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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220705BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220705BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220705BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20220705BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
B41J29/00 Z
B41J29/38
H04M1/00 U
H04M11/00 302
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018120625
(22)【出願日】2018-06-26
(65)【公開番号】P2020005050
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】加來 信弥
【審査官】野口 俊明
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099843(JP,A)
【文献】国際公開第2006/011464(WO,A1)
【文献】特開2012-019455(JP,A)
【文献】特開2005-284985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00
B41J 29/38
H04M 1/00
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、
前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、
前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、
前記接続手段は、
前記外部装置からのアクセスの制限を解除するためのアクセス制限解除情報を、前記アクセス制限装置から取得する取得手段と、
前記アクセス制限解除情報を前記外部装置に通知する通知手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記アクセス制限解除情報は、ユーザー名とパスワードとを含む
ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通知手段は、
前記ファクシミリデータの送信元へ、前記アクセス制限解除情報をファクシミリ送信することによって前記通知を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、
前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、
前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記外部装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータの送信元への音声通話による、音声認証を行う音声認証手段と、
前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、
前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、
前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記外部装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータに含まれている音声情報を用いて、音声認証を行う音声認証手段と、
前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、
前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、
前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、
前記ファクシミリデータの送信元へ、トライアル文字列をファクシミリ送信するトライアル文字列送信手段と、
前記トライアル文字列の送信先から、トライアル応答を受信するトライアル応答受信手段と、
前記トライアル応答が、前記トライアル文字列を所定の変換方法によって変換した変換結果に一致するか否かを判定する第4の判定手段と、
前記第4の判定手段の判定が否定的である場合に、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する第4の禁止手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
携帯端末装置と、
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、
前記携帯端末装置は、
インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、
前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え
前記接続手段は、
前記携帯端末装置からのアクセスの制限を解除するためのアクセス制限解除情報を、前記アクセス制限装置から取得する取得手段と、
前記アクセス制限解除情報を前記携帯端末装置に通知する通知手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
携帯端末装置と、
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、
前記携帯端末装置は、
インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、
前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記携帯端末装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータの送信元への音声通話による、音声認証を行う音声認証手段と、
前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
携帯端末装置と、
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、
前記携帯端末装置は、
インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、
前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記携帯端末装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータに含まれている音声情報を用いて、音声認証を行う音声認証手段と、
前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項10】
携帯端末装置と、
アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、
前記携帯端末装置は、
インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、
前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、
前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、
前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、
前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え
前記ファクシミリデータの送信元へ、トライアル文字列をファクシミリ送信するトライアル文字列送信手段と、
前記トライアル文字列の送信先から、トライアル応答を受信するトライアル応答受信手段と、
前記トライアル応答が、前記トライアル文字列を所定の変換方法によって変換した変換結果に一致するか否かを判定する第4の判定手段と、
前記第4の判定手段の判定が否定的である場合に、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する第4の禁止手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関し、特に、ネットワークセキュリティを担保しながら画像形成装置を遠隔利用するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置をネットワークに接続して、複数のユーザーが共用する利用形態が一般的になっている。画像形成装置を共用する場合、無条件に印刷物を出力すると、他のユーザーに印刷内容を見られてしまう可能性があり、印刷内容を秘匿したい場合には秘密が漏洩してしまう恐れがある。
【0003】
このような不都合を回避するためには、画像形成装置を直接操作しているユーザーが印刷物を出力させようとしたユーザーであるか否かを確認する必要がある。
【0004】
そこで、近年、携帯電話機がめざましく普及している状況に着目して、画像形成装置を直接操作しているユーザーに電話番号を入力させ、当該電話番号に音声メッセージを送出し、当該音声メッセージに適合した応答が返信されるか否かによって、ユーザーを認証する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
このようにすれば、画像形成装置を直接操作しているユーザーを認証して、当該ユーザー以外のユーザーが出力させようとしている印刷物が当該ユーザーに見られてしまうのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-330856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、画像形成装置を直接操作しているユーザー以外のユーザーについても認証が必要になる場合がある。
【0008】
例えば、オフィス向けの画像形成装置は構内LAN(Local Area Network)に接続して利用されることが多く、構内LANは外部からの不正アクセスを防止するために、ファイアウォールを用いて外部からのアクセスを制限するのが一般的である。このため、ユーザーが外部から携帯端末装置などの装置を用いて画像形成装置を利用するためには、あらかじめファイアウォールや携帯端末装置などの装置に設定をしておく必要がある。
【0009】
このような設定を外部に持ち出され得るすべての装置について行うのは、外部からの不正アクセスを招く恐れがあるため、セキュリティ保護の観点から好ましくない。一方、装置を外部へ持ち出すたびに、画像形成装置の利用の可否を検討して、事前設定を行うのでは手間が掛かり過ぎて不便である。
【0010】
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、セキュリティレベルの低下を招くことなく、外部からアクセスするための手間を軽減ことができる画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIP(Internet Protocol)アクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、前記接続手段は、前記外部装置からのアクセスの制限を解除するためのアクセス制限解除情報を、前記アクセス制限装置から取得する取得手段と、前記アクセス制限解除情報を前記外部装置に通知する通知手段と、を備えてもよい。
【0014】
また、前記アクセス制限解除情報は、ユーザー名とパスワードとを含んでもよい。
【0015】
また、前記通知手段は、前記ファクシミリデータの送信元へ、前記アクセス制限解除情報をファクシミリ送信することによって前記通知を行ってもよい。
【0016】
また、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記外部装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータの送信元への音声通話による、音声認証を行う音声認証手段と、前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備えてもよい。
【0017】
また、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記外部装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータに含まれている音声情報を用いて、音声認証を行う音声認証手段と、前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備えてもよい。
【0020】
また、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置であって、前記外部のネットワークに接続された外部装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記外部装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、前記IP接続を経由して、前記外部装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、を備え、前記ファクシミリデータの送信元へ、トライアル文字列をファクシミリ送信するトライアル文字列送信手段と、前記トライアル文字列の送信先から、トライアル応答を受信するトライアル応答受信手段と、前記トライアル応答が、前記トライアル文字列を所定の変換方法によって変換した変換結果に一致するか否かを判定する第4の判定手段と、前記第4の判定手段の判定が否定的である場合に、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する第4の禁止手段と、を備えてもよい。
【0021】
また、本発明に係る画像形成システムは、携帯端末装置と、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、前記携帯端末装置は、インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、前記画像形成装置は、前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え、前記接続手段は、前記携帯端末装置からのアクセスの制限を解除するためのアクセス制限解除情報を、前記アクセス制限装置から取得する取得手段と、前記アクセス制限解除情報を前記携帯端末装置に通知する通知手段と、を備えることを特徴とする。
また、携帯端末装置と、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、前記携帯端末装置は、インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、 前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、前記画像形成装置は、前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記携帯端末装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータの送信元への音声通話による、音声認証を行う音声認証手段と、前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備えてもよい。
また、携帯端末装置と、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、前記携帯端末装置は、インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、前記画像形成装置は、前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記接続手段が前記携帯端末装置とのIP接続を確立するのに先立って、前記ファクシミリデータに含まれている音声情報を用いて、音声認証を行う音声認証手段と、前記音声認証が失敗した場合には、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する禁止手段と、を備えてもよい。
携帯端末装置と、アクセス制限装置によって外部のネットワークからのIPアクセスが制限されている内部のネットワークに接続された画像形成装置と、を備え、前記携帯端末装置は、インターネットを経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを前記画像形成装置にファクシミリ送信するコマンド送信手段と、前記IP接続を経由して前記画像形成装置に処理要求を送信する処理要求送信手段と、を備え、前記画像形成装置は、前記携帯端末装置からファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信手段と、前記ファクシミリデータが、前記画像形成装置と前記携帯端末装置との前記アクセス制限装置を経由したIP接続を要求する接続要求コマンドを含んでいる場合に、当該IP接続を許可するか否かを判定する判定手段と、前記IP接続を経由して、前記携帯端末装置から処理要求を受信して、当該処理要求に従って処理を実行する処理手段と、前記判定手段の判定が肯定的である場合に、前記IP接続を確立する接続手段と、を備え、前記ファクシミリデータの送信元へ、トライアル文字列をファクシミリ送信するトライアル文字列送信手段と、前記トライアル文字列の送信先から、トライアル応答を受信するトライアル応答受信手段と、前記トライアル応答が、前記トライアル文字列を所定の変換方法によって変換した変換結果に一致するか否かを判定する第4の判定手段と、前記第4の判定手段の判定が否定的である場合に、前記接続手段によるIP接続の確立を禁止する第4の禁止手段と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
このようにすれば、ファクシミリ通信を用いるので、アクセス制限装置による制限を受けることなく、接続要求コマンドを受信することができる。また、内部のネットワークに接続されている画像形成装置が主導するので、アクセス制限装置による制限を受けることなく、外部装置とのIP接続を確立することができる。従って、アクセス制御装置によるアクセス制限を緩和することなく、外部装置から画像形成装置に処理要求を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システム1の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100の外観斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る制御部200の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る制御部200の主要な機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係る端末情報テーブル500であって、個々の携帯端末装置110に関する情報を記憶する端末情報テーブル500のデータ構造を説明する表である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係る制御部200の動作を表すフローチャートである。
図7】本発明の第1の実施の形態に係る携帯端末装置110の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係る携帯端末装置110の主要な機能構成を示すブロック図である。
図9】携帯端末装置110の動作を表すフローチャートである。
図10】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置100と携帯端末装置110との連携動作を表すシーケンス図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係る制御部200の主要な機能構成を示すブロック図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係る制御部200の動作を表すフローチャートである。
図13】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置100と携帯端末装置110との連携動作を表すシーケンス図である。
図14】本発明の変形例に係る画像形成システム14の構成を示す図である。
図15】G3ファクシミリのプロトコル動作の各フェーズを示す図である。
図16】本発明の変形例に係る携帯端末装置110のファクシミリ番号を用いてコマンドFAXを識別する場合におけるファクシミリを送受信する手順を示すシーケンス図である。
図17】G3ファクシミリで規定された制御信号の標準的なフレーム構成を説明するとともに、ファクシミリ制御フレームの設定値を例示する図である。
図18】G3ファクシミリで規定されたNSF信号を利用してコマンドFAXと通常のFAXとを識別する場合におけるファクシミリを送受信する手順を示すシーケンス図である。
図19】(a)はNSF信号を利用してコマンドFAXと通常のFAXとを識別する場合におけるファクシミリ情報フィールドのデータ構造を例示する表であり、(b)はファクシミリ情報フィールドの第5オクテットのデータ構造を例示する図である。
図20】本発明の変形例に係る制御部200の主要な機能構成を示すブロック図である。
図21】本発明の変形例に係る端末情報テーブル2100のデータ構造を説明する表である。
図22】本発明の変形例に係る制御部200の動作を表すフローチャートである。
図23】本発明の変形例に係る画像形成装置100と携帯端末装置110との連携動作を表すシーケンス図である。
図24】本発明の変形例に係る制御部200の主要な機能構成を示すブロック図である。
図25】本発明の変形例に係るコマンドFAXを用いて送信した音声データを用いて音声認証を行う場合におけるファクシミリを送受信する手順を説明するシーケンス図である。
図26】本発明の変形例に係る制御部200の動作を表すフローチャートである。
図27】本発明の変形例に係る画像形成装置100と携帯端末装置110との連携動作を表すシーケンス図である。
図28】本発明の変形例に係る制御部200の主要な機能構成を示すブロック図である。
図29】本発明の変形例に係る端末情報テーブル2900のデータ構造を説明する表である。
図30】本発明の変形例に係る制御部200の動作を表すフローチャートである。
図31】本発明の変形例に係る携帯端末装置110の主要な機能構成を示すブロック図である。
図32】本発明の変形例に係るトライアル認証を行う場合における画像形成装置100と携帯端末装置110とによる文字列の処理過程を説明する図である。
図33】本発明の変形例に係る携帯端末装置110の動作を表すフローチャートである。
図34】本発明の変形例に係る画像形成装置100と携帯端末装置110との連携動作を表すシーケンス図である。
図35】本発明の変形例に係るトライアル認証を行う場合における画像形成装置100と携帯端末装置110とによる文字列の処理過程を説明する図である。
図36】本発明の変形例に係る画像形成システム1の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る画像形成装置および画像形成システムの実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[1]第1の実施の形態
(1-1)システム構成
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置100および携帯端末装置110を備えている。
【0026】
画像形成装置100はいわゆるカラー複合機(MFP: Multi-Function Peripheral)であって、プリンター装置、複写装置およびファクシミリ装置として動作して、カラー画像を形成することができる。画像形成装置100は、LAN(Local Area Network)101に接続されており、LAN101はファイアウォール102を介してインターネット120に接続されている。
【0027】
ファイアウォール102は、インターネット120からLAN101へのアクセスを制限することによって、LAN101に接続されている画像形成装置100やPC(Personal Computer)104等の装置(以下、「内部装置」という。)への不正アクセスを防止し、セキュリティを保護する。ファイアウォール102は、内部装置からインターネット120へのアクセスについては制限しない。
【0028】
また、ファイアウォール102は、インターネット120からLAN101へのアクセスを許可することができる。インターネット120に接続されている装置(以下、「外部装置」という。)は、インターネット120からLAN101へのアクセスをファイアウォール102に許可された場合、ファイアウォール102が発行した接続情報(例えば、接続先の内部装置のIPアドレス、ポート番号、ユーザー名およびパスワード)をファイアウォール102へ送信することによって、当該アクセスを開始することができる。
【0029】
内部装置は、外部装置を識別するための情報(例えば、外部装置のIPアドレス)や当該外部装置と接続する内部装置を識別するための情報(例えば、内部装置IPのアドレスやポート番号)を指定して、ファイアウォール102に接続情報の発行を要求することができる。
【0030】
画像形成装置100は、LAN101に接続されたPC104等から印刷ジョブを受け付けて画像形成処理を実行する。
【0031】
画像形成装置100は、構内交換機(PBX: Private Branch Exchange)103を介して電話網130に接続されている。これによって、画像形成装置100は、G3ファクシミリのプロトコルに従って、ファクシミリデータの送受信を行う。構内交換機103には、画像形成装置100の他、電話機も接続される。
【0032】
携帯端末装置110は、スマートフォンやタブレットコンピューター等であって、インターネット120に接続された無線LAN親機121と無線通信することによって、インターネット120に接続された装置とIP通信することができる。また、携帯端末装置110は、電話網130に接続された無線基地局131と無線通信することによって、音声通話ならびにG3ファクシミリのプロトコルに従ったファクシミリの送受信を行う。
(1-2)画像形成装置100の構成
次に、画像形成装置100の構成について説明する。
【0033】
画像形成装置100は、図2に示すように、プリンター部201、給紙部202およびスキャナー部203を備えており、プリンター部201には制御部200が内蔵されている。更に、プリンター部201には、操作パネル204が装備されており、画像形成装置100のユーザーが操作パネル204を操作して、原稿の複写を指示すると、スキャナー部203が原稿を読み取って、画像データを生成する。
【0034】
プリンター部201は、スキャナー部203が生成した画像データに基づいてトナー像を生成する。これと並行して、給紙部202が記録シートを供給すると、プリンター部201はトナー像を記録シートに転写し、熱定着して、排紙トレイ205上に排出する。プリンター部201は、トナー像を記録シートに熱定着するために定着装置を用いる。定着装置は、熱定着に先立って、ウォームアップ処理によって定着部材を昇温させる必要がある。
【0035】
画像形成装置100が画像形成ジョブを受け付けてから、当該画像形成ジョブに係る画像を形成された記録シートのうち、1枚目の記録シートが排紙トレイ205上に排出されるまでの時間をFCOT(First Copy Out Time)という。FCOTは、主として、定着装置のウォームアップ処理に要する時間の長短に左右される。
【0036】
制御部200は、画像形成装置100の動作を制御する。特に、制御部200は、LAN101を経由してIP通信を行ったり、IP構内交換機103を経由してファクシミリデータを送受信したりする。
【0037】
画像形成装置100は、LAN101を経由したIP通信によって他の装置から画像形成ジョブを受け付けて画像形成処理を実行したり、他の装置から受信した画像データ等の電子ファイルを保存したり、また、保存してある電子ファイルを用いて画像形成処理を実行したりすることができる。
【0038】
更に、画像形成装置100は、スキャナー部203が生成した画像データ、LAN101を経由して他の装置から受信した画像データおよび保存してある画像データを、電話回線130を経由して他のファクシミリ装置へファクシミリ送信することができる。また、画像形成装置100は、他のファクシミリ装置からファクシミリデータを受信して印刷出力することができる。
(1-3)制御部200の構成と動作
次に、制御部200のハードウェア構成、機能構成および動作について説明する。
【0039】
図3に示すように、制御部200は、CPU(Central Processing Unit)301、ROM(Read Only Memory)302およびRAM(Random Access Memory)303等を備えており、画像形成装置100に電源が投入されると、CPU301はROM302からブートプログラムを読み出して起動し、RAM303を作業用記憶領域として、HDD(Hard Disk Drive)304から読み出したOS(Operating System)や制御プログラムを実行する。
【0040】
CPU301は、NIC(Network Interface Card)305を用いて、LAN101を経由したIP通信を行う。また、CPU301は、回線インターフェイス306を用いて、音声通話やファクシミリの送受信を行う。更に、CPU301は、プリンター部201、給紙部202およびスキャナー部203の動作を監視したり、制御したりする。
【0041】
図4は、制御部200の主要な機能構成を表すブロック図である。図4に示すように、制御部200は、コマンドFAX受信部401、端末情報照合部402および接続情報要求部403などを備えている。コマンドFAX受信部401は、携帯端末装置110からコマンドFAXと呼ばれるファクシミリデータを受信する。コマンドFAXには、コマンドFAXをファクシミリ送信した携帯端末装置110の端末情報として、IPアドレスとファクシミリ番号が含まれている。
【0042】
端末情報照合部402は、コマンドFAXに含まれている端末情報のうちのファクシミリ番号が、HDD304に予め登録されているファクシミリ番号に該当するか否か照合する。HDD304には端末情報テーブル500が記憶されている。図5に示すように、端末情報テーブル500には携帯端末装置110ごとに割り振られた端末管理番号、当該携帯端末装置110のIPアドレス、ファクシミリ番号および当該携帯端末装置110のユーザーを識別するためのユーザー情報の各欄が設けられている。ユーザー情報は、例えば、当該ユーザーの氏名や所属部署、ID情報などである。
【0043】
端末情報照合部402は、端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号と、コマンドFAXの端末情報に含まれているファクシミリ番号とを照合して、端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号の中に、コマンドFAXの端末情報に含まれているファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号があるか否かを判定する。
【0044】
接続情報要求部403は、ファイアウォール102に、コマンドFAXの端末情報に含まれているIPアドレス、画像形成装置100のIPアドレスおよびポート番号を送信して、携帯端末装置110が画像形成装置100にIP接続するための接続情報を要求し、ファイアウォール102が返信した接続情報を取得する。接続情報には、ファイアウォール102を経由して画像形成装置100とIP通信を行うためのログイン名とパスワードとが含まれている。
【0045】
リプライFAX送信部404は、接続情報要求部403が取得した接続情報と画像形成装置100のIPアドレスおよびポート番号を含むリプライFAXを作成し、当該リプライFAXを携帯端末装置110へファクシミリ送信する。
【0046】
ジョブ受付部405は、携帯端末装置110からIP通信によってジョブを受け付ける。ここで、ジョブ受付部405が受け付けるジョブは、画像形成ジョブや、HDD304から読み出した電子ファイルを携帯端末装置110へIP送信するジョブなどである。
【0047】
ジョブ実行部406は、ジョブ受付部405が受け付けたジョブを実行する。IP通信は、ファクシミリよりも帯域幅が広いので、画像形成すべき画像ファイルや、HDD304が読み出した電子ファイルを高速で伝送することができる。また、高い解像度で印刷したり、両面印刷や2in1、カラー印刷など様々な機能を利用したりすることができる。
【0048】
図6に示すように、コマンドFAX受信部401は、ファクシミリを受信すると(S601:YES)、当該ファクシミリデータがコマンドFAXである場合には(S602:YES)、端末情報照合部402が端末情報を取得する(S603)。
【0049】
端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号の中に、端末情報に含まれるファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号がある場合には(S604:YES)、端末情報に含まれるIPアドレス、画像形成装置100のIPアドレスおよびポート番号を接続情報要求部403がファイアウォール102に送信して、携帯端末装置110が画像形成装置100にIP通信するための接続情報を要求する(S605)。
【0050】
その後、接続情報要求部403がファイアウォール102から接続情報を取得したら(S606:YES)、当該接続情報をリプライFAX送信部404が携帯端末装置110へファクシミリ送信する(S607)。接続情報をファクシミリ受信した携帯端末装置110が、ファイアウォール102を経由したIP通信によって送信したジョブをジョブ受付部405が受信したら(S608:YES)、ジョブ実行部406が当該ジョブを実行する(S609)。
【0051】
なお、通常のFAXを受信した場合には(S602:NO)、通常通りにファクシミリデータを印刷出力する(S610)。ステップS607、S609およびS610の処理を完了した後は、ステップS601へ進んで上記の処理を繰り返す。
(1-4)携帯端末装置110の構成と動作
次に、携帯端末装置110のハードウェア構成、機能構成および動作について説明する。
【0052】
図7に示すように、携帯端末装置110は、CPU(Central Processing Unit)701、ROM(Read Only Memory)702およびRAM(Random Access Memory)703等を備えており、画像形成装置100に電源が投入されると、CPU701はROM702からブートプログラムを読み出して起動し、RAM703を作業用記憶領域として、HDD(Hard Disk Drive)704から読み出したOS(Operating System)や制御プログラムを実行する。
【0053】
CPU701は、FAX処理部705を用いて、音声通話やファクシミリの送受信を行うためのプロトコル処理を行う。また、CPU701は、通信制御部706を用いて、IP通信のためのプロトコル処理を行う。更に、CPU701は、プリンター部201、給紙部202およびスキャナー部203の動作を監視したり、制御したりする。
【0054】
無線通信回路707は、無線基地局131と無線通信するための回路である。近距離無線通信回路708は、無線LAN親機121と無線通信するための回路である。タッチパネル709は、タッチパッド部712と液晶表示部(LCD: Liquid Crystal Display)713とを備えており、携帯端末装置110のユーザーからタッチ入力を受け付けたり、テキストや画像によって情報を提示したりする。
【0055】
撮像処理部710は、カメラを備えており、静止画や動画を撮像する。音声処理部711は、マイク部714とスピーカー部715とを備えており、音声通話時における音声の入出力や、動画や音声の再生時における音声出力を行う。
【0056】
図8は、携帯端末装置110の主要な機能構成を表すブロック図である。図8に示すように、携帯端末装置110は、FAX番号受付部801、端末情報取得部802およびコマンド生成部803などを備えている。FAX番号受付部801は、携帯端末装置110のユーザーからタッチパネル608を用いて画像形成装置100のファクシミリ番号の入力を受け付ける。FAX番号受付部801は、受け付けたファクシミリ番号を端末情報取得部802に入力する。
【0057】
端末情報取得部802は、コマンドFAXを生成するために必要な端末情報としてファクシミリ番号とIPアドレスを取得する。ファクシミリ番号はFAX番号受付部801から取得する。IPアドレスは通信制御部606から取得してもよいし、HDD604に記録されているIPアドレスを読み出してもよい。端末情報取得部802は、取得した端末情報をコマンド生成部803に入力する。
【0058】
コマンド生成部803は、端末情報取得部802から入力された端末情報を用いて所定のデータ構造を有するコマンドFAXを生成し、コマンド送信部804は、コマンド生成部803が生成したコマンドFAXをファクシミリ送信する。
【0059】
接続情報受信部805は、画像形成装置100がファクシミリ送信した接続情報を含むリプライFAXをファクシミリ受信する。接続情報受信部805は、受信したリプライFAXから接続情報を取得する。接続情報は、上述のように、ファイアウォール102を経由して画像形成装置100にアクセスするためのログイン名とパスワードとを含んでいる。
【0060】
ジョブ送信部806は、接続情報受信部805が受信した接続情報を用いて、画像形成装置100との間にIP接続を確立し、当該IP接続を利用してジョブを送信する。
【0061】
図9に示すように、携帯端末装置110は、FAX番号受付部801にてユーザーから画像形成装置100のファクシミリ番号を受け付けると(S901:YES)、端末情報取得部802にて携帯端末装置110自身のIPアドレスとファクシミリ番号を端末情報として取得する(S902)。端末情報取得部802が取得した端末情報を用いて、コマンド生成部803は、コマンドFAXを生成し(S903)、コマンド送信部704は、当該コマンドFAXをユーザーから受け付けたファクシミリ番号宛てに送信する(S904)。これによって、コマンドFAXが画像形成装置100へ送信される。
【0062】
その後、画像形成装置100がファクシミリ送信したリプライFAXを接続情報受信部705が受信したら(S905:YES)、ジョブ送信部806は、当該リプライFAXに含まれている接続情報を取得して(S906)、当該接続情報のうち画像形成装置100のIPアドレスおよびポート番号に対してIP接続を試みる(S907)。この際、ジョブ送信部806は、接続先である画像形成装置100のIPアドレスおよびポート番号に加えて、リプライFAXに含まれている接続情報(ログイン名とパスワード)をファイアウォール102へ送信して、IP接続を要求する。
【0063】
ファイアウォール102が接続を許可し、画像形成装置100とのIP接続を確立することができたら(S908:YES)、当該IP接続を用いてジョブ送信部706は画像形成装置100へジョブを送信する(S909)。ジョブの送信を完了したら、画像形成装置100とのIP接続を切断して処理を終了する。なお、ジョブの送信が成功したか否かは下位層プロトコル(例えば、TCP/IP: Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が送達確認を行うので、当該送達が確認されてから通信を切断することになる。
【0064】
図10は、画像形成装置100、ファイアウォール102および携帯端末装置110の間の通信手順を説明するシーケンス図である。図10に示すように、まず、携帯端末装置110のユーザーが画像形成装置100に処理を要求するためのアプリケーションプログラムを起動すると、当該アプリケーションプログラムがユーザーにファクシミリ番号の入力を要求する。
【0065】
例えば、画像形成装置100が携帯端末装置110のユーザーの職場に設置されている場合には、当該ユーザー自身の名刺等に画像形成装置100のファクシミリ番号が記載されていることが多いので、そのような名詞等を参照しながらユーザーがファクシミリ番号を入力すると、コマンドFAXを画像形成装置100にファクシミリ送信する。
【0066】
また、携帯端末装置110のユーザーがプリンタードライバー等を用いて画像形成装置100に印刷等を指示する際に、上述のようなアプリケーションプログラムをプリンタードライバー等が自動的に呼び出して、当該呼び出しの際にプリンタードライバー等がアプリケーションプログラムにファクシミリ番号を指定してもよい。
【0067】
画像形成装置100は、携帯端末装置110からコマンドFAXをファクシミリ受信すると、携帯端末装置110のIPアドレスと画像形成装置のIPアドレスおよびポート番号を指定してファイアウォール102に接続情報を要求する。ファイアウォール102は、画像形成装置100に接続情報を要求されると、接続情報としてログイン名とパスワードを画像形成装置に返信する。
【0068】
画像形成装置100は、ファイアウォール102から接続情報を受信すると、当該接続情報を含むリプライFAXを携帯端末装置110へファクシミリ送信する。携帯端末装置110は、画像形成装置100からリプライFAXをファクシミリ受信すると、当該リプライFAXに含まれている接続情報を用いて、ファイアウォール102に対して画像形成装置100との接続を要求する。
【0069】
この接続要求に対して、ファイアウォール102が携帯端末装置110に画像形成装置100とのIP通信を許可する旨の接続許可を応答すると、携帯端末装置110は、画像形成装置100にジョブを送信し、その後、IP接続を切断する。なお、携帯端末装置110は、画像形成装置100からジョブの実行が成功したか、失敗したか、また、失敗した場合には失敗の種別に関する情報を受信してからIP接続を切断してもよい。
【0070】
このようにすれば、LAN101に接続された画像形成装置100やPC104等の装置のセキュリティをファイアウォール102によって保護しながら、携帯端末装置110からインターネット120等の外部のネットワークを経由して画像形成装置100がジョブを受け付けて実行することができると同時に、携帯端末装置110から画像形成装置100へジョブを送信するための手間を最小化することができる。
[2]第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0071】
本実施の形態に係る画像形成システムは、概ね上記第1の実施の形態に係る画像形成システムと共通の構成を備える一方、上記第1の実施の形態のように携帯端末装置110が画像形成装置100とのIP接続を確立するのに代えて、画像形成装置100が携帯端末装置110とのIP接続を確立する点において相違している。以下においては、主として当該相違点に注目して説明する。
【0072】
なお、本明細書においては実施の形態どうしで共通する構成については共通の符号が付与されている。
(2-1)画像形成装置100の構成と動作
まず、本実施の形態に係る画像形成装置100の制御部200の機能構成と動作について説明する。
【0073】
図11に示すように、制御部200は、コマンドFAX受信部1101、端末情報照合部1102および音声要求部1103等を備えている。コマンドFAX受信部1101は、携帯端末装置110からコマンドFAXを受信する。コマンドFAXには、コマンドFAXをファクシミリ送信した携帯端末装置110の端末情報として、IPアドレスとファクシミリ番号が含まれている。
【0074】
端末情報照合部1102は、コマンドFAXに含まれている端末情報のうちのファクシミリ番号が、上述のように、図5に示す端末情報テーブル500に予め登録されているファクシミリ番号に該当するか否か照合する。
【0075】
端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号の中に、コマンドFAXの端末情報に含まれているファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号があると端末情報照合部1102が判断した場合には、ジョブ要求部1103は、ファイアウォール102を経由して携帯端末装置110とのIP接続を確立し、携帯端末装置110にジョブを要求する。この場合には、ジョブ要求部1103がLAN101側からインターネット120側へIP接続を行うので、ファイアウォール102によるアクセスが制限されることはない。
【0076】
ジョブ受付部1104は、ジョブ要求部1103が確立したIP接続を用いて携帯端末装置110からジョブを受け付け、その後、IP接続を切断する。ジョブ実行部1105は、ジョブ受付部1104が携帯端末装置110から受け付けたジョブを実行する。
【0077】
図12は、制御部200の動作を示すフローチャートである。図12に示すように、制御部200は、コマンドFAX受信部1101にてファクシミリを受信すると(1201:YES)、当該ファクシミリがコマンドFAXであるか否かを判定する。受信したファクシミリがコマンドFAXである場合には(S1202:YES)、端末情報照合部1102が端末情報を取得する(S1203)。
【0078】
端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号の中に、端末情報に含まれるファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号がある場合には(S1204:YES)、ジョブ要求部1103は、ファイアウォール102を経由して携帯端末装置110とのIP接続を確立し(S1205)、携帯端末装置110にジョブを要求する(S1206)。
【0079】
その後、ジョブ受付部1104が携帯端末装置110からジョブを受け付けたら(S1207:YES)、当該ジョブをジョブ実行部1105が実行する(S1208)。また、受信したFAXがコマンドFAXでない場合は(S1202:NO)、通常通りファクシミリを印刷する(S1209)。
【0080】
ステップS1208、S1209の処理を完了した後、ステップS1201に進む。また、ステップS1204において端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号の中に、端末情報に含まれるファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号がない場合には、セキュリティ保護の観点から画像形成装置100の利用を許可することができないので、ステップS1201に進んで上記の処理を繰り返す。
【0081】
図13は、本実施の形態に係るシーケンス図である。図13に示すように、携帯端末装置110が画像形成装置100にコマンドFAXを送信すると、画像形成装置100がファイアウォール102を経由して携帯端末装置110にジョブを要求する。この要求の際に、画像形成装置100と携帯端末装置110とのIP接続が確立されるので、当該IP接続を利用して携帯端末装置110は画像形成装置100にジョブを送信することができる。
【0082】
このようにしても、LAN101に接続された画像形成装置100やPC104等の装置のセキュリティをファイアウォール102によって保護しながら、携帯端末装置110からインターネット120等の外部のネットワークを経由して画像形成装置100がジョブを受け付けて実行することができると同時に、携帯端末装置110から画像形成装置100へジョブを送信するための手間を最小化することができる。
[3]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(3-1)上記実施の形態においては電話網130を経由してファクシミリの送受信を行う場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0083】
図14に示すように、本変形例に係る画像形成システム14は、VoIP(Voice over Internet Protocol)を利用してファクシミリデータを送受信するものである。このため、LAN101にVoIPゲートウェイ1401が接続されており、インターネット120と電話網130とはVoIPゲートウェイ1402を介して接続されている。なお、VoIPトラフィックは、トンネリング技術を用いてファイアウォール102を通過することができる。
【0084】
従って、携帯端末装置110が、コマンドFAXのファクシミリ送信に先立って、画像形成装置とのVoIP接続を確立したり、画像形成装置100が、リプライFAXのファクシミリ送信に先立って、携帯端末装置110とのVoIP接続を確立したりすれば、VoIPを利用したファクシミリの送受信を行うことができる。
【0085】
このようにしても、画像形成装置100と携帯端末装置110との間で、上記第1および第2の実施の形態に係るコマンドFAXや上記第1の実施の形態に係るリプライFAXをファクシミリ送受信することができる。従って、ファクシミリデータを送受信するための経路は上記第1および第2の実施の形態とは異なるものの同様の効果を得ることができる。
(3-2)上記実施の形態においては詳述しなかったが、画像形成装置100がコマンドFAXと通常のFAXとを識別するためには、次のようにしてもよい。
【0086】
例えば、携帯端末装置110は、スキャナー部やプリンター部を備えていないため、コマンドFAXを送信するとき以外にはファクシミリデータを送信しない点に着目して、ファクシミリデータの送信元が携帯端末装置110である場合にはコマンドFAXであると判定してもよい。
【0087】
G3ファクシミリのプロトコルでは、図15に示すように、プロトコル動作がフェーズAからフェーズEまで順に進行する。図16に示すように、フェーズAにおいては、発呼端末(携帯端末装置110)が発呼トーン(CNG: Calling signal)を被呼端末(画像形成装置100)に送信し、被呼端末は、CNG信号を受信すると、被呼局識別信号(CED: Called Signal)を発呼端末に返信する。
【0088】
フェーズAに続くフェーズBにおいて、被呼端末は、ディジタル識別信号(DIS: Digital Identification Signal)を発呼端末に送信する。DIS信号を受信した発呼端末は、ディジタル命令信号(DCS: Digital Command Signal)を送信する際に、併せて送信端末識別信号(TSI: Transmitting Subscriber Identification)を送信することができる。このTSI信号は国際電話番号によって発呼端末を表示する信号である。
【0089】
図17に示すように、制御信号の標準的なフレーム構成におけるバイナリコード情報に含まれるディジタル識別フレームを構成する8ビットのファクシミリ制御フィールド(FCF: Facsimile Control Field)を用いて制御信号の種別を指定することができる。例えば、制御信号がDIS信号である場合にはファクシミリ制御フィールドの値を2進数表示で00000001とし、DCS信号である場合にはX100001とする。TSI信号ならばX1000010とすればよい。
【0090】
なお、第1ビットのXについては、正しいDIS信号を受信した端末が1をセットし、DIS信号に対する正しく適切な応答を受信した端末が0をセットし、端末がフェーズBの先頭に再び入るまでは変更しない、ものとする。また、制御信号がTSI信号である場合には、20桁のファクシミリ情報フィールド(FIF: Facsimile Information Field)を用いて国際電話番号が通知される。
【0091】
以上のようにして、TSI信号を用いて携帯端末装置110のファクシミリ番号を画像形成装置100に通知し、通知されたファクシミリ番号に一致するファクシミリ番号が端末情報テーブル500に記憶されていれば、当該ファクシミリはコマンドFAXであると判定することができる。
【0092】
なお、このようにしてコマンドFAXを識別する場合には、上記第1の実施の形態に関する図6のフローチャートにおけるステップS604の判定処理や、上記第2の実施の形態に関する図12のフローチャートにおけるステップS1204の判定処理を省くこともできる。
【0093】
また、例えば、G3ファクシミリのプロトコルで規定されている制御信号の1つである非標準機能識別信号(NSF: Non-Standard Facilities)を利用して、コマンドFAXと通常のFAXとを識別してもよい。
【0094】
具体的には、図18に示すように、フェーズAにおいては、発呼端末(携帯端末装置110)がCNG信号を被呼端末(画像形成装置100)に送信し、被呼端末は、これに応答して、CED信号を発呼端末に返信する。
【0095】
フェーズBにおいて、被呼端末は、NSF信号とDIS信号とを発呼端末に送信する。NSF信号とDIS信号を受信した発呼端末は、非標準機能信号(NSC: Non-Standard Facilities Command)を送信することができる。このNSC信号とともに送信するファクシミリ情報フィールドにおいて、コマンドFAXであるか通常のFAXであるかを発呼端末が指定すれば、被呼端末である画像形成装置100はコマンドFAXを識別することができる。
【0096】
NSF信号およびNSC信号のファクシミリ情報フィールドのデータ構造は、ITU-T勧告T.30に基づくJT-T30で定義されている。図19(a)に示すように、オクテット番号が5以降の部分のデータ構造については提供者が独自に設定することができるため、例えば、図19(b)に示すように、第5オクテットの第0ビット(LSB: Least Significant Bit)のみがセットされていたら通常のFAX、第1ビットのみがセットされていたらコマンドFAX、第2ビットのみがセットされていたらリプライFAXと定義して、発呼端末が適当なビット位置をセットすれば、ファクシミリデータの種別を被呼端末に通知して、識別させることができる。
【0097】
なお、携帯端末装置110は、上述のようにスキャナー部やプリンター部を備えていないため、通常のFAXを受信することはないため、リプライFAXと通常のFAXとを識別する必要はないが、上述のNSF信号を用いれば、画像形成装置100がコマンドFAXと通常のFAXとを識別するのと同様にして、リプライFAXと通常のFAXとを携帯端末装置110に識別させることができる。
【0098】
また、上述とは異なる手段を用いてファクシミリデータの種別を判定してもよい。ファクシミリデータの判定方法の如何に関わらず本発明の効果は同様である。
(3-3)上記実施の形態においては詳述しなかったが、ファクシミリを送受信して端末情報や接続情報を通知する場合には、次のようにしてもよい。
【0099】
例えば、G3ファクシミリのプロトコルで規定されているバイナリファイル転送(BFT: Binary File Transfer)の手順を利用して端末情報や接続情報を通知する場合には、被呼端末がDIS信号のファクシミリ情報フィールドの第53ビットをセットすることによってバイナリファイルを送受信することができる旨を発呼端末に通知する。
【0100】
発呼端末は、被呼端末がファクシミリ情報フィールドの第51ビットをセットしたDIS信号を受信すると、DCS信号のファクシミリ情報フィールドの第53ビットをセットして送信する。このようなネゴシエーションを経れば、バイナリファイルである端末情報や接続情報を発呼端末から被呼端末へ送信することができる。バイナリファイルは通常のファクシミリメッセージと同様にして送受信される。
【0101】
なお、上述とは異なる手段を用いて端末情報や接続情報をファクシミリ送受信してもよく、ファクシミリ送受信方法の如何に関わらず本発明の効果は同様である。
(3-4)上記実施の形態においては、携帯端末装置110がファクシミリ送信した端末情報に含まれているファクシミリ番号を端末情報テーブル500に記憶されているファクシミリ番号と照合することによって、接続の可否を判定する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、或いはこれに加えて次のようにしてもよい。
【0102】
例えば、携帯端末装置110から音声情報を含めた端末情報を送信して、当該音声情報を照合することによって画像形成装置100が接続の可否を判断してもよい。図20に示すように、本変形例に係る画像形成装置100の制御部200は、コマンドFAX受信部2001、音声認証部2002およびジョブ要求部2003等を備えている。コマンドFAX受信部2001は、携帯端末装置110からコマンドFAXを受信する。コマンドFAXには、コマンドFAXをファクシミリ送信した携帯端末装置110の端末情報として、IPアドレスと音声データが含まれている。
【0103】
音声認証部2002は、コマンドFAXに含まれている端末情報のうちの音声データが、図21に示す端末情報テーブル2100に予め登録されている音声データに該当するか否か照合する。なお、音声データそのものに代えて音声データの特徴量のみを端末情報として受信し、端末情報テーブル2100にも音声データに代えて音声データの特徴量を記憶しておき、特徴量どうしを照合することによって認証してもよい。
【0104】
端末情報テーブル2100に記憶されている音声データの中に、コマンドFAXの端末情報に含まれている音声データに一致する音声データがあると音声認証部2002が判断した場合には、ジョブ要求部2003は、ファイアウォール102を経由して携帯端末装置110とのIP接続を確立し、携帯端末装置110にジョブを要求する。この場合には、ジョブ要求部2003がLAN101側からインターネット120側へIP接続を行うので、ファイアウォール102によるアクセスが制限されることはない。
【0105】
ジョブ受付部2004は、ジョブ要求部2003が確立したIP接続を用いて携帯端末装置110からジョブを受け付け、その後、IP接続を切断する。ジョブ実行部2005は、ジョブ受付部2004が携帯端末装置110から受け付けたジョブを実行する。
【0106】
図22は、制御部200の動作を示すフローチャートである。図22に示すように、制御部200は、コマンドFAX受信部2001にてファクシミリを受信すると(2201:YES)、当該ファクシミリがコマンドFAXであるか否かを判定する。受信したファクシミリがコマンドFAXである場合には(S2202:YES)、制御部200は、音声認証部2002にてコマンドFAXに含まれている端末情報を取得する(S2203)。
【0107】
音声認証部2002は音声データが含まれている端末情報を用いて音声認証を実行し(S2204)、端末情報テーブル500に記憶されている音声データの中に、端末情報に含まれる音声データに一致する音声データがある場合には(S2205:YES)、ジョブ要求部2005は、ファイアウォール102を経由して携帯端末装置110とのIP接続を確立し(S2206)、携帯端末装置110にジョブを要求する(S2207)。
【0108】
その後、ジョブ受付部2006が携帯端末装置110からジョブを受け付けたら(S2208:YES)、当該ジョブをジョブ実行部2007が実行する(S2209)。また、受信したFAXがコマンドFAXでない場合は(S2202:NO)、通常通りファクシミリを印刷する(S2210)。
【0109】
ステップS2209、S2210の処理を完了した後、ステップS2201に進む。また、ステップS2205において端末情報テーブル500に記憶されている音声データの中に、端末情報に含まれる音声データに一致する音声データがない場合には(S2205:NO)、セキュリティ保護の観点から画像形成装置100の利用を許可することができないので、ステップS2201に進んで上記の処理を繰り返す。
【0110】
図23は、本実施の形態に係るシーケンス図である。図23に示すように、携帯端末装置110が画像形成装置100にコマンドFAXを送信し、画像形成装置100がコマンドFAXに含まれている音声データを用いた音声認証に成功すると、画像形成装置100がファイアウォール102を経由して携帯端末装置110にジョブを要求する。この要求の際に、画像形成装置100と携帯端末装置110とのIP接続が確立されるので、当該IP接続を利用して携帯端末装置110は画像形成装置100にジョブを送信することができる。
【0111】
このようにしても、LAN101に接続された装置のセキュリティを保護しながら、携帯端末装置110からジョブを受け付けて画像形成装置100が実行することができ、携帯端末装置110から画像形成装置100へジョブを送信するための手間を最小化することができる。
(3-5)上記変形例では、画像形成装置100が音声認証を行うための音声データが、コマンドFAXに添付された端末情報に含まれている場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0112】
例えば、携帯端末装置110から端末情報とは別途、音声情報を取得して、当該音声情報を照合することによって画像形成装置100が接続の可否を判断してもよい。図24に示すように、本変形例に係る画像形成装置100の制御部200は、コマンドFAX受信部2401、音声取得部2402および音声認証部2403等を備えている。コマンドFAX受信部2401は、携帯端末装置110からコマンドFAXを受信する。コマンドFAXには、コマンドFAXをファクシミリ送信した携帯端末装置110の端末情報として、IPアドレスとファクシミリ番号が含まれている。
【0113】
音声取得部2402は、端末情報のうちのファクシミリ番号を用いて携帯端末装置110と音声通話を行い、音声認証に用いる音声データを取得する。この場合において、音声取得部2402は、携帯端末装置110のファクシミリ番号宛ての通話回線が接続されたら、音声認証に用いる音声データを要求するメッセージを再生し、携帯端末装置110から音声データを取得した後、当該通話回線を切断する。
【0114】
また、音声取得部2402は、G3ファクシミリのプロトコルで規定されたポーリング機能を用いて音声データを取得してもよい。この場合には、端末情報のうちのファクシミリ番号を用いて、図25に示すように、発呼端末である画像形成装置100は、被呼端末である携帯端末装置110からDIS信号を受信すると、ディジタル送信命令信号(DTC: Digital Transmit Command)を送信して、画像形成装置100がファクシミリ装置としてサポートする機能を通知する。この場合において、画像形成装置100は、ファクシミリ情報フィールドの第51ビットに1をセットして、ポーリング機能をサポートしている旨を通知するとともに、ファクシミリ情報フィールドの第53ビットに1をセットして、バイナリファイル転送機能をサポートしている旨を通知する。
【0115】
これに対して、携帯端末装置110は、ポーリング機能とバイナリファイル転送機能を選択する旨のDCS信号を画像形成装置100に返信する。その後、音声データを受信する準備が完了したら、画像形成装置100は携帯端末装置110に受信準備確認信号(CFR: Confirmation to Receive)を送信する。CFR信号を受信した携帯端末装置110は、画像形成装置100に音声データをバイナリファイル転送によって送信する。このようにしても、音声取得部2402は、音声データを取得することができる。
【0116】
音声認証部2403は、音声取得部2402が取得した音声データを用いて音声認証を行う。音声認証部2403による音声認証が成功したら、ジョブ要求部2404は、携帯端末装置110とIP接続を確立し、当該IP接続を経由して携帯端末装置110にジョブを要求する。
【0117】
ジョブ受付部2405は、ジョブ要求部2404が確立したIP接続を経由して、携帯端末装置110からジョブを受け付ける。その後、ジョブ受付部2405は、当該IP接続を切断する。ジョブ実行部2406は、ジョブ受付部2405が受け付けたジョブを実行する。
【0118】
図26は、制御部200の動作を示すフローチャートである。図26に示すように、制御部200は、コマンドFAX受信部2401にてファクシミリを受信すると(2601:YES)、当該ファクシミリがコマンドFAXであるか否かを判定する。受信したファクシミリがコマンドFAXである場合には(S2602:YES)、音声取得部2402が携帯端末装置110から音声データを取得する(S2603)。
【0119】
音声認証部2403は、音声取得部2402が取得した音声データを用いて音声認証を行い(S2604)、音声認証が成功した場合には(S2605:YES)、ジョブ要求部2404は、携帯端末装置110とのIP接続を確立し(S2606)、携帯端末装置110にジョブを要求する(S2607)。
【0120】
その後、ジョブ受付部2405が携帯端末装置110からジョブを受け付けたら(S2608:YES)、当該ジョブをジョブ実行部2406が実行する(S2609)。また、受信したFAXがコマンドFAXでない場合は(S2602:NO)、通常通りファクシミリを印刷する(S2610)。
【0121】
ステップS2609、S2610の処理を完了した後、ステップS2601に進む。また、ステップS2605において音声認証が失敗した場合には(S2605:NO)、画像形成装置100との接続を許可することなく、ステップS2601に進んで上記の処理を繰り返す。
【0122】
図27は、本実施の形態に係るシーケンス図である。図27に示すように、携帯端末装置110が画像形成装置100にコマンドFAXを送信すると、画像形成装置100がコマンドFAXの送信元である携帯端末装置110に音声データを要求する。この要求に応えて、携帯端末装置110が音声データを返信し、返信された音声データを用いて画像形成装置100が音声認証を実行する。
【0123】
この音声認証が成功すると、画像形成装置100は携帯端末装置110とのIP接続を確立し、当該IP接続を利用して携帯端末装置110にジョブを要求する。携帯端末装置110もまた当該IP接続を利用して画像形成装置100にジョブを送信すると、画像形成装置100は当該ジョブを受信して、実行する。
【0124】
このようにしても、本発明の効果を得ることができる。
(3-6)上記変形例においては、画像形成装置100が携帯端末装置110から音声データを取得して、当該音声データを用いた音声認証が成功した場合にだけ画像形成装置100と携帯端末装置110とのIP接続を許可する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、音声データ以外の秘密情報を携帯端末装置から取得し、当該秘密情報を用いて認証することによってIP接続の可否を判断してもよい。当該秘密情報は、例えば、暗証番号やパスワード等のような文字列であってもよいし、携帯端末装置110のユーザーの指紋画像や虹彩画像などといった生体情報であってもよい。
(3-7)画像形成装置100から携帯端末装置110とのIP接続を確立する際に、携帯端末装置110側のセキュリティを保護する必要がある場合には次のようにしてもよい。
【0125】
例えば、携帯端末装置110は、コマンドFAXを送信する際に、IP接続時のセキュリティを保護するための接続用秘密情報を生成して、当該接続用秘密情報を端末情報と併せて画像形成装置100へ送信する。画像形成装置100は、携帯端末装置110とのIP接続を確立する際に、当該接続用秘密情報を携帯端末装置110へ送信し、携帯端末装置110は、正しい接続用秘密情報を受信したときのみ画像形成装置100とのIP接続の確立を許可する。
【0126】
このようにすれば、コマンドFAXを受信した画像形成装置100以外の装置が、携帯端末装置110とのIP接続を確立するのを防止することができるので、携帯端末装置110のセキュリティ保護を向上させることができる。
(3-8)上記変形例では、携帯端末装置110から音声データ等の秘密情報を取得して画像形成装置100が認証処理を実行する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0127】
図28に示すように、本変形例に係る画像形成装置100の制御部200は、コマンドFAX受信部2801、トライアル文字列送信部2802およびトライアル認証部2803等を備えている。コマンドFAX受信部2801は、携帯端末装置110からコマンドFAXをファクシミリ受信する。
【0128】
トライアル文字列送信部2802は、トライアル文字列を生成して、コマンドFAXの送信元へファクシミリ送信する。本変形例においては、トライアル文字列送信部2802は、まず乱数を発生させることによってオリジナル文字列を生成する。オリジナル文字列はトライアル認証が完了するまでRAM303またはHDD304に保存される。更に、トライアル文字列送信部2802は、コマンドFAXの送信元の携帯端末装置110に対応する公開鍵を、図29に例示する端末情報テーブル2900から読み出し、当該公開鍵を用いて前記オリジナル文字列を暗号化することによって、トライアル文字列を生成する。
【0129】
トライアル文字列送信部2802が、トライアル文字列をファクシミリ送信する際には、例えば、まず携帯端末装置110がNSF信号を用いてトライアル文字列を受信する非標準機能をサポートしている旨を画像形成装置100に通知する。当該NSF信号を受信した画像形成装置100は、トライアル文字列を受信する非標準機能を指定するNSC信号を携帯端末装置110へ送信した後、バイナリファイル転送によってトライアル文字列をファクシミリ送信する。
【0130】
トライアル認証部2803は、携帯端末装置110からトライアル応答をファクシミリ受信して、トライアル認証を実行する。トライアル認証部2803が、トライアル応答をファクシミリ受信する際には、例えば、まず画像形成装置100がNSF信号を用いてトライアル応答を受信する非標準機能をサポートしている旨を携帯端末装置110に通知する。画像形成装置100は、トライアル応答を受信する非標準機能を指定するNSC信号を携帯端末装置110から受信した後、バイナリファイル転送によってトライアル応答をファクシミリ受信する。
【0131】
トライアル認証部2803は、トライアル応答をファクシミリ受信すると、画像形成装置100の秘密鍵を用いてトライアル応答を復号化した復号化列を生成し、当該復号化列とトライアル文字列送信部2802が記憶しておいたトライアル文字列とを照合する。トライアル認証部2803は、復号化列とトライアル文字列とが一致したらトライアル認証が成功したと判定する。
【0132】
ジョブ要求部2804は、トライアル認証が成功したら、携帯端末装置110とIP接続して、ジョブを要求する。ジョブ受付部2805は、前記IP接続を経由して、携帯端末装置110からジョブを受け付け、ジョブ実行部2806は、ジョブ受付部2805が受け付けたジョブを実行する。
【0133】
このような機能構成を備える制御部200は、図30に示すように、コマンドFAX受信部2801にてコマンドFAXを受信すると(S3001:YES)、トライアル文字列送信部2802にて当該コマンドFAXの送信元の携帯端末装置110の公開鍵が端末情報テーブル2900に登録されているか確認する。
【0134】
当該公開鍵が端末情報テーブル2900に登録されている場合には(S3002:YES)、トライアル文字列送信部2802にてオリジナル文字列を生成し、携帯端末装置110の公開鍵を用いて当該オリジナル文字列を暗号化してトライアル文字列を生成し(S3003)、当該トライアル文字列を携帯端末装置110へファクシミリ送信する(S3004)。
【0135】
その後、トライアル認証部2803にて携帯端末装置110からトライアル応答をファクシミリ受信したら(S3005:YES)、画像形成装置100の秘密鍵を用いてトライアル応答からオリジナル文字列を復号化する(S3006)。復号化したオリジナル文字列と、予め記憶しておいたオリジナル文字列とを照合して、これらの文字列が一致したら、トライアル認証部2803は、トライアル認証が成功したと判断する(S3007:YES)。
【0136】
その後、ジョブ要求部2804が、携帯端末装置110とのIP接続を確立して、ジョブを要求する(S3008)。コマンドFAXの送信元のファクシミリ番号が端末情報テーブル2900に登録されていない場合には(S3002:NO)、当該ファクシミリ番号に対応する公開鍵もまた端末情報テーブル2900に登録されておらず、トライアル認証を行うことができないので、画像形成装置100と携帯端末装置110とのIP接続の要求を拒否する(S3009)。また、トライアル認証に失敗した場合も、トライアル応答の送信元は予め登録された携帯端末装置110に該当しない不正な装置である恐れがあると判断されるので、IP接続を拒否する(S3009)。従って、ジョブの要求も実行も行われない。
【0137】
図31に示すように、携帯端末装置110は、トライアル認証に関連して、コマンドFAX送信3101、トライアル文字列受信部3102およびトライアル応答送信部3103等を備えている。コマンドFAX送信部3101は、画像形成装置100へコマンドFAXをファクシミリ送信する。トライアル文字列受信部3102は、トライアル文字列を画像形成装置100からファクシミリ受信する。
【0138】
トライアル応答送信部3103は、トライアル応答を画像形成装置100へファクシミリ送信する。この場合において、トライアル応答送信部3103は、トライアル文字列受信部3102が受信したトライアル文字列から、携帯端末装置110の秘密鍵を用いて復号化し、得られたオリジナル文字列を画像形成装置100の公開鍵を用いて暗号化することによってトライアル応答を生成する。
【0139】
図32に示すように、トライアル文字列受信部3102が受信したトライアル文字列3211は携帯端末装置110の公開鍵を用いて暗号化されているので、携帯端末装置の秘密鍵を用いなければ復号化することができない。従って、画像形成装置100の端末情報テーブル2900に予め公開鍵が登録されている携帯端末装置110以外の装置は、復号化によってオリジナル文字列3212を得ることができない。
【0140】
従って、上記のようにして、画像形成装置100が携帯端末装置110の公開鍵を用いてトライアル応答3204からオリジナル文字列3205を復号化し、復号化によって得られたオリジナル文字列3205と、記憶しておいたオリジナル文字列3201とを照合すれば、コマンドFAXの送信元が予め登録されている携帯端末装置110であるか否かを判定することができる。
【0141】
ジョブ要求受付部3104は、画像形成装置100が確立したIP接続を経由してジョブ要求を受け付ける。ジョブ送信部3105は、ジョブ要求受付部3104が受け付けたジョブ要求に応答して、画像形成装置100へジョブを返信する。
【0142】
上述のような機能構成を備える携帯端末装置110は、図33に示すように、まず、コマンドFAX送信部2801にてコマンドFAXを送信する(S3301)。次に、トライアル文字列受信部3102は、画像形成装置100からトライアル文字列を受信したら(S3302:YES)、トライアル応答送信部3103は、携帯端末装置110の秘密鍵を用いてトライアル文字列からオリジナル文字列を復号化し、更に、画像形成装置100の公開鍵を用いてオリジナル文字列から暗号化によってトライアル応答を生成し(S3303)、画像形成装置100へファクシミリ送信する(S3304)。
【0143】
その後、ジョブ要求受付部3104にて画像形成装置100からジョブ要求を受け付けたら(S3305:YES)、ジョブ送信部3105にて画像形成装置100へジョブを送信する(S3306)。
【0144】
図34は、画像形成装置100と携帯端末装置110との間の上記のような手順を示すシーケンス図である。図34に示すように、携帯端末装置110がコマンドFAXを送信してから、画像形成装置100がトライアル応答を受信するまでの手順は、ファクシミリ通信によって実行されるので、LAN101への不正アクセスを招くことなく、画像形成装置100と携帯端末装置110との間で通信を行うことができる。
【0145】
また、トライアル認証が成功した後は、携帯端末装置110が予め端末情報テーブル2900に登録されている正当な装置であることが確認されているので、画像形成装置100と携帯端末装置110との間のIP接続を許可しても、LAN101におけるセキュリティレベルが損なわれるおそれはない。
【0146】
なお、上述のようにコマンドFAXの送信元が、そのファクシミリ番号に端末情報テーブル2900において対応付けられている正当な暗号鍵を用いてトライアル文字列を復号化したか否かによって、画像形成装置100と携帯端末装置110とのIP接続の可否を判断するのに代えて、次のようにしてもよい。
【0147】
例えば、画像形成装置100が、乱数などを用いて生成したトライアル文字列を3501携帯端末装置110へ送信するとともに、当該トライアル文字列3501に所定の変換処理を施した照合用文字列3502を生成する。携帯端末装置110は、画像形成装置100からトライアル文字列を受信すると、当該トライアル文字列に画像形成装置100と同じ変換処理を施してトライアル応答を生成し、当該トライアル応答を画像形成装置100へ送信する。
【0148】
画像形成装置100は、携帯端末装置110から受信したトライアル応答と照合用文字列とを照合して、これらが一致したらIP接続を許可する。このようにすれば、トライアル文字列からトライアル応答を生成するための変換処理を実行することができない装置によるLAN101への不正なIP接続を防止することができる。また、当該変換処理を実行することができる携帯端末装置110は正当なアクセス権限を有すると判断されるので、IP接続による画像形成装置100へのアクセスを許可することができる。
(3-9)上記実施の形態においては、ジョブの種別に関わりなく、画像形成装置100と携帯端末装置110との間で同じIP接続を行う場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0149】
例えば、画像形成装置100がIP通信によってジョブを受け付けるポート番号がジョブの種別毎に異なっている場合には、コマンドFAXのファクシミリ送受信時に、画像形成装置100が処理可能なジョブの種別をNFS信号にて携帯端末装置110へ通知し、携帯端末装置110が処理を要求する予定のジョブの種別をNSC信号にて画像形成装置100に通知してもよい。
【0150】
このようにすれば、画像形成装置100が、ジョブの種別に応じたポート番号を指定して、ファイアウォール102に接続情報を要求することができる。また、画像形成装置100が自らIP接続を確立する際にも適切なポート番号を指定することができる。
【0151】
また、携帯端末装置110が画像形成装置100に処理を要求する予定のジョブが画像形成ジョブである場合には、画像形成装置100と携帯端末装置110との間のIP接続が確立されるのを待たずに、NSC信号によってジョブの種別が画像形成ジョブであることが判明したタイミングで、画像形成装置100において記録シートにトナー像を熱定着するための定着装置を昇温させるウォームアップ処理を開始すれば、いわゆるFCOT(First Copy Out Time)を短縮することができる。この機能は、例えば、遠隔地で取材した記事をオフィス105にいち早く送付して印刷出力したい場合などに特に有効である。
【0152】
また、コマンドFAXの受信時に一律にウォームアップ処理を開始すればFCOTを短縮することができるものの、携帯端末装置110が処理を要求する予定のジョブが、画像形成装置100に保存されている電子ファイルの読み出しジョブ等のように、ウォームアップ処理が不要なジョブである場合には不必要に多量の電力を消費してしまうおそれがある。これに対して、上述のようにすれば、かかる不要な電力消費を削減することができる。
【0153】
また、ジョブの種別に応じてIP接続の可否を判定してもよい。例えば、携帯端末装置110からコマンドFAXを送信する際に、携帯端末装置110のユーザーを識別する情報(ユーザー名やパスワード、生体認証情報など)を併せて画像形成装置100へファクシミリ送信させて、画像形成装置100に携帯端末装置110のユーザーのアクセス許可レベルを判定させ、アクセス許可レベルが低いユーザーに対しては、画像形成ジョブなどのように携帯端末装置110から画像形成装置100へのみ情報が送信されるジョブのみを許可し、アクセス許可レベルが高いユーザーに対しては、電子ファイルの読み出しジョブなどのように画像形成装置100から携帯端末装置110へ情報が送信されるジョブも許可してもよい。
【0154】
また、電子ファイルの読み出しジョブに関しては、電子ファイル毎や電子ファイルを格納しているフォルダー毎にアクセス許可レベルを設定してもよい。更に、ユーザー毎にアクセス許可レベルを判定するのに代えて、携帯端末装置110毎にアクセス許可レベルを判定してもよい。
(3-10)上記実施の形態においては、携帯端末装置110が画像形成装置100にジョブを送信するまでの処理について説明したが、これに加えて次のようにしてもよい。
【0155】
例えば、ユーザーの要求に従ってHDD304に電子ファイルを保存したり、当該電子ファイルを読み出したりすることができる画像形成装置100が、携帯端末装置110から電子ファイルの保存または読み出しを要求するジョブを受信した場合、画像形成装置100は携帯端末装置110からジョブを受信した後も携帯端末装置110とのIP接続を維持したまま、当該IP接続を経由して携帯端末装置110との間で指定された電子ファイルを送受信し、当該送受信が完了した後で当該IP接続を切断してもよい。
【0156】
また、画像形成ジョブを受け付けた場合も、画像形成装置100は携帯端末装置110との間のIP接続を維持しておき、当該画像形成ジョブの実行が成功し、或いは紙切れや紙詰まり等によって失敗したら、当該IP接続を経由して携帯端末装置110に画像形成ジョブの実行結果を通知してもよい。このようにすれば、携帯端末装置110のユーザーは、紙切れや紙詰まりの場合にはその旨をオフィス105に連絡して同僚に対処を依頼することができる。また、画像形成ジョブが正常に完了した場合にも、携帯端末装置110のユーザーはオフィス105に在室している同僚に対し、電話や電子メール等を用いて、印刷物の受け取りを依頼することができる。
(3-11)上記実施の形態においては特に言及しなかったが、ファイアウォール102が発行する接続情報の有効期限は、例えば、ファイアウォール102が接続情報を発行してからの経過時間で設定してもよく、携帯端末装置110が画像形成装置100とのIP接続を確立してからの経過時間で設定してもよい。当該経過時間は、分単位や時間単位、日単位であってもよい。また、携帯端末装置110または画像形成装置100がIP接続を切断する回数を規制してもよい。
【0157】
接続情報の有効期間内であれば所定回数だけ、或いは何回でも携帯端末装置110が画像形成装置100にIPアクセスすることができれば、携帯端末装置110が画像形成装置100にIPアクセスしようとするたびにコマンドFAXのファクシミリ送信する手順を繰り返す必要がなくなるので、ジョブを実行させるためのユーザーの手間や待ち時間を低減して、ユーザーの利便性を向上させることができる。
(3-12)上記実施の形態においては特に言及しなかったが、携帯端末装置110が画像形成装置100にIPアクセスを要求する際には、携帯端末装置110のユーザーは専用のアプリケーションプログラムを起動してもよいし、例えば、プリンタードライバーの中でコマンドFAXを送信する等の手順を自動的に実行してもよい。
【0158】
前記アプリケーションプログラムは、例えば、画像形成装置100から接続情報を取得した後、ブラウザープログラムを用いて画像形成装置100にアクセスさせることによって、画像形成装置100を利用するためのWebページを表示させてもよい。このようにすれば、画像形成装置100毎に実行することができるジョブや機能が異なっていても、携帯端末装置110側で画像形成装置100の機種ごとに異なる処理を実行することなく、柔軟に画像形成装置100の機能をユーザーに設定させ、利用させることができる。
(3-13)携帯端末装置110から画像形成装置100に画像形成ジョブを送信して印刷出力を行った場合、携帯端末装置110のユーザーは遠隔地にいるため、出力された印刷物を直ちに回収することができない。このため、印刷物が、排紙トレイ205上に放置され、紛失したり汚損されたりする恐れがある。
【0159】
このような問題に対して、携帯端末装置110のユーザーによる指示に応じて、コマンドFAXにおいて印刷物の回収を促す処理の要否を指定してもよい。
画像形成装置100は、コマンドFAXにおいて印刷物の回収を促す処理を要求されると、当該印刷物が遠隔地からのジョブ送信によって出力されたものである旨を表示すると共に、当該印刷出力を要求したユーザーを識別するための情報(当該ユーザーの氏名や所属部署など)、当該印刷物の回収のし方(当該ユーザーの机上や当該ユーザーが指定した者の机上、当該ユーザーが指定した場所へ当該印刷物を移動させる等)を印刷した回収指示書を当該印刷物の出力に先立って印刷出力し、或いはこの印刷出力に併せて、当該印刷物の回収を促すブザー音を発生さたり、ランプを点滅させたりしてもよい。
【0160】
また、回収指示書に代えて回収指示情報を操作パネルに表示してもよい。また、当該回収を促す処理の内容は携帯端末装置110のユーザーが指定してもよいし、画像形成装置100に予め設定されていてもよい。
(3-14)画像形成装置100の使用頻度が高い場合には、オフィス105に複数の画像形成装置100が設置されることが多く、かかるオフィス105においてはユーザーがどの画像形成装置100を用いて印刷出力するかを選択する手間を省くために、図36に示すように、プリントサーバー3601を設置すると便利である。プリントサーバー3601は、ユーザーから画像形成ジョブを受け付けると、画像形成装置100毎の稼働状況などに応じて適切な画像形成装置100に当該画像形成ジョブを実行させる。
【0161】
このようなオフィス105に設置された画像形成装置100を遠隔地から利用するためには、例えば、次のようにすればよい。
【0162】
LAN101に接続されている複数の画像形成装置100のうちの何れかがプリントサーバー3601を兼ねている場合には、プリントサーバー3601を兼ねている画像形成装置100に携帯端末装置110がIP接続によって画像形成ジョブを送信し、当該画像形成ジョブを受信したプリントサーバー3601が画像形成ジョブを適当な画像形成装置100に実行させてもよい。
【0163】
また、画像形成装置100とは別個にプリントサーバー3601が設けられている場合には、一旦、何れかの画像形成装置100にコマンドFAXを送信した後、携帯端末装置110がプリントサーバー3601にIPアクセスするための接続情報をファイアウォール102から取得して、当該接続情報を携帯端末装置110へ送信してもよい。このようにすれば、携帯端末装置110がプリントサーバー3601とのIP接続を確立して、当該IP接続を経由してプリントサーバー3601へ画像形成ジョブを送信することができる。
【0164】
或いは、携帯端末装置110からコマンドFAXを受信した画像形成装置100が、携帯端末装置110にIPアクセスするための接続情報(IPアドレス等)をプリントサーバー3601に通知して、プリントサーバー3601から携帯端末装置110へ画像形成ジョブの要求を送信してもよい。このようにすれば、プリントサーバー3601が携帯端末装置110から直接、画像形成ジョブを取得して、適当な画像形成装置100に当該画像形成ジョブを実行させることができる。
【0165】
なお、画像形成ジョブ以外のジョブについても、一旦、プリントサーバー3601にジョブを送信した後、当該ジョブを受信したプリントサーバー3601が当該ジョブを実行すべき画像形成装置100を選択しもよい。例えば、電子ファイルの読み出しジョブである場合には、プリントサーバー3601が画像形成装置100に保存されている電子ファイルを検索する等によって当該電子ファイルの所在を確認し、当該電子ファイルを保存しているか画像形成装置100に当該ジョブを実行させてもよい。
(3-15)上記実施の形態においては、携帯端末装置110を用いて画像形成装置100にジョブを実行させる場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて次のようにしてもよい。
【0166】
例えば、携帯端末装置110のユーザーがLAN101に接続されている自己のパーソナルコンピューター104にIPアクセスしたい場合には、まず携帯端末装置110から画像形成装置110へコマンドFAXをファクシミリ送信し、当該コマンドFAXにおいてIPアクセス先としてパーソナルコンピューター104を指定する。
【0167】
当該コマンドFAXをファクシミリ受信した画像形成装置100は、携帯端末装置110がパーソナルコンピューター104にアクセスするための接続情報をファイアウォール102から取得して、当該接続情報を携帯端末装置110へファクシミリ送信する。当該接続情報をファクシミリ受信した携帯端末装置110は、当該接続情報を用いてパーソナルコンピューター104とのIP接続を確立する。このようにすれば、携帯端末装置110のユーザーは遠隔地から自己のパーソナルコンピューター104にアクセスすることができる。
【0168】
言うまでもなく、パーソナルコンピューター104に携帯端末装置110とのIP接続を確立させることもできる。この場合には、画像形成装置100は、携帯端末装置110にアクセスするための接続情報(携帯端末装置110のIPアドレス等)をパーソナルコンピューター104に通知する。当該通知を受けたパーソナルコンピューター104は、当該接続情報を用いて携帯端末装置110とのIP接続を確立する。このようにしても、携帯端末装置110のユーザーは遠隔地から自己のパーソナルコンピューター104にアクセスすることができる。
【0169】
なお、画像形成装置100やプリントサーバー3601、パーソナルコンピューター104以外の装置であっても、LAN101に接続されている装置であれば、同様の手順によって携帯端末装置110とのIP接続を確立することができる。
(3-16)上記実施の形態においては、携帯端末装置110が無線通信によってインターネット120や電話網130に接続する場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、インターネット120と電話網130の一方または両方に対して有線通信によって接続してもよいことは言うまでもない。また、上記の変形例においては、画像形成装置100が通話回線(電話網130)経由で携帯端末装置110から音声データを取得するのに代えて、VoIP回線を用いてインターネット経由で、画像形成装置100が携帯端末装置110から音声データを取得してもよい。
(3-17)上記実施の形態においては、携帯端末装置110が画像形成装置100に送信するジョブが画像形成ジョブや電子ファイルの読み出しジョブである場合を例にとって説明したが、本発明がこれに限定されないのは言うまでもなく、これに代えて、或いはこれに加えて以下のようにしてもよい。
【0170】
例えば、画像形成装置100の保守管理を目的として、画像形成装置100の累積印刷枚数やトナー残量、画像形成装置100の故障状態およびHDD304の空き容量などの情報を取得して、携帯端末装置110に通知するジョブであってもよい。
【0171】
このようにすれば、画像形成装置100の保守作業員がオフィス105を訪問することなく、画像形成装置100の動作状態を監視することができるので、例えば、保守作業員がオフィス105を訪問した際に、オフィス105が無人である等の理由によって入室できない場合であっても、当該保守作業員がオフィス105を再訪する必要が無いので、作業効率を向上させることができる。また、人的労力を必要とすることなく、コンピューターを用いて画像形成装置100の自動監視を行うことも可能である。
(3-18)本発明は、画像形成装置に限られず、例えば、ファクシミリ通信とIP通信との両方を行うことができる装置が、ファクシミリ通信によってIP接続要求を受け付けて、当該IP接続を確立する方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピューターが実行するプログラムであるとしてもよい。
【0172】
また、本発明に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD-ROM、DVD-RAM、CD-ROM、CD-R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピューター読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
(3-19)上記実施の形態においては特に言及しなかったが、画像形成装置100はモノクロ複合機であってもよいし、カラー複合機であってもよい。また、カラー複合機である場合にはいわゆるタンデム方式を採用してもよいし、タンデム方式以外の方式であってもよい。いずれの画像形成装置100についても本発明を適用して、その効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本発明に係る画像形成装置および画像形成システムは、画像形成装置が接続されているLANのセキュリティレベルの低下を招くことなく、外部のネットワークからファイアウォールを経由して画像形成装置にアクセスするための手間を軽減ことができる装置として有用である。
【符号の説明】
【0174】
1………画像形成システム
100…画像形成装置
101…LAN
102…ファイアウォール
103…構内交換機
110…携帯端末装置
120…インターネット
121…無線LAN親機
130…電話網
131…無線基地局
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