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特許7098869ゲームプログラム、ゲーム装置およびゲームシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ゲームプログラム、ゲーム装置およびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/792 20140101AFI20220705BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20220705BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20220705BHJP
【FI】
A63F13/792
A63F13/45
A63F13/69 510
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020068872
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021164559
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(72)【発明者】
【氏名】川上 智司
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第6614376(JP,B1)
【文献】特開2019-177037(JP,A)
【文献】特許第5958598(JP,B1)
【文献】特開2018-033673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00 - 13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶手段、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行手段、および、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付手段として機能させ、
前記イベント実行手段は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記関連付手段は、前記イベント実行手段によって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付ける、
ゲームプログラム。
【請求項2】
コンピュータを、
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶手段、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行手段として機能させ、
前記イベント実行手段は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記イベント実行手段が前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記コンピュータを前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行手段としてさらに機能させる、
ゲームプログラム。
【請求項3】
コンピュータを、
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶手段、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行手段、および、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付手段としてさらに機能させ、
前記イベント実行手段は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記イベント実行手段が前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記コンピュータを前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行手段としてさらに機能させ、
前記関連付手段は、前記イベント実行手段によって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付け、
前記ゲーム実行手段は、前記関連付手段が前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付けした場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用の制限を解除する、
ゲームプログラム。
【請求項4】
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶部と、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行部と、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付部と、を備え、
前記イベント実行部は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記関連付部は、前記イベント実行部によって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付ける、
ゲーム装置。
【請求項5】
ゲーム装置であって、
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶部と、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行部と、を備え
前記イベント実行部は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記ゲーム装置は、
前記イベント実行部が前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行部をさらに備える、
ゲーム装置。
【請求項6】
ゲーム装置であって、
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶部と、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行部と、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付部と、を備え、
前記イベント実行部は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記ゲーム装置は、
前記イベント実行部が前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行部をさらに備え、
前記関連付部は、前記イベント実行部によって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付け、
前記ゲーム実行部は、前記関連付部が前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付けした場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用の制限を解除する、
ゲーム装置。
【請求項7】
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶ステップと、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行ステップと、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付ステップと、を実行する制御部を含み、
前記イベント実行ステップは、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記関連付ステップは、前記イベント実行ステップによって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付ける、
ゲームシステム。
【請求項8】
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶ステップと、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行ステップと、を実行する制御部を含み、
前記イベント実行ステップは、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記制御部は、
前記イベント実行ステップが前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記制御部は前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行ステップをさらに実行する、
ゲームシステム。
【請求項9】
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶ステップと、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行ステップと、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付ステップと、を実行する制御部を含み、
前記イベント実行ステップは、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行し、
前記制御部は、
前記イベント実行ステップが前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記制御部は前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行ステップをさらに実行し、
前記関連付ステップは、前記イベント実行ステップによって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付け、
前記ゲーム実行ステップは、前記関連付ステップが前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付けした場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用の制限を解除する、
ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラム、ゲーム装置およびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抽選などのイベントの実行によりアイテムやキャラなどのゲーム媒体をユーザに付与する技術が知られている(非特許文献1参照)。また、この技術では、ユーザの課金(以下、単に「課金」ともいう)による有償ゲーム媒体(有償聖晶石)を消費して実行する有償イベント(福袋ガチャ)が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“FGOガチャ聖晶石使用は有償、無償どっちが優先される?福袋ガチャ前に確認しておこう”,[online],tomaru,[令和2年3月23日],インターネット,<https://game-app.biz/fgo-gacha-compensation/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、有償ゲーム媒体を消費して実行する有償イベントは、課金が必要になる。このため従来技術では、有償イベントを実行するために必要な数量にユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量がわずかに足りていない場合でも課金が必要になり、有償イベントの実行に対する興味をユーザが失ってしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、有償イベントの実行について興趣性を改善できるゲームプログラム、ゲーム装置およびゲームシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の側面は、コンピュータを、
ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶手段、および、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行手段として機能させ、
前記イベント実行手段は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して前記有償イベントを実行する、
プログラムである。
【0007】
また、第1の側面において、前記イベント実行手段は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りている場合には、前記無償ゲーム媒体を補填することなく前記有償イベントを実行することができる。
【0008】
また、第1の側面において、前記イベント実行手段は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体を全て消費し、前記ユーザに前記有償ゲーム媒体の消費数量を選択させることなく、前記無償ゲーム媒体を補填して前記有償イベントを実行することができる。
【0009】
また、第1の側面において、前記コンピュータを、
ユーザ操作に基づいて前記有償ゲーム媒体を前記ユーザに関連付ける関連付手段としてさらに機能させ、
前記関連付手段は、前記イベント実行手段によって補填された前記無償ゲーム媒体の数量に応じて、前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付けることができる。
【0010】
また、第1の側面において、前記コンピュータを、
前記イベント実行手段が前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限するゲーム実行手段としてさらに機能させることができる。
【0011】
また、第1の側面において、前記ゲーム実行手段は、前記関連付手段が前記有償ゲーム媒体を前記無償ゲーム媒体に変更して前記ユーザに関連付けした場合、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用の制限を解除することができる。
【0012】
また、第1の側面において、前記イベント実行手段は、前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記無償ゲーム媒体を補填しないで前記有償イベントを実行する場合に比べて、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の当選確率を変更することができる。
【0013】
また、第1の側面において、前記イベント実行手段は、前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する場合、前記無償ゲーム媒体を補填しないで前記有償イベントを実行する場合に比べて、前記有償イベントにより得られるゲーム媒体の抽選回数を少なくすることができる。
【0014】
第2の側面は、ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶部と、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行部と、を備え、
前記イベント実行部は、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する、
ゲーム装置である。
【0015】
第3の側面は、ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶ステップと、
前記有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行ステップと、を含み、
前記イベント実行ステップは、前記ユーザが所持する前記有償ゲーム媒体の数量が、前記有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、前記ユーザが所持する前記無償ゲーム媒体を一部補填して前記有償イベントを実行する、
ゲームシステムである。
【0016】
本開示によれば、有償イベントの実行について興趣性を改善できるゲームプログラム、ゲーム装置およびゲームシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態におけるゲームシステムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態におけるゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図3】第1実施形態におけるゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図4】第1実施形態におけるゲームシステムの一連の動作の流れを表すフロー図である。
図5】第1実施形態におけるゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
図6】第1実施形態におけるゲーム中にディスプレイに表示される画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
本開示の第1実施形態(以下、「本実施形態」という)にかかるゲームシステム1について、図面を参照して説明する。
【0019】
<ゲームの説明>
図1に示すゲームシステム1では、サーバ装置2および複数のゲーム装置5が通信ネットワーク6を介して互いに通信可能に接続され、ゲーム装置5においてゲームが実行される。
【0020】
本実施形態にかかるゲームは、ゲームシステム1にて実行されるオンラインのゲームである。このゲームでは、ゲーム装置5のユーザは、1または複数のプレイヤキャラクタ(オブジェクトに相当)を仮想ゲーム空間で活動させたり、プレイヤキャラクタを、ノンプレイヤキャラクタである敵キャラクタと対戦させたりする。
【0021】
上記のようなゲームは、プレイステーション(登録商標)などの家庭用ゲーム機、ニンテンドースイッチ(登録商標)などの携帯用ゲーム機、もしくは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの電子機器であるゲーム装置5、を用いて実行される。以下では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示する。
【0022】
<ゲームシステム1の概要>
ゲームシステム1は、サーバ装置2および複数のゲーム装置5にて構成される。サーバ装置2は、ゲームプログラムおよびゲームデータを記憶しており、ゲーム装置5の(下記のアカウント情報ごとの)ゲームデータの管理を行う。
【0023】
ゲーム装置5は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行する。そのために、ゲーム装置5は、通信ネットワーク6を介して、サーバ装置2からゲームプログラムおよびゲームデータを受信(具体的にはダウンロードおよびインストール)する。各ユーザには、ゲーム装置5に対応づけて、識別情報およびパスワードを含むアカウント情報が、ユーザごとに割り当てられている。このアカウント情報は、ログイン時、ゲーム装置5からサーバ装置2に送信され、サーバ装置2におけるユーザ認証に利用される。
【0024】
ユーザ認証を経て、サーバ装置2とゲーム装置5との相互通信が可能となる。ログイン後、ゲーム装置5は、ゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)をサーバ装置2から受信すると、ユーザの操作に基づいてゲーム画像や音声をディスプレイ61およびスピーカ62に出力しながら、ゲームを進行させる。
【0025】
<ゲームシステム1の構成>
以下、図1を参照して、サーバ装置2およびゲーム装置5の各ハードウェア構成について説明する。なお、複数のゲーム装置5それぞれは、互いに同じ構成を有する。
【0026】
<サーバ装置2の構成>
図1に示すように、サーバ装置2は、ネットワークインターフェース21、記憶部22および制御部23を有する。ネットワークインターフェース21および記憶部22は、バス29を介して制御部23と電気的に接続されている。
【0027】
ネットワークインターフェース21は、インターネットおよびLANなどの通信ネットワーク6を介して各ゲーム装置5と通信可能接続されている。
【0028】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成される。記憶部22には、本実施形態にかかるゲームプログラムの一部を含む各種プログラムの他、ユーザDB221などの各種データなどが記憶されている。
【0029】
ユーザDB221には、ゲームをプレイするユーザの識別番号ごとに、ユーザが操作するプレイヤキャラクタに関する情報(ステータスなど)、仮想ゲーム空間内にて使用可能な消費媒体の額などが、対応づけて記憶されている。
【0030】
「消費媒体」とは、仮想ゲーム空間内で使用可能な通貨やポイントなどであって、ゲームを進めるにあたりゲーム内で消費される媒体である。消費媒体は、クエストのクリア報酬として、また、現実社会での課金により、ユーザに付与される。なお本実施形態では、消費媒体を通貨とする例を用いるが、これに限る趣旨ではない。ここで「課金」とは、例えば、ゲームをプレイする、ゲーム媒体を得る、またはガチャを引くなどの目的のために、ユーザがその対価を支払うことである。
【0031】
消費媒体がゲーム媒体の場合、消費媒体は、課金による有償ゲーム媒体と、課金によらない無償ゲーム媒体とに分けることができる。
【0032】
「ゲーム媒体」とは、ゲームに関する要素を表した電子データであって、プレイヤキャラクタとして使用するキャラクタの名称、プレイヤキャラクタが仮想ゲーム空間内にて使用するアイテム(武器、防具、道具)などが含まれる。ユーザは、ゲーム媒体を、課金による直接購入やクエストクリアの他、ガチャと呼ばれる抽選方法によって入手することができる。入手したゲーム媒体は、そのゲーム媒体を所有することとなったユーザの識別情報と対応づけて、ユーザDB221に記憶され管理される。なお、本実施形態では、以下ゲーム媒体をアイテムとする例を用いるが、これに限る趣旨ではない。
【0033】
抽選リスト222は、一般にガチャと呼ばれる抽選処理をイベント実行手段234(後述)が行う際に用いるものであって、選択対象となるゲーム媒体に関する情報を複数含む。図1に示すように、抽選リスト222には、ゲーム媒体に関する情報(名称、パラメータ、希少価値(以下、「レアリティ」という)、レベルなど)と、抽選による当選確率(選択割合)とが、対応づけられている。
【0034】
制御部23は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置2の動作を制御する。
【0035】
制御部23は、各種プログラムを実行することにより、情報処理手段231、照合手段232、記憶手段233、イベント実行手段234、および関連付手段235として機能する。
【0036】
―情報処理手段―
情報処理手段231は、各ゲーム装置5との間で各種データを送受信する。情報処理手段231が受信する主なデータとしては、ゲームプログラムのダウンロード要求情報、ユーザの操作に応じたガチャの抽選要求、クエスト実行要求、アカウント情報などが挙げられる。情報処理手段231が送信する主なデータとしては、ゲームプログラムをゲーム装置5が受信したことを確認するための情報、ガチャにて得られたゲーム媒体に関する情報などが挙げられる。
【0037】
-照合手段―
照合手段232は、ゲーム装置5から受信したユーザの識別情報を用いて、ユーザアカウントの認証を行う。
【0038】
―記憶手段-
記憶手段233は、ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とをユーザDB221に記憶する。
【0039】
―イベント実行手段-
イベント実行手段234は、ユーザの要求またはゲームのシナリオなどに応じてイベントを実行する。なお本実施形態では、以下イベントを抽選(ガチャを含む)とする例を用いるが、これに限る趣旨ではない。
【0040】
イベント実行手段234は、例えば、ユーザのイベントの実行要求(以下、単に「実行要求」ともいう)に応じて、抽選リスト222の中から、ゲーム媒体ごとの当選確率に基づいて1以上のゲーム媒体を抽選により選択する。
【0041】
具体的には、まずゲーム装置5の制御部56が、タッチパッド63および操作部54を介して実行要求を受け付ける。次いで制御部56が、受け付けた実行要求を、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2のイベント実行手段234に送信する。次いでイベント実行手段234は、実行要求を受信すると、この実行要求に応じてゲーム媒体ごとの当選確率に基づいて抽選リスト222の中から1以上のゲーム媒体を抽選により選択する。
【0042】
イベント実行手段234は、有償イベントを実行する。ここで「有償イベント」とは、有償ゲーム媒体に基づくイベントである。有償イベントは、具体的には、ユーザが有償ゲーム媒体を消費して実行させるイベントである。
【0043】
イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が、基準数量に足りていない場合には、ユーザが所持する無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して有償イベントを実行する。ここで「基準数量」とは、イベント実行数量に対する数量である。また基準数量とは、有償イベントの実行にあたって基準となる数量でもある。ここで「イベント実行数量」とは、有償イベントを実行するために必要な消費媒体の数量を示すものである。なお本実施形態では、以下イベント実行数量と基準数量とが等しい例を用いて説明するが、これに限る趣旨ではない。
【0044】
上記構成によれば、イベント実行手段234は、有償イベントを実行するために必要な数量に有償ゲーム媒体の数量が足りていない場合において、課金を必要とせずに無償ゲーム媒体を補填して有償イベントを実行することができる。このため、イベント実行手段234は、有償イベントの実行について興趣性を改善できる。
【0045】
イベント実行手段234は、無償イベントを実行する。ここで「無償イベント」とは、無償ゲーム媒体に基づくイベントである。無償イベントは、具体的には、ユーザが無償ゲーム媒体を消費して実行させるイベントである。無償イベントは、ユーザが有償ゲーム媒体を消費して実行させることもできる。
【0046】
イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が、有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りている場合には、無償ゲーム媒体を補填することなく有償イベントを実行する。
【0047】
上記構成によれば、イベント実行手段234は、有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りている場合にまで無償ゲーム媒体を補填させることを許容しないため、他のイベントとの公平性を担保し、かつ効率よく有償イベントを実行することができる。
【0048】
イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償ゲーム媒体を全て消費し、ユーザに有償ゲーム媒体の消費数を選択させることなく、無償ゲーム媒体を補填して有償イベントを実行する。
【0049】
上記構成によれば、イベント実行手段234は、ユーザにおいて有償ゲーム媒体の消費数を選択する手間を省き、スピーディーに有償イベントを実行することができる。
【0050】
―関連付手段-
関連付手段235は、ユーザ操作に基づいて有償ゲーム媒体をユーザに関連付ける。換言すれば、関連付手段235は、ユーザ操作に基づいて有償ゲーム媒体をユーザに付与する。関連付手段235は、例えば、ユーザの抽選要求の操作によりイベント実行手段234が選択したゲーム媒体に関する情報と、抽選要求の送信元となる操作を行ったユーザの識別情報とを、ユーザDB221にて関連付ける。これにより、このユーザには、抽選した(ガチャを引いた)結果当選したゲーム媒体が付与される。
【0051】
関連付手段235は、イベント実行手段234によって補填された無償ゲーム媒体の数量に応じて、有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体に変更してユーザに関連付ける。
【0052】
上記構成によれば、関連付手段235は、有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体が補填した分について、その後有償ゲーム媒体がユーザに関連付けられる際にその有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体に代えることで返還させることができる。本来有償ゲーム媒体を消費して実行する有償イベントを例外的に無償ゲーム媒体で補填することを許容しているため、後から返還させることなく許容してしまうと他のイベントや他のプレイヤ―との公平性を担保できなくなる可能性がある。このため上記構成によれば、関連付手段235は、他のイベントや他のプレイヤとの公平性を担保することができる。
【0053】
<ゲーム装置5の構成>
ゲーム装置5には、ディスプレイ61、スピーカ62およびタッチパッド63が外部接続または内蔵される。また、ゲーム装置5は、ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54、記憶部55および制御部56を有する。ネットワークインターフェース51、グラフィック処理部52、オーディオ処理部53、操作部54および記憶部55は、バス59を介して制御部56と電気的に接続されている。
【0054】
ネットワークインターフェース51は、ゲーム装置5とサーバ装置2との間で各種データを送受信するために、通信ネットワーク6に通信可能に接続される。
【0055】
グラフィック処理部52は、制御部56から出力されるゲーム画像情報に従って、キャラクタおよび仮想ゲーム空間に関する各種オブジェクトを含むゲーム画像を、動画形式で描画する。グラフィック処理部52は、例えば液晶型であるディスプレイ61と接続されており、動画形式に描画されたゲーム画像は、ゲーム画面としてディスプレイ61上に表示される。
【0056】
オーディオ処理部53は、スピーカ62と接続され、制御部56の指示に従ってゲーム音声を再生および合成すると、これをスピーカ62から出力させる。
【0057】
操作部54は、タッチパッド63と接続され、操作入力に関するデータをタッチパッド63との間で送受信する。ユーザは、タッチパッド63をタッチすることで、ゲーム装置5に操作信号を入力する。
【0058】
記憶部55は、HDD、SSD、RAMおよびROMなどで構成される。記憶部55には、サーバ装置2からダウンロードしたゲームデータ、ゲームプログラムの一部を含む各種プログラム、自装置5のアカウント情報などが格納されている。
【0059】
制御部56は、CPUおよび半導体メモリを含むマイクロコンピュータで構成され、自装置5の動作を制御する。
【0060】
制御部56は、各種プログラムを実行することにより、通信手段561、ゲーム実行手段562、音声制御手段563、および表示制御手段564として機能する。
【0061】
―通信手段561―
通信手段561は、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2との通信を行う機能である。
【0062】
通信手段561は、操作部54がタッチパッド63から受信した各種操作信号に応じて、サーバ装置2が把握可能な情報を生成して送信する。例えば、通信手段561は、アカウント情報、新たなゲームデータのダウンロード要求情報、抽選(ガチャ)実行要求、クエスト実行要求などを、サーバ装置2に送信する。また、通信手段561は、ダウンロード要求情報に応じてサーバ装置2から送られてきた新たなゲームデータ、抽選処理により選択されたゲーム媒体に関する情報などを、サーバ装置2から受信する。
【0063】
―ゲーム実行手段-
ゲーム実行手段562は、自装置5のユーザによるタッチパッド63の操作に従って、ゲームデータに含まれる仮想ゲーム空間オブジェクトおよびテクスチャなどのデータを記憶部55から読み出すかまたはサーバ装置2から受信したデータを用いて、ゲームプログラムを実行しつつ、2次元または3次元のゲーム画像情報を生成する。ゲーム画像情報がグラフィック処理部52によって処理されることにより、ディスプレイ61には処理後のゲーム画像が逐次表示される。
【0064】
そして、ゲーム実行手段562は、ゲーム画像上に、自装置5のユーザの操作に従ってキャラクタを配置させ、そのユーザの操作およびゲームの進行状況に応じて仮想ゲーム空間におけるキャラクタの行動を制御する。例えば、ゲーム実行手段562は、ユーザのタッチパッド63を介した操作に応じて、ゲームにおいてクエストを実行させる。また、ゲーム実行手段562は、ユーザのタッチパッド63を介した操作に応じて、ユーザにより選択されたゲーム媒体をプレイヤキャラクタに使用させる。
【0065】
ゲーム実行手段562は、イベント実行手段234が無償ゲーム媒体を一部補填して有償イベントを実行する場合、有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を制限する。
【0066】
上記使用の制限の例として、次の(1)~(4)が考えられる。なお「スタミナ」とは、クエストを開始しプレイするために消費されるパラメータである。スタミナは、クエストの進行によらず、現実の時間経過に応じて回復する。また、スタミナは、消費媒体や各種ゲーム内アイテムの消費等のユーザの指示に応じて回復することができる。また、スタミナは、クエストの進行によるユーザランクアップ等、ユーザの指示に応じることなく回復される場合もある。
【0067】
(1)ゲーム実行手段562は、有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用を一定期間不可とする。すなわちユーザはこの一定期間有償ゲーム媒体を所持しているがゲームで使えない状態となる。(2)ゲーム実行手段562は、補填した無償ゲーム媒体の数量に応じてゲーム媒体のパラメータやレベルの値を変動させる。(3)ゲーム実行手段562は、一定期間、ゲームのプレイ時間の経過によりスタミナを消費させるスタミナ消費速度を早くする。(4)ゲーム実行手段562は、一定期間、ゲームをプレイしていない時間の経過によりスタミナを回復させるスタミナ回復速度を遅くする。
【0068】
イベント実行手段234では無償ゲーム媒体で補填することを例外的に許容しているため、何ら制限がないと他のイベントや他のプレイヤ―との公平性を担保できなくなる可能性がある。このため上記構成によれば、ゲーム実行手段562は、有償イベントにより補填して得られるゲーム媒体の使用を制限することで、他のイベントや他のプレイヤ―との公平性を担保することができる。
【0069】
ゲーム実行手段562は、上記のとおりサーバ装置2の関連付手段235が有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体に変更してユーザに関連付けした場合、有償イベントにより得られるゲーム媒体の使用の制限を解除する。ゲーム実行手段562は、例えば、上記の場合に関連付手段235からゲーム媒体の使用の制限を解除する解除要求をネットワークインターフェース51を介して受信して、受信した解除要求に基づきゲーム媒体の使用の制限を解除する。
【0070】
上記構成によれば、ゲーム実行手段562は、上記制限なくゲーム媒体を使用できるようにするために補填した無償ゲーム媒体分有償ゲーム媒体を返還させることをユーザに促すことができる。
【0071】
―音声制御手段-
音声制御手段563は、ゲームの実行にあたり、自装置5のユーザの操作などに応じてスピーカ62の音声出力制御を行う。
【0072】
―表示制御手段-
表示制御手段564は、ゲームの実行にあたり、自装置5のユーザの操作などに応じてディスプレイ61の表示出力制御を行う。
【0073】
ここで図2~3を用いて、表示制御手段564が有償イベントの実行の際にディスプレイ61に表示する画面について説明する。なお本例では、有償ゲーム媒体を有償アイテムである「有償石」、無償ゲーム媒体を無償アイテムである「無償石」とする例を用いるが、これに限る趣旨ではない。
【0074】
図2に示すように、表示制御手段564は、ホーム画面(不図示)における有償イベントである抽選(以下、単に「抽選」ともいう)を行うための操作部に対するユーザの操作に応じて抽選画面600aを表示する。抽選画面600aは、抽選実行ボタン601aと、戻るボタン602aと、を含む。
【0075】
抽選実行ボタン601aは、抽選を実行するためのボタンである。
【0076】
抽選実行ボタン601aが選択されると、制御部56がユーザの抽選実行要求を受け付けて、ネットワークインターフェース21を介してサーバ装置2のイベント実行手段234にこの抽選実行要求を送信する。イベント実行手段234は、この実行要求を受信するとユーザが所持する有償石の数量が抽選のイベント実行数量(本例では、有償石20個とする)に対する基準数量(本例では、イベント実行数量と同じ有償石20個とする)に足りているか否かを判定する。
【0077】
イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償石の数量が基準数量に足りていない場合には、ゲーム装置5の表示制御手段564に図3の第1選択画面610aを表示させる。なお本例では、以下ユーザが所持する有償石の数量を10個として基準数量に足りていない場合について説明する。
【0078】
戻るボタン602aは、抽選画面600aの遷移元のホーム画面に戻るためのボタンである。
【0079】
図3に示すように表示制御手段564は、第1選択画面610aを表示させる。第1選択画面610aは、無償ゲーム媒体を補填して抽選を実行するか否かの操作入力を受け付ける画面である。本例では、第1選択画面610aをモーダルダイアログとする例を用いるがこれに限定されない。第1選択画面610aは、告知領域611aと、補填実行ボタン612aと、キャンセルボタン613aと、を含む。
【0080】
告知領域611aは、ユーザが所持する有償石の数量が基準数量に足りていないことを告知する。また告知領域611aは、ユーザの現在の有償石と無償石の所持数(本例では、30個とする)を告知する。
【0081】
補填実行ボタン612aは、ユーザが所持する有償石の数量が基準数量に足りていない分について、無償石で補填可能なことを告知する。補填実行ボタン612aは、例えば、テキスト表示で「無償石で補填してガチャを引く」と告知する。補填実行ボタン612aが選択されると、制御部56がユーザの抽選実行要求を受け付けて、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2のイベント実行手段234にこの抽選実行要求を送信する。イベント実行手段234は、この抽選実行要求を受信するとユーザが所持する有償石10個全てと無償石10個補填分を消費して有償の抽選を実行する。
【0082】
上記抽選が実行されると、表示制御手段564は、第1選択画面610を非表示にさせて、抽選画面600に抽選結果(不図示)を表示させる。
【0083】
キャンセルボタン613aが選択されると、表示制御手段564は、第1選択画面610aを非表示にさせて、ユーザの抽選実行要求をキャンセルさせる、表示制御手段564は、元の抽選画面600aを表示させる。
【0084】
<ゲームシステム1の動作の流れ>
図4を用いて、抽選画面600の表示処理から抽選結果の表示処理までの流れについて説明する。
【0085】
図4に示すように、サーバ装置2の表示制御手段564は、ユーザの要求に応じて、抽選画面600を表示する(ステップst1)。
【0086】
次いで、制御部56は、抽選画面600の抽選実行ボタン601に対する選択操作を受け付ける(ステップst2)。
【0087】
次いで、イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りているか否か判定する(ステップst3)。
【0088】
次いで、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りていない場合(ステップst4のNo)、表示制御手段564は、第1選択画面610aを表させる(ステップst5)。
【0089】
次いで、制御部56は、第1選択画面610aに対する選択操作を受け付ける(ステップst6)。
【0090】
次いで、制御部56が補填実行ボタン612aに対する選択操作を受け付けた場合(ステップst7の補填実行ボタン612a)、ユーザが所持する無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して無償ゲーム媒体と有償ゲーム媒体を消費して有償の抽選を実行する(ステップst8)。
【0091】
次いで、表示制御手段564は、抽選画面600に有償の抽選の抽選結果を表示させる(ステップst9)。
【0092】
次いで、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りている場合(ステップst4のYes)、イベント実行手段234は、有償ゲーム媒体を消費して有償の抽選を実行する(ステップst10)。
【0093】
次いで、表示制御手段564は、抽選画面600に有償の抽選の抽選結果を表示させる(ステップst11)。
【0094】
以上をまとめると、サーバ装置2の制御部23(コンピュータ)を、ユーザにそれぞれ関連付けられた、課金による有償ゲーム媒体の数量と、課金によらない無償ゲーム媒体の数量とを記憶する記憶手段233、および、有償ゲーム媒体に基づく有償イベントを実行するイベント実行手段234として機能させ、イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が、有償イベントを実行するイベント実行数量に対する基準数量に足りていない場合には、ユーザが所持する無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して有償イベントを実行するものである。
【0095】
<効果>
本実施形態によれば、有償イベントを実行するために必要な数量に有償ゲーム媒体の数量が足りていない場合において、課金を必要とせずに無償ゲーム媒体を補填して有償イベントを実行することができる。このため本実施形態によれば、有償イベントの実行について興趣性を改善できる。
【0096】
[変形例]
なお、本発明を上記実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されない。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0097】
[第1変形例]
上記実施形態では示していないが、イベント実行手段234は、例えば、無償ゲーム媒体を一部補填して有償イベントを実行する場合、無償ゲーム媒体を補填しないで有償イベントを実行する場合に比べて、有償イベントにより得られるゲーム媒体の当選確率を変更してもよい。具体的には、イベント実行手段234は、無償ゲーム媒体を一部補填して有償イベントを実行する場合、無償ゲーム媒体を補填しないで有償イベントを実行する場合に比べて所定値以上のレアリティのゲーム媒体の当選確率を下げてもよい。
【0098】
例外的に無償ゲーム媒体で補填することを許容しているため、無償ゲーム媒体を補填した場合と補填しない場合とで何らかの差別化をしないと他のイベントや他のプレイヤとの公平性を担保できなくなる可能性がある。上記構成によれば、イベント実行手段234は、ゲーム媒体の当選確率を変更させてこの差別化を図ることで、この公平性を担保することができる。
【0099】
[第2変形例]
上記実施形態では、イベント実行数量と基準数量とが等しい例を説明したが、これに限定されない。基準数量は、例えば、イベント実行数量を有償ゲーム媒体20個とした場合、この20個に対して所定の割合を掛けた数量(例えば、20個×80%の16個、20個×110%の22個など)であってもよい。また基準数量は、例えば、20個に対して所定の差分を加減した数量(例えば、所定の差分として5個減じた15個など)であってもよい。
【0100】
イベント実行数量が20個として基準数量をイベント実行数量に所定の割合(110%)を掛けた数量とする場合、イベント実行手段234は、例えば、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量21個がこの基準数量22個に足りていない場合には、ユーザが所持する無償ゲーム媒体を少なくとも一部(例えば、1~20個のうちいずれかの数量)補填して有償イベントを実行する。
【0101】
イベント実行手段は、例えば、ユーザが所持する有償ゲーム媒体をイベント実行数量のうち所定の数量消費し、ユーザに有償ゲーム媒体の消費数量を選択させることなく、無償ゲーム媒体をイベント実行数量のうち所定の数量を除いた分補填して有償イベントを実行してもよい。ここで「所定の数量」とは、イベント実行数量のうちユーザの操作によらず自動で決定される有償ゲーム媒体を消費する数量である。所定の数量は、例えば、イベント実行数量に所定の割合を掛けた数量であってもよい。
【0102】
上記構成によれば、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量とイベント実行数量とが等しい場合、仮に有償ゲーム媒体を全て消費して有償イベントが実行できてもユーザは有償ゲーム媒体を全く所持しないこととなってしまう。このため上記構成によれば、イベント実行数量に対してバッファをもたせた基準数量を設定することで有償イベントの実行における有償ゲーム媒体の消費に余裕をもたせることができる。
【0103】
ここで図5を用いて、表示制御手段564が有償イベントの実行の際にディスプレイ61に表示する画面の一例について説明する。図5で説明する例は、図3を用いて説明した第1選択画面610aの変形例である。以下、図3と異なる点を中心に説明する。
【0104】
図5に示すように表示制御手段564は、有償の抽選を実行するために第1選択画面610bを表示する。
【0105】
告知領域611bは、ユーザが所持する有償石の数量が基準数量(本例では、イベント実行数量20個×110%の22個とする)に足りていないことを告知する。また告知領域611aは、またユーザの現在の有償石(本例では、21個とする)と無償石の所持数(本例では、30個とする)を告知する。
【0106】
補填実行ボタン612bは、ユーザが所持する有償石の数量が基準数量に足りていない分について、無償石で補填可能なことを告知する。補填実行ボタン612bは、例えば、テキスト表示で「無償石で一部補填してガチャを引く」と告知する。
【0107】
補填する無償石の数量をイベント実行数量のうち所定の数量(本例では、20個×80%の16個とする)を除いた分とする場合、補填実行ボタン612bが選択されると、制御部56がユーザの抽選実行要求を受け付けて、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2のイベント実行手段234にこの抽選実行要求を送信する。イベント実行手段234は、この抽選実行要求を受信するとユーザが所持する有償石のうち16個の無償石とイベント実行数量からこの16個を除いた4個分補填した無償石とを消費して有償の抽選を実行する。なお、補填する無償石の数量をユーザの操作によって選択する場合については後述の第3変形例で説明する。
【0108】
補填なし実行ボタン614は、ユーザが所持する有償石の数量が基準数量には足りていないがイベント実行数量には足りている場合に第1選択画面610bに表示される。補填なし実行ボタン614は、例えば、テキスト表示で「無償石で補填しないでガチャを引く」と告知する。補填なし実行ボタン614が選択されると、制御部56がユーザの抽選実行要求を受け付けて、ネットワークインターフェース51を介してサーバ装置2のイベント実行手段234にこの抽選実行要求を送信する。イベント実行手段234は、この抽選実行要求を受信するとユーザが所持する有償石のうち20個を消費して有償の抽選を実行する。
【0109】
[第3変形例]
上記第2変形例と異なる例として、ユーザの操作により補填する無償石の数量を選択できる例を説明する。以下、第2変形例と異なる点を中心に説明する。
【0110】
表示制御手段564は、例えば、第2選択画面を表示させてもよい。ここで「第2選択画面」とは、ユーザから、有償イベントを実行するための有償ゲーム媒体の消費数量、または補填する無償ゲーム媒体の数量の選択操作を受け付ける画面である。
【0111】
イベント実行手段234は、例えば、ユーザに有償ゲーム媒体の消費数量を選択させて、イベント実行数量のうち選択した有償ゲーム媒体の消費数量を除いた分無償ゲーム媒体を補填して有償イベントを実行してもよい。またイベント実行手段234は、例えば、ユーザに補填する無償ゲーム媒体の数量を選択させて、イベント実行数量のうち選択した無償ゲーム媒体の数量を除いた分有償ゲーム媒体を消費して有償イベントを実行してもよい。
【0112】
上記構成によれば、ユーザは、いくつ有償ゲーム媒体を消費させるか、またはいくつ無償ゲーム媒体を補填するかを一定程度自由に選択することができる。
【0113】
補填実行ボタン612bが選択されると、表示制御手段564は、第1選択画面610bを非表示にして第2選択画面620を表示させる。
【0114】
ここで図6を用いて、表示制御手段564が有償イベントの実行の際にディスプレイ61に表示する第2選択画面の一例について説明する。
【0115】
図6に示すように、第2選択画面620は、選択領域621と、補填実行ボタン622と、キャンセルボタン623と、を含む。
【0116】
選択領域621は、補填する無償ゲーム媒体の数量をユーザが選択するための領域である。選択領域621は、補填する無償ゲーム媒体の数量の選択操作を受け付ける操作部(本例では、ドロップダウンリストとする)を含む。ユーザの操作により選択された消費数量(本例では、5個とする)をドロップダウンリストが受け付けると、この受け付けた消費数量をもって有償の抽選が実行される。
【0117】
補填実行ボタン622が選択されると、制御部56がユーザの抽選実行要求を受け付けて、サーバ装置2のイベント実行手段234にこの抽選実行要求を送信する。イベント実行手段234は、この抽選実行要求を受信するとユーザが所持する有償石のうちイベント実行数量から5個を除いた15個分消費して、他方無償石を5個消費して有償の抽選を実行する。
【0118】
[第4変形例]
上記実施形態では示していないが、イベント実行手段234は、関連付手段235が補填された無償ゲーム媒体の数量に応じて有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体に変更してユーザに関連付けるまで、新たに無償ゲーム媒体を少なくとも一部補填して有償イベントを実行しなくてもよい。
【0119】
イベント実行手段234は、例えば、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りていない、かつ前回補填された無償ゲーム媒体の数量分有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体に変更してユーザに関連付けられた場合には、ゲーム装置5の表示制御手段564に第1選択画面610a、610b(以下、総称して「第1選択画面610」ともいう)を表示させる。他方イベント実行手段234は、ユーザが所持する有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りていない、かつ前回補填された無償ゲーム媒体の数量分有償ゲーム媒体を無償ゲーム媒体に変更してユーザに関連付けられていない場合には、ゲーム装置5の表示制御手段564に第1選択画面610を表示させず、ユーザから課金の操作入力を受け付ける課金画面(不図示)を表示させてもよい。
【0120】
上記構成によれば、有償イベントの実行にあたって例外的に無償ゲーム媒体で補填することを許容しているにも関わらず有償ゲーム媒体を返還せずに無償ゲーム媒体の補填が繰り替えされることを抑止できる。
【0121】
[第5変形例]
上記実施形態では示していないが、有償ゲーム媒体の数量が基準数量に足りている場合に任意の数量の有償ゲーム媒体を消費し、イベント実行数量のうち任意の数量を除いた分無償石で補填して有償イベントを実行してもよい。
【0122】
[第6変形例]
上記実施形態では、イベントを抽選(ガチャ)とする例を説明したが、これに限定されない。イベントは、例えば、ゲーム中に実行される、クエスト、または対戦なども含まれる。
【0123】
[第7変形例]
【0124】
上記実施形態では示していないが、イベント実行手段234(またはゲーム実行手段562)は、無償ゲーム媒体を一部補填して有償イベントを実行する場合、使用を制限する対象のゲーム媒体をゲーム媒体のパラメータ(例えば、レアリティなど)に応じて決定してもよい。すなわち、無償ゲーム媒体を一部補填して実行する有償イベントにより得られるゲーム媒体全てに使用の制限をかけるのではなく、例えば、所定のレアリティ以上のゲーム媒体に限定してこの制限をかけてもよい。
【0125】
[第2実施形態]
本開示の第2実施形態(以下、「本実施形態」という)にかかるゲームシステム1について、図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態と比較して、複数の抽選をまとめて連続実行する有償イベントを例に説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0126】
イベント実行手段234は、例えば、抽選を1~N回目連続して実行する、いわゆるN連ガチャを実行してもよい。イベント実行手段234は、例えば、無償ゲーム媒体を一部補填して有償イベントを実行する場合、無償ゲーム媒体を補填しないで有償イベントを実行する場合に比べて、有償イベントにより得られるゲーム媒体の抽選回数を少なくしてもよい。この抽選回数を少なくする度合いは、例えば、イベント実行数量に対する有償ゲーム媒体の消費数量または補填する無償ゲーム媒体の数量の割合に応じて設定されてもよい。
【0127】
上記構成によれば、イベント実行手段234は、有償イベントにより得られるゲーム媒体の抽選回数を少なくすることで無償ゲーム媒体を補填した場合と補填しない場合との差別化を図ることができる。このため上記構成によれば、イベント実行手段234は、他のイベントや他のプレイヤとの公平性を担保することができる。
【0128】
[他の実施形態]
上記実施形態において説明した各種制御手段および処理手順は一例であり、本発明、その適用物、またはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。各種制御手段および処理手順は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0129】
上記実施形態では、ゲーム装置5がスマートフォンである場合を例示したが、ゲーム装置5は、ゲームセンターなどに提供されるアミューズメント機器であってもよい。
【0130】
ゲームは、アクションゲーム、シューティングゲーム、ロールプレイングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、およびパズルゲームなどであってもよく、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0131】
上記実施形態では、オブジェクトがプレイヤキャラクタである場合を例示したが、これに限定されない。例えば、オブジェクトは、仮想ゲーム空間内で使用されるカードやアイテム(武器、防具などの装備品)などであることができる。
【0132】
上記実施形態では、サーバ装置2および複数のゲーム装置5が一体となってゲームプログラムを機能させる場合を例示したが、これに限定されない。ゲームプログラムのすべての手段、すなわち、記憶手段、イベント実行手段、関連付手段、ゲーム実行手段、および表示制御手段などが、サーバ装置単体、ゲーム装置5単体、サーバ装置およびゲーム装置5とは別の通信端末単体、これらのうち組み合わせられる2つの装置、に備えられていてもよい。また、サーバ装置、ゲーム装置、通信端末を一体となって機能させる場合、どの手段をどの装置にて機能させるかも、適宜変更が可能である。
【0133】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本実施形態の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、および他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 ゲームシステム
2 サーバ装置
23 制御部
233 記憶手段
234 イベント実行手段
235 関連付手段
5 ゲーム装置
56 制御部
562 ゲーム実行手段
564 表示制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6