(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】鳥害防止具
(51)【国際特許分類】
A01M 29/32 20110101AFI20220705BHJP
H02G 7/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A01M29/32
H02G7/00
(21)【出願番号】P 2018132741
(22)【出願日】2018-07-12
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】村上 廉士
(72)【発明者】
【氏名】安田 勝孝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 賢二
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3142167(JP,U)
【文献】特開2016-025728(JP,A)
【文献】特開2016-208613(JP,A)
【文献】特開2008-228647(JP,A)
【文献】特開2016-054669(JP,A)
【文献】特開2018-035582(JP,A)
【文献】特開平10-084839(JP,A)
【文献】特開2012-196056(JP,A)
【文献】特開2011-177057(JP,A)
【文献】特開2005-341930(JP,A)
【文献】特開2007-252266(JP,A)
【文献】特開昭49-092448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/00-29/34
H02G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状体に固定される固定部と、
長さ方向における一端が前記固定部に取り付けられる棒形状をなし、長さ方向における途中部分で屈曲可能であって、外表面から突出する複数の突起を備えた忌避部と、
を備え
、
前記忌避部は、外表面から突出する複数の突起を備えて棒形状をなす複数の芯体を、当該芯体の長さ方向に連結することによって構成され、複数の前記芯体どうしを連結する変向継手を備えたことを特徴とする鳥害防止具。
【請求項2】
前記忌避部は、所定以上の外力が加えられた場合に、当該外力に応じて任意の形状に変形し、当該外力から解放された状態において変形した形状を維持する可塑性を備えた材料を用いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鳥害防止具。
【請求項3】
前記固定部は、略環形状とされたバンド状部材と、当該バンド状部材がなす環形状の内径を調節可能な締結部材と、を備えたことを特徴とする請求項1
または2に記載の鳥害防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電柱などの柱状体における鳥類の飛来や営巣に起因する鳥害を防止する鳥害防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱に架け渡された配電線に飛来した鳥を原因とした短絡事故や、鳥が巣作りのために運んできた巣材を原因とした地絡事故などの各種の事故や、電柱や電線に飛来した鳥の糞害など(以下「鳥害」という)の発生を防止するための各種の技術があった。具体的には、従来、たとえば、先端に磁石を取り付けた非磁性部材からなる支持棒に連結機構を設け、3つの方向に支持棒を支えることのできる台座にゴム筒を介して支持棒を固定した鳥害営巣防止具に関する技術があった(たとえば、下記特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、狭い場所であっても営巣され易い箇所に直接設置することができるものの、磁石や粘着テープを用いて台座を固定しているため、取付場所に制限があるという問題があった。また、上述した特許文献1に記載された従来の技術は、長期にわたる取り付けの安定性を確保することが難しいという問題があった。
【0005】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、取付場所に制限を受けることなく、鳥害を確実に防止することができる鳥害防止具を提供することを目的とする。
【0006】
また、この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、取付場所に制限を受けることなく、長期にわたって鳥害を確実に防止することができる鳥害防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる鳥害防止具は、柱状体に固定される固定部と、長さ方向における一端が前記固定部に取り付けられる棒形状をなし、長さ方向における途中部分で屈曲可能であって、外表面から突出する複数の突起を備えた忌避部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる鳥害防止具は、上記の発明において、前記忌避部が、外表面から突出する複数の突起を備えて棒形状をなす複数の芯体を、当該芯体の長さ方向に連結することによって構成されていることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる鳥害防止具は、上記の発明において、前記忌避部が、複数の前記芯体どうしを連結する変向継手を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる鳥害防止具は、上記の発明において、前記忌避部が、所定以上の外力が加えられた場合に、当該外力に応じて任意の形状に変形し、当該外力から解放された状態において変形した形状を維持する可塑性を備えた材料を用いて形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる鳥害防止具は、上記の発明において、前記固定部が、略環形状とされたバンド状部材と、当該バンド状部材がなす環形状の内径を調節可能な締結部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明にかかる鳥害防止具によれば、取付場所に制限を受けることなく、鳥害を確実に防止することができるという効果を奏する。
【0013】
また、この発明にかかる鳥害防止具によれば、取付場所に制限を受けることなく、長期にわたって鳥害を確実に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の構成を示す説明図である。
【
図2】この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の設置方法を示す説明図(その1)である。
【
図3】この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の設置方法を示す説明図(その2)である。
【
図4】この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の設置方法を示す説明図(その3)である。
【
図5】この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の設置方法を示す説明図(その4)である。
【
図6】この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる鳥害防止具の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0016】
<実施の形態1>
(鳥害防止具の構成)
まず、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の構成について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具の構成を示す説明図である。
【0017】
図1において、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100は、固定部110と、忌避部120と、を備えている。固定部110は、略環形状とされたバンド状部材111と、当該バンド状部材111がなす環形状の内径を調節可能な締付部材112と、を備えている。
【0018】
バンド状部材111は、帯形状をなす。バンド状部材111は、たとえば、ステンレスなどの金属材料を用いて形成することができる。具体的には、バンド状部材111は、たとえば、公知のアームタイバンドや支線バンドと同様の形状をなす。
【0019】
バンド状部材111において、長さ方向における両端には、貫通孔113が設けられている。バンド状部材111の両端は、貫通孔113どうしが対向するように、バンド状部材111がなす環の外周方向に向けて突出するように屈曲している。
【0020】
締付部材112は、バンド状部材111の両端に設けられた各貫通孔113を貫通するように挿入されるボルト114と、当該ボルト114に螺合されるナット115と、によって実現することができる。締付部材112は、各貫通孔113を貫通するように挿入したボルト114にナット115を螺合させ、当該ナット115のボルト114に対する螺合状態を調整することによって、バンド状部材111がなす環の径を調整することができる。
【0021】
バンド状部材111を電柱に巻き付けた状態で、バンド状部材111がなす環の径を小さくなる方向に調整することにより、バンド状部材111の両端部を固定し、当該バンド状部材111を電柱などの柱状体に固定することができる。固定部110を、バンド状部材111および締付部材112によって構成することにより、構成を簡易化し、固定部110の取り付けに要するスペースを小さく抑えることができる。
【0022】
締付部材112におけるナット115は、バンド状部材111に固定されていてもよい。具体的に、ナット115は、ナット115における貫通孔を、バンド状部材111の両端に設けられた各貫通孔113のうちの一方の貫通孔113と重複させた状態でバンド状部材111に固定する。
【0023】
これにより、電柱での作業中にナット115が落下することを防止することができる。電柱での作業は、厚手の絶縁手袋を着用しておこなうため、ナット115をバンド状部材111に固定することにより、作業にかかる負担軽減を図るとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0024】
バンド状部材111がなす環の外周面には、支持部材116が設けられている。支持部材116は、バンド状部材111がなす環の外周面から当該環の外周方向に突出しており、バンド状部材111に固定された位置とは反対側の位置に、バンド状部材111側に向かって凹むネジ穴117を備えている。
【0025】
支持部材116は、バンド状部材111の長さ方向に沿って複数設けられている。複数の支持部材116は、たとえば、バンド状部材111がなす環の外周面において、均等な間隔をあけて設けることができる。
【0026】
忌避部120は、棒形状をなし、長さ方向における一端において、固定部110に取り付けられる。忌避部120は、長さ方向における一端に、支持部材116のネジ孔に螺合されるネジ部121を備えている。これにより、忌避部120を固定部110に取り付けることができる。
【0027】
忌避部120は、複数の芯体122を、長さ方向に沿って連結することによって構成されている。複数の芯体122どうしは、たとえば、変向継手123を介して連結することができる。変向継手123は、具体的には、ロッドエンドジョイント(球面すべり軸受)、ナックルジョイント(ナックル継手)、クレビスジョイント(U字型リンク)などによって実現することができる。
【0028】
たとえば、変向継手123としてロッドエンドジョイントを用いることにより、芯体122どうしの連結部分において、忌避部120を任意の方向に屈曲させることができる。これにより、芯体122どうしの位置関係の調整の自由度を確保することができる。変向継手123としてロッドエンドジョイントを用いることにより、連結部分の大型化を抑えて、大きなラジアル荷重と両方向のアキシアル荷重を受けることができる。
【0029】
また、たとえば、変向継手123としてナックルジョイントやクレビスジョイントを用いることにより、簡易な構成によって芯体122どうしを連結することができる。変向継手123としてナックルジョイントやクレビスジョイントを用いる場合、連結される芯体122どうしは、ナックルジョイントやクレビスジョイントが備える連結用のピンの軸心周りに回動する。
【0030】
変向継手123としてナックルジョイントやクレビスジョイントを用いる場合、ナックルジョイントやクレビスジョイントにおけるジョイント部と芯体122とを、芯体122の軸心周りに回動可能な状態で連結してもよい。これにより、変向継手123においては、ナックルジョイントやクレビスジョイントが備える連結用のピンの軸心周り、および、芯体122の軸心周りの2軸方向に回動することができるため、芯体122の回動面が連結用のピンの軸心周りに制限されることを回避し、芯体122どうしの位置関係の調整の自由度を確保することができる。
【0031】
具体的には、たとえば、コレットチャックなどと称される、オートバイのハンドルに用いられるバーエンドと同様の機構を介して、ジョイント部と芯体122とを連結する。これにより、ナックルジョイントやクレビスジョイントを用いる場合にも、忌避部120を任意の方向に屈曲させることができ、芯体122の屈曲方向に制限を受けることがない。
【0032】
各芯体122は、それぞれ、外表面から突出する複数の突起124を備えている。突起124は、たとえば、ポリプロピレンなどの合成樹脂を用いて形成することができる。芯体122を合成樹脂によって形成することにより、飛来した鳥類を傷つけることなく、忌避させることができる。
【0033】
(鳥害防止具100の設置方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100の設置方法について説明する。
図2~
図5は、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100の設置方法を示す説明図である。
【0034】
鳥害防止具100の設置に際しては、まず、
図2に示すように、固定部110を電柱200などの柱状体に固定する。固定部110は、たとえば、腕金200aの先端や根元などのように、鳥類の飛来や営巣を防止したい鳥害防止位置201の直近位置に限らず、電柱200において、固定部110を取り付けるためのスペースが空いている位置に取り付ければよい。
【0035】
具体的に、固定部110の固定に際しては、固定部110におけるバンド状部材111を電柱200に巻き付けた状態で、バンド状部材111の両端の貫通孔113にボルト114を挿入する。そして、当該ボルト114にナット115を螺合させ、バンド状部材111が落下しなくなるまで、ナット115を締め付ける。ボルト114に対するナット115の螺合量を調整するだけで、バンド状部材111がなす環形状の内径を容易に調節することができる。
【0036】
つぎに、
図3に示すように、電柱200に固定した固定部110に、忌避部120を取り付ける。忌避部120は、たとえば、バンド状部材111に設けられた複数の支持部材116のうち、鳥害防止位置201にもっとも近い支持部材116に取り付ける。忌避部120は、鳥害防止位置201にもっとも近い支持部材116の近傍に、柱上変圧器や柱上開閉器などの電気設備301が設置されている場合、当該電気設備301を回避した位置に取り付けてもよい。
【0037】
具体的に、忌避部120の取り付けに際しては、忌避部120を構成する芯体122の一端に設けられたネジ部を支持部材116のネジ穴117に螺合させる。そして、
図4に示すように、固定部110と鳥害防止位置201との距離や位置の関係に応じて、先に取り付けた芯体122に別の芯体122を連結する。芯体122は、任意の数を連結することができる。
【0038】
その後、
図5に示すように、固定部110と鳥害防止位置201との距離や位置の関係に応じて、もっとも先端に設けられた芯体122が、鳥害防止位置201の近傍に位置するように、連結した複数の芯体122どうしがなす角度を調整する。芯体122の外表面には複数の突起124が設けられているため、鳥害防止位置201の近傍に芯体122を位置づけることにより、鳥類の飛来や営巣を防止することができる。
【0039】
この発明にかかる鳥害防止具は、従来の鳥害防止具と同様に、電柱200から鳥害防止位置201までの間に電気設備301などが存在しない位置に取り付けることもできる。具体的には、
図5において電柱200の最上部に設置された鳥害防止具100’のように、固定部110の固定位置から鳥害防止位置201まで、直接忌避部を延設することができる。このように、この発明にかかる鳥害防止具は、固定部110と鳥害防止位置201との間に電気設備301などが存在する状況であっても、固定部110の近くに鳥害防止位置201が存在する場合であっても、いずれの場合も対応して、鳥害を防止することができる。
【0040】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100は、電柱200などの柱状体に固定される固定部110と、長さ方向における一端が固定部110に取り付けられる棒形状をなし、長さ方向における途中部分で屈曲可能であって、外表面から突出する複数の突起124を備えた忌避部120と、を備えたことを特徴としている。
【0041】
この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、電柱200などの柱状体に対する固定部110の固定位置から、腕金200aの先端などのような鳥類の飛来や営巣を防止したい鳥害防止位置201までの間に存在する電気設備301などを回避するように、忌避部120を屈曲させることができる。
【0042】
これにより、鳥害防止位置201の周辺に鳥害防止具100を設置するスペースを確保することができない場合や、電柱200と鳥害防止位置201との間に電気機器などが存在する場合にも、電柱200などの柱状体において空きがある任意の位置に固定部110を固定し、固定部110の固定位置から鳥害防止位置201までの間に存在する電気設備301などを回避するように忌避部120を屈曲させることによって、任意の鳥害防止位置201に忌避部120を位置づけることができる。
【0043】
このように、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、取付場所に制限を受けることなく、鳥害を確実に防止することができる。
【0044】
また、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、電柱200に固定した固定部110に忌避部120を連結することによって設置することができるため、高所作業車を使用することなく鳥害防止具100を設置することができる。これによって、高所作業車の使用にかかる申請やその他の手配などを不要とすることができ、作業にかかる作業者の負担軽減を図ることができる。
【0045】
また、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100は、忌避部120が、外表面から突出する複数の突起124を備えて棒形状をなす複数の芯体122を、当該芯体122の長さ方向に連結することによって構成されていることを特徴としている。
【0046】
この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、任意の数の芯体122を連結することによって、固定部110の固定位置から鳥害防止位置201までの距離にかかわらず、任意の鳥害防止位置201に忌避部120を位置づけることができる。これにより、取付場所に制限を受けることなく、鳥害を確実に防止することができる。
【0047】
また、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100は、忌避部120が、複数の芯体122どうしを連結する変向継手123を備えたことを特徴としている。
【0048】
この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、芯体122どうしの連結位置である変向継手123を用いることにより、簡易な構造によって忌避部120を屈曲させることができる。これにより、忌避部120の軽量化を図り、固定部110にかかる負荷を軽減することができるので、長期にわたって鳥害を確実に防止することができる。
【0049】
また、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100は、固定部110が、略環形状とされたバンド状部材111と、当該バンド状部材111がなす環形状の内径を調節可能な締付部材112と、を備えたことを特徴としている。
【0050】
この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、バンド状部材111がなす環形状の内径を調節することができるので、電柱200の径にかかわらず、固定部110を取り付けることができる。これにより、取付場所に制限を受けることなく、鳥害を確実に防止することができる。
【0051】
また、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、簡易な構造によって固定部110を実現することができる。これにより、固定部110の軽量化を図り、長期にわたって鳥害を確実に防止することができる。
【0052】
さらに、この発明にかかる実施の形態1の鳥害防止具100によれば、電気設備301を電柱200に固定する際に、従来から広く用いられているステンレスバンドを用いて固定部110を実現することにより、固定部110の安定性を確保することができ、長期にわたって鳥害を確実に防止することができる。
【0053】
<実施の形態2>
(鳥害防止具の構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具の構成について説明する。実施の形態2においては、上述した実施の形態1と同一部分は同一符号で示し、説明を省略する。
【0054】
図6は、この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具の構成を示す説明図である。
図6において、この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具600は、芯体自体が変形可能な忌避部620を備えている。
【0055】
具体的に、忌避部620における芯体621は、所定以上の外力が加えられた場合に、当該外力に応じて任意の形状に変形し、当該外力から解放された状態において変形した形状を維持する可塑性を備えた材料を用いて形成されている。より具体的には、芯体621は、たとえば、長細い一対の銅板の間に鉛を挟み込んだ棒状部材を、絶縁材料によって被覆することによって構成することができる。芯体621を被覆する絶縁材料は、たとえば、ポリエチレン、塩化ビニル、合成ゴムなどのように、絶縁性と柔軟性とを備えた材料によって実現することができる。
【0056】
このような構成とすることにより、芯体621は、加えられた外力に応じて任意の形状に変形する可撓性を発揮する。また、このような構成とすることにより、芯体621は、外力から解放された状態において、変形した形状を維持する可塑性を発揮する。
【0057】
複数の突起124は、絶縁材料による被覆の外側に設けられている。突起124は、絶縁材料による被覆と同じ材料を用いて当該被覆と一体に形成されていてもよく、別の材料を用いて別体で形成されていてもよい。
【0058】
(鳥害防止具600の設置方法)
つぎに、この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具600の設置方法について説明する。実施の形態2の鳥害防止具600は、上記の実施の形態1と同様にして電柱200に設置することができる。
【0059】
具体的には、まず、固定部110を電柱200に固定し、電柱200に固定した固定部110に忌避部620を取り付ける。忌避部620は、電柱200における固定部110の固定位置と鳥害防止位置201との距離や位置関係に応じた数の芯体621を連結して構成する。
【0060】
実施の形態2の鳥害防止具600においては、芯体621自体が可撓性を備えているため、電柱200における固定部110の固定位置と鳥害防止位置201との間に存在する電気設備301などの位置に応じて、連結位置に限らず、任意の位置において芯体621自体を変形させることができる。これにより、忌避部620の設置に過剰に大きなスペースを要したり、忌避部620を周囲から格別突出させたりすることなく、コンパクトに収めることができる。
【0061】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具600は、忌避部620が、所定以上の外力が加えられた場合に、当該外力に応じて任意の形状に変形し、当該外力から解放された状態において変形した形状を維持する可塑性を備えた材料を用いて形成されていることを特徴としている。
【0062】
この発明にかかる実施の形態2の鳥害防止具600によれば、可塑性を備えた材料を用いて忌避部620を形成することにより、電柱200における電気設備301の設置位置や電柱200に対する固定部110の固定位置など、鳥害防止具600の周囲の環境に応じて芯体621を任意の形状に変形させることができる。
【0063】
これにより、固定部110の固定位置と鳥類の飛来や営巣を防止したい位置との間に設置された電気設備301の設置位置や数にかかわらず、固定部110を固定する位置から離れた腕金200aの先端などの場所における鳥類の飛来や営巣を防止することができる。そして、これにより、取付場所に制限を受けることなく、鳥害を確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、この発明にかかる鳥害防止具は、電柱200などの柱状体における鳥類の飛来や営巣に起因する鳥害を防止する鳥害防止具に有用であり、特に、柱状体から離れた位置における鳥類の飛来や営巣に起因する鳥害を防止する鳥害防止具に適している。
【符号の説明】
【0065】
100 鳥害防止具
110 固定部
111 バンド状部材
112 締付部材
113 貫通孔
114 ボルト
115 ナット
116 支持部材
120 忌避部
122 芯体
123 変向継手
600 鳥害防止具
621 芯体