(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/566 20210101AFI20220705BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20220705BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20220705BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20220705BHJP
H01M 50/528 20210101ALI20220705BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20220705BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20220705BHJP
【FI】
H01M50/566
H01M50/15
H01M50/545
H01M50/533
H01M50/528
H01M50/55 101
H01M50/538
(21)【出願番号】P 2017189365
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】室屋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】井上 博之
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0308177(US,A1)
【文献】特開2017-084695(JP,A)
【文献】特開2008-251260(JP,A)
【文献】特開2001-093387(JP,A)
【文献】特開2007-234276(JP,A)
【文献】特開2012-054203(JP,A)
【文献】特開2018-101568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/15
H01M 50/528ー50/566
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口又は接続用切り欠き部が設けられ、
前記突起が前記接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、
前記突起と前記ベース部が溶接されて溶接ナゲットが形成され、
前記集電体は、前記ベース部の端部から前記電極体に向かって延びるリード部を有し、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記リード部の境界に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域を有する、二次電池。
【請求項2】
前記二次電池は角形二次電池であり、
前記リード部は、前記封口板の短手方向における前記ベース部の端部に設けられており、
前記境界部は、前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域を有し、
前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が設けられた、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口又は接続用切り欠き部が設けられ、
前記突起が前記接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、
前記突起と前記ベース部が溶接されて溶接ナゲットが形成され、
前記第1電極板に設けられた
複数のタブ部を備え、
前記複数
のタブ部が積層されて前記ベース部に接続され、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記ベース部と前記タブ部の接続部に沿った直線部を有する、二次電池。
【請求項4】
複数の第1電極板と、前記複数の第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記複数の第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口又は接続用切り欠き部が設けられ、
前記突起が前記接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、
前記突起と前記ベース部が溶接されて溶接ナゲットが形成され、
前記複数の第1電極板はそれぞれタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続され、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記ベース部と前記タブ部の接続部に沿った直線部を有する、二次電池。
【請求項5】
第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口又は接続用切り欠き部が設けられ、
前記突起が前記接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、
前記突起と前記ベース部が溶接されて溶接ナゲットが形成され、
前記第1電極板
は複数のタブ部を備え、
前記複数のタブ部が積層されて前記ベース部に接続され、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域を有する、二次電池。
【請求項6】
複数の第1電極板と、前記複数の第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記複数の第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口又は接続用切り欠き部が設けられ、
前記突起が前記接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、
前記突起と前記ベース部が溶接されて溶接ナゲットが形成され、
前記複数の第1電極板はタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続され、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域を有
する、二次電池。
【請求項7】
前記境界部は、前記ベース部と前記複数のタブ部の接続部に沿って延びる領域に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が設けられた請求項
5または6に記載の二次電池。
【請求項8】
第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部と前記ベース部の端部から前記電極体に向かって延びるリード部を有する二次電池の製造方法であって、
前記封口板に設けられた突起を、前記ベース部に設けられた接続用開口又は接続用切り欠き部内に配置する配置工程と、
前記突起と前記ベース部にエネルギー線を照射し、前記突起と前記ベース部を溶接接続し溶接ナゲットを形成する溶接工程と、を有し、
前記溶接工程において、前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記リード部の境界に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成されるように前記突起と前記接続用開口又は接続用切り欠き部の縁部とを溶接接続する、二次電池の製造方法。
【請求項9】
前記二次電池は角形二次電池であり、
前記ベース部は、前記封口板の短手方向における前記ベース部の端部に設けられており、
前記境界部は、前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域を有し、
前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が形成された、請求項
8に記載の二次電池の製造方法。
【請求項10】
前記溶接工程の後、前記リード部を前記ベース部に対して折り曲げる折り曲げ工程を有する請求項
8又は
9に記載の二次電池の製造方法。
【請求項11】
複数の第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有する二次電池の製造方法であって、
前記封口板に設けられた突起を、前記ベース部に設けられた接続用開口又は接続用切り欠き部内に配置する配置工程と、
前記突起と前記ベース部にエネルギー線を照射し、前記突起と前記ベース部を溶接接続し溶接ナゲットを形成する溶接工程と、を有し、
前記複数の第1電極板
はそれぞれ複数のタブ部を備え、
前記複数
のタブ部が積層されて前記ベース部に接続された二次電池の製造方法であって、
前記複数の第1電極板において、第1電極板の前記複数
のタブ部が積層された第1タブ群と、第1電極板の
前記複数
のタブ部が積層された第2タブ群とを、前記ベース部に接続するタブ群接続工程と、
前記第1タブ群と前記第2タブ群をそれぞれ異なる方向に湾曲させる湾曲工程と、を有し、
前記タブ群接続工程の後に前記溶接工程を行い、
前記溶接工程の後に前記湾曲工程を行い、
前記溶接工程において、前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成されるように前記突起と前記ベース部を溶接接続する、二次電池の製造方法。
【請求項12】
複数の第1電極板と、前記複数の第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記複数の第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有する二次電池の製造方法であって、
前記封口板に設けられた突起を、前記ベース部に設けられた接続用開口又は接続用切り欠き部内に配置する配置工程と、
前記突起と前記ベース部にエネルギー線を照射し、前記突起と前記ベース部を溶接接続し溶接ナゲットを形成する溶接工程と、を有し、
前記複数の第1電極板はタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続された二次電池の製造方法であって、
複数の前記タブ部が積層された第1タブ群と、複数の前記タブ部が積層された第2タブ群とを、前記ベース部に接続するタブ群接続工程と、
前記第1タブ群と前記第2タブ群をそれぞれ異なる方向に湾曲させる湾曲工程と、を有し、
前記タブ群接続工程の後に前記溶接工程を行い、
前記溶接工程の後に前記湾曲工程を行い、
前記溶接工程において、前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成されるように前記突起と前記ベース部を溶接接続する、二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の駆動用電源において、アルカリ二次電池や非水電解質二次電池等の角形二次電池が使用されている。
【0003】
これらの角形二次電池では、開口を有する有底筒状の角形の外装体と、外装体の開口を封口する封口板により電池ケースが構成される。電池ケース内には、正極板、負極板及びセパレータからなる電極体が電解液と共に収容される。封口板にはそれぞれ絶縁部材を介して正極外部端子及び負極外部端子が取り付けられる。正極端子は正極集電体を介して正極板に電気的に接続され、負極端子は負極集電体を介して負極板に電気的に接続される。
【0004】
また、下記特許文献1のように、正極集電体を封口板の電池内面に接続し、電池ケースが正極端子を兼ねる構成とする二次電池が提案されている。このような構成とすると、部品点数を削減できる等のメリットがある。しかしながら、正極集電体と封口板の接続方法について詳細には検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電気自動車やハイブリッド電気自動車等の駆動用電源等に用いられる二次電池においては、強い衝撃や振動が加わった場合でも、電極体から電池外部への導電経路が破損・損傷し難い構造とすることが求められる。
【0007】
本願発明の一つの目的は、より信頼性の高い二次電池及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの様態の二次電池は、
第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有し、
前記封口板の前記電極体側の面に突起が設けられ、
前記ベース部に接続用開口又は接続用切り欠き部が設けられ、
前記突起が前記接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、
前記突起と前記ベース部が溶接されて溶接ナゲットが形成されている。
【0009】
本発明の一つの様態の二次電池では、封口板に設けられた突起が集電体に設けられた接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、封口板に設けられた突起とベース部が溶接接続されている。よって、封口板と集電体が強固に接続され、封口板と集電体の接続部の信頼性が高い。
【0010】
本発明の一つの様態の二次電池において、
前記集電体は、前記ベース部の端部から前記電極体に向かって延びるリード部を有し、前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記リード部の境界に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域を有する構成とすることができる。
【0011】
二次電池に強い衝撃や振動が加わったとき、集電体が電極体に引っ張られることにより、突起とベース部の境界部のうちベース部とリード部の境界に最も近い部分に、強い負荷が加わる。突起とベース部の境界部においてベース部とリード部の境界に最も近い部分に、他の領域に比べて溶接ナゲットが密に形成されていると、最も負荷が加わり易い部分がより強固に接続される。よって、封口板と集電体の接続部の信頼性がより高い。また、突起とベース部の境界部において、封口板と集電体の接続部の信頼性に比較的に寄与し難い部分においては、溶接ナゲットの形成状態をより疎とすることにより、溶接ナゲットを形成する際に金属スパッタが発生することを抑制できる。よって、より信頼性の高い二次電池となる。なお、金属スパッタは各部品に付着し金属異物となり、内部短絡の原因となりうるため、金属スパッタの発生を抑制することが好ましい。
【0012】
本発明の一つの様態の二次電池において、
前記二次電池は角形二次電池であり、
前記リード部は、前記封口板の短手方向における前記ベース部の端部に設けられており、
前記境界部は、前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域を有し、
前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が設けられた構成とすることができる。このような構成であると、より二次電池を容易に製造することができる。
【0013】
なお、前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域は、直線状であることが好ましい。このような構成であると、一点に負荷が集中することを抑制できるため、より信頼性の高い二次電池となる。
【0014】
本発明の一つの様態の二次電池において、
前記ベース部に前記接続用開口が設けられ、
前記境界部の平面視の形状は長円形状であり、第1直線部、第2直線部、第1曲線部及び第2曲線部を有し、
前記第1直線部は前記第2直線部よりも、前記ベース部と前記リード部の境界の近くに位置し、
前記第1直線部に前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が設けられ、
前記第1直線部では、前記第1曲線部及び前記第2曲線部よりも溶接ナゲットが密に形成された構成とすることができる。このような構成によると、封口板と集電体の接続部の信頼性がより高い二次電池となる。
【0015】
前記第1直線部及び前記第2直線部は、それぞれ前記封口板の長手方向に延びる構成とすることができる。
【0016】
本発明の一つの様態の二次電池において、
前記第1電極板に設けられたタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続され、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も
近い部分に、前記ベース部と前記タブ部の接続部に沿った直線部を有する構成とすることができる。
【0017】
二次電池に強い衝撃や振動が加わったとき、集電体がタブ部を介して電極体に引っ張られることにより、突起とベース部の境界部のうちベース部とリード部の接続部に最も近い部分に、強い負荷が加わる。突起とベース部の境界部であって、ベース部とタブ部の接続部に最も近い部分に、ベース部とタブ部の接続部に沿った直線部が設けられていることにより、1点に負荷が集中すること防止できる。よって、より信頼性の高い二次電池となる。
【0018】
本発明の一つの様態の二次電池において、
前記第1電極板に設けられたタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続され、
前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域を有する構成とすることができる。突起とベース部の境界部においてベース部とタブ部の接続部に最も近い部分に、他の領域に比べて溶接ナゲットが密に形成されていると、最も負荷が加わり易い部分がより強固に接続される。よって、封口板と集電体の接続部の信頼性がより高い。また、突起とベース部の境界部において、封口板と集電体の接続部の信頼性に比較的に寄与し難い部分においては、溶接ナゲットの形成状態をより疎とすることにより、溶接ナゲットを形成する際に金属スパッタが発生することを抑制できる。よって、より信頼性の高い二次電池となる。
【0019】
前記境界部は、前記ベース部と前記タブ部の接続部に沿って延びる領域に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が設けられることが好ましい。これにより、封口板と集電体の接続部の信頼性がより高い二次電池となる。
【0020】
本発明の一つの様態の二次電池の製造方法は、
第1電極板と、前記第1電極板とは極性の異なる第2電極板を含む電極体と、
開口を有し、前記電極体を収容する外装体と、
前記開口を封口する封口板と、
前記第1電極板に電気的に接続された集電体と、を備え、
前記集電体は、前記封口板に対向するように配置されたベース部を有する二次電池の製造方法であって、
前記封口板に設けられた突起を、前記ベース部に設けられた接続用開口又は接続用切り欠き部内に配置する配置工程と、
前記突起と前記ベース部にエネルギー線を照射し、前記突起と前記ベース部を溶接接続し溶接ナゲットを形成する溶接工程と、を有する。
【0021】
本発明の一つの様態の二次電池の製造方法によると、封口板に設けられた突起が集電体に設けられた接続用開口又は接続用切り欠き部に嵌合され、封口板に設けられた突起とベース部が溶接接続されている。よって、封口板と集電体が強固に接続され、封口板と集電体の接続部の信頼性が高い二次電池となる。
【0022】
本発明の一つの様態の二次電池の製造方法では、
前記集電体は、前記ベース部の端部から前記電極体に向かって延びるリード部を有する二次電池の製造方法であって、
前記溶接工程において、前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記リード部の境界に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成されるように前記突起と前記接続用開口又は接続用切り欠き部の縁部とを溶接接
続する構成とすることができる。
これにより、封口板と集電体の接続部の信頼性が高く、また、内部短絡がより確実に防止されたより信頼性の高い二次電池となる。
【0023】
前記二次電池は角形二次電池であり、
前記ベース部は、前記封口板の短手方向における前記ベース部の端部に設けられており、
前記境界部は、前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域を有し、
前記ベース部と前記リード部の境界に沿って延びる領域に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成された領域が形成される構成とすることができる。これにより、封口板と集電体の接続部の信頼性がより高い二次電池となる。
【0024】
前記溶接工程の後、前記リード部を前記ベース部に対して折り曲げる折り曲げ工程を有する構成とすることができる。これにより、より信頼性の高い二次電池をより効率的に製造できる。
【0025】
本発明の一つの様態の二次電池の製造方法では、
前記第1電極板に設けられたタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続された二次電池の製造方法であって、
複数の前記タブ部が積層された第1タブ群と、複数の前記タブ部が積層された第2タブ群とを、前記ベース部に接続するタブ群接続工程と、
前記第1タブ群と前記第2タブ群をそれぞれ異なる方向に湾曲させる湾曲工程と、を有し、
前記タブ群接続工程の後に前記溶接工程を行い、
前記溶接工程の後に前記湾曲工程を行うことができる。
これにより、より体積エネルギー密度が高く、信頼性の高い二次電池となる。
【0026】
前記第1電極板に設けられたタブ部を備え、
複数の前記タブ部が積層されて前記ベース部に接続された二次電池の製造方法であって、
前記溶接工程において、前記突起と前記ベース部の境界部であって、前記ベース部と前記タブ部の接続部に最も近い部分に、前記境界部における他の領域よりも溶接ナゲットが密に形成されるように前記突起と前記ベース部を溶接接続する構成とすることができる。
【0027】
突起とベース部の境界部においてベース部とタブ部の接続部に最も近い部分に、他の領域に比べて溶接ナゲットが密に形成されていると、最も負荷が加わり易い部分がより強固に接続される。よって、封口板と集電体の接続部の信頼性がより高い。また、突起とベース部の境界部において、封口板と集電体の接続部の信頼性に比較的に寄与し難い部分においては、溶接ナゲットの形成状態をより疎とすることにより、溶接ナゲットを形成する際に金属スパッタが発生することを抑制できる。よって、より信頼性の高い二次電池となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、より信頼性の高い二次電池となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】実施形態1に係る角形二次電池の斜視図である。
【
図4】各部品を取り付けた後の封口板の電池内部側の面を示す図である。
【
図5】封口板の電池内部側の面を示す図であり、突起の近傍の拡大図である。
【
図6】正極集電体の平面図であり、ベース部近傍の拡大図である。
【
図7】封口板上に正極集電体を配置した状態の平面図であり、封口板と正極集電体の接続部の近傍の拡大図である。
【
図8】
図8Aは、封口板と正極集電体を溶接接続する前の
図7におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図8Bは、封口板と正極集電体を溶接接続した後の
図7におけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図9Aは、封口板と正極集電体を溶接接続する前の
図7におけるIX-IX線に沿った断面図である。
図9Bは、封口板と正極集電体を溶接接続した後の
図7におけるIX-IX線に沿った断面図である。
【
図10】正極集電体に電極体を接続した後の封口板と正極集電体の接続部の近傍の封口板の短手方向に沿った断面図である。
【
図11】実施形態1に係る角形二次電池における封口板と正極集電体のベース部の接続部近傍の拡大図である。
【
図12】(a)実施形態1に係る角形二次電池における封口板の突起とベース部の第2境界部の第1直線部の封口板の厚み方向における境界面を示す図である。(b)実施形態1に係る角形二次電池における封口板の突起とベース部の第2境界部の第2直線部の封口板の厚み方向における境界面を示す図である。
【
図13】実施形態2に係る角形二次電池における封口板と正極集電体のベース部の接続部近傍の拡大図である。
【
図14】実施形態3に係る角形二次電池における封口板と正極集電体のベース部の接続部近傍の拡大図である。
【
図15】(a)実施形態3に係る角形二次電池における封口板の突起とベース部の第2境界部の第1直線部の封口板の厚み方向における境界面を示す図である。(b)実施形態3に係る角形二次電池における封口板の突起とベース部の第2境界部の第1曲線部の封口板の厚み方向における境界面を示す図である。
【
図16】実施形態4に係る角形二次電池における集電体にタブ部を取り付けた後の封口板の電池内面側を示す図である。
【
図17】実施形態4に係る角形二次電池の封口板の短手方向に沿った断面図であり、封口板の突起と正極集電体の接続部の近傍を示す図である。
【
図18】
図16における封口板の突起と正極集電体の接続部の近傍の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態1に係る角形二次電池20の構成を以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態1に限定されない。
【0031】
図1は角形二次電池20の斜視図である。
図2は
図1のII-II線に沿った断面図である。
図1及び
図2に示すように角形二次電池20は、開口を有する有底筒状の角形外装体1と、角形外装体1の開口を封口する封口板2からなる電池ケースを備える。角形外装体1及び封口板2は、それぞれ金属製であることが好ましく、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金製とすることが好ましい。角形外装体1内には、正極板と負極板がセパレータを介して積層ないし巻回された電極体3が電解質と共に収容されている。電極体3と角形外装体1の間には絶縁シート14が配置されている。
【0032】
電極体3を構成する正極板には、正極集電体6が接続されている。正極集電体6は封口板2の電池内部側の面に接続されている。これにより、正極板は正極集電体6を介して封口板2に電気的に接続されている。正極集電体6は金属製であることが好ましく、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0033】
電極体3を構成する負極板には、負極集電体7が接続されている。負極集電体7は、負極外部端子8に接続されている。負極集電体7と封口板2の間には内部側絶縁部材9が配置されている。負極外部端子8と封口板2の間には外部側絶縁部材10が配置されている。これにより、負極集電体7及び負極外部端子8は、封口板2と絶縁されている。負極集電体7は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることが好ましい。内部側絶縁部材9及び外部側絶縁部材10は樹脂製であることが好ましい。負極外部端子8は金属製であることが好ましく、銅又は銅合金製であることが好ましい。また、
図2に示すように負極外部端子8は、電池内部側に配置される第1金属部8aと電池外部側に配置される第2金属部8bからなることが好ましい。このとき、第1金属部8aは銅又は銅合金製であることが好ましい。第2金属部8bはアルミニウム又はアルミニウム合金製であることが好ましい。このような構成であると、複数の角形二次電池を用いて組電池を作製する際、一方の角形二次電池の正極端子と他方の角形二次電池の負極端子を接続するバスバーとして、アルミニウム又はアルミニウム合金製のバスバーを好適に使用することができる。なお、第1金属部8aの表面にはニッケル層が形成されていることが好ましい。
【0034】
封口板2には、電池ケース内の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース内のガスを電池ケース外に排出するガス排出弁17が設けられている。封口板2には電解液注液孔15が設けられており、電池ケース内に電解液を注液した後、封止栓16により封止される。
【0035】
次に角形二次電池20の製造方法について説明する。なお、実施形態1に係る角形二次電池20においては、正極板が第1電極板であり、負極板が第2電極板である。
[正極板の作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としての炭素材料、及び分散媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を含む正極合剤スラリーを作製する。この正極合剤スラリーを、正極芯体としての厚さ15μmの長尺状のアルミニウム箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、正極合剤スラリー中のNMPを取り除き、正極芯体上に正極活物質層を形成する。その後、正極活物質層を所定厚みになるように圧縮処理を行った後、所定の形状に裁断する。このようにして得られた正極板は、長尺状の正極芯体の幅方向の端部に、正極芯体の長手方向に沿って両面に正極活物質合剤層が形成されていない正極芯体露出部4を有する。
【0036】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び分散媒としての水を含む負極合剤スラリーを作製する。この負極合剤スラリーを、負極芯体としての厚さ8μmの長尺状の銅箔の両面に塗布する。そして、これを乾燥させることにより、負極合剤スラリー中の水を取り除き、負芯体上に負極活物質層を形成する。その後、負極活物質層を所定厚みになるように圧縮処理を行った後、所定の形状に裁断する。このようにして得られた負極板は、長尺状の負極芯体の幅方向の端部に、負極芯体の長手方向に沿って両面に負極活物質合剤層が形成されていない負極芯体露出部5を有する。
【0037】
[電極体の作製]
上述の方法で作製した正極板と負極板をセパレータを介して巻回することにより巻回型の電極体3を作製する。
図3に示すように電極体3は、巻回軸方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。なお、電極体3の最外周はセパレータで覆われていることが好ましい。
【0038】
[負極集電体及び負極外部端子の封口板への取り付け]
封口板2に設けられた負極端子取り付け孔2dの周囲において、封口板2の電池内面側に内部側絶縁部材9と負極集電体7のベース部7aを配置し、封口板2の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。次に、負極外部端子8を、外部側絶縁部材10の貫通孔、封口板2の負極端子取り付け孔2d、内部側絶縁部材9の貫通孔及び負極集電体7のベース部7aの貫通孔のそれぞれに挿入し、負極外部端子8の先端部を負極集電体7のベース部7a上にカシメる。これにより、
図2、
図4に示すように、負極外部端子8、外部側絶縁部材10、内部側絶縁部材9及び負極集電体7が封口板2に固定される。なお、負極外部端子8においてカシメられた部分と負極集電体7のベース部7aを更にレーザ溶接等により溶接接続し、溶接接続部を形成することが好ましい(図示は省略)。
【0039】
[正極集電体の封口板への取り付け]
図5に示すように、封口板2の電池内部側の面には、突起2aが設けられている。突起2aは、封口板2の短手方向において、封口板2の中心線Cよりも一方側(
図5においては上方)にずれている。なお、中心線Cは、封口板2の短手方向における封口板2の中心を通り、封口板2の長手方向に延びる。突起2aの先端には、先端凹部2bが設けられている。突起2aの平面視の形状は長円形状である。突起2aは、直線状の突起直線部2a1を有する。なお、突起2aを中心線C上に設けてもよい。
【0040】
図6に示すように、正極集電体6のベース部6aには、接続用開口6xが設けられている。接続用開口6xの平面視の形状は長円形状である。接続用開口6xの周囲には、環状の環状薄肉部6cが設けられている。また、接続用開口6xの縁部には環状突起6dが設けられている。なお、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40の端部には、切り欠き部6f及び切り欠き部6gが設けられている。接続用開口6xは直線部6yを有する。
【0041】
図7は、封口板2上に正極集電体6を配置した状態を示す図である。なお、
図7においては、リード部6bはベース部6aに対して曲げ加工されていない。封口板2に設けられた突起2aが、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xに嵌合される。接続用開口6xは、封口板2の短手方向において、封口板2の中心線Cよりも一方側(
図7においては上方)にずれている。なお、
図7及び
図8Aに示すように、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40を折り曲げる前の状態の正極集電体6を封口板2上に配置することが好ましい。但し、曲げ加工を行った後の正極集電体6を封口板2上に配置してもよい。
【0042】
図8A及び
図9Aにおいて、封口板2の突起2aとベース部6aにおける接続用開口6xの縁部にレーザ等のエネルギー線を照射する。これにより
図8B及び
図9Bに示すように、溶接ナゲット30が形成され、封口板2の突起2aとベース部6aが溶接接続される。なお、溶接ナゲット30は、ベース部6aに設けられた環状突起6dと封口板2の突起2aに形成されることが好ましい。
【0043】
なお、封口板2に設けられた突起2aの先端には、先端凹部2bが形成されることが好ましい。このような構成であると、封口板2の突起2aと正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部をエネルギー線の照射等により溶接する際、より大きな溶接ナゲット30が形成される。したがって、封口板2と正極集電体6がより強固に接続される。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。なお、先端凹部2bは必須の構成ではない。
【0044】
正極集電体6のベース部6aにおいて、接続用開口6xの周囲には環状の環状薄肉部6cが設けられている。また、接続用開口6xの縁部には環状突起6dが設けられている。このような構成であると、封口板2の突起2aと正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部をエネルギー線の照射等により溶接する際、より大きな溶接接続
部が形成される。したがって、封口板2と正極集電体6がより強固に接続される。なお、環状突起6dの先端(
図8Aにおいては上端)は、正極集電体6のベース部6aの電極体3側の面(
図8Aにおいては上面)よりも突出していないことが好ましい。なお、環状薄肉部6c及び環状突起6dは必須の構成ではない。
【0045】
図8A及び
図9Aに示すように、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの封口板2側の端部(
図8Aにおいては下端)にテーパー部6eが形成されていることが好ましい。これにより、接続用開口6x内に突起2aを挿入する際、突起2aが損傷することを防止できる。
【0046】
なお、
図1及び
図2に示すように、封口板2の電池外部側の面において、突起2aと対向する位置に凹部2cが形成されていることが好ましい。また、封口板2の電池外部側の面には、封口板2の長手方向に延びる一対の第1溝部2eと、封口板2の短手方向に延びる一対の第2溝部2fが設けられていることが好ましい。
【0047】
[正極集電体及び負極集電体の折り曲げ]
封口板2に接続された正極集電体6について、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40で曲げ加工を行う。このとき、ベース部6aを封口板2に押し付けた状態で、リード部6bをベース部6aに対して曲げることが好ましい。
【0048】
ここで、封口板2の短手方向において、リード部6bとベース部6aの第1境界部40(折り曲げられる部分)は、封口板2の中心線Cよりも一方側に位置し、封口板2と正極集電体6の接続部50は封口板2の中心線Cよりも他方側にずれている。このため、封口板2と正極集電体6の接続部50が、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40(折り曲げられる部分)からより離れた位置に存在する。したがって、ベース部6aに対してリード部6bを折り曲げる際、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わることをより効果的に抑制できる。よって、封口板2と正極集電体6の接続部50が損傷・破損することをより効果的に防止できる。
【0049】
なお、
図7に示すように、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40となる部分には、幅方向の端部に切り欠き部6g及び切り欠き部6fを設けておくことが好ましい。これにより、正極集電体6を折り曲げ加工する際、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わることを抑制できる。
【0050】
負極集電体7についても、ベース部7aとリード部7bの境界部で折り曲げ加工を行う。
【0051】
なお、正極集電体6及び負極集電体7は、封口板2に取り付けられるときは、平板状のものであることが好ましい。
【0052】
[正極集電体及び負極集電体と電極体の接続]
正極集電体6のリード部6bを電極体3の巻回された正極芯体露出部4の最外面に溶接接続する。負極集電体7のリード部7bを電極体3の巻回された負極芯体露出部5の最外面に溶接接続する。なお、接続方法としては、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接等を用いることができる。
【0053】
[角形二次電池の組立て]
封口板2に正極集電体6及び負極集電体7を介して接続された電極体3の周囲を絶縁シート14で覆う。次に、絶縁シート14で覆われた電極体3を角形外装体1に挿入する。そして、角形外装体1と封口板2をレーザ溶接することにより、角形外装体1の開口を封
口板2により封口する。その後、封口板2に設けられた電解液注液孔15から角形外装体1内に非水溶媒と電解質塩を含む非水電解液を注入し、電解液注液孔15を封止栓16により封止する。封止栓16としてはブラインドリベットを用いることが好ましい。なお、金属製の封止栓16を封口板2に溶接接続することも可能である。
【0054】
[角形二次電池20]
図7に示すように、封口板2に設けられた突起2aが、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xに嵌合されている。このため、封口板2と正極集電体6が強固に接続される。更に、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部は、リード部6b側に封口板2の長手方向に延びる直線部6yを有する。このため、電極体3により正極集電体6が角形外装体1の底部方向に引っ張られた際、負荷が封口板2と正極集電体6の接続部50における1点に集中することを抑制できる。よって、封口板2と正極集電体6の接続部50が損傷あるいは破損することをより効果的に抑制できる。
【0055】
また、正極集電体6のベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部は、それぞれ封口板2の長手方向に延びる二つの直線部を有することが好ましい。また、封口板2の突起2aは、平面視でその外周縁に、封口板2の長手方向に延びる二つの直線部を有することが好ましい。そして、接続用開口6xの縁部の二つの直線部が、それぞれ突起2aの二つの直線部に対向するように配置されることが好ましい。このような構成であると、封口板2と正極集電体6の接続部50がより損傷・破損し難くなる。
【0056】
図10に示すように、角形二次電池20では、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40が封口板2の中心線Cよりも一方側(
図10において左側)に位置し、封口板2と正極集電体6の接続部50は封口板2の中心線Cよりも他方側(
図10において右側)にずれている。このため、封口板2と正極集電体6の接続部50が、ベース部6aとリード部6bの第1境界部40からより離れた位置に存在する。したがって、角形二次電池20に強い衝撃や振動が加わり、電極体3が角形外装体1内で動くように力が加わり、電極体3に接続された正極集電体6が引っ張られたとしても、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わり難い形態となっている。このため、より信頼性の高い角形二次電池となる。なお、封口板2と正極集電体6の接続部50を中心線C上に配置してもよい。
【0057】
更に、正極集電体6のリード部6bには、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42が形成されている。正極集電体6が電極体3に引っ張られた際、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42が負荷を吸収するため、封口板2と正極集電体6の接続部50に負荷が加わることをより効果的に抑制できる。なお、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42は、それぞれ線状であり、それぞれ封口板2の長手方向に沿って延びている(
図10においては、手前‐奥の方向)。封口板2に対して垂直な方向において、第1折れ曲がり部41は、第2折れ曲がり部42よりも封口板2側に位置している。また、封口板2の短手方向において、第1折れ曲がり部41は、第2折れ曲がり部42よりも外側、即ち、角形外装体1の側壁に近い側に位置している。第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42は、正極集電体6を封口板2に接続する前に形成しても良いし、正極集電体6を封口板2に接続した後に形成しても良い。また、第1折れ曲がり部41と第2折れ曲がり部42は必ずしも設けなくてもよい。
【0058】
[封口板と正極集電体の接続部]
図11は、実施形態1に係る角形二次電池20における封口板2と正極集電体6のベース部6aの接続部近傍の拡大図である。なお、
図11は、封口板2に対して垂直な方向から封口板2と正極集電体6のベース部6aの接続部近傍を見た図である。また、
図11においては、封口板2の先端凹部2b、正極集電体6の環状薄肉部6c及び環状突起6dの図示は省略している。
【0059】
図11に示すように、封口板2の突起2aと正極集電体6のベース部6aの境界部である第2境界部60は、長円形状である。ここで、第2境界部60は、突起2aとベース部6aに設けられた接続用開口6xの縁部の境界でもある。
そして、封口板2の突起2aと正極集電体6のベース部6aの第2境界部60は、第1直線部60a、第2直線部60b、第1曲線部60c及び第2曲線部60dを有する。なお、第2境界部60の第1直線部60aは、ベース部6aの接続用開口6xの直線部6yと封口板2の突起2aの突起直線部2a1の境界に相当する。
第2境界部60において、ベース部6aとリード部6bの境界である第1境界部40側に位置する第1直線部60aにおいては、第2境界部60における他の領域に比べて、溶接ナゲット30が密に形成されている。角形二次電池20においては、第1直線部60aにおける溶接ナゲット30同士の距離が、他の領域における溶接ナゲット30間の距離よりも小さくすることにより、溶接ナゲット30がより密に形成されている。
【0060】
図12(a)は、封口板2の突起2aとベース部6aの第2境界部60の第1直線部60aの封口板2の厚み方向における境界面を示す図である。
図12(b)は、封口板2の突起2aとベース部6aの第2境界部60の第2直線部60bの封口板2の厚み方向における境界面を示す図である。第1直線部60aと第2直線部60bでは、一つの溶接ナゲット30のサイズは同じであるが、溶接ナゲット30同士の距離が異なる。第1直線部60aでは溶接ナゲット30同士が重なるように形成されており、第2直線部60bに比べ密に溶接ナゲット30が形成されている。
【0061】
第2境界部60のうち、ベース部6aとリード部6bの境界である第1境界部40の近くに位置する領域にどのように溶接ナゲット30を形成するかにより、封口板2と正極集電体6の接続部の信頼性が異なる。
角形二次電池20に衝撃や振動が加わったとき、電極体3により正極集電体6が引っ張られるように力が加わる。そして、封口板2に設けられた突起2aと正極集電体6のベース部6aの接続部のうち、リード部6bに最も近い位置に最も負荷が加わる。このため、角形二次電池20のように、第2境界部60のうち、ベース部6aとリード部6bの境界である第1境界部40の近くに位置する領域に、溶接ナゲット30を密に形成することにより、封口板2と正極集電体6の接続部の信頼性がより高いものとなる。
【0062】
なお、第2境界部60の全領域において溶接ナゲット30を同じ状態に形成した場合、溶接の際に必要なエネルギーが多くなると共に、溶接の際に生じる
金属スパッタ等の発生の確率が高くなる可能性がある。実施形態1に係る角形二次電池20では、第2境界部60において、ベース部6aとリード部6bの境界である第1境界部40側に位置する第1直線部60aにおいては、第2境界部60における他の領域に比べて、溶接ナゲット30が密に形成されているため、封口板2と正極集電体6の接続部の信頼性を高くすると共に、溶接時に必要なエネルギーを低減すると共に、スパッタ等の発生を抑制し、内部短絡等の発生をより効果的に抑制できる。
【0063】
[実施形態2]
図13は、実施形態2に係る角形二次電池の
図11に対応する図である。実施形態2に係る角形二次電池は、溶接ナゲット30の形成状態が異なる以外は実施形態1に係る角形二次電池20と同様の構成を有する。
【0064】
図12に示すように、実施形態2に係る角形二次電池では、第1直線部60a及び第2直線部60bにおいては、第1曲線部60c及び第2曲線部60dよりも溶接ナゲット30が密に形成されている。
【0065】
[実施形態3]
図14は、実施形態3に係る角形二次電池の
図11に対応する図である。実施形態3に係る角形二次電池は、溶接ナゲット30の形成状態が異なる以外は実施形態に係る角形二次電池20と同様の構成を有する。
【0066】
図14に示すように、実施形態3に係る角形二次電池では、第2直線部60bには溶接ナゲット30が形成されていない。また、第1直線部60aにおいては、第1曲線部60c及び第2曲線部60dよりも溶接ナゲット30が密に形成されている。
【0067】
図15(a)は、封口板2の突起2aとベース部6aの第2境界部60の第1直線部60aの封口板2の厚み方向における境界面を示す図である。
図15(b)は、封口板2の突起2aとベース部6aの第2境界部60の第1曲線部60cの封口板2の厚み方向における境界面を示す図である。第1直線部60aと第1曲線部60cでは、一つの溶接ナゲット30のサイズは同じであるが、溶接ナゲット30同士の距離が異なる。第1直線部60aでは溶接ナゲット30同士がより多く重なるように形成されており、第1曲線部60cに比べ密に溶接ナゲット30が形成されている。
【0068】
[実施形態4]
図16は、実施形態4に係る角形二次電池における組立て途中の封口板の電池内面側を示す図である。
実施形態4に係る角形二次電池では、電極体が第1電極体要素103Aと第2電極体要素103Bを含む。第1電極体要素103Aと第2電極体要素103Bは、それぞれ正極板と負極板を含む。正極板に正極タブが設けられ、負極板には負極タブが設けられている。正極タブは正極芯体の一部であり、負極タブは負極芯体の一部とすることができる。
【0069】
第1電極体要素103Aと第2電極体要素103Bは、それぞれ複数の正極板と複数の負極板を含む積層型の電極体要素であってもよい。この場合、一つの正極板に少なくとも一つの正極タブ部が設けられ、一つの負極板に少なくとも一つの負極タブ部が設けられる。第1電極体要素103Aと第2電極体要素103Bは、帯状の正極板と帯状の負極板をセパレータを介して巻回した巻回型の電極体要素であってもよい。この場合、正極板に複数の正極タブ部を間隔をおいて設け、負極板に複数の負極タブ部を間隔をおいて設けることができる。
【0070】
第1電極体要素103Aに含まれる正極板の正極タブは積層されて第1正極タブ群140Aを構成する。第1電極体要素103Aに含まれる負極板の負極タブは積層されて第1負極タブ群150Aを構成する。第2電極体要素103Bに含まれる正極板の正極タブは積層されて第2正極タブ群140Bを構成する。第2電極体要素103Bに含まれる負極板の負極タブは積層されて第2負極タブ群150Bを構成する。
【0071】
第1正極タブ群140Aと第2正極タブ群140Bは、正極集電体106に
溶接接続される。また、第1負極タブ群150Aと第2負極タブ群150Bは負極集電体109に溶接接続される。これにより、溶接部120が形成される。
【0072】
封口板2には外部絶縁部材(図示省略)と内部絶縁部材114を介して負極端子(図示省略)が固定される。また、封口板2には突起2aが設けられる。
第1正極タブ群140Aと第2正極タブ群140Bが接続された正極集電体106が封口板2に設けられた突起2aに接続される。また、第1負極タブ群150Aと第2負極タブ群150Bが接続された負極集電体109が封口板2に固定された負極端子に接続されて、溶接部121が形成される。このようにして、
図16に示す状態となる。
【0073】
その後、第1電極体要素103Aと第2電極体要素103Bを一つに纏める。これにより、第1正極タブ群140Aと第2正極タブ群140Bが異なる方向に湾曲し、第1負極タブ群150Aと第2負極タブ群150Bが異なる方向に湾曲する。このような方法で角形二次電池を作製すると、
図17に示すように封口板2と、第1電極体要素103A及び第2電極体要素103Bにより構成される電極体の間のスペースを小さくすることができる。よって、より体積エネルギー密度の高い角形二次電池とすることができる。また、第1正極タブ群140Aと第2正極タブ群140Bがそれぞれ湾曲しており、封口板2の突起2aと正極集電体106の接続部に負荷が加わり難い構成となる。
【0074】
なお、実施形態4に係る角形二次電池について、特に説明がない部分については、実施形態1に係る角形二次電池20と同様の構成とすることができる。
【0075】
図17及び
図18に示すように、封口板2の突起2aを正極集電体106の接続用開口106xに嵌合する。そして、突起2aと正極集電体106が溶接接続され、溶接ナゲット130が形成される。このような構成とすることで、封口板2と正極集電体106の接続部の信頼性が高い二次電池となる。
【0076】
図18に示すように、突起2aと正極集電体106の第3境界部160が、第1正極タブ群140Aと正極集電体106の溶接部120に沿った第1直線部160aと、第2正極タブ群140Bと正極集電体106の溶接部120に沿った第2直線部160bとを有することが好ましい。このような構成とすることにより、角形二次電池に強い衝撃や振動が加わった際に、封口板2と正極集電体106の接続部における1点に負荷が集中することを効果的に抑制できる。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。
【0077】
また、
図18に示すように、突起2aと正極集電体106の第3境界部160のうち正極集電体106と第1正極タブ群140Aの溶接部120に最も近い部分、及び突起2aと正極集電体106の第3境界部160のうち正極集電体106と第2正極タブ群140Bの溶接部120に最も近い部分に、他の領域よりも溶接ナゲット130が密に形成されている。よって、より信頼性の高い角形二次電池となる。なお、突起2aと正極集電体106の第3境界部160のうち、第1曲線部160c及び第2曲線部160dに溶接ナゲットを形成することもできる。
【0078】
なお、実施形態4に角形二次電池において、突起2aと正極集電体106の境界部の全領域に溶接ナゲット130を実質的に同じ状態に設けることも考えられる。この場合、金属スパッタが生じる可能性は高くなるものの、封口板2と正極集電体106の接続部の信頼性は向上する。
【0079】
なお、実施形態4に係る角形二次電池では、正極集電体106が平板状であり、正極集電体106の全体が封口板2と対向するように配置されている。したがって、正極集電体106の全体がベース部となっている。
【0080】
実施形態4において、封口板2の突起2aの構造は、実施形態1に係る角形二次電池20と同様とすることができる。また、実施形態4において、正極集電体106の構造を、実施形態1に係る角形二次電池20における正極集電体6のベース部6aの形状と同様とすることができる。
【0081】
≪その他≫
溶接ナゲットの径は、例えば0.3mm~1.2mmであることが好ましく、0.5mm~1.2mmであることがより好ましく、0.5mm~1.0mmであることが更に好ましい。溶接ナゲットの深度は、例えば0.1mm~1.5mmであることが好ましく、
0.2mm~1.0mmであることがより好ましく、0.3mm~0.7mmであることが更に好ましい。そして、突起とベース部の境界部であってベース部とリード部の境界に最も近い部分、あるいは、突起とベース部の境界部であってベース部とタブ部の接続部に最も近い部分には、溶接ナゲットが線状に形成されるか、スポット状の溶接ナゲットが重なって形成された領域が形成されていることが好ましい。
【0082】
集電体のベース部に接続用開口を設ける代わりに、集電体のベース部の外周近傍に接続用切り欠き部を設けることもできる。また、封口板に設けたと突起と負極集電体のベース部に設けた接続用開口又は接続用切り欠き部を嵌合し、溶接接続することもできる。
【0083】
溶接ナゲットの形成状態の疎と密の比較については、例えば、突起とベース部の境界を通り、封口板の厚み方向に沿った境界面において、その面積当りの溶接ナゲットが占める面積の割合で比較することができる。
【0084】
連続発振型のレーザ等を用いて、連続的に形成された溶接ナゲットを形成することもできる。
【0085】
封口板の突起と集電体のベース部の境界部の平面視の形状は、方形状(各コーナー部がR化された形状も含む)あるいは楕円形状等とすることもできる。
【0086】
なお、封口板の突起と集電体のベース部の境界部の平面視の形状が略方形状の場合、略方形状を構成する直線部がベース部とリード部の境界部に沿って配置されるようにすることが好ましい。そして、ベース部とリード部の境界部に沿って配置される直線部に、他の領域よりも密に溶接ナゲットが形成されることが好ましい。
【0087】
また、封口板の突起と集電体のベース部の境界部の平面視の形状が楕円形状の場合、楕円形状を構成する湾曲率が小さい領域が、ベース部とリード部の境界部に沿って配置されるようにすることが好ましい。そして、ベース部とリード部の境界部に沿って配置される湾曲率が小さい領域に、他の領域よりも密に溶接ナゲットが形成されることが好ましい。
【0088】
溶接ナゲットの径を変化させることにより、あるいは、溶接ナゲットの深度(深さ)等を変化させることにより、溶接ナゲットの疎と密を制御することもできる。
【符号の説明】
【0089】
20・・・角形二次電池
1・・・角形外装体
2・・・封口板
2a・・・突起
2a1・・・突起直線部
2b・・・先端凹部
2c・・・凹部
2d・・・負極端子取り付け孔
3・・・電極体
4・・・正極芯体露出部
5・・・負極芯体露出部
6・・・正極集電体
6a・・・ベース部
6b・・・リード部
6c・・・環状薄肉部
6d・・・環状突起
6e・・・テーパー部
6f・・・切り欠き部
6g・・・切り欠き部
6x・・・接続用開口
6y・・・直線部
7・・・負極集電体
7a・・・ベース部
7b・・・リード部
8・・・負極外部端子
8a・・・第1金属部
8b・・・第2金属部
9・・・内部側絶縁部材
10・・・外部側絶縁部材
14・・・絶縁シート
15・・・電解液注液孔
16・・・封止栓
17・・・ガス排出弁
30・・・溶接ナゲット
40・・・第1境界部
41・・・第1折れ曲がり部
42・・・第2折れ曲がり部
50・・・接続部
60・・・第2境界部
60a・・・第1直線部
60b・・・第2直線部
60c・・・第1曲線部
60d・・・第2曲線部
103A・・・第1電極体要素
103B・・・第2電極体要素
140A・・・第1正極タブ群
140B・・・第2正極タブ群
150A・・・第1負極タブ群
150B・・・第2負極タブ群
106・・・正極集電体
106x・・・接続用開口
109・・・負極集電体
114・・・内部絶縁部材
120、121・・・溶接部
130・・・溶接ナゲット
160・・・第3境界部
160a・・・第1直線部
160b・・・第2直線部
160c・・・第1曲線部
160d・・・第2曲線部