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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/355 20060101AFI20220705BHJP
   B65D 5/10 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B65D5/355
B65D5/10 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018178272
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020050355
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 佳孝
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-037916(JP,U)
【文献】実開昭55-173424(JP,U)
【文献】特開2013-103756(JP,A)
【文献】実開昭61-014627(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/355
B65D 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後一対の端壁および左右一対の側壁からなる胴部と、
前記胴部の下側開口部を閉塞している底板と、
前記胴部の上側開口部を閉塞している頂板と、
前後一対の前記端壁と左右一対の前記側壁とを接続する各稜線部に形成された切断可能線と、を備え、
前記頂板は、
前記両端壁の上縁部に連設された前後一対の内フラップと、
前記両側壁の上縁部に連設され、前記内フラップに重ねられた左右一対の外フラップと、を含み、
前記左右一対の外フラップ同士の突き合わせ部分には、前記突き合わせ部分に直交するようにスリットが形成されており、
前記内フラップは、前記内フラップから立ち上げられ、前記左右一対の外フラップの外側に折り重ねられて前記スリットに差し込まれる差込フラップを備えており、
前記差込フラップは、
前記内フラップおよび前記外フラップを前記各上縁部で折り曲げた場合に前記スリットに差し込まれる第1差込フラップと、
前記内フラップおよび前記外フラップを前記切断可能線の各端部を通る折曲誘導線で折り曲げた場合に前記スリットに差し込まれる第2差込フラップと、を備え
前記第2差込フラップは、前記第1差込フラップに少なくとも一部が一体に設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記スリットには、前記スリット内に突出する突出片が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第1差込フラップは、前記端壁の上縁部に立設可能であり、
前記第2差込フラップは、前記折曲誘導線に立設可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高さを変更して内容量を変化させることができる包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の包装箱として、特許文献1に記載されたものが知られている。
特許文献1の包装箱は、側面と天面との境界位置となる第1の折線から所定距離離れた側面上に第2の折線を備えているとともに、各側面板のそれぞれの境界線上に縦方向に延びる切断可能線を備えている。
【0003】
この包装箱では、側面と天面との境界位置を第1の折線または第2の折線に設定することで側面の高さを変更でき、その結果、箱の内容量を変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-125237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の包装箱において、例えば、箱の高さを小さく変更する場合には、横方向に延びる切断可能線に沿ってシートを破断させて一対の長天面板を切り離している。このため、包装箱の高さを小さく変更する際の操作が煩雑であった。また、包装箱を形成した後に天面板(頂板)が開くのを抑えたいという要望があった。
【0006】
本発明は、前記した課題を解決し、高さを変更する際の操作が容易であるとともに、頂板を閉じた状態に維持できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の包装箱は、前後一対の端壁および左右一対の側壁からなる胴部と、前記胴部の下側開口部を閉塞している底板と、前記胴部の上側開口部を閉塞している頂板と、を備えている。前後一対の前記端壁と左右一対の前記側壁とを接続する各稜線部には、切断可能線が形成されている。前記頂板は、前記両端壁の上縁部に連設された前後一対の内フラップと、前記両側壁の上縁部に連設され、前記内フラップに重ねられた左右一対の外フラップと、を含んでいる。前記左右一対の外フラップ同士の突き合わせ部分には、前記突き合わせ部分に直交するようにスリットが形成されている。前記内フラップは、前記内フラップから立ち上げられ、前記左右一対の外フラップの外側に折り重ねられて前記スリットに差し込まれる差込フラップを備えている。前記差込フラップは、前記内フラップおよび前記外フラップを前記各上縁部で折り曲げた場合に前記スリットに差し込まれる第1差込フラップを備えている。また、前記差込フラップは、前記内フラップおよび前記外フラップを前記切断可能線の各端部を通る折曲誘導線で折り曲げた場合に前記スリットに差し込まれる第2差込フラップを備えている。前記第2差込フラップは、前記第1差込フラップに少なくとも一部が一体に設けられている。
【0008】
本発明において、高さの大きい(内容量の大きい)包装箱を形成する場合には、内フラップおよび外フラップを各上縁部で折り曲げる。このとき、差込フラップのうち第1差込フラップを各内フラップから立ち上げ、これらを外フラップの外側に折り重ねてスリットに差し込む。これによって、高さの大きい包装箱が得られる。
また、高さの小さい(内容量の小さい)包装箱を形成する場合には、各稜線部の切断可能線を切り、内フラップおよび外フラップを切断可能線の各端部を通る折曲誘導線で折り曲げる。そして、差込フラップのうち第2差込フラップを各内フラップから立ち上げ、これらを外フラップの外側に折り重ねてスリットに差し込む。これによって、高さの小さい包装箱が得られる。
このように、本発明によれば、高さを変更する際の操作が容易である。
【0009】
また、高さの大きい包装箱を形成する場合および高さの小さい包装箱を形成する場合のいずれにおいても、第1差込フラップや第2差込フラップが外フラップの外側に折り重ねられてスリットに差し込まれる。したがって、包装箱を形成した後に、頂板を閉じた状態に好適に維持できる。
【0010】
また、前記第2差込フラップは、前記第1差込フラップに少なくとも一部が一体に設けられているので、内フラップに第2差込フラップをスペース効率よく設けることができる。
【0011】
また、前記スリットには、前記スリット内に突出する突出片が形成されていることが好ましい。この構成では、スリットに挿入した第1差込フラップまたは第2差込フラップに突出片が当接するので、第1差込フラップまたは第2差込フラップがスリットから抜けるのを好適に規制できる。したがって、頂板を閉じた状態に好適に維持できる。
【0012】
また、前記第1差込フラップは、前記端壁の上縁部に立設可能であり、前記第2差込フラップは、前記折曲誘導線に立設可能であることが好ましい。この構成では、外フラップに対する、第1差込フラップまたは第2差込フラップの重ね代を好適に確保することができる。したがって、頂板を閉じた状態により好適に維持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、高さを変更する際の操作、つまり内容量を変更する際の操作が容易であるとともに、頂板を閉じた状態に維持できる包装箱が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクシートを示す図であり、内面側が見えるように配置した平面図である。
図3】内フラップと外フラップの一部を示すブランクシートの拡大平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る包装箱を高さの大きい形態で形成する場合の説明図であり、底壁を閉塞した後、内フラップおよび外フラップを立ち上げた状態を示す斜視図である。
図5】内フラップを端壁の上縁部に沿って折り曲げるとともに、第1差込フラップを内フラップから立ち上げた状態を示す斜視図である。
図6】外フラップを側壁の上縁部に沿って折り曲げ、突き合わせ部に亘ってスリットを形成した状態を示す斜視図である。
図7】突き合わせ部に亘って形成されたスリットを説明するための斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る包装箱を高さの小さい形態で形成する場合の説明図であり、端壁を折曲誘導線に沿って折り曲げるとともに、第2差込フラップを立ち上げた状態を示す斜視図である。
図9】外フラップを罫線に沿って折り曲げ、両外フラップを貫通するスリットを形成した状態を示す斜視図である。
図10】両外フラップを貫通して形成されたスリットに第2差込フラップを差し込んで高さの小さい形態で形成した包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明において、前後左右上下の方向は、包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0016】
図1に示すように、包装箱1(以下、単に「箱1」ということがある)は、前後一対の端壁11,12および左右一対の側壁13,14からなる胴部10を備えている。また、箱1は、胴部10の下側開口部を閉塞している底板20と、胴部10の上側開口部を閉塞している頂板30と、を備えている。
【0017】
箱1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。箱1は、図1に示すように、箱1の高さを大きくして内容量を大きくした形態(大モード)、あるいは、図10に示すように、箱1の高さを小さくして内容量を小さくした形態(小モード)に形成することができる。箱1を形成する際の詳細については後記する。なお、図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
以下では、大モードの状態で箱1の形態を説明する。
【0018】
図2に示すように、ブランクシートSの端壁11,12、側壁13,14、底板20(図1参照)および頂板30(図1参照)を仕切る各罫線(折線)は、ブランクシートSの内面を押し込んで形成された線状の溝である。
なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
【0019】
前端壁11は、図1に示すように、四角形に形成されている(図2参照)。
前端壁11の左縁部には、罫線L1(図2参照)を介して左側壁13が連設されている。
左側壁13は、前端壁11の左縁部から後方に向けて延びている。左側壁13は、前端壁11に対して直角に形成されている。左側壁13は、四角形に形成されている。
【0020】
前端壁11と左側壁13との稜線部(角部)は、罫線L1と、罫線L1の上端(一端)に連続する切断可能線ST1とから構成されている。前端壁11と左側壁13とは、罫線L1および切断可能線ST1を介して連続している。
【0021】
左側壁13の後縁部には、罫線L2(図2参照)を介して、後端壁12が連設されている。
後端壁12は、左側壁13の後縁部から右方に向けて延びている。後端壁12は、左側壁13に対して直角に形成されている。後端壁12は、前端壁11と同じ形状である。
【0022】
左側壁13と後端壁12との稜線部(角部)は、罫線L2と、罫線L2の上端(一端)に連続する切断可能線ST2とから構成されている。左側壁13と後端壁12とは、罫線L2および切断可能線ST2を介して連続している。
【0023】
後端壁12の右縁部には、罫線L3(図2参照)を介して右側壁14が連設されている。
右側壁14は、後端壁12の右縁部から前方に向けて延びている。右側壁14は、後端壁12に対して直角に形成されている。右側壁14は、左側壁13と同じ形状である。
【0024】
後端壁12と右側壁14との稜線部(角部)は、罫線L3と、罫線L3の上端(一端)に連続する切断可能線ST3とから構成されている。後端壁12と右側壁14とは、罫線L3および切断可能線ST3を介して連続している。
【0025】
右側壁14の前縁部には、罫線L4(図2参照)を介して、接合片15が連設されている。接合片15は、右側壁14の前縁部に沿って帯状に形成されている。
接合片15は、前端壁11の内面の右端部に接着剤によって接合される部位である。
【0026】
右側壁14と前端壁11との稜線部(角部)は、罫線L4と、罫線L4の上端(一端)に連続する切断可能線ST4とから構成されている。右側壁14と前端壁11とは、接合片15を介して罫線L4および切断可能線ST4を介して連続している。
【0027】
切断可能線ST1~ST4は、後記するように、高さの小さい(内容量の小さい)箱1を形成する場合に切断される。これにより、箱1の前端壁11、後端壁12、左側壁13および右側壁14の各高さを小さく変更でき、その結果、箱1の高さが小さくなる。
【0028】
前端壁11、後端壁12、左側壁13、右側壁14および接合片15の内面には、図2に示すように、各壁の長手方向に延びる1本の折曲誘導線16が形成されている。折曲誘導線16は、各切断可能線ST1~ST4の下端部(罫線L1~L4の上端部)を通り各壁および接合片15に亘っている。
【0029】
以上のようなブランクシートS(図2参照)を罫線L1~L4で折り曲げつつ、接合片15を前端壁11の右内面に接合することで、前端壁11、左側壁13、後端壁12および右側壁14によって角筒状の胴部10が形成される(図1参照)。
【0030】
底板20は、図1に示すように、前後の底内フラップ21,21と、左右の底外フラップ22,22と、によって構成されている。前後の底内フラップ21,21は、図2に示すように、前後の端壁11,12の下縁部に罫線L5,L6を介して連設されている。左右の底外フラップ22,22は、左右の側壁13,14の下縁部に罫線L7,L8を介して連設されている。
図1に示すように、前後一対の底内フラップ21,21の下側に、左右一対の底外フラップ22,22を重ねて配置することで、底板20が形成されている。底内フラップ21,21と底外フラップ22,22とは、粘着テープ20aや接着剤によって接合される。
【0031】
胴部10の上側開口部は、頂板30で閉塞されている。頂板30は、前後一対の内フラップ31,31と、左右一対の外フラップ32,32とによって構成されている。
前側の内フラップ31は、図2に示すように、前端壁11の上縁部に罫線L9を介して連設されている。前側の内フラップ31は、図1に示すように、前端壁11の上縁部から後方に向けて延びている。前側の内フラップ31は、前端壁11に対して直角に形成されている。
【0032】
前側の内フラップ31の左右方向の中央部には、図3に示すように、第1差込フラップ33が形成されている。第1差込フラップ33は、切断誘導線L10によって前側の内フラップ31内に略四角形状に区画されてなる。切断誘導線L10は、前端壁11の上縁部(罫線L9)を起端として略門形状に延在している。切断誘導線L10は、切れ込みを断続的に形成してなるミシン目状の線からなる。切断誘導線L10の切れ込みの間隔は、任意に設定することができる。
【0033】
第1差込フラップ33は、切断誘導線L10を切り開くことで内フラップ31から引き起こされ、内フラップ31に対して直角(前端壁11と面一)に前端壁11の上縁部に立設可能である(図5参照)。そして、第1差込フラップ33は、図1に示すように、左右一対の外フラップ32,32の外面の前端中央部の突き合わせ部分に対して折り重ねられる。
第1差込フラップ33は、図3に示すように、内フラップ31の幅よりも小さい幅W1を備えている。
【0034】
第1差込フラップ33は、罫線L9と平行な折曲誘導線L11によって2つの領域に分けられている。第1差込フラップ33は、折曲誘導線L11において折り曲げ可能である。第1差込フラップ33の2つの領域の一方である挿入片34は、折曲誘導線L11を介して外フラップ32の下方へ向けて折り返され、外フラップ32,32の後記するスリット36,36に挿入されている(図1参照)。
【0035】
前端壁11の上部における左右方向の中央部から、これに連続する第1差込フラップ33の左右方向の中央部に亘る部分には、第2差込フラップ35が形成されている。第2差込フラップ35は、切断誘導線L12によって、略舌片状に区画されてなる。切断誘導線L12は、前端壁11の折曲誘導線16を起端として略U字形状に延在しており、直線状および屈曲線状の切れ目線からなる。第2差込フラップ35の先端部35aは、計3個のつなぎ部35bを介して第1差込フラップ33に保持されており、第1差込フラップ33に一体に設けられている。
第2差込フラップ35は、第1差込フラップ33の幅W1よりも小さい幅W2を備えている。
このような第2差込フラップ35は、後記するように、高さの小さい箱1を形成する場合に、折曲誘導線16に立設可能である。
【0036】
図2図3に示すように、ブランクシートSの状態では、第1差込フラップ33および第2差込フラップ35が内フラップ31と一枚の板状に形成されている。
【0037】
後側の内フラップ31は、図2に示すように、後端壁12の上縁部に罫線L13を介して連設されている。後側の内フラップ31は、前側の内フラップ31に対して前後対称な形状であり、図1に示すように、後端壁12の上縁部(罫線L13)から前方に向けて延びている。後側の内フラップ31は、後端壁12に対して直角に形成されている。
【0038】
後側の内フラップ31にも、図2に示すように、前側の内フラップ31と同様に、第1差込フラップ33が形成されている。後側の第1差込フラップ33にも同様に、挿入片34が備わる。また、後側の内フラップ31には、前側と同様に、後端壁12の上部から形成される第2差込フラップ35が形成されている。
【0039】
左側の外フラップ32は、図1に示すように、左側壁13の上縁部に罫線L14を介して連設されている。左側の外フラップ32は、左側壁13の上縁部から右方に向けて延びている。左側の外フラップ32は、左側壁13に対して直角に形成されている。
左側の外フラップ32の前後の端部は、前後の内フラップ31,31の左側上面に重ねられている。
【0040】
左側の外フラップ32の先端縁部(右縁部)には、スリット36が形成されている。スリット36は、図5に示すように、前後方向に間隔を空けて一対形成されている。両スリット36,36は、後記するように、外フラップ32の外面に重ねられる両差込フラップ33,33の挿入片34,34が挿入可能となる位置に形成されている。スリット36は、外フラップ32の先端縁部から左方に延在している(図2図6図7参照)。両スリット36,36には、挿入片34,34が挿通されている(図1参照)。
【0041】
スリット36の前後幅は、ブランクシートSの厚みに対応している。また、スリット36の左右幅は、図3に示すように、第1差込フラップ33の幅W1の2分の1の大きさであるW1/2の幅に設定されている。
【0042】
スリット36内には、折曲誘導線L37を介して四角い突出片37が配置されている。折曲誘導線L37は、ミシン目状の切込線で形成されている。スリット36に対して差込フラップ33の挿入片34が挿入されると、突出片37は、挿入片34に押されて外フラップ32の下方に向けて折り曲げられつつ、挿入片34の対向面を押圧する。
なお、突出片37は、四角い形状のものに限られることはなく、種々の形状のものを採用することができる。
【0043】
左側の外フラップ32の前後の端部には、図1に示すように、第1差込フラップ33が重ねられている。すなわち、内フラップ31と第1差込フラップ33とによって、外フラップ32の突き合わせ部および前後の端部を上下から挟み込んでいる。
【0044】
外フラップ32の前後の端縁部には、図2に示すように、切欠部38,38が形成されている。切欠部38,38は、スリット36,36に連続して形成されている。
【0045】
右側の外フラップ32は、図1に示すように、右側壁14の上縁部に罫線L15を介して連設されている。右側の外フラップ32は、左側の外フラップ32に対して左右対称な形状であり、右側壁14の上縁部から左方に向けて延びている。右側の外フラップ32は、右側壁14に対して直角に形成されている。
【0046】
右側の外フラップ32にも、左側の外フラップ32と同様に、前後方向に一対のスリット36,36が形成されている。右側の外フラップ32において両スリット36,36は、左側の外フラップ32の両スリット36,36に対応している。また、右側の外フラップ32にも切欠部38,38が形成されている。
【0047】
このような左右の外フラップ32,32は、高さの大きい箱1を形成する場合に、図6図7に示すように、左右方向の中央部で端部同士が突き合わされる。
これにより、高さの大きい箱1では、図6図7に示すように、左右方向に連続する1つの長いスリット36Aが形成される。スリット36単体の左右幅は、前記したようにW1/2(図3参照)であるので、2つ分の長さとなるスリット36Aの幅は、第1差込フラップ33の幅と同じ幅W1となる。したがって、スリット36Aに対して第1差込フラップ33の挿入片34が挿入可能である(図1参照)。
【0048】
一方、左右の外フラップ32,32は、高さの小さい箱1を形成する場合に、図9に示すように、左右方向の中央部で端部同士が相互に重なり合うように構成されている。
これにより、高さの小さい箱1では、図9に示すように、左右方向に連続する1つの短いスリット36Bが形成される。スリット36Bは、重なり合う部分で上下方向に連通している。スリット36Bの幅は、第2差込フラップ35の幅と同じ幅W2に形成される。したがって、スリット36Bに対して第2差込フラップ35の先端部35aが挿入可能である(図10参照)。
【0049】
次に、箱1を形成する際の手順について説明する。以下の手順において、前後の内フラップ31,31の折り曲げ順、および左右の外フラップ32,32の折り曲げ順は、特に限定されない。
初めに、高さの小さい(内容量の大きい)箱1を形成する際の手順について説明する。
まず、ブランクシートS(図2参照)の状態から胴部10を形成する。
続いて、図4に示すように、底内フラップ21,21および底外フラップ22,22を閉じて、胴部10の下側開口部を底板20で閉塞する。なお、底板20は、粘着テープ20aや接着剤等を用いて閉じる。箱1に収容物を収容する場合には、開いている胴部10の上側開口部を通じて行う。
【0050】
続いて、図5に示すように、前後の端壁11,12の上縁部に沿って両内フラップ31,31を折り曲げる。そして、両内フラップ31,31の罫線L9,L13および切断誘導線L10,L10を介して、両内フラップ31,31から第1差込フラップ33,33を切り離して起こす。
【0051】
その後、図6に示すように、左右の側壁13,14の上縁部に沿って両外フラップ32,32を折り曲げ、これらを両内フラップ31,31に重ねる。これによって、両外フラップ32,32の先端縁部同士が突き合わされる。
【0052】
その後、図7に示すように、起こした状態の後側の第1差込フラップ33を外フラップ32,32の切欠部38,38に向けて折り曲げるとともに、挿入片34を折り曲げて、これをスリット36Aに挿入する。そうすると、挿入片34がスリット36Aの突出片37,37を下方に押すようにしてスリット36A内に挿入される。これにより、挿入片34がスリット36Aに保持される。同様の操作を前側の第1差込フラップ33についても行う。
このようにして、胴部10の上側開口部が頂板30により閉塞され、高さの大きい箱1が形成される。
【0053】
次に、高さの小さい(内容量の小さい)箱1を形成する際の手順について説明する。この場合にも、前記と同様にして、ブランクシートS(図2参照)の状態から胴部10を形成し、底板20を閉塞する。
続いて、図8に示すように、各角部の切断可能線ST1~ST4を切断し、折曲誘導線16に沿って端壁11,12の上部およびこれらに連続する両内フラップ31,31を一体に折り曲げる。そして、折曲誘導線16,16および切断誘導線L12,L12を介して、両第2差込フラップ35,35を切り離し、これらを両内フラップ31,31から直角に起こす。
【0054】
その後、図9に示すように、折曲誘導線16に沿って左右の端壁13,14の上部およびこれらに連続する両外フラップ32,32を一体に折り曲げ、両外フラップ32,32同士を左右方向の中央部で重ねる。そうすると、両外フラップ32,32のスリット36,36同士が上下方向に重なり合い、外フラップ32の上面に第2差込フラップ35の幅W2と同じ幅W2を有するスリット36Bが開口する。
【0055】
続いて、起こした状態の第2差込フラップ35,35の各先端部35a,35aを折り曲げ、図10に示すように、これらを形成されたスリット36B,36Bに挿入する。そうすると、先端部35a,35aがスリット36Bの各突出片37を下方に押すようにしてスリット36B内に挿入される。これにより、各先端部35aがスリット36Bに保持される。
このようにして、胴部10の上側開口部が頂板30により閉塞され、高さの小さい箱1が形成される。
【0056】
以上説明した本実施形態では、高さの大きい(内容量の大きい)箱1を形成する際の操作、および高さの小さい(内容量の小さい)箱1を形成する際の操作が容易である。
したがって、刃物青果物、花卉等の、生育により高さが変化する収容物を収容するのに好適である。
【0057】
また、高さの大きい箱1を形成する場合には、第1差込フラップ33が外フラップ32の外側に折り重ねられてスリット36Aに差し込まれる。さらに、高さの小さい箱1を形成する場合には、第2差込フラップ35が外フラップ32の外側に折り重ねられてスリット36Bに差し込まれる。したがって、箱1を形成した後に、頂板30を閉じた状態に好適に維持できる。
【0058】
また、第2差込フラップは、第1差込フラップ33に一部が一体に設けられているので、内フラップ31に第2差込フラップ35をスペース効率よく設けることができる。
【0059】
また、スリット36には、突出片37が形成されているので、第1差込フラップ33または第2差込フラップ35がスリット36から抜けるのを好適に規制できる。したがって、頂板30を閉じた状態に好適に維持できる。
【0060】
また、第1差込フラップ33は、内フラップ31の上縁部から立ち上げられ、第2差込フラップ35は、折曲誘導線16から立ち上げられている。したがって、外フラップ32に対する、第1差込フラップ33または第2差込フラップ35の重ね代を好適に確保することができる。したがって、頂板30を閉じた状態により好適に維持できる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第1差込フラップ33の幅W1や第2差込フラップ35の幅W2は、適宜の大記載に形成することができる。この場合、第1差込フラップ33や第2差込フラップ35を、起端側よりも先端側が幅広となる形状に形成してもよい。このように形成することによって、スリット36から第1差込フラップ33または第2差込フラップ35が抜けるのをより好適に規制できる。
【0062】
また、第1差込フラップ33や第2差込フラップ35に対してスリット36に係止される係止フック等を設けてもよい。
【0063】
本実施形態の箱1は段ボール製であるが、各種公知の板紙によって箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 包装箱(箱)
10 胴部
11 端壁(前端壁)
12 端壁(後端壁)
13 側壁(左側壁)
14 側壁(右側壁)
16 折曲誘導線
20 底板
30 頂板
31 内フラップ
32 外フラップ
33 第1差込フラップ
35 第2差込フラップ
36 スリット
36A スリット
36B スリット
37 突出片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10