(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】無線システムおよび無線端末
(51)【国際特許分類】
H04L 69/00 20220101AFI20220705BHJP
H04W 52/02 20090101ALN20220705BHJP
【FI】
H04L69/00
H04W52/02
(21)【出願番号】P 2017204197
(22)【出願日】2017-10-23
【審査請求日】2020-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】横田 憲
(72)【発明者】
【氏名】清水 高志
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/141300(WO,A1)
【文献】特開2010-114671(JP,A)
【文献】特開2010-098495(JP,A)
【文献】特表2012-523155(JP,A)
【文献】特開2009-027667(JP,A)
【文献】特開2005-079636(JP,A)
【文献】特表2015-502721(JP,A)
【文献】特開平11-313370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-69/40
H04W 52/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と、電池からの供給電力に基づいて前記基地局との間で無線通信を行う無線端末とを備える無線システムであって、
前記基地局は、
前記無線端末から通知された当該無線端末の監視結果を収集して監視期間ごとに記憶部に保存する収集部と、
一定周期長を有する判定タイミングごとに、当該判定タイミングと対応する前記監視期間に関する監視結果を前記記憶部から取得して、予め設定されている基準値と比較することにより、前記無線端末との無線リンクに関するリンク要否を判定し、前記リンク要否の判定結果を前記無線端末に通知する通信処理部とを備え、
前記無線端末は、
前記基地局の圏内に位置する際、前記基地局との間で確立した無線リンクを介して無線通信を行う無線I/F部と、
前記周期長以上の時間長からなる監視期間ごとに自端末の動作状況を監視し、得られた監視結果を前記基地局に通知する監視部と、
前記基地局から通知された前記リンク要否の判定結果に基づいて、前記無線リンクに関する確立要否を前記無線I/F部に指示する制御部とを備え、
前記無線I/F部は、前記制御部からの確立要否の指示に基づいて前記基地局との無線リンクの確立または切断を行う
ことを特徴とする無線システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の無線
システムにおいて、
前記
通信処理部は、前記リンク要否を判定する際、前記監視結果のうち前記判定タイミングの直前に位置する監視期間に関する監視結果を、前記記憶部から取得して前記基準値とを比較することを特徴とする無線
システム。
【請求項3】
請求項
1に記載の無線
システムにおいて、
前記
通信処理部は、前記リンク要否を判定する際、当該判定を行う判定日より前に得られた監視結果であって、かつ、当該リンク要否の判定結果が反映される時間帯に相当する監視期間に得られた監視結果を、前記記憶部から取得して前記基準値とを比較することを特徴とする無線
システム。
【請求項4】
請求項1記載の無線システムにおける無線端末。
【請求項5】
請求項
4に記載の無線端末において、
前記無線I/F部は、前記基地局との無線リンクが切断されている場合、一定の待受間隔で前記基地局からのビーコン信号を受信し、当該ビーコン信号で通信要が通知された場合には前記基地局との無線リンクを再確立し、
前記制御部は、前記基地局との無線リンクが切断されている場合、自端末での特定操作に応じて前記無線I/F部に前記基地局との無線リンクの確立要を指示する
ことを特徴とする無線端末。
【請求項6】
請求項
4または請求項
5に記載の無線端末において、
前記制御部は、前記基地局との無線リンクが確立されている場合、自端末での無操作期間が一定時間以上連続した場合には、前記無線I/F部に前記基地局との無線リンクの確立不要を指示することを特徴とする無線端末。
【請求項7】
請求項
4~請求項
6のいずれかに記載の無線端末において、
前記監視部は、前記監視期間における前記無線端末での操作頻度または前記基地局との通信頻度を監視することを特徴とする無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基地局との間で無線通信する無線端末での消費電力を削減する無線省電力技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基地局との間で無線通信する無線端末での消費電力を削減する技術として、無線端末が基地局の圏外に位置している場合、無線端末に搭載している電池の残量が低下している場合には、無線端末における基地局探索処理を一定間隔で実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これにより、無線通信可能な基地局が見つかるまで基地局探索処理を連続して行う場合と比較して、無線端末での消費電力が大幅に削減されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来技術では、基地局の圏外に位置している無線端末に関する消費電力を削減対象としているため、無線端末が基地局の圏内に位置している場合には、無線端末での消費電力を削減することができないという問題点があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、無線端末が基地局の圏内に位置している場合でも無線端末での消費電力を削減できる無線省電力技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明にかかる無線システムは、基地局と、電池からの供給電力に基づいて前記基地局との間で無線通信を行う無線端末とを備える無線システムであって、前記基地局は、前記無線端末から通知された当該無線端末の監視結果を収集して監視期間ごとに記憶部に保存する収集部と、一定周期長を有する判定タイミングごとに、当該判定タイミングと対応する前記監視期間に関する監視結果を前記記憶部から取得して、予め設定されている基準値と比較することにより、前記無線端末との無線リンクに関するリンク要否を判定し、前記リンク要否の判定結果を前記無線端末に通知する通信処理部とを備え、前記無線端末は、前記基地局の圏内に位置する際、前記基地局との間で確立した無線リンクを介して無線通信を行う無線I/F部と、前記周期長以上の時間長からなる監視期間ごとに自端末の動作状況を監視し、得られた監視結果を前記基地局に通知する監視部と、前記基地局から通知された前記リンク要否の判定結果に基づいて、前記無線リンクに関する確立要否を前記無線I/F部に指示する制御部とを備え、前記無線I/F部は、前記制御部からの確立要否の指示に基づいて前記基地局との無線リンクの確立または切断を行うようにしたものである。
【0007】
また、本発明にかかる上記無線システムの一構成例は、前記通信処理部が、前記リンク要否を判定する際、前記監視結果のうち前記判定タイミングの直前に位置する監視期間に関する監視結果を、前記記憶部から取得して前記基準値とを比較するようにしたものである。
【0008】
また、本発明にかかる上記無線システムの一構成例は、前記通信処理部が、前記リンク要否を判定する際、当該判定を行う判定日より前に得られた監視結果であって、かつ、当該リンク要否の判定結果が反映される時間帯に相当する監視期間に得られた監視結果を、前記記憶部から取得して前記基準値とを比較するようにしたものである。
【0009】
また、本発明にかかる無線端末は、上記無線システムにおける無線端末である。
【0010】
また、本発明にかかる上記無線端末の一構成例は、前記無線I/F部が、前記基地局との無線リンクが切断されている場合、一定の待受間隔で前記基地局からのビーコン信号を受信し、当該ビーコン信号で通信要が通知された場合には前記基地局との無線リンクを再確立し、前記制御部は、前記基地局との無線リンクが切断されている場合、自端末での特定操作に応じて前記無線I/F部に前記基地局との無線リンクの確立要を指示するようにしたものである。
【0011】
また、本発明にかかる上記無線端末の一構成例は、前記制御部が、前記基地局との無線リンクが確立されている場合、自端末での無操作期間が一定時間以上連続した場合には、前記無線I/F部に前記基地局との無線リンクの確立不要を指示するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる上記無線端末の一構成例は、前記監視部が、前記監視期間における前記無線端末での操作頻度または前記基地局との通信頻度を監視するようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視結果が基準値より低下して無線端末の動作状況が低くなった場合には、基地局との無線リンクが自動的に切断されることになる。このため、無線端末が基地局の圏内に位置している場合でも無線端末での消費電力を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施の形態にかかる無線システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】リンク制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】監視期間と判定タイミングとの関係を示す説明図である。
【
図6】第1の実施の形態にかかる動作例を示すタイミングチャートである。
【
図8】第2の実施の形態にかかる基地局の構成を示すブロック図である。
【
図9】第2の実施の形態にかかる動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる無線システム1および無線端末10について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる無線システムの構成を示すブロック図である。
図1に示す無線システム1は、基地局20と、電池BATからの供給電力に基づいて基地局20との間で無線通信を行う1つまたは複数の無線端末10とを備える通信システムである。
【0016】
本実施の形態では、無線システム1が無線電話システムであって、基地局20が無線親機であり無線端末10が無線子機である場合を例とし、無線方式としてデジタルコードレス電話向けのDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式を例として説明するが、これに限定されるものではない。本実施の形態は、無線電話システム以外の無線通信システムにも同様に適用できるとともに、無線LANやBluetooth(登録商標)など、DECT以外の一般的な無線方式にも適用できる。
【0017】
[無線端末]
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかる無線端末10について説明する。
無線端末10は、主な機能部として、無線I/F部11、操作入力部12、表示部13、記憶部14、音声処理部15、監視部16、および制御部17を備えている。これら機能部のうち、監視部16および制御部17は、CPUと記憶部14のプログラムとが協働することにより構成される演算処理部により実現されている。
【0018】
無線I/F部11は、DECT方式に基づく無線通信回路からなり、基地局20の圏内に位置する際、基地局20との間で確立した無線リンクを介して無線通信を行う機能と、制御部17からの確立要否の指示に基づいて基地局20との無線リンクの確立または切断を行う機能と、基地局20との無線リンクが切断されている場合、一定の待受間隔で基地局20からのビーコン信号を受信し、当該ビーコン信号で通信要が通知された場合には基地局20との無線リンクを再確立する機能とを有している。
【0019】
操作入力部12は、ダイヤルキーや機能キー、さらにはボタンやスイッチなどの操作入力装置からなり、利用者の操作を検出する機能を有している。
表示部13は、LCDやLEDなどの表示装置からなり、基地局20から受信した表示内容や利用者操作に応じた表示内容を表示する機能を有している。
【0020】
記憶部14は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、無線端末10での各種処理動作に用いる処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部14で記憶する主な処理データとして監視結果がある。
図2は、監視結果を示す構成例である。ここでは、監視期間Miごとに当該監視期間Miに得られた監視結果Riが対応付けて記憶されている。
【0021】
音声処理部15は、コーディックなどの音声処理回路からなり、無線I/F部11で受信した音声データや記憶部14で記憶する各種信号音データを音声信号に復号してスピーカSPから出力する機能と、マイクMICから入力された音声信号を音声データに符号化して無線I/F部11へ出力する機能とを有している。
【0022】
監視部16は、一定時間長Tmからなる監視期間Mi(iは0以上の整数)ごとに自端末の動作状況を監視し、得られた監視結果Riを記憶部14に保存する機能を有している。動作状況としては、操作入力部12で検出された操作頻度(操作数)、あるいは、無線I/F部11を介して基地局20との間で実行した通信頻度(データ通信数やデータ通信量)が用いられる。
【0023】
制御部17は、監視期間Miの時間長Tm以下の周期長Tcを有する一定の判定タイミングCiごとに、当該判定タイミングCiと対応する監視期間Miに関する監視結果Riを記憶部14から取得して、予め設定されている基準値Rsと比較する機能と、得られた比較結果に応じて、無線I/F部11による基地局20との無線リンクに関するリンク要否を判定する機能と、得られたリンク要否の判定結果に基づいて無線リンクの確立要否を無線I/F部11に指示する機能とを有している。
【0024】
また、制御部17は、基地局20との無線リンクが切断されている場合、自端末での予め設定されている特定操作に応じて無線I/F部11に基地局20との無線リンクの確立要を指示する機能と、基地局20との無線リンクが確立されている場合、自端末での無操作期間が一定時間以上連続した場合には、無線I/F部11に基地局20との無線リンクの確立不要を指示する機能と、リンク要否を判定する際、監視期間Miのうち判定タイミングCiの直前に位置する監視期間Miに関する監視結果Riを記憶部14から取得して、基準値Rsとを比較する機能とを有している。
【0025】
[第1の実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる無線端末10の動作について説明する。
【0026】
[監視処理]
まず、
図3を参照して、無線端末10の動作状況を監視する監視処理について説明する。
図3は、監視処理を示すフローチャートである。
監視部16は、無線端末10の起動時あるいは利用者によるリンク制御開始指示操作に応じて、
図3の監視処理の実行を開始する。ここでは、自端末の動作状況として利用者による操作数を監視する場合を例として説明する。
【0027】
まず、監視部16は、時間長Tmを有する内部タイマを起動することにより新たな監視期間Miを開始し(ステップ100)、操作入力部12からの出力に基づく操作数の計数を開始する(ステップ101)。
【0028】
この後、監視部16は、内部タイマのタイムアップにより監視期間Miが終了するまで待機し(ステップ102)、監視期間Miの終了に応じて、監視期間Miの開始から終了までの時間長Tm内に計数された操作数を、監視期間Miの監視結果Riとして記憶部14に保存し(ステップ103)、ステップ100に戻って新たな監視期間Mi+1の監視を開始する。
【0029】
[リンク制御処理]
次に、
図4を参照して、基地局20と無線端末10の間の無線リンクの確立/切断を制御するリンク制御処理について説明する。
図4は、リンク制御処理を示すフローチャートである。
制御部17は、無線端末10の起動時あるいは利用者によるリンク制御開始指示操作に応じて、
図3の監視処理と並行して
図4のリンク制御処理の実行を開始する。ここでは、監視期間Miの時間長Tmと判定タイミングCiの周期長Tcとが等しく、判定タイミングCiの時間位置が監視期間Miの終了時点と同期している場合を例として説明する。
【0030】
まず、制御部17は、監視部16で用いる時間長Tmを有する内部タイマがタイムアップして判定タイミングCiが到来するまで待機し(ステップ110)、判定タイミングCiの到来に応じて、Ciと対応する監視期間Mi、例えばCiの直前に位置する監視期間Miの監視結果Riを記憶部14から取得し(ステップ111)、得られたRiを記憶部14に予め設定されている基準値Rsと比較する(ステップ112)。
【0031】
ここで、Ri<Rsの場合(ステップ112:YES)、自端末の動作状況が基準より低く基地局20との間の無線リンクが必要となる可能性が低いことから、制御部17は、無線リンクの確立が不要である旨を無線I/F部11に指示する(ステップ113)。これにより、無線I/F部11は、基地局20との無線リンクを新たに切断し(ステップ114)、ステップ110へ戻る。この際、無線I/F部11は、制御部17からの指示以前においてすでに無線リンクが切断されている場合、無線リンクの切断状態を維持する。
【0032】
一方、ステップ112において、Ri≧Rsの場合(ステップ112:NO)、自端末の動作状況が基準より高く基地局20との間の無線リンクが必要となる可能性が高いことから、制御部17は、無線リンクの確立が必要である旨を無線I/F部11に指示する(ステップ115)。これにより、無線I/F部11は、基地局20との無線リンクを新たに確立し(ステップ116)、ステップ110へ戻る。この際、無線I/F部11は、制御部17からの指示以前においてすでに無線リンクが確立されている場合、無線リンクの確立状態(接続状態)を維持する。
【0033】
図5は、監視期間と判定タイミングとの関係を示す説明図である。
図5(a)の方式は、判定タイミングCiの周期長Tcを監視期間Miの時間長Tmと等しく設定したTMi=Tcの場合を示しており、前述した
図4の例に相当している。この方式によれば、例えば1時間ごとに、各監視期間Miが時間的に連続して配置されることになる。
【0034】
一方、
図5(b)の方式は、判定タイミングCiの周期長Tcを監視期間Miの時間長Tmより短く設定したTMi>Tcの場合を示している。この方式によれば、各監視期間Miの一部が時間的にオーバーラップして配置されることになる。これにより、無線端末10での動作状況の変化に対するリンク制御の応答性を高めることができる。
【0035】
また、
図4および
図5では、判定タイミングCiの時間位置をその判定に用いる監視結果Riが得られる監視期間Miの終了時点と同期させるようにしたので、監視結果Riが得られた時点で直ちに無線リンクの要否を判定することができ、無線端末10での動作状況の変化に対するリンク制御の応答性を高めることができる。なお、判定タイミングCiの時間位置は、これに限定されるものではなく、リンク制御の応答性がある程度確保されるのであれば、判定タイミングCiの判定に用いる監視結果Riが得られてから任意の時間が経過した後に判定してもよい。
【0036】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、
図6を参照して、本実施の形態にかかる無線端末10の動作例について説明する。
図6は、第1の実施の形態にかかる動作例を示すタイミングチャートである。
ここでは、
図4および
図5(a)に基づいて、無線端末10がリンク制御処理を実行した場合を例として説明する。
【0037】
まず、時刻Ti-1において、基地局20と無線端末10との間で無線リンクが確立されているものとし、時刻Ti-1から時刻Tiまでの監視期間Miにおいて、監視部16が自端末の動作状況を監視し、Miの終了時点であるTiにおいて監視結果Riを取得する。
時刻Tiにおける判定タイミングCiの到来に応じて、制御部17は、Ciと対応する監視結果Riを取得して基準値Rsと比較し、Ri≧Rsであることからリンク要と判定し、無線I/F部11に対して確立要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、すでに確立されている通信リンクのリンク確立を維持する。
【0038】
この後、時刻Tiから時刻Ti+1までの監視期間Mi+1において、監視部16が自端末の動作状況を監視し、Mi+1の終了時点であるTi+1において監視結果Ri+1を取得する。
時刻Ti+1における判定タイミングCi+1の到来に応じて、制御部17は、Ci+1と対応する監視結果Ri+1を取得して基準値Rsと比較し、Ri+1<Rsであることからリンク不要と判定し、無線I/F部11に対して確立不要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、確立されている通信リンクを切断する。
【0039】
続く、時刻Ti+1から時刻Ti+2までの監視期間Mi+2において、監視部16が自端末の動作状況を監視し、Mi+2の終了時点であるTi+2において監視結果Ri+2を取得する。
時刻Ti+2における判定タイミングCi+2の到来に応じて、制御部17は、Ci+2と対応する監視結果Ri+2を取得して基準値Rsと比較し、Ri+2<Rsであることからリンク不要と判定し、無線I/F部11に対して確立不要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、すでに切断されている通信リンクのリンク切断を維持する。
【0040】
この後、時刻Tj-1から時刻Tjまでの監視期間Mjにおいて、監視部16が自端末の動作状況を監視し、Mjの終了時点であるTjにおいて監視結果Rjを取得する。
時刻Tjにおける判定タイミングCjの到来に応じて、制御部17は、Cjと対応する監視結果Rjを取得して基準値Rsと比較し、Rj≧Rsであることからリンク要と判定し、無線I/F部11に対して確立要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、切断されている通信リンクを確立する。
【0041】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、監視部16が、一定時間長Tmからなる監視期間Miごとに自端末の動作状況を監視し、得られた監視結果Riを記憶部14に保存し、制御部17が、Mi以下の周期長Tcを有する判定タイミングCiごとに、Ciと対応するMiに関するRiを記憶部14から取得して、予め設定されている基準値Rsと比較することにより、無線I/F部11による基地局20との無線リンクに関するリンク要否を判定し、リンク要否の判定結果に基づいて無線リンクの確立要否を無線I/F部11に指示し、無線I/F部11は、制御部17からの確立要否の指示に基づいて基地局20との無線リンクの確立または切断を行うようにしたものである。
【0042】
これにより、監視結果Riが基準値Rsより低下して無線端末10の動作状況が低くなった場合には、基地局20との無線リンクが自動的に切断されることになる。このため、無線端末10が基地局20の圏内に位置している場合でも無線端末10での消費電力を削減することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態において、無線I/F部11が、基地局20との無線リンクが切断されている場合、一定の待受間隔で基地局20からのビーコン信号を受信し、当該ビーコン信号で通信要が通知された場合には基地局20との無線リンクを再確立し、制御部17は、基地局20との無線リンクが切断されている場合、自端末での特定操作に応じて無線I/F部11に基地局20との無線リンクの確立要を指示するようにしてもよい。
これにより、基地局20からのビーコン信号により通信要が通知された場合、および、自端末で特定操作が行われた場合、直ちに無線リンクが確立されることになり、無線リンクが切断されている場合であって、基地局20と無線通信を開始することができる。
【0044】
また、本実施の形態において、制御部17が、基地局20との無線リンクが確立されている場合、自端末での無操作期間が一定時間以上連続した場合には、無線I/F部11に基地局20との無線リンクの確立不要を指示するようにしてもよい。
これにより、無操作期間が一定時間以上連続した場合、自動的に無線リンクが切断されるため、無線端末10での消費電力を効率よく削減することが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態において、監視部16が、監視期間Miにおける無線端末10での操作頻度または基地局20との通信頻度を監視するようにしてもよい。これにより、無線リンクの確立要否と極めて関係の深い、無線端末10の動作状況を無線リンクの確立要否判定に用いることができる。
【0046】
また、本実施の形態において、制御部17が、リンク要否を判定する際、監視期間Miのうち判定タイミングCiの直前に位置する監視期間Miに関する監視結果Riを記憶部14から取得して、基準値とを比較するようにしてもよい。
これにより、監視結果Riが得られた時点で直ちに無線リンクの要否を判定することができ、無線端末10での動作状況の変化に対するリンク制御の応答性を高めることができる。
【0047】
また、本実施の形態において、制御部17が、リンク要否を判定する際、当該判定を行う判定日より前に得られた監視結果Riであって、かつ、当該リンク要否の判定結果が反映される時間帯に相当する監視期間Miに得られた監視結果Riを、記憶部14から取得して基準値とを比較するようにしてもよい。
これにより、リンク要否の判定に用いる監視結果Riとして、人間活動に含まれる活動周期性に基づく監視結果Riを用いることができ、判定精度を高めることができる。
【0048】
この場合、監視期間Miと判定タイミングCiとの対応関係を、人間活動に含まれる活動周期性に基づいて決定することになる。例えば、活動周期性の1つとして、人間が24時間周期で活動するという周期性があることに着目し、例えば時刻ごとに監視期間Miを定め、前日の同一監視期間Miに得られた監視結果Riを、次の日の同一時間帯に関する無線リンクの確立要否判定に用いるようにしてもよい。
【0049】
図7は、監視結果を示す他の構成例である。ここでは、
図2に示した監視結果Riのうち、監視期間Miが時刻ごと(1時間ごと)に設定されており、監視結果Riが前日のMiにおける監視結果を示している。したがって、この例では、ある時刻iにおける無線リンクの確立要否判定では、前日の監視結果RiとRsとが比較されることになる。
この際、前日のみだけでなく数日分の同一監視期間Miに得られた監視結果Riを統計処理して用いてもよい。これにより、Ciの直前のMiに得られたRiを用いる場合と比較して、Riとリンク制御との遅れ時間を解消することができる。
【0050】
また、活動周期性の1つとして、人間が1週間周期で活動するという周期性があることに着目し、例えば時刻ごとに監視期間Miを定め、前週の同一曜日の同一監視期間Miに得られた監視結果Riを、次周の同一曜日の同一時刻に関する無線リンクの確立要否判定に用いるようにしてもよい。この際、前週のみだけでなく数週間分の同一曜日の同一監視期間Miに得られた監視結果Riを統計処理して用いてもよい。これにより、Ciの直前のMiに得られたRiを用いる場合と比較して、Riとリンク制御との遅れ時間を解消することができる。
【0051】
[第2の実施の形態]
次に、
図8を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる通信システム1について説明する。
図8は、第2の実施の形態にかかる基地局の構成を示すブロック図である。
【0052】
無線端末10の記憶部14の記憶容量は、製品サイズ、製品コスト、さらには消費電力などの要因で厳しく制限されており、十分な監視結果Riを保存できない場合がある。一方、基地局20は、無線端末10と比較して記憶容量に対する制限は穏やかであり余裕がある。本実施の形態は、このような点に着目し、無線端末10で得られた監視結果Riを基地局20で保存するようにしたものである。
【0053】
本実施の形態にかかる無線端末10は、監視部16が、後述する基地局20での周期長Tc以上の時間長Tmからなる監視期間Miごとに自端末の動作状況を監視し、得られた監視結果Riを無線I/F部11を介して基地局20に通知する機能を有している。
また、制御部17は、基地局20から通知されたリンク要否の判定結果に基づいて、無線リンクに関する確立要否を無線I/F部11に指示する機能を有している。
無線端末10にかかるその他の構成については、第1の実施の形態と同様である。
【0054】
本実施の形態にかかる基地局20は、
図8に示すように、主な機能部として、無線I/F部21、記憶部22、収集部23、および通信処理部24を備えている。これら機能部のうち、収集部23および通信処理部24は、CPUと記憶部22のプログラムとが協働することにより構成される演算処理部により実現されている。
【0055】
無線I/F部21は、DECT方式に基づく無線通信回路からなり、基地局20の圏内に位置する無線端末10との間で確立した無線リンクを介して無線通信を行う機能と、一定の待受間隔で、無線端末10との通信要否を含むビーコン信号を送信する機能と、無線端末10で得られた監視結果Riや無線端末10での無線リンクのリンク要否など、リンク制御に用いる各種データを無線端末10との間でやり取りする機能とを有している。
【0056】
記憶部22は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、基地局20での各種処理動作に用いる処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
記憶部22で記憶する主な処理データとして監視結果Riがある。監視結果Riの構成例は、前述した
図7と同様であり、無線端末10から前日に通知された監視結果Riが、無線端末10ごとにそれぞれの監視期間Miと対応付けて保存されている。
【0057】
収集部23は、無線端末10から通知された当該無線端末10の監視結果Riを、無線I/F部21を介して収集し、無線端末10ごとおよび監視期間Miごとに記憶部22に保存する機能を有している。
【0058】
通信処理部24は、無線リンクを介して接続した無線端末10と上位装置(図示せず)との間のデータ通信を中継処理する機能と、一定周期長Tcを有する判定タイミングCiごとに、当該判定タイミングCiと対応する監視期間Miに関する監視結果Riを記憶部22から取得して、予め設定されている基準値Rsと比較する機能と、得られた比較結果に応じて、無線端末10との無線リンクに関するリンク要否を判定する機能と、得られたリンク要否の判定結果を無線I/F部21を介して無線端末10に通知する機能とを有している。
【0059】
[第2の実施の形態の動作例]
次に、
図9を参照して、本実施の形態にかかる無線端末10の動作例について説明する。
図9は、第2の実施の形態にかかる動作例を示すタイミングチャートである。
なお、記憶部22には、
図7に示したように、無線端末10で前日に得られた監視結果Riが、監視期間Miごとに保存されているものとする。また、時刻Tiにおいて、基地局20と無線端末10との間で無線リンクが確立されているものとする。
【0060】
まず、時刻Tiにおける判定タイミングCiの到来に応じて、通信処理部24は、Ciと対応する監視期間Miに関する監視結果Riを記憶部22から取得して基準値Rsと比較し、Ri≧Rsであることからリンク要と判定し、無線I/F部21を介して無線端末10にリンク要を通知する。この際、Riはリンク要の判定結果が反映される時刻Ti~Ti+1の時間帯に対応する、判定当日以前の監視期間Miに得られた判定結果である。
無線端末10の制御部17は、無線I/F部11を介して基地局20からリンク要を受信した場合、無線I/F部11に対して確立要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、すでに確立されている通信リンクのリンク確立を維持する。
【0061】
この後、時刻Ti+1における判定タイミングCi+1の到来に応じて、通信処理部24は、Ci+1と対応する監視期間Mi+1に関する監視結果Ri+1を記憶部22から取得して基準値Rsと比較し、Ri+1<Rsであることからリンク不要と判定し、無線I/F部21を介して無線端末10にリンク要を通知する。この際、Ri+1はリンク不要の判定結果が反映される時刻Ti+1~Ti+2の時間帯に対応する、判定当日以前の監視期間Mi+1に得られた判定結果である。
無線端末10の制御部17は、無線I/F部11を介して基地局20からリンク要を受信した場合、無線I/F部11に対して確立不要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、確立されている通信リンクを切断する。
【0062】
続く、時刻Ti+2における判定タイミングCi+2の到来に応じて、通信処理部24は、Ci+2と対応する監視期間Mi+2に関する監視結果Ri+2を記憶部22から取得して基準値Rsと比較し、Ri+2<Rsであることからリンク不要と判定し、無線I/F部21を介して無線端末10にリンク要を通知する。この際、Ri+2はリンク不要の判定結果が反映される時刻Ti+2~Ti+3の時間帯に対応する、判定当日以前の監視期間Mi+2に得られた判定結果である。
無線端末10の制御部17は、無線I/F部11を介して基地局20からリンク要を受信した場合、無線I/F部11に対して確立不要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、すでに切断されている通信リンクのリンク切断を維持する。
【0063】
この後、時刻Tjにおける判定タイミングCjの到来に応じて、通信処理部24は、Cjと対応する監視期間Mjに関する監視結果Rjを記憶部22から取得して基準値Rsと比較し、Rj≧Rsであることからリンク不要と判定し、無線I/F部21を介して無線端末10にリンク要を通知する。この際、Rjはリンク要の判定結果が反映される時刻Tj~Tj+1の時間帯に対応する、判定当日以前の監視期間Mjに得られた判定結果である。
無線端末10の制御部17は、無線I/F部11を介して基地局20からリンク要を受信した場合、無線I/F部11に対して確立要を指示する。これに応じて無線I/F部11は、切断されている通信リンクを確立する。
【0064】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、基地局20において、収集部23が、無線端末10から通知された当該無線端末10の監視結果Riを収集して監視期間Miごとに記憶部22に保存し、通信処理部24が、一定周期長Tcを有する判定タイミングCiごとに、当該Ciと対応するMiに関するRiを記憶部22から取得して、予め設定されている基準値Rsと比較することにより、無線端末10との無線リンクに関するリンク要否を判定し、リンク要否の判定結果を無線端末10に通知するようにしたものである。
【0065】
また、無線端末10において、監視部16が、周期長Tc以上の時間長Tmからなる監視期間Miごとに自端末の動作状況を監視し、得られた監視結果Riを基地局20に通知し、制御部17が、基地局20から通知されたリンク要否の判定結果に基づいて、無線リンクに関する確立要否を無線I/F部11に指示し、無線I/F部11が、制御部17からの確立要否の指示に基づいて基地局20との無線リンクの確立または切断を行うようにしたものである。
【0066】
これにより、無線端末10で得られた監視結果Riが基地局20で保存されることになる。したがって、無線端末10に搭載されている記憶部14の記憶容量を増すことなく、多くの監視結果Riを保存することができ、無線端末10にかかる製品サイズ、製品コスト、さらには消費電力の増大を抑制することが可能となる。
したがって、監視期間Miの時間長Tm、さらには判定タイミングCiの周期長Tcを短くすることができ、きめ細かなリンク制御を行うことが可能となる。また、数多くの監視結果Riを統計処理して得られた代表監視結果に基づいてリンク要否を判定でき、安定したリンク制御を行うことが可能となる。
【0067】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…無線システム、10…無線端末、11…無線I/F部、12…操作入力部、13…表示部、14…記憶部、15…音声処理部、16…監視部、17…制御部、20…基地局、21…無線I/F部、22…記憶部、23…収集部、24…通信処理部、BAT…電池、SP…スピーカ、MIC…マイク、Mi…監視期間、Ri…監視結果、Ci…判定タイミング、Tm…時間長、Tc…周期長。