IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図1
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図2
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図3
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図4
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図5
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図6
  • 特許-動態画像処理装置及びプログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】動態画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20220705BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61B6/03 360G
A61B6/00 330A
A61B6/00 360B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018122598
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020000475
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松谷 哲嗣
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-187448(JP,A)
【文献】国際公開第2016/026053(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/039009(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線撮影された動態画像から被写体の異常部位を検出する検出手段と、
前記検出手段によって複数方向から放射線撮影された複数の動態画像から前記異常部位が検出された場合に、一の動態画像から検出された前記被写体の異常部位と他の動態画像から検出された前記被写体の異常部位との位置関係から前記異常部位の3次元的な位置を特定する特定手段と、
を備えることを特徴とする動態画像処理装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記動態画像の解析結果に基づいて前記異常部位を検出することを特徴とする請求項1に記載の動態画像処理装置。
【請求項3】
前記検出手段によって検出された前記異常部位を表示手段に表示する表示制御手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の動態画像処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記特定手段によって前記異常部位の3次元的な位置が特定された場合、前記一の動態画像の解析結果を示す解析結果画像と前記他の動態画像の解析結果を示す解析結果画像を立体的に表した立体画像上に当該異常部位を表示することを特徴とする請求項3に記載の動態画像処理装置。
【請求項5】
前記検出手段は、前記動態画像に表示された前記被写体の構造物の移動量又は変形量に基づいて前記異常部位を検出することを特徴とする請求項1に記載の動態画像処理装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記検出手段によって検出された前記異常部位を前記表示手段に表示する際に、当該異常部位が検出された動態画像の撮影方向とは異なる方向から放射線撮影された画像と対応付け、当該画像上に当該異常部位の見当領域を表示することを特徴とする請求項3に記載の動態画像処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
放射線撮影された動態画像から被写体の異常部位を検出する検出手段、
前記検出手段によって複数方向から放射線撮影された複数の動態画像から前記異常部位が検出された場合に、一の動態画像から検出された前記被写体の異常部位と他の動態画像から検出された前記被写体の異常部位との位置関係から前記異常部位の3次元的な位置を特定する特定手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動態画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体の周期性を持つ動態を放射線撮影することにより得られた動態画像が診断に用いられている。動態画像では、静止画では捉えられなかった被写体の動態を表示・解析することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数方向から撮影したX線画像を利用して、対象物体の各位置において局所的な幾何学的拡大率を算出することにより、血管や心機能の定量解析において、当該対象物体の奥行き分の変動を考慮した計測値を得ることができるX線画像診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-187448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているX線画像診断装置は、異常部位の位置が特定されていることを前提として、当該異常部位の程度を定量的に把握するための装置であって、異常部位の検出から当該異常部位の3次元的な位置の特定までの一連の処理を行うことができない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、異常部位の検出から当該異常部位の3次元的な位置の特定までの一連の処理を簡便に行うことができる動態画像処理装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の動態画像処理装置は、
放射線撮影された動態画像から被写体の異常部位を検出する検出手段と、
前記検出手段によって複数方向から放射線撮影された複数の動態画像から前記異常部位が検出された場合に、一の動態画像から検出された前記被写体の異常部位と他の動態画像から検出された前記被写体の異常部位との位置関係から前記異常部位の3次元的な位置を特定する特定手段と、
を備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記検出手段は、前記動態画像の解析結果に基づいて前記異常部位を検出する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記検出手段によって検出された前記異常部位を表示手段に表示する表示制御手段を備える。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記表示制御手段は、前記特定手段によって前記異常部位の3次元的な位置が特定された場合、前記一の動態画像の解析結果を示す解析結果画像と前記他の動態画像の解析結果を示す解析結果画像を立体的に表した立体画像上に当該異常部位を表示する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記検出手段は、前記動態画像に表示された前記被写体の構造物の移動量又は変形量に基づいて前記異常部位を検出する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記表示制御手段は、前記検出手段によって検出された前記異常部位を前記表示手段に表示する際に、当該異常部位が検出された動態画像の撮影方向とは異なる方向から放射線撮影された画像と対応付け、当該画像上に当該異常部位の見当領域を表示する。
【0013】
請求項7に記載の発明のプログラムは、
コンピュータを、
放射線撮影された動態画像から被写体の異常部位を検出する検出手段、
前記検出手段によって複数方向から放射線撮影された複数の動態画像から前記異常部位が検出された場合に、一の動態画像から検出された前記被写体の異常部位と他の動態画像から検出された前記被写体の異常部位との位置関係から前記異常部位の3次元的な位置を特定する特定手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異常部位の検出から当該異常部位の3次元的な位置の特定までの一連の処理を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態における動態画像処理システムの全体構成を示す図である。
図2図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。
図3図1の診断用コンソールの制御部により実行される異常部位特定処理を示すフローチャートである。
図4】異常部位の3次元的な位置を特定する過程を説明するための図である。
図5】3次元的な位置が特定された異常部位の表示の一例を示す図である。
図6】異常部位の見当領域の表示の一例を示す図である。一例を示す図である。
図7】3次元的な位置が特定された異常部位の表示のその他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0017】
〔動態画像処理システム100の構成〕
図1に、本実施形態における動態画像処理システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、動態画像処理システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。動態画像処理システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
【0018】
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、例えば、呼吸運動に伴う肺の膨張及び収縮の形態変化、心臓の拍動等の、周期性(サイクル)を持つ動態を撮影する撮影手段である。動態撮影とは、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、以下の実施形態では、パルス照射により胸部の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
【0019】
放射線源11は、被写体Mを挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体Mに対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルタ種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
【0020】
放射線検出部13は、FPD等の半導体イメージセンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
【0021】
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。そして、読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
【0022】
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
【0023】
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された動態画像を撮影技師等の撮影実施者によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
【0024】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する撮影制御処理を始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。
【0025】
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメータ、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図2に示す撮影制御処理を実行するためのプログラムを記憶している。また、記憶部22は、被写体部位(ここでは、胸部とする)に対応付けて放射線照射条件及び画像読取条件を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0026】
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。
【0027】
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。
【0028】
通信部25は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0029】
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から動態画像を取得し、取得した動態画像や動態画像の解析結果を表示して医師の診断を支援するための動態画像処理装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0030】
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、後述する異常部位特定処理を始めとする各種処理を実行し、診断用コンソール3の各部の動作を集中制御する。制御部31は、検出手段、特定手段、表示制御手段として機能する。
【0031】
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で異常部位特定処理を実行するためのプログラムを始めとする各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメータ、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0032】
また、記憶部32には、過去に撮影された動態画像が患者情報(例えば、患者ID、患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)、検査情報(例えば、検査ID、検査日、被写体部位(ここでは、胸部)、診断対象の動態の種類(例えば、安静呼吸、深呼吸、心拍等)、撮影方向(例えば、正面、側面、斜位等)に対応付けて記憶されている。また、動態画像に対応する電子カルテ情報を図示しない電子カルテ装置から取得して動態画像に対応付けて記憶しておくこととしてもよい。
【0033】
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
【0034】
表示部(表示手段)34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
【0035】
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
【0036】
〔動態画像処理システム100の動作〕
次に、本実施形態における上記動態画像処理システム100の動作について説明する。
【0037】
(撮影装置1、撮影用コンソール2の動作)
まず、撮影装置1、撮影用コンソール2による撮影動作について説明する。
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理を示す。撮影制御処理は、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0038】
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、被検者の患者情報、検査情報の入力が行われる(ステップS1)。
【0039】
次いで、放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS2)。
【0040】
次いで、操作部23の操作による放射線照射の指示が待機される(ステップS3)。ここで、撮影実施者は、被写体Mを放射線源11と放射線検出部13の間に配置してポジショニングを行う。また、被検者に対し、診断対象の動態の種類に応じた呼吸状態を指示する。撮影準備が整った時点で、操作部23を操作して放射線照射指示を入力する。
【0041】
操作部23により放射線照射指示が入力されると(ステップS3;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影開始指示が出力され、動態撮影が開始される(ステップS4)。即ち、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得される。
【0042】
予め定められたフレーム数の撮影が終了すると、制御部21により放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影終了の指示が出力され、撮影動作が停止される。撮影されるフレーム数は、少なくとも1呼吸サイクルが撮影できる枚数である。
【0043】
撮影により取得されたフレーム画像は順次撮影用コンソール2に入力され、撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶されるとともに(ステップS5)、表示部24に表示される(ステップS6)。撮影実施者は、表示された動態画像によりポジショニング等を確認し、撮影により診断に適した画像が取得された(撮影OK)か、再撮影が必要(撮影NG)か、を判断する。そして、操作部23を操作して、判断結果を入力する。
【0044】
操作部23の所定の操作により撮影OKを示す判断結果が入力されると(ステップS7;YES)、動態撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)、撮影方向等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される(ステップS8)。そして、本処理は終了する。一方、操作部23の所定の操作により撮影NGを示す判断結果が入力されると(ステップS7;NO)、記憶部22に記憶された一連のフレーム画像が削除され(ステップS9)、本処理は終了する。この場合、再撮影が必要となる。
【0045】
(診断用コンソール3の動作)
次に、診断用コンソール3における動作について説明する。
診断用コンソール3においては、通信部35を介して撮影用コンソール2から一の被験者に関する複数の動態画像(動態の種類が同一、且つ、互いに撮影方向が異なる動態画像)が受信されると、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により図3に示す異常部位特定処理が実行される。なお、以下の説明では、一の被験者に関する複数の動態画像として、正面及び側面(左側面)からそれぞれ撮影された動態画像が受信された場合を一例に挙げて説明を行う。
【0046】
異常部位特定処理においては、まず、受信した各動態画像について動態解析が行われる(ステップS11)。ここで、動態解析としては、換気解析や血流解析が挙げられる。なお、動態解析が行われる際は、必要に応じて各種構造物の減弱処理(例えば、肋骨減弱処理)や強調処理(例えば、血管強調処理)等が行われるようにしてもよい。また、動態解析が行われる際は、互いの動態画像において呼吸運動のタイミングが一致するフレーム画像の割合を増加させるため、各動態画像のフレーム画像の数を増加又は減少させることで調整するようにしてもよい。フレーム画像の数を調整する際は、必要に応じて前後のフレーム画像に基づいて画素値の補間処理が行われるようにしてもよい。
【0047】
次いで、動態解析の結果、各動態画像から異常部位が検出されたか否かが判定される(ステップS12)。ここで、異常部位は、動態画像を構成する各フレーム画像の各画素の信号値の濃淡から検出する。例えば、上記信号値があらかじめ決められた閾値を下回る箇所を異常部位とする。なお、異常部位は、例えば、上記信号値の変化量、変化速度、変化タイミング等から検出するようにしてもよい。例えば、周囲の領域と比べて上記信号値の変化の傾向が異なる領域を異常部位とする。また、異常部位は、動態画像に表示された構造物の移動量、移動速度、移動タイミング等から検出するようにしてもよい。また、パターンマッチング処理により、あらかじめ決められたパターンに該当する箇所を異常部位として検出するようにしてもよい。また、動態画像に表示された構造物のサイズ(例えば、直径、長さ等)があらかじめ決められた閾値を下回る箇所を異常部位として検出するようにしてもよい。
【0048】
ステップS12において、各動態画像から異常部位が検出されないと判定された場合(ステップS12;NO)、異常部位特定処理は終了する。
一方、ステップS12において、各動態画像から異常部位が検出されたと判定された場合(ステップS12;YES)、各異常部位の位置情報が取得される(ステップS13)。
【0049】
例えば、図4に示すように、正面から撮影された動態画像(以下、正面動態画像と称す)の動態解析の結果、異常部位P1,P2が検出された場合、当該異常部位P1,P2の左右方向(X方向)と上下方向(Y方向)のそれぞれの位置(座標)を示す位置情報が取得される。また、側面(左側面)から撮影された動態画像(以下、側面動態画像と称す)の動態解析の結果、異常部位P3,P4が検出された場合、当該異常部位P3,P4の上下方向(Y方向)と前後方向(Z方向)のそれぞれの位置(座標)を示す位置情報が取得される。ここで、図4の左側に示す画像は、正面動態画像の動態解析結果を示す正面解析結果画像IM1であり、同図の右側に示す画像は、側面動態画像の動態解析結果を示す側面解析結果画像IM2である。各解析結果画像IM1,IM2は、動態解析の結果を画素ごとに濃淡で表した濃淡画像となっている。各解析結果画像IM1,IM2では、検出された異常部位P1~P4が正常部位とは異なる色で表示されるようになっている。
【0050】
次いで、ステップS13で取得された各異常部位の位置座標に基づいて、異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まるか否かが判定される(ステップS14)。
具体的には、正面動態画像において検出された異常部位と、側面動態画像において検出された異常部位と、が上下方向(Y方向)で一致する場合、異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まるものとする。なお、例えば、正面動態画像において検出された異常部位と上下方向(Y方向)で一致する異常部位が側面動態画像において複数検出されている場合には、正面動態画像において検出された異常部位のサイズを考慮して、当該異常部位のサイズと同サイズの方の異常部位と上下方向(Y方向)で一致すると判断してもよい。
一方、正面動態画像において検出された異常部位と、側面動態画像において検出された異常部位と、が上下方向(Y方向)で一致しない場合、異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まらないものとする。なお、異常部位の位置が一意的に定まらない場合、例えば、側面動態画像の他のフレーム画像においても異常部位が検出されているか否かが判定され、他のフレーム画像においても異常部位が検出されているときは、当該異常部位と、正面動態画像において検出された異常部位との間で異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まるか否かが判定されるようにしてもよい。また、異常部位の位置が一意的に定まらない場合、他方向から撮影された動態画像を撮影用コンソール2から取得(受信)し直して、再度、当該動態画像から検出された異常部位との間で異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まるか否かが判定されるようにしてもよい。
【0051】
例えば、図4に示す例では、正面動態画像において検出された異常部位P1と、側面動態画像において検出された異常部位P3と、が上下方向(Y方向)で一致し、異常部位P1と異常部位P3とに関しては、異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まると判定されることとなる。また、正面動態画像において検出された異常部位P2と、側面動態画像において検出された異常部位P4と、が上下方向(Y方向)で一致し、異常部位P2と異常部位P4とに関しては、異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まると判定されることとなる。
【0052】
ステップS14において、異常部位の位置が一意的に定まらないと判定された場合(ステップS14;NO)、異常部位特定処理は終了する。
一方、ステップS14において、異常部位の位置が一意的に定まると判定された場合(ステップS14;YES)、異常部位の位置が3次元的に表示され(ステップS15)、異常部位特定処理は終了する。
【0053】
具体的には、例えば、図4に示すように、異常部位P1と異常部位P3とに基づいて異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まるとともに、異常部位P2と異常部位P4とに基づいて異常部位の位置(3次元的な位置)が一意的に定まると判定された場合、図5に示すように、正面解析結果画像IM1と側面解析結果画像IM2とが立体的に表された立体画像IM3上に当該異常部位P1~P4が3次元的に表示される。これにより、医師が立体画像IM3を見た際に、右肺上部で検出された異常部位P1(=P3)が肺の前側に存在し、また、左肺下部で検出された異常部位P2(=P4)が肺の後側に存在することを簡便に把握することが可能となる。
【0054】
このように、本実施形態においては、放射線撮影された動態画像から被写体の異常部位が検出され、複数方向から放射線撮影された複数の動態画像から異常部位が検出された場合に、一の動態画像から検出された被写体の異常部位と他の動態画像から検出された被写体の異常部位との位置関係から異常部位の3次元的な位置が特定されるので、異常部位の検出から当該異常部位の3次元的な位置の特定までの一連の処理を簡便に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態においては、動態画像の動態解析結果に基づいて異常部位が検出されるので、換気や血流といった目に見えない機能に関しての異常部位の検出から当該異常部位の3次元的な位置の特定までの一連の処理を簡便に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態においては、検出された異常部位が表示部34に表示されるので、検出された異常部位を把握しやすくすることができる。
【0057】
また、本実施形態においては、異常部位の3次元的な位置が特定された場合、一の動態画像の動態解析結果を示す解析結果画像(例えば、解析結果画像IM1)と他の動態画像の動態解析結果を示す解析結果画像(例えば、解析結果画像IM2)を立体的に表した立体画像IM3上に当該異常部位(例えば、異常部位P1~P4)が表示されるので、異常部位の3次元的な位置を簡便に、且つ、正確に把握することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0059】
例えば、上記実施形態においては、被写体部位が胸部である場合を例にとり説明したが、他の部位を撮影した動態画像について解析処理を行う場合においても本発明を適用することができる。
【0060】
また、上記実施形態においては、一の被験者に関する正面動態画像と側面動態画像とが受信された場合を例にとり、異常部位特定処理(図3参照)の説明を行ったが、例えば、一の被験者に関する正面動態画像と側面の静止画像とが受信された場合には、正面動態画像についてのみ動態解析が行われるようにして、当該正面動態画像から異常部位が検出された場合には、図6に示すように、異常部位P5が示された正面動態画像の解析結果画像IM4と、上記側面の静止画像IM5と、が対応付けられて表示部34に表示されるとともに、当該静止画像IM5上には異常部位P5の上端位置を示す第1ラインL1と下端位置を示す第2ラインL2とが表示されるようにしてもよい。第1ラインL1と第2ラインL2によって区分された幅Rの領域(見当領域)を静止画像IM5上に示すことによって、異常部位P5が存在する可能性が高い領域を示すことができるので、静止画像IM5を用いた診断の効率を向上させることができる。なお、異常部位が検出された上記正面動態画像は側面の静止画像と同時期に撮影されたものに限らず、過去にされたものであってもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、異常部位特定処理において、異常部位の位置が一意的に定まると判定された場合(ステップS14;YES)、図5に示すように、異常部位の位置が3次元的に表示されるようにした(ステップS15)が、例えば、図7に示すように、異常部位P6が示された正面動態画像の解析結果画像IM6のみが表示部34に表示されるようにし、操作部33の所定の操作により異常部位P6を指定する入力がなされると、異常部位P6の奥行方向(Z方向)の深さやサイズを示す情報(例えば、「体表から○○mmです。」や「サイズは○○mmです」等)がポップアップ表示されるようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、図5に示すように、異常部位の位置が3次元的に表示された際に、当該3次元的な表示に加えて、当該異常部位の位置をテキスト(例えば、右肺(上部、中部、下部)、左肺(上部、中部、下部)等)で表示するようにしてもよい。また、例えば、記憶部32に胸部の解剖情報データセットが記憶されている場合には、異常部位の位置を当該解剖情報データセットに基づいたテキスト(例えば、上葉、中葉、下葉)で表示するようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、正面動態画像及び側面動態画像のそれぞれの画像の全ての画素の位置情報を基に、ボクセルデータ(3次元データ)を生成するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、異常部位特定処理で用いられる正面動態画像と側面動態画像は、順次撮影された動態画像でもよいし、同時に撮影された動態画像でもよい。
【0065】
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0066】
その他、動態画像処理システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 動態画像処理システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7