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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/136 20220101AFI20220705BHJP
   F24H 1/14 20220101ALI20220705BHJP
   F24H 8/00 20220101ALI20220705BHJP
【FI】
F24H15/136
F24H1/14 B
F24H8/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017241748
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2019109009
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 晃平
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 久貴
(72)【発明者】
【氏名】藤本 慎也
【審査官】宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-089010(JP,A)
【文献】特開2009-192150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/10
F24H 1/14
F24H 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内に設置される給湯器を備え、
前記給湯器は、
燃焼器と、
前記燃焼器を収容する缶体と、
前記缶体内に空気を供給するファンと、
前記缶体から排気ガスを排気するための排気路に設けられた温度センサと、
前記缶体に収容され前記燃焼器からの熱を給湯用の水に伝達する1次熱交換器と、
前記1次熱交換器に対して前記排気路側に設けられ前記燃焼器からの熱を前記給湯用の水に伝達する2次熱交換器と、
前記1次熱交換器および前記2次熱交換器をそれぞれ加温するヒータと、
非燃焼動作時に前記温度センサの検出温度が第1閾値以下に低下したことに基づいて前記ファンの駆動を開始させるとともに前記ヒータを動作させ、その後、前記ヒータの動作により、前記検出温度が前記第1閾値よりも高い第2閾値に到達するまで、前記ファンを間欠駆動させる制御部と、を備える、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯装置において、
前記制御部は、前記ファンの間欠駆動において、第1時間で前記ファンを駆動した後、前記ファンを停止させ、その後、第2時間が経過するまでに前記検出温度が前記第2閾値に到達しないことに基づいて、再び、前記第1時間で前記ファンを駆動するサイクルを繰り返す、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給湯装置において、
前記制御部は、前記第2時間が経過した後、前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された第3閾値と前記検出温度とを比較し、前記検出温度が前記第3閾値以上である場合は、前記検出温度が前記第3閾値未満となったことに応じて、前記第1時間で前記ファンを駆動する制御へと移行する、
ことを特徴とする給湯装置。
【請求項4】
請求項1ないしの何れか一項に記載の給湯装置において、
前記1次熱交換器は、顕熱回収式の熱交換器であり、
前記2次熱交換器は、潜熱回収式の熱交換器である、
ことを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼加熱式の給湯装置に関し、特に、屋内に設置される給湯装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
屋内に設置される給湯装置では、給湯器本体で生じた排気ガスが、排気筒により、屋外に排出される。排気筒の一端が給湯器本体に接続され、排気筒の他端が屋外に引き出される。この構成では、給湯器本体が屋内に設置されるため、非燃焼動作時に、給湯器本体の内部が過度に低温になりにくい。このため、給湯器本体に収容された部材に凍結が生じにくくなる。
【0003】
しかし、この種の給湯装置においても、排気筒を介して屋外の冷気が給湯器本体内に流れ込むことが起こり得る。この場合、流れ込んだ冷気により、給湯器本体内部の温度が低下する。これにより、給湯器本体に収容された部材に凍結が起こり得る。
【0004】
このような問題を避けるため、この種の給湯装置では、非燃焼動作時において、給湯器本体内の空気を排気筒に送り込む制御がなされる。たとえば、排気路に設けられた温度センサにより凍結が起こり得る温度が検出されると、ファンにより、給湯器本体内の空気が排気筒に送り込まれる。これにより、屋外の冷気が排気筒から給湯器本体の内部に流れ込むことが抑止される。
【0005】
この他、以下の特許文献1には、外気が排気筒から逆流することが検知されると、ファンにより、装置本体内の空気が排気筒に送り込まれることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-47655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記のように排気路の検出温度に基づいてファンを作動させる構成では、ファンを作動させた後に、排気路の検出温度が長期に亘って上昇しないと、その間、ファンが作動し続けることになる。この場合、給湯器本体内の熱交換器に長期に亘って空気が供給され続け、逆に、給気過多によって、熱交換器に凍結が生じる虞があった。
【0008】
特に、給湯装置が1次熱交換器と2次熱交換器とを備える場合、上記のような給気過多の状態により、燃焼器側の1次熱交換器に凍結が生じる虞がある。これを防ぐために、一定時間経過後にファンを停止させる制御がなされると、排気筒からの冷気によって排気路側の2次熱交換器に凍結が生じる虞がある。
【0009】
かかる課題に鑑み、本発明は、1次熱交換器と2次熱交換器の凍結を適切に防ぐことが可能な給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主たる態様に係る給湯装置は、屋内に設置される給湯器を備える。前記給湯器は、燃焼器と、前記燃焼器を収容する缶体と、前記缶体内に空気を供給するファンと、前記缶体から排気ガスを排気するための排気路に設けられた温度センサと、前記缶体に収容され前記燃焼器からの熱を給湯用の水に伝達する1次熱交換器と、前記1次熱交換器に対して前記排気路側に設けられ前記燃焼器からの熱を前記給湯用の水に伝達する2次熱交換器と、前記1次熱交換器および前記2次熱交換器をそれぞれ加温するヒータと、非燃焼動作時に前記検出温度が第1閾値以下に低下したことに基づいて前記ファンの駆動を開始させるとともに前記ヒータを動作させ、その後、前記ヒータの動作により、前記検出温度が前記第1閾値よりも高い第2閾値に到達するまで、前記ファンを間欠駆動させる制御部と、を備える。
【0011】
本態様に係る給湯装置によれば、非燃焼動作時に温度センサの検出温度が第1閾値以下に低下したことに基づいて、ファンの駆動が開始され、屋外の冷気が排気路から缶体内に流れ込むことが抑止される。よって、より排気路に近い2次熱交換器が屋外の冷気によって凍結することを防ぐことができる。また、その後、ヒータの動作により、温度センサの検出温度が第2閾値に到達するまでの間は、ファンが間欠駆動されるため、よりファンに近い1次熱交換器に給気が過多になることが抑止される。よって、給気過多により1次熱交換器が凍結することを防ぐことができる。このように、本態様に係る給湯装置によれば、1次熱交換器と2次熱交換器の凍結を適切に防ぐことができる。
【0012】
なお、上記構成おいて、「前記燃焼器からの熱を給湯用の水に伝達する」とは、燃焼器で生じた燃焼ガスが排気路に向かって進む過程で、その燃焼ガスの熱が、1次熱交換器および2次熱交換器において、給湯用の水に伝達されることを意味する。
【0013】
本態様に係る給湯装置において、前記制御部は、前記ファンの間欠駆動において、第1時間で前記ファンを駆動した後、前記ファンを停止させ、その後、第2時間が経過するまでに前記検出温度が前記第2閾値に到達しないことに基づいて、再び、前記第1時間で前記ファンを駆動するサイクルを繰り返すよう構成され得る。
【0014】
このように、2つの時間の経過に基づいてファンのオン、オフを切り替えることにより、ファンの間欠駆動を円滑に制御することができる。
【0015】
この構成において、前記制御部は、前記第2時間が経過した後、前記第1閾値と前記第2閾値との間に設定された第3閾値と前記検出温度とを比較し、前記検出温度が前記第3閾値以上である場合は、前記検出温度が前記第3閾値未満となったことに応じて、前記第1時間で前記ファンを駆動する制御へと移行するよう構成され得る。
【0016】
この構成によれば、検出温度が第3閾値未満になるまでの間、次のファンの駆動が待機されるため、ファンの間欠駆動によって検出温度が第2閾値に到達するタイミングが遅くなる。すなわち、この構成では、検出温度が第2閾値と第3閾値の間で遷移しながら、ファンの間欠駆動が繰り返されるようになる。このため、2次熱交換器と温度センサとの間の熱伝導率の差異により、温度センサによる検出温度と2次熱交換器の実際の温度との間に差異がある場合も、ファンの間欠駆動の繰り返しによって、温度センサによる検出温度と2次熱交換器の実際の温度との間の差異が抑制され、両温度が接近するようになる。これにより、2次熱交換器の実際の温度が第2閾値に略到達したタイミングで、ファンの間欠駆動を終了させることができる。よって、2次熱交換器の凍結をより適切に防ぐことができる。
【0019】
なお、本態様に係る給湯装置において、1次熱交換器は顕熱回収式の熱交換器とされ、2次熱交換器は潜熱回収式の熱交換器とされ得る。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、1次熱交換器と2次熱交換器の凍結を適切に防ぐことが可能な給湯装置を提供することができる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る給湯装置の構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係るファンの制御を示すフローチャートである。
図3図3は、実施形態に係るヒータの制御を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係るファンの制御と温度センサの検出温度の変化との関係を模式的に示すグラフである。
図5図5は、変更例に係るファンの制御を示すフローチャートである。
図6図6は、変更例に係るファンの制御と温度センサの検出温度の変化の関係を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、ガス式の給湯装置に本発明を適用したものである。
【0024】
図1は、給湯装置10の構成を示す図である。
【0025】
図1に示すように、給湯装置10は、給湯器100とリモートコントローラ200とを備えている。給湯器100およびリモートコントローラ200は、屋内に設置される。給湯器100で生じた排気ガスは、図示しない排気筒によって、屋外に排出される。すなわち、本実施形態に係る給湯装置10は、屋内設置タイプの給湯装置である。
【0026】
給湯器100は、外装ケース101を備える。この外装ケース101によって給湯器100の外殻が構成される。外装ケース101には、外気を導入するための吸気口101aが設けられている。吸気口101aは、図示しない給気筒によって屋外に連通していてもよく、屋内に連通していてもよい。ファン114が駆動されると、外装ケース101の内部が負圧となるため、吸気路R2を介して、空気が外装ケース101内に導入される。
【0027】
外装ケース101の内部に缶体102が配置されている。缶体102内に、燃焼器103と、1次熱交換器104および2次熱交換器105が収容されている。燃焼器103には、配管106によって燃料ガスが供給される。配管106には、配管106を開閉するための電磁弁107と、燃料ガスの供給量を調節するための比例弁108が設けられている。電磁弁107および比例弁108は、回路基板120の制御部121によって制御される。
【0028】
1次熱交換器104および2次熱交換器105には、配管109が接続されている。配管109の入口に水が供給され、配管109の出口から湯が放出される。配管109を流れる水が1次熱交換器104および2次熱交換器105の流路を通る間に、燃焼器103で生じた熱が1次熱交換器104および2次熱交換器105を介して水に伝達される。これにより、水が温められる。
【0029】
1次熱交換器104は、顕熱回収式の熱交換器であり、2次熱交換器105は、潜熱回収式の熱交換器である。1次熱交換器104の流路部は銅からなっており、2次熱交換器105の流路部はステンレス鋼(SUS:Steel Use Stainless)からなっている。2次熱交換器105は、1次熱交換器104に対して排気路R1側に設けられている。配管109を流れる水は、2次熱交換器105を通る際に暖められた後、さらに、1次熱交換器104を通る際に暖められる。
【0030】
配管109には、湯の放出量すなわち給湯量を調整するための出湯弁110が設けられている。出湯弁110は、ステッピングモータによって駆動される。ステッピングモータは、回路基板120の制御部121によって制御される。
【0031】
さらに、配管109の入口側と出口側が配管111によってバイパスされている。この配管111にバイパス弁112が設けられている。また、配管111が、混合器113によって配管109に連結されている。これにより、配管109の出口へと向かう湯に配管111から水が混入される。こうして、配管109の出口から放出される湯の温度が調節される。バイパス弁112は、水の混入量を調節するためのものである。バイパス弁112は、ステッピングモータによって駆動される。ステッピングモータは、回路基板120の制御部121によって制御される。
【0032】
缶体102の給気口102aにファン114が連結されている。また、缶体102の排気口102bは、外装ケース101の側面に形成された孔を介して排気筒(図示せず)に接続され、屋外に連通している。ファン114は、たとえば、単相ファンである。ファン114がシロッコファンであってもよい。ファン114は、モータ114aが駆動されることにより、燃焼器103に燃焼用の空気を供給する。モータ114aは、たとえば、ブラシレスDCモータである。ファン114は、所定の空燃比で燃焼器103に空気が供給されるよう、制御部121により所定の回転数に制御される。
【0033】
給湯器100は、さらに、回路基板120と、ヒータ131、132と、温度センサ133とを備えている。回路基板120には、制御部121の他、給湯器100を駆動するための回路部が実装されている。
【0034】
制御部121は、たとえば、マイクロコンピュータと、マイクロコンピュータの制御プログラムを格納したメモリとからなっている。メモリは、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を含む。メモリは、マイクロコンピュータのワーク領域としても用いられる。
【0035】
ヒータ131は、1次熱交換器104を加温するために設置され、ヒータ132は、2次熱交換器105を加温するために設置されている。ヒータ131、132は、凍結予防のために設置され、たとえば、電気加熱式のヒータである。温度センサ133は、たとえば、サーミスタにより構成され、缶体102から排気筒へと繋がる排気路R1に設置されている。
【0036】
なお、給湯器100には、さらに、外装ケース101内に種々のヒータが設けられていてもよい。たとえば、入水口や給湯口およびバイパス用の配管111の凍結を防止するためのヒータが、これらの部位に設けられていてもよい。また、給湯器100には、温度センサ133の他に、各種センサが配置されている。たとえば、入水口から入水される水の温度や給湯口から流出する湯の温度を検出するための温度センサや、配管109を流れる水の流量を検出するためのセンサ等が配置される。
【0037】
リモートコントローラ200は、たとえば、キッチンやリビングルーム等に設置され、給湯温度の設定や、種々の情報の表示のために用いられる。リモートコントローラ200には、各種操作ボタンや表示部とともに、給湯装置10を動作状態に設定するための運転スイッチが配置されている。
【0038】
ところで、上記構成の給湯装置10では、非燃焼動作時に温度センサ133の検出温度が所定の閾値以下に低下した場合に、ファン114が駆動されて、缶体102内の空気が排気路R1に送り込まれる制御がなされ得る。これにより、屋外の冷気が排気筒から缶体102の内部に流れ込むことが抑止され、排気路R1側の2次熱交換器105に凍結が生じることが防止される。
【0039】
ところが、このようにファン114を作動させた後に、排気路R1の検出温度が長期に亘って上昇しないと、その間、ファン114が作動し続けることになる。この場合、缶体102内の1次熱交換器104に長期に亘って空気が供給され続け、逆に、給気過多によって、1次熱交換器104に凍結が生じる虞がある。また、これを防ぐために、一定時間の経過に伴いファン114を停止させる制御がなされると、排気路R1からの冷気の流入により排気路R1側の2次熱交換器105に凍結が生じる虞がある。
【0040】
このような問題に鑑み、本実施形態では、1次熱交換器104と2次熱交換器105の凍結を適切に防ぐための制御が行われる。以下、この制御について説明する。
【0041】
まず、ファン114の制御について、図2を参照して説明する。図2の制御は、給湯装置10が燃焼動作を停止している期間(非燃焼期間)において実行される。
【0042】
まず、制御部121は、ファン114の運転が許可されているか否かを判定する(S101)。たとえば、制御部121は、以下の条件が全て充足されている場合に、ファン114の運転が許可されていると判定する。
【0043】
・給湯装置10が燃焼禁止状態にあること
・温度センサ133が正常に動作していること
・ファン114が正常に動作していること
【0044】
ここで、「燃焼禁止状態」とは、たとえば、以下の条件の少なくとも1つが充足された状態のことである。
【0045】
・リモートコントローラ200の運転スイッチがオフ状態にあること(給湯装置10が運転オフ状態にあること)
・給湯装置10にエラーが生じて安全停止した状態(安全停止モード)に給湯装置10があること
・運転スイッチがオン状態にあるが、給湯口から流れ出る水の流量が燃焼動作の閾値未満であること(先栓が未開放か開放量が小さい場合)
・入水口から流入する水の温度が所定の温度以上であるため燃焼動作が禁止される状態であること
・最小の燃焼状態で燃焼動作が行われた場合に、所定の設定温度を超える温度の湯が供給される条件が成立したこと
【0046】
制御部121は、上記条件に基づいてファン114が運転許可状態にあると判定すると(S101:YES)、次に、温度センサ133の検出温度Tdが第1閾値Tth1以下であるか否かを判定する(S102)。第1閾値Tth1は、たとえば、4℃程度に設定される。検出温度Tdが第1閾値Tth1以下でない場合(S102:NO)、制御部121は、処理をステップS101に戻して、ステップS101、S102の処理を繰り返す。
【0047】
他方、温度センサ133の検出温度Tdが第1閾値Tth1以下である場合(S102:YES)、制御部121は、ファン114の運転を開始させる(S103)。このとき、制御部121は、ファン114の動作が正常であるか否かを判定し(S104)、ファン114の動作が正常でない場合は(S104:NO)、ファン114の運転を停止させて(S105)、処理をステップS101に戻す。この場合、制御部121は、リモートコントローラ200の表示部に、所定のエラーメッセージを表示させる。
【0048】
ファン114の動作が正常である場合(S104:YES)、制御部121は、ファン114を起動させてから時間TM1が経過したか否かを判定する(S106)。時間TM1は、たとえば、30秒程度に設定される。時間TM1が経過すると(S106:YES)、制御部121は、ファン114の運転を停止させ(S107)、さらに、時間TM2の経過を待つ(S108)。その間、制御部121は、温度センサ133の検出温度Tdが第2閾値Tth2以上であるか否かを判定する(S109)。時間TM2は、たとえば、30秒程度に設定される。また、第2閾値Tth2は、たとえば、9℃程度に設定される。
【0049】
時間TM2が経過するまでの間に(S108:NO)、検出温度Tdが第2閾値Tth2以上に到達すると(S109:YES)、制御部121は、処理をステップS101に戻して、ステップS101以降の処理を繰り返す。他方、検出温度Tdが第2閾値Tth2以上に到達することなく(S109:NO)、時間TM2が経過すると(S108:YES)、次に、制御部121は、温度センサ133の検出温度Tdが第3閾値Tth3未満であるか否かの判定を行う(S110)。第3閾値Tth3は、たとえば、7℃程度に設定される。
【0050】
検出温度Tdが第3閾値Tth3以上である期間において(S110:NO)、制御部121は、再度、検出温度Tdが第2閾値Tth2以上であるか否かの判定を行う(S109)。ステップS109の判定がNOの場合、既に、時間TM2が経過しているため、ステップS108の判定は一律YESとなり、処理がステップS110へと進められる。
【0051】
ここで、ステップS109の判定は、処理がステップS108からステップS110へと以降する前に、既に、ステップS108の判定がNOである期間において行われている。しかしながら、ステップS108の判定がNOである期間、すなわち、ファン114を停止させてから時間TM2が経過するまでの期間において検出温度Tdが第2閾値Tth2以上とならなかった場合であっても(S109:NO)、その後の給湯器100周囲の温度環境の変化等によって、温度センサ133の検出温度Tdが第2閾値Tth2以上に高まることも起こり得る。このような場合に、ステップS109の判定がYESとなる。この場合、制御部121は、処理をステップS101に戻して、ステップS101以降の処理を繰り返す。
【0052】
温度センサ133の検出温度Tdが、第2閾値Tth2以上となることなく(S109:NO)、第3閾値Tth3未満に低下すると(S110:YES)、制御部121は、処理をステップS103に戻して、再び、ファン114を駆動させる。その後、制御部121は、ステップS104以降の処理を再度実行する。こうして、温度センサ133の検出温度Tdが第2閾値Tth2以上となるまで、時間TM1および時間TM2によるファン114の間欠駆動が繰り返し行われる。
【0053】
次に、ヒータ131、132の制御について、図3を参照して説明する。図3の制御は、給湯装置10が燃焼動作を停止している期間(非燃焼期間)において実行される。
【0054】
まず、制御部121は、温度センサ133の検出温度Tdが閾値Tth11以下であるか否かを判定する(S201)。閾値Tth11は、たとえば、4℃程度に設定される。検出温度Tdが閾値Tth11以下になると(S201:YES)、制御部121は、ヒータ131、132を駆動させ(S202)、時間TM11が経過するのを待つ(S203)。これにより、時間TM11において、ヒータ131、132により、1次熱交換器104と2次熱交換器105が加温される。時間TM11は、たとえば、20~30分程度に設定される。
【0055】
こうして、時間TM11が経過すると(S203:YES)、制御部121は、温度センサ133の検出温度Tdが閾値Tth12以上であるか否かを判定する(S204)。検出温度Tdが閾値Tth12以上であると(S204:YES)、制御部121は、ヒータ131、132を停止させて(S205)、処理をステップS201に戻す。
【0056】
他方、検出温度Tdが閾値Tth12以上でない場合(S204:NO)、制御部121は、タイマをリセットした後(S206)、処理をステップS203に戻して、再び、時間TM11が経過するのを待つ。こうして、再度、時間TM11において、ヒータ131、132により、1次熱交換器104と2次熱交換器105が加温される。制御部121は、温度センサ133の検出温度Tdが閾値Tth12以上になるまで、時間TM11単位でヒータ131、132の駆動を継続させる。
【0057】
図4は、ファン114の制御と温度センサ133の検出温度Tdの変化との関係を模式的に示すグラフである。なお、図4に示した検出温度Tdの変化は、一例であって、給湯器100周囲の環境温度や排気筒に対する外気の流入状態等によって、図4以外の状態で検出温度Tdが変化することも起こり得る。
【0058】
時刻T1において検出温度Tdが第1閾値Tth1以下になると、制御部121は、ファン114を起動して、缶体102内の空気を排気路R1に送る。このとき同時に、制御部121は、ヒータ131、132を起動して、1次熱交換器104と2次熱交換器105を加温する。こうして、缶体102内の空気が排気路R1に供給されて、温度センサ133の検出温度Tdが徐々に上昇する。
【0059】
その後、ファン114は、時間TM1が経過した時刻T2において停止される。ファン114の停止に伴い、排気路R1に対する缶体102内の空気の供給が停止される。これにより、排気路R1の温度、すなわち、温度センサ133の検出温度Tdが徐々に低下する。ファン114は、時間TM2が経過するまでの間、停止状態に維持される。なお、ヒータ131、132は、時刻T2の後も駆動され続ける。
【0060】
その後、時間TM2が経過した時刻T3において、制御部121は、再び、ファン114を起動して、缶体102内の空気を排気路R1に送る。これにより、温度センサ133の検出温度Tdが、徐々に上昇する。その後、時間TM1が経過した時刻T4においてファン114が停止され、さらに、時間TM2が経過した時刻T5において、ファン114が起動される。こうして、ファン114のオン、オフが繰り返されることにより、温度センサ133の検出温度Tdが相対的に上昇していく。
【0061】
そして、時刻T6においてファン114が停止されると、その後、時間TM2が経過した時刻T7において、温度センサ133の検出温度Tdが第3閾値Tth3を超えた状態となる。この場合、制御部121は、図2のステップS110の処理により、検出温度Tdが第3閾値Tth3未満になるまで、ファン114の起動を延期させる。図4の例では、時間ΔT1だけ、ファン114の起動が延期される。そして、制御部121は、時刻T7から時間ΔT1が経過した時刻T8において、ファン114を再度起動させる。
【0062】
その後、制御部121は、時刻T8から時刻T9の期間においてファン114を駆動させ、時刻T9から時刻T10の期間においてファン114を停止させる。この場合も、温度センサ133の検出温度Tdは、時刻T10において第3閾値Tth3を超えた状態となるため、制御部121は、その後、検出温度Tdが第3閾値Tth3未満になるまで、ファン114の起動を延期させる。ここでは、時間ΔT2だけ、ファン114の起動が延期される。
【0063】
このように、図2の制御では、検出温度Tdが第3閾値Tth3未満に低下するまで次のファン114の起動が延期される。このため、延期後にファン114が駆動されても、温度センサ133の検出温度Tdが、第2閾値Tth2以上に上昇することが起こりにくくなる。その結果、検出温度Tdが第2閾値Tth2と第3閾値Tth3との間の範囲で変化しながら、ファン114がオン、オフを繰り返すようになる。
【0064】
なお、図4の例では、このようなファン114のオン、オフの繰り返しが、時刻T8から時刻T11の期間の1回だけ行われているが、通常は、このようなオン、オフの繰り返しが複数回繰り返された後、環境温度の上昇や、1次熱交換器104および2次熱交換器105の熱の蓄積等の要因によって、温度センサ133の検出温度Tdが、第2閾値Tth2に到達するようになる。
【0065】
こうして、時刻T12において、検出温度Tdが第2閾値Tth2に到達すると、図2のステップS109における判定がYESとなって、制御部121は、ファン114の間欠駆動を終了する。これにより、検出温度Tdは、時間の経過とともに徐々に低下する。そして、検出温度Tdが再び、第1閾値Tth1以下になると、制御部121は、1次熱交換器104および2次熱交換器105の凍結を防ぐために、再び、ファン114の間欠駆動を開始させる。
【0066】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0067】
非燃焼動作時に温度センサ133の検出温度Tdが第1閾値Tth1以下に低下したことに基づいて、ファン114の駆動が開始され、屋外の冷気が排気路R1から缶体102内に流れ込むことが抑止される。よって、より排気路R1に近い2次熱交換器105が屋外の冷気によって凍結することを防ぐことができる。また、その後、温度センサ133の検出温度Tdが第2閾値Tth2に到達するまでの間は、ファン114が間欠駆動されるため、よりファン114に近い1次熱交換器104に給気が過多になることが抑止される。よって、給気過多により1次熱交換器104が凍結することを防ぐことができる。このように、本態様に係る給湯装置10によれば、1次熱交換器104と2次熱交換器105の凍結を適切に防ぐことができる。
【0068】
図2に示したように、制御部121は、ファン114の間欠駆動において、時間TM1(第1時間)でファン114を駆動した後、ファン114を停止させ、その後、時間TM2(第2時間)が経過するまでに検出温度Tdが第2閾値Tth2に到達しないことに基づいて、再び、時間TM1(第1時間)でファン114を駆動するサイクルを繰り返す。このように、2つの時間の経過に基づいてファン114のオン、オフを切り替えることにより、ファン114の間欠駆動を円滑に制御することができる。
【0069】
また、図2のステップS110において、制御部121は、時間TM2(第2時間)が経過した後、第1閾値Tth1と第2閾値Tth2との間に設定された第3閾値Tth3と検出温度Tdとを比較し、検出温度Tdが第3閾値Tth3以上である場合は、検出温度Tdが第3閾値Tth3未満となったことに応じて、時間TM1(第1時間)でファン114を駆動するステップへと処理を移行させる。
【0070】
この制御により、図4を参照して説明したように、検出温度Tdが第2閾値Tth2と第3閾値Tth3との間で遷移しながら、ファン114の間欠駆動が繰り返されるようになる。このため、2次熱交換器105と温度センサ133との間の熱伝導率の差異により、温度センサ133による検出温度Tdと2次熱交換器105の実際の温度との間に差異がある場合も、ファン114の間欠駆動の繰り返しによって、温度センサ133による検出温度Tdと2次熱交換器105の実際の温度との間の差異が抑制され、両温度が接近するようになる。これにより、2次熱交換器105の実際の温度が第2閾値Tth2に略到達したタイミングで、ファン114の間欠駆動を終了させることができる。よって、2次熱交換器105の凍結をより適切に防ぐことができる。
【0071】
さらに、図1に示したように、1次熱交換器104および2次熱交換器105をそれぞれ加温するヒータ131、132が設けられ、制御部121は、ファン114の間欠駆動に並行して、ヒータ131、132を動作させる。これにより、1次熱交換器104および2次熱交換器105の凍結をより効果的に防ぐことができる。また、ファン114が駆動されると、ヒータ131により加温された1次熱交換器104周辺の空気が2次熱交換器105へと送られるため、より外気に晒されやすい2次熱交換器105の凍結を、より効果的に防ぐことができる。
【0072】
<変更例>
本発明に係る給湯装置は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0073】
たとえば、上記実施形態では、2次熱交換器105の熱伝導率と温度センサ133の熱伝導率との差異を考慮して、図2の制御フローチャートにステップS110が含まれたが、2次熱交換器105の熱伝導率と温度センサ133の熱伝導率との差異が小さい場合は、図5に示すように、ファン114の制御フローチャートからステップS110が省略されてもよい。
【0074】
この場合、ファン114の制御と温度センサ133の検出温度Tdの変化との関係は、たとえば、図6のグラフのようになる。ここでは、時刻T17において、検出温度Tdが第3閾値Tth3よりも高くなるが、制御部121は、検出温度Tdが第3閾値Tth3未満になることを待つことなく、時刻T17において、直ちにファン114を起動させる。これにより、その後、時間TM1が経過してファン114が停止される時刻T18において、検出温度Tdが第2閾値Tth2以上となり、ファン114の間欠駆動が終了される。
【0075】
この変更例によれば、上記実施形態に比べて、ファン114の間欠駆動のサイクルを少なくすることができる。
【0076】
しかしながら、2次熱交換器105の熱伝導率と温度センサ133の熱伝導率との差異が大きい場合は、時刻T18において、温度センサ133の検出温度Tdに比べて、2次熱交換器105の実際の温度が低くなることが起こり得る。そして、この温度差により、時刻T19において、検出温度Tdは第1閾値Tth1であるものの、2次熱交換器105の実際の温度は、凍結が生じる温度以下にまで低下していることが起こり得る。
【0077】
よって、2次熱交換器105の熱伝導率と温度センサ133の熱伝導率との差異が大きい場合は、上記実施形態のように、ファン114の制御フローチャートにステップS110を追加して、検出温度Tdを第2閾値Tth2と第3閾値Tth3との間で遷移させつつ、ファン114が間欠駆動を繰り返す制御を行うのが好ましい。これにより、上述のように、2次熱交換器105の実際の温度と検出温度Tdとの差異が略解消した状態で、検出温度Tdが第2閾値Tth2以上となって、ファン114の間欠駆動が終了されるようになる。その結果、ファン114の間欠駆動が次に開始されるタイミングにおいて、2次熱交換器105が、凍結が生じる温度以下に低下していることを防ぐことができ、2次熱交換器105の凍結をより確実に防ぐことができる。
【0078】
また、上記実施形態では、第1閾値Tth1、第2閾値Tth2および第3閾値Tth3の一例として、それぞれ、4℃、9℃および7℃を示したが、これら閾値の温度は、これに限られるものではなく、第1閾値Tth1が最も低く、第2閾値Tth2が最も高い関係を充足する限りにおいて、適宜、変更可能である。ただし、第1閾値Tth1は、2次熱交換器105の凍結を防止可能な温度に設定され、第2閾値Tth2は、ファン114の間欠駆動により到達可能な温度に設定される必要がある。
【0079】
また、上記実施形態では、時間TM1、TM2の一例として、それぞれ、30秒を示したが、これらの時間は、これに限られるものではない。また、時間TM1、TM2は、必ずしも同一でなくともよく、たとえば、時間TM1が時間TM2よりも長く、あるいは、時間TM2が時間TM1よりも長くてもよい。また、ファン114の間欠駆動のサイクルごとに、時間TM1、TM2が変更されてもよく、あるいは、ファン114の間欠駆動のサイクルが所定回数行われたことに応じて、時間TM1、TM2が変更されてもよい。また、上記実施形態以外の方法でファン114の間欠駆動が行われてもよく、また、ファン114の駆動中に検出温度Tdが第2閾値Tth2に到達したことに基づいて間欠駆動を終了させるステップが追加されてもよい。
【0080】
また、図3に示したヒータ131、132を起動および停止させる閾値Tth11、Tth12も、上記に限らず、適宜変更可能であり、また、ヒータ131、132を駆動する時間TM11も、適宜変更可能である。さらに、ヒータ131、132は、必ずしも同じ制御が行われなくてもよく、たとえば、閾値Tth11、Tth12や、時間TM11が互いに異なる制御が、ヒータ131、132に対して個別に行われてもよい。
【0081】
また、給湯器100の構成も、図1に示した構成に限られるものではなく、適宜変更可能である。さらに、上記実施形態では、給湯のみが可能な給湯装置10が例示されたが、給湯とともに風呂の追い焚きが可能な給湯装置10に本発明が適用されてもよい。本発明は、給湯とともに温水暖房が可能な給湯装置に適用されてもよい。また、ガス式に限らず、オイル式等の他の方式の給湯装置に本発明が適用されてもよい。
【0082】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0083】
10 給湯装置
100 給湯器
102 缶体
103 燃焼器
104 1次熱交換器
105 2次熱交換器
114 ファン
121 制御部
131、132 ヒータ
133 温度センサ
R1 排気路
図1
図2
図3
図4
図5
図6