(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
F04D19/04 D
(21)【出願番号】P 2017073823
(22)【出願日】2017-04-03
【審査請求日】2019-07-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100102037
【氏名又は名称】江口 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100149962
【氏名又は名称】阿久津 好二
(74)【代理人】
【識別番号】100170988
【氏名又は名称】妹尾 明展
(74)【代理人】
【識別番号】100189566
【氏名又は名称】岸本 雅之
(72)【発明者】
【氏名】久野 智司
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-205183(JP,A)
【文献】特開2013-029063(JP,A)
【文献】特開2017-002856(JP,A)
【文献】特開2016-017454(JP,A)
【文献】国際公開第2009/153874(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/070856(WO,A1)
【文献】特開2015-031153(JP,A)
【文献】特開平02-203006(JP,A)
【文献】実開平06-071943(JP,U)
【文献】特表2013-520793(JP,A)
【文献】特開2016-166594(JP,A)
【文献】特開2009-21533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに回転可能に設けられたロータシャフトと、
多段に配列されたロータ翼とロータ円筒部を有し、前記ロータシャフトに取付けられたロータと、
前記ロータ翼間に配置され、前記ロータ翼と共にターボ排気部を構成する固定翼と、
前記ロータ円筒部と共にねじ溝排気部を構成するステータと、
前記ステータを、前記ターボ排気部から気体が導入される前記ねじ溝排気部の導入路において前記ベースの上面に固定する六角穴付きボルトとを備え、
前記ステータの上面にざぐりが設けられ、
前記六角穴付きボルトの頭部が前記ざぐり内に配置され、前記六角穴付きボルトの頭部の上面が前記ステータの上面とほぼ面一であり、
前記ステータの上面には、内周側内側傾斜面と、内周側外側傾斜面と、前記内周側内側傾斜面と前記内周側外側傾斜面との間に配置された平坦面とが形成されており、
前記内周側内側傾斜面および前記内周側外側傾斜面は、前記ロータシャフトに向かって下り勾配に形成されており、
前記平坦面は、前記ロータシャフトに直交する方向に環状に形成されており、
前記六角穴付きボルトの頭部の上面は前記平坦面の上面とほぼ面一である、真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ロータ翼とステータ翼を備えたターボ排気部と、ターボ排気部からの気体が導入されるねじステータを有するねじ溝排気部とを備えた真空ポンプが知られている。
ねじステータは、固定用の頭付きボルトでベースに取り付けられている。ターボ排気部から気体が導入されるねじ溝排気部の上部、すなわち、ねじステータの上面には、該ねじステータの上面から頭付きボルトの頭部が突出している(例えば、特許文献1の
図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ターボ排気部から気体が導入されるねじ溝排気部の導入口において、ねじステータの上面から頭付きボルトの頭部が突出しているため、頭付きボルトの頭部のポンプ回転方向に対向する側面には、生成物が堆積する。つまり、ねじステータの上面から突出する頭付きボルトの頭部は、気体の流れの抵抗となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の好ましい第1の態様による真空ポンプは、ベースと、前記ベースに回転可能に設けられたロータシャフトと、多段に配列されたロータ翼とロータ円筒部を有し、前記ロータシャフトに取付けられたロータと、前記ロータ翼間に配置され、前記ロータ翼と共にターボ排気部を構成する固定翼と、前記ロータ円筒部と共にねじ溝排気部を構成するステータと、前記ステータを、前記ターボ排気部から気体が導入される前記ねじ溝排気部の導入路において前記ベースの上面に固定する六角穴付きボルトとを備え、前記ステータの上面にざぐりが設けられ、前記六角穴付きボルトの頭部が前記ざぐり内に配置され、前記六角穴付きボルトの頭部の上面が前記ステータの上面とほぼ面一である。
さらに好ましい態様では、第1の態様において、前記六角穴付きボルトは、使用国または国際機構の規定に適合する六角穴付きボルトよりも、頭部の高さが低いボルトである。
さらに好ましい態様では、第1の態様において、前記六角穴付きボルトの頭部に設けられた六角穴の深さは、使用国または国際機構の規定に適合する。
さらに好ましい態様では、上記各態様において、前記ステータの上面には、内周側内側傾斜面と、内周側外側傾斜面と、前記内周側内側傾斜面と前記内周側外側傾斜面との間に配置された平坦面とが形成されており、前記内周側内側傾斜面および前記内周側外側傾斜面は、前記ロータシャフトに向かって下り勾配に形成されており、前記平坦面は、前記ロータシャフトに直交する方向に環状に形成されており、前記六角穴付きボルトの頭部の上面は前記平坦面の上面とほぼ面一である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ねじ溝排気部の導入口における気体の流れに対する抵抗を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は本発明に係る真空ポンプを、ターボ分子ポンプを例として示す第1の実施形態の断面図である。
【
図3】
図3は、
図2のねじステータ固定部領域の拡大図である。
【
図4】
図4は、ターボ排気部側からみたねじステータの一部の平面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の変形例1を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態の変形例2を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態の変形例3を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施形態を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
-第1の実施形態-
以下、
図1~
図4を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は本発明に係る真空ポンプを、ターボ分子ポンプを例として示す第1の実施形態の断面図である。
図1に示すターボ分子ポンプは磁気浮上式のターボ分子ポンプであるが、本発明は磁気浮上式のターボ分子ポンプに限定されない。
【0009】
ターボ分子ポンプ1は、複数段のロータ翼12およびロータ円筒部13が形成されたロータ10を備える。ポンプケーシング23の内側には、前記複数段のロータ翼12に対応して複数段の固定翼21が積層されるように配置されている。ロータ軸方向に積層された複数段の固定翼21は、それぞれスペーサ29を介してベース20上に配置されている。各ロータ翼12は、複数のタービン翼を有している。各固定翼21は半割状の一対の固定翼要素で構成されている。複数のロータ翼12および固定翼21は、ターボ排気部TPを構成している。
【0010】
ロータ円筒部13の外周側には、円筒形状のねじステータ22が微少隙間を介して配置されている。ねじステータ22は、そのフランジ22bがベース20に固定用ボルト40(
図2等参照)により固定されている。ねじステータ22をベース20に固定する構造については後述する。ロータ円筒部13の外周面またはねじステータ22の内周面のいずれか一方にはねじ溝22gが形成されており、ロータ円筒部13とねじステータ22とでねじ溝排気部SPが構成される。
図1に示す例では、ねじステータ22にねじ溝22gが形成されている。ターボ排気部TPにより排気された気体は、ねじ溝排気部SPによりさらに圧縮され、最終的には、ベース20の排気管26に接続されたバックポンプにより排気される。
【0011】
ロータ10はロータシャフト11に固定され、そのロータシャフト11はラジアル磁気軸受32およびアキシャル磁気軸受33により支持され、モータ34によって回転駆動される。ラジアル磁気軸受32、33が非動作時には、ロータシャフト11はメカニカルベアリング35a、35bによって支持される。ラジアル磁気軸受32、アキシャル磁気軸受33、モータ34およびメカニカルベアリング35bは、ベース20に固定されるハウジング30に収納されている。
【0012】
図2は、
図1の破線IIで示す領域の拡大図であり、
図3は、
図2のねじステータ固定部領域の拡大図であり、
図4は、ターボ排気部側からみたねじステータの一部の平面図である。
図2に図示された矢印を付した曲線Rは、排気される気体の流れをイメージしたものである。ターボ排気部TPにより排気された気体は、ターボ排気部TPとねじ溝排気部SPとの間に形成された流路GSに入り、さらに、その流路GSからねじ溝22gに流入する。つまり、流路GSは、ターボ排気部TPから排気された気体が、ねじ溝22gに導入されるねじ溝排気部SPの導入路となっている。
【0013】
ねじステータ22は、円筒部22aと、該円筒部22aの上部側であるターボ排気部TP側に設けられたフランジ22bとを有する。フランジ22bの外周縁部には、外周側部22cが、該フランジ22bからターボ排気部側に突出して形成されている。円筒部22a、フランジ22b、外周側部22cは、同一の材料により一体に成型されている。
ベース20は、円筒状の本体部20aと、該本体部20aの上部側であるターボ排気部TP側に設けられたフランジ部20bとを有する。本体部20aとフランジ部20bとは、同一の材料により一体成型されている。フランジ部20bの外周側は肉厚とされ、この肉厚部の上面にポンプケーシング23が固定される。ポンプケーシング23とベース20のフランジ部20bとは、シール部材を介して固定され、外部から密封する。ベース20のフランジ部20bの肉厚部の内周側にはれ、ねじステータ22を設置するための設置部が窪んで設けられている。この設置部の上面20cは、平坦面とされている。ねじステータ22は、フランジ22bの下面をベース20のフランジ部20bに設けた設置部の上面20c上に、固定用ボルト40により固定される。
【0014】
図3および
図4に図示されるように、ねじステータ22のフランジ22bの上面22dには、内周側内側傾斜面22d1、内周側外側傾斜面22d2、および内周側内側傾斜面22d1と内周側外側傾斜面22d2との間に配置された平坦面22d3が形成されている。内周側内側傾斜面22d1および内周側外側傾斜面22d2は、ロータシャフト11側に向かって下り勾配に形成されている。勾配の角度は、それぞれ異なっていても、同一であってもよい。平坦面22d3は、ロータシャフト11に直交する方向、すなわち、ほぼ水平方向に環状に形成されている。なお、内周側内側傾斜面22d1および内周側外側傾斜面22d2は、直線状に傾斜するものに限られるものではなく、湾曲状に形成してもよい。
【0015】
ねじステータ22のフランジ22bに内周側内側傾斜面22d1および内周側外側傾斜面22d2を形成する理由を下記に示す。
流路GS内の圧力は、分子流、粘性流、それらの中間のいずれにもなり得るが、分子流領域では、気体分子同士の衝突よりも気体分子と壁面との衝突が支配的になり、壁面と衝突した気体分子の散乱方向の分布は余弦法則に従うものと考えられている。ターボ排気部TPから流路GSに流入した気体分子の一部は、直接、ねじ溝22gに入射するが、残りの大部分は、流路GSを囲む部材の外表面に入射し、余弦法則に基づいて散乱される。ねじステータ22の上面22dが水平であると、流路GS内に流入した気体分子は、ねじステータ22の上面22dや最下段のロータ翼12に入射して、ロータシャフト11の軸方向と平行な方向に散乱され、流路GSを逆流する確率が高くなる。このため、流路GSに流入した気体分子がねじ溝22gに導入されるのに時間が掛かる。これに対し、本第1の実施形態では、ねじステータ22のフランジ22bの上面22dには、ロータシャフト11側に向かって下り勾配の内周側内側傾斜面22d1および内周側外側傾斜面22d2が形成されている。このため、ねじステータ22のフランジ22bの上面22dに入射した気体分子は、ロータシャフト側に向かって散乱される確率が高くなる。これにより、流路GSに流入した気体分子は、速やかにねじ溝22gに導入される。粘性流の場合は、気体分子同士の衝突が支配的であるが、傾斜を設けることで、遅滞なく速やかにねじ溝22g気体分子を導入することができる。このため、流路GS内における生成物の堆積を抑制することができる。
【0016】
平坦面22d3には、周方向に離間して複数のざぐり22eが形成されている。ざぐり22eの底面には、フランジ22bを厚さ方向に貫通する貫通孔22fが形成されている。貫通孔22fの軸心はざぐり22eの軸心と同軸である。ベース20の本体部20aには、雌ねじ部20dが形成されている。ねじステータ22とロータ筒13を同軸に配置して、ねじ溝排気部SPの通路寸法を厳密に設定する。
【0017】
固定用ボルト40は、頭部41に六角穴42が形成された六角穴付きボルトである。六角穴付きボルトは、JIS B 1176の規定に適合するもの(規格製品)、あるいは、規格製品に対し、その頭部41の高さ(厚さ)が低い(薄い)ものである。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、ざぐり22eの深さとほぼ同一である。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
【0018】
ねじステータ22をベース20に固定するには、ねじステータ22の貫通孔22fをベース20の雌ねじ部20dに位置合わせをし、固定用ボルト40をベース20の雌ねじ部20dに締結する。これにより、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22のざぐり22e内に進入してざぐり22eの底面を加圧する状態となり、ねじステータ22がベース20に固定される。ねじステータ22のフランジ22bに形成されたざぐり22eの底面は、フランジ22bの平坦面22d3と平行であり、ざぐり22eの深さは固定用ボルト40の頭部41の高さとほぼ同一である。従って、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22のざぐり22eの底面を加圧している状態では、固定用ボルト40の頭部41の上面は、ねじステータ22の平坦面22d3の上面とほぼ面一となる。
【0019】
ターボ排気部TPから排気される気体が流路GSに入り、さらに、その流路GSからねじ溝22gに流入する際、固定用ボルト40の頭部41上を通過する。このとき、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22の上面22dから突出している従来の構造では、固定用ボルト40の頭部41は、ターボ排気部TPから排気され、流路GSを流れる気体の流れを妨げる。これに対し、第1の実施形態では、固定用ボルト40の頭部41は、ねじステータ22の上面22dから突出しない構造となっている。このため、固定用ボルト40の頭部41が流路GSを流れる気体の流れを妨げることはない。
また、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22の上面22dから突出している従来の構造では、固定用ボルト40の頭部41の外周側面、特に、固定用ボルト40の頭部41のポンプ回転方向に対向する側面には、生成物が堆積する。この生成物の堆積が、さらに、ターボ排気部TPから流入し、流路GSを流れる気体の流れを妨げる。これに対し、第1の実施形態では、固定用ボルト40の頭部41が、ねじステータ22の上面22dから突出しない構造となっているため、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積することもない。このため、第1の実施形態によれば、ターボ分子ポンプ1の排気性能を向上することができる。また、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積されることはないので、生成物の除去作業を行う必要が無く、維持管理が容易となる。
【0020】
第1の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)ねじステータ22を、ターボ排気部TPから気体が導入されるねじ溝排気部SPの導入路において六角穴付きボルトによりベース20の上面20cに固定する構造において、ねじステータ22の、ターボ排気部TPから気体が導入される上面22dにざぐり22eを設け、六角穴付きボルトの頭部41の上面を、ねじステータ22の上面22dとほぼ面一にした。このため、ねじステータ22の上面22dと最下段のロータ翼12との隙間が、固定用ボルト40の頭部41の部分で狭まることはなく、従って、固定用ボルト40の頭部41が流路GSを流れる気体の流れを妨げることはない。また、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積することもない。また、固定用ボルト40の頭部41の外周側面に生成物が堆積されることはないので、生成物の除去作業を行う必要が無く、維持管理が容易となる。
【0021】
(2)ねじステータ22をベース20に固定する固定用ボルト40として、固定用ボルト40の頭部41の高さが規格製品よりも低いものを用いた場合であっても、固定用ボルト40の六角穴42の深さはJIS B 1176の規定に適合する六角穴付きボルトを用いる構造とした。このため、工具により六角穴付きボルトを締結する際、工具と、六角穴付きボルトの六角穴42との当たり面の面積は、規格製品と同じである。従って、六角穴付きボルトを、工具との当たり面で損傷することなく十分な締付力で締め付けることができるという効果を奏する。
【0022】
(3)ねじステータ22の上面22dは、ロータシャフト11に向かって下り勾配の内周側内側傾斜面22d1および内周側外側傾斜面22d2を有する。このため、ねじステータ22の上面22dに入射した気体分子は、ロータシャフト11側に向かって散乱される確率が高くなり、流路GSに流入した気体分子は、速やかにねじ溝22gに導入される。これにより、流路GS内における生成物の堆積を抑制することができる。
【0023】
-第1の実施形態の変形例1-
図5は、第1の実施形態の変形例1を示す図であり、
図3に相当する図である。
図5に図示された変形例1では、ざぐり22e内に配置された六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する構造を有している。つまり、この構造では、六角穴付きボルトの頭部41の高さ(厚さ)は、ねじステータ22に設けられたざぐり22eの深さよりも高く(厚く)形成されている。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、JIS B 1176の規定に適合するか、それよりも低いものである。従って、六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する高さは、規格製品の頭部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する高さよりも低くなる。すなわち、変形例1に示された構造では、六角穴付きボルトの頭部41がざぐり22e内に配置されているため、六角穴付きボルトの頭部41の上面がねじステータ22の平坦面22d3から突出する高さは、ざぐり22eが形成されていない従来の構造よりも小さくなっている。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
変形例1の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
変形例1では、六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の平坦面22d3から突出する構造である。このため、上述した第1の実施形態に比し、六角穴付きボルトの頭部41がねじステータ22の平坦面22d3から突出する分だけ、六角穴付きボルトの頭部41と最下段のロータ翼12との隙間が小さくなる。しかし、六角穴付きボルトの頭部41の高さは規格製品と同一またはそれよりも低いため、従来の構造よりも、六角穴付きボルトの頭部41と最下段のロータ翼12との隙間を大きくすることができる。従って、第1の実施形態と同様な効果を奏する。
【0025】
-第1の実施形態の変形例2-
図6は、第1の実施形態の変形例2を示す図であり、
図3に相当する図である。
図6に図示された変形例2では、ねじステータ22の上面22dにざぐり22eを設けることなく、六角穴付きボルトの頭部41を、ねじステータ22の上面22dの平坦面22d3に当接して固定した構造を有している。この変形例2においては、六角穴付きボルトは、頭部41の高さ(厚さ)が、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトよりも低い(薄い)ものが用いられている。なお、頭部41の外径に対する頭部の高さがJIS B 1176の規定よりも低いものであれば、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
変形例2の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0026】
変形例2では、ねじステータ22を六角穴付きボルトによりベース20の上面20cに固定する構造において、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトよりも、頭部の高さが低いボルトが用いられている。このため、JIS B 1176の規定に適合する六角穴付きボルトを用いる従来の構造に比し、六角穴付きボルトの頭部41と最下段のロータ翼12との隙間を大きくすることができる。従って、第1の実施形態と同様な効果を奏する。
【0027】
-第1の実施形態の変形例3-
図7は、第1の実施形態の変形例3を示す図であり、
図3に相当する図である。
図7に図示された変形例3では、ねじステータ22の上面22dは、その全体がロータシャフト11に向かって下り勾配の斜面とされており、ロータシャフト11に直交する平坦面を有していない。また、ねじステータ22をベース20の上面20cに固定する六角穴付きボルトは、その頭部41の全体が、ざぐり22e内に配置されている。つまり、六角穴付きボルトの頭部41の高さは、ざぐり22eの最もロータシャフト側の端部位置、すなわち、ざぐり22eの深さが最も浅い位置においても、ざぐり22eの深さよりも薄い。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、JIS B 1176に適合するか、それよりも低いものである。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
変形例3の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
変形例3では、ねじステータ22を、ターボ排気部TPから気体が導入されるねじ溝排気部SPの導入路において六角穴付きボルトによりベース20の上面20cに固定する構造において、ねじステータ22の、ターボ排気部TPから気体が導入される上面22dにざぐり22eを設け、六角穴付きボルトの頭部41の上面を、ねじステータ22の上面22dより低くした。このため、ねじステータ22の上面22dと最下段のロータ翼12との隙間が、六角穴付きボルトの頭部41の部分で狭まることはない。よって、変形例3においても、第1の実施形態と同様な効果を奏する。
なお、変形例3では、ねじステータ22の上面22d全面を傾斜面とし、傾斜面の中間に、環状の平坦面を形成する必要は無いので、ねじステータ22の生産性がよく、コスト低減を図ることができる。
【0029】
-第2の実施形態-
図8は、本発明の第2の実施形態を示す図であり、
図3に相当する図である。
図8に示す第2の実施形態では、ねじステータ22の上面22dは、全体がロータシャフト11にほぼ直交する方向に配置された平坦面とされており、ロータシャフト11に向かって下り勾配の斜面は有していない。また、ねじステータ22をベース20に固定する固定用ボルト40としての六角穴付きボルトは、その頭部41の下面がねじステータ22の上面22d上に固定されている。
六角穴付きボルトは、頭部41の高さ(厚さ)が、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトよりも低い(薄い)ものが用いられている。なお、頭部41の外径に対する頭部の高さがJIS B 1176の規定よりも低いものであれば、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
第2の実施形態の他の構成は、上述した第1の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
第2の実施形態では、ねじステータ22を六角穴付きボルトによりベース20の上面20cに固定する構造において、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトよりも、頭部の高さが低いボルトが用いられている。このため、JIS B 1176で規定される六角穴付きボルトを用いる従来の構造に比し、六角穴付きボルトの頭部41と最下段のロータ翼12との隙間を大きくすることができる。従って、第1の実施形態と同様な効果を奏する。
なお、第2の実施形態では、ねじステータ22のフランジ22bの上面22d全体が平坦面であるので、第1の実施形態氏に比し、ねじステータ22の生産性がよく、コスト低減を図ることができる。
【0031】
-第3の実施形態-
図9は、本発明の第3の実施形態を示す図であり、
図3に相当する図である。
第3の実施形態は、
図8に示された第2の実施形態とは、ねじステータ22にざぐり22eを設け、固定用ボルト40の頭部41をざぐり22e内に配置した点で相違する。第3の実施形態では、六角穴付きボルトの頭部41の高さを、ざぐり22eの深さよりも薄くして、六角穴付きボルトの頭部41全体を、ざぐり22e内に配置した構造として例示されている。このため、六角穴付きボルトの頭部41の上面は、ねじステータ22の上面22dよりも低い位置に配置されている。
六角穴付きボルトは、JIS B 1176の規定に適合するもの(規格製品)、あるいは、規格製品に対し、その頭部41の高さ(厚さ)が低い(薄い)ものである。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
第3の実施形態の他の構成は、上述した第2の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
第3の実施形態では、固定用ボルト40の頭部41の上面が、ねじステータ22の上面22dよりも低い位置に配置されており、ねじステータ22の上面22dと最下段のロータ翼12との隙間が、固定用ボルト40の頭部41の部分で狭まることはない。このため、第1の実施形態の効果と同様な効果を奏する。
【0033】
-第4の実施形態-
図10は、本発明の第4の実施形態を示す図であり、
図3に相当する図である。
図10に図示された第4の実施形態では、第3の実施形態とは、固定用ボルト40としての六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の上面22dよりも突出する構造である点で相違する。
つまり、この構造では、六角穴付きボルトの頭部41の高さ(厚さ)は、ねじステータ22に設けられたざぐり22eの深さよりも高く(厚く)形成されている。六角穴付きボルトの頭部41の高さは、JIS B 1176の規定に適合するか、それよりも低いものである。従って、六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の上面22dから突出する高さは、規格製品の頭部がねじステータ22の上面22dから突出する高さよりも低くなる。
すなわち、第4の実施形態に示された構造では、六角穴付きボルトの頭部41がざぐり22e内に配置されているため、六角穴付きボルトの頭部41の上面がねじステータ22の上面22dから突出する高さは、ざぐり22eが形成されていない従来の構造よりも小さくなっている。なお、固定用ボルト40として、その頭部41の高さが、JIS B 1176の規定よりも低いものを用いる場合、一部の部位の寸法はJIS B 1176の規定と異なるものであってもよい。但し、この場合においても、固定用ボルト40の締付力を確保するため、六角穴42の深さは、JIS B 1176の規定に適合するものであることが望ましい。
第4の実施形態の他の構成は、上述した第2、第3の実施形態と同様であり、同一の部材に同一の符号を付して説明を省略する。
【0034】
第4の実施形態では、六角穴付きボルトの頭部41の上部がねじステータ22の上面22dから突出する構造である。このため、上述した第3の実施形態に比し、六角穴付きボルトの頭部41がねじステータ22の上面22dから突出する分だけ、六角穴付きボルトの頭部41と最下段のロータ翼12との隙間が小さくなる。しかし、六角穴付きボルトの頭部41の高さは規格製品と同一またはそれよりも低いため、従来の構造よりも、六角穴付きボルトの頭部41と最下段のロータ翼12との隙間を大きくすることができる。従って、第1の実施形態と同様な効果を奏する。
【0035】
なお、上記各実施形態において、固定用ボルト40は、その頭部41の高さ以外は、JIS(日本工業規格)に適合するものとして説明した。しかし、固定用ボルト40は、その頭部41の高さ以外は、ISO規格(国際標準化機構)、ANISI規格(アメリカ)、GB規格(中国)、KS規格(韓国)、DIN規格(ドイツ)等の使用国(生産国、販売国を含む)または国際機構の規格に適合するものとしてもよい。
【0036】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独あるいは相乗して奏することができるからである。また、本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 ターボ分子ポンプ(真空ポンプ)
10 ロータ
11 ロータシャフト
12 ロータ翼
13 ロータ円筒部
20 ベース
20c 上面
21 固定翼
22 ねじステータ
22d 上面
22d1 内周側内側傾斜面
22d2 内周側外側傾斜面
22d3 平坦面
22e ざぐり
22g ねじ溝
40 固定用ボルト(六角穴付きボルト)
41 頭部
42 六角穴
GS 流路(導入路)
SP ねじ溝排気部
TP ターボ排気部