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特許7098860光学効果層を作製するための装置および方法
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  • 特許-光学効果層を作製するための装置および方法 図1
  • 特許-光学効果層を作製するための装置および方法 図2A
  • 特許-光学効果層を作製するための装置および方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】光学効果層を作製するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20220705BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20220705BHJP
   B05D 5/06 20060101ALI20220705BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220705BHJP
   B41F 1/56 20060101ALI20220705BHJP
   B41F 15/12 20060101ALI20220705BHJP
   B42D 25/369 20140101ALI20220705BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B41M3/14
B05D3/00 D
B05D5/06 Z
B05D7/24 303B
B05D7/24 303D
B41F1/56
B41F15/12 A
B42D25/369
H02K21/14 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019536502
(86)(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018051084
(87)【国際公開番号】W WO2018141547
(87)【国際公開日】2018-08-09
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】17153905.9
(32)【優先日】2017-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168734
【弁理士】
【氏名又は名称】石塚 淳一
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, エドガー
(72)【発明者】
【氏名】ロギノフ, エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, マチュー
【審査官】亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/026896(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/14
B41F 1/56
B41F 15/12
B42D 25/369
H02K 21/14
B05D 7/24
B05D 3/00
B05D 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学効果層(OEL)を作製するための装置であって、
a)第1のブロック(A)であって、
a1)磁場ガイド固定子コア(1c)の軸線を中心として円形に配置されたn個の環状スロットに配置されたn個のマグネットワイヤコイル(1b)を備える固定子が取り付けられたホルダ(1a)と、
a2)前記n個のマグネットワイヤコイル(1b)の上に配置された巻線保護プレート(7)と
を備える、第1のブロック(A)と、
b)第2のブロック(B)であって、
b1)ケーシング(4)と、
b2)回転子円板(3b)の一方の面内または面上に円形に配置された交互極性のm個の永久磁極(3a)を備える回転子と
b3)前記回転子(3a+3b)の前記m個の永久磁極(3a)の下に配置された回転子保護プレート(2)であって、前記回転子(3a+3b)を覆っている前記回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)と、
b4)前記回転子(3a+3b)によって駆動される永久磁石アセンブリ(PMA)(5)であって、前記回転子円板(3b)の他方の面上に配置された永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と
を備える第2のブロック(B)と
を備え、
前記第2のブロック(B)の前記回転子保護プレート(2)が、前記第1のブロック(A)の前記巻線保護プレート(7)の上面に配置され、前記巻線保護プレート(7)が、前記回転子保護プレート(2)に着脱可能に組み合わされ、
前記固定子(1b+1c)と前記回転子(3a+3b)とが、一緒にブラシレスDC(BLDC)モータとして機能し、
nは3の倍数であり、mは2の倍数であり、n/mが、3/2、3/4、6/4、6/8、9/8、9/10、12/10、または12/14であることを条件とし、
前記第1のブロック(A)が、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部に着脱可能に固定されるように構成されており、
前記第2のブロック(B)が、前記第1のブロック(A)に着脱可能に固定される、光学効果層(OEL)を作製するための装置。
【請求項2】
前記回転子円板(3b)と関連付けられたベアリング(3c)をさらに備える、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記ベアリング(3c)が、セラミックボールベアリングである、請求項に記載の装置。
【請求項4】
磁石支持体(6)をさらに備え、前記磁石支持体(6)が、前記第2のブロック(B)に備えられ、前記永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を支持している、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
蓋(8)をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ケーシング(4)が、第1のキャビティと第2のキャビティとを有する「H」字形ケーシング(4)である、請求項1~のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
交互極性の前記m個の永久磁極(3a)と前記回転子円板(3b)とを備える前記回転子が、前記「H」字形ケーシング(4)の前記第1のキャビティ内に配置されており、前記永久磁石アセンブリ(5)が、前記「H」字形ケーシング(4)の前記第2のキャビティ内に配置されている、請求項に記載の装置。
【請求項8】
回転磁気配向シリンダ(RMC)であって、前記第1のブロック(A)を介して前記回転磁気配向シリンダ(RMC)に取り付けられた、請求項1~のいずれか一項に記載の1つ以上の装置を備える、回転磁気配向シリンダ(RMC)。
【請求項9】
フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットであって、前記第1のブロック(A)を介して前記フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットに取り付けられた、請求項1~のいずれか一項に記載の1つ以上の装置を備える、フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニット。
【請求項10】
基材上に光学効果層(OEL)を作製するための、請求項1~のいずれか一項に記載の装置、請求項に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)、または請求項に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの使用。
【請求項11】
基材上に光学効果層を作製するための方法であって、前記方法が、
i)磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤コーティングまたは層を支持する基材を用意するステップと、
ii)請求項1~のいずれか一項に記載の装置、請求項に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)、または請求項に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを用意するステップと、
iii)前記回転子(3a+3b)と前記固定子(1b+1c)との組み合わせ作用によって前記永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をスピン回転させることによって生成された時間依存方向可変磁場に、前記磁性または磁化可能顔料粒子を含む前記湿潤コーティングまたは層を曝して、前記磁性または磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させるステップと、
iv)前記磁性または磁化可能顔料粒子を含む前記コーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させて、前記磁性または磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を実質的な配向状態または配向状態に固定するステップと
を含む、基材上に光学効果層を作製するための方法。
【請求項12】
前記基材がセキュリティ文書である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップiv)がステップiii)と部分的に同時に行われる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリ(PMA)を備える1つ以上のブロックを有する、既存の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを改造する方法であって、前記方法が、前記回転磁気配向シリンダ(RMC)または前記フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットから1つ以上の固定またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリ(PMA)を取り外すステップと、前記1つ以上の固定またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリ(PMA)を、請求項1~のいずれか一項に記載の1つ以上の第2のブロック(B)で置き換えるステップであって、前記1つ以上の第2のブロック(B)が、請求項1~のいずれか一項に記載の第1のブロック(A)に着脱可能に固定される、ステップとを含む、既存の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを改造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001]本発明は、偽造および違法複製に対する有価書類および有価商品の保護の分野に関する。特に、本発明は、印刷装置またはコーティング装置と共に使用して、基材上の湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層中の磁性または磁化可能顔料粒子を配向させるための、スピン回転永久磁石アセンブリを備える装置、および光学効果層(OEL)を作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[002]例えばセキュリティ文書の分野において、セキュリティ要素を作製するために、磁性または磁化可能顔料粒子、特に光学的に可変でもある磁性もしくは磁化可能顔料粒子を含む、インク、コーティング組成物、コーティング、または層を使用することが、当技術分野で公知である。配向された磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層が、例えば、米国特許第2,570,856号、米国特許第3,676,273号、米国特許第3,791,864号、米国特許第5,630,877号、および米国特許第5,364,689号に開示されている。セキュリティ文書の保護に有用な特定の光学効果をもたらす、配向された磁性変色顔料粒子を含むコーティングまたは層が、国際公開第2002/090002号および国際公開第2005/002866号に開示されている。
【0003】
[003]例えばセキュリティ文書のためのセキュリティ機能は、一般に、「非開示型(covert)」セキュリティ機能と「開示型(overt)」セキュリティ機能とに分類することができる。「非開示型」セキュリティ機能によりもたらされる保護は、そのような機能が検出のための専用の装置および知識を必要とするという概念に依拠している一方で、「開示型」セキュリティ機能は、人間の知覚のみによって検出可能であるという概念に依拠しており、例えば、そのような機能は、目で見ることができる、および/または触覚により検出可能であるが、作製および/またはコピーは依然として困難なものであり得る。しかしながら、開示型セキュリティ機能の有効性は、セキュリティ機能として認識されることに大きく依存しており、それは、ユーザが前記セキュリティ機能の存在および性質についての実際の知識を得たとき初めて、ユーザがそのセキュリティ機能に基づいてセキュリティチェックを実際に行うことになるからである。
【0004】
[004]印刷インクまたはコーティング中の磁性または磁化可能顔料粒子により、光学効果層(OEL)の作製が可能になり、光学効果層は、構造化された磁場の印加によって得られる、磁気誘導画像、デザイン、またはパターンを含み、構造化された磁場の印加は、未硬化のコーティング中の磁性もしくは磁化可能顔料粒子を局所的に配向させ、その後コーティングを硬化させる。結果として、永続的に固定された磁気誘導画像、デザイン、またはパターンが得られる。外部永久磁石または励磁された電磁石を用いて発生させることのできる外部磁場を印加することにより、コーティング組成物中の磁性または磁化可能顔料粒子を配向させるための材料および技術が、米国特許第3,676,273号、米国特許第3,791,864号、欧州特許第406,667号、欧州特許第556,449号、欧州特許出願公開第710,508号、国際公開第2004/007095号、国際公開第2004/007096号、国際公開第2005/002866号、国際公開第2008/046702号、およびその他の文献に開示されており、ここでは、配向ステップ中に印加される外部磁場は、OELに対して基本的に静磁場に留まる。このようにして、極めて偽造されにくい磁気誘導画像、デザイン、およびパターンを作製することができる。このようなセキュリティ要素は、磁性もしくは磁化可能顔料粒子または対応するインクと、前記インクを印刷し、かつ印刷されたインク中の前記顔料を配向させるために使用される特定の技術と、の両方にアクセス可能な者のみが作製できる。
【0005】
[005]静磁場により得られる、または得ることのできる磁気配向パターンは、3次元磁力線パターンのシミュレーションを通して、磁石配置の幾何形状から略予測可能である。
【0006】
[006]外部磁場を印加することにより、磁性顔料粒子は、その磁気軸が顔料粒子の位置で外部磁力線の方向に整列されるように配向される。磁化可能顔料粒子は、外部磁場により、その最長寸法の方向が顔料粒子の位置で磁力線に整列されるように配向される。磁性もしくは磁化可能顔料粒子が整列されると、コーティング組成物が硬化し、これにより、整列された磁性もしくは磁化可能顔料粒子が、それらの位置および配向で固定される。
【0007】
[007]未硬化コーティング組成物中の磁性もしくは磁化可能顔料粒子と、時間依存方向可変外部磁場と、の動的相互作用によって、動く錯視をもたらす磁気誘導画像、デザイン、またはパターンに基づく非常に有用で動的な人目を引くセキュリティ機能を得ることができる。このプロセスでは、磁性もしくは磁化可能顔料粒子は、周囲の媒体と相互作用するときに、流体力学的抵抗が最も低い位置および配向をとる。関与する機構が、J.H.E.Promislowら(Aggregation kinetics of paramagnetic colloidal particles,J.Chem.Phys.,1995,102,p.5492-5498)およびE.Climentら(Dynamics of self-assembled chaining in magnetorheological fluids,Langmuir,2004,20,p.507-513)により詳細に説明されている。
【0008】
[008]動的に配向された磁性もしくは磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を作製する目的で、十分な強度の時間依存方向可変磁場を発生させるための方法が開発されている。
【0009】
[009]米国特許出願公開第2007/0172261号は、印刷装置またはコーティング装置の回転シリンダの本体内に配置されたギヤおよび軸によって駆動されるスピン回転磁石を備える磁気配向デバイスを開示している。しかしながら、米国特許出願公開第2007/0172261号は、磁石を回転させるのに必要なモータまたは駆動手段の種類について述べていない。
【0010】
[010]中国特許出願公開第102529326号は、駆動デバイスおよび磁石を備える磁気配向デバイスを開示しており、この駆動デバイスは、磁石を駆動して回転軸の周りで回転させ、回転磁石により発生する磁場を使用して基材に印刷された磁性インク中の磁性または磁化可能顔料粒子を磁気配向させて、3次元外観を有する磁気配向パターンを形成する。開示された駆動デバイスは、不連続な印刷プロセスにおけるベルト駆動フラットベッド(FB)印刷ユニット用に設計されたものである。
【0011】
[011]従来技術の欠点を克服するために、国際公開第2016/026896号は、ブラシレス直流(BLDC)モータによって駆動されるスピン回転磁石を印刷装置またはコーティング装置と共に使用する、光学効果層を作製するための装置および方法を提示している。国際公開第2016/026896号は、固定子および回転子の両方がホルダに含まれているモータを図1に開示し、また固定子がホルダに含まれ、かつ回転子が交換可能な磁石ブロックに含まれているモータを図2に開示している。特に、国際公開第2016/026896号の実施例2および図2のモータは、固定子内の四重極巻線と、回転子内の四重極永久磁石装置と、を備え、Diodes Inc製のAH2984ホール効果ファンモータコントローラを使用して二相順で駆動される。従って、前記モータはフリーランしており、モータの速度は制御できない。さらに、前記モータの固定子四重極巻線は、磁極片として作用する鉄板の上に単に配置され、これは、固定子巻線によって離間された固定子磁極片と回転子磁石との間に比較的大きな磁気ギャップがあることを意味する。それに対応して、機械的トルクを発生する磁気結合は弱く、従って、大きい動作電流を必要とする。
【0012】
[012]産業用印刷機械もしくはコーティング装置の既存の回転磁気配向シリンダに、またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットに嵌合し、かつ所望の形状の多種多様なカスタマイズされた回転磁場を発生させて、時間依存方向可変磁場によるコーティング中の顔料粒子の磁気配向を通して光学効果をもたらすことのできる、モジュール式であり、容易に交換可能でありながら電気的に効率の良い装置が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
[013]従って、本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を克服することである。図1ならびに図5および図6を参照すると、本発明による、時間依存方向可変磁場を発生させるための装置は、磁気ギャップを介して互いに向き合う固定子と回転子とを備える。固定子は、磁場ガイド材料で作られ、円形に配置されたn個の環状スロットを有する固定子コアを備える。これらのn個の環状スロットは、互いに電気的に接続されて固定子巻線を構成するn個のマグネットワイヤコイルを支持する。固定子は、前記固定子を支持体上に固定する目的を果たす中央取付孔を有する。回転子は、円形に配置されたm個の交互の永久磁極を支持する。回転子は、磁気ギャップ(G)を介して固定子に磁気的に結合されており、固定子巻線に多相電流を差し向けることによって動かされる。動きは、回転子から孔を有するハブまたは突起を介して、時間依存方向可変磁場を発生させるために機能する永久磁石アセンブリ(PMA)に伝達される。本明細書に記載の装置は、固定子と回転子との間に強力な磁気結合を提供し、これにより、装置を効率的に動作させる。本発明の文脈では、これは、固定子と回転子との間の磁気ギャップ(G)をできるだけ小さく保ち、静磁場または動的磁場に対して遮蔽効果を及ぼさない構造要素を使用することによって達成される。これらの目的およびさらなる目的は、本明細書に記載され、実施形態および実施例に例示される装置の構造的特徴によって達成される。
【0014】
[014]本発明の第1の態様では、そして図1図5、および6に示されるように、光学効果層(OEL)を作製するための装置であって、
a)第1のブロック(A)であって、a1)磁場ガイド固定子コア(1c)の軸線を中心として円形に配置されたn個の環状スロットに配置されたn個のマグネットワイヤコイル(1b)を備える固定子を取り付けられたホルダ(1a)を備える、第1のブロック(A)と、
b)第2のブロック(B)であって、
b1)ケーシング(4)と、
b2)回転子円板(3b)の一方の面内または面上に円形に配置された交互の極性のm個の永久磁極(3a)を備える回転子であって、前記m個の永久磁極(3a)が、回転子保護プレート(2)の方を向く、回転子と、
b3)回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)であって、前記回転子保護プレート(2)が、回転子(3a+3b)を覆う、回転子保護プレート(2)と、
b4)回転子によって駆動される永久磁石アセンブリ(PMA)(5)であって、前記永久磁石アセンブリ(PMA)(5)が、回転子円板(3b)の他方の面上に配置され、固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)とが一緒にブラシレスDC(BLDC)モータとして作用する、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、
を備える、第2のブロック(B)と、
を備え、
nは3の倍数であり、mは2の倍数であり、n/mが、3/2、3/4、6/4、6/8、9/8、9/10、12/10、または12/14であることを条件とし、
第1のブロック(A)が、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部に着脱可能に固定されるように構成され、
第2のブロック(B)が、第1のブロック(A)に着脱可能に固定される、光学効果層(OEL)を作製するための装置が提供される。
【0015】
[015]本明細書に記載の装置は、本明細書に記載の回転子(3a+3b)と本明細書に記載の固定子(1b+1c)とを備え、BLDCモータを構成し、回転子が、ケーシング(4)内に配置され、固定子が、ケーシング(4)の外側に配置され、また固定子巻線に適切な多相電流が差し向けられるときに、回転子に磁気的に結合されて回転子の回転を誘起する。BLDCモータは、磁気ギャップ(G)を介して互いに向き合う回転子(3a+3b)と固定子(1b+1c)とを備え、回転子(3a+3b)と固定子(1b+1c)との間にトルクが発生する。固定子と回転子との間の結合は、固定子と回転子との相互貫入磁場によって確保され、トルク発生機構は、固定子の回転磁場であり、固定子の回転磁場が、回転子のm個の永久磁極(3a)を駆動する。
【0016】
[016]ケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)と、回転子と、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、を備える第2のブロック(B)、特にケーシング(4)は、第1のブロック(A)に着脱可能に固定されるように構成される。第2のブロック(B)は、第1のモジュールとしての第1のブロック(A)から着脱可能であり、また別の第2のモジュールとしての第1のブロック(A)から着脱可能である。これにより、故障しそうであったり、故障しやすかったりするために交換が必要になり得る、ケーシング(4)および装置の回転部分を含む第2のブロック(B)を簡便に交換できる。
【0017】
[017]代替的な光学効果層(OEL)を作製するために、ケーシング(4)および回転部分、特に永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を含む第2のブロック(B)を容易に交換することが望ましい。従って、第2のブロック(B)は、第1のブロック(A)から着脱可能とされて、同様に第1のブロック(A)に着脱可能に固定される代替的なブロック(B’)で置き換えることができる。ブロック(B’)はまた、BLDCモータによってブロック(B’)内で駆動されるように構成された代替的な永久磁石アセンブリ(PMA)(5’)を備える。
【0018】
[018]加えて、第1のブロック(A)、すなわち、ホルダ(1a)と、ホルダ(1a)に取り付けられた磁場ガイド固定子コア(1c)内のn個のマグネットワイヤコイル(1b)と、は、単一のブロックまたはモジュールとして、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットから取り外すことができ、同様に回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部に着脱可能に固定され得る代替的な第1のブロック(A’)で置き換えられてもよい。
【0019】
[019]本明細書に記載の光学効果層を作製するための装置は、巻線保護プレート(7)、好ましくはチタン巻線保護プレート(7)をさらに備えてもよく、前記巻線保護プレート(7)が、第1のブロック(A)に備えられ、本明細書に記載のn個のマグネットワイヤコイル(1b)の上に配置されて、前記n個のマグネットワイヤコイル(1b)を汚染および機械的損傷から保護する。磁気ギャップ(G)でチタン巻線保護プレート(7)を使用することは、静磁場および動的磁場を通過させながら、磁気ギャップ(G)をできるだけ小さく保って、最小の厚さで機械的抵抗を与えるという利点を有する。
【0020】
[020]本明細書に記載の光学効果層を作製するための装置は、磁石支持体(6)をさらに備えてもよく、前記磁石支持体(6)が、例えばアルミニウム製の円板状磁石支持体であってもよい。前記磁石支持体(6)は、第2のブロック(B)に備えられ、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を支持する。
【0021】
[021]本明細書に記載の光学効果層を作製するための装置は、ベアリング(3c)をさらに備えてもよい。前記ベアリング(3c)は、第2のブロック(B)に配置され、回転子円板(3b)と関連して使用され、回転子円板(3b)の回転を容易にする。
【0022】
[022]本明細書に記載の光学効果層を作製するための装置は、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を汚染および機械的損傷から保護し、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物を支持する基材を支持するための平滑な表面を提供するための蓋(8)をさらに備えてもよい。蓋(8)のさらなる機能は、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、蓋(8)に接触する基材と、の間に適切な距離を設けることである。
【0023】
[023]本明細書に記載の装置は、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって生成された時間依存方向可変磁場によって、基材上のコーティング中の磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させるように構成され、これにより、光学効果層(OEL)が作製される。
【0024】
[024]本発明の第2の態様では、本明細書に記載の装置のうちの1つ以上と、前記1つ以上の装置が第1のブロック(A)を介して取り付けられる、本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットと、を備えるシステムが提供される。本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットは、適切なコネクタを介して1つ以上の装置に、電流、および場合により動作制御信号を供給する。
【0025】
[025]1つの実施形態によれば、回転磁気配向シリンダ(RMC)であって、着脱可能な第1のブロック(A)を介して回転磁気配向シリンダ(RMC)の周方向溝に取り付けられた本明細書に記載の1つ以上の装置を備える、回転磁気配向シリンダ(RMC)が提供される。回転磁気配向シリンダ(RMC)は、時間依存方向可変磁場を発生させることを目的とした1つ以上の装置を支承する印刷装置またはコーティング装置で使用すること、またはそれらと一緒に使用すること、またはそれらと一部として使用することを目的とし、前記回転磁気配向シリンダ(RMC)が、コーティングまたは層に含まれる磁性または磁化可能粒子を凝集配向させるように機能する。第2の態様の一実施形態では、回転磁気配向シリンダ(RMC)は、連続的に高い印刷速度で運転する回転式、枚葉供給式、またはウェブ供給式の産業用印刷機の一部である。
【0026】
[026]別の実施形態によれば、フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットであって、着脱可能な第1のブロック(A)を介してフラットベッド(FB)印刷ユニットの1つ以上の凹部に取り付けられた本明細書に記載の1つ以上の装置を備える、フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットが提供される。フラットベッド(FB)印刷ユニットは、時間依存方向可変磁場を発生させて、本明細書に記載のコーティング組成物から作られるコーティングまたは層の磁性または磁化可能粒子を凝集配向させることを目的とした本明細書に記載の1つ以上の装置を支承する印刷装置またはコーティング装置で使用すること、またはそれらと一緒に使用すること、またはそれらと一部として使用することを目的とする。好ましい実施形態では、フラットベッド(FB)印刷ユニットは、不連続的に動作する枚葉供給式の産業用印刷機の一部である。
【0027】
[027]本明細書では、本明細書に記載の装置の使用、ならびに基材上に光学効果層(OEL)を作製するために本明細書に記載の装置のうちの1つ以上を備えるシステムの使用も記載される。
【0028】
[028]本明細書では、基材、好ましくはセキュリティ文書または物品上に光学効果層(OEL)を作製する方法も記載され、本方法は、
i)磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤コーティングまたは層を支持する基材を用意するステップと、
ii)本明細書に記載の装置を用意するステップ、または本明細書に記載され、かつ本明細書に記載の装置のうちの1つ以上を備える回転磁気配向シリンダ(RMC)もしくはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを用意するステップと、
iii)本明細書に記載の回転子(3a+3b)と本明細書に記載の固定子(1b+1c)との組み合わせ作用を通して本明細書に記載の永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をスピン回転させることによって生成された時間依存方向可変磁場に、磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤コーティングまたは層を曝して、磁性または磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させる、ステップと、
iv)磁性または磁化顔料粒子を含むコーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させて、磁性または磁化顔料粒子の少なくとも一部を実質的な配向状態または配向状態に固定する、ステップと、
を含む。
【0029】
[029]本明細書では、固定またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む1つ以上のブロックを有する、既存の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを改造する方法も開示され、本方法は、回転シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットから固定またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む1つ以上のブロックを取り外すステップと、固定またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む1つ以上のブロックを、本明細書に記載のケーシング(4)、回転子保護プレート(2)、回転子(3a+3b)、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える本明細書に記載の第2のブロック(B)のうちの1つ以上で置き換えるステップと、を含む。
【0030】
[030]本明細書では、紙幣などのセキュリティ文書を作製または保護するための方法であって、
i)磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物を本明細書に記載の基材または本明細書に記載のセキュリティ文書に塗布して、前記磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤コーティングまたは層を形成する、ステップと、
ii)本明細書に記載の回転子(3a+3b)と本明細書に記載の固定子(1b+1c)との組み合わせ作用を通して永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をスピン回転させることによって生成される時間依存方向可変磁場に、湿潤コーティングまたは層を曝して、磁性または磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させる、ステップと、
iii)磁性または磁化顔料粒子を含むコーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させて、磁性または磁化顔料粒子の少なくとも一部を実質的な配向状態または配向状態に固定する、ステップと、
を含む方法も記載される。
【0031】
[031]本発明は、好適には、光学効果層を作製するための時間依存方向可変磁場を提供する効率的な装置またはシステムを提供し、前記装置は、a)磁場ガイド固定子コア(1c)の円形に配置された環状スロット内の電気的に相互接続されたマグネットワイヤコイル(1b)を備える固定子と、可動部または回転部を持たない、対応する駆動電子装置と、を備える第1のブロック(A)であって、前記固定子(1b+1c)が、磁気配向印刷ユニット上の第1のブロック(A)に収容され、磁気配向印刷ユニットが、適切なコネクタを介して電流、およびオプションの動作制御信号を第1のブロック(A)に供給する、第1のブロック(A)と、b)電気部品を含まないが可動磁気部品、特に印刷ジョブに固有のスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える回転子(3a+3b)であって、回転子(3a+3b)が、前記第1のブロック(A)に着脱可能に固定された交換可能な第2のブロック(B)に収容される、回転子(3a+3b)と、を備える。従って、本発明は、磁気配向印刷ユニットの駆動機構の電気的および静的部品を、前記磁気配向印刷ユニットに残っている第1のユニットに帰し、摩耗しやすく、かつ各印刷作業に固有である、装置の回転または他の動きをする磁気部品を、第1のユニットに着脱可能に取り付けられた第2の容易に交換可能なユニットに帰する。両方のユニットが共に、磁石を駆動するための駆動機構を形成して、OELの作製のための時間依存方向可変構造化磁場を発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明による装置の分解図を概略的に示す図である。前記装置は、a)第1のブロック(A)であって、a1)磁場ガイド固定子コア(1c)の円形に配置されたn個の環状スロットにn個のマグネットワイヤコイル(1b)の巻線を有する固定子を取り付けられ、n個のマグネットワイヤコイル(1b)の上に巻線保護プレート(7)を備える、ホルダ(1a)を備える、第1のブロック(A)と、b)「H」字形ケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)と、ねじ孔を有するハブまたは突起、および回転子円板(3b)にあり、かつ回転子保護プレート(2)の方を向いたm個の永久磁極(3a)を含む回転子と、ベアリング(3c)と、回転子のハブまたは突出部(3b)の上に配置された円板状磁石支持体(6)と、円板状磁石支持体(6)の上に配置された永久磁石アセンブリPMA(5)と、を備える第2のブロック(B)と、を備える。装置は、固定蓋(8)で閉じられる。回転子(3a+3b)と固定子(1b+1c)とは、磁気ギャップ(G)を介して互いに向き合う。
図2A】実施例で使用される図1の回転子、すなわち回転子円板(3b)内に交互の磁極を有する8個の磁石(3a)を含む回転子の技術的図面(底面図)である。
図2B】実施例で使用される図1の回転子、すなわち回転子円板(3b)内に交互の磁極を有する8個の磁石(3a)を含む回転子の技術的図面(断面図)である。
図3A】実施例で使用される図1の固定子、すなわち磁場ガイド固定子コア(1c)の環状スロット内に配置された6つのマグネットワイヤコイル(1b)の巻線を有する固定子(1b+1c)の技術的図面(上面図)である。
図3B】実施例で使用される図1の固定子、すなわち磁場ガイド固定子コア(1c)の環状スロット内に配置された6つのマグネットワイヤコイル(1b)の巻線を有する固定子(1b+1c)の技術的図面(断面図)である。
図4A】実施例で使用される図1のケーシング(4)の技術的図面(上面図)である。
図4B】実施例で使用される図1のケーシング(4)の技術的図面(断面図)である。
図5図1の装置の概略的な断面図である。前記装置は、a)第1のブロック(A)であって、磁場ガイド固定子コア(1c)の環状スロットにn個のマグネットワイヤコイル(1b)の巻線を有し、n個のマグネットワイヤコイル(1b)の上に巻線保護プレート(7)を備える、固定子を取り付けられた、第1のブロック(A)と、b)「H」字形ケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)と、回転子円板(3b)にある、またはその上にあり、かつ回転子保護プレート(2)の方を向いたm個の磁石(3a)を含む回転子と、ベアリング(3c)と、回転子円板(3b)のハブまたは突出部の上に配置された円板状磁石支持体(6)と、円板状磁石支持体(6)の上に配置された永久磁石アセンブリPMA(5)と、を備える第2のブロック(B)と、を備える。装置は、固定蓋(8)で閉じられる。円板状磁石支持体(6)は、回転子円板(3b)に、回転子円板(3b)のハブまたは突出部の中央のねじ孔を通して、ねじ(9)で固定される。
図6図5の装置の斜視図を概略的に示す図である。
図7】実施例の装置で得られた光学効果層(OEL)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
定義
[032]以下の定義により、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語の意味を明確にする。
【0034】
[033]本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」は、1つおよび2つ以上を示し、必ずしもその指示対象の名詞を単数に限定するものではない。
【0035】
[034]本明細書で使用される場合、「約」という用語は、対象とする量、値、または限度が、指定された特定の値またはその近傍の何らかの他の値であってもよいことを意味する。一般に、ある値を示す「約」という用語は、その値の±5%の範囲を示すことを意図している。例えば、「約100」という表現は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般に、「約」という用語が用いられる場合、本発明による同様の結果または効果が指定値の±5%の範囲で得られることが予想され得る。ただし、「約」という用語で補足された特定の量、値、または限度は、本明細書で、まさにその量、値、または限度自体、すなわち「約」で補足されないものも開示することを意図している。
【0036】
[035]本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、上記群の要素のすべてまたは1つだけが存在していてもよいことを意味する。例えば、「Aおよび/またはB」は、「Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性、すなわち「AのみであってBではない」という可能性も包含している。
【0037】
[036]本明細書で使用される場合、「備える(含む)(comprising)」という用語は、非排他的かつオープンエンドであることを意図している。よって、例えば化合物Aを含むコーティング組成物は、A以外の化合物を含んでいてもよい。ただし、「備える(含む)」という用語は、特定の実施形態として、「~から本質的に成る」および「~から成る」という、より限定的な意味も包含するため、例えば「化合物Aを含むコーティング組成物」は、化合物Aから(本質的に)成っていてもよい。
【0038】
[037]「凝集(aggregately)」という用語は、外部磁場の影響を受けて、視覚効果を確立するために、湿潤しておりまだ硬化していない組成物の十分な数の磁性もしくは磁化可能顔料粒子が同時に磁力線に沿って配向されることを示すために使用される。好ましくは、この十分な数とは、約1,000以上の顔料粒子が同時に前記磁力線に沿って配向されることである。より好ましくは、この十分な数とは、約10,000以上の顔料粒子が同時に上記磁力線に沿って配向されることである。
【0039】
[038]本明細書で使用される場合、「湿潤コーティング」という用語は、塗布され、まだ硬化されていないコーティング、例えば、含まれる磁性もしくは磁化可能顔料粒子が、作用する外力の影響下で位置および配向をまだ変化させることのできるコーティングを意味する。
【0040】
[039]「コーティング組成物」という用語は、固体基板に光学効果層などのコーティングを形成可能であり、例えば印刷方法によって塗布可能な任意の組成物を指す。
【0041】
[040]本明細書で使用される「光学効果層(OEL)」という用語は、配向された磁性もしくは磁化可能顔料粒子およびバインダを含む層であって、磁性もしくは磁化可能顔料粒子の配向および位置が磁場により配向され、次いで、続いて、同時に、または部分的に同時に、硬化を通じてその配向および位置が固定される層を示す。「光学効果層」(OEL)という用語は、配向された磁性もしくは磁化可能顔料粒子を含む層(すなわち配向ステップ後)、または配向および位置が凍結された配向された磁性もしくは磁化可能顔料粒子を含む層(すなわち硬化ステップ後)を指す。
【0042】
[041]「磁気軸」または「南北軸」という用語は、磁石のN極とS極とを接続し、N極およびS極を通って延びる理論線を示す。これらの用語は、特定の方向を含まない。逆に、「南北方向」という用語および図中のS→Nは、磁気軸に沿ったS極からN極への方向を示す。
【0043】
[042]「スピン回転する(spin)」、「スピン回転(spinning)」、または「スピン回転可能な(spinneable)」という用語は、本明細書に記載のスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)の回転を、その回転周波数に関わらず、指す。
【0044】
[043]「セキュリティ要素」または「セキュリティ機能」という用語は、認証目的で使用可能な画像または図形要素を示すために使用される。セキュリティ要素またはセキュリティ機能は、開示型および/または非開示型のものであり得る。
【0045】
[044]本明細書で使用される場合、「回転磁気配向シリンダ」(RMC)という用語は、磁性または磁化可能顔料粒子を磁気的に配向させ、それによって光学効果層(OEL)を生成するように機能する高速連続印刷機の一部を指す。
【0046】
[045]本明細書で使用される場合、「固定子部品」および「固定子」は、同じ技術的要素を説明するために無差別に使用され得る。このことは、「回転子部品」および「回転子」にも当てはまる。
【0047】
発明の詳細な説明
[046]本発明は、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をスピン回転させることを用いてOELを作製するための特定の装置に関する。本明細書に記載される装置は、印刷装置またはコーティング装置で使用する、またはそれらと一緒に使用する、またはそれらと一部として使用するのに適している。特に、本明細書に記載の装置は、基材に塗布されたコーティング組成物中の磁性もしくは磁化可能顔料粒子を配向するための回転磁気配向シリンダ(RMC)、または同じ目的のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットに備えられ得る。
【0048】
[047]図1に示すように、本発明の装置は、第1のブロック(A)であって、磁場ガイド固定子コア(1c)の環状スロットに配置されたn個のマグネットワイヤコイル(1b)を備える固定子を取り付けられた本明細書に記載のホルダ(1a)を備える、第1のブロック(A)を備え、前記固定子(1b+1c)が、本明細書に記載の回転子(3a+3b)と共にBLDCモータを形成する。第1のブロック(A)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部に着脱可能に固定されるように構成され、ケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)と、BLDCモータ用の固定子を構成する回転子(3a+3b)と、本明細書に記載の永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、を備える第2のブロック(B)を受けるように構成される。
【0049】
[048]第1のブロック(A)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)、特に国際公開第2008/102303号に記載の前記回転磁気配向シリンダRMCの周方向取付溝に、またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニット、特にフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの取付凹部に、本明細書に記載の装置を迅速に取り付けまたは取り外しすることを確保するように設計され、かつケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)と、回転子(3a+3b)と、本明細書に記載の永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、を備える第2のブロック(B)の容易な交換を可能にするように設計される。
【0050】
[049]図5および図6に示すように、ホルダ(1a)は、ケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)と、回転子(3a+3b)と、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、オプションの蓋(8)と、を備える第2のブロック(B)を受ける凹部を備え、凹部が、少なくとも2つの周囲の側壁によって空間的に画定される。国際公開第2008/102303号の図10(4つの側壁)、または国際公開第2016/026896号の図12および図14(2つの側壁)に実施例が与えられている。凹部の下方で、ホルダ(1a)は、固定子(1b+1c)を受けるためのポケットを備える。回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットへの第1のブロック(A)の固定システムは、任意の形態のねじ山付きねじまたは任意の他の形態の機械的固定を含み得る。1つの実施形態では、第1のブロック(A)は、中心ねじ、六角ねじ、または皿ねじを介して回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットに固定され得る。そのような場合、第1のブロック(A)に取り付けられた磁場ガイド固定子コア(1c)は、固定システムへのアクセスを容易にするのに十分大きい中央孔を含むことが好ましい。前記孔の直径は、典型的には、5mm~8mmである。
【0051】
[050]一実施形態では、着脱可能な固定は、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転軸に沿って、かつそれに垂直な方向に第2のブロック(B)を第1のブロック(A)に固定することなどである。つまり、第2のブロック(B)は、着脱可能な固定が締め付けられたときには動かない。一実施形態では、着脱可能な固定は、第2のブロック(B)が永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転軸に対して第1のブロック(A)に固定される第1の位置と、第2のブロック(B)を永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転軸に沿って移動させることによって第1のブロック(A)から第2のブロック(B)を取り外すことができる第2の位置と、の間で移動可能な1つ以上の連結具または締結具を含む。一実施形態では、装置は、第2のブロック(B)を第1のブロック(A)に固定するための1つ以上の連結具または締結具を備え、前記締結具が、場合により、回転可能なツールなどのツールの操作により、解放可能である。あるいは、第2のブロック(B)の第1のブロック(A)への固定は、ねじ山付きねじ、ラッチファスナなどを含み得る。一実施形態では、締結具は、第2のブロック(B)が第1のブロック(A)に固定されるロック位置と、ケーシング(4)が第1のブロック(A)から自由に動くことができる解放位置と、の間で移動可能なカム要素として設けられる。カム要素は、回転ツールを用いて位置間で回転させることができる。別の実施形態では、第2のブロック(B)の蓋(8)を通って皿孔に嵌合するボルトが、第1のブロック(A)の対応するねじ孔にねじ込まれ、第2のブロック(B)を第1のブロック(A)にしっかりと締め付ける。
【0052】
[051]本発明の装置が回転磁気配向シリンダ(RMC)の一部である場合、第1のブロック(A)の底部、特に第1のブロック(A)のホルダ(1a)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)の周方向取付溝の曲率半径に従って湾曲させるべきである。
【0053】
[052]好ましくは、ホルダ(1a)は、低導電性材料、非導電性材料、およびそれらの混合物、例えばエンジニアリングプラスチックおよびポリマー、チタン、チタン合金、ならびにオーステナイト鋼(すなわち、非磁性鋼)などから成る群から選択された1つ以上の非磁性材料から作られる。エンジニアリングプラスチックおよびポリマーとしては、限定するものではないが、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)およびその誘導体、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、コポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー、フルオロおよびパーフルオロポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ならびに液晶ポリマーが挙げられる。好ましい材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(登録商標)(ポリアミド)、およびPPSである。好ましくは、ホルダ(1a)は、1つ以上のチタンベースの材料から作られ、それは、前記チタンベースの材料が、優れた機械的安定性および低導電性という利点を有するためである。ホルダ(1a)はまた、渦電流の発生に起因してスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)に何らかの補助的な磁気破壊力を及ぼすことを犠牲にして、加工が容易であるという利点を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金であってもよい。
【0054】
[053]本明細書に記載の固定子は、本明細書に記載のように、磁場ガイド固定子コア(1c)の環状スロットに配置されたn個のマグネットワイヤコイル(1b)を備え、nは3の倍数であり、三相モータに対応する。
【0055】
[054]磁場ガイド固定子コア(1c)は、式B=μ*Hに従って、n個のマグネットワイヤコイル(1b)の磁場Hによって生成される磁束Bを誘導し強めるように機能し、μは、磁場ガイド固定子コア(1c)を構成する材料の透磁率(ニュートン毎平方アンペア、N・A-2単位で表される)である。磁場ガイド固定子コア(1c)は、好ましくは、1つ以上の磁化可能材料、すなわち、高い透磁率(ニュートン毎平方アンペア、N・A-2として表される)および低い保磁力(アンペア毎メートル、A・m-1単位で表される)を有して、迅速な磁化および消磁を可能にする材料から作られる。透磁率は、好ましくは、約2~約1,000,000、より好ましくは、約5~約50,000N・A-2、さらにより好ましくは、約10~約10,000N・A-2である。保磁力は、典型的には、1000A・m-1より小さい。磁場ガイド固定子コア(1c)は、好ましくは、1つ以上の軟磁性材料から作られる。本明細書に記載の1つ以上の軟磁性材料としては、限定するものではないが、純鉄(なまし鉄またはカルボニル鉄から)、ニッケル、コバルト、マンガン亜鉛フェライトまたはニッケル亜鉛フェライトなどのソフトフェライト、ニッケル鉄合金(パーマロイタイプの材料など)、コバルト鉄合金、Metglas(登録商標)(鉄ホウ素合金)などのケイ素鉄アモルファス金属合金、好ましくは、純鉄およびケイ素鉄(電気鋼)、ならびにコバルト鉄合金およびニッケル鉄合金(パーマロイタイプの材料)が挙げられ、これらはすべて高透磁率および低保磁力を示す。より好ましくは、磁場ガイド固定子コア(1c)は、好ましくは、約5000の良好な比透磁率μを有する軟磁性鉄(純鉄)から作られる鉄心である。特定の周波数の交流磁場をフルメタル固定子に差し向けると、導電性鉄金属(導電率1.00*10S/m)に起因するかなりの量の渦電流損が発生する。鉄充填ポリオキシメチレン(POM)もしくはエポキシ樹脂、またはポリフェニレンスルフィド(PPS)のような、鉄充填された強靱な熱可塑性エンジニアリング材料などのポリマー(プラスチック)マトリクス中の鉄粉(例えばカルボニル鉄)の複合コアを使用することによって個々の渦電流ループの表面を制限することによって、より低い損失を達成することができる。
【0056】
[055]本明細書に記載される磁場ガイド固定子コア(1c)、好ましくは軟磁性鉄固定子コア(1c)は、好ましくは、一体の磁場ガイド固定子コア(1c)である。磁場ガイド固定子コア(1c)は、環状に配置されたn個の環状巻線スロットを備える。図3A図3Bに示すように、n個(図3A図3Bではn=6)のマグネットワイヤコイル(1b)が環状巻線スロットに挿入され、電気的に相互接続されて固定子巻線を形成する。マグネットワイヤコイル(1b)は、典型的には、銅またはアルミニウムのコアと1つ以上の絶縁層とを有する標準マグネットワイヤである。明確にするために、図3A図3Bでは、マグネットワイヤコイル(1b)は、n個の巻線スロット(1b)のうちの1つ(1b1)のみに概略的に示されている。
【0057】
[056]好ましくは、本明細書に記載のn個のマグネットワイヤコイル(1b)は「自己結合」タイプであり、これは、絶縁層が熱(熱風またはオーブン)または適切な溶媒によって活性化され得る熱可塑性接着剤層で覆われることを意味する。これにより、適当な形に巻いた後、簡単なベーキングまたは溶剤曝露によって自立型マグネットワイヤコイルを作製することができる。
【0058】
[057]n個のマグネットワイヤコイル(1b)は、電気的に相互接続されて「スター」(「Y」)または「デルタ」タイプ、好ましくは「スター」(「Y」)タイプの三相モータ回路を形成し、電流制御ユニット(CCU)に接続される。電流制御ユニット(CCU)は、好ましくは、BLDCモータの固定子の近くに配置され、好ましくは、第1のブロック(A)のホルダ(1a)に一体化される。電流制御ユニット(CCU)は、BLDCモータの固定子巻線に、回転子位置の関数として、所望順でかつ所望の速度で、電気的多相、好ましくは三相電流を差し向けるための電子回路を指す。
【0059】
[058]固定子(1b+1c)のn個のマグネットワイヤコイル(1b)は、好適には、回転子位置のためのセンサとしても使用され、追加のホールセンサの必要性を排除し、それと共に電気的接続方式を単純化する。
【0060】
[059]1つの実施形態によれば、図3A図3Bに示すように、固定子は、周方向にn個(図示の実施形態ではn=6)の円形巻線スロットを有する磁場ガイド固定子コア(1c)、特に鉄固定子コア(1c)を備え、エナメル銅線のn個(図示の実施形態ではn=6)の巻線マグネットワイヤコイル(1b)(u、v、w、u’、v’、w’)が巻線スロット内に挿入される。図示の実施形態では、対向する2つのマグネットワイヤコイル(u、u’)、(v、v’)、(w、w’)は、直径方向に対向する位置で同じ磁極を生成するように互いに電気的に接続される。得られた3つの電気回路(U、V、W)は、三相Y結線方式を形成するように互いに電気的に接続される。このY結線方式は、好ましくは、4本のワイヤを介してセンサレスBLDCモータドライバに電気的に接続される。
【0061】
[060]n個のマグネットワイヤコイル(1b)を有する固定子と、磁場ガイド固定子コア(1c)、好ましくは軟磁性鉄固定子コア(1c)と、を備える第1のブロック(A)は、巻線保護プレート(7)をさらに備えてもよく、前記巻線保護プレート(7)は、固定子およびn個のマグネットワイヤコイル(1b)を汚染および機械的損傷から保護するように、n個のマグネットワイヤコイル(1b)を覆って固定子の上に配置される。
【0062】
[061]巻線保護プレート(7)は、固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)との間の磁気ギャップ(G)に配置され、好ましくは、ホルダ(1a)について記載したものなどの、1つ以上の非磁性低導電性材料または非導電性材料から作られる。好ましくは、巻線保護プレート(7)はチタン製である、すなわちチタン巻線保護プレート(7)であり、それは、チタンが、磁性でも磁化可能でもなく、ほぼ鉄の機械的強度を有し、かなり高い電気抵抗を有し、よって、可変磁場下での渦電流損失を最小化するためである。巻線保護プレート(7)は、接着剤によって、または1つ以上のねじを使用することによって、または当業者に知られている他の任意の固定手段によって、第1のブロック(A)、特にホルダ(1a)に固定され得る。好ましくは、巻線保護プレート(7)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットへの第1のブロック(A)の固定システムへのアクセスを容易にするのに十分大きい中央孔を備える。前記孔の直径は、典型的には、8mm~12mmである。
【0063】
[062]図1図2図5、および図6に示すように、本発明の装置は、回転子円板(3b)の一方の面内または面上に、交互の極性のm個(図示の実施形態ではm=8)の永久磁極(3a)を備える回転子(3a+3b)を備え、mは2の倍数であり、前記m個の永久磁極(3a)は本明細書に記載の回転子保護プレート(2)の方を向き、前記回転子は本明細書に記載のようにBLDCモータの一部である。回転子(3a+3b)は、固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)との間の磁気ギャップ(G)を介してn個のマグネットワイヤコイル(1b)と磁気的に相互作用する。固定子巻線に三相電流を差し向けると、回転子および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)が回転運動およびスピン回転運動される。
【0064】
[063]本明細書に記載のm個の永久磁極(3a)は、i)m個の個々の磁石として実施されてもよいし、ii)例えばリング状四重極子またはリング状八重極磁石などの、m個の磁極を含むリング状または円板状の多極磁石から構成されてもよい。
【0065】
[064]本明細書に記載のm個の永久磁極(3a)は、電気的理由から、回転軸に対して機械的に対称な配置に配置されている、すなわち、円上に正多角形を構成している。回転子(3a+3b)および永久磁石アセンブリ(5)もまた、スピン回転時に機械的にバランスがとれているべきである。m個の永久磁極(3a)は、BLDCモータの円滑な回転を可能にする同様に電気的な理由から、実質的に軸方向の磁化方向および交互の極性を有する。
【0066】
[065]本明細書に記載のm個の永久磁極(3a)は、回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)および固定子(1b+1c)の方を向く回転子円板(3b)の表面上で、回転子円板(3b)の一方の面内または面上で交互の極性を有する円形に配置される。好ましくは、それらは、前記回転子円板(3b)に取り付けられた、より好ましくは接着されたm個の永久磁極(3a)によって実施される。本明細書に記載の回転子円板(3b)は、好ましくは、磁場ガイド材料、好ましくは軟磁性鉄もしくは軟磁性鉄合金、または軟磁性複合材料で作られて、回転子の後面(すなわち、マグネットワイヤコイル(1b)の方を向く表面とは反対側の回転子の表面)で磁場をガイドし、従って、回転子を回転子の前面で強化する。軟磁性材料製の回転子円板(3b)は、m個の永久磁極(3a)と永久磁石アセンブリ(PMA)(5)との間の磁気スクリーンとしても作用する。マグネットワイヤコイル(1b)の方を向く回転子の表面における強化磁場は、BLDCモータの機械的トルクを改善する。
【0067】
[066]本明細書に記載のm個の永久磁極(3a)は、独立して強力な磁性材料から作られる。適切な強磁性材料は、少なくとも20kJ/m、好ましくは少なくとも50kJ/m、より好ましくは少なくとも100kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも200kJ/mのエネルギー積の最大値(BH)maxを有する材料である。好ましくは、本明細書に記載のm個の磁石(3a)は、独立してNdFeBまたはSmCo磁石、より好ましくはNdFeB磁石である。
【0068】
[067]図2Aに示すように、回転子(3a+3b)は、m個(図示の実施形態ではm=8)の永久磁極(3a)、特に、極性を交互にして、八重極リング状磁石面を形成したm個の軸方向に磁化されたNdFeB磁石円板を内部に配置したm個の円形に配置されたキャビティ(図示の実施形態ではm=8)を有する、回転子円板(3b)、好ましくは鉄回転子円板(3b)を備える。
【0069】
[068]本明細書に記載されるBLDCモータは、好ましくは、固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)との間の磁気ギャップ(G)が小さい場合に、高いトルク対重量およびサイズ比を有する、円板状BLDCモータである。本明細書に記載の固定子(1b+1c)は、マグネットワイヤコイル(1b)を支持する3~12個の環状スロットを有する磁場ガイド固定子コア(1c)、好ましくは軟磁性鉄固定子コア(1c)を備え、三相モータの場合、マグネットワイヤコイル(1b)の数「n」は3の倍数である。本明細書に記載の回転子は、2~14個のm個の永久磁極(3a)を有する本明細書に記載の回転子円板(3b)、好ましくは軟磁性回転子円板(3b)を備え、永久磁極(3a)の数「m」は2の倍数である。本明細書に記載の固定子と本明細書に記載の回転子とを向かい合わせに組み合わせ、三相の電流で固定子の三相巻線を励磁すると、回転子はスピン回転運動する。前述のように、「n」(すなわち、スロットまたはマグネットワイヤコイル(1b)の数)は3の倍数であり、「m」(すなわち、永久磁極(3a)の数)は2の倍数であり、組み合わせ「n/m」が、3/2、3/4、6/4、6/8、9/8、9/10、12/10、または12/14であることを条件とする(http://www.bavaria-direct.co.za/info/から)。
【0070】
[069]図1および図2Bに示されるように、ベアリング(3c)は、本明細書に記載される回転子(3a+3b)と関連して使用でき、それは、前記回転子が、磁場中で回転しなければならず、m個の永久磁極(3a)と磁場ガイド固定子コア(1c)、好ましくは軟磁性鉄固定子コア(1c)と間の磁気引力によるかなりの軸方向の力を支持し、本明細書に記載の光学効果層を作製するための装置が回転磁気配向シリンダ(RMC)上に動作条件下で取り付けられる場合に、コリオリの力を支持するためである。図1および図2Bに示すように、本明細書に記載の回転子円板(3b)、好ましくは軟磁性回転子円板(3b)は、好ましくは、ベアリング(3c)を収容するように構成される。好ましくは、本明細書に記載の回転子円板(3b)、好ましくは軟磁性回転子円板(3b)は、ベアリング(3c)を支持し、かつ回転運動をスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)に伝達するためのねじ孔を有するハブまたは突起を含む。図1および図2Bに示すように、ハブまたは突起は、好ましくは、回転子円板(3b)の上面から立ち上がる。回転子(3a+3b)のm個の永久磁極(3a)と磁場ガイド固定子コア(1c)、好ましくは軟磁性鉄固定子コア(1c)との間の磁気引力は、第1のブロック(A)のホルダ(1a)の凹部に第2のブロック(B)をしっかりと保持し、磁気ギャップ(G)の幅を最小化する。それにもかかわらず、第1のブロック(A)のホルダ(1a)の凹部に第2のブロック(B)を着脱可能に固定するための機械的固定手段も同様に設けられている。これらの機械的固定手段はねじであってもよいが、好ましくは、第2のブロック(B)は、第1のブロック(A)のホルダ(1a)の凹部の両側にある2つのカムによって固定される。
【0071】
[070]1つの実施形態によれば、本明細書に記載のベアリング(3c)は、ボールベアリングである。ベアリング(3c)の好ましい材料は、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)および回転子へのベアリング(3c)の近接によって引き起こされる渦電流の形成を回避または最小化するために、非磁性かつ低導電性または非導電性のものである。従って、ハイブリッド金属-セラミックベアリングおよびプラスチック(限定するものではないが、ポリアミド(Nylon(登録商標)など)、フェノール樹脂(フェノール-ホルムアルデヒドまたはBakelite(登録商標)など)、ポリアセタール(POM、すなわちポリオキシメチレンとしても知られる)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、パーフルオロポリエチレン(PTFEまたはテフロン(登録商標)など))ベアリングが好ましい。長期の耐摩耗性と低導電性とをうまく両立させることから、ハイブリッド金属-セラミックベアリングがより好ましい。特に好ましいのは、セラミックボールベアリングであり、それは、これらのセラミックボールベアリングが、回転運動を妨害し電食を引き起こす単極誘導電流を発生させないからである。あるいは、転動体を含まない滑り軸受け、または好ましくは、ポリマー(PE、PP、POM、PTFEなど)などの非導電性材料またはセラミック材料のブッシングを使用することができる。好適には、セラミックボールベアリングは、回転子と固定子との間の引力からかなりのアキシアル荷重を受け、印刷機の回転磁気配向シリンダ(RMC)のコリオリの力を支え、オプションの円板状磁石支持体(6)をしっかり支える。
【0072】
[071]図1図2、および図5に示されるように、回転子円板(3b)は、固定システムとして、特にねじ(9)の助けを借りて、中央ねじ孔を有するハブまたは突起を備えて、永久磁石アセンブリ(PMA)およびオプションの磁石支持体(6)に回転子円板(3b)をしっかりと固定することができる。ねじ孔は、典型的には、M3のねじ山のものである。
【0073】
[072]本明細書に記載の回転子(3a+3b)に加えて、本明細書に記載の第2のブロック(B)は、本明細書に記載の回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)をさらに備え、前記回転子保護プレート(2)が、回転子のm個の磁石(3a)の下の第2のブロック(B)を閉鎖して、それらを汚染および機械的損傷から保護する。
【0074】
[073]本明細書に記載の回転子(3a+3b)および本明細書に記載の回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)に加えて、本明細書に記載の第2のブロック(B)は、回転子と永久磁石アセンブリ(PMA)とを支持する基本的な枠組みを形成する、本明細書に記載のケーシング(4)をさらに備える。回転子(3a+3b)は、ケーシング(4)および固定子(1b+1c)内に配置され、ケーシング(4)の外側に配置され、かつ磁気ギャップ(G)を介して回転子(3a+3b)に磁気的に結合される。本明細書に記載のケーシング(4)は、好ましくは、1つ以上の非磁性低導電性材料またはホルダ(1a)について記載したもののような非導電性材料から作られる。好ましくは、ケーシング(4)は、静的および動的磁場に対して透明でありながら、高い機械抵抗の利点を有するチタン製である。
【0075】
[074]好ましい実施形態では、そして図1図4図5、および図6に示されるように、ケーシング(4)は、第1のキャビティと第2のキャビティとを有する「H」字形のケーシング(4)である。ケーシング(4)が「H」字形のケーシング(4)である実施形態では、そして図5および図6に示すように、本明細書に記載の回転子(3a+3b)および本明細書に記載の回転子円板(3b)は、「H」字形のケーシング(4)の第1のキャビティ内に配置される。永久磁石アセンブリ(5)は、「H」字形ケーシング(4)の第2のキャビティ内に配置され、環境の方を向き、また存在する場合には蓋(8)を介して、本装置が本明細書に記載の光学効果層を作製するために使用される場合、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物を支持する基材の方を向く。オプションの磁石支持体(6)が使用されるとき、前記磁石支持体(6)は、「H」字形ケーシング(4)の第2のキャビティ内で永久磁石アセンブリ(PMA)(5)の下に配置される。図1図4図5、および図6に示すように、「H」字形のケーシング(4)は、固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)との間の磁気引力を受けるための4つのコーナーフットを備えることができる。「H」字形のケーシング(4)は、本明細書に記載のオプションのベアリング(3c)を受け、かつ回転子円板(3b)のハブまたは突起を介して永久磁石アセンブリ(PMA)およびオプションの磁石支持体(6)に回転子円板(3b)をしっかりと固定するために、固定システムに容易にアクセスできるようにするのに十分に大きい中央孔を含み得る。前記孔の直径は、ベアリング(3c)に依存し、典型的には、8mm~15mmである。
【0076】
[075]本明細書に記載の回転子(3a+3b)、本明細書に記載の回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)、および本明細書に記載のケーシング(4)に加えて、本明細書に記載の第2のブロック(B)は、回転子によって駆動される永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をさらに備え、前記永久磁石アセンブリ(PMA)(5)は、回転子円板(3b)の上、特に、そして図1および図5に示すように、回転子円板(3b)のハブまたは突起の上に取り付けられる。
【0077】
[076]図1図5、および図6に示されるように、本明細書に記載の第2のブロック(B)は、第2のブロック(B)の上面と接触している基材上の磁性または磁化可能顔料粒子を含む、湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層中の磁性または磁化可能顔料粒子の配向を、磁場照射時に変化させるのに十分に強い磁場を発生させることができる、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える。永久磁石アセンブリ(PMA)(5)は、最終用途および磁性または磁化可能顔料粒子の所望の配向に従って選択およびカスタマイズされる。よって、多種多様な永久磁石アセンブリ(PMA)(5)、すなわち多種多様なブロック(B)を、同じ固定子と共に使用することができる。
【0078】
[077]上述したスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)は、本発明の装置に組み込まれると、静磁場を発生させることを目的とした静的永久磁石アセンブリではアクセスできない光学効果にアクセスすることができる。
【0079】
[078]本明細書に記載のスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)に備えられる1つ以上の永久磁石(M1、M2、M3、…Mn)は、好ましくは、1つ以上の強力な磁性材料でできている。1つ以上の永久磁石は、本明細書に記載される磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤かつ未のコーティングまたは層の磁性または磁化可能顔料粒子を配向させるのに十分に強い磁場を発生させる。適切な強磁性材料は、少なくとも20kJ/m、好ましくは少なくとも50kJ/m、より好ましくは少なくとも100kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも200kJ/mのエネルギー積の最大値(BH)maxを有する材料である。
【0080】
[079]永久磁石アセンブリ(PMA)に備えられる1つ以上の永久磁石(M1、M2、M3、…Mn)は、好ましくは、例えばアルニコ5(R1-1-1)、アルニコ5DG(R1-1-2)、アルニコ5-7(R1-1-3)、アルニコ6(R1-1-4)、アルニコ8(R1-1-5)、アルニコ8HC(R1-1-7)、およびアルニコ9(R1-1-6)などのアルニコ、化学式MFe1219のヘキサフェライト(例えば、ストロンチウムヘキサフェライト(SrO*6Fe)またはバリウムヘキサフェライト(BaO*6Fe)、化学式MFeのハードフェライト(例えば、コバルトフェライト(CoFe)または磁鉄鉱(Fe))(ただし、Mは二価金属イオン)、セラミック8(SI-1-5)から成る群から選択される1つ以上の焼結またはポリマー接合磁性材料、RECo(RE=SmまたはPr)、RETM17(RE=Sm、TM=Fe、Cu、Co、Zr、Hf)、RETM14B(RE=Nd、Pr、Dy、TM=Fe、Co)から成る群から選択される希土類磁性材料、Fe、Cr、Coの異方性合金、PtCo、MnAlC、REコバルト5/16、REコバルト14から成る群から選択される材料から作られる。
【0081】
[080]本明細書に記載の回転子(3a+3b)、本明細書に記載の回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)、本明細書に記載のケーシング(4)および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)に加えて、本明細書に記載の第2のブロック(B)は、本明細書に記載の磁石支持体(6)をさらに備え、前記磁石支持体(6)が、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を支持する。好ましくは、磁石支持体(6)は、円板状磁石支持体(6)である。本明細書に記載の磁気支持体(6)、好ましくは円板状磁石支持体(6)のための適切な材料としては、アルミニウム、チタン、ポリマー、ガラス繊維エポキシなどのおよび複合材料、ならびに磁化可能な支持体が望まれるならば、軟磁性鉄、鉄合金、および複合材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。磁気支持体(6)、好ましくは円板状磁石支持体(6)は、アルミニウムまたはチタンから作られる。本明細書に記載の磁気支持体(6)、好ましくは円板状磁石支持体(6)は、例えば実施例で使用したM3のねじを介して、回転子円板(3b)のハブまたは突起への固定を可能にするための中央孔を有し得る。
【0082】
[081]図1図5、および図6に示すように、本明細書に記載の回転子(3a+3b)と本明細書に記載の固定子(1b+1c)とは同軸上に整列される。磁場ガイド固定子コア(1c)、好ましくは軟磁性鉄固定子コア(1c)の最上面と、回転子(3a+3b)の最下面とによって画定される、前記回転子と固定子との間の磁気ギャップ(G)は、固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)との磁場の良好な相互貫入を生じるようにできるだけ小さく保たれなければならない。好ましくは、磁気ギャップ(G)は、固定子の直径方向のスロット間距離(d、図3B参照)または回転子の直径方向の磁極間距離(d、図2B参照)の1/4未満であり、より好ましくは前記距離の1/6未満、最も好ましくは1/8未満である。例(図3B)に示されるように、25mmの直径方向のスロット間距離の場合、磁気ギャップは、好ましくは約6mm以下、より好ましくは約4mm以下、そして最も好ましくは約3mm以下である。ここで重要なパラメータは、固定子と回転子との間の双極子間の相互作用を支配する、距離対直径比である。注目に値する直径対距離比は、固定子と回転子との間の双極子間の相互作用を支配し、これは距離の増加と共に極めて急速に低下する。
【0083】
[082]本明細書に記載されているように、本明細書に記載の装置は、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって生成された回転磁場によって、基材上のコーティング中の磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させるように構成され、これにより、光学効果層(OEL)が作製される。本明細書に記載されているように、本明細書に記載のホルダ(1a)および固定子(1b+1c)を備える第1のブロック(A)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部に着脱可能に固定されるように構成され、ケーシング(4)と、回転子保護プレート(2)と、回転子(3a+3b)と、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、を備える本明細書に記載の第2のブロック(B)は、第1のブロック(A)に着脱可能に固定される。
【0084】
[083]本明細書に記載の装置は、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転軸が基材表面に対して実質的に垂直であるように構築することができる。スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって所望のパターンの回転磁場が発生される。回転磁場は、湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層に分散している磁性または磁化可能顔料粒子に作用して、粒子を凝集配向させて、所望のOELを作製する。磁性または磁化可能顔料粒子を回転磁場に曝すと、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)の構成に応じた回転対称光学効果が得られる。
【0085】
[084]図1図5、および図6に示されるように、本明細書に記載される装置は、好ましくは、非スピン回転または固定蓋(8)によって閉じられ、蓋(8)の外形が、前記装置が取り付けられる回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの外表面に継ぎ目なく一致し得る。蓋(8)は、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を支持する基材と、の間を隔てる要素として機能し、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)の回転運動を妨げ得る、および/または基材を損傷し得る、機械的接触を防止する。あるいは、そして蓋(8)の外形が、前記装置が取り付けられる回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの外表面に継ぎ目なく一致しない場合、そして後述のように、カバープレートが使用されてもよい。本明細書に記載される蓋(8)は、好ましくは、ホルダ(1a)について上に記載されたもののようなエンジニアリングプラスチックおよびポリマー、チタン、チタン合金、ならびに非磁性鋼から成る群から選択される1つ以上の材料で作られる。蓋は、好適には、例えば国際公開第2005/002866号パンフレットおよび国際公開第2008/046702号パンフレットに開示されているように、1つ以上の静磁石、特に彫刻磁性プレートをさらに備えることができる。このような彫刻プレートは、鉄から、または磁性粒子が分散されていたプラスチック材料(例えば、プラストフェライトなど)から作製することができる。このようにして、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって作製されたOELは、テキスト、画像、またはロゴなどの磁気誘導された細線パターンを重ねることができる。
【0086】
[085]ホルダ(1a)、回転子保護プレート(2)、ケーシング(4)、オプションの磁石支持体(6)、およびオプションの巻線保護プレート(7)に使用される1つ以上の材料(すなわち、本明細書に記載の低導電性材料、非導電性材料、およびそれらの混合物から成る群から選択される非磁性材料)の性質に応じて、前記ホルダ(1a)、前記回転子保護プレート(2)、前記ケーシング(4)、前記オプションの磁石支持体(6)、および前記オプションの巻線保護プレートは、機械的アブレーションツール、気体または液体ジェットアブレーションツール、化学エッチング、電気化学エッチングおよびレーザアブレーションツール(例えば、CO2-、Nd-YAGまたはエキシマレーザ)から成る群から選択される鋳造、成形、手彫り、またはアブレーションツールを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の任意の切断または彫刻方法によって作製され得る、または3D印刷、ラミネーション成形、圧縮成形、樹脂トランスファー成形、または射出成形を含む、ポリマーおよびプラスチックのための当該技術分野において周知の技術を使用することができる。成形後、冷却(熱可塑性ポリマーを使用する場合)または高温もしくは低温での硬化(熱硬化性ポリマーを使用する場合)、あるいはプラスチック部品を得るために標準ツールを使用して必要なデザインに仕上げるために、それらの一部を取り除くことによるなど、標準的な硬化手順を適用することができる。
【0087】
[086]本発明は、本明細書に記載の装置のうちの1つ以上と、前記1つ以上の装置が第1のブロック(A)によって取り付けられる、本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットと、を備えるシステムをさらに提供する。本明細書に記載の固定子(1b+1c)、または固定子と本明細書に記載の固定子の上に配置されたオプションの巻線保護プレート(7)とを備えるアセンブリは、第1のブロック(A)に第2のブロック(B)を着脱可能に取り付けることが可能であるように、第1のブロック(A)のホルダ(1a)に挿入される。第2のブロック(B)を第1のブロック(A)に固定するための1つ以上の解放可能な連結具または締結具が使用されてもよく、前記連結具または締結具が、回転可能なツールなどのツールの操作によって場合により解放可能である。あるいは、本明細書に記載の1つ以上の第1のブロック(A)への本明細書に記載の1つ以上の第2のブロック(B)の固定は、ねじ、ラッチファスナなどを含み得る。一実施形態では、締結具は、第2のブロック(B)が第1のブロック(A)に固定されるロック位置と、ケーシング(4)を第1のブロック(A)から自由に取り外すことができる解放位置と、の間で移動可能なカム要素として設けられる。カム要素は、回転ツールを用いて位置間で回転させることができる。別の実施形態では、1つ以上の第2のブロック(B)の蓋(8)を通って皿孔に嵌合するボルトが、1つ以上のブロック(A)のそれぞれにある対応するねじ孔にねじ込まれ、1つ以上の第2のブロック(B)のそれぞれを、システムに備えられた1つ以上のブロック(A)のうちの任意の1つにしっかりと締め付ける。
【0088】
[087]従って、固定子(1b+1c)を取り付けられたホルダ(1a)を備える第1のブロック(A)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部に着脱可能に固定されるように構成される。よって、固定子(1b+1c)を取り付けられたホルダ(1a)を備える第1のブロック(A)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニット上で容易に交換されて、代替的な光学効果層(OEL)を作製するための前記RMCまたはFBを構成し得る。
【0089】
[088]回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの基部への、固定子(1b+1c)を取り付けられたホルダ(1a)を備える第1のブロック(A)の着脱可能な固定は、ねじ山付きねじなどの解放可能な連結である。一実施形態では、装置は、第1のブロック(A)を基部に着脱可能に固定するための1つ以上の締結具を含む。
【0090】
[089]1つの実施形態では、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットは、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって生成された回転磁場を印加して、磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させることによって、同時に、複数、特にアレイの光学効果層(OEL)を生成するために、本明細書に記載の複数、特にアレイの装置を備え、各装置が、固定子(1b+1c)を取り付けられたホルダ(1a)を備える、各装置の第1のブロック(A)と、ケーシング(4)、回転子保護プレート(2)、好ましくはチタン回転子保護プレート(2)、回転子(3a+3b)、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える、各装置のブロック(B)と、を備える。
【0091】
[090]1つの実施形態によれば、本明細書に記載の複数の装置であって、各装置が、国際公開第2010/066838号に記載されているようなフラットベッド(FB)スクリーン印刷機の取付凹部に、または国際公開第2008/102303号に記載されているような回転磁気配向シリンダ(RMC)の周方向取付溝に、印刷方向に対して縦方向(longitudinally)および/または横方向に互いに着脱可能に隣接して固定され得る、各装置の第1のブロック(A)と各装置の第2のブロック(B)とを備える、本明細書に記載の複数の装置。本明細書に記載の複数の装置のそれぞれが、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)および蓋に設けられたオプションの刻印プレートによって画定されたパターンに従って、磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層の磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させることができ、それによって複数の個々のOELを作製する。個々のOELは、本明細書に記載の装置の間隔および配置に従って、基材の幅および長さに沿って、間隔を空けて配置されるが、互いに隣接する。
【0092】
[091]1つの実施形態によれば、本明細書に記載のシステムは、回転磁気配向シリンダ(RMC)を備え、前記回転磁気配向シリンダ(RMC)は、第1のブロック(A)を介して取り付けられた、記載された1つ以上の装置を備える。回転磁気配向シリンダ(RMC)は、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を支持する基材を搬送するように配置され、装置のスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)は、回転磁場を印加するように構成されて、本明細書に記載のコーティングまたは層の磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させて、光学効果層(OEL)を作製する。
【0093】
[092]回転磁気配向シリンダ(RMC)は、第1のブロック(A)が着脱可能に固定される基部を備える。基部は、上記のものに従うことができ、例えば、基部は、第1のブロック(A)および装置の他の構成要素をぴったりと収容する回転磁気配向シリンダ(RMC)内の1つ以上の周方向取付溝から構成される。
【0094】
[093]本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)を備えるシステムの一実施形態では、印刷ユニットは、回転式連続プロセスに従って作動する。本明細書に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを備えるシステムの一実施形態では、印刷ユニットは、縦方向の不連続プロセスに従って動作する。
【0095】
[094]スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転周波数は、好ましくは、磁性または磁化可能顔料粒子を回転磁場に曝す時間中に少なくとも完全に1回転するように選択される。よって、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)は、全回転にわたって少なくとも1回スピン回転して、磁性または磁化可能顔料粒子の回転対称の凝集体配向が確実に所望のOELとなるように生成されるはずである。
【0096】
[095]本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)を備えるシステムの一実施形態では、必要なスピン回転周波数は、位置の、前記回転磁気配向シリンダ(RMC)を備える印刷装置またはコーティング装置の印刷速度、硬化装置の位置、およびスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)の構成(5)の関数として選択される。回転磁気配向シリンダ(RMC)の外周の回転速度、ひいては縦方向(machine direction)における基材の移動速度、およびスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転周波数が、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を支持する基材の一部が回転磁気配向シリンダ(RMC)と接触しており、よって、発生した回転磁場に曝されている間、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)が少なくとも完全に1回転(360°)するように設定される。回転磁場に曝された磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層の一部は、OELの品質を確保するために回転磁気配向シリンダ(RMC)に対して静止したままである。一実施形態では、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)は、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と基材とが同じ速度で縦方向に移動するにつれて、磁性または磁化可能顔料粒子に回転磁場を印加する間に少なくとも完全に1回転(360°)する。典型的な産業用印刷の速度である、1時間あたり少なくとも8000枚のシート、典型的には1時間あたり8,000から10,000枚のシート、すなわち1秒間に3枚のシート、かつ回転磁気配向シリンダ(RMC)とシートとの接触時間である1/6秒の場合、必要なスピン回転周波数は、好ましくは少なくとも約10Hz、より好ましくは少なくとも約25Hz、さらにより好ましくは少なくとも約50Hzである。
【0097】
[096]本明細書に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを備えるシステムの一実施形態では、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)の必要なスピン回転周波数は、前記フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの印刷速度、硬化装置の位置、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)の構造に依存する。スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転周波数は、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を支持する基材の一部が本発明の1つ以上の装置を含むフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニット上にあり、よって、発生した回転磁場に曝されている間、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)が少なくとも完全に1回転するように設定される。典型的な産業用印刷の速度である、1時間あたり100~300枚の場合、必要とされるスピン回転周波数は、好ましくは少なくとも約5Hz、さらにより好ましくは少なくとも約20Hzである。
【0098】
[097]本明細書に記載の装置は、磁性もしくは磁化可能顔料粒子を含む湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層を支持する基材表面と接触させる、または適切な距離に保持する表面を有する。従って、本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)または本明細書に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを備えるシステムは、磁性または磁化可能顔料粒子のコーティングを上に有する基材を供給する基材供給装置を備えることができるため、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)が、顔料粒子に作用する回転磁場を発生して、顔料粒子を凝集配向させて光学効果層(OEL)を形成する。基材供給装置は、磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層に分散した磁性または磁化可能顔料粒子を、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって生成された回転磁場に曝すように基材を(ウェブまたはシートの形態で)供給する。この目的のために、基材上のコーティングまたは層中の磁性または磁化可能顔料粒子は、所望のOELを生成するように、回転する構造化磁場の適切な場所にされなければならない。スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層との間の距離は、用途に依存し、典型的には0.5~10mmである。適切な距離を再現可能に得るための最適な方法は、本明細書に記載の蓋(8)による方法であり、蓋(8)が、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)からの距離を維持し、蓋(8)自体が基材の裏面と接触する。
【0099】
[098]本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)を備えるシステムの一実施形態では、基材は、シートまたはウェブの形態で基材供給装置によって供給される。基材供給装置は、シートまたはウェブを供給するように構成され、回転磁気配向シリンダ(RMC)は、磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層を支持する基材の一部が回転磁気配向シリンダ(RMC)と接触している限り、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)の軸線に対して静止しているように回転するように構成される。その後、配向された磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を部分的に同時または同時に硬化することによって、個々のOELのアレイがシートまたはウェブ上に作製される。
【0100】
[099]本明細書に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを備えるシステムの一実施形態では、基材は、シートの形態で供給される。
【0101】
[0100]本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)または本明細書に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを備えるシステムは、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって発生された回転磁場によって凝集配向された、前記顔料を含むコーティングまたは層を基材上に形成して、光学効果層(OEL)を形成するように、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングを塗布するためのプリンタを備え得る。
【0102】
[0101]本明細書に記載の回転磁気配向シリンダ(RMC)または本明細書に記載のフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを備えるシステムは、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって凝集配向された、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させるためのコーティング硬化装置を備えてもよく、それによって、磁性または磁化可能顔料粒子の配向および位置を固定して光学効果層(OEL)を生成する。
【0103】
[0102]本明細書に記載の1つ以上の装置を備える回転磁気配向シリンダ(RMC)は、回転式連続印刷機の一部である。コーティング組成物は、好ましくは、スクリーン印刷、凹版印刷、グラビア印刷、およびフレキソ印刷から成る群から好ましくは選択される印刷プロセスによって適用される。好ましくは、コーティング組成物は、スクリーン印刷プロセスにより塗布される。
【0104】
[0103]国際公開第2008/102303号の図1は、回転磁気配向シリンダ(RMC)を備えるスクリーン印刷機を概略的に示す。この印刷機は、シートの形態の基材をスクリーン印刷群に供給する基材供給装置を備え、スクリーン印刷群では、シートの印刷経路に沿って連続して配置されている1つ以上のスクリーン印刷シリンダによって、磁性または磁化可能顔料粒子を含む特定のパターンのコーティングまたは層が基材に塗布される。磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤または未硬化のコーティングまたは層を支持する新たに印刷されたシートは、本明細書に記載の1つ以上の装置を備える回転磁気配向シリンダ(RMC)に運ばれ、そこで、本明細書に記載のコーティングまたは層の磁性または磁化可能顔料粒子が、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって凝集配向される。次いで、シートは、下流の硬化ユニットに運ばれ、そこで、配向された磁性または磁化可能顔料粒子が、実質的に配向状態または配向状態で凍結される。好ましくは、硬化ユニットは、紫外線硬化ユニットである。好ましくは、硬化ユニットは、国際公開第2012/038531号または欧州特許第2433798号に記載されているように、回転磁気配向シリンダ(RMC)の上に配置され、その結果、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層が少なくとも部分的に硬化し、その際、コーティングまたは層を支持する基材が、回転磁気配向シリンダ(RMC)と接触している、すなわち、回転子と固定子とを有する永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をスピン回転することによって生成された回転磁場にコーティングまたは層を曝すステップと部分的に同時に行われる硬化ステップをコーティングまたは層が受けて、磁性または磁化可能顔料粒子を配向させる。次の硬化ユニット(放射線硬化、好ましくはUV硬化、赤外線および/または熱)をさらに下流に配置して、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を完全に硬化させることができる。スクリーン印刷機に関するさらなる詳細は、欧州特許出願公開第0723864号、国際公開第97/29912号、国際公開第2004/096545号、および国際公開第2005/095109号に見出すことができる。
【0105】
[0104]その後、本明細書に記載の装置のスピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって生成される回転磁場による磁性または磁化可能顔料粒子の配向と、部分的に同時に(国際公開第2012/038531号に記載されているように)または同時に、好ましくは部分的に同時に、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層が硬化され、それによって磁性または磁化可能顔料粒子を実質的に配向状態または配向状態に固定または凍結する。「部分的に同時に」とは、両方のステップが部分的に同時に行われること、すなわち各ステップを行う時間が部分的に重複することを意味する。本明細書に記載の文脈において、硬化が磁気配向と部分的に同時に行われる場合、顔料粒子がOELの完全硬化前に配向するように、硬化は配向後に有効になることを理解しなければならない。従って、本明細書に記載の本発明の1つ以上の装置によって提供される磁性または磁化可能顔料粒子の配向と部分的に同時に、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させることを確保するために、硬化装置は、本明細書に記載の装置の上方で基材の経路に沿って配置される。
【0106】
[0105]本明細書に記載の1つ以上の装置は、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を支持する基材を支持するための平滑な表面を提供し、コーティングまたは層に対して、スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)によって生成された回転磁場が作用して、磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させて、光学効果を生み出す。カバープレートを使用することができる。カバープレートは、好ましくは、オーステナイト鋼、アルミニウム、チタン、またはエンジニアリングプラスチックまたはポリマーなどの非磁性材料から作られる。国際公開第2008/102303号は、カバープレートの適切な例を開示している。本明細書に記載のカバープレートは、基材を支持するために回転磁気配向シリンダ(RMC)の周りに配置することができ、前記カバープレートは、本明細書に記載の1つ以上の装置の位置に対応する位置に開口部を備える。あるいは、カバープレートは、完全な支持面を提供してもよく、よって本明細書に記載の1つ以上の装置のそれぞれを覆ってもよい。この場合、カバープレートは、透磁率を有さない、または低透磁率を有する材料から作られる。
【0107】
[0106]本明細書に記載の1つ以上の装置を備えるフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットは、好ましくは、縦型の不連続印刷機の一部である。コーティング組成物は、好ましくは、スクリーン印刷および凹版印刷から成る群から好ましくは選択される印刷プロセスによって適用される。好ましくは、コーティング組成物は、スクリーン印刷プロセスにより塗布される。
【0108】
[0107]フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットは、シートの形態で基材を受けるためのフラット印刷スクリーンおよび印刷プラテン、ならびに本明細書に記載の1つ以上の装置を備える磁気配向ユニットを備える。印刷機は、硬化ユニット、好ましくはUV硬化ユニットをさらに備える。磁気配向ユニットは、印刷プラテンの上面の下に配置される。本明細書に記載の1つ以上の装置は、印刷プラテンの上面から離れた第1の位置(「遠隔位置」)からそれに近い第2の位置(「近接位置」)に付随して移動可能である。磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層の印刷、配向、および少なくとも部分的な硬化は、以下の順序で行われる。
-装置が遠隔位置にある状態で、シートが手動または自動で印刷プラテンの上面に装填され、
-印刷スクリーンをシートの上に置き、コーティング組成物をシートの選択された部分上に塗布して印刷パターンを形成し、
-印刷スクリーンを取り外し、本明細書に記載の本発明の1つ以上の装置を印刷パターンの位置で、印刷プラテンの上面に対して近接位置に移動させ、
-スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)が、湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層の磁性または磁化可能顔料粒子を凝集配向させ、
-スピン回転している間、本明細書に記載の1つ以上の装置が、印刷プラテンから遠隔位置に移動し、
-磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤かつ未硬化のコーティングまたは層を硬化ユニットに曝し、顔料粒子を実質的に配向状態または配向状態で凍結させる。
【0109】
[0108]フラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを使用して磁化可能または磁性顔料粒子を印刷および配向するプロセスに関するさらなる詳細は、国際公開第2010/066838号に見出すことができる。
【0110】
[0109]好ましくは、コーティング組成物は、放射線硬化性組成物、熱乾燥組成物、酸化乾燥組成物、およびそれらの組み合わせから成る群から選択されるインクまたはコーティング組成物である。特に好ましくは、コーティング組成物は、放射線硬化性組成物から成る群から選択されるインクまたはコーティング組成物である。放射線硬化、特にUV-Vis硬化は、好適には、硬化放射線への曝露後にコーティング組成物の粘度の急速な増大をもたらし、それにより顔料粒子のさらなる移動およびその結果としての磁気配向ステップ後に配向が失われることを防止する。欧州特許第2024451号は、本発明に適したインクを開示している。
【0111】
[0110]本明細書に記載の方法および装置は、セキュリティ、化粧品、および/または装飾用途の分野において光学効果層を作製するのに特に適している。
【0112】
[0111]本明細書では、基材上に光学効果層を作製するための、本明細書に記載される装置、または本明細書に記載される1つ以上の装置を備える回転磁気配向シリンダ(RMC)、または本明細書に記載される1つ以上の装置を備えるフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの使用も記載され、前記基材が、好ましくはセキュリティ文書またはセキュリティ物品、好ましくはセキュリティ文書である。
【0113】
[0112]本発明は、基材上に光学効果層(OEL)を作製するためのプロセスを提供する。本明細書に記載のプロセスは、i)好ましくは本明細書に記載の印刷プロセスによって、本明細書に記載の基材上で、本明細書に記載の磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物を本明細書に記載の基材に塗布して、磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤(未硬化)コーティングまたは層を支持する基材を形成する、ステップ、またはi)本明細書に記載の磁性または磁化可能顔料粒子を含む湿潤コーティング層を支持する基材を提供するステップと、ii)本明細書に記載の装置または磁気配向シリンダ(RMC)もしくはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを提供するステップと、iii)本明細書に記載のように、回転子(3a+3b)と固定子(1b+1c)との組み合わせ作用を通して永久磁石アセンブリ(PMA)(5)をスピン回転させることによって生成された時間依存方向可変磁場に、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を曝して、磁性または磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向させる、ステップと、iv)本明細書に記載のように、磁性または磁化顔料粒子を含むコーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させて、前記磁性または磁化顔料粒子の少なくとも一部を実質的な配向状態または配向状態に固定する、ステップと、を含む。ステップiv)は、好ましくはステップiii)と部分的に同時に行われる。
【0114】
[0113]セキュリティ文書を保護するための方法も本明細書に記載される。本明細書に記載の方法は、i)好ましくは本明細書に記載の印刷プロセスによって、本明細書に記載の基材またはセキュリティ文書上に本明細書に記載の磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物を塗布するステップと、ii)本明細書に記載の装置または本明細書に記載の1つ以上の装置を備える回転磁気配向シリンダ(RMC)または本明細書に記載の1つ以上の装置を備えるフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットの回転磁場に、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を曝して、本明細書に記載の磁性または磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を凝集配向させて、特に回転対称の光学効果を生じさせる、ステップと、iii)本明細書に記載されているように、磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティングまたは層を少なくとも部分的に硬化させて、前記磁性または磁化可能顔料粒子を実質的に配向状態または配向状態に固定する、ステップと、を含む。ステップiv)は、好ましくはステップiii)と部分的に同時に行われる。
【0115】
[0114]本明細書に記載される基材は、好ましくは、紙、またはセルロース、紙含有材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチックおよびポリマー、金属化プラスチックもしくはポリマー、複合材料、およびそれらの2つ以上の混合物または組み合わせなどの他の繊維状材料(織布材料および不織布材料を含む)から成る群から選択される。典型的な紙、紙様、または他の繊維状材料は、アバカ、綿、リネン、木材パルプ、およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない様々な繊維から作られる。当業者にはよく知られているように、綿および綿/麻の混紡が紙幣には好ましいが、木材パルプは紙幣以外のセキュリティ文書で一般的に使用されている。プラスチックおよびポリマーの典型的な例としては、ポリエチレン(PE)および二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)を含むポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン 2,6-ナフトエート)(PEN)などのポリエステル、およびポリ塩化ビニル(PVC)が挙げられる。基板としては、例えばTyvek(登録商標)という商標で販売されているスパンボンドオレフィン繊維も使用可能である。金属化プラスチックまたはポリマーの典型的な例としては、連続的または不連続的に配置された金属を表面上に有する上記のプラスチックまたはポリマー材料が挙げられる。金属の典型的な例としては、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、それらの合金、および上記金属のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。上記のプラスチックまたはポリマー材料の金属化は、電着法、高真空被覆法、またはスパッタリング法によって行うことができる。複合材料の典型的な例としては、紙および上記のような少なくとも1つのプラスチックまたはポリマー材料の多層構造または積層体、ならびに上記のような紙状または繊維材料に組み込まれたプラスチックおよび/またはポリマー繊維が挙げられるが、これらに限定されない。基材は、充填剤、サイジング剤、漂白剤、加工助剤、補強または湿潤増強剤などの、当業者に既知のさらなる添加剤を含むことができる。本発明に従って作製されたOELが、例えば指の爪用のラッカーを含む装飾または化粧目的に使用される場合、前記OELは、爪、付け爪、または動物もしくは人間の他の部分を含む他の種類の基材上に作製され得る。
【0116】
[0115]本発明に従って作製されたOELがセキュリティ文書または物品上にある場合に、さらにセキュリティレベルおよび前記セキュリティ文書または物品の偽造および違法複製に対する耐性を高める目的で、基材は、印刷、コーティング、またはレーザで印を付けたもしくはレーザで孔を開けた証印、透かし模様、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、箔、デカールおよびそれらの2つ以上の組み合わせを含むことができる。セキュリティレベルおよびセキュリティ文書の偽造および違法複製に対する耐性をさらに高めるという同じ目的で、基材は、1つ以上のマーカ物質またはタガントおよび/または機械可読物質(例えば、発光物質、UV/可視/IR吸収物質、磁性物質およびそれらの組み合わせ)を含むことができる。
【0117】
[0116]所望であれば、ステップi)(すなわち、好ましくは本明細書に記載の印刷プロセスにより、本明細書に記載の磁性または磁化可能顔料粒子を含むコーティング組成物を本明細書に記載の基材に塗布するステップ)の前にプライマー層を基材に塗布してもよい。これは、本明細書に記載の光学効果層(OEL)の品質を向上させる、または接着を促進し得る。このようなプライマー層の例は、国際公開大2010/058026号に見出すことができる。
【0118】
[0117]本明細書に記載のプロセスによって得られる光学効果層(OEL)を含む物品、セキュリティ文書、セキュリティ物品、または装飾要素もしくは物体の汚れに対する耐久性、または化学的耐性および清浄度、ひいては循環寿命の向上を目的として、あるいはそれらの審美的外観(例えば、光学的光沢)を修正することを目的として、1つ以上の保護層を光学効果層(OEL)の上に塗布することができる。存在する場合、1つ以上の保護層は、典型的には、保護ワニスから作られる。これらは、透明であってもわずかに着色または色付けされていてもよく、多かれ少なかれ光沢があってもよい。保護ワニスは、放射線硬化性組成物、熱乾燥組成物、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。好ましくは、1つ以上の保護層は、放射線硬化性組成物、より好ましくはUV-Vis硬化性組成物である。保護層は、典型的には、光学効果層(OEL)の形成後に塗布される。
【0119】
[0118]本発明は、本発明によるプロセスによって作製された光学効果層(OEL)をさらに提供する。
【0120】
[0119]本明細書に記載の光学効果層(OEL)は、(紙幣用途の場合など)それが永続的に残る基材上に直接設けることができる。あるいは、光学効果層(OEL)はまた、作製目的のために一時的基材上に設けられてもよく、そこからOELがその後除去される。これは、例えば、特にコーティング組成物が依然として流動状態にある間に、光学効果層(OEL)の作製を容易にすることができる。その後、光学効果層(OEL)を作製するためのコーティング組成物から作られるコーティングまたは層を硬化させた後、一時的な基材をOELから除去することができる。
【0121】
[0120]本発明は、本明細書に記載の方法によって得られたOELを含むセキュリティ文書およびセキュリティ物品をさらに提供する。各セキュリティ文書またはセキュリティ物品は、複数のOELを含むことができ、すなわち、印刷および配向プロセス中に、同じシートまたはセキュリティ文書もしくはセキュリティ物品上に複数のOELが生成されてもよい。
【0122】
[0121]セキュリティ文書または物品には、有価書類および有価商品が含まれるが、これらに限定されない。有価文書の典型的な例としては、限定されないが、紙幣、証書、チケット、小切手、証票、収入印紙および納税印紙、契約書など、パスポートなどの身分証明書類、身分証明書、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス書類またはカード、入場券、公共交通乗車券、または権利証書など、好ましくは、紙幣、身分証明書類、権利付与書類、運転免許証、およびクレジットカードが挙げられる。「有価商品」という用語は、特に化粧品、栄養補助食品、医薬品、アルコール、タバコ製品、飲料または食品、電気/電子製品、織物または宝石類、すなわち、例えば本物の薬などのパッケージの内容物を保証するために偽造および/または違法複製に対して保護されるべき物品のパッケージ材料を指す。これらパッケージ材料の例としては、限定されないが、認証ブランドラベル、不正防止ラベルなどのラベルが挙げられる。
【0123】
[0122]あるいは、OELは、例えばセキュリティスレッド、セキュリティストライプ、ホイル、デカール、窓、またはラベルなどの補助基材上に作製され、その結果、別個のステップでセキュリティ文書に転写されてもよい。
【0124】
[0123]印刷装置のオペレータが壊れた部品を交換すること、または磁場によって生成される他の光学効果を作り出すことを望む場合、非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを備える1つ以上のブロックを、本明細書に記載のケーシング(4)、チタンプレート(2)、回転子(3a+3b)、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える1つ以上の第2のブロック(B)と容易に交換することができる。本明細書に記載の1つ以上の装置を、非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを備える既に設置されたブロックを備える回転磁気配向シリンダ(RMC)上またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニット上に設置することも可能であり得る。
【0125】
[0124]本明細書では、非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む1つ以上のブロックを有する、既存の回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを改造する方法も記載され、本方法は、i)回転シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)印刷ユニットから非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む1つ以上のブロックを取り外すステップと、ii)非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む1つ以上のブロックを、本明細書に記載のケーシング(4)、チタンプレート(2)、回転子(3a+3b)、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える本明細書に記載の第2のブロック(B)のうちの1つ以上で置き換えるステップであって、1つ以上の第2のブロック(B)が、固定子(1b+1c)を取り付けられたホルダ(1a)を備える第1のブロック(A)に着脱可能に固定される、ステップと、を含む。本明細書に記載の固定子と回転子との相互貫入磁場により得られる本明細書に記載の固定子(1b+1c)と回転子(3a+3b)間の強く大きく効率的な結合およびそのようにして得られるトルク発生機構に起因して、本発明は、好適には、印刷機に既に設置されている1つ以上のブロックを、本明細書に記載の第2のブロック(B)などの別のブロックに容易かつ迅速に交換する方法を提供し、前記既存のブロックは、各印刷ジョブに固有の非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを備えて、壊れたブロックを置き換える、または最終設計、すなわち磁性または磁化可能顔料粒子の磁気配向を変更して、光学効果層(OEL)を作製する。
【0126】
[0125]本明細書では、本明細書に記載される回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットを保守または改造する方法が記載される。一実施形態では、本方法は、i)第1のブロック(A)と既に設置された第2のブロック(B)との間の着脱可能な固定を解除することによって、本明細書に記載され、かつケーシング(4)、チタンプレート(2)、回転子(3a+3b)、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える第2のブロック(B)のうちの1つ以上を取り除くステップと、ii)1つ以上の取り外された第2のブロック(B)を別の1つ以上の第2のブロック(B’)と置き換えるステップと、を含む。
【0127】
[0126]本方法は、i)前記第1のブロック(A)間の着脱可能な固定を解除することによって、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニットから固定子(1b+1c)を含む第1のブロック(A)を取り外すステップと、ii)除去された構成要素を、本明細書に記載されているものなどの代替的な第1のブロック(A’)で置き換えるステップと、を追加的に含み得る。
【0128】
[0127]一実施形態では、本明細書に記載のケーシング(4)、チタンプレート(2)、回転子(3a+3b)、および永久磁石アセンブリ(PMA)(5)を備える第2のブロック(B)は、回転磁気配向シリンダ(RMC)またはフラットベッド(FB)磁気配向印刷ユニット内の同じ空間を占めるように、交換される非スピン回転可能またはスピン回転可能な永久磁石アセンブリを含む、既に設置されたブロックと同じサイズおよび形状のブロックとなるように設計される。
【実施例1】
【0129】
[0128]実施例は、以下の表1に示す配合の紫外線硬化性スクリーン印刷インクおよび以下に記載される装置を使用して実施された。
【表1】
【0130】
[0129]図1図6に示す本発明による装置を使用して、表1に記載のインクの光学的可変磁性顔料粒子を配向させた。前記装置は、以下を備えていた。
i)「H」字形のケーシング(4)および蓋(8)を受けるための矩形の凹部(40mm×40mm×12.5mm)を備え、かつ磁場ガイド固定子コア(1c)を受けるための正方形のキャビティ(36.5mm×36.5mm×6mm)を備える、アルミニウム製のホルダ(1a)(外形寸法:60mm×40mm×25mm)と、
ii)純鉄(Armco社製)からフライス削りし、80℃で2時間乾燥させたウレタンラッカーの層で絶縁した、磁場ガイド固定子コア(1c)(36mm×36mm×5mm。図3A図3Bの詳細を参照)と、磁場ガイド固定子コア(1c)は、円形(直径=25mm)に配置されたn(n=6)個の環状巻線スロット(外径=10mm、内径=5mm、深さ=4mm)と、取り付け用の中央孔と、を備えていた。エナメル処理された0.20mmの自己融着銅線(Distrelec AG社製のPOLYSOL 155 1×02MM HG)のn個(n=6)の巻き数120のマグネットワイヤコイル(1b)を巻き付け、250℃で約2分間の熱風処理によって自立状態に固定し、n個(n=6)の巻線スロットに挿入した。マグネットワイヤコイル(1b)を、三相Y結線方式固定子巻線(u、v、w、u’、v、w’)を形成するように互いに配線し、対向する2つのマグネットワイヤコイル(u、u’)、(v、v’)、(w、w’)を、直径方向に対向する位置で同じ磁極を生成するように互いに電気的に接続した。固定子巻線を、4本のワイヤ(U、V、W、GND)を介して上述のモータドライバに接続した。
iii)12VのDC電源(Texas Instruments社製のDRV11873EVM)で動作するセンサレスBLDCモータドライバと、
iv)中央取付孔(直径10mm)を備え、磁場ガイド固定子コア(1c)の上に配置された、マグネットワイヤコイル(1b)および磁場ガイド固定子コア(1c)を保護する、チタン製の巻線保護プレート(7)(36mm×36mm×0.5mm)と、
v)チタン製で、4つのコーナーピラー(高さ=12.5mm、幅=10mm)を有する一体型の「H」字形ケーシング(4)(図4A図4B参照)(30mm×30mm×12.5mm)。「H」字形のケーシング(4)は、厚さ2mmであり、「H」字形のケーシング(4)の上面から7mm、底面から3.5mmに位置する水平中央プレートによって区切られた第1のキャビティと第2のキャビティとを備えていた。「H」字形のケーシング(4)は、セラミックボールベアリング(3c)(外径=10mm、内径=5mm、高さ=3mm)を受けるための中央円形孔(直径=10mm)を備えていた。セラミックボールベアリング(3c)をこの孔にエポキシ接着剤で固定した。
vi)「H」字形ケーシング(4)の第1のキャビティを閉鎖するための、チタン製の回転子保護プレート(2)(30mm×30mm×0.5mm)と、
vii)鉄(Armco社製)製で、(図2Aに示すように)M3ねじ孔を有する中央ハブまたは突起を上面に備える回転子円板(3b)(図2A図2B参照)(直径=30mm、厚さ2mm)であって、回転子円板(3b)が、その下面に、m(m=8)個のキャビティ(直径=7mm、深さ=1.2mm)を備え、m(m=8)個の永久磁極(NdFeB N45円板状の軸方向磁化双極子磁石(3a)(直径=6mm、厚さ=1mm))を交互のN極およびS極で接着し、回転子円板(3b)の八極性NSNSNSNS円形下面を得た。ハブまたは突出部がセラミックボールベアリング(3c)を貫通して突出するように、回転子円板(3b)を「H」字形ケーシング(4)の第1のキャビティに挿入した。
viii)アルミニウム製の3mmの取付孔(直径=30mm、厚さ=2mm)を有し、M3ねじで回転子円板(3b)のハブまたは突出部に固定された、円板状磁石(6)支持体と、
ix)直径方向に磁化されたNdFeB N42円板状双極子磁石(直径=30mm、厚さ=3mm)であり、磁石支持体上に接着された、永久磁石アセンブリ(PMA)(5)と、
x)ホルダ(A)の矩形の凹部に嵌め込まれ、「H」字形のケーシング(4)を収容するための凹部(30mm×30mm×13mm)を有する、PPS(ポリフェニレンサルファイド)製の蓋(8)(40mm×40mm×15mm)。
【0131】
[0130]図5および図6に示すように、「H」字形ケーシング(4)の第1のキャビティは。回転子円板(3b)とm個(m=8)の永久磁極(3a)とを備え、第2のキャビティは、円板状磁石支持体(6)と永久磁石アセンブリ(PMA)(5)とを備えていた。
【0132】
[0131]固定子の最上面(1b+1c)、すなわち磁場ガイド固定子コア(1c)の上面と、回転子の最下面と、の間の距離によって与えられる磁気ギャップ(G)は、約2.0mmであり、注目に値することに、巻線保護プレート(7)とチタン保護プレート(2)(2×0.5mm)との合計厚さと、回転子の下面と回転子保護プレート(2)の上面との間に約1mmの自由エアギャップと、を有していた。
【0133】
[0132]T90スクリーンを用いた実験室用スクリーン印刷装置により、表1の紫外線硬化性スクリーン印刷インクを用いて40mm×40mmの正方形のサンプルを基準紙(fiduciary paper)(Louisenthal社製)に印刷して、厚さ約20μmのコーティング層を形成した。インクが湿潤かつ未硬化の状態に依然としてある間に、基材表面を紫外線硬化性スクリーン印刷インクを支持していない基材表面が装置の方を向くように基材を上記の装置上に置き、その結果、印刷領域と永久磁石アセンブリ(PMA)(5)との間の距離は、約3mmであり、約60Hzの推定スピン回転数で数秒間スピン回転させることができた。スピン回転永久磁石アセンブリ(PMA)(5)のスピン回転軸は、基材表面に対して垂直であった。紫外線硬化性スクリーン印刷用インクを支持する基材の上面から約50mmの距離に配置されたUV LED(Phoseon FireFly 395nm)に0.5秒間露光すると、装置の回転磁場中でインクが硬化した。
【0134】
[0133]半球を表す、結果として得られたOELの写真を図7に示す。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7