(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】画像形成装置及び浮き上がり検出装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/06 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
B65H7/06
(21)【出願番号】P 2018158381
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保科 浩則
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-203009(JP,A)
【文献】特開2002-205432(JP,A)
【文献】特開2007-168278(JP,A)
【文献】特開平8-277039(JP,A)
【文献】特開2005-67105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/00- 7/20
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送ベルトと、
前記搬送ベルトにおける前記記録媒体が載置される搬送面と対向して配置されて、前記記録媒体の浮き上がりを検出する浮き検出部と、を備え、
前記浮き検出部は、
前記搬送面に接触する接触子を端部に有する可動部材と、
前記可動部材における前記接触子とは反対側の端部に設けた押圧部に接触し、前記可動部材の移動に伴って移動する押圧バーと、
前記押圧バーの移動量を検出する移動量検出センサと、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記可動部材は、前記搬送ベルトにおける前記記録媒体の搬送方向と直交する幅方向に複数配置され、
前記押圧バーは、複数の前記可動部材のうち最も移動した可動部材により移動する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動量検出センサが検出した前記押圧バーの移動量に基づいて、前記記録媒体の浮き上がりを判断する制御部をさらに備えた
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記記録媒体の浮き上がりを判断する際、前記記録媒体の厚さに応じて閾値を設定する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記移動量検出センサが検出した前記押圧バーの移動量に基づいて、前記搬送ベルトの状態を判断する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記接触子は、球状又は半球状に形成されている
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記浮き検出部は、前記押圧バーを介して前記可動部材の前記接触子を前記搬送ベルトの前記搬送面に付勢する付勢部材を有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記可動部材は、前記接触子と前記押圧部の間が屈曲して形成されており、
前記浮き検出部は、前記可動部材に形成された屈曲部を介して前記可動部材を揺動可能に支持する揺動軸を有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記可動部材は、棒状の部材により形成され、前記押圧バーと前記搬送ベルトの前記搬送面の間に配置される
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
記録媒体を搬送する搬送ベルトにおける前記記録媒体が載置される搬送面に接触する接触子を端部に有する可動部材と、
前記可動部材における前記接触子とは反対側の端部に設けた押圧部に接触し、前記可動部材の移動に伴って移動する押圧バーと、
前記押圧バーの移動量を検出する移動量検出センサと、
を備えた浮き上がり検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置、及びこの画像形成装置に設けられた浮き上がり検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としては、例えば、インクジェットヘッドに設けられた複数のノズルからインクを記録媒体に向けて吐出させることで、用紙等の記録媒体に画像を形成(記録)するインクジェット記録装置がある。また、インクジェット記録装置では、ノズルの吐出面と記録媒体との間隔が短い。そして、搬送される記録媒体が折れ曲がっていたり、浮き上がりが生じていたりすると、記録媒体がノズルに接触し、ノズルの吐出面が傷つくおそれがある。
【0003】
そのため、記録媒体の浮き上がりを検出する技術として、例えば、特許文献1に記載されているような技術が提案されている。特許文献1には、画像形成部と、記録媒体を搬送する搬送ユニットと、記録媒体に生じ得る浮き上がり部に接触して個別に変位する複数の可動部と、可動部が変位した場合にその変位を検知する一つの変位検知部と、を備えた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、可動部が搬送部である搬送ベルトと間隔を空けて配置されていた。そのため、特許文献1に記載された技術では、搬送ベルトの状態を検出することができないだけでなく、可動部を設置するために搬送ベルトとの位置合わせが必要である、という問題を有していた。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題点に鑑み、搬送ベルトの状態を検出することができ、かつ可動部材の設置作業を容易に行うことができる画像形成装置及び浮き上がり検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、搬送ベルトにおける記録媒体が載置される搬送面と対向して配置されて、記録媒体の浮き上がりを検出する浮き検出部と、を備えている。
また、浮き検出部は、可動部材と、押圧バーと、移動量検出センサと、を備えている。可動部材は、搬送面に接触する接触子を端部に有する。押圧バーは、可動部材における接触子とは反対側の端部に設けた押圧部に接触し、可動部材の移動に伴って移動する。移動量検出センサは、押圧バーの移動量を検出する。
【0008】
また、本発明の浮き上がり検出装置は、可動部材と、押圧バーと、移動量検出センサと、を備えている。可動部材は、記録媒体を搬送する搬送ベルトにおける記録媒体が載置される搬送面に接触する接触子を端部に有する。押圧バーは、可動部材における接触子とは反対側の端部に設けた押圧部に接触し、可動部材の移動に伴って移動する。移動量検出センサは、押圧バーの移動量を検出する。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の画像形成装置及び浮き上がり検出装置によれば、搬送ベルトの状態を検出することができ、かつ可動部材の設置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置における浮き検出部を示す正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置における制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置における印字を行う際の浮き検出動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置における浮き検出部の浮き検出動作を示す説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置における浮き検出部の浮き検出動作を示す説明図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態例に係る画像形成装置におけるベルト検査動作を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第2の実施の形態例に係る画像形成装置における浮き検出部を示す正面図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態例に係る画像形成装置における浮き検出部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態例について、
図1~
図9を参照して説明する。なお、各図において共通する部材には、同一の符号を付している。
【0012】
1.第1の実施の形態例
1-1.インクジェット記録装置の構成例
まず、本発明の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)に係る画像形成装置の構成例について
図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示す画像形成装置は、インクジェットヘッドに設けたノズルからインクを吐出することで用紙に画像を形成(記録)するインクジェット記録装置1である。このインクジェット記録装置1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のインクを重ね合わせるカラーインクジェット記録装置である。
【0014】
インクジェット記録装置1は、媒体供給部2と、媒体加熱部3と、第1搬送部4と、第2搬送部5と、第3搬送部6と、媒体排出部7と、記録部8と、定着部9と、冷却部10と、浮き上がり検出装置の一例を示す浮き検出部40を備えている。さらに、インクジェット記録装置1は、画像読取部11と、制御部60とを備えている。
【0015】
[媒体供給部]
媒体供給部2は、媒体積載部13と、位置合わせ部14とを有する。媒体積載部13には、平面上のプレート(トレー)が設けられている。そして、媒体積載部13のプレートには、記録媒体Pが積載されている。記録媒体Pとしては、特に限定されるものではないが、例えば、設定されたサイズの用紙が適用される。媒体積載部13では、記録媒体Pの積載量に応じてプレートが上下方向に移動することで、最上部の記録媒体Pが略水平に位置合わせ部14に順次送り出される。
【0016】
位置合わせ部14は、記録媒体Pの位置、特に記録媒体Pの搬送方向に垂直な幅方向について所定の位置に合わせるガイド部材などを備えている。そして、位置合わせ部14は、適切な位置及びタイミングで第1搬送部4に記録媒体Pを送り出す。
【0017】
[媒体加熱部]
媒体加熱部3は、複数の加熱ローラー15と、空気ヒーター16とを有している。媒体加熱部3は、複数の加熱ローラー15により記録媒体Pを上下方向の両側から挟み込み、加熱ローラー15の回転動作により記録媒体Pを搬送しながら記録媒体Pを加熱する。複数の加熱ローラー15には、不図示の媒体ヒーターが設けられている。そして、加熱ローラー15は、媒体ヒーターによりその表面が加熱された記録媒体Pに伝えることで、記録媒体Pを加熱する。媒体ヒーターとしては、例えば、電流によりジュール熱を生じる電熱シートなどが用いられる。
【0018】
また、加熱ローラー15から第1搬送部4の一部に亘って加熱室36が設けられている。加熱室36には、空気ヒーター16が配置されている。空気ヒーター16により加熱室36の温度が一定に保たれて、加熱ローラー15による加熱された記録媒体Pの温度むらを軽減する。これにより、記録媒体Pを、略一様な温度とすることができる。空気ヒーター16としては、例えば、赤外線を照射する赤外線ヒーターなどが挙げられる。
【0019】
加熱室36は、記録媒体Pが後述する第1搬送部4を構成する搬送ベルト22の載置面上に載置される区間のうち搬送方向について上流部分の一部を囲うように設けられている。
そして、記録媒体Pは、この加熱室36の内部で搬送ベルト22上に載置される。
【0020】
[第1搬送部]
第1搬送部24は、駆動ローラー20と、従動ローラー19と、無端状の搬送ベルト22と、第1吸着部21と、押圧ローラー17と、第1押圧モーター18と、を備えている。
【0021】
無端状の搬送ベルト22は、ここでは、例えば、スチールベルトが用いられている。搬送ベルト22は、駆動ローラー20と従動ローラー19との間に架け渡されて周回移動(移動動作)する。記録媒体Pは、搬送ベルト22の外周面の面(記録媒体Pの載置面)が上向きで、かつ水平に移動する区間において当該載置面に載置されて搬送ベルト22の周回移動に伴って搬送される。この区間では、記録媒体P及び搬送ベルト22は、後述する記録部8の各キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkのノズルからインクが吐出される面(インク吐出面)と対向する。搬送ベルト22は、載置面側から当該載置面とは反対側の面へと空気が通過可能に両面間を貫通する多数の開口が所定のパターンで設けられた構造となっている。
【0022】
押圧ローラー17は、第1押圧モーター18の動作に従って記録媒体Pが搬送ベルト22の載置面に載置される際に、記録媒体Pの載置面からの浮き上がりを防止(抑制)して、記録媒体Pを再起面に密着させながら搬送方向に移動させる。押圧ローラー17は、記録媒体Pが圧縮されない程度に記録媒体Pを押圧し、押圧ローラー17の表面の移動速度が搬送ベルト22の移動速度と同一となるように回転速度が制御される。なお、押圧ローラー17は、回転駆動されず、記録媒体Pの移動に従って回転するのみの構成であってもよい。
【0023】
第1吸着部21は、記録媒体Pを搬送ベルト22の載置面に吸着させる。第1吸着部21は、例えば、載置面をなす搬送ベルト22を、載置面と反対側の面で支える不図示の支持板と、不図示の吸引ファンとを有する。吸引ファンは、搬送ベルト22の内周面に囲まれた内部に設けられている。また、支持板には、吸引ファンの動作による搬送ベルト22の載置面側から吸引ファンまで吸引された空気が通過可能となるように多数の透過孔が設けられている。或いは、支持板としては、人工的に設けられた透過孔を有する支持板の変わりに多孔質体を用いることもできる。
【0024】
[記録部]
記録部8は、記録媒体Pの搬送方向において媒体加熱部3よりも下流側に設けられている。記録部8は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色について個別に設けられたキャリッジ8Y、8M、8C、8Bkを有する。キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkは、例えば、記録媒体Pの搬送方向に対して上流側からキャリッジ8Y、8M、8C、8Bkの順に配置されている。
【0025】
キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkは、それぞれ、記録媒体Pの搬送方向に直交する方向(記録媒体Pの幅方向)において記録媒体Pの全体を覆う長さ(幅)に設定されている。すなわち、インクジェット記録装置1は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。4つのキャリッジ8Y、8M、8C、8Bkは、それぞれ吐出するインクの色が異なるのみで、互いに同一の構成を有している。
【0026】
キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkは、それぞれインクを吐出するノズルが設けられた複数のインクジェットヘッド242(
図3参照)を有している。そして、各キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkにおけるインクジェットヘッド242の複数のノズルからは、それぞれのキャリッジ8Y、8M、8C、8Bkに対応した色のインクが吐出される。ノズルから吐出されたインクは、記録媒体Pの記録部8と対向する面(記録面)に着弾する。本例では、Y、M、C、Bkの各色のインクが各キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkから記録媒体Pに順に吐出されることで、記録媒体P上に所望の画像を形成することができる。
【0027】
[第2搬送部]
第2搬送部5は、第1搬送部4により搬送されてきた記録媒体Pを受けて、定着部9による紫外線の照射区間を通過させながら、記録媒体Pを搬送する。第2搬送部5は、駆動ローラー26と、従動ローラー25と、無端状の搬送ベルト27と、第2吸着部28と、押圧ローラー23、24と、第2押圧モーター37と、冷却部10とを有する。第2搬送部5の構成は、押圧ローラー17の代わりに2つの押圧ローラー23、24が設けられている点を除き、第1搬送部4の構成と同様であるので、第2搬送部5の詳しい説明は省略する。
【0028】
2つの押圧ローラー23、24は、記録媒体Pの幅方向の両端をそれぞれ押圧する。第1搬送部4上で記録部8により吐出されて記録媒体Pに着弾したインクは、第2搬送部5に受け渡された時点では、記録媒体Pに定着されていない。従って、この状況でインクの着弾部分を押圧して着弾したインクを乱さないように、2つの押圧ローラー23、24は、幅方向の両端の余白部分のみを押圧する。2つの押圧ローラー23、24の幅方向についての位置は、ユーザーにより変更可能となっている。
【0029】
なお、2つの押圧ローラー23、24の幅方向の位置については、制御部60の制御で変更してもよい。
【0030】
第2搬送部5の搬送ベルト27の外周面(載置面)のうち記録媒体Pが載置されて平行移動される区間の高さは、第1搬送部4の搬送ベルト22の外周面(載置面)のうち記録媒体Pが載置されて平行移動される区間の高さと等しく定められている。このように、記録媒体Pが第1搬送部4の搬送ベルト22から第2搬送部5の搬送ベルト27に直接受け渡されることで、当該記録媒体Pの高さが変化せずに、単一平面内で移動搬送される。
【0031】
ここでいう等しいとは、厳密に等しい場合に限られず、通常の機械装置の組み立て設定で目視上略等しい程度の精度で十分であり、例えば、1cm以下程度、より好ましくは1mm以下程度の範囲内で等しいことをいう。
【0032】
[定着部]
定着部9は、搬送ベルト27の載置面において、記録媒体Pに着弾したインクを記録媒体Pに定着させる。定着部9は、不図示の紫外線の照射部を備え、この照射部を用いて記録媒体P上の紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射する。
【0033】
定着部9から照射される紫外線は、搬送ベルト27の載置面に記録媒体Pが載置される区間において、大きいむら(紫外線強度のばらつき)が発生することなく、記録媒体Pに照射されるのが好ましい。
【0034】
また、定着部9には、遮光板29が設けられている。遮光板29は、定着部9の区間外に漏れる紫外線強度を低減させるために、定着部9による紫外線の照射範囲を囲うように配置される。遮光板29は、例えば、定着部9における照射部が設けられる位置よりも搬送ベルト27側に延在し、かつ、搬送ベルト27に接触しない程度の長さの板状部材で構成される。
【0035】
また、インクの種別に応じて、定着部9及び紫外線の照射範囲を含む領域を筐体内に収容し、筐体内に、例えば、窒素ガスなどの特定の気体を充填することで、定着部9における定着の効果を向上させることができる。また、筐体を設けない場合にも、遮光板29で囲われた領域内に特定の気体を充填させて同様の効果を得ることもできる。定着部9及び紫外線の照射範囲を含む所定の領域に特定の気体を充填させる場合。気体が充填された空間に熱がこもらないようにするため、気体の循環冷却や筐体の冷却などを適宜行うことが好ましい。
【0036】
なお、定着部9に設けられる照射部としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa~1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオードなどが挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば発光ダイオード等)がより望ましい。
【0037】
なお、定着部9としては紫外線を照射するものに限定されるものではなく、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線を照射するものであればよく、光源もエネルギー線の波長などに応じて置換される。さらに、定着部9としては、紫外線等の光を照射するものに限定されるものではない。定着部9としては、例えば、用紙に熱を与えることでインクを乾燥させたり、インクに化学的な変化を起こさせる液体を付与させたりするもの等その他各種の方法を適用できるものである。
【0038】
[冷却部]
冷却部10は、定着部9の動作による記録媒体P上のインクの定着に係る発熱、及び定着部9自体の発熱に伴って加熱された第2搬送部5の搬送ベルト27を冷却する。冷却部10は、例えば、冷却ファンを有し、当該冷却ファンの動作により第2搬送部5の搬送ベルト27を空冷する。冷却部10は、搬送ベルト27の載置面に記録媒体Pが載置されない区間において当該載置面と対向して設けられる。
【0039】
なお、冷却部10は、ここでは、第2搬送部5の搬送ベルト27を冷却する構成として設けられたが、定着部9の紫外線の照射部自体を冷却する構成を備えて、長時間の画像記録時における照射部の過熱を防止する構成であっても良い。
【0040】
[第3搬送部]
第3搬送部6は、第2搬送部5により搬送されてきた記録媒体Pを受けて、画像読取部11の読み取り範囲内を通過させながら、この記録媒体Pを搬送する。第3搬送部6は、駆動ローラー33と、従動ローラー32と、無端状の搬送ベルト34と、第3吸着部38と、押圧ローラー30と、第3押圧モーター31とを有する。これらの駆動ローラー33、従動ローラー32、搬送ベルト34、第3吸着部38、押圧ローラー30及び第3押圧モーター31の構成は、第1搬送部4の駆動ローラー20、従動ローラー19、搬送ベルト22、第1吸着部21、押圧ローラー17及び第1押圧モーター18と同一であり、詳しい説明は省略する。
【0041】
第3搬送部6の搬送ベルト34の外周面(載置面)のうち記録媒体Pが載置されて平行移動される区間の高さは、第2搬送部5の搬送ベルト27の外周面(載置面)のうち記録媒体Pが載置されて平行移動される区間の高さと等しく定められている。そのため、記録媒体Pは、第2搬送部5の搬送ベルト27の載置面から第3搬送部6の搬送ベルト34の載置面に対して直接、同一平面内で受け渡される。すなわち、記録媒体Pは、第1搬送部4で搬送ベルト22に載置されてから、第3搬送部6で搬送ベルト34から取り除かれるまで同一平面内で移動及び受け渡しがなされる。
【0042】
[画像読取部]
画像読取部11は、記録媒体Pの搬送方向における定着部9の下流側に設けられ、第3搬送部6の搬送ベルト34によって搬送される記録媒体Pの画像面を読み取る。画像読取部11は、例えば、ラインセンサなどの撮像部を有する。ラインセンサは、第3搬送部6の搬送ベルト34の載置面と対向する位置に配置されている。そして、ラインセンサは、撮像素子が記録部8によるインク吐出可能な幅に亘って配置されており、一次元画像を撮像する。また、ラインセンサは、記録媒体Pの搬送速度(すなわち、各搬送部4、5、6のエンコーダーの計測値と経過時間)に応じた間隔で撮像を繰り返すことで、二次元画像を取得することができる。
【0043】
また、ラインセンサとしては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ、又はCOMS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサで構成されている。
【0044】
[媒体排出部]
媒体排出部7は、記録媒体Pの搬送方向における画像読取部11の下流側に設けられている。媒体排出部7は、第3搬送部6により搬送された記録媒体Pを載置して保持する。媒体排出部7は、平板状の排出トレー35を備えている。そして、排出トレー35上に画像記録の終了した記録媒体Pが順番に重ねられていく。排出トレー35は、記録媒体Pが第3搬送部6の搬送面から送り出し可能なように当該搬送面よりも低く配置されており、載置された記録媒体Pの分量によって上下可能であっても良い。
【0045】
[浮き検出部]
浮き検出部40は、第1搬送部24における搬送ベルト22と対向する位置に配置されている。また、浮き検出部40は、媒体加熱部3よりも搬送方向の下流側に配置され、かつ記録部8よりも搬送方向の上流側に配置されている。浮き検出部40は、第1搬送部24の搬送ベルト22の状態や、搬送ベルト22によって搬送された記録媒体Pの浮き上がりを検出する。
【0046】
1-2.浮き検出部40の構成例
次に、
図2を参照して浮き検出部40の構成について説明する。
図2は、浮き検出部40を示す正面図である。
【0047】
図2に示すように、浮き検出部40は、複数の可動部材41と、押圧バー42と、移動量検出センサ43と、揺動軸44と、付勢部材45とを有している。押圧バー42と揺動軸44は、搬送ベルト22における搬送面22aの上下方向の上方において、搬送ベルト22における搬送方向と直交する幅方向と平行に配置されている。また、押圧バー42は、不図示の支持部材により上下方向に移動可能に支持されている。
【0048】
押圧バー42には、付勢部材45が設けられている。付勢部材45としては、例えば、圧縮コイルばねが用いられている。付勢部材45は、押圧バー42を上下方向の上方に付勢している。なお、付勢部材45は、その付勢力が記録媒体Pのコシよりも弱い力の部材が用いられている。
【0049】
なお、付勢部材45としては圧縮コイルばねに限定されるものではなく、例えば、板ばねやゴム等その他各種の弾性部材を付勢部材45として用いてもよい。
【0050】
揺動軸44には、複数の可動部材41が揺動可能に支持されている。複数の可動部材41は、搬送ベルト22の幅方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。また、複数の可動部材41は、搬送ベルト22における幅方向の両端部には、設けられていない。
【0051】
可動部材41は、略くの字状に屈曲して形成されている。そして、可動部材41は、その屈曲部41cを揺動軸44に引っ掛けることで、揺動軸44に揺動可能に支持されている。可動部材41の一端部には、接触子41aが設けられている。また、可動部材41の一端部とは屈曲部41cを間に挟んで反対側の他端部には、押圧部41bが形成されている。
【0052】
接触子41aは、略球状に形成されて、可動部材41の一端部に固定されている。接触子41aは、搬送ベルト22の搬送面22aに接触している。また、押圧部41bは、押圧バー42に接触している。なお、押圧バー42が付勢部材45により上下方向の上方に付勢されているため、可動部材41の押圧部41bは、押圧バー42により上下方向の上方に付勢される。そのため、可動部材41が揺動軸44を中心に揺動し、可動部材41の接触子41aは、搬送ベルト22の搬送面22aに所定の力で付勢される。そして、可動部材41が屈曲部41cを中心に揺動すると、押圧部41bは、押圧バー42を付勢部材45の付勢力に抗して上下方向の下方に押圧する。
【0053】
上述したように、接触子41aが搬送ベルト22の搬送面22aに接触して可動部材41が配置されている。そのため、可動部材41を設置する際に、接触子41aと搬送ベルト22との間隔を調整する作業を行う必要がなく、可動部材41を容易に設置することができる。
【0054】
なお、接触子41aは、球状に限定されるものではなく、略半球状や、ローラー状等その他各種の形状に形成してもよい。
【0055】
また、移動量検出センサ43は、押圧バー42に設けられている。移動量検出センサ43の検出部43aは、押圧バー42における上下方向の上面部に固定されている。そして、押圧バー42が上下方向に移動すると、検出部43aも押圧バー42と共に上下方向に移動する。移動量検出センサ43は、検出部43aを介して押圧バー42の移動量を検出する。
【0056】
1-3.制御系の構成例
次に、インクジェット記録装置1の制御系の構成について
図3を参照して説明する。
図3は、インクジェット記録装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0057】
図3に示すように、インクジェット記録装置1は、制御部60と、入出力インターフェース70と、媒体加熱部3と、記録部8と、定着部9と、搬送駆動部71と、操作表示部72と、画像読取部11と、を備えている。
【0058】
制御部60は、例えばCPU(Central Processing Unit)61と、CPU61の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)62と、CPU61が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)63と、を有する。さらに、制御部60は、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)等からなる記憶部64を有している。記憶部64には、画像読取部11が読み取った画像のデータ情報等が格納される。また、記憶部64には、後述する浮き検出動作やベルト検査動作に用いられる閾値が格納されている。
【0059】
制御部60のCPU61は、RAM62、ROM63、記憶部64、入出力インターフェース70、媒体加熱部3、記録部8、定着部9、搬送駆動部71、操作表示部72、画像読取部11、浮き検出部40にシステムバス73を介して接続されている。そして、CPU61は、装置全体を制御する。
【0060】
搬送駆動部71は、制御部60により制御されて、第1搬送部4、第2搬送部5及び第3搬送部6のそれぞれを駆動制御する。
【0061】
操作表示部72は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部72は、ユーザに対する指示メニュー、ノズルの吐出検出動作に関する情報や取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部72は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける入力部としての役割を持つ。
【0062】
入出力インターフェース70は、PC(パーソナルコンピュータ)や、ファクシミリ装置等の外部装置100に接続されている。そして、入出力インターフェース70は、外部装置100から画像データを受信する。入出力インターフェース70は、受信した画像データを制御部60に出力する。そして、制御部60は、入出力インターフェース70から受信した画像データを画像処理する。また、制御部60は、受信した画像データに対し、必要に応じて、シェーディング補正、画像濃度調整、画像圧縮等の画像処理を行う。
【0063】
また、記録部8は、制御部60によって画像処理された画像データを受け取り、画像データに基づいて記録媒体P上に所定の画像を形成する。具体的には、記録部8を構成する各キャリッジ8Y、8M、8C、8Bkのそれぞれのヘッド駆動部241を駆動することで、それぞれのインクジェットヘッド242からインクを記録媒体Pの所定の位置に吐出させる。
【0064】
記録部8により記録媒体Pに記録された画像は、画像読取部11によって読み取られ、その画像データが制御部60に送られる。また、画像読取部11は、制御部60によって制御されて、所定のタイミングで画像を読み取る。
【0065】
浮き検出部40は、移動量検出センサ43が検出した押圧バー42の移動量情報を制御部60に送信する。制御部60は、移動量検出センサ43から受信した移動量情報に基づいて、記録媒体Pの浮き上がりや、搬送ベルト22の状態を判断する。
【0066】
1-4.インクジェット記録装置の動作例
次に、上述した構成を有するインクジェット記録装置1の動作例について
図4~
図7を参照して説明する。
まず、記録媒体Pに画像を形成(印字)する際の浮き上がり検出動作例について
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、印字する際の浮き検出動作を示すフローチャート、
図5及び
図6は、浮き検出動作を示す説明図である。
【0067】
図4に示すように、まず制御部60は、搬送駆動部71を制御し、媒体供給部2から記録媒体Pの搬送を開始させる(ステップS1)。なお、記録媒体Pの搬送を開始する前の状態では、
図2及び
図6Aに示すように、可動部材41の接触子41aは、搬送ベルト22の搬送面22aに接触している。
【0068】
そして、記録媒体Pが第1搬送部4の搬送ベルト22によって浮き検出部40まで搬送されると、
図5Aに示すように、可動部材41の接触子41aが記録媒体Pに接触する。そのため、可動部材41における接触子41aは、記録媒体Pの厚さT1だけ、上下方向の上方に持ち上げられる。そして、可動部材41は、記録媒体Pに押圧されて、屈曲部41cを中心に揺動し、可動部材41における押圧部41bが上下方向の下方に長さS1だけ下がる。その結果、押圧バー42は、付勢部材45の付勢力に抗して上下方向に下方に移動する。そして、移動量検出センサ43は、検出部43aを介して押圧バー42の移動量を検出する(ステップS2)。
【0069】
また、上述したように接触子41aは、角を有さない略球状に形成されている。そのため、接触子41aが記録媒体Pに接触しても、接触子41aによって記録媒体Pに傷が付いたり、記録媒体Pに接触子41aの跡が付いたりすることを防ぐことができる。
【0070】
次に、移動量検出センサ43は、検出した移動量情報を制御部60に送信する。制御部60は、移動量検出センサ43から受信した移動量情報に基づいて、押圧バー42の移動量が予め設定された閾値を超えたか否かを判断する(ステップS3)。ステップS3の処理で用いられる閾値は、搬送される記録媒体Pの厚さに応じて設定される。
【0071】
ここで、
図5B及び
図6Bに示すように、記録媒体Pに浮き上がりP1が発生している場合、複数の可動部材41のうち記録媒体Pの浮き上がりP1に接触する可動部材41Aは、他の可動部材41Bよりも大きく揺動する。そのため、可動部材41Aの押圧部41bは、他の可動部材41Bの押圧部41bよりも上下方向の下方に下がる。
【0072】
押圧バー42は、可動部材41Aの押圧部41bにより
図5Aに示す状態よりもさらに上下方向の下方に押し下げられる。このとき、浮き上がりP1に接触していない他の可動部材41の押圧部41bは、押圧バー42から離反する。そして、可動部材41の押圧部41bにより下方に押し下げられた押圧バー42の位置と、他の可動部材41の押圧部41bの位置(すなわち
図5Aに示す押圧バー42の位置)の間隔S2が記録媒体Pの浮き上がりP1の浮き上がり量T2に対応する。
【0073】
このように、本例の浮き検出部40では、複数の可動部材41のうち最も揺動(移動)した可動部材41の移動量を移動量検出センサ43で検出している。これにより、一つの移動量検出センサ43で記録媒体Pの浮き上がりP1や、搬送ベルト22の状態を検出することができる。
【0074】
ここで、搬送ベルト22の幅方向の両端部は、記録媒体Pの厚さT1よりも大きく波打ち、上下方向に変位している。そのため、可動部材41の接触子41aを搬送ベルト22の幅方向の両端部に接触させた場合、搬送ベルト22の幅方向の両端部に生じた変位を、記録媒体Pの浮き上がりP1として誤検出するおそれがある。これに対して、本例の浮き検出部40では、複数の可動部材41の接触子41aを搬送ベルト22の搬送面22aにおける幅方向の両端部に接触させていない。これにより、搬送ベルト22の幅方向の両端部に生じた変位によって記録媒体Pの浮き上がりP1を誤検出することを防ぐことができる。
【0075】
ステップS3の処理において、制御部60が押圧バー42の移動量が閾値を超えたと判断した場合(ステップS3のYES判定)、制御部60は、搬送駆動部71を制御し、記録媒体Pの搬送を停止させる(ステップS4)。そして、制御部60は、操作表示部72や、入出力インターフェース70を介して外部装置100等を用いてユーザに異常を報知する(ステップS5)。
【0076】
また、ステップS3の処理において、制御部60が押圧バー42の移動量が閾値を超えていないと判断した場合(ステップS3のNO判定)、制御部60は、記録媒体Pを記録部8まで搬送し、記録媒体Pに対する印字動作を行う(ステップS6)。これにより、記録媒体Pを印字する際の浮き上がり検出動作が完了する。
【0077】
また、可動部材を搬送ベルト22と間隔を空けて設置する従来の構成では、印字する記録媒体Pの厚さが変化すると、記録媒体Pの厚さに応じて可動部材における搬送ベルト22に対する高さを調整する必要があった。これに対して、本例の浮き検出部40では、可動部材41の接触子41aを搬送ベルト22の搬送面22aに接触させている。そして、可動部材41によって押圧される押圧バー42の移動量を移動量検出センサ43で検出し、検出した移動量から浮き検出を行っている。これにより、印字する記録媒体Pの厚さT1が変化しても、記録媒体Pの厚さに応じて閾値を変化させることで、可動部材41の高さ調整を行う必要がなく、容易に浮き検出動作を行うことができる。
【0078】
さらに、記録媒体Pの浮き上がりP1の検出動作を、接触子41aを記録媒体Pに物理的に接触させる接触式で行うことで、記録媒体Pの色や材質に係わらず記録媒体Pの浮き上がりP1を検出することができる。
【0079】
次に、
図7を参照して搬送ベルト22の検査動作例を説明する。
図7に示すように、操作表示部72や外部装置100を介してベルト検査指令が入力されたり、所定時間が経過したりすると、制御部60は、記録媒体Pを搬送させずに、搬送駆動部71を制御し、搬送ベルト22を駆動させる(ステップS11)。
【0080】
図2に示すように、可動部材41の接触子41aが搬送ベルト22に接触しているため、搬送ベルト22に浮き上がりや撓み等の異常が発生すると、可動部材41が揺動軸44を中心に揺動し、可動部材41の押圧部41bが押圧バー42を押圧する。そのため、押圧バー42が付勢部材45の付勢力に抗して移動する。そして、浮き検出部40の移動量検出センサ43は、押圧バー42の移動量を検出する(ステップS12)。
【0081】
次に、移動量検出センサ43は、検出した移動量情報を制御部60に送信する。制御部60は、移動量検出センサ43から受信した移動量情報に基づいて、押圧バー42の移動量が予め設定された閾値を超えたか否かを判断する(ステップS13)。なお、ステップS13の処理で用いられる閾値は、記録媒体Pの浮き上がりを検出する際にステップS3の処理で用いられる閾値よりも小さい値に設定されている。
【0082】
ステップS13の処理において、制御部60が押圧バー42の移動量が閾値を超えたと判断した場合(ステップS13のYES判定)、制御部60は、搬送駆動部71を制御し、搬送ベルト22の駆動を停止させる(ステップS14)。次に、制御部60は、操作表示部72や、入出力インターフェース70を介して外部装置100等を用いてユーザに異常を報知する(ステップS5)。
【0083】
また、ステップS13の処理において、制御部60が押圧バー42の移動量が閾値を超えていないと判断した場合(ステップS13のNO判定)、制御部60は、搬送ベルト22の状態は正常であると判定する(ステップS16)。そして、所定時間、搬送ベルト22を駆動させ、ステップS12からステップS13の処理を繰り返すと、制御部60は、搬送駆動部71を制御し、搬送ベルト22の駆動を停止させる(ステップS17)。これにより、搬送ベルト22の検査動作が完了する。
【0084】
2.第2の実施の形態例
次に、
図8及び
図9を参照して第2の実施の形態例に係る画像形成装置について説明する。
図8及び
図9は、第2の実施の形態例に係る画像形成装置の浮き検出部を示す概略構成図である。
【0085】
この第2の実施の形態例に係る画像形成装置が第1の実施の形態例に係るインクジェット記録装置(画像形成装置)1と異なる点は、浮き検出部の構成である。そのため、ここでは浮き検出部について説明し、第1の実施の形態例に係るインクジェット記録装置(画像形成装置)1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0086】
図8及び
図9Aに示すように、浮き検出部80は、搬送ベルト22の搬送面22aと対向して配置されている。浮き検出部80は、複数の可動部材81と、押圧バー82と、移動量検出センサ83と、付勢部材85とを有している。押圧バー82は、搬送ベルト22における搬送面22aの上下方向の上方において、搬送ベルト22の幅方向と平行に配置されている。また、押圧バー82は、不図示の支持部材により上下方向に移動可能に支持されている。
【0087】
押圧バー82には、付勢部材85が設けられている。付勢部材85は、押圧バー82を搬送ベルト22の搬送面22aに向けて、上下方向の下方に付勢している。また、押圧バー82には、移動量検出センサ83が設けられている。
【0088】
移動量検出センサ83の検出部83aは、押圧バー82における上下方向の上面部に固定されている。そして、押圧バー82が上下方向に移動すると、検出部83aも押圧バー82と共に上下方向に移動する。移動量検出センサ83は、検出部83aを介して押圧バー82の移動量を検出する。
【0089】
複数の可動部材81は、押圧バー82と搬送ベルト22の搬送面22aとの間に配置されている。また、複数の可動部材81は、搬送ベルト22の幅方向に沿って互いに間隔を空けて配置されている。
【0090】
図9Aに示すように、可動部材81は、略棒状の部材により形成されている。可動部材81における軸方向の一端部には、接触子81aが設けられており、可動部材81における軸方向の他端部には、押圧凹部81bが形成されている。
【0091】
接触子81aは、略球状に形成されて、可動部材81の一端部に固定されている。押圧凹部81bは、可動部材81の他端部から軸方向に沿って一端部に向けて所定の深さで凹んだ凹部である。押圧凹部81bには、押圧バー82が挿入されている。そして、押圧凹部81bに押圧バー82を挿入させた際、接触子81aは、搬送ベルト22の搬送面22aに接触する。なお、押圧バー82が付勢部材85により上下方向の下方に付勢されているため、可動部材81の接触子81aは、搬送ベルト22の搬送面22aに所定の力で付勢される。
【0092】
図9Bに示すように、接触子81aが記録媒体Pや記録媒体Pの浮き上がりP1に接触すると、可動部材81は、記録媒体Pや浮き上がりP1により上下方向の上方に持ち上げられる。そのため、可動部材81が上下方向の上方に移動することで、押圧凹部81bが押圧バー82を付勢部材85の付勢力に抗して上下方向の上方に押圧する。その結果、押圧バー82は、付勢部材85の付勢力に抗して上下方向の上方に移動する。そして、移動量検出センサ83は、検出部83aを介して押圧バー82の移動量を検出する。
【0093】
その他の構成は、上述した第1の実施の形態例に係る浮き検出部40を有する画像形成装置と同様であるため、それらの説明は省略する。このような浮き検出部80を有する画像形成装置によっても、上述した第1の実施の形態例に係る画像形成装置及び浮き検出部40と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0094】
なお、第2の実施の形態例に係る浮き検出部80では、接触子81aの移動量と押圧バー82の移動量が一致する。そのため、第2の実施の形態例に係る浮き検出部80は、第1の実施の形態例に係る浮き検出部40よりも押圧バー82が大きく移動する。その結果、移動量検出センサ83で検出される値を大きくすることができ、浮き上がり検出判定や異常判定の閾値を容易に設定することができる。
【0095】
一方で、第1の実施の形態例に係る浮き検出部40は、可動部材41が揺動軸44に揺動可能に支持されている。そのため、第1の実施の形態例に係る浮き検出部40では、第2の実施の形態例に係る浮き検出部80よりも接触子41aから記録媒体Pに加わる荷重を小さくすることができる。
【0096】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0097】
また、上述した実施の形態例では、記録媒体として用紙を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、記録媒体としては、例えば、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等その他各種の記録媒体を適用できるものである。
【0098】
さらに、上述した実施の形態例では、押圧バーと移動量検出センサをそれぞれ一つずつ設けた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、搬送ベルトの幅方向に沿って押圧バーを複数に分割して配置し、複数の押圧バーにそれぞれその移動量を検出する移動量検出センサを配置してもよい。これにより、記録媒体における幅方向の端部や中央部等の複数箇所の浮き上がりを個別に検出することができる。
【0099】
また、上述した実施の形態例では、浮き上がり検出装置として浮き検出部を第1搬送部の搬送ベルトに設置した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第2搬送部や第3搬送部の搬送ベルトに浮き検出部を設置してもよい。これにより、第2搬送部や第3搬送部の搬送ベルトの状態や、第2搬送部や第3搬送部によって搬送される記録媒体の浮き上がりを検出することができる。
【0100】
また、画像形成装置としてインクを吐出するインクジェット記録装置を適用した例を説明したが、画像形成装置としてはこれに限定されるものではない。画像形成装置としては、像担持体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する電子写真方式の画像形成装置にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0101】
1…インクジェット記録装置(画像形成装置)、 2…媒体供給部、 3…媒体加熱部、 4…第1搬送部(搬送部) 8…記録部、 8Y、8M、8C、8Bk…キャリッジ、 9…定着部、 10…冷却部、 22…搬送ベルト、 40、80…浮き検出部(浮き上がり検出装置) 41、81…可動部材、 41a、81a…接触子、 41b…押圧部、 41c…屈曲部、 42、82…押圧バー、 43、83…移動量検出センサ、 43a、83a…検出部、 44…揺動軸、 45、85…付勢部材、 81b…押圧凹部(押圧部)、 60…制御部、 64…記憶部、 72…操作表示部