気アセンブリに関する。通気アセンブリは、一次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第1のオリフィスと、二次通気流路に沿って加圧体積からのガスを雰囲気へ放出させることを可能にするような少なくとも1つの第2のオリフィスと、少なくとも1つの第1のオリフィスが前記拡散部材によって被覆されるような構成および配置にされた拡散部材であって、これにより、通気流れを前記1次通気流れ経路に沿って拡散部材を通過させかつ少なくとも1つの第2のオリフィスが拡散部材によって被覆されないようにし、これにより、通気流れを2次通気流れ経路に沿って拡散部材を迂回させる、拡散部材と;およびガス通気流れを1次通気流れ経路および2次通気流れ経路に沿って配分するような構造および配置にされた膜と、を含む。例において、通気アセンブリは、患者インターフェースに設けられる。一例において、通気アセンブリは、空気送達導管に設けられる。
【0090】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0091】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0092】
もちろん、上記態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0093】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0094】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一実施例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む:
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1A】4.1 治療システム:患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻枕の形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
【
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを示す。このシステムは、鼻マスクの形態をとり、RPTデバイス4000から供給される陽圧の空気を受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
【
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給をRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。4.2 呼吸システムおよび顔の解剖学的構造
【
図2A】鼻腔および口腔、喉頭、声帯ひだ、食道、気管、気管支、肺、肺胞嚢、心臓および横隔膜を含むヒト呼吸器系の概要を示す。
【
図2B】鼻腔、鼻骨、外側鼻軟骨、大鼻翼軟骨、鼻穴、上唇、下唇、喉頭、硬口蓋、軟口蓋、口咽頭、舌、喉頭蓋、声帯ひだ、食道および気管を含むヒトの上気道の図である。
【
図2C】上唇、上唇紅、下唇紅、下唇、口の幅、内眼角、鼻翼、鼻唇溝および口角点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む顔の正面図である。上側、下側、ラジアル内方およびラジアル外方の方向も記載される。
【
図2D】眉間、セリオン、鼻尖点、鼻下点、上唇、下唇、スプラメントン、鼻堤、鼻翼頂上点、上耳底点および下耳底点を含む表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。
【
図2E】頭部のさらなる側面図である。フランクフォート水平および鼻唇角の大まかな位置が記載されている。冠状面も記載される。
【
図2F】鼻唇溝、下唇、上唇紅、鼻孔、鼻下点、鼻柱、鼻尖点、鼻孔の主軸および正中矢状面を含むいくつかの特徴を含む鼻の底面図である。
【
図2H】外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨、鼻種子軟骨、鼻骨、表皮、脂肪組織、上顎骨の前頭突起および線維性脂肪組織を含む鼻の皮下構造を示す。
【
図2I】正中矢状面からおよそ数ミリメートルの位置における鼻の中間切開を示し、特に鼻中隔軟骨および大鼻翼軟骨の内側脚を示す。
【
図2J】前頭骨、鼻骨および頬骨を含む頭蓋骨の骨正面図である。鼻甲介が上顎骨および下顎骨と共に図示されている。
【
図2K】頭蓋骨を頭部表面の外形およびいくつかの筋肉と共に示す側面図である。以下の骨が図示されている:前頭骨、蝶形骨、鼻骨、頬骨、上顎骨、下顎骨、頭頂骨、側頭骨および後頭骨。オトガイ隆起が図示されている。以下の筋肉が図示されている:顎二腹筋、咬筋、胸鎖乳突筋および僧帽筋。
【
図2L】鼻の前方側面図を示す。4.3 患者インターフェース
【
図3A】本技術の一形態による鼻マスクの形態の患者インターフェースを示す。
【
図3B】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、3Cに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3C】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、正の符号と、
図3Bに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3D】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率の値はゼロである。
【
図3E】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Fに示す曲率の大きさと比較して比較的小さな大きさとを有する。
【
図3F】構造を1つの点において切断した模式的断面図である。この点における外向き法線が図示される。この点における曲率は、負の符号と、
図3Eに示す曲率の大きさと比較して比較的大きな大きさとを有する。
【
図3G】2つの枕を含むマスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。ドーム領域およびサドル領域が図示される。
【
図3H】マスク用クッションを示す。クッションの外面が図示される。表面の縁部が図示される。点Aと点Bとの間の表面上の経路が図示される。AとBとの間の直線距離が図示される。2つのサドル領域およびドーム領域が図示される。
【
図3I】構造の表面を示し、この表面中には一次元穴が開いている。図示の平面曲線は、一次元穴の境界を形成する。
【
図3J】
図3Iの構造を通じた断面図である。図示の表面は、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける。
【
図3K】二次元穴および一次元穴を含む
図3Iの構造の斜視図である。また、
図3Iの構造中の二次元穴を境界付ける表面が図示される。
【
図3L】クッションとしての可膨張性ブラダーを有するマスクを示す。
【
図3M】
図3Lのマスクの断面図であり、ブラダーの内面を示す。内面により、マスク中の二次元穴が境界付けられる。
【
図3N】
図3Lのマスクを通じたさらなる断面を示す。内面も図示される。
【
図3T】マスクの異なる領域内の密閉膜の縁部によって規定された空間曲線のねじれのサインを含むマスクの図である。
【
図3U】正中矢状面および中央接触面を示す、プレナムチャンバ3200の図である。
【
図3V】
図3Uのプレナムチャンバの後方の図である。図中の方向は、中央接触面に対して垂直である。
図3V中、正中矢状面により、プレナムチャンバが左手側および右手側に二等分される。
【
図3W】
図3Vのプレナムチャンバを通じた断面図であり、この断面は、
図3Vに示す正中矢状面においてとられる。「中央接触」面が図示される。中央接触面は、正中矢状面に対して垂直である。中央接触面の方位は、腱3210の方位に対応する。腱3210は、正中矢状面上に載置され、正中矢状面上の2点(すなわち、上点3220および下点3230)においてプレナムチャンバのクッションのみと接触する。この領域におけるクッションのジオメトリに応じて、中央接触面は、上点および下点双方に接し得る。
【
図3X】
図3Uのプレナムチャンバ3200が顔面上の使用位置にある状態を示す。プレナムチャンバ3200の正中矢状面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、顔の正中矢状面と概して一致する。中央接触面は、プレナムチャンバが使用位置にあるとき、「顔の面」に概して対応する。
図3Xにおいて、プレナムチャンバ3200は鼻マスクのものであり、上点3220はほぼセリオン上に載置され、下点3230は上唇上に載置される。4.4 通気アセンブリ
【
図4A】本技術の一実施例による空気送達導管に設けられた通気アセンブリの斜視図である。
【
図4B】本技術の一実施例による空気送達導管に設けられた通気アセンブリの断面図である。
【
図4C】本技術の一実施例による通気アセンブリおよび空気送達導管の分解図である。
【
図4D】本技術の一実施例による通気アセンブリおよび空気送達導管の別の分解図である。
【
図4E】本技術の一実施例による通気アセンブリの斜視図である。
【
図4I】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が無いかまたは低圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図4Eの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図4J】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図4Eの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図4K】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞されているときに
図4Eの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図5A】本技術の一実施例による通気アセンブリの斜視図である。
【
図5E】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が無いかまたは低圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図5Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図5F】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図5Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図5G】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞しているときに
図5Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図6A】本技術の一実施例による空気送達導管に設けられた通気アセンブリの斜視図である。
【
図6B】本技術の一実施例による空気送達導管に設けられた通気アセンブリの断面図である。
【
図6C】本技術の一実施例による通気アセンブリおよび空気送達導管の分解図である。
【
図6D】本技術の一実施例による通気アセンブリおよび空気送達導管の別の分解図である。
【
図6E】本技術の一実施例による通気アセンブリの斜視図である。
【
図6I】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が無いかまたは低圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図6Eの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図6J】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図6Eの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図6K】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞されているときに
図6Eの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図7A】本技術の一実施例による通気アセンブリの分解図である。
【
図7C】
図7Aの通気アセンブリのアクティベータおよびセンサの斜視図である。
【
図8A】本技術の一実施例による通気アセンブリの斜視図である。
【
図8D】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞していないときに
図8Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図8E】本技術の一実施例による空気送達導管中に空気圧力が存在しかつ織物材料が閉塞しているときに
図8Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図9A】本技術の一実施例による通気アセンブリの上面斜視図である。
【
図9E】本技術の一実施例による空気圧力が存在しかつ拡散部材が閉塞されていないときに
図9Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図9F】本技術の一実施例による空気圧力が存在しかつ拡散部材が閉塞されているときに
図9Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図10A】本技術の一実施例による通気アセンブリの上面斜視図である。
【
図10E】本技術の一実施例による空気圧力が存在しかつ拡散部材が閉塞されていないときに
図10Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図10F】本技術の一実施例による空気圧力が存在しかつ拡散部材が閉塞されているときに
図10Aの通気アセンブリ内を空気が通過する様子を示す断面図である。
【
図11A】本技術の一実施例による通気アセンブリの例示的な通気流れを示すグラフである。
【
図11B】本技術の一実施例による通気アセンブリの例示的な通気流れを示すグラフである。
【
図11C】本技術の一実施例による通気アセンブリの例示的な通気流れを示すグラフである。
【
図11D】本技術の一実施例による通気アセンブリの例示的な通気流れを示すグラフである。
【
図11E】本技術の一実施例による通気アセンブリの例示的な通気流れを示すグラフである。
【
図11F】本技術の一実施例による通気アセンブリの例示的な通気流れを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0096】
5 本技術の実施例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の実施例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の実施例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0097】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な実施例に関連して提供される。任意の1つの実施例の1つ以上の特徴は、別の実施例または他の実施例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの実施例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる実施例を構成し得る。
【0098】
5.1 治療法
一形態において、本技術は、呼吸器疾患の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加するステップを含む。
【0099】
本技術の特定の実施例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0100】
本技術の特定の実施例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
【0101】
5.2 治療システム
1つの形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための装置またはデバイスを含む。装置またはデバイスは、加圧空気を患者インターフェース3000への空気回路4170を介して患者1000へ供給するRPTデバイス4000を含み得る(例えば、
図1A~1Cを参照されたい)。
【0102】
5.3 患者インターフェース
図3Aに示したように、本技術の一様態による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能態様を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気部3400、空気回路4170への接続のための一形態の接続ポート3600、および前額支持部3700。いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的コンポーネントによって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的コンポーネントは、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、気道への陽圧での空気供給を促進するように、患者の気道の入口を包囲するように配置される。
【0103】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力治療に不適切であり得る。
【0104】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0105】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも10cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0106】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも20cmH2Oの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。
【0107】
5.3.1 シール形成構造
本技術の一形態において、シール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、クッション機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100において密閉が発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0108】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0109】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構成される。
【0110】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾発性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0111】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0112】
5.3.1.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いるシーリングフランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0113】
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、シーリングフランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0114】
一形態において、シール形成構造は、圧縮シーリング部またはガスケットシーリング部を含み得る。使用時において、圧縮シーリング部またはガスケットシーリング部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0115】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0116】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0117】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシストシーリングフランジ、圧縮シーリング部、ガスケットシーリング部、張力部、および粘着面または接着面を有する部位のうち1つ以上を含み得る。
【0118】
5.3.1.2 鼻梁または鼻堤領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の鼻梁領域上にまたは鼻堤領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0119】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の鼻梁領域上または鼻堤領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0120】
5.3.1.3 上唇領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、患者の顔の上唇領域(すなわち、上唇)上に使用時に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0121】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の上唇領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0122】
5.3.1.4 顎領域
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000は、使用時に患者の顔の顎領域上に密閉を形成するシール形成構造を含む。
【0123】
一形態において、シール形成構造は、使用時において患者の顔の顎領域上にシールを形成するように構築されたサドル状領域を含む。
【0124】
5.3.1.5 前額領域
一形態において、シール形成構造は、シール使用時において患者の顔の前額領域上にシールを形成する。このような形態において、プレナムチャンバは、使用時において眼を被覆し得る。
【0125】
5.3.1.6 鼻枕
一形態において、非侵襲的患者インターフェース3000のシール形成構造は、一対の鼻パフまたは鼻枕を含む。各鼻パフまたは鼻枕は、患者の鼻の各鼻孔とのシールを形成するように構成および配置される。
【0126】
本技術の一態様による鼻枕は、円錐台を含む。円錐台のうち少なくとも一部は、患者の鼻の下側、柄部、円錐台の下側上の可撓性領域上に密閉を形成し、円錐台を柄部へ接続させる。加えて、本技術の鼻枕が接続される構造は、柄部のベースに隣接する可撓性領域を含む。可撓性領域は、自在接合構造を促進するように機能し得る。自在接合構造は、円錐台の変位および角度双方と、鼻枕が接続される構造との相互移動に対応する。例えば、円錐台は、柄部が接続された構造に向かって軸方向に変位し得る。
【0127】
5.3.2 プレナムチャンバ
プレナムチャンバ3200は、使用時に密閉が形成される領域において平均的な人の顔の表面輪郭に対して相補的である形状の縁部を有する。使用時において、プレナムチャンバ3200の周辺縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の縁部全体の周りに延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0128】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、治療コンプライアンスが向上し得る。
【0129】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、治療へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0130】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料を用いることにより、患者インターフェースの押しつけがましさを低減することができ、治療へのコンプライアンスの向上を補助することができる。
【0131】
5.3.3 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、使用時において位置決めおよび安定化構造3300によって密閉位置において保持され得る。
【0132】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0133】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0134】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0135】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たない外形または断面厚さを有する。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、矩形断面を有する少なくとも1つのストラップを含む。一実施例において、位置決めおよび安定化構造3300は、少なくとも1つの平坦ストラップを含む。
【0136】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0137】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0138】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部位と位置決めおよび安定化構造3300の後方部位との間に配置された結合解除部位を備える。この結合解除部位は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部位は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部位の存在により後方部位への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0139】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、布地患者接触層、発泡材料内側層および布地外側層の積層物から構成されたストラップを含む。一形態において、発泡材料は、湿気(例えば、汗)がストラップを通過できるような多孔性である。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0140】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、伸張可能である(例えば、弾発性と共に伸張可能である)ストラップを含む。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一実施例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0141】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は第1のタイを含み、第1のタイは、使用時においてその下縁部の少なくとも一部が上を通過して患者の頭の上耳底点へ移動し、後頭骨を被覆することなく頭頂骨の一部を被覆するように、構築および配置される。
【0142】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第2のタイを含む。第2のタイは、使用時においてその上縁部の少なくとも一部が患者頭部の下側の下耳底点の下側を通過し、患者頭部の後頭骨を被覆するかまたは患者頭部の後頭骨の下側に載置されるように、構築および配置される。
【0143】
鼻専用マスクまたはフルフェイスマスクに適した本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造は、第1のタイおよび第2のタイが相違に離隔方向に移動する傾向を低減させるように第1のタイおよび第2のタイを相互接続させるように構築および配置された第3のタイを含む。
【0144】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、屈曲可能であり例えば非剛性であるストラップを含む。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。
【0145】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、内部を水蒸気が通過できるように呼吸可能なように構成されたストラップを含む。
【0146】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300を含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300の一形態を含み得る。
【0147】
5.3.4 通気部
一形態において、患者インターフェース3000は、吐き出されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気部3400を含む。
【0148】
特定の形態において、通気3400は、プレナムチャンバ内の圧力が雰囲気に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から雰囲気への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気部3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCO2の患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0149】
本技術による一形態の通気部3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0150】
通気部3400は、プレナムチャンバ3200内に配置され得る。あるいは、通気部3400は、結合解除構造(例えば、スイベル)内に配置される。
【0151】
織物通気アセンブリ
図4A~
図4Kに示す通気アセンブリ4400は、本技術の一実施例による患者の呼気を放出するためにガス通気流れを提供するように構成される。図示の例において、通気アセンブリ4400は、拡散部材(例えば、織物材料4600の層)を通気流れ経路に沿って含む。通気流れ経路は、排気通気流れを拡散させかつノイズ発生を低減させるような構造および配置にされる。
【0152】
織物を含む通気部は、極めて静音でありかつ拡散性が大きい。しかし、織物通気の場合、高湿度または高水分に晒された際、通気流れの有意な低減が発生する場合がある。例えば、織物繊維中の水分保持または凝結に起因して、通気流れの部分的または完全な閉塞が発生し得る。この閉塞が発生し得るのは、洗浄後の織物通気の乾燥が不十分である場合および/または織物通気が寒冷環境において高湿度に晒された場合である。閉塞が発生した場合、織物通気が回復して初期通気流れに戻るのに、受容できないほど長い期間がかかり得る。これらの条件下において織物通気が用いられた場合、CO2の通気が不十分になることに起因して、患者インターフェース中におけるCO2蓄積の増大に繋がり得る。上記の理由に起因して、CPAP治療において、織物通気は広範には使用されていない。
【0153】
本技術の態様は、この水分保持の問題に対処しかつ織物が水分または湿度によって濡れたことに起因して織物が閉塞したときに十分な通気流れを可能にするような構造および配置にされた織物通気アセンブリに関連する。よって、本技術の態様による織物通気アセンブリによれば、織物をCPAP治療のための安全かつ信頼性のある通気コンポーネントとして使用することが可能になる。
【0154】
図示の例において、通気アセンブリ4400は、通気インサートまたはカートリッジの形態をとり、患者インターフェース3000中の開口部または空気送達導管(例えば、空気回路4170)中へ挿入されるような構造にされる。
【0155】
例えば、
図4A~
図4Dに示す通気アセンブリ4400は、空気送達導管6000の開口部6050中へ挿入されるような構造にされる。使用時において、通気アセンブリ4400は、空気送達導管6000の内部または加圧空間から空気送達導管6000の外部へ(例えば、雰囲気へ)のガス流れを可能にするような構造および配置にされる。通気アセンブリ4400は、任意の適切な様態で(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリにより)開口部6050内に取り外し可能にまたは恒久的に固定され得る(例えば、通気アセンブリは、溝部を自身の周辺に含み得、溝部は、空気送達導管の開口部の対応するサイズにされたリムに対して通気アセンブリを配置するように適合される)、接着)。別の例において、通気アセンブリ4400の1つ以上の部位が、空気送達導管6000と(例えば、オーバーモールディングまたはインサート成形により)ワンピース成形され得る。
【0156】
別の例において、通気アセンブリ4400は、患者インターフェース(例えば、プレナムチャンバ)の内部から患者インターフェースの外部(例えば、雰囲気)へのガス流れを可能にするように、患者インターフェース3000へ(例えば、プレナムチャンバ3200または接続ポート3600へ)設けられ得る。
【0157】
図4E~
図4Hに示すように、通気アセンブリ4400は、ベース4700と、ベース4700によって支持された織物材料4600の層と、織物材料4600をベース4700内に維持するカバー4500と、使用時におけるガスの十分な洗い流しを可能にするように通気アセンブリ4400を通じた通気流れを調節するような構造および配置にされた膜4800とを含む。
【0158】
ベース4700は、ベース壁部4705を含む。ベース壁部4705は、雰囲気または周囲雰囲気へのガス放出を可能にするようにベース壁部4705を通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィス4710と、雰囲気へのガス放出を可能にする少なくとも1つの第2のオリフィス4720とを有する。ベース壁部4705は、使用時において空気送達導管6000の内部(すなわち、加圧可能容積)へ方向付けられるように適合された内面4730と、使用時において雰囲気へ方向付けられるように適合された外面4740とを含む。フランジまたは肩部4750をベース壁部4705の周囲に沿って設けることにより、ベース4700の外面4740上において織物材料4600を支持および整列させる。保持構造4760をベース4700の内面4730に設けることにより、膜4800を内面4730に隣接して保持する。
【0159】
一例において、ベース4700は、比較的剛性の材料(例えば、熱可塑性ポリマー、(例えば、ポリカーボネート))によって構築(例えば、成型)され得る。一例において、ベース4700の厚さは、約1~3mm(例えば、2mm)であり得るが、他の適切な厚さも可能である。
【0160】
図示の例において、織物材料4600は、織物材料4600を通じて延びる少なくとも1つのオリフィス4610を含む。織物材料4600は、ベース4700の周囲に沿って設けられたフランジまたは肩部4750内に保持されたベース4700の外面4740上に支持されるように構成される。図示のように、織物材料4600は、(第1のオリフィス4710から退出した流れが織物材料4600中へ流動するように)ベース4700の第1のオリフィス4710を被覆するように、配置される。さらに、織物材料4600のオリフィス4610は、(第2のオリフィス4720が織物材料4600によって被覆されずかつ第2のオリフィス4720から退出した流れが織物材料4600中へ流動しないように)ベース4700の第2のオリフィス4720と整列されるように、配置される。
【0161】
一例において、織物材料4600は、多孔性材料によって構成され得るため、この材料を通じてガスを通過させかつ第1のオリフィス4710から退出するあらゆる噴出または他の流れ形成を放散させる(例えば、不織布繊維材料、織布繊維材料)。一例において、織物材料4600は、フィルター材料またはフィルター媒体に類似するかまたはフィルター媒体と同一であり得る拡散材を含み得る。一例において、織物材料4600の厚さは、約0.1~0.5mm(例えば、0.25mm)であり得るが、他の適切な厚さも可能である。図示の例において、織物材料4600は単一の層を含むが、織物材料4600は、2つ以上の層(例えば、類似のまたは異なる拡散材の積層)を含み得ることが理解されるべきである。
【0162】
カバー4500は、主壁4510と、通気アセンブリ4400の外周を形成する側壁4520とを含む。主壁4510は、カバー4500を通じたスロットまたは出口オリフィス4530を形成する網状構成(例えば、1つ以上のクロスバー)を含む。この網状構成により、織物材料4600をベース4700内に保持しかつ接触最小化(例えば、汚染防止)を可能にしつつ、網状構成内部における流れが可能になる。
【0163】
カバー4500は、主壁4510がベース4700の周囲に沿ってフランジまたは肩部4750に隣接するまで、ベース4700と係合される。フランジまたは肩部4750は、カバー4500およびその主壁4510をベース4700の外面4740から間隔を空けて支持することにより、織物材料4600をカバー4500とベース4700との間に収容および保持する(すなわち、カバー4500およびベース4700により、織物材料4600のためのケーシングまたはカートリッジが形成される)。カバー4500の側壁4520は、ベース4700の外周に沿って下方に延びる。カバー4500のベース4700への固定は、取り外し可能にまたは恒久的に任意の適切な様態(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリ、接着)により行われ得る。図示の例において、側壁4520も、空気送達導管6000中の開口部6050とインターフェースを形成する(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリ、接着)。
【0164】
例において、例えば織物材料4600のクリーニングおよび/または交換を可能にするように、カバー4500はベースへ取り外し可能に固定され得る。あるいは、個々の織物材料4600を交換する代わりに、通気アセンブリ4400全体を交換してもよい。
【0165】
別の例において、通気アセンブリ4400は、カバー4500無しに設けられ得、織物材料4600は、他の適切な様態においてベース4700へ固定され得る(例えば、織物材料のベースへの接着またはオーバーモールド)。本例において、乾燥促進のために、織物材料4600は、より大きく露出され得る。また、このような配置構成により、コンポーネントが排除されるため、通気アセンブリの全体的サイズ(例えば高さ)が低減される(例えば、より目立たない外観)。
【0166】
一例において、カバー4500は、比較的剛性の材料(例えば、熱可塑性ポリマー、(例えば、ポリカーボネート))によって構築(例えば、成型)され得る。例において、カバー4500の高さは約2~5mm(例えば、約3.5mm)であればよいが、他の適切な高さも可能である。
【0167】
膜4800は、フラップ部4810を含む。フラップ部4810は、保持部4820へ移動可能に接続される(例えば、ヒンジ部によってヒンジ状に接続される)ため、フラップ部4810が保持部4820に相対して枢動することが可能になる。保持部4820は、ベース4700の保持構造4760に設けられたスロット4765内に係合するような構造および配置にされるため、膜4800はベース4700へ固定される。保持部4820のベースの保持構造4760への固定は、取り外し可能にまたは恒久的に任意の適切な様態で行われ得る(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリ、接着)。
【0168】
膜4800のフラップ部4810は、フラップ部4810を通じて延びるオリフィス4815を含む。膜4800は、ベース4700の内面4730に隣接する保持構造4760によって支持される。フラップ部4810は、(例えば加圧ガスの存在および/または織物材料4600の閉塞に応じて)ベースの内面4730のベースへ向かっておよびベースの内面4730のベースから離隔方向に、自由に移動可能である。フラップ部4810のオリフィス4815は、ベース4710の第1のオリフィス4710と整列するように配置されるため、第1のオリフィス4710を膜4800によって完全に被覆または閉鎖させることができなくなるため、第1のオリフィス4710を通じた流れが可能になる。また、フラップ部4810は、ベース4710の第2のオリフィス4720と重複するように配置されるため、第2のオリフィス4720を膜4800によって選択的に被覆または閉鎖することにより、第2のオリフィス4720を通過する流れを制限することができ得る。
【0169】
例において、膜4800は、比較的可撓性の弾性材料によって構築され得る(例えば、シリコーンまたは他の熱可塑性エラストマー)。一例において、膜4800の厚さは、約0.25~0.75mm(例えば、0.45mm)であり得るが、他の適切な厚さも可能である。
【0170】
組み立てられた通気アセンブリ4400は、目立たない外観構成であり、空気送達導管6000の内部内へ有意に突出しない。例において、通気アセンブリ4400は、高さが約2~5mm(例えば、約3.5mm)であり、幅が約5~15mm(例えば、10mm)であり、長さが約10~30mm(例えば、20mm)であり得るが、しかし他の適切な寸法も可能である。
【0171】
図示の例において、通気アセンブリ4400および空気送達導管6000内の対応する開口部6050は、スタジアム形状(すなわち、両側が半円の矩形)を含む。しかし、通気アセンブリおよび空気送達導管中の対応する開口部は、他の適切な形状(例えば、円形状および非円形状)を有し得ることが理解されるべきである。
【0172】
通気アセンブリ4400は、以下を提供するような構造および配置にされる:(1)織物材料4600内を延びて、ノイズを低減するように排気通気流れを拡散させる1次通気流れ経路V1、および(2)織物材料4600を迂回することにより、(織物材料4600が水分または湿度に起因して閉塞された場合に)十分なガス洗い流しを可能にする2次通気流れ経路V2。膜4800は、通気流れを1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2に沿って調節するような構造および配置にされる。
【0173】
以下に述べるように、通気アセンブリ4400は、呼吸治療時における多様なシナリオ下において十分な通気流れが得られるような構造および配置にされる(例えば、空気送達導管6000内に空気圧力が無いまたは圧力が低い場合、空気送達導管6000内に空気圧力が有る場合、および空気送達導管6000内には空気圧力が有るが織物材料4600は閉塞されている場合)。通気アセンブリ4400は、悪条件下において動作することと、呼吸治療のための安全かつ信頼性のある通気コンポーネントとして織物材料または類似の多孔性材料の使用を可能にすることとを行うような構造および配置にされる。例において、通気流れは、呼吸治療時において連続し得る。
【0174】
図4Iに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が無いかまたは圧力が低い場合(例えば、RPTデバイスが動作していないかまたは使用時に空気送達導管が閉塞してており)かつ織物材料4600は閉塞していない場合、膜4800は、静止位置または非起動位置をとり得るため、1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2双方内を空気が通過することができ得る。すなわち、加圧ガスは空気送達導管6000へ送達されないか、または、膜4800がベース4700の内面4730ならびに第1のオリフィス4710および第2のオリフィス4720から離隔方向に下方に崩壊または偏向することを可能にするような十分な大きさではない。その結果、空気が1次通気流れ経路V1を通過し得る。1次通気流れ経路V1は、第1のオリフィス4710を通じ、織物材料4600を通じ、カバー4500を通じて延びる。加えて、空気が2次通気流れ経路V2を通過し得る。2次通気流れ経路V2は、第2のオリフィス4720を通じ、織物材料4600中のオリフィス4610を通じ、カバー4500を通じて延びる。膜4800が静止位置または非起動位置にあるとき、織物材料4600の大部分が第1のオリフィス4710を通じて露出するため、患者が周囲空気を吸気し、1次通気流れ経路V1を通じて呼気するための低インピーダンスの空気通路が得られる。2次通気流れ経路V2によっても、患者が周囲空気の吸気および呼気を行うための低インピーダンスの空気通路が得られる。
【0175】
図4Jに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作していおり)かつ織物材料4600が閉塞していない場合、空気送達導管6000の加圧空間内の圧力増加により、膜4800は起動位置へ付勢されるかまたは移動されるため、空気が1次通気流れ経路V1のみを通じて移動することが可能になり得る。すなわち、空気送達導管6000中の空気圧力は、膜4800とベース4700の内面4730との係合を強制発生および維持できるだけの十分な大きさである。その結果、フラップ部4810のオリフィス4815は、ベース4700の第1のオリフィス4710と整列されるように配置されるため、空気が1次通気流れ経路V1を通過することができ得る。1次通気流れ経路V1は、フラップ部4810のオリフィス4815を通じ、ベース4700の第1のオリフィス4710を通じ、織物材料4600を通じ、カバー4500を通じて延びる。加えて、フラップ部4810は、ベース4710の第2のオリフィス4720を被覆するかまたは閉鎖させるように配置されるため、2次通気流れ経路V2を通じた空気流れは、膜4800によって制限または閉塞される。膜4800が起動位置にあるとき、空気流れは1次通気流れ経路V1に制限されるため、織物材料4600の層を通過する流れは全て雰囲気に方向付けられて、排気通気流れが拡散され、ノイズ発生が低減される。
【0176】
さらに、フラップ部4810のオリフィス4815は、1次通気流れ経路V1に沿った流れを調節するような適切なサイズにされる。すなわち、フラップ部4810のオリフィス4815は、排気流れ入口を1次通気流れ経路V1に沿って形成し、オリフィス4815のサイズ(例えば、オリフィス4815の断面積)は、所望の流動曲線を治療圧力範囲内において提供するように調整され得る(例えば、4~20cmH20の治療圧力範囲にわたった実質的に一定の流量)。
【0177】
図4Kに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ織物材料4600が水分または湿度に起因して閉塞されている場合、膜4800は完全には起動しないため、1次通気流れ経路V1が閉塞されている状態のまま、空気が2次通気流れ経路V2を通過し得る。すなわち、膜4800およびベース4700は、織物材料4600の閉塞に起因して膜4800上に作用する流れおよび力が変化するような構成および配置にされるため、膜4800がベース4700の内面4730および第1のオリフィス4710および第2のオリフィス4720から離隔方向に移動することが可能になる。その結果、空気が2次通気流れ経路V2を通じて移動し得る。2次通気流れ経路V2は、第2のオリフィス4720を通じ、織物材料4600中のオリフィス4610を通じ、カバー4500を通じて延びる。これにより、空気流れが織物材料4600を迂回する2次通気流れ経路V2に制限されるため、織物材料4600が閉塞されている状態で十分な通気流れが提供される。
【0178】
ベース4700の第2のオリフィス4720は、流れを2次通気流れ経路V2に沿って調節するように、適切なサイズにされる。すなわち、ベース4700の第2のオリフィス4720は、排気流れ入口を2次通気流れ経路V2に沿って形成し、第2のオリフィス4720のサイズ(例えば、オリフィス4720の断面積)は、所望の流動曲線を治療圧力範囲内において提供するように調節され得る(例えば、4~20cmH20の治療圧力範囲にわたった実質的に一定の流量)。例えば、第2のオリフィス4720は、十分な空気流れ(すなわち、低インピーダンスの空気通路)を提供するように調整されるため、患者インターフェース中のCO2蓄積が回避される。
【0179】
さらに、2次通気流れ経路V2は、十分な排気通気流れが可能となるように1次通気流れ経路V1に沿った織物材料4600がis十分に乾燥されるかまたは閉塞解除されるまで、開口状態のままにされる。
【0180】
例において、膜4800は、織物材料4600を通じた空気流れのインピーダンスに反応すること(すなわち、織物材料4600の湿り度または乾燥状態の範囲に反応すること)を行うような構造および配置にされ得る。例えば、織物材料4600の乾燥と共に、膜は起動位置へ向かって徐々に移動し得るため、2次通気流れ経路V2を通じた空気流れが徐々に低下する。その理由としては、織物材料4600の乾燥に起因して、1次通気流れ経路V1を通じた空気流れを徐々に増加させることが可能になる点がある。別の例において、織物材料4600が(例えば湿度に起因して)湿ってくるのと共に、膜は、起動位置から徐々に離隔方向に移動し得るため、2次通気流れ経路V2を通じた空気流れは、織物材料4600の湿り度に起因して徐々に増加するため、1次通気流れ経路V1を通じた空気流れは徐々に低下する。よって、この膜は、織物材料の乾燥状態に起因して起動位置へ近位方向および起動位置から離隔方向に徐々に偏向するような構造および配置にされ得るため、1次通気流れ経路V1と2次通気流れ経路V2との間の通気流れが治療圧力全体において分割または配分される。
【0181】
上記したように、通気アセンブリ4400の態様は、所望の流動曲線を治療圧力範囲内において提供するように調整され得る。例において、通気コンポーネントそれぞれの通気特性は、例えば通気要求、音声要求、療法要求などに基づいて調整され得る。このような配置構成により、通気アセンブリを患者に合わせてより詳細にカスタマイズすることが可能になる。
【0182】
例えば、膜4800について、膜の厚さ、長さ、材料および形状を所望の様態で変形するように調整することができ得、膜4800を通じたオリフィス4815の形状、サイズおよび数を、流れを調節するように調整することができ得る。ベース4700について、少なくとも1つの第1のオリフィス4710の形状、サイズおよび数と、少なくとも1つの第2のオリフィス4720の形状、サイズおよび数とを流れ調節のために調整することができ得る。織物4600について、織物4600の厚さおよび材料を流れ調節のために調整することができ得る。カバー4500について、カバー4500を通じたオリフィス4530の形状、サイズおよび数を流れ調節のために調整することができ得る。
【0183】
図5A~
図5Gは、本技術の別の例による織物通気アセンブリ4400を示す。本例において、通気アセンブリ4400は、アクティベータ4900をさらに含む。アクティベータ4900は、織物材料4600が水に露出されたとき(すなわち、織物材料が湿ったため、内部の通気流れが有意に低下したとき)に膜4800を起動位置から離隔方向に偏向させるような構造および配置にされる。
【0184】
上記した例と同様に、
図5A~
図5G中の通気アセンブリ4400は、ベース4700と、ベース4700によって支持された織物材料4600の層と、織物材料4600をベース4700内に維持するカバー4500と、使用時におけるガス洗い流しを十分にするために通気アセンブリ4400中の通気流れを調節するような構造および配置にされた膜4800とを含む。加えて、
図5A~
図5G中の通気アセンブリ4400は、アクティベータ4900を含む。アクティベータ4900は、ベース4700の内面4730に設けられた凹部4770内に配置されることにより、アクティベータ4900を膜4800に隣接して保持する。
【0185】
例において、アクティベータ4900は、水に露出されたときに高速膨張するような構造にされた膨張ポリマー材料(eポリマー)を含む。このような膨張は、膜4800の係合および偏向のために用いられる。材料の膨張パーセンテージが高いほど、膜4800の偏向に必要な材料厚さは小さくなる。水への露出時に浸透および高速膨張するプロセスに晒すことが可能な任意の材料をアクティベータとして用いることが可能であることが、理解されるべきである。別の例において、天然繊維をアクティベータとして用いることができる。
【0186】
上記の例と同様に、
図5Eに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が無いかまたは空気送達導管6000中の圧力が低い場合(例えば、RPTデバイスが動作していないかまたは空気送達導管が使用時に閉塞しており)かつ織物材料4600が閉塞していない場合、膜4800は、静止位置または非起動位置をとって、1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2双方内を空気が通過することが可能になり得る。
【0187】
図5Fに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ織物材料4600が閉塞していない場合、空気送達導管6000の加圧空間内の圧力増加により膜4800は起動位置へ付勢されるかまたは移動させられるため、空気が1次通気流れ経路V1中のみを通過することが可能になり得る。織物材料4600およびアクティベータ4900が乾燥している場合、アクティベータ4900は収縮するかまたは非拡張構成をとるため、アクティベータ4900は、凹部4770中において没入しているかまたは凹状にされたままであり、起動位置からの膜4800の偏向には全く影響しない。よって、フラップ部4810は、空気流れが1次通気流れ経路V1に制限されるように第2のオリフィス4720を被覆するかまたは閉鎖させるように配置されるため、織物材料4600の層中の流れ全てが排気通気流れを拡散させるように方向付けられ、よってノイズ発生が低減する。
【0188】
図5Gに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作時である)が織物材料4600が水分または湿度に起因して閉塞された場合、このような水分または湿度に起因して、アクティベータは拡大して拡張構成となり、アクティベータ4900は凹部4770から延びて、膜4800をベース4700の内面4730ならびに第1のオリフィス4710および第2のオリフィス4720から離隔方向に係合および強制移動させる。すなわち、アクティベータ4900は、水へ露出されたときに起動して、膜4800を偏向させるため、よって1次通気流れ経路V1が閉塞された状態で空気が2次通気流れ経路V2中を通過することが可能になり得る。これにより、空気流れが織物材料4600を迂回する2次通気流れ経路V2に制限されるため、織物材料4600が閉塞されている状態で十分な通気流れが提供される。
【0189】
さらに、2次通気流れ経路V2は、十分な排気通気流れが可能となるように1次通気流れ経路V1に沿った織物材料4600がis十分に乾燥されるかまたは閉塞解除されるまで、開口状態のままにされる。例えば、アクティベータ4900は織物材料4600と共に乾燥するため、よって織物材料4600が十分に乾燥するかまたは閉塞解除されるまで、アクティベータ4900は起動状態のままである。
【0190】
例において、膜4800は、アクティベータ4900の乾燥状態およびよって織物材料4600の乾燥状態に起因して起動位置へ向かっておよび起動位置から離隔方向に徐々に偏向するような構造および配置にされ得るため、1次通気流れ経路V1と2次通気流れ経路V2との間の通気流れは、治療圧力全体において分割または配分される。例えば、アクティベータ4900の湿りが(例えば水分または湿度に起因して)大きくなるにつれて、アクティベータ4900は、徐々に拡大して、膜4800を起動位置から離隔方向に徐々に移動させ得るため、織物材料4600の湿り度に起因して1次通気流れ経路V1中の空気流れが徐々に低下するのと共に、2次通気流れ経路V2中の空気流れが徐々に増加する。同様に、アクティベータ4900の乾燥と共に、アクティベータ4900は、徐々に収縮し得るため、膜4800は起動位置へ向かって徐々に移動し、織物材料4600の乾燥により1次通気流れ経路V1中の空気流れが徐々に増加するのと共に、2次通気流れ経路V2中の空気流れは徐々に低下する。
【0191】
図6A~
図6Kに示す織物通気アセンブリ5400は、本技術の別の例によるアクティベータ5900を含む。本例において、通気アセンブリ5400はカバー無しに設けられているため、(例えば、乾燥促進のために)織物材料5600の露出が促進される。また、このような配置構成により、コンポーネントが排除されるため、通気アセンブリの全体的サイズ(例えば高さ)が低減される(例えば、より目立たない外観)。
【0192】
上記例と同様に、通気アセンブリ5400は、通気インサートまたはカートリッジの形態をとり、患者インターフェース中の開口部または空気送達導管内へ挿入されるような構造にされる。この患者インターフェースは、
図6A~
図6Dに示すように空気送達導管6000の開口部6050内に例えば取り外し可能にまたは恒久的に固定される。別の例において、通気アセンブリ5400の1つ以上の部位は、(例えばオーバーモールディングまたはインサート成形により)空気送達導管6000とワンピース成形され得る。
【0193】
図6E~
図6Hに示すように、通気アセンブリ5400は、ベース5700と、ベース5700によって支持された織物材料5600の層と、通気アセンブリ5400中の通気流れを調節して使用時におけるガス洗い流しを十分するような構造および配置にされた膜5800と、膜5800を偏向させるアクティベータ5900とを含む。
【0194】
ベース5700は、ベース壁部5705を含む。ベース壁部5705は、雰囲気へのガス放出を可能にするようにベース壁部5705を通じて延びる少なくとも1つの第1のオリフィス5710を有する。ベース壁部5705も、雰囲気へのガス放出を可能にする複数の第2のオリフィス5720を含む。ベース壁部5705は、使用時において空気送達導管6000の内部(すなわち、加圧可能容積)へ向かって方向付けられるように適合された内面5730と、使用時において雰囲気に向かって方向付けられるように適合された外面5740とを含む。図示の例において、複数の第2のオリフィス5720は、円状突出部5742から外面5740に沿って延びて、勾配または傾斜付きの突出部5732へ内面5730に沿って延びる。保持構造5760をベース5700の内面5730へ設けることにより、膜5800が内面5730に隣接して保持される。また、開口部5770をベース5700に設けることにより、アクティベータ5900が膜5800に隣接して保持される。図示の例において、ベース5700の周辺により、インターフェースが空気送達導管6000中の開口部6050と共に形成される(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリ、接着)。
【0195】
上記例と同様に、第2のオリフィス5720の形状、サイズおよび数は、流れ調節のために調整可能であることが理解されるべきである。
【0196】
図示の例において、織物材料5600は、織物材料5600を通じて延びる少なくとも1つのオリフィス5610を含む。織物材料5600は、ベース5700の外面5740上に支持および保持されるように構成される。織物材料5600のベース5700への固定は、任意の適切な様態で行われ得る(例えば、織物材料は、ベースへ接着またはオーバーモールドされる)。図示のように、織物材料5600は、ベース5700の第1のオリフィス5710を被覆するように配置され、織物材料5600のオリフィス5610は、外面5740に沿って円状突出部5742と整列されるように配置されるため、複数の第2のオリフィス5720は、織物材料5600によって被覆されない。
【0197】
膜5800は、フラップ部5810を含む。フラップ部5810は、保持部5820へ移動可能に接続される(例えば、ヒンジ部によってヒンジ状に接続される)ため、フラップ部5810が保持部5820に相対して枢動することが可能になる。図示の例において、保持部5820は穴部5822を含み、保持構造5760はポスト5762を含み、ポスト5762は、穴部5822と係合して膜5800をベース5700に固定するような構造および配置にされる。しかし、保持部5820のベースの保持構造5760への固定は、取り外し可能にまたは恒久的に任意の適切な様態で行われ得る(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリ、接着)。
【0198】
膜5800は、ベース5700の内面5730に隣接する保持構造5760によって支持される。図示の例において、フラップ部5810は、複数の第2のオリフィス5720と重複するだけの十分な長さを含むため、第2のオリフィス5720を使用時において膜5800によって選択的に被覆されるまたは閉鎖させることが可能になり得る。
【0199】
アクティベータ5900は、アクティベータ5900を膜5800に隣接して保持するように、ベース5700の開口部5770内に配置される。上記例と同様に、アクティベータ5900は、膨張ポリマー材料(eポリマー)または水に露出されたときに高速拡張することが可能な他の適切な材料を含み得る。
【0200】
図示の例において、通気アセンブリ5400および空気送達導管6000中の対応する開口部6050はスタジアム形状を含むが、通気アセンブリおよび空気送達導管中の対応する開口部は、他の適切な形状(例えば、円形状および非円形状)を有し得ることが理解されるべきである。
【0201】
上記例と同様に、
図6Iに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が無いかまたは空気送達導管6000中の圧力が低い場合(例えば、RPTデバイスが動作していないかまたは空気送達導管が使用時に閉塞しており)かつ織物材料5600は閉塞していない場合、膜5800は静止位置または非起動位置をとるため、空気は1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2双方を通過することができ得る。
【0202】
図6Jに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が存在する場合(例えば、RPTデバイスが動作していおり)かつ織物材料5600は閉塞していない場合、空気送達導管6000の加圧空間内の圧力増加により、膜5800は起動位置へ付勢されるかまたは移動されるため、1次通気流れ経路V1中のみを空気が移動することが可能になり得る。織物材料5600およびアクティベータ5900が乾燥している場合、アクティベータ5900は収縮するかまたは非拡張構成をとるため、アクティベータ5900は、開口部5770中において没入しているかまたは凹状にされたままであり、起動位置からの膜5800の偏向には全く影響しない。よって、フラップ部5810は、複数の第2のオリフィス5720を被覆するかまたは閉鎖させるように配置されるため、空気流れが1次通気流れ経路V1に制限され、その結果、織物材料5600の層を通じた流れ全てが排気通気流れを拡散させるように方向付けられて、ノイズ発生が低下する。
【0203】
図6Kに示すように、空気送達導管6000中に空気圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ織物材料5600が水分または湿度に起因して閉塞している場合、このような水分または湿度に起因してアクティベータが拡大して拡張構成となるため、アクティベータ5900は開口部5770から延びて膜5800と係合し、膜5800はベース5700の内面5730および第1のオリフィス5710および複数の第2のオリフィス5720から離隔方向に強制移動させられる。すなわち、アクティベータ5900は、水に露出されたときに起動して膜4500を偏向させるため、1次通気流れ経路V1が閉塞されている状態で空気が2次通気流れ経路V2を通過することが可能になり得る。その結果、織物材料5600を迂回する2次通気流れ経路V2に空気流れが制限されるため、織物材料5600が閉塞されている状態で十分な通気流れが提供される。
【0204】
上記例と同様に、2次通気流れ経路V2は、1次通気流れ経路V1に沿った織物材料5600が十分に乾燥しているかまたは閉塞解除されるまで開口状態のままであるため、十分な排気通気流れが可能になる。加えて、膜5800は、アクティベータ5900の乾燥状態およびよって織物材料5600の乾燥状態に起因して起動位置に向かってかつ起動位置から徐々に偏向するような構造および配置にされ得るため、1次通気流れ経路V1と2次通気流れ経路V2との間の通気流れが治療圧力全体において分割または配分される。
【0205】
2次通気流れ経路V2の起動は、他の様態で行ってもよいことが理解されるべきである。例えば、
図7A~
図7Cに示す通気アセンブリ5400の別の例は、膜5800を偏向させるような構造および配置にされた電磁アクティベータ6900を含む。
【0206】
本例において、アクティベータ6900は、ベース5700の内面5730に沿って配置されたセンサ6910を含む。図示のように、センサ6910は、軌道回路6915を含む。軌道回路6915は、水分の検出(例えば、
図7Cに示すような軌道回路間の水分の検出)を行うような構成および配置にされる。水分が検出されると、センサ6910が電子スイッチまたは制御信号を起動させて、アクティベータ6900を作動させる。例えば、アクティベータ6900は、移動部材(例えば、プランジャー配置構成)を含む。この移動部材(例えば、プランジャー配置構成)は、膜5800と係合し、ベース5700の内面5730および第1のオリフィス5710および複数の第2のオリフィス5720から離隔方向に膜5800を強制移動させるような構造および配置にされる。このスイッチは、通気アセンブリ中の一定レベルの水分/湿気が存在する場合に起動するように、設定され得る。また、スイッチは、例えば織物材料5600の乾燥状態を起動解除前に確保するために、所定期間にわたって起動状態のままとなるように設定され得る。例において、このような電磁アクティベータ6900を用いた通気構成は、1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2を通じた流れの制御により、活性通気部(例えば、制御通気流れ特性)として用いられ得る。
【0207】
別の例において、通気アセンブリは、通気アセンブリの水分/湿気を検出した後にRPTデバイスへ信号を提供するように構成されたセンサのみを含み得る。これにより、当該RPTデバイスは、患者に対して通気が湿っている旨について警告することおよび/または動作を相応に更新すること(例えば、通気に湿気が含まれる期間における患者インターフェースの安全な使用を確保できるように送達圧力を更新すること)を行い得る。
【0208】
図8A~
図8Eは、本技術の別の例による通気アセンブリ7400を示す。本例において、通気アセンブリ7400は、水分へ露出された場合に高速拡張するような構造にされた膨張ポリマー材料(eポリマー)を含む通気コンポーネント7900を含み、このような拡張により、通気オリフィス7925を通気コンポーネント7900を通じて開口させて、2次通気流れ経路V2を起動させる。
【0209】
図8A~
図8Cに示すように、通気アセンブリ7400は、ベース7700と、ベース7700によって支持された織物材料7600の層と、2次通気流れ経路V2を通じて通気流れを調節して、使用時におけるガス洗い流しを十分にするような構造および配置にされた通気コンポーネント7900とを含む。
【0210】
ベース7700は、ベース壁部7705を含む。ベース壁部7705は、ベース壁部7705を通じて延びて、雰囲気へのガス放出を可能にする少なくとも1つの第1のオリフィス7710と、通気コンポーネント7900を支持するような構造にされた第2のオリフィス7720とを有する。
【0211】
図示の例において、織物材料7600は、ベース7700の第1のオリフィス7710を被覆するように配置され、織物材料7600は、第2のオリフィス7720と整列されるオリフィス7610を含むため、第2のオリフィス7720は、織物材料7600によって被覆されない。本例において、通気アセンブリ7400は、カバー無しで設けられ、織物材料7600のベース7700への固定は、任意の適切な様態で行われ得る(例えば、織物材料は、ベースへ接着またはオーバーモールドされる)。
【0212】
例において、eポリマー通気コンポーネント7900は、グロメットの形態をとり、ベース7700の第2のオリフィス7720中へ挿入されるような構造にされる。例えば、通気コンポーネント7900は、溝部7950を自身の周辺に含み得、溝部7950は、通気コンポーネント7900をベース7700の第2のオリフィス7720の縁部またはリムに対して配置するように適合される。通気コンポーネント7900およびベース7700は、通気コンポーネント7900がベース7700に相対して拡張することを可能にする十分な隙間を提供するように、配置される。しかし、他の適切な様態において、通気アセンブリ7400は、ベースに対して内部に取り外し可能にまたは恒久的に固定してもよい。
【0213】
さらに、eポリマー通気コンポーネント7900は、空気送達導管6000の内部から空気送達導管6000の外部(例えば、雰囲気)へのガス流れを調節するような構造および配置にされた複数の通気オリフィス7925を含む。詳細には、eポリマー通気コンポーネント7900は、水分/湿度の存在に起因して拡張および収縮するような構造にされ、このような拡張/収縮に起因して、通気オリフィス7925の拡張および収縮が発生して、流れが2次通気流れ経路V2に沿って調節される。
【0214】
流れをさらに調節するために、第2のオリフィス7925の形状、サイズおよび数を調節することができ得ることが理解されるべきである。
【0215】
図8Dに示すように、織物材料7600およびeポリマー通気コンポーネント7900が乾燥している場合、eポリマー通気コンポーネント7900のオリフィス7925は、実質的に閉鎖されるかまたは収縮するため、オリフィス7925を通過する流れをほとんど無くすことができ得る。よって、空気流れが1次通気流れ経路V1に制限されるため、流れ全てを織物材料7600の層を通じて方向付けて、排気通気流れを拡散させ、ノイズ発生が低下する。
【0216】
図8Eに示すように、織物材料7600が水分または湿度に起因して閉塞している場合、このような水分または湿度に起因して、eポリマー通気コンポーネント7900は拡大して拡張構成となり、オリフィス7925が開口または拡張して、流れがオリフィス7925中を通過することが可能になり得る。これにより、織物材料7600を迂回する2次通気流れ経路V2に沿って空気が流動して、織物材料7600が閉塞された状態で十分な通気流れが得られる。織物材料7600が十分に乾燥されるかまたは閉塞解除されるまで、eポリマー通気コンポーネント7900は起動状態のままである。
【0217】
例において、eポリマー通気コンポーネント7900は、eポリマー通気コンポーネント7900の湿り度およびよって織物材料7600の湿り度に起因して徐々に拡張および収縮するような構造および配置にされ得るため、1次通気流れ経路V1と2次通気流れ経路V2との間における通気流れが、治療圧力全体において分割または配分される。例えば、(例えば水分または湿度に起因して)eポリマー通気コンポーネント7900の湿気が増加するにつれて、eポリマー通気コンポーネント7900は徐々に拡張して、オリフィス7925を徐々に開口させ得る。そのため、織物材料7600の湿り度に起因して1次通気流れ経路V1中の空気流れが徐々に低下するため、2次通気流れ経路V2中の空気流れが徐々に増加する。同様に、eポリマー通気コンポーネント7900の乾燥と共に、eポリマー通気コンポーネント7900は徐々に収縮し得るため、オリフィス7925は徐々に閉鎖する。よって、織物材料7600の乾燥に起因して1次通気流れ経路V1中の空気流れが徐々に増加するため、2次通気流れ経路V2中の空気流れは徐々に低下する。
【0218】
図9A~
図9Fは、本技術の別の例による織物通気アセンブリ8400を示す。本例において、通気アセンブリ8400は、通気部材8500(例えば、複数の通気孔8530が内部を延びる織物材料8510の層を含むもの)と、拡散部材8600(例えば、織物材料8610の層を含むもの)とを排気通気流れを拡散させてノイズ発生を低減させるような構造および配置にされた通気流れ経路に沿って含む。通気部材8500および拡散部材8600は双方とも織物材料を含むため、通気アセンブリ8400は、より薄く、よりコンパクトでありかつ小型の構成を含み得る。
【0219】
例において、通気アセンブリ8400は、通気インサートまたは通気モジュールの形態をとり得、患者インターフェース中の開口部または空気送達導管中に(例えば、プレナムチャンバのうち少なくとも一部を形成する患者インターフェースのフレームまたはシェル中に)挿入されるような構造にされる。
【0220】
通気アセンブリ8400は、任意の適切な様態で(例えば、圧入アセンブリ、スナップ嵌めまたは締まりばめアセンブリにより)開口部内に取り外し可能にまたは恒久的に固定され得る(例えば、通気アセンブリ8400は、溝部を自身の周辺に含み得、溝部は、フレームの開口部の対応するサイズにされたリムに対して通気アセンブリ8400を配置するように適合される)、接着)。
【0221】
別の例において、通気アセンブリ8400の1つ以上の部位は、患者インターフェースまたは空気送達導管の一部(例えば、患者インターフェースのフレーム)を含んでもよいし、あるいは、(例えばオーバーモールディングまたはインサート成形によって)患者インターフェースまたは空気送達導管(例えば、患者インターフェースのフレーム)とワンピース形成してもよい。
【0222】
図示の例において、通気アセンブリ8400(およびフレーム中の対応する開口部)は、スタジアム形状を含む(すなわち、両側が半円の矩形)。しかし、通気アセンブリ(およびフレーム中の対応する開口部)は、他の適切な形状を有してもよい(例えば、円形状および非円形状)ことが理解されるべきである。
【0223】
使用時において、通気アセンブリ8400は、患者インターフェースの加圧内部または空気送達導管(例えば、プレナムチャンバ)と、患者インターフェースの外部または空気送達導管(例えば、雰囲気)との間のガス流れを可能にするような構造および配置にされる。
【0224】
図9A~
図9Fの例に示すように、通気アセンブリ8400は、ベースまたはフレーム8700と、ベース8700によって支持された通気部材8500(例えば、複数の通気孔8530が内部を延びる織物材料8510の層を含むもの)と、拡散部材8600(例えば、織物材料8610の層を含むもの)と、拡散部材8600を通気部材8500からオフセットした状態でまたは間隔を空けて支持する支持構造8800とを含む。
【0225】
ベース8700は、開口部8720を内部に形成する外壁8710を含む。上記したように、任意の適切な様態において、ベース8700は、通気アセンブリ8400を患者インターフェースまたは空気送達導管へ固定するために、患者インターフェース中の開口部または空気送達導管内において取り外し可能にまたは恒久的に固定され得る。あるいは、上記したように、ベース8700およびその開口部8720は、患者インターフェースまたは空気送達導管の一部を含んでもよいし、あるいは、例えばオーバーモールディングまたはインサート成形によって患者インターフェースまたは空気送達導管とワンピース形成してもよい。
【0226】
通気部材8500は、ベース8700の前側に沿ってベース8700の外壁8710によって支持される。図示のように、通気部材8500は、ベース8700の開口部8720を被覆するように配置されるため、患者からの呼気ガスの通気流れが、開口部8720および通気部材8500中の複数の通気孔8530を通過することが可能になり得る。
【0227】
例において、織物材料8510は、厚さが約0.10mm~0.30mm(例えば、0.19mm)を有する織物材料のシートを含む。しかし、他の適切な厚さも可能であることが理解されるべきである。例において、複数の通気孔8530それぞれの直径は、約0.18mm~0.20mmである。例において、例えば水分による閉塞を回避するために、複数の通気孔8530それぞれの直径は、約0.18mmよりも小さくない(すなわち、約0.18mmを超える)。例において、複数の通気孔8530は、織物材料8510を通じてレーザー切断され得る。
【0228】
例において、織物材料8510はベース8700へ取り付けられ得、その後、通気孔8530は、ベース8700へ取り付けられた状態で織物材料8510を通じてレーザー切断され得る。別の例において、通気孔8530を織物材料8510を通じてレーザー切断した後、織物材料8510を通気孔8530と共にベース8700へ取り付けてもよい。
【0229】
支持構造8800は、内部に開口部8820を形成する外壁8810と、外壁8810の後側から突出する複数の支持部材8830とを含む。図示の例において、支持部材8830は、支持構造8800の長軸および短軸に沿って外壁8810に設けられるが、他の適切な様態において、支持部材8830を外壁8810の周囲に沿って配置してもよいことが理解されるべきである。
【0230】
拡散部材8600は、支持構造8800の前側に沿って支持構造8800の外壁8810によって支持される。図示の例において、拡散部材8600は、支持構造8600の開口部8820を被覆するように配置された織物材料8610の層を含む。さらに、拡散部材8600は、通気アセンブリ8400のカバーまたは外側を形成する。例において、通気アセンブリ8400の外側における拡散部材8600の織物材料により、通気アセンブリ8400のクリーニングが促進される。さらに、このような織物の外側により、(特に織物の患者オリフィスまたは織物の空気送達導管と併用した場合に)美観的魅力が得られ得る。
【0231】
支持構造8800および支持構造8800上に支持された拡散部材8600は、ベース8700の前側およびベース8700上に支持される通気部材8500へ設けられる。図示のように、支持部材8830は、通気部材8500の周囲に沿って係合するように配置されるため、通気部材8500は、支持部材8830とベース8700の外壁8710との間に挟まれる。さらに、支持部材8830は、外壁8810および外壁8810上の拡散部材8600をベース8700の前側および通気部材8500から間隔を空けて支持するように、配置される。このような配置構成により、側方開口部8450が通気アセンブリの周囲に沿って形成されるため、通気孔8530から退出した流れのうち少なくとも一部が拡散部材8600を迂回し、側方開口部8450中を流れることが可能になり得る。このような配置構成により、拡散部材8600も通気部材8500から隙間8475だけオフセットされ、隙間8475は、内部における連続的空気流れを可能にしつつ、拡散部材8600の詰まりの原因になり得る任意の湿気または埃と対抗し得る。例において、隙間8475の高さは、約1~2mm(例えば、1.5mm)であり得る。しかし、隙間8475は他の適切なサイズであってもよく、このようなサイズは、通気流れ量および通気領域と共に変動し得ることが理解されるべきである。
【0232】
一例において、拡散部材8600は、多孔性材料によって構成され得るため、この材料を通じてガスを通過させかつ複数の通気孔8530から退出するあらゆる噴出または他の流れ形成を放散させる(例えば、不織布繊維材料、または織布繊維材料のような織物材料8610)。例において、拡散部材8600は、厚さが約0.10mm~0.30mm(例えば、0.20mm)の織物連続ループ(UBL)材料を含み得る。しかし、他の適切な織物材料および厚さも可能であることが理解されるべきである。
【0233】
例において、ベース8700および支持構造8800は、比較的剛性または比較的軟性の構造物を含み得る。通気部材8500および拡散部材8600は双方とも可撓性の織物材料を含むため、ベース8700および支持構造8800(ならびに通気部材8500および拡散部材8600)を(患者インターフェースまたは空気送達導管(例えば、ベース8700の軟性の可撓性の構造物)の外形をたどるように)曲線状にすることが可能になり得、支持構造8800を外形をたどるように撓ませるかまたは屈曲させることが可能になり得、あるいは、ベース8700および支持構造8800は、外形をたどるように成形または他の様態で形成された剛性構造物を有してもよい。
【0234】
図9Eに示すように、患者インターフェースまたは空気送達導管中に圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ拡散部材8600が閉塞していない場合、複数の通気孔8530および拡散部材8600を通じて雰囲気へ延びる1次通気流れ経路V1を通じて空気を送って排気通気流れを拡散させて、ノイズ発生を低減させることができ得る。加えて、複数の通気孔8530および側方開口部8450を通じて雰囲気へ延びる2次通気流れ経路V2を通じて、空気が移動し得る。このような1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2により、患者インターフェースまたは空気送達導管中CO2の蓄積を回避するための十分なガス洗い流しを可能にする通気経路が得られる。
【0235】
図9Fに示すように、患者インターフェースまたは空気送達導管中に圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ拡散部材8600が水分または湿度に起因して閉塞している場合、複数の通気孔8530および側方開口部8450を通じて雰囲気へ延びる2次通気流れ経路V2を通じて空気が移動し得る。2次通気流れ経路V2は、拡散部材8600を迂回するため、拡散部材8600が閉塞しているときに十分な通気流れが提供される。さらに、2次通気流れ経路V2は常時開口しているため、十分な拡散部材8600が1次通気流れ経路V1に沿って十分に乾燥するかまたは閉塞解除されるまで、排気通気流れが確保される。
【0236】
図10A~
図10Fは、本技術の別の例による織物通気アセンブリ9400を示す。通気アセンブリ9400は、上記した通気アセンブリ8400に類似するが、通気部材9500および拡散部材9600を支持するための配置構成は異なる。
【0237】
図10A~
図10Fの例に示すように、通気アセンブリ9400は、フレーム9700と、フレーム9700の後側に沿って支持された通気部材9500(例えば、内部を複数の通気孔9530が延びた織物材料9510の層を含むもの)と、フレーム9700の前側に沿って支持された拡散部材9600(例えば、織物材料9610の層を含むもの)とを含む。本例において、フレーム9700は、拡散部材9600を通気部材9500からオフセットしているかまたは間隔を空けた様態で支持する。
【0238】
フレーム9700は、内部に開口部9720を形成する後壁9710と、内部に開口部9750を形成する前壁9740と、前壁9740を後壁9710から間隔を空けて配置および支持する複数の支持部材9730とを含む。図示の例において、支持部材9730は、フレーム9700の長軸および短軸に沿って設けられるが、他の適切な様態において、支持部材9730は、フレーム9700の周囲に沿って配置してもよいことが理解されるべきである。また、後壁9710、前壁9740、および支持部材9730により、側方開口部9450が通気アセンブリの周囲に沿って形成されるため、通気孔9530から退出する流れのうち少なくとも一部が拡散部材9600を迂回し、側方開口部9450中を流動することができ得る。
【0239】
通気部材9500は、フレーム9700の後側に沿ってフレーム9700の後壁9710によって支持され、拡散部材9600は、フレーム9700の前側に沿ってフレーム9700の前壁9740によって支持される。よって、フレーム9700によって提供される支持構造において、拡散部材9600は、通気部材9500から間隔を空けて配置されるため、上記したように拡散部材9600の詰まりの原因になり得るあらゆる湿気または埃に対抗する隙間9475が形成される。
【0240】
上記した通気アセンブリ8400と同様に、フレーム9700は、比較的剛性または比較的軟性の構造物を含み得る。通気部材9500および拡散部材9600は双方とも可撓性の織物材料を含むため、フレーム9700(ならびに通気部材9500および拡散部材9600)を患者インターフェースの外形をたどるように曲線状にしてもよいし、あるいは、空気送達導管(例えば、フレーム9700の軟性の可撓性の構造物)を外形をたどるように撓ませるかまたは屈曲させてもよいし、あるいは、フレーム9700は、外形をたどるように成形されたかまたは他の様態で形成された剛性構造物を有してもよい。
【0241】
図10Eに示すように、患者インターフェースまたは空気送達導管中に圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ拡散部材9600が閉塞していない場合、複数の通気孔9530および拡散部材9600を通じて延びた1次通気流れ経路V1を通じて空気を雰囲気へ移動させて排気通気流れを拡散させることにより、ノイズ発生を低減させることができ得る。加えて、空気を複数の通気孔9530および側方開口部9450を通じて延びた2次通気流れ経路V2を通じて雰囲気へ移動させることができ得る。このような1次通気流れ経路V1および2次通気流れ経路V2により、患者インターフェースまたは空気送達導管中CO2の蓄積を回避するための十分なガス洗い流しを可能にする通気経路が得られる。
【0242】
図10Fに示すように、患者インターフェースまたは空気送達導管中に圧力が有る場合(例えば、RPTデバイスが動作しており)かつ拡散部材9600が水分または湿度に起因して閉塞している場合、空気を複数の通気孔9530および側方開口部9450を通じて延びた2次通気流れ経路V2を通じて雰囲気へ送ることができ得る。2次通気流れ経路V2は、拡散部材9600を迂回するため、拡散部材9600が閉塞しているときに十分な通気流れが提供される。さらに、2次通気流れ経路V2は常時開口しているため、1次通気流れ経路V1に沿った拡散部材9600が十分に乾燥するかまたは閉塞解除されるまで、十分な排気通気流れが確保される。
【0243】
上記例それぞれにおいて、通気アセンブリを通じた全体的通気流れは、1次通気流れ経路V1を通じた1次通気流れと、2次通気流れ経路V2を通じた2次通気流れと、通気アセンブリ中のあらゆる漏洩(例えば、約0.1~0.2L/分)との合計を理想的に含み得る。よって、所与の圧力において、1次通気流れの低下を2次通気流れの増加によって埋め合わせる必要がある。例において、1次通気流れ経路および2次通気流れ経路中の通気流れ速度の変化は、湿気の蓄積速度と、通気アセンブリ中における湿気の乾燥速度とに依存し得る。1次通気流れ経路と2次通気流れ経路との間の通気流れの交差は、設計に依存し得、上記したように調整され得る。
【0244】
【0245】
図11Aの例において、通気アセンブリは、治療圧力範囲全体において1次通気流れが徐々に低下するのと共に2次通気流れが徐々に増加するような構成にされ得る。
【0246】
図11Bの例において、通気アセンブリは、特定の治療圧力に到達する(例えば、8cmH
2O)まで2次通気が閉鎖されたままになるように構成され得、その後、1次通気流れが引き続き徐々に低下するにつれて、2次通気流れは徐々に増加する。
【0247】
図11Cの例において、通気アセンブリは、一定の治療圧力に到達する(例えば、10cmH
2O)まで1次通気流れが徐々に低下するにつれて2次通気流れ徐々に増加するような構成にされ得、このような圧力は、1次通気部中の閉塞を除去するのに十分な大きさであり、その後、2次通気流れは、1次通気流れが徐々に増加するのと共に徐々に低下する。
【0248】
図11Dの例において、通気アセンブリは、(例えば水分または湿度に起因して)1次通気が湿った後に2次通気が起動されるように構成され得る。本例において、1次通気が湿った場合、1次通気流れは、元々の乾燥した流れから約50%だけ低下し、2次通気が起動して、通気アセンブリが湿気へ晒された後に全体的通気流れを増加させる。このような2次通気によって可能となる増加を調整することにより、使用時における十分なガス洗い流しが確保される。
【0249】
図11Eの例において、通気アセンブリは、(例えば水分または湿度に起因して)1次通気が湿っているときに、1次通気において一定レベルの水飽和または一定レベルの閉塞に到達するまで2次通気が閉鎖されたままになるように構成され得る。その後、2次通気は起動されて、全体的通気流れを増加させる。
図11Dの例と同様に、1次通気が湿った場合、1次通気流れは、元々の乾燥した流れから約50%まで低下する。本例において、2次通気は約8cmH
2Oにおいて起動されるが、例えば上記したような水飽和または閉塞のレベルに応じて起動をより低い圧力またはより高い圧力において行ってもよいことが理解されるべきである。また、例において、2次通気の起動は、電気機械的システムを介して電子的に行ってもよい(例えば、上記した電磁アクティベータ6900を参照)。2次通気によって可能となるこのような全体的通気流れの増加を調整することにより、使用時における十分なガス洗い流しを確保することが可能になり得る。
【0250】
図11Fの例において、通気アセンブリは、(例えば水分または湿度に起因して)1次通気が湿った後に2次通気が起動されるように、構成され得る。本例において、1次通気流れは、低圧力(例えば、約10cmH
2O未満(例えば、4~10cmH
2O))においては自身の湿気に起因して元々の乾燥した流れから約50%だけ低下し、2次通気が起動して、全体的通気流れを増加させる。より高圧力(例えば、約10cmH
2Oを超える圧力(例えば、10~20cmH
2O))になると、通気中の圧力は、1次通気部中の水分または閉塞を除去できるほど十分になり、その後、1次通気流れは増加し得、2次通気流れは、(コンポーネント上の空気流れに起因して乾燥するにつれて)徐々に低下するかまたは実質的に一定のままであり得る。時間と共に、全体的通気流れは、元々の乾燥した流量に戻り得る。例において、織物材料が布地またはより高密度の織物間の小さな穴を含む場合、1次通気部中の水分または閉塞の除去のために、より高圧力が必要になり得る。同様に、織物材料が布地またはより低密度のより開口を含む織物間により大きな穴を含む場合、1次通気部中の水分または閉塞の除去のために、より低圧力が必要になり得る。
【0251】
上記例それぞれにおいて、拡散部材(例えば、織物材料)は、1つ以上のコーティングを含み得る(例えば、疎水コーティングおよび/または親水コーティング)。例において、湿気を閉じ込めるために、疎水コーティングが織物の片側(例えば、患者側)へ設けられ得、湿気の移動を停止するために、親水コーティングが織物の他方側(例えば、雰囲気側)に設けられ得る。しかし、他の適切なコーティング配置構成も可能であることが理解されるべきである。
【0252】
5.3.5 結合解除構造(複数または単数)
一形態において、患者インターフェース3000は、少なくとも1つの結合解除構造(例えば、スイベルまたは球窩)を含む。
【0253】
5.3.6 接続ポート
接続ポート3600は、空気回路4170への接続を可能にする。
【0254】
5.3.7 前額支持部
一形態において、患者インターフェース3000は、前額支持部3700を含む。
【0255】
5.3.8 窒息防止弁
一形態において、患者インターフェース3000は、窒息防止弁を含む。
【0256】
5.3.9 ポート
本技術の一形態において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の量へのアクセスを可能にする1つ以上のポートを含む。一形態において、これにより、臨床医が補充酸素を供給することが可能になる。一形態において、これにより、プレナムチャンバ3200内のガス(例えば、圧力)の特性を直接測定することが可能になる。
【0257】
5.4 空気回路
本技術の一態様による空気回路4170は、使用時において空気流れが2つのコンポーネント(例えば、RPTデバイス4000および患者インターフェース3000)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。
【0258】
詳細には、空気回路4170は、患者インターフェースおよびRPTデバイス4000の空気圧ブロックの出口と流体接続し得る。空気回路は、空気送達管と呼ばれ得る。いくつかの場合において、吸息および呼息のための回路の別個の肢があり得る。他の場合において、単一の肢が用いられる。
【0259】
いくつかの形態において、空気回路4170は、(例えば空気温度の維持または上昇のために)空気回路中の空気を加熱するように構成された1つ以上の加熱要素を含み得る。加熱要素は、加熱ワイヤ回路の形態をとり得、1つ以上の変換器(例えば、温度センサ)を含み得る。一形態において、加熱ワイヤ回路は、空気回路4170の軸周囲にらせん状に巻かれ得る。加熱要素は、コントローラ(例えば、中央コントローラ)と連通し得る。加熱ワイヤ回路を含む空気回路4170の一実施例について、米国特許出願第8,733,349号に記載がある。本明細書中、同文献全体を参考のため援用する。
【0260】
5.4.1 酸素送達
本技術の1つの形態において、補充用酸素が、空気圧式経路における1つ以上のポイント(例えば、空気圧式ブロックの上流)、空気回路4170および/または患者インターフェース3000へ送達され得る。
【0261】
5.5 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0262】
5.5.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0263】
雰囲気:本技術の特定の形態において、「雰囲気」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部、および(ii)治療システムまたは患者を直接包囲するものを意味するものとしてとられるべきである。
【0264】
例えば、加湿器に対する雰囲気湿度とは、加湿器を直接包囲する空気の湿度であり得る(例えば、患者が睡眠をとっている部屋の内部の湿度)。このような雰囲気湿度は、患者が睡眠をとっている部屋の外部の湿度と異なる場合がある。
【0265】
別の実施例において、雰囲気圧力は、身体の直接周囲または外部の圧力であり得る。
【0266】
特定の形態において、雰囲気(例えば、音響)ノイズは、例えばRPTデバイスから発生するかまたはマスクまたは患者インターフェースから発生するノイズ以外の、患者の居る部屋の中の背景ノイズレベルとみなすことができる。雰囲気ノイズは、部屋の外の発生源から発生し得る。
【0267】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0268】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼息時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0269】
流量:単位時間あたりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量とは、瞬間の量を指し得る。場合によっては、流量について言及した場合、スカラー量(すなわち、大きさのみを有する量)を指す。他の場合において、流量について言及した場合、ベクトル量(すなわち、大きさおよび方向両方を持つ量)を指す。流量には、符号Qが付与され得る。「流量」を簡略的に「流れ」と呼ぶ場合もある。
【0270】
患者の呼吸の実施例において、流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分に対してノミナルに陽圧であり得るため、患者の呼吸サイクルの呼気部分に対して負であり得る。合計流量Qtは、RPTデバイスから退出する空気の流量である。通気流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするために通気孔から退出する空気の流量である。漏洩流量Qlは、患者インターフェースシステムまたは他の場所からの漏洩の流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系中に受容される空気の流量である。
【0271】
加湿器:「加湿器」という単語は、患者の医療呼吸状態を改善するために治療上有益な量の水(H2O)蒸気を空気流れへ提供することが可能な物理的構造を備えて構築、配置または構成された加湿装置を意味するものとして解釈される。
【0272】
漏洩:「漏洩」という用語は、意図しない空気流れとしてとられる。一実施例において、漏洩は、マスクと患者の顔との間のシールが不完全であることに起因して発生し得る。別の実施例において、漏洩は、周囲に対するスイベルエルボーにおいて発生し得る。
【0273】
ノイズ伝導(音響):本文書において、伝導ノイズとは、空気圧式経路(例えば、空気回路および患者インターフェースおよびその内部の空気)によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、伝導ノイズは、空気回路の端部における音圧レベルを測定することにより、定量化され得る。
【0274】
ノイズ放射(音響):本文書において、放射ノイズとは、周囲空気によって患者へ搬送されるノイズを指す。一形態において、放射ノイズは、当該対象の音響パワー/圧力レベルをISO3744に従って測定することにより、定量化され得る。
【0275】
ノイズ通気(音響):本文書において、通気ノイズとは、任意の通気(例えば、患者インターフェース中の通気孔)を通じた空気流れにより生成されるノイズを指す。
【0276】
患者:呼吸器疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0277】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmH2O、g-f/cm2、及びヘクトパスカル)。1cmH2Oは、1g-f/cm2に等しく、およそ0.98ヘクトパスカルである。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmH2Oの単位で付与される。
【0278】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてマスク圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0279】
呼吸圧力治療(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0280】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0281】
5.5.1.1 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この登録商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0282】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0283】
5.5.1.2 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0284】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0285】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
・ 「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
・ 「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0286】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。
【0287】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0288】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の実施例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmH2Oの圧力の負荷において患者気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0289】
一実施例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の実施例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0290】
5.5.2 呼吸サイクル
無呼吸:いくつかの定義によれば、無呼吸とは、所定の閾値を下回った流れが例えば10秒間の継続期間にわたって継続した場合に発生したと言われる。閉塞性無呼吸とは、患者の労作にもかかわらず、何らかの気道閉塞により空気の流れが許されないときに発生すると言われる。中枢性無呼吸とは、気道が開通しているにも関わらず呼吸努力の低下または呼吸努力の不在に起因して無呼吸が検出された状態を指すと言われる。混合型無呼吸とは、呼吸努力の低下または不在が気道閉塞と同時発生した状態を指すと言われる。
【0291】
呼吸速度:患者の自発呼吸速度であり、通常は毎分あたりの呼吸回数で測定される。
【0292】
負荷サイクル:吸息時間Tiの合計呼吸時間Ttotに対する比。
【0293】
労作(呼吸):呼吸努力は、呼吸しようとしている人の自発呼吸によって行われる動きを指すと言われる。
【0294】
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流れの開始から吸気流れの開始までの期間。
【0295】
流れ制限:流れ制限は、患者による労作の増大が流量の対応する増大を引き起こさない患者の呼吸における状況であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は吸気流量制限と称することができる。呼吸サイクルの呼気部分において流量制限が発生した場合、当該流量制限は呼気流量制限と称することができる。
【0296】
流れ制限吸気の波形の種類:
(i)平坦化:上昇の後に比較的平坦な部位が続いた後、下降が発生すること。
(ii)M字型:立ち上がりにおいて1つおよび立ち下がりにおいて1つの2つの局所的ピークを持ち、これら2つのピークの間に比較的平坦な部位がある。
(iii)椅子状:単一の局所的ピークを持ち、このピークが立ち上がり部分に発生した後、比較的平坦な部位が続く。
(iv)逆椅子状:比較的平坦な部位の後に単一の局所的ピークが続き、このピークが立ち下がり部分に発生する。
【0297】
呼吸低下:一部の定義によれば、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流れの低下を意味する。一形態において、閾値速度を下回った流れ低下が継続期間にわたって続いた場合、呼吸低下が発生したと言われる。呼吸努力の低下に起因して呼吸低下が検出された場合、中枢性呼吸低下が発生したと言われる。成人の一形態において以下のうちいずれかが発生した場合、呼吸低下と見なされ得る:
(i)患者呼吸の30%の低下が少なくとも10秒+関連する4%の脱飽和、または、
(ii)患者呼吸の(50%未満の)低下が少なくとも10秒間継続し、関連して脱飽和が少なくとも3%であるかまたは覚醒が発生する。
【0298】
過呼吸:流れが通常の流量よりも高いレベルまで増加すること。
【0299】
呼吸サイクルの吸気部分:吸気流れの開始から呼気流れの開始までの期間が、呼吸サイクルの吸気部分としてとられる。
【0300】
開通性(気道):気道が開いている度合いまたは気道が開いている範囲。気道開通性とは、開口である。気道開通性の定量化は、例えば、開通性を示す値(1)と、閉鎖(閉塞)を示す値(0)で行われ得る。
【0301】
呼吸終末陽圧(PEEP):肺中の大気を越える圧力であり、呼気終了時に存在する。
【0302】
ピーク流量(Qpeak):呼吸流れ波形の吸気部分における流量最大値。
【0303】
呼吸気流量、空気流量、患者の空気流量、呼吸気空気流量(Qr):これらの用語は、RPTデバイスの呼吸空気流量の推定を指すものとして理解され得、通常リットル/分で表される患者の実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」と対照的に用いられる。
【0304】
1回換気量(Vt):余分な努力をせずに通常の呼吸時に吸い込まれたかまたは吐き出された空気の量である。原則的に、吸気量Vi(吸気された空気の量)は、呼気量Ve(呼気された空気の量)に等しいため、単一の一回換気量Vtは、いずれかの量に等しいものとして規定され得る。実際には、一回換気量Vtは、何らかの組み合わせ(例えば、吸気量Viと呼気量Veの平均)として推定される。
【0305】
(吸息)時間(Ti):呼吸流量波形の吸気部分の継続期間。
【0306】
(呼息)時間(Te):呼吸流量波形の呼気部分の継続期間。
【0307】
(合計)時間(Ttot):呼吸流量波形の一つの吸気部分の開始と呼吸流量波形の次の吸気部分の開始との間の合計継続期間。
【0308】
典型的な最近の換気:所定の時間スケールにわたる換気Ventの直近値が密集する傾向となる換気値(すなわち、換気の直近値の中心の傾向の度合い)。
【0309】
上気道閉塞(UAO):部分的な上気道閉塞および合計上気道閉塞両方を含む。上気道上の圧力差の増加(スターリングレジスタ挙動)と共に流量がわずかに増加するかまたは低下し得る流量制限の状態と関連し得る。
【0310】
換気(Vent):患者の呼吸器系によって行われるガス交換率の測定。換気の測定は、単位時間あたりの吸気および呼気流のうち片方または双方を含み得る。1分あたりの体積として表される場合、この量は、「分換気」と呼ばれることが多い。分換気は、単に体積として付与されることもあり、1分あたりの体積として理解される。
【0311】
5.5.3 換気
適応サーボ人工呼吸器(ASV):一定の目標換気を持つのではなく変更が可能なサーボ人工呼吸器。変更可能な目標換気は、患者の何らかの特性(例えば、患者の呼吸特性)から学習され得る。
【0312】
バックアップレート:人工呼吸器のパラメータであり、(自発呼吸努力によってトリガされない場合に)人工呼吸器から患者へ送達される最小呼吸速度(典型的には、1分あたりの呼吸数)を確立させる。
【0313】
サイクル:人工呼吸器の吸気フェーズの終了。自発呼吸をしている患者へ人工呼吸器から呼吸を送達する場合、呼吸サイクルの吸気部分の終了時において、当該人工呼吸器は、呼吸送達を停止するようサイクルされると言われる。
【0314】
呼気の気道陽圧(EPAP):、人工呼吸器が所与の時期に達成しようとする所望のマスク圧力の生成のために、呼吸内において変化する圧力が付加される基本圧力。
【0315】
終了時呼気圧力(EEP):呼吸の呼気部分の終了時において人工呼吸器が達成しようとする所望のマスク圧力。圧力波形テンプレートΠ(Φ)が呼気終了時にゼロの値である(すなわち、Φ=1のときにΠ(Φ)=0である場合)、EEPはEPAPに等しい。
【0316】
吸息の気道陽圧(IPAP):呼吸の吸気部分時に人工呼吸器が達成しようとする最大の所望のマスク圧力。
【0317】
圧力補助:人工呼吸器吸気時における当該人工呼吸器呼気時における圧力増加を示す数であり、吸気時の最大値と、基本圧力との間の圧力差を主に意味する(例えば、PS=IPAP-EPAP)。いくつかの文脈において、圧力補助とは、(人工呼吸器が実際に達成する差ではなく)人工呼吸器が達成しようとする差を意味する。
【0318】
サーボ人工呼吸器:患者換気を有しかつ目標換気を有する人工呼吸器であり、患者換気を目標換気に近づけるために圧力補助レベルを調節する。
【0319】
自発/タイミング(S/T):自発呼吸している患者の呼吸の開始を検出しようとする、人工呼吸器または他のデバイスのモード。しかし、デバイスが所定期間の間に呼吸を検出できない場合、デバイスは、呼吸送達を自動的に開始する。
【0320】
スイング:圧力補助に相当する用語。
【0321】
トリガ:人工呼吸器が自発呼吸する患者へ空気の呼吸を送達する場合、患者自身が呼吸サイクルの呼吸部分を開始したとき、当該人工呼吸器が呼吸送達を行うようトリガされたと言う。
【0322】
5.5.4 解剖学的構造
5.5.4.1 顔の解剖学的構造
翼(Ala):外部の外壁または各鼻穴の「翼」(複数形:alar)。
【0323】
翼角度:
【0324】
Alare:鼻翼上の最外側の点。
【0325】
翼曲率(または鼻翼頂上)点:各翼の曲線状基準線における最後方点であり、翼および頬の結合によって形成される折り目において見受けられる。
【0326】
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0327】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0328】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0329】
鼻柱:鼻孔を分離する皮膚片であり、鼻尖点から上唇へ延びる。
【0330】
鼻柱角度:鼻穴の中点を通じて引かれる線と、鼻下点と交差しつつフランクフルト水平に対して垂直に引かれる線との間の角度。
【0331】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0332】
眉間:軟組織中に配置され、前額部の正中矢状において最も顕著な点。
【0333】
外側鼻軟骨:軟骨の概して三角形の板。その上側周縁は鼻骨および上顎骨の前頭突起へ取り付けられ、その下側周縁は大鼻翼軟骨へ接続される。
【0334】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0335】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0336】
大鼻翼軟骨:軟骨の板であり、外側鼻軟骨の下側に配置される。これは、鼻孔の前方部分の周囲において曲線状になる。その後端は、3つまたは4つの翼の小軟骨を含む強靱な線維膜により、上顎骨の前頭突起へ接続される。
【0337】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0338】
鼻唇溝または鼻唇折り目:皮膚の折り目または溝であり、鼻の各側から口の角部へ延びて、頬を上唇から分離させる。
【0339】
鼻唇角:鼻柱と上唇との間の角度であり、鼻下点と交差する。
【0340】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0341】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0342】
鼻尖点:鼻の最も突出した点または先端であり、頭部の部分の残り部分の側面図中に確認され得る。
【0343】
人中:鼻中隔の下側境界から上唇領域中の唇の上部へ延びる正中線溝。
【0344】
ポゴニオン:軟組織上に配置された、顎の最前方中点。
【0345】
(鼻)堤:鼻堤は、鼻の正中線隆起であり、セリオンから鼻尖点へ延びる。
【0346】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0347】
セリオン:軟組織上に配置された、前頭鼻骨縫合の領域上の最も凹状の点である。
【0348】
中隔軟骨(鼻):鼻中隔軟骨は、隔膜の一部であり、鼻腔の前部分を分割する。
【0349】
鼻翼最下点:翼ベースの下側周縁における点であり、翼ベースは上(上)唇の皮膚と接合する。
【0350】
鼻下点:軟組織上に配置され、鼻柱が正中矢状における上唇と合体する点。
【0351】
スプラメントン:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の正中線中の最も凹状の点。
【0352】
5.5.4.2 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0353】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0354】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0355】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0356】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0357】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。後頭骨は、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0358】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0359】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0360】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0361】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および側方部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0362】
5.5.4.3 呼吸器系の解剖学的構造
横隔膜:シート状の筋肉であり、胸郭下部上に延びる。横隔膜は、心臓、肺および肋骨を含む胸腔を腹腔から分離させる。横隔膜が収縮すると、胸腔の容量が増加し、肺中に空気が引き込まれる。
【0363】
喉頭:声帯ひだを収容する喉頭または発声器であり、咽頭の下部(下咽頭)を気管へ接続させる。
【0364】
肺:ヒトにおける呼吸臓器。肺の伝導性ゾーンは、気管、気管支、気管支、および終末細気管支を含む。呼吸領域は、呼吸細気管支、肺胞管および肺胞を含む。
【0365】
鼻腔:鼻腔(または鼻窩)は、顔の中央の鼻の上方および後方の空気が充填された大きな空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直フィンによって2つに分割される。鼻腔の側部には、鼻甲介(nasal conchae)(単数形「concha」)または鼻介骨と呼ばれる3つの水平伸長物がある。鼻腔の前方には鼻があり、後方は後鼻孔を介して鼻咽頭内に繋がる。
【0366】
咽頭:鼻腔の直接下側(下方)に配置されかつ食道および喉頭の上方に配置された咽喉の部分。咽頭は、従来から以下の3つの部分へ区分される:鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)、口咽頭(中咽頭)(咽頭の口部分)、および咽喉(下咽頭)。
【0367】
5.5.5 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCO2の再呼吸の危険性を低減させる。
【0368】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気の流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の実施例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0369】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0370】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸治療の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡材料および布地の層状複合材)によって形成される。
【0371】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0372】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0373】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0374】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0375】
補剛材:補剛材は、別の構成要素の剛軟度を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0376】
支柱:支柱は、別の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向において増加させるように設計された構造構成要素を意味するものとしてとられる。
【0377】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0378】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0379】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、吐き出されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0380】
5.5.6 構造の形状
本技術による製品は、1つ以上の三次元機械構造(例えば、マスククッションまたはインペラ)を含み得る。三次元構造は、二次元表面によって制限され得る。これらの表面は、関連付けられた表面の方向、位置、機能または他の何らかの特性を記述するためのラベルを用いて区別され得る。例えば、構造は、前表面、後表面、内面および外面のうち1つ以上を含み得る。別の実施例において、シール形成構造は、顔接触(例えば、外側の)表面と、別個の非顔接触(例えば、下側または内側の)表面を含み得る。別の実施例において、構造は、第1の表面および第2の表面を含み得る。
【0381】
三次元構造の形状および表面の説明を容易にするために、構造の表面を通じた点pにおける断面について先ず検討する。
図3B~
図3Fを参照されたい。
図3B~
図3Fは、表面上における点pにおける断面例と、その結果得られる平面曲線の例とを示す。
図3B~
図3Fは、pにおける外向き法線ベクトルも示す。pにおける外向き法線ベクトルは、表面から離隔方向に延びる。いくつかの実施例において、架空の小さな人が表面上に直立している観点から、この表面について説明する。
【0382】
5.5.6.1 一次元における曲率
pにおける平面曲線の曲率は、符号(例えば、正、負)および大きさ(例えば、pにおいて曲線に接する円形の1/半径)を持つものとして記述され得る。
【0383】
正の曲率:pにおける曲線が外向き法線に向かって曲がる場合、その点における曲率は、正の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上り坂を歩行する必要がある)。
図3B(
図3Cと比較して比較的大きな正の曲率)および
図3C(
図3Bと比較して比較的小さな正の曲率)を参照されたい。このような曲線を、凹状と呼ぶことが多い。
【0384】
ゼロ曲率:pにおける曲線が直線である場合、曲率はゼロとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、上向きでも下向きでもない水平面を歩行することができる)。
図3Dを参照されたい。
【0385】
負の曲率:pにおける曲線が外向き法線から離隔方向に曲がる場合、その点およびその方向における曲率は、負の値を持つものとしてとられる(この架空の小さな人が点pから立ち去る場合、下り坂を歩行する必要がある)。
図3E(
図3Fと比較して比較的小さな負の曲率)および
図3F(
図3Eと比較して比較的大きな負の曲率)を参照されたい。このような曲線は、凸状と呼ばれることが多い。
【0386】
5.5.6.2 二次元表面の曲率
本技術による二次元表面上の所与の点における形状の記述は、複数の垂直断面を含み得る。複数の断面は、外向き法線(「法平面」)を含む面において表面を切断し得、各断面は、異なる方向においてとられ得る。各断面の結果、対応する曲率を有する平面曲線が得られる。その点における異なる曲率は、同一符号または異なる符号を持ち得る。その点における曲率はそれぞれ、(例えば、比較的小さな)大きさを有する。
図3B~
図3F中の平面曲線は、特定の点におけるこのような複数の断面の例であり得る。
【0387】
主要な曲率および方向:曲線の曲率が最大値および最小値をとる法平面の方向を主要な方向と呼ぶ。
図3B~
図3Fの実施例において、最大曲率は
図3Bにおいて発生し、最小は
図3Fにおいて発生するため、
図3Bおよび
図3Fは、主要な方向における断面である。pにおける主要な曲率は、主要な方向における曲率である。
【0388】
表面の領域:表面上の連結された点の集合。領域内のこの1組の点は、類似の特性(例えば、曲率または符号)を持ち得る。
【0389】
サドル領域:(上り坂または下り坂を歩行し得る架空の人が向く方向に応じて)各点において主要な曲率が反対の符号(すなわち、片方が正の符号および他方が負の符号)を有する領域。
【0390】
ドーム領域:各点において主要な曲率が同一符号(双方とも正(「凹状ドーム」)または双方とも負(「凸状ドーム」))を持つ領域。
【0391】
円筒型領域:1つの主要な曲率がゼロ(または、例えば製造公差内のゼロ)をとり、他方の主要な曲率が非ゼロである領域。
【0392】
平面領域:主要な曲率双方がゼロであるか(または例えば製造交差内のゼロである)表面の領域。
【0393】
表面の縁部:表面または領域の境界または限界。
【0394】
経路:本技術の特定の形態において、「経路」は、数学的-トポロジー的意味合いにおける経路(例えば、表面上におけるf(0)からf(1)への連続空間曲線)を意味するものとしてとられる。本技術の特定の形態において、「経路」は、例えば表面上の1組の点を含むルートまたはコースとして記述され得る。(架空の人の経路は、表面上において歩行する場所であり、庭の経路に類似する)。
【0395】
経路長さ:本技術の特定の形態において、「経路長さ」とは、表面に沿ったf(0)からf(1)への距離(すなわち、表面上の経路に沿った距離)を指すものとしてとられる。表面上の2つの点間において1つよりも多くの経路があり得、このような経路は、異なる経路長さを持ち得る。(架空の人の経路長さは、表面上を経路に沿って歩行する距離である)。
【0396】
直線距離:直線距離は、表面上の2つの点間の距離であるが、表面は考慮しない。平面領域上において、表面上の2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する表縁上の距離がある。非平面表面上において、2つの点間の直線距離と同一の経路長さを有する経路は存在し得ない。(架空の人にとって、直線距離は、「カラスが飛ぶ」距離に対応する)。
【0397】
5.5.6.3 空間曲線
空間曲線:平面曲線と異なり、空間曲線は、任意の特定の平面内に必ずしも存在しない。空間曲線は閉鎖され得る。すなわち、終点を有さない。空間曲線は、三次元空間の一次元ピースとみなされ得る。DNA螺旋の鎖上を歩行している架空の人物は、空間曲線に沿って歩行する。典型的なヒトの左耳は、左手螺旋を含む(
図3Qを参照)。典型的なヒトの右耳は、右手螺旋を含む(
図3Rを参照)。
図3Sは、右手螺旋を示す。構造の縁部(例えば、膜またはインペラの縁部)は、空間曲線をたどり得る。一般的に、空間曲線は、空間曲線上の各点における曲率およびねじれによって記述され得る。ねじれとは、平面から発生する曲線の様態の尺度である。ねじれは、符号および大きさを有する。空間曲線上の点におけるねじれは、当該点における接線ベクトル、法線ベクトルおよび従法線ベクトルに対して特徴付けられ得る。
【0398】
接線単位ベクトル(または単位接線ベクトル):曲線上の各点について、当該点におけるベクトルは、当該点からの方向および大きさを指定する。接線単位ベクトルとは、当該点における曲線と同じ方向を向く単位ベクトルである。架空の人物が曲線に沿って飛行しており、特定の点において自身の車両から落ちた場合、接線ベクトルの方向は、その人物が移動しているはずの方向である。
【0399】
単位法線ベクトル:架空の人物が曲線に沿って移動している場合、この接線ベクトルそのものが変化する。接線ベクトルが変化している方向と同じ方向を向く単位ベクトルは、単位主法線ベクトルと呼ばれる。これは、接線ベクトルに対して垂直である。
【0400】
従法線単位ベクトル:従法線単位ベクトルは、接線ベクトルおよび主法線ベクトル双方に対して垂直である。その方向は、右手の法則(例えば
図3Pを参照)または表すあるいは左手の法則(
図3O)によって決定され得る。
【0401】
接触平面:単位接線ベクトルおよび単位主法線ベクトルを含む平面。
図3Oおよび
図3Pを参照されたい。
【0402】
空間曲線のねじれ:空間曲線の点におけるねじれとは、当該点における従法線単位ベクトルの変化速度の大きさである。これは、曲線の接触平面からの逸脱の程度を測定する。平面内にある空間曲線のねじれはゼロである。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的少量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的小さい(例えば、緩やかに傾斜する螺旋状経路)。空間曲線の接触平面からの逸脱が比較的大量である場合、その空間曲線のねじれの大きさは比較的大きい(例えば、急勾配に傾斜する螺旋状経路)。
図3Sを参照して、T2>T1であるため、
図3Sの螺旋の最上部コイルの近隣のねじれの大きさは、
図3Sの螺旋の最下部コイルのねじれの大きさよりも大きい。
【0403】
図3Pの右手の法則を参照して、右手従法線の方向に向かって曲がる空間曲線は、右手方向に正のねじれとしてみなされ得る(例えば、
図3Sに示すような右手螺旋)。右手従法線方向から離隔方向を向く空間曲線は、右手の負のねじれを持つものとしてみなされ得る(例えば、左手螺旋)。
【0404】
同様に、左手の法則(
図3Oを参照)を参照して、左手従法線方向を向く空間曲線は、左手の正のねじれ(例えば、左手螺旋)を持つものとしてみなされ得る。よって、左手の正の方向は、右手の負の方向に相当する。
図3Tを参照されたい。
【0405】
5.5.6.4 穴
表面は、一次元穴を持ち得る(例えば、平面曲線または空間曲線によって境界付けられた穴)。穴を含む肉薄構造(例えば、膜)の場合、この構造は、一次元穴を有するものとして記述され得る。例えば、
図3Iに示す構造の表面中の一次元穴が平面曲線によって境界付けられる様子を参照されたい。
【0406】
構造は、二次元穴(例えば、表面によって境界付けられた穴)を持ち得る。例えば、可膨張性タイヤは、タイヤ内面によって境界付けられた二次元穴を有する。別の実施例において、空気またはゲルのための空洞を備えたブラダーは、二次元穴を持ち得る。例えば
図3Lのクッション、および二次元穴を境界付ける内面が示される
図3Mおよび
図3Nにおける
図3Lの例示的断面を参照されたい。さらに別の実施例において、導管は、(例えばその入口またはその出口において)一次元穴を含み得、導管の内面によって境界付けられた二次元穴を含み得る。
図3Kに示す構造を通じておりかつ図示のように表面によって境界付けられた二次元穴も参照されたい。
【0407】
5.6 他の注意事項
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0408】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0409】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的方法および材料が本明細書中に記載される。
【0410】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0411】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0412】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していない、認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0413】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0414】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0415】
本明細書中の技術について、特定の実施例を参照して述べてきたが、これらの実施例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその様態を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0416】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な実施例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0417】
患者 1000
同床者 1100
患者インターフェース 3000
シール形成構造 3100
プレナムチャンバ 3200
位置決めおよび安定化構造 3300
通気部 3400
接続ポート 3600
前額支持部 3700
RPTデバイス 4000
空気回路 4170
通気アセンブリ 4400
カバー 4500
主要壁 4510
側壁 4520
オリフィス 4530
織物材料 4600
オリフィス 4610
ベース 4700
ベース壁 4705
第1のオリフィス 4710
第2のオリフィス 4720
内面 4730
外面 4740
肩部 4750
保持構造 4760
スロット 4765
凹部 4770
膜 4800
フラップ部 4810
オリフィス 4815
保持部 4820
アクティベータ 4900
加湿器 5000
通気アセンブリ 5400
織物材料 5600
オリフィス 5610
ベース 5700
ベース壁 5705
第1のオリフィス 5710
第2のオリフィス 5720
内面 5730
突起 5732
外面 5740
突起 5742
保持構造 5760
ポスト 5762
開口部 5770
膜 5800
フラップ部 5810
保持部 5820
穴 5822
アクティベータ 5900
空気送達導管 6000
開口部 6050
ベース 6700
内面 6730
アクティベータ 6900
センサ 6910
軌道回路 6915
通気アセンブリ 7400
織物材料 7600
オリフィス 7610
ベース 7700
ベース壁 7705
第1のオリフィス 7710
第2のオリフィス 7720
通気コンポーネント 7900
第2のオリフィス 7925
溝部 7950
通気アセンブリ 8400
横側開口部 8450
隙間 8475
通気部材 8500
織物材料 8510
通気孔 8530
拡散部材 8600
織物材料 8610
ベース 8700
外壁 8710
開口部 8720
支持構造 8800
外壁 8810
開口部 8820
支持部材 8830
通気アセンブリ 9400
横側開口部 9450
隙間 9475
通気部材 9500
織物材料 9510
通気孔 9530
拡散部材 9600
織物材料 9610
フレーム 9700
後方壁 9710
開口部 9720
支持部材 9730
前方壁 9740
開口部 9750