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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/44 20060101AFI20220705BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220705BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20220705BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20220705BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20220705BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H02J7/02 H
H01G2/02 101E
H01G11/10
H01G11/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018067168
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179626
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山根 久幸
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-123868(JP,A)
【文献】特開2013-146159(JP,A)
【文献】特開2013-146160(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125578(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/44
H01M 50/20
H02J 7/02
H01G 2/02
H01G 11/10
H01G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、
前記複数の蓄電素子のそれぞれに対応して設けられた通常放電回路及び急速放電回路を備え、
前記通常放電回路及び前記急速放電回路は、対応する蓄電素子の正極端子と負極端子とに接続されており、
前記急速放電回路は、前記通常放電回路よりも低抵抗な状態で前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続可能であり、
前記急速放電回路は、前記蓄電装置の一部の形状の変化の検出に基づく信号を受信した場合、前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続する
蓄電装置。
【請求項2】
前記通常放電回路は、前記蓄電素子の前記正極端子と前記負極端子との間の導通及び非導通を切替可能な第一スイッチ、及び、前記正極端子または前記負極端子と前記第一スイッチとの間に配置された抵抗素子を含み、
前記急速放電回路は、前記蓄電素子の前記正極端子と前記負極端子との間の導通及び非導通を切替可能な第二スイッチ、及び、前記正極端子または前記負極端子と前記第二スイッチとの間に配置された、前記抵抗素子よりも抵抗が小さな導電部材を含み、
前記急速放電回路は、前記信号を受信した場合、前記第二スイッチを非導通から導通に切り替える
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項3】
さらに、前記正極端子と前記負極端子との間の接続状態を、前記通常放電回路を介して導通させる第一状態、前記急速放電回路を介して導通させる第二状態、及び、非導通な状態である第三状態のうちの1つの状態から他の状態に切替可能な切替スイッチを備え、
前記通常放電回路は、前記第一状態において前記正極端子と前記負極端子との間の導通路の一部を形成する抵抗素子を含み、
前記急速放電回路は、前記第二状態において前記導通路の一部を形成する、前記抵抗素子よりも抵抗が小さな導電部材を含み、
前記急速放電回路は、前記信号を受信した場合、前記切替スイッチを、前記第一状態または前記第三状態から、前記第二状態に切り替える
請求項1記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記急速放電回路は、前記複数の蓄電素子それぞれに対応する位置に配置されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の蓄電素子を備える蓄電装置が知られている。例えば特許文献1には、扁平角形の電池セルを複数積層して構成された積層体と、積層体の積層方向の両端に配置された一対のエンドプレートとを備える二次電池が開示されている。この二次電池では、積層体の一方端の電池セルに対向するエンドプレートに、エンドプレートの歪みを検出する第1の歪センサが配置される。また、当該電池セルには、当該電池セルの歪みを検出する第2の歪センサが配置される。制御装置は、第1の歪センサの検出値が第1の閾値以上であって、かつ、第2の歪センサの検出値が第2の閾値以上である場合に、スイッチをオンすることにより、外部抵抗を用いて当該電池セルを放電させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-76335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の二次電池では、複数の電池セルで構成される積層体において、外部の衝撃を受けやすい端部に電池セルについて、2つのセンサの検出結果に応じて当該電池セルの放電を行うよう構成されている。しかしながら、複数の蓄電素子を備える蓄電装置において、過大な衝撃等に起因して、例えば1つの蓄電素子が不安定な状態になった場合、他の蓄電素子も不安全な状態になる可能性がある。従って、蓄電装置に対し過大な衝撃が与えられる等の事象が発生した場合、蓄電装置が備える複数の蓄電素子を速やかに安全な状態に移行させることが望まれる。また、例えば使用期間が所定の長さを超えたことを理由に、蓄電装置の使用を終了すべき場合、その後の誤使用を防ぐために、複数の蓄電素子の全てを人為的に放電させることが望ましい。また、通常の使用時では、例えば、蓄電装置の性能を十分に発揮させるために、複数の蓄電素子の充電状態(SOC:State of Charge)を均一化することが望ましい。
【0005】
このように、複数の蓄電素子を備える蓄電装置では、通常時における個々の蓄電素子の制御に加えて、非常時等における、安全かつ速やかな低エネルギー状態への移行制御を行う必要があり、そのための構成を構築することは容易ではない。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、安全性が向上された蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、前記複数の蓄電素子のそれぞれに対応して設けられた通常放電回路及び急速放電回路を備え、前記通常放電回路及び前記急速放電回路は、対応する蓄電素子の正極端子と負極端子とに接続されており、前記急速放電回路は、前記通常放電回路よりも低抵抗な状態で前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続可能であり、前記急速放電回路は、所定の信号を受信した場合、前記正極端子と前記負極端子とを電気的に接続する。
【0008】
この構成によれば、複数の蓄電素子のそれぞれに対して、通常放電回路及び急速放電回路の両方が配置されている。そのため、例えば、複数の蓄電素子のうちの選択した蓄電素子について、正極と負極とを通常放電回路で接続することで、通常時における蓄電素子の蓄電状態の制御を行うことができる。また、急速放電回路は、所定の信号として、例えば、衝撃等を検出したことを示す信号、または、ユーザからの放電の指示を示す信号を受信した場合、その急速放電回路が接続された蓄電素子を速やかに安全な状態に移行させることができる。具体的には、複数の蓄電素子のそれぞれにおいて、正極端子と負極端子とが比較的に抵抗が小さい急速放電回路で接続される。従って、複数の蓄電素子のそれぞれでは、他の蓄電素子の電圧の大きさ等の影響を受けずに、安全に放電が行われる。このように、本態様の蓄電装置は、安全性が向上された蓄電装置である。
【0009】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記通常放電回路は、前記蓄電素子の正極端子と負極端子との間の導通及び非導通を切替可能な第一スイッチ、及び、前記正極端子または前記負極端子と前記第一スイッチとの間に配置された抵抗素子を含み、前記急速放電回路は、前記蓄電素子の正極端子と負極端子との間の導通及び非導通を切替可能な第二スイッチ、及び、前記正極端子または前記負極端子と前記第二スイッチとの間に配置された、前記抵抗素子よりも抵抗が小さな導電部材を含み、前記急速放電回路は、前記所定の信号を受信した場合、前記第二スイッチを非導通から導通に切り替える、としてもよい。
【0010】
この構成によれば、例えば、スイッチと抵抗体とが直列に接続された2つの回路であって、互いに抵抗値が異なる抵抗体をそれぞれが有する2つの回路を並列に接続する、という簡易な構成で、通常用及び急速用の放電回路が実現される。
【0011】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置は、さらに、前記正極端子と前記負極端子との間の接続状態を、前記通常放電回路を介して導通させる第一状態、前記急速放電回路を介して導通させる第二状態、及び、非導通な状態である第三状態のうちの1つの状態から他の状態に切替可能な切替スイッチを備え、前記通常放電回路は、前記第一状態において前記正極端子と前記負極端子との間の導通路の一部を形成する抵抗素子を含み、前記急速放電回路は、前記第二状態において前記導通路の一部を形成する、前記抵抗素子よりも抵抗が小さな導電部材を含み、前記急速放電回路は、前記所定の信号を受信した場合、前記切替スイッチを、前記第一状態または前記第三状態から、前記第二状態に切り替える、としてもよい。
【0012】
この構成によれば、例えば、蓄電素子の正極端子および負極端子の一方に並列に接続された2つの抵抗体(抵抗素子、または単なる銅線など)と、正極端子および負極端子の他方と接続されたスイッチとで、通常時及び緊急時に対応した放電用の回路が実現される。つまり、簡易な構成で通常用及び急速用の放電回路を実現することができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る蓄電装置において、前記急速放電回路は、前記複数の蓄電素子それぞれに対応する位置に配置されている、としてもよい。
【0014】
この構成によれば、例えば、複数の急速放電回路が、各蓄電素子を短絡させる状態となり、その結果、熱を発する状態となった場合であっても、これら複数の急速放電回路の位置が分散されているため、各急速放電回路の放熱が、他の急速放電回路に妨げられ難い。また、例えば、蓄電装置に対して所定の方向から衝撃が与えられた場合に、複数の急速放電回路の位置が分散されていることで、複数の急速放電回路の全てが損傷を受ける可能性が低減される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の蓄電素子を備える蓄電装置であって、安全性が向上された蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電装置の、複数の蓄電素子の放電のための構成概要を示す図である。
図4】実施の形態に係る蓄電素子、第一回路及び第二回路の接続関係を示す回路図である。
図5】実施の形態の変形例に係る蓄電素子、第一回路及び第二回路の接続関係を示す回路図である。
図6】複数の蓄電装置に対して1つの第二回路を備える蓄電装置の構成概要を示す図である。
図7】2つの導電板が壁部に埋設された外装体本体の部分断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態及びその変形例について、図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施の形態及びその変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及びその変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及びその変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0018】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0019】
また、以下の説明及び図面中において、蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、または、当該容器の厚さ方向をX軸方向と定義する。また、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、または、蓄電素子の容器の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電装置の外装体における本体部と蓋体との並び方向、蓄電素子とバスバーとの並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(以下実施の形態及びその変形例では、直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。
【0020】
(実施の形態)
まず、蓄電装置10の構成について説明する。図1は、実施の形態に係る蓄電装置10の外観を示す斜視図である。図2は、実施の形態に係る蓄電装置10の分解斜視図である。図3は、実施の形態に係る蓄電装置10の、複数の蓄電素子300の放電のための構成概要を示す図である。なお、図2では、蓄電素子300の配列方向等を明確に示すために、図3に示す第一回路50及び第二回路70等の図示は省略されている。
【0021】
蓄電装置10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。蓄電装置10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。また、蓄電装置10は、電力系統の周波数変動調整、家庭用蓄電池設備、及び非常用電源などにも用いられる。
【0022】
図1及び図2に示すように、蓄電装置10は、複数の蓄電素子300を含む蓄電素子ユニット350と、蓄電素子ユニット350を覆う外装体11とを備える。本実施の形態では、蓄電素子ユニット350に含まれる複数の蓄電素子300は、バスバー400によって直列に接続されており、X軸方向の最もプラス側の蓄電素子300の正極端子320が、蓄電素子ユニット350の正極端子351として扱われる。また、X軸方向の最もマイナス側の蓄電素子300の負極端子330が、蓄電素子ユニット350の負極端子352として機能する。つまり、正極端子351は、蓄電素子ユニット350の総プラス端子であり、負極端子352は、蓄電素子ユニット350の総マイナス端子である。
【0023】
外装体11は、蓄電装置10の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。外装体11は、蓄電素子ユニット350を覆い、蓄電素子300等を衝撃などから保護することができる。外装体11は、例えばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により構成されている。なお、外装体本体100と蓋体200とは、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0024】
外装体11は、蓄電素子ユニット350を収容する外装体本体100と、外装体本体100の開口を塞ぐ蓋体200とを有している。外装体本体100は、外装体11の本体部を構成する部材であり、具体的には、上部に開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。
【0025】
蓋体200は、外装体本体100の開口を閉塞する扁平な矩形状のカバー部材である。また、蓋体200には、正極外部端子210と負極外部端子220とが設けられている。蓄電装置10は、この正極外部端子210と負極外部端子220とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。
【0026】
具体的には、図2に示すように、蓄電素子ユニット350の正極端子351に接合された正極リード板410と正極外部端子210とがバスバー等の導電部材(図2では点線で概念的に図示)によって電気的に接続される。また、蓄電素子ユニット350の負極端子352に接合された負極リード板420と負極外部端子220とがバスバー等の導電部材(図2では2点鎖線で概念的に図示)によって接続される。
【0027】
蓄電素子300は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子300は、扁平な角形の形状を有しており、本実施の形態では、外装体11内に8個の蓄電素子300がX軸方向に並べられて収容されている。
【0028】
蓄電素子300は、容器310と、正極端子320と、負極端子330とを備えている。なお、容器310の内方には、電極体(蓄電要素)、正極集電体、負極集電体等が配置され、また、電解液(非水電解質)が封入されている。
【0029】
容器310は、X軸方向両側の側面に長側面部を有し、Y軸方向両側の側面に短側面部を有する直方体形状(角形)の容器である。具体的には、容器310は、電極体及び電解液等を収容する容器本体と、容器本体の開口を塞ぐ蓋板とを有する。つまり、容器310は、電極体等を容器本体の内方に収容後、容器本体と蓋板とが溶接等されることにより、内部を密封することができる構造を有している。
【0030】
また、容器310に収容される電極体は、負極と正極とセパレータとが巻き回されて形成された巻回型形状であってもよいし、平板状極板を積層した形状でもよい。また、例えば、長尺帯状の極板を山折りと谷折りとの繰り返しによって蛇腹状に積層した構造を有する電極体であってもよい。また、電極体が巻回型形状である場合、巻回軸はY軸方向に平行であってもよく、Z軸方向に平行であってもよい。電極体に用いられる正極活物質または負極活物質としては、蓄電素子300の性能を損なうものでなければ適宜公知の材料を使用できる。また、容器310に封入される電解液としても、蓄電素子300の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0031】
正極端子320は、正極集電体を介して、電極体の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子330は、負極集電体を介して、電極体の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれも絶縁部材を介して蓋板に固定されている。
【0032】
なお、蓄電素子300は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池(例えば、ニッケル・カドミウム電池、及び、ニッケル水素電池など)であってもよいし、キャパシタであってもよい。更に、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。また、蓄電素子300は、固体電解質を用いた電池であってもよい。また、蓄電素子300の形状は、角形には限定されず、円柱形状、長円柱形状または直方体以外の多角柱形状等であってもよい。
【0033】
また、蓄電装置10が備える蓄電素子300の数は8には限定されず、例えば蓄電装置10に求められる出力電圧に応じて、蓄電素子300の数を調整することも可能である。
【0034】
バスバー400は、複数の蓄電素子300の上方に配置され、複数の蓄電素子300同士を電気的に接続する金属などの導電性の板状部材である。具体的には、バスバー400は、隣接する蓄電素子300において、一の蓄電素子300の正極端子320と、他の蓄電素子300の負極端子330とを接続する。本実施の形態では、7つのバスバー400によって、8個の蓄電素子300が直列に接続されることで、8個の蓄電素子300を含む蓄電素子ユニット350が構成されている。
【0035】
なお、蓄電素子ユニット350における複数の蓄電素子300の電気的な接続の態様は直列には限定されない。例えば、並列に接続された2個の蓄電素子300をサブユニットとした場合、4つのサブユニットを直列に接続することで、1つの蓄電素子ユニット350が構成されていてもよい。
【0036】
上記のように構成された蓄電装置10はさらに、複数の蓄電素子300のそれぞれに対応して設けられた通常放電回路及び急速放電回路を備えている。具体的には、図3に示すように、蓄電装置10は、通常放電回路として第一回路50を備え、急速放電回路として第二回路70を備えている。第一回路50及び第二回路70は、対応する蓄電素子300の正極端子320と負極端子330とに接続されている。
【0037】
第一回路50は、蓄電装置10の通常の使用時において、複数の蓄電素子300の充電状態を均一化するために、複数の蓄電素子300のそれぞれに接続された放電用回路である。つまり、本実施の形態では、8個の蓄電素子300に対応する8個の第一回路50が、蓄電装置10に備えられている。なお、8個の第一回路50は、例えば、蓄電装置10が備える制御基板40に配置されている。制御基板40は、例えば、蓄電素子ユニット350の上方の、蓋体200内の空間に収容されている。
【0038】
第二回路70は、例えば過大な衝撃または振動等に起因して蓄電装置10が不安定な状態になった場合または不安定な状態になりそうな場合に、対応する蓄電素子300を急速放電させるための放電用回路である。また、第二回路70は、例えば蓄電装置10の使用の終了時において、蓄電素子300を放電させる場合にも使用される。本実施の形態では、図3に示すように、第二回路70は、複数の蓄電素子300それぞれに対応する位置に配置されている。より詳細には、本実施の形態において、蓄電装置10に備えられた8個の蓄電素子300それぞれの上方の位置に、当該蓄電素子300の正極端子320と負極端子330とに接続された1つの第二回路70が配置されている。
【0039】
これら複数の第一回路50及び第二回路70は、制御部550から送信される制御信号に応じて動作する。制御部550は、蓄電素子ユニット350に含まれる複数の蓄電素子300の充放電を制御する装置である。制御部550は、例えば、各蓄電素子300の充電状態を監視し、その監視結果に基づき、1以上の第一回路50の動作を制御することで、複数の蓄電素子300の充電状態を均一化する。
【0040】
また、制御部550は、例えば、検出部500から受信する検出結果に基づいて、蓄電装置10が備える複数の第二回路70の動作を制御することで、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300を急速に放電させる。
【0041】
検出部500は、蓄電装置10の状態の変化を検出する検出部の一例であり、本実施の形態では、蓄電装置10の少なくとも一部の形状の変化を検出する。より詳細には、検出部500には、外装体11の内部において、蓄電素子ユニット350を2重に囲むように配置された2枚の導電板510及び520が接続されている。なお、図2等には表されていないが、2枚の導電板510及び520のうちの内側の導電板520と、蓄電素子ユニット350とは絶縁フィルム等で、電気的に絶縁されるよう構成されている。
【0042】
これら導電板510及び520は、蓄電装置10の状態が変化したことを検出するための部材である。本実施の形態では、例えば、蓄電装置10に圧力または衝撃が加えられることで外装体11が変形または損傷した場合に、導電板510及び520が接触することで、蓄電装置10の状態が変化したことが検出される。具体的には、検出部500は、導電板510と導電板520とが接触することで、導電板510及び520を含む回路に電流が流れたこと(抵抗値が所定の値以下になったこと)を検出する。これにより、検出部500は、導電板510と導電板520とが接触したことを検出する。
【0043】
検出部500による検出結果は、制御部550に通知され、制御部550は、8個の蓄電素子300に対応する8個の第二回路70の動作を制御する。これにより、8個の蓄電素子300のそれぞれは、急速に放電される状態となる。
【0044】
なお、制御部550による上記の制御機能は、例えば、蓄電装置10が搭載された自動車等の機器が備える制御装置によって実現される。また、上記の制御機能は、外装体11に収容された電子回路によって実現されてもよい。また、複数の第一回路50を制御する機能と、複数の第二回路70を制御する機能とは、互いに別体の電子回路によって実現されてもよい。この場合、複数の第一回路50を制御する機能は、例えば、制御基板40に形成された電子回路によって実現されてもよい。
【0045】
上記の、第一回路50による通常の放電動作、及び、第二回路70による急速な放電動作について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態に係る蓄電素子300、第一回路50、及び第二回路70の接続関係を示す回路図である。なお、図4では、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300と外部との間で電気の充放電を行うための主回路の図示は省略されている。このことは、後述する図5に示す回路図についても同じである。
【0046】
図4に示すように、複数の蓄電素子300のそれぞれに対して、並列に第一回路50及び第二回路70が接続されている。本実施の形態では、第一回路50は、蓄電素子300の正極端子320と負極端子330との間において、直列に接続された第一スイッチ51及び抵抗素子52を含む。つまり、第一スイッチ51は、蓄電素子300の正極端子320と負極端子330との間の導通及び非導通を切り替えるスイッチである。なお、図4では、抵抗素子52は、負極端子330と第一スイッチ51との間に配置されているが、抵抗素子52は、正極端子320と第一スイッチ51との間に配置されてもよい。
【0047】
本実施の形態において、第二回路70は、蓄電素子300の正極端子320と負極端子330との間において、直列に接続された第二スイッチ71及び導電部材72を含む。導電部材72は、第一回路50の抵抗素子52よりも抵抗が小さな部材であり、例えば、所定の線径及び長さの銅線によって実現される。また、導電部材72としての線材の材料は銅には限定されず、例えば、ステンレス鋼材(SUS)またはニクロムであってもよい。なお、導電部材72は、抵抗素子52よりも抵抗値が小さい抵抗素子であってもよい。
【0048】
上記のように構成された第一回路50に対し、制御部550は、例えば、各蓄電素子300の電圧の検出結果を取得し、放電させるべき蓄電素子300に対応する第一回路50の第一スイッチ51をオフからオンに切り替える。これにより、当該蓄電素子300は、抵抗素子52及び第一スイッチ51を介して短絡した状態となり、蓄電容量の消費(つまり放電)がなされる。その結果、複数の蓄電素子300の充電状態の均一化が図られる。蓄電装置10の通常の使用時では、このような、第一回路50を用いた個々の蓄電素子300の強制的な放電が行われる。
【0049】
また、例えば、蓄電装置10を搭載した自動車等の機器が衝突事故を起こした場合などにおいて、蓄電装置10に過大な衝撃または振動が与えられた場合、蓄電装置10の一部(本実施の形態では外装体11)の形状が変化する。これにより、通常時において互いに離間して配置された、導電板510及び520(図2及び図3参照)が接触する。検出部500は、導電板510及び520の接触を検出した場合、制御部550に、検出結果に対応する信号を送信する。制御部550は、当該信号を受信した場合、上記のように構成された第二回路70に対し、所定の信号(制御信号)を送信する。具体的には、制御部550は、蓄電装置10が備える8個の第二回路70の全てに制御信号を送信する。これにより、8個の第二回路70のそれぞれでは、第二スイッチ71がオフからオンに切り替えられる。これにより、8個の蓄電素子300のそれぞれは、低抵抗の回路によって短絡した状態となり、急速な蓄電容量の消費(つまり急速放電)がなされる。その結果、蓄電装置10が備える全ての蓄電素子300は、速やかに低エネルギー状態に移行し、発熱する等の不安全な事象が生じる可能性が低減される。なお、制御部550は、検出部500からの検出結果に加えて、または換えて、例えば、ユーザからの指示に従って、複数の第二回路70のそれぞれに、急速放電させるための制御信号を送信することもできる。つまり、衝突事故等の非常時ではなく、蓄電装置10の使用が終了した場合などにおいて、ユーザ(作業者も含む)の意図によって、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300の全てを放電させることも可能である。すなわち、本実施の形態に係る蓄電装置10によれば、使用の終了の時点まで、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300の充電状態を管理することが可能である。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、複数の蓄電素子300を備える蓄電装置10であって、複数の蓄電素子300のそれぞれに対応して設けられた、通常放電回路である第一回路50、及び、急速放電回路である第二回路70を備える。第一回路50及び第二回路70は、対応する蓄電素子300の正極端子320と負極端子330とに接続されている。第二回路70は、第一回路50よりも低抵抗な状態で正極端子320と負極端子330とを電気的に接続可能である。第二回路70は、所定の信号を受信した場合、正極端子320と負極端子330とを電気的に接続する。
【0051】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置10では、複数の蓄電素子300のそれぞれに対して、通常放電回路及び急速放電回路(第一回路50及び第二回路70)の両方が配置されている。そのため、例えば、複数の蓄電素子300のうちの選択した蓄電素子について、正極と負極とを第一回路50で接続することで、通常時における蓄電素子300の充電状態の制御を行うことができる。また、急速放電回路である第二回路70は、所定の信号として、例えば、衝撃等の検出、または、ユーザからの指示に基づく信号を受信した場合、第二回路70が接続された蓄電素子300を速やかに低エネルギー状態(つまり、安全な状態)に移行させることができる。具体的には、複数の蓄電素子300のそれぞれにおいて、正極と負極とが比較的に抵抗が小さい第二回路70で接続される。従って、複数の蓄電素子300のそれぞれでは、他の蓄電素子300の電圧の大きさ等の影響を受けずに、安全に放電が行われる。
【0052】
また、第一回路50及び第二回路70のいずれかを選択するのみで、通常の放電を行うこと、または、不安全事象の発生時の急速放電を行うことができる。すなわち、簡易な構成で、通常時における蓄電装置10の性能の維持または向上を図りながら、衝突事故等の非常時における、蓄電装置10を安全性の確保が図られる。
【0053】
また、例えば、蓄電装置10の使用の終了時などにおいて、ユーザは、蓄電装置10が備える全ての蓄電素子300のそれぞれを、意図的に放電させることができる。そのため、例えば、使用すべきでない蓄電装置10が、誤って、他の機器に転用されること(誤使用)が防止される。このように、本実施の形態に係る蓄電装置10は、安全性が向上された蓄電装置である。
【0054】
また、本実施の形態に係る蓄電装置10において、第一回路50は、蓄電素子300の正極端子320と負極端子330との間の導通及び非導通を切替可能な第一スイッチ51、及び、正極端子320または負極端子330と第一スイッチ51との間に配置された抵抗素子52を含む。第二回路70は、蓄電素子300の正極端子320と負極端子330との間の導通及び非導通を切替可能な第二スイッチ71、及び、正極端子320または負極端子330と第二スイッチ71との間に配置された、抵抗素子52よりも抵抗が小さな導電部材72を含む。第二回路は、所定の信号を受信した場合、第二スイッチ71を非導通から導通に切り替える。
【0055】
このように、本実施の形態では、例えば、スイッチと抵抗体とが直列に接続された2つの回路であって、互いに抵抗値が異なる抵抗体をそれぞれが有する2つの回路を並列に接続することで、第一回路50及び第二回路70が実現される。つまり、簡易な構成で、通常用及び急速用の放電回路である、第一回路50及び第二回路70が実現される。
【0056】
また、本実施の形態に係る蓄電装置10において、第二回路70は、複数の蓄電素子300それぞれに対応する位置に配置されている。具体的には、例えば図2に示すように、各蓄電素子300の上方に、当該蓄電素子300を急速放電させる第二回路70が配置される。
【0057】
この構成によれば、例えば、複数の第二回路70が、各蓄電素子300を短絡させる状態となり、その結果、熱を発する状態となった場合であっても、これら複数の第二回路70の位置が分散されているため、各第二回路70の放熱が、他の第二回路70に妨げられ難い。また、複数の第二回路70からの熱が集中することによる不具合も生じ難い。また、例えば、蓄電装置10に対して所定の方向から衝撃が与えられた場合に、複数の第二回路70の位置が分散されていることで、複数の第二回路70の全てが損傷を受ける可能性が低減される。すなわち、衝突事故等の非常時において、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300についての急速放電機能の少なくとも一部が、衝撃等による損傷を免れる確率が高くなる。そのため、衝突事故等の非常時において、蓄電装置10が、早期に安全な状態に移行する可能性が向上される。
【0058】
以上、実施の形態に係る蓄電装置10について説明したが、蓄電装置10は、図2図4に示す態様とは異なる態様の第一回路及び第二回路を備えてもよい。そこで、以下に、複数の蓄電素子300の放電を行うための第一回路及び第二回路に関する変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0059】
(変形例)
図5は、実施の形態の変形例に係る蓄電素子300、第一回路50a、及び第二回路70aの接続関係を示す回路図である。
【0060】
図5に示すように、本変形例に係る蓄電装置10aは、複数の蓄電素子300のそれぞれに対応して設けられた、通常放電回路である第一回路50a、及び、急速放電回路である第二回路70aを備える。本変形例では、第一回路50a及び第二回路70aは、1つのスイッチによって、導通及び非導通の一方から他方への切り替えが行われる点で、上記実施の形態とは異なる。
【0061】
具体的には、本変形例に係る蓄電装置10aは、正極端子320と負極端子330との間の接続状態を、第一回路50aを介して導通させる第一状態、第二回路70aを介して導通させる第二状態、及び、非導通な状態である第三状態のうちの1つの状態から他の状態に切替可能な切替スイッチ81を備える。第一回路50aは、第一状態において正極端子320と負極端子330との間の導通路の一部を形成する抵抗素子52を含む。第二回路70aは、第二状態において導通路の一部を形成する、抵抗素子52よりも抵抗が小さな導電部材72を含む。第二回路70aは、所定の信号を受信した場合、切替スイッチ81を、第一状態または第三状態から、第二状態に切り替える。
【0062】
つまり、制御部550が、検出部500による検出結果、または、ユーザからの指示等に応じて、所定の信号(制御信号)を、第二回路70aに送信した場合、第二回路70aに接続された蓄電素子300では、第二回路70aを介した低抵抗な状態での放電が生じる。
【0063】
このように、本変形例に係る蓄電装置10では、例えば、蓄電素子300の正極端子320および負極端子330の一方に並列に接続された2つの抵抗体(本変形例では、抵抗素子52及び導電部材72)と、正極端子320および負極端子330の他方と接続された切替スイッチ81とで、通常用及び急速用の放電回路が実現される。つまり、簡易な構成で通常放電回路である第一回路50a及び急速放電回路である第二回路70aを実現することができる。
【0064】
なお、蓄電装置10aの通常の使用時では、第一回路50aは、制御部550からの制御信号に応じて、切替スイッチ81を第一状態と第三状態の一方から他方に切り替える。これにより、通常時における、複数の蓄電素子300の充電状態の均一化が図られる。つまり、切替スイッチ81は、第一回路50aを動作させる場合は第一回路50aの一部を構成し、かつ、第二回路70aを動作させる場合は第二回路70aの一部を構成する、と言うことができる。
【0065】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置10について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。
【0066】
例えば、実施の形態に係る第二回路70が導通状態にされた場合(つまり、第二スイッチ71がオフからオンに切り替えられた場合)、第一回路50は、導通状態であってもよい。つまり、第二スイッチ71がオフからオンに切り替えられた場合、第一スイッチ51もオフからオンに切り替えられてもよく、また、オンの状態のまま維持されてもよい。つまり、制御部550からの制御信号に従って、第二回路70を用いた急速放電を行うべき場合、第一回路50が導通状態であっても、第二回路70による急速放電は妨げられない。
【0067】
また、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300を、強制的にかつ一括して放電させるための構成としては、複数の蓄電素子300に対して1つの第二回路を備えることも考えられる。
【0068】
図6は、複数の蓄電素子300に対して1つの第二回路170を備える蓄電装置10の構成概要を示す図である。
【0069】
図6に示す蓄電装置10では、直列に接続された第二スイッチ171及び導電部材172を含む第二回路170が、8個の蓄電素子300からなる蓄電素子ユニット350に直列に接続されている。導電部材172は、第一回路50の抵抗素子52よりも抵抗が小さな部材である。この構成において、例えば、衝突事故等の非常時において、導電板510及び520が接触した場合、検出部500は、導電板510及び520を含む回路に電流が流れたこと(抵抗値が所定の値以下になったこと)を検出する。この場合、制御部550は、第二回路170に所定の信号(制御信号)を送信する。第二回路170は、この制御信号に応じて、第二スイッチ171をオフからオンに切り替える。その結果、蓄電素子ユニット350を構成する複数(図6では8個)の蓄電素子300は、一括してかつ強制的に放電状態となる。また、蓄電装置10の使用の終了時などにおいて、ユーザの意図によって、第二スイッチ171をオフからオンに切り替えること、つまり、蓄電装置10が備える複数の蓄電素子300の全てを放電させることも可能である。
【0070】
また、蓄電装置10の状態の変化を検出するための部材である導電板510及び520は、例えば、外装体11の壁部に埋設されていてもよい。図7は、導電板510及び520が壁部に埋設された外装体本体101の部分断面を示す図である。
【0071】
図7に示すように、外装体本体101の壁部の内面101aと外面101bとの間に、導電板510及び520を対向させかつ離間させて配置する。これにより、例えば、外装体本体101が衝撃を受けた場合等において、外装体本体101が変形したことを検出しやすくなる。また、導電板510及び520の全体が外装体本体101に保護される状態となるため、例えば、導電板510及び520の劣化が抑制される。また、例えば、導電性の異物が導電板510及び520の間に入ることによる誤検出も生じ難くなる。
【0072】
なお、導電板510及び520を、外装体本体101の壁部に埋設する場合、例えば、樹脂材料と導電板510及び520とを用いたインサート成形によって、導電板510及び520を備える外装体本体101が作製されてもよい。また、外装体本体101を、内面101aを形成する内箱と、外面101bを形成する外箱との2重構造にし、内箱と外箱との間に、導電板510及び520を対向させかつ離間させて配置してもよい。
【0073】
また、蓄電装置10の状態の変化を検出するための部材である導電板510及び520は、蓄電素子ユニット350の全周を覆うように配置される必要はない。例えば、蓄電装置10の、設置場所または設置の際の姿勢等によって、予め、衝撃を受ける可能性が高い部分が分かっている場合、当該部分に対応する位置にのみ、導電板510及び520を対向させかつ離間させて配置してもよい。
【0074】
また、蓄電装置10の状態の変化を検出するための手法は、上記の2枚の導電板510及び520を用いた手法には限定されない。例えば、圧力センサ、接触センサ、または加速度センサ等を、蓄電装置10のいずれかの位置に配置することで、蓄電装置10に過大な衝撃または振動が加えられたこと、または、蓄電装置10の少なくとも一部が変形したこと等を検出してもよい。
【0075】
また、蓄電装置10は、例えば、蓄電装置10が搭載されている自動車等の機器から、衝撃または振動等に関する検出結果を取得し、取得した検出結果に応じて、複数の蓄電素子300を急速放電してもよい。つまり、蓄電装置10は、例えば、第二回路70の動作を制御するためのセンサ等の検出部を有する必要はない。
【0076】
また、複数の蓄電素子300を保持する外装体11は、複数の蓄電素子300を収容するケース状の形状である必要はない。例えば、複数の蓄電素子300の両端に配置された一対のエンド部材と、一対のエンド部材を連結する連結部材とによって、外装体が構成されてもよい。
【0077】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を複数備える蓄電装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0079】
10、10a 蓄電装置
50、50a 第一回路
51 第一スイッチ
52 抵抗素子
70、70a、170 第二回路
71、171 第二スイッチ
72、172 導電部材
81 切替スイッチ
300 蓄電素子
320、351 正極端子
330、352 負極端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7