(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/04 20060101AFI20220705BHJP
B65D 41/28 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D41/28
(21)【出願番号】P 2018072352
(22)【出願日】2018-04-04
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】本庄 美香
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-101961(JP,A)
【文献】特開2016-210458(JP,A)
【文献】特開平05-066521(JP,A)
【文献】特開2014-069828(JP,A)
【文献】特開2005-088954(JP,A)
【文献】米国特許第03568871(US,A)
【文献】英国特許出願公告第01583024(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/04
B65D 41/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体とキャップとを備え、
前記キャップが、前記容器本体の口筒部を閉塞するキャップ天板と、前記キャップ天板の外周から垂下するキャップ周壁と、前記キャップ周壁の内側の位置で前記キャップ天板から垂下するインナーリングとを備え、
前記インナーリングが、前記口筒部の筒壁に密着して前記口筒部を閉塞する包装容器であって、
前記インナーリングの縦断面が外側に凸の円弧状をなし、前記インナーリングの最大外径が前記筒壁の内径より大きく、前記インナーリングの上端部および下端部の外径が前記筒壁の内径より小さく、
前記キャップ天板の厚さが、前記キャップ周壁と前記インナーリングに挟まれた領域において、前記インナーリングの内側の領域よりも厚くなって
おり、
前記インナーリングと前記筒壁が当接する部位の近傍において、前記インナーリングの縦断面の外側に凸の円弧の半径が、3mm以上かつ前記インナーリングの中心から前記筒壁に当接する頂点までの距離以下であり、
かつ、内容物を高温の状態で充填してキャップを装着し温度を低下させて包装容器が負圧状態となったときにも、インナーリングが円弧の頂点で前記口筒部の筒壁に接することを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記キャップが、前記容器本体の材質と同等以下の曲げ弾性率の材質で構成されていることを特徴とする
請求項1に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体とキャップとを備えて構成されるキャップ付きの包装容器に関し、特に、内容物が高温の状態で充填されるホット充填においても密封状態が良好に保たれる包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ付きの包装容器は、従来、内容物の漏れを防ぐために容器本体の口筒部先端と当接するキャップ内面にゴム状材料などでシール部材やパッキンを設けることが行われていた。しかしシール部材やパッキンを設けるのはコスト高になることから、代わりに、口筒部の内側面に摺接するインナーリングを垂設し、さらに口筒部先端面と当接するコンタクトリングを設けて容器本体の口筒部を閉塞して密閉することが行われていた(例えば特許文献1)。このとき、インナーリングの外径は、口筒部の内径よりも若干大きく設定され(この差を「せり量」と呼ぶこととする)、インナーリングが口筒部の内面に押し付けられた態様となり密封性を高めている。
【0003】
また、口筒部の外側面に摺接するアウターリングをさらに設けて、アウターリングとインナーリングとの間に容器本体の口筒部の筒壁を挟むことにより容器本体の口筒部を閉塞して密閉することが行われていた(例えば特許文献2)。またこのとき、垂下するインナーリングの形状を、直線状でなく、「くの字」状に折れ曲がった形状として、密封性が向上するとされたものもある(例えば、特許文献3)。
【0004】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に開示されているような、直線状のインナーリングを有する容器は、特に内容物を高温の状態のまま充填する、いわゆるホット充填に適用する場合、充填後に温度が低下して内容物および内封された空気の体積が収縮し、容器内が負圧状態となると、
図4に示したようにキャップ40の天面41が凹んで変形し、それに伴いインナーリング42、アウターリング43、およびコンタクトリング44が口筒部45からずれて密封性が不安定になることがあった。
【0005】
また、特許文献3に示したような、インナーリングが「くの字」状である容器においては、
図5に示したように通常は「くの字」の頂点部分52が口筒部55の内面に押し付けられた態様となり密封性が高められているところ、ホット充填に適用すると、キャップの天面51の変形によりインナーリング54の形状が歪んで不安定な面52での接触になることがあり、密封性が不安定になることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3221267号公報
【文献】特開平8-40444号公報
【文献】特許第4393092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、シール材やパッキン等の他部材を使用しなくとも、インナーリングによって十分な密封力を有し、ホット充填に適用した場合もキャップの密封性が低下しない包装容器を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る発明は、
容器本体とキャップとを備え、
前記キャップが、前記容器本体の口筒部を閉塞するキャップ天板と、前記キャップ天板の外周から垂下するキャップ周壁と、前記キャップ周壁の内側の位置で前記キャップ天板から垂下するインナーリングとを備え、
前記インナーリングが、前記口筒部の筒壁に密着して前記口筒部を閉塞する包装容器で
あって、
前記インナーリングの縦断面が外側に凸の円弧状をなし、前記インナーリングの最大外径が前記筒壁の内径より大きく、前記インナーリングの上端部および下端部の外径が前記筒壁の内径より小さく、
前記キャップ天板の厚さが、前記キャップ周壁と前記インナーリングに挟まれた領域において、前記インナーリングの内側の領域よりも厚くなっており、
前記インナーリングと前記筒壁が当接する部位の近傍において、前記インナーリングの縦断面の外側に凸の円弧の半径が、3mm以上かつ前記インナーリングの中心から前記筒壁に当接する頂点までの距離以下であり、
かつ、内容物を高温の状態で充填してキャップを装着し温度を低下させて包装容器が負圧状態となったときにも、インナーリングが円弧の頂点で前記口筒部の筒壁に接することを特徴とする包装容器である。
【0010】
また、本発明の請求項2に係る発明は、
前記キャップが、前記容器本体の材質と同等以下の曲げ弾性率の材質で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、インナーリングの縦断面が外側に凸の円弧状で、またインナーリングの最大外径が容器本体の口筒部の筒壁の内径より大きく構成されているため、容器本体にキャップを装着したときには、インナーリングの円弧の頂点で口筒部の内面と点接触する態様となり、この円弧の頂点で口筒部の筒壁を内側から押圧する。このように、キャップを装着した状態では、インナーリングの円弧により外向きの応力がかかった状態に維持されるため、両者は強い力で密着する。なお、これを筒周方向で見ると、筒壁の内面に線接触している態様となり、全周に渡って密着している態様となる。そして、この線状の密着部分で、容器が密封される。
【0012】
次に、インナーリングの上端部および下端部の外径が容器本体の口筒部の筒壁の内径より小さく構成されているため、キャップを容器本体に装着するとき、容器本体の口筒部の筒壁がインナーリングの下端部に突き当たることがない。しかも、インナーリングはその縦断面が外側に凸の円弧状をなしており、すなわち、インナーリングの外面および内面のいずれもが、キャップ天板から円弧の頂点に向かって拡径する形状を有し、また、円弧の頂点から下端に向かって縮径する形状を有しているため、口筒部の筒壁の進入に伴ってインナーリングを内側に向かって容易に撓ませることができる。このため、口筒部の筒壁がインナーリングの下端部とキャップ周壁の間にはさまれた後も、強い抵抗を受けることなく、スムーズに進入することができる。
【0013】
また、キャップ天板の厚さが、キャップ周壁とインナーリングに挟まれた領域において、インナーリングの内側の領域よりも厚くなっているため、ホット充填を行った後に温度低下に伴い容器が負圧状態となったとき、キャップ天板の変形が、主にインナーリングの内側の領域の凹みとして発生することになる。キャップ天板のインナーリングの内側の領域が凹むことにより、インナーリングの上端部、すなわちキャップ天板に連結している部位が外側に回動するような力となり、その結果、下端部側には外側に押し付けられるような力がかかり、また円弧の頂点の位置が若干ずれる。この様な力がかかった場合もインナーリングの縦断面が外側に凸の円弧状であるため、インナーリングと口筒部の筒壁の内面との接触は点接触の態様のままとなり、変化しない。すなわちインナーリングと口筒部の筒壁の内面との密着状態に変化は少ないため、安定した密封状態が保持できる。
【0014】
このように、本発明によれば、インナーリングの縦断面が外側に凸の円弧状であり、その最大外径が容器本体の口筒部の筒壁の内径より大きく構成されているため、円弧の頂点で押圧が掛かった状態で密接して十分に密封することができるにも拘わらず、容器本体の口筒部の筒壁がインナーリングの下端部に突き当たることがなく、進入が容易となる。またホット充填後に容器が負圧状態となってキャップ天板に変形が生じても密封の状態に変化がなく安定して密封状態を保持できる。
【0015】
また請求項2に記載の発明によれば、インナーリングの縦断面の外側に凸の円弧の半径を3mm以上かつ前記インナーリングの中心から前記筒壁に当接する頂点までの距離以下とすることにより、ホット充填に適用したとき、充填後に温度が下がって容器が負圧状態となってキャップ天板が凹むような変形が生じても密封状態をより確実に保持できる。すなわち、キャップ天板が凹んでインナーリングを筒壁により強く押し付けるような力がかると共に、円弧方向に回動することがあっても、円弧状の部分で当接する態様に変化がなく、インナーリングと容器本体の口筒部の筒壁との密着状態の変化を少なくでき、安定して密封状態を保持できる。円弧の半径が3mmよりも小さいと、円弧状である効果が薄れ、わずかな回動により当接の態様が大きく変動してしまい、密封状態が変動してしまう虞がある。また円弧の半径が前記インナーリングの中心から前記筒壁に当接する頂点までの距離よりも大きいと、インナーリングの縦断面が平面に近くなって筒壁により強く押し付けられたときに面接触の状態となり、摩擦抵抗が大きくなるため、キャップを螺解するときのトルクが過大になってしまう虞がある。
【0016】
また請求項3に記載の発明によれば、キャップが容器本体の材質と同等以下の曲げ弾性率の材質で構成されていて、すなわち同等以上の柔軟さの材質で構成されているため、キャップを容器本体にねじ込む際にインナーリングが柔軟に撓み、口筒部の筒壁の進入が一層容易になるとともに、ホット充填後に容器が負圧状態となったときにキャップ天板に先に変形が生じ易く、容器本体が変形して商品としたときの見た目が損なわれ難い包装容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の包装容器の口筒部とキャップを組合せて透視的に見た模式図である。
【
図2】本発明の包装容器の口筒部およびキャップの部分縦断面模式図である。
【
図3】本発明の包装容器のキャップ天板が変形した状態の部分縦断面模式図である。
【
図4】従来の直線状のインナーリングを有する包装容器の部分縦断面模式図である。
【
図5】従来の「くの字」状のインナーリングを有する包装容器の部分縦断面模式図である。
【
図6】比較例1の包装容器の口筒部およびキャップの部分縦断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の包装容器の一実施形態の口筒部とキャップを組合せて透視的に見た模式図である。
図1から分かるように、本発明の包装容器のキャップ1は、容器本体2の口筒部を閉塞するキャップ天板11を有しており、このキャップ天板11の外周からキャップ周壁12が垂下している。また、キャップ周壁12の内側の位置でキャップ天板11か
らインナーリング14が垂下している。
【0020】
容器本体2の口筒部は円筒状の筒壁21に囲まれている。そして、この口筒部の筒壁21の外周にねじ部22が設けられており、他方、キャップ周壁12内面にもねじ部13が設けられている。そして、これら容器本体2のねじ部22とキャップ周壁12のねじ部13とを螺合することにより、キャップ1が容器本体2に装着されている。もちろん、キャップ1と容器本体2とは開封と装着(すなわち、脱着)を繰り返すことができる。なお、キャップ1を容器本体2に装着した状態では、キャップ天板11が容器本体2の口筒部を閉塞している。
【0021】
インナーリング14は、キャップ天板11からその下端部14cに向けて、縦断面が外側に凸の円弧状をなしている。円弧の頂点14bにおいてその外径d2は最大となり、上方部14aの外径及び下端部14cの外径より大きく構成されている。すなわち、インナーリング14の各部分のうち、もっとも外径が大きい部分となる。そして、頂点14bの外径d2は容器本体2の口筒部の筒壁21の内径d1より大きく構成され、その一方の側における差sが、せり量sである。キャップ1を容器本体2に装着した状態で、キャップ1を容器本体2とは、この円弧の頂点14bで、縦断面で見ると点接触、筒周方向で見るとリング状に線接触し、この円弧の頂点14bが口筒部の筒壁21を内側から押圧して密封している。
【0022】
また、この円弧の半径は3mm以上かつインナーリング14の中心から筒壁21に当接する頂点14bまでの距離以下、すなわち
図2に示したr1以下とすると、筒壁21との密着状態の変化を少なくでき好ましい。前述のように、円弧の半径が3mmよりも小さいと、円弧での接触よりも点接触に近くなり、わずかな回動により当接の態様が大きく変動して、密封状態が変動してしまう虞がある。また円弧の半径がインナーリング14の中心から筒壁21に当接する頂点14bまでの距離よりも大きいと、インナーリング14の縦断面が平面に近くなって、減圧によりキャップ1に変形が生じるなどして筒壁21により強く押し付けられたときに面接触の状態となり、摩擦抵抗が大きくなるため、キャップを螺解するときのトルクが過大になってしまう虞がある。
【0023】
図2は、本発明の包装容器の一実施形態の口筒部にキャップをねじ込んだ状態の部分縦断面模式図である。
図2から分かるように、実際にキャップ1をねじ込んだときは、せり量sの分だけインナーリング14が内側に撓み、その反力でインナーリング14が白抜き矢印のように口筒部の筒壁21を内側から押圧して密封する。せり量sを変えることで押圧を調整することも可能で、充填する内容物や充填条件等に合わせて適宜設定できる。なお
図4に示したような直線状のインナーリングを有する従来の容器では、インナーリングの外周面全体が口筒部の内面と接するため、せり量を少し大きくするとねじ込みの際の抵抗が一気に大きくなってしまうなど、調整が困難であった。
【0024】
図1に戻って、インナーリング14の上端部14aおよび下端部14cは、容器本体2の口筒部の筒壁21の内径より小さく構成されている。このため、キャップを容器本体に装着するとき、容器本体2の口筒部の筒壁21がインナーリング14の下端部14cに突き当たることがなく、またねじ込みを進めたときに容器本体2の口筒部の筒壁21がインナーリング14の上端部14aに突き当たることがない。また筒壁21の先端はキャップ天板11を稜状に周回して設けられたコンタクトリング15に突き当って密封される。
【0025】
キャップ天板11は、キャップ周壁12とインナーリング14に挟まれた領域での厚さt1が、インナーリング14の内側の領域の厚さt2よりも厚くなっている。そのため、キャップ天板11に内圧などの力が加わった場合には、インナーリング14の内側の領域のほうが変形を起こし易くなっている。
【0026】
図3は、本発明の包装容器のキャップ天板が変形した状態の部分断面模式図である。この様な変形は、例えばホット充填などの際に典型的に生じる。すなわち、ホット充填では内容物を高温の状態で充填するため、充填してキャップ1を装着し、包装容器2を密封した後に温度が低下すると、内容物および一緒に封入された空気が収縮するため、包装容器2は負圧状態となる。このとき、キャップ1のキャップ天板11が変形して凹むことがある。
【0027】
この様に凹む場合、キャップ天板11の厚さが、キャップ周壁12とインナーリング14に挟まれた領域において、インナーリング14の内側の領域よりも厚くなっているため変形し難く、インナーリング14の内側の領域が矢印A1のように変形し易い。この変形によりインナーリング14には矢印A2に示すような、外側に押し広げる力がかかる。矢印A2の様な力がかかると、インナーリング14の円弧の頂点14bをより強く筒壁21の内面に押し付けることになるので、インナーリング14による密封が不安定になる虞はない。またこのときインナーリング14が円弧の方向にわずかに回動するような動きをすることがあるが、円弧の半径を前述の様な適切な範囲に設定することでインナーリング14が筒壁21に当接する部位は変わらず円弧状とすることができ、円弧の頂点で接することになるため、インナーリング14と筒壁21の密封の状況に変化は生じない。
【0028】
以上説明したようなキャップ1及び容器本体2は、任意の熱可塑性樹脂を材質として成形することが可能である。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレンなどである。また、これらの樹脂に適切な添加剤を混合して成形することも可能である。例えば、着色剤、滑剤、帯電防止剤、あるいは紫外線吸収剤である。キャップ1及び容器本体2の両者を、紫外線吸収剤を添加した樹脂で成形すれば、これらキャップ1と容器本体2の両者は紫外線遮断性を有する結果となるから、紫外線によって劣化し易い内容物を収容する容器として適している。また、カーボンブラックを添加した黒色の樹脂で成形することにより、紫外線遮断性を有するキャップ1と容器本体2を製造することもできる。この容器も、紫外線によって劣化し易い内容物を収容する容器として適している。紫外線によって劣化し易い内容物としては、各種食品の他、感光性フィルムや紫外線硬化型インキあるいは紫外線硬化型の塗料などが例示できる。
【0029】
なお、キャップ1は容器本体2の材質と曲げ弾性率が同等以下である材質から構成する、すなわち同等以上の柔軟さを有することが望ましい。例えば、容器本体2をポリプロピレンで構成し、キャップ1をポリプロピレンより柔軟な高密度ポリエチレンで構成する場合である。キャップ1がより柔軟な材質から構成されていると、インナーリング14が内側に向かって一層柔軟に撓むから、口筒部の筒壁21の進入が一層容易になる。
【0030】
また、ホット充填の際に生じる負圧がかかったときに、容器本体2より柔軟な材質で形成されているキャップ1のキャップ天板11が凹むなどして先に変形することで、容器本体2の変形が起こり難くでき、商品としたときの見た目を損なう虞が少ない。なお、キャップ1を容器本体2より柔軟な材質から構成した場合には、キャップ1の脱着を繰り返しても、螺合を繰り返すことによる削りかすの発生を防止できるという利点を併せ持つ。
【0031】
本発明に係るキャップ1は射出成形法によって成形することができる。射出成形した後、金型から取り出す際には、いわゆる無理抜きによって型抜きすることができる。すなわち、強い力で金型から引き抜く際、インナーリング14は、円弧状であるため容易に撓んで、損傷を受けることなく、容易に引き抜くことができる。
【0032】
また、容器本体2は任意の成形方法によって成形することができる。例えば、押し出し
ブロー成形法、射出ブロー成形法などである。これら押し出しブロー成形法や射出ブロー成形法でブローするとき、延伸することも可能である。また、容器本体2を射出成形法によって成形することも可能である。あるいはまた、容器本体2に耐熱性を付与するため、結晶化処理などの耐熱処理が施されても良い。あるいは容器本体2をガラスなどの耐熱性の高い材質で形成しても良い。
【0033】
なお、キャップ1として容器本体2に螺合するものを例として本発明を説明したが、これに限らず、打栓方式で装着するキャップを使用することも可能である。
【実施例】
【0034】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。
【0035】
<実施例1>
・
図1に例示したものと同様のインナーリングを円弧形状の頂点近傍での厚みが0.8mm、せり量0.15mmとして設けた曲げ弾性率1050MPaの高密度ポリエチレン樹脂製のキャップを、筒壁の厚み1.4mm、曲げ弾性率1200MPaのポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器本体(容量225ml)に装着する構成とした。
・内容物として焼酎(アルコール25%)を200ml充填した。
・キャップはトルク60±5Nで締め付けた。
【0036】
<比較例>
・
図6に例示した直線状に垂下するインナーリングを厚みが0.8mm、せり量0.15mmとして設けた曲げ弾性率1050MPaの高密度ポリエチレン樹脂製のキャップを、筒壁の厚み1.4mm、曲げ弾性率1200MPaのポリエチレンテレフタレート樹脂製の容器本体(容量225ml)に装着する構成とした。
・その他は実施例1と同様とした。
【0037】
<評価方法>
以下の方法で評価し、結果を表1にまとめた。
(落下試験)
・高さ1mから側面方向、倒立方向で各1回落下させ、液漏れの有無を目視確認。
(保存試験)
・40℃の恒温層に倒立状態で1週間保管し、液漏れの有無を目視確認。
【0038】
【0039】
表1からあきらかに、本発明の包装容器においては良好な密封性が保持できていることが確認できた。
【符号の説明】
【0040】
1・・・キャップ
2・・・容器本体
11・・・キャップ天板
12・・・キャップ周壁
13・・・ネジ部
14・・・インナーリング
14b・・・円弧の頂点
15・・・コンタクトリング
21・・・筒壁
22・・・ネジ部