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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】点検装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20120101AFI20220705BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20220705BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06F3/0484
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017107759
(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公開番号】P2018205875
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】足立 直紀
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 陽一
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091208(JP,A)
【文献】特開2014-143548(JP,A)
【文献】特開2014-232377(JP,A)
【文献】特許第6087452(JP,B1)
【文献】特開2015-230533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G16H 10/00 - 80/00
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の点検箇所を有する文書に対して、一つの点検箇所に対する点検項目と、この点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の点検箇所の周辺に予め定められた順序でガイド表示するように制御する表示制御手段を有し、
前記表示制御手段は、前記仮想入力部に対する点検結果の入力により一つの点検箇所に対する点検が終了した後に次の点検箇所に対応する点検項目と、次の点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の次の点検箇所の周辺ガイド表示するように制御する点検装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していないことを入力可能となるように仮想入力部を点検中の文書内の点検箇所の周辺にガイド表示するように制御する請求項1記載の点検装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、点検作業者の熟練度に応じて点検項目が異なって表示するように制御する請求項1又は2記載の点検装置。
【請求項4】
点検項目を表示する表示手段をさらに有し、前記表示制御手段は、前記表示手段の表示を制御する請求項1から3いずれか記載の点検装置。
【請求項5】
仮想入力部に対する入力を検知する入力検知手段をさらに有し、前記表示制御手段は、前記入力検知手段の検知結果に基づいて表示を制御する請求項1から4いずれか記載の点検装置。
【請求項6】
文書に対する点検項目を記憶する記憶手段をさらに有し、前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶されている点検項目を表示するように制御する請求項1から5いずれか記載の点検装置。
【請求項7】
文書を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた文書を登録する登録手段とをさらに有し、前記記憶手段は、前記登録手段に登録された文書に対応する点検項目を記憶する請求項6記載の点検装置。
【請求項8】
点検すべき文書の種類を判別する判別手段をさらに有し、前記判別手段の判別結果に応じて前記登録手段に登録されている文書を読み出す請求項7記載の点検装置。
【請求項9】
複数の点検箇所を有する文書に対して、一つの点検箇所に対する点検項目と、この点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の点検箇所の周辺に予め定められた順序でガイド表示するように制御し、
前記仮想入力部に対する点検結果の入力により一つの点検箇所に対する点検が終了した後に次の点検箇所に対応する点検項目と、次の点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の次の点検箇所の周辺ガイド表示するように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮影手段と、投影表示手段と、前記撮影手段による撮影画像に基づいて、当該撮影画像に含まれる記入用紙を認識する用紙認識手段と、この用紙認識手段に基づいてガイドを前記投影表示手段により前記記入用紙に投影して表示させるガイド表示制御手段と、を備えたことを特徴とする記入ガイド表示装置を開示する。
【0003】
特許文献2は、第1の文書と該第1の文書に対応する第2の文書を比較可能に表示する文書表示手段と、文書の種別を示す情報である文書種別情報に基づいて、前記第1の文書と前記第2の文書を比較することによって検討する項目を示す規則を抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された規則に基づいて、前記文書表示手段によって表示されている第1の文書と第2の文書の項目を関連付けて表示する関連表示手段を具備することを特徴とする情報処理装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-180988号公報
【文献】特開2015-092309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の点検個所がある文書の場合、それぞれの点検個所に対して一度に点検項目を表示すると、点検作業に集中できなく、点検しにくい。
【0006】
本発明は、複数の点検項目全体を表示するものと比較して点検しやすくすることができる点検装置及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る本発明は、複数の点検箇所を有する文書に対して、一つの点検箇所に対する点検項目と、この点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の点検箇所の周辺に予め定められた順序でガイド表示するように制御する表示制御手段を有し、前記表示制御手段は、前記仮想入力部に対する点検結果の入力により一つの点検箇所に対する点検が終了した後に次の点検箇所に対応する点検項目と、次の点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の次の点検箇所の周辺ガイド表示するように制御する点検装置である。
なお、ここで、「文書」とは、意味内容を記述したものであり、紙媒体のみにならず、電子化されたものも含む。また、「点検」とは、点検個所に対応する内容がある関係(例えば一致)にあることを確認する行為である。また、「点検項目」とは、点検を行うために必要な情報であり、例えば比較元の値、比較先の領域を示すガイド、点検の観点等が含まれる。
【0011】
請求項2に係る本発明は、前記表示制御手段は、点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していないことを入力可能となるように仮想入力部を点検中の文書内の点検箇所の周辺にガイド表示するように制御する請求項1記載の点検装置である。
【0012】
請求項に係る本発明は、前記表示制御手段は、点検作業者の熟練度に応じて点検項目が異なって表示するように制御する請求項1又は2記載の点検装置である。
【0013】
請求項に係る本発明は、点検項目を表示する表示手段をさらに有し、前記表示制御手段は、前記表示手段の表示を制御する請求項1からいずれか記載の点検装置である。
【0014】
請求項に係る本発明は、仮想入力部に対する入力を検知する入力検知手段をさらに有し、前記表示制御手段は、前記入力検知手段の検知結果に基づいて表示を制御する請求項1から4いずれか記載の点検装置である。
【0015】
請求項に係る本発明は、文書に対する点検項目を記憶する記憶手段をさらに有し、前記表示制御手段は、前記記憶手段に記憶されている点検項目を表示するように制御する請求項1からいずれか記載の点検装置である。
【0016】
請求項に係る本発明は、文書を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた文書を登録する登録手段とをさらに有し、前記記憶手段は、前記登録手段に登録された文書に対応する点検項目を記憶する請求項記載の点検装置である。
【0017】
請求項に係る本発明は、点検すべき文書の種類を判別する判別手段をさらに有し、前記判別手段の判別結果に応じて前記登録手段に登録されている文書を読み出す請求項記載の点検装置である。
【0018】
請求項9に係る本発明は、複数の点検箇所を有する文書に対して、一つの点検箇所に対する点検項目と、この点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の点検箇所の周辺に予め定められた順序でガイド表示するように制御し、前記仮想入力部に対する点検結果の入力により一つの点検箇所に対する点検が終了した後に次の点検箇所に対応する点検項目と、次の点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力可能となるようにする仮想入力部と、を点検中の文書内の次の点検箇所の周辺ガイド表示するように制御するステップをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
請求項1又は9に係る本発明によれば、複数の点検項目全体を表示するものと比較して点検しやすくすることができる。
また、請求項1又は9に係る本発明によれば、文書における点検箇所の記載と点検項目とを比較しやすくすることができる。
また、請求項1又は9に係る本発明によれば、点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していることを入力することができる。
【0023】
請求項に係る本発明によれば、請求項に係る発明の効果に加えて、点検箇所の記載が点検項目に含まれる点検条件を満足していないことを入力することができる。
【0024】
請求項に係る本発明によれば、請求項1又は2に係る発明の効果に加えて、点検作業者の熟練度に応じた点検項目を表示することができる。
【0025】
請求項に係る本発明によれば、請求項1からいずれかに係る本発明の効果に加えて、表示手段により表示される点検項目の表示を制御することができる。
【0026】
請求項に係る本発明によれば、請求項1から4いずれかに係る本発明の効果に加えて、仮想入力部に対する入力を検知することができる。
【0027】
請求項に係る本発明によれば、請求項1からいずれかに係る本発明の効果に加えて、点検項目を予め記憶させておくことができる。
【0028】
請求項に係る本発明によれば、請求項に係る本発明の効果に加えて、読み取った文書に対して点検項目を紐付けて記憶させておくことができる。
【0029】
請求項に係る本発明によれば、請求項に係る本発明の効果に加えて、点検すべき文書の種類を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る点検装置の全体を示すシステム構成図である。
図2】本発明の実施形態に用いたパーソナルコンピュータの回路例を示すブロック図である。
図3】本発明の実施形態に用いたサーバの回路例を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る点検装置のソフトウエア構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施形態に用いた点検文書データベースのデータ構造を示す図表である。
図6】本発明の実施形態に用いた点検項目データベースのデータ構造を示す図表である。
図7】本発明の実施形態に用いた点検ルールデータベースのデータ構造を示す図表である。
図8】本発明の実施形態に用いた点検履歴データベースのデータ構造を示す図表である。
図9】本発明の実施形態に用いた作業者データベースのデータ構造を示す図表である。
図10】本発明の実施形態に係る点検装置において、文書配置から先頭の点検項目のガイド表示までの流れを示すフローチャートである。
図11】本発明の実施形態に係る点検装置において、点検結果記入から次の点検項目のガイド表示までの流れを示すフローチャートである。
図12】本発明の実施形態において、文書の一例である「承諾書」を示す平面図である。
図13】本発明の実施形態において、「日付」を点検する場合の「承諾書」を示す平面図である。
図14】本発明の実施形態において、「債務者」を点検する場合の「承諾書」を示す平面図である。
図15】本発明の実施形態において、熟練者モードでの「印鑑」を点検する場合の「承諾書」を示す平面図である。
図16】本発明の実施形態において、初心者モードでの「印鑑」を点検する場合の「承諾書」を示す平面図である。
図17】本発明の実施形態において、「契約口座」を点検する場合の「承諾書」を示す平面図である。
図18】本発明の実施形態において、パーソナルコンピュータの点検作業中のモニタ画面を示す画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る点検装置10の全体が示されている。点検装置10は、端末装置として例えばパーソナルコンピュータ12と、このパーソナルコンピュータ12に無線又は有線あるいはインターネットを介して接続されたサーバ14とを有する。
【0032】
パーソナルコンピュータ12には、第一の表示装置としてのプロジェクタ16と液晶等からなる第二の表示装置としてのモニタ18とが接続されている。また、パーソナルコンピュータ12には、入力検出手段を構成するデジタイザ20が接続され、さらにデータ入力手段としてのキーボード22やマウス24が接続されている。
【0033】
さらにパーソナルコンピュータ12には、第一の画像読取装置としてのカメラ26が接続されている。このカメラ26とプロジェクタ16とは共通の基台28に設けられ、デジタイザ20に向けられている。デジタイザ20上には、点検すべき文書Dが載置される。デジタイザ20は、文書Dに後述する点検項目を写す。カメラ26は、文書Dから撮類を特定する情報、例えば二次元バーコードを読み取る。また、パーソナルコンピュータ12又はパーソナルコンピュータ12に接続されるネットワークには、第二の画像読取装置として図示しないスキャナが接続されている。また、デジタイザ20に対して位置を指示して位置情報をパーソナルコンピュータ12へ入力するためのペン30が設けられている。
【0034】
図2には、パーソナルコンピュータ12のハードウエアが示されている。
パーソナルコンピュータ12は、図2に示されるように、CPU(中央演算処理装置)32、メモリ34、記憶装置36、通信インターフェイス38、入力装置インターフェイス40及び表示装置インターフェイス42を有する。
【0035】
メモリ34は、一時的にデータを保存する。記憶装置36は、フラッシュメモリ等からなり、プログラムやデータが記憶されている。通信インターフェイス38は、例えば無線LANターミナルとの間で無線通信を行ってデータの送信及び受信を行う。入力装置インターフェイス40は、前述したデジタイザ20、キーボード22、マウス24、カメラ26等が接続され、これらからのデータを受け付ける。表示装置インターフェイス42は、前述したプロジェクタ16及びモニタ18が接続され、表示するデータを出力するようになっている。そして、これらの構成要素は、制御バス44を介して互いに接続されている。
【0036】
CPU32は、記憶装置36に格納された制御プログラムに基づいて予め定められた処理を実行して、パーソナルコンピュータ12の動作を制御する。なお、この制御プログラムは、インターネット通信網や携帯電話回線網を介してダウンロードすることにより入手してCPU32に提供することも可能であるし、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU32に提供することも可能である。
【0037】
図3には、サーバ14のハ―ウエア構成が示されている。
サーバ装置14は、図3に示されるように、通信部46、制御部48及びデータ格納部50を備えている。
【0038】
通信部46は、無線又は有線あるいはインターネットを介してパーソナルコンピュータ12と通信する。制御部48は、プログラムに基づいてサーバ14を制御する。データ格納部50は、点検装置10として必要なデータをデータベースとして格納する。データベースは、後述するように、点検文書データベース、点検項目データベース、点検ルールデータベース、点検履歴データベース等からなる。
【0039】
次に点検装置10のソフトウエア構成について説明する。
なお、最初に行う点検を「一次点検」、一次点検されたものに対してさらに行う点検を「二次点検」という。
図4には、点検装置10の概念的なソフトウエア構成が示されている。
なお、図4において、「モジュール」とは、ソフトウエアを構成する構成要素をいうが、ハードウエアで構成してもよい。
【0040】
サーバ14は、点検文書登録モジュール52を有する。この点検文書登録モジュール52は、点検文書を点検文書データベース54に登録するためのモジュールである。点検文書データベース54には、点検対象となる文書が格納される。点検文書登録モジュール52は、同じ文書に対して修正があった場合は、以前に登録した文書の新しいバージョンとして点検文書データベース54に登録する。この点検文書登録モジュール52にはスキャナ56からの読取画像が受け付けられる。この点検文書登録モジュール52は、スキャナ56から読み取られた二次元コード等の文書を特定する識別子から文書を判定する。ただし、識別子から文書を特定することなく、操作者が指示するようにしてもよい。
【0041】
図5には、点検文書データベース54のデータ構造の一例が示されている。点検文書データベース54は、「文書ID」、「バージョン番号」及び「文書データ」から構成されている。「文書ID」は文書データの識別子であり、「バージョン番号」は文書データのバージョンを示し、「文書データ」は、格納する文書のファイルデータの実体であり、例えばバイナリコードで表現されている。同じ文書ID(例えば1111)に対してバージョンが異なれば異なるバージョン番号が付され、バージョン管理機能を有するようになっている。例えば一次点検時のバージョンが1とし、一次点検の結果に基づいて修正され、二次点検時のバージョンが2として管理する。
【0042】
また、サーバ14は、点検項目抽出モジュール58を有する。この点検項目抽出モジュール58は、点検文書データベース52に登録された文書の画像と、点検項目データベース60に登録された点検項目と、点検ルールデータベース62に登録された点検ルールとから二次点検に必要な情報を抽出する。点検項目データベース60には、点検文書データベース54に登録されている文書と紐付けられた点検項目が格納されている。点検項目には、例えば対応する点検ルール、文書の識別子、OK/NGの点検結果等が格納されている。また、点検ルールデータベース62には、点検文書データベース54に登録されている文書と紐付けられた点検ルールが格納されている。点検ルールは、対応する文書の点検個所の位置情報と点検内容から構成されている。
【0043】
図6には、点検項目データベース60のデータ構造の一例が示されている。二次点検時の点検項目抽出後の状態を示している。点検項目データベース60は、「文書ID」、「点検順序」、「ページ番号」、「領域」、「点検内容」、「一次点検結果」及び「二次点検結果」から構成されている。「文書ID」は文書の識別子である。「点検順序」は、文書ID毎に定められた点検の順序を示す。「ページ番号」は点検対象の領域(点検箇所)が存在する文書の頁番号を示す。「領域」は点検箇所の領域であり、ガイドを表示するための座標である。(x0,y0)-(x1,y1)の形式でデータが格納されている。「点検内容」は、点検内容を示す文字列である。「一次点検結果」「二次点検結果」は点検結果を格納する。例えばOK、NG、空値をとる。空値の項目は点検が必要な項目となる。
【0044】
また、サーバ14は、表示情報生成モジュール64を有する。この表示情報生成モジュール64は、点検文書データベース54に格納された文書と紐づけられた情報を点検項目データベース60及び点検ルールデータベース62から抽出し、パーソナルコンピュータ12に表示する情報及びプロジェクタ16のより投影する情報を生成する。
【0045】
図7には、点検ルールデータベース62のデータ構造の一例が示されている。点検ルールデータベース62は、「文書ID」、「点検順序」、「ページ番号」、「領域」及び「点検内容」から構成されている。点検項目データベース60の元となり、点検項目データベース60から「一次点検結果」及び「二次点検結果」を除いたものとなっている。
【0046】
さらに、サーバ14は、点検結果処理モジュール66を有する。この点検結果処理モジュール66は、点検項目に対する作業者の作業結果を点検履歴データベース68に格納する。
【0047】
図8には、点検履歴データベース68のデータ構造の一例が示されている。点検履歴データベース68は、「点検項目ID」、「作業者ID」、「日時」、「種目」及び「点検ミス記録」から構成されている。「点検項目ID」は点検項目ごとに付された識別子である。「作業者ID」は作業者ごとに付された識別子である。「日時」は作業を行った日時が入力される。「種目」は点検内容と同じである。「点検ミス記録」は点検ミスがあった点検項目に付される。例えば一次点検ではOKとなったが、二次点検でNGとなった点検項目である。
【0048】
なお、図4には示していないが、作業者データベースを設けることができる。作業者データベースは、例えば図9に示すように、「作業者ID」、「作業者名」、「タイプ」及び「過去の点件数」から構成されている。「作業者ID」は作業者ごとの識別子である。「作業者名」は作業者の名前である。「タイプ」は例えば常任であるのか非常任であるのかを入力する。「過去の点件数」は過去に行った点検項目の数である。このような作業者データベースに基づいて作業者の熟練度を算出し、例えば熟練者と初心者に分ける。
【0049】
パーソナルコンピュータ12は、文書認識モジュール70を有する。この文書認識モジュール70は、例えばカメラ26により文書の2次元コードを読み出し、文書のIDを認識する。
【0050】
また、パーソナルコンピュータ12は、点検画面表示モジュール74を有する。この点検画面表示モジュール74は、モニタ18に点検画面を表示する。
【0051】
次に点検装置10の動作例を説明する。
図5には、点検装置10において、文書配置から先頭の点検項目のガイド表示までのフローが示されている。
【0052】
まず、ステップS10において、文書として紙がデジタイザ20上に配置されると、カメラ16により二次元コードが認識される。
【0053】
次のステップS12においては、ステップS10で認識された二次元コードに基づいて、文書認識モジュール70が点検すべき案件情報を抽出する。
【0054】
次のステップS14においては、ステップS12において抽出した案件情報から表示情報生成モジュール64が点検文書データベース54より紐付く文書情報を取得する。
【0055】
次のステップS16においては、ステップS12において抽出した案件情報から表示情報生成モジュール64が点検ルールデータベース62より紐付く点検ルール情報を取得する。
【0056】
次のステップS18においては、ステップS16において取得した点検ルール情報から表示情報生成モジュール64が点検項目データベース60より紐付く点検項目リストを取得する。
【0057】
次のステップS20においては、紐付く点検項目リストが存在するか否かを判定する。
このステップS20において、紐付く点検項目リストが存在しないと判定された場合は、ステップS22に進み、案件情報に紐付く他の文書が無い場合は、画面表示モジュール74がモニタ18に点検項目リストが無い旨を表示し、また、案件情報に紐付く他の文書がある場合は、デジタイザ20上の文書が間違っているので、パーソナルコンピュータ12のモニタ18上に他の文書を配置するよう促す表示を行う。
【0058】
ステップステップS20において、紐付く点検盲目リストが存在すると判定された場合は、ステップS24に進み、表示情報生成モジュール64が点検履歴データベース68より各点検盲目に紐付く点検履歴情報を抽出する。
【0059】
次のステップS26においては、表示情報生成モジュール64が点検項目の一覧情報を生成し、画面表示モジュール74がモニタ18に表示する。
【0060】
さらに次のステップS28においては、表示情報生成モジュール64が先頭の点検項目の点検内容及びガイド情報を生成し、プロジェクタ26でデェジタイザ20上の文書に投影する。
【0061】
図6には、点検装置10において、点検結果の記入から次の点検項目のガイド表示までのフローが示されている。
【0062】
まずステップS30において、文書上で入力が行われると、ステップS32において、デジタイザ20から入力情報が送られ、点検結果処理モジュール66が入力情報を受け付ける。
【0063】
次のステップS34においては、点検結果処理モジュール66が、文書上の位置、入力内容、点検項目のガイド位置とのマッチングを解析する。
【0064】
次のステップS36においては、ステップS34で解析した結果から入力情報が「点検結果OK」、「点検結果NG」又は「その他」かを判定する。
【0065】
ステップS36において、「点検結果OK」と判定された場合は、ステップS38へ進み、点検結果処理モジュール66が対象となる点検項目の「点検結果OK」の履歴を点検履歴データベース68に追加する。ステップS36において、「点検結果NG」と判定された場合は、ステップS40に進み、パーソナルコンピュータ12のモニタ18に不備内容入力ダイアログを表示し、例えばキーボード22やマウス24から不備内容の入力を受け付ける。次のステップS42においては、ステップS40で受け付けた不備内容を点検履歴データベース68に追加する。ステップS36において、「その他」と判定された場合は、処理を終了する。
【0066】
ステップS38又はステップS40の処理を終了すると、ステップS44へ進み、点検項目の一覧情報を更新し、パーソナルコンピュータ12のモニタ18に表示する。
【0067】
次のステップ S46においては、次の点検項目が存在するか否かを判定する。ステップS46において、次の点検項目が存在すると判定された場合は、ステップS48へ進み、表示情報生成モジュール64が次の点検項目の点検内容及びガイド情報からプロジェクタ16で投影する表示データを生成し、生成された表示データをプロジェクタ16に投影する。
【0068】
ステップS46において、次の点検項目が存在しないと判定された場合は、ステップ S50に進み、案件情報に紐付く他の文書がある場合は、パーソナルコンピュータ12のモニタに他の文書を配置するよう促す表示を行う。
【0069】
さらに本発明の実施形態をより具体的に説明する。
図12は、例えば銀行で用いられる文書である「承諾書」を示している。この「承諾書」が作業者の元に束として届く。作業者は、「承諾書」を前述したデジタイザ20上に置くと、カメラ20で「承諾書」の右上にある二次元コードを読み取る。この二次元コードを読み取ることにより点検作業が開始される。ここで「承諾書」には、点検箇所として「日付」、「債権者」、「印鑑」、「契約口座」等がある。
【0070】
図13は、まず「日付」を点検する場合を示している。プロジェクタ16により「日付」の周辺にガイド表示がなされる。また、「日付」の下部には、例えば点検内容として「有効範囲:H26年7月~H26年8月」と表示される。また、「承諾書」内であって、点検内容の横には、仮想入力部として「OK」ボタン、「NG」ボタンが表示される。作業者は、ペン30により「OK」ボタン又は「NG」ボタンのいずれかを押すと、デジタイザ20が押した位置を検出し、この検出した位置情報がパーソナルコンピュータ12に入力される。
【0071】
なお、「NG」ボタンが押された場合は、不備入力モードに移行する。即ち、パーソナルコンピュータ12のモニタ18には、不備入力画面が表示され、キーボード22で入力したコメントが付箋のイメージとして貼られ、依頼者にメールが送付される。「承諾書」の再作成や訂正が必要な場合は「承諾書」を依頼者に戻す。質問と回答で終わる場合は、オンラインで済ませる。
【0072】
「日付」の点検作業が終了すると、図14に示すように、次の点検箇所である「債権者」に点検項目が表示される。即ち、「債権者」の周辺にガイド表示がなされ、上部には点検内容が示され、「OK」ボタン、「NG」ボタンが表示される。作業者は、ペン30により「OK」ボタン又は「NG」ボタンのいずれかを押すと、デジタイザ20が押した位置を検出し、この検出した位置情報がパーソナルコンピュータ12に入力される。
【0073】
「債権者」の点検作業が終了すると、図15に示すように、次の点検箇所である「印鑑」に点検項目が表示される。即ち、「印鑑」の周辺にガイド表示がなされ、上部には点検内容が示され、「OK」ボタン、「NG」ボタンが表示される。作業者は、ペン30により「OK」ボタン又は「NG」ボタンのいずれかを押すと、デジタイザ20が押した位置を検出し、この検出した位置情報がパーソナルコンピュータ12に入力される。
【0074】
図15は、熟練者モードの場合を示している。熟練者モードにおいては、点検項目としては、単に「印鑑照合」としか表示していない。一方、図16は、初心者モードの場合を示している。初心者モードにおいては、単に「印鑑照合」と表示しただけでは足りないので、例えば「「折り重ね照合」を実施してください。PC画面に手順を表示します」というようなガイド情報が表示される。他の点検箇所においても同様に熟練者モードと初心者モードとを使い分けるようになっている。
【0075】
「印鑑」の点検作業が終了すると、図17に示すように、次の点検箇所である「契約口座」に点検項目が表示される。即ち、「契約口座」の周辺にガイド表示がなされ、上部には点検内容が示され、「OK」ボタン、「NG」ボタンが表示される。作業者は、ペン30により「OK」ボタン又は「NG」ボタンのいずれかを押すと、デジタイザ20が押した位置を検出し、この検出した位置情報がパーソナルコンピュータ12に入力される。
【0076】
図18は、二次点検におけるパーソナルコンピュータ12のモニタ18の画面を示している。例えば左側に「承諾書」が表示され、右側に点検項目が示されている。口座情報確認であれば、左側の「承諾書」に契約口座の点検箇所が示される。
【0077】
なお、上記実施形態においては、紙文書に対して点検を行うようにしているが、図18に示すように、例えばパーソナルコンピュータのモニタ12の画面に電子文書を表示し、この電子文書に対して点検を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0078】
10 点検装置
12 パーソナルコンピュータ
14 サーバ
16 プロジェクタ
18 モニタ
20 デジタイザ
32 CPU
52 点検文書登録モジュール
54 点検文書データベース
58 点検項目抽出モジュール
60 点検項目データベース
62 点検ルールデータベース
64 表示情報生成モジュール
66 点検結果処理モジュール
68 点検履歴データベース
図1
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