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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/22 20060101AFI20220705BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B66F9/22 X
B66F9/24 W
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018234766
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2020093920
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 学
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-088390(JP,A)
【文献】特開平11-107311(JP,A)
【文献】特開2015-055143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
B65G 1/00- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、前記車両本体に連結された荷役装置とを備えた荷役車両において、
前記荷役装置は、荷役を行うための複数の荷役用油圧シリンダを有し、
前記車両本体は、
作動油を貯留するタンクと、
前記タンク内に貯留された作動油を前記複数の荷役用油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプと前記複数の荷役用油圧シリンダとの間に配置された制御弁ユニットと、
前記複数の荷役用油圧シリンダから前記タンクに戻る作動油の油流を利用して電力を発生させる油流式発電ユニットと、
を有し、
前記油流式発電ユニットは、前記制御弁ユニットと前記タンクとの間の油路に配置され、前記複数の荷役用油圧シリンダから前記タンクに戻る作動油の油流を受ける油流受け部と、前記油流受け部と接続され、前記作動油の油流に応じた電力を発生させる発電部とを有し、
前記油流受け部は、前記タンク内に配置されている荷役車両。
【請求項2】
前記油流受け部は、前記タンクに戻る作動油が流れる配管の開口に面して配置されている請求項記載の荷役車両。
【請求項3】
前記車両本体は、前記タンク内に貯留された作動油の波動を利用して電力を発生させる波動式発電ユニットを更に有し、
前記波動式発電ユニットは、前記タンク内に配置され、前記タンク内に貯留された作動油の波動を受ける波動受け部と、前記波動受け部と接続され、前記作動油の波動に応じた電力を発生させる発電部とを有する請求項1または2記載の荷役車両。
【請求項4】
車両本体と、前記車両本体に連結された荷役装置とを備えた荷役車両において、
前記荷役装置は、荷役を行うための複数の荷役用油圧シリンダを有し、
前記車両本体は、
作動油を貯留するタンクと、
前記タンク内に貯留された作動油を前記複数の荷役用油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプと前記複数の荷役用油圧シリンダとの間に配置された制御弁ユニットと、
前記タンク内に貯留された作動油の波動を利用して電力を発生させる波動式発電ユニットと、
を有し、
前記波動式発電ユニットは、前記タンク内に配置され、前記タンク内に貯留された作動油の波動を受ける波動受け部と、前記波動受け部と接続され、前記作動油の波動に応じた電力を発生させる発電部とを有する荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の荷役車両としては、例えば特許文献1に記載されているフォークリフトが知られている。特許文献1に記載のフォークリフトは、走行用車輪及び運転席を有する車両本体と、この車両本体の前部に設けられた荷役装置とを備えている。車両本体は、荷役装置に設けられたリフトシリンダ、ティルトシリンダ及びサイドシフトシリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、この油圧ポンプとリフトシリンダ、ティルトシリンダ及びサイドシフトシリンダとの間に配置されたコントロールバルブとを有している。荷役装置におけるコントロールバルブとサイドシフトシリンダとの間には、油流ロータ及び発電機を有する発電ユニットが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-88390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、コントロールバルブとサイドシフトシリンダとの間に発電ユニットが配置されているため、コントロールバルブとサイドシフトシリンダとの間の油路を流れる作動油の油流を利用して発電を行うことができるが、コントロールバルブとリフトシリンダ及びティルトシリンダとの間の油路を流れる作動油の油流を利用して発電を行うことができない。つまり、サイドシフトシリンダの動作時には発電を行うことができるが、リフトシリンダ及びティルトシリンダの動作時には発電を行うことができず、発電効率が悪い。
【0005】
本発明の目的は、発電効率を向上させることができる荷役車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両本体と、車両本体に連結された荷役装置とを備えた荷役車両において、荷役装置は、荷役を行うための複数の荷役用油圧シリンダを有し、車両本体は、作動油を貯留するタンクと、タンク内に貯留された作動油を複数の荷役用油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、油圧ポンプと複数の荷役用油圧シリンダとの間に配置された制御弁ユニットと、複数の荷役用油圧シリンダからタンクに戻る作動油の油流を利用して電力を発生させる油流式発電ユニットと、を有し、油流式発電ユニットは、制御弁ユニットとタンクとの間の油路に配置され、複数の荷役用油圧シリンダからタンクに戻る作動油の油流を受ける油流受け部と、油流受け部と接続され、作動油の油流に応じた電力を発生させる発電部とを有する。
【0007】
このような荷役車両においては、複数の荷役用油圧シリンダの何れかが動作すると、動作した荷役用油圧シリンダからタンクに作動油が戻る。このとき、油流式発電ユニットによって、作動油の油流を利用して電力が発生する。具体的には、車両本体における制御弁ユニットとタンクとの間の油路に配置された油流受け部がタンクに戻る作動油の油流を受けることで、発電部において作動油の油流に応じた電力が発生する。このように複数の荷役用油圧シリンダからタンクに戻る作動油の油流を利用して発電が行われる。これにより、発電効率が向上する。
【0008】
油流受け部は、タンク内に配置されていてもよい。このような構成では、油流式発電ユニットを車両本体にスペース効率良く搭載することができる。
【0009】
油流受け部は、タンクに戻る作動油が流れる配管の開口に面して配置されていてもよい。このような構成では、配管内を流れてタンクに戻る作動油の油流を最大限に活用して発電を行うことができる。
【0010】
車両本体は、タンク内に貯留された作動油の波動を利用して電力を発生させる波動式発電ユニットを更に有し、波動式発電ユニットは、タンク内に配置され、タンク内に貯留された作動油の波動を受ける波動受け部と、波動受け部と接続され、作動油の波動に応じた電力を発生させる発電部とを有してもよい。このような構成では、荷役車両が走行すると、車両本体に配置されたタンク内に貯留された作動油が揺れることで、作動油の波動が発生する。このとき、波動式発電ユニットによって、作動油の波動を利用して電力が発生する。具体的には、タンク内に配置された波動受け部を有する波動受け部がタンク内に貯留された作動油の波動を受けることで、発電部において作動油の波動に応じた電力が発生する。このように荷役車両の走行時に発生する作動油の波動を利用して発電が行われる。従って、荷役装置による荷役作業が行われていない場合でも、発電を行うことができる。これにより、発電効率が一層向上する。
【0011】
本発明の他の態様は、車両本体と、車両本体に連結された荷役装置とを備えた荷役車両において、荷役装置は、荷役を行うための複数の荷役用油圧シリンダを有し、車両本体は、作動油を貯留するタンクと、タンク内に貯留された作動油を複数の荷役用油圧シリンダに供給する油圧ポンプと、油圧ポンプと複数の荷役用油圧シリンダとの間に配置された制御弁ユニットと、タンク内に貯留された作動油の波動を利用して電力を発生させる波動式発電ユニットと、を有し、波動式発電ユニットは、タンク内に配置され、タンク内に貯留された作動油の波動を受ける波動受け部と、波動受け部と接続され、作動油の波動に応じた電力を発生させる発電部とを有する。
【0012】
このような荷役車両が走行すると、車両本体に配置されたタンク内に貯留された作動油が揺れることで、作動油の波動が発生する。このとき、波動式発電ユニットによって、作動油の波動を利用して電力が発生する。具体的には、タンク内に配置された波動受け部がタンク内に貯留された作動油の波動を受けることで、発電部において作動油の波動に応じた電力が発生する。このように荷役車両の走行時に発生する作動油の波動を利用して発電が行われる。従って、荷役装置による荷役作業が行われていない場合でも、発電を行うことができる。これにより、発電効率が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る荷役車両としてフォークリフトを示す側面図である。
図2図1に示されたフォークリフトの油圧回路図である。
図3図1及び図2に示されたタンクの内部構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る荷役車両としてフォークリフトを示す側面図である。図1において、本実施形態の荷役車両であるフォークリフト1は、車両本体2と、この車両本体2の前側に配置され、荷役(荷物Wの揚げ降ろし)を行う荷役装置3とを具備している。
【0017】
車両本体2は、車体4と、この車体4の前部に配置された左右2つの駆動輪である前輪5と、車体4の後部に配置された左右2つの操舵輪である後輪6と、前輪5を回転させる走行モータ7と、後述する油圧ポンプ18を回転駆動させる荷役モータ8と、走行モータ7及び荷役モータ8に電力を供給するバッテリ9とを有している。車体4の上部には、運転席10が設けられている。
【0018】
荷役装置3は、車体4の前端部に回動可能に連結されている。荷役装置3は、車体4の前端部に立設されたマスト11と、このマスト11にリフトブラケット12を介して取り付けられ、荷物Wが積載される1対のフォーク13と、フォーク13を昇降させる2本のリフトシリンダ14と、マスト11を傾動させる2本のティルトシリンダ15と、フォーク13を左右方向にシフトさせるサイドシフトシリンダ16(図2参照)とを有している。リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16は、荷役を行うための複数の荷役用油圧シリンダを構成している。
【0019】
図2は、フォークリフト1の油圧回路図である。図2において、車両本体2は、作動油を貯留するタンク17と、このタンク17内に貯留された作動油を各リフトシリンダ14、各ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16に供給する油圧ポンプ18と、この油圧ポンプ18と各リフトシリンダ14、各ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16との間に配置されたコントロールバルブユニット19(制御弁ユニット)と、油流式発電ユニット20と、波動式発電ユニット21とを有している。
【0020】
油圧ポンプ18とタンク17とは、タンク17内の作動油を吸い上げるための吸い上げ流路22を介して接続されている。吸い上げ流路22のタンク17側の端部には、タンク17から油圧ポンプ18に吸い上げられる作動油のゴミ等を取り除く油圧フィルタ23が設けられている。
【0021】
油圧ポンプ18は、タンク17から吸い上げた作動油を吐出する吐出口18aを有している。油圧ポンプ18の吐出口18aとコントロールバルブユニット19とは、吐出流路24を介して接続されている。吐出流路24は、吐出口18aから吐出された作動油が流れる流路である。
【0022】
コントロールバルブユニット19は、油圧ポンプ18と各リフトシリンダ14との間に配置されたリフトバルブ25と、油圧ポンプ18と各ティルトシリンダ15との間に配置されたティルトバルブ26と、油圧ポンプ18とサイドシフトシリンダ16との間に配置されたサイドシフトバルブ27とを有している。
【0023】
リフトバルブ25は、油圧ポンプ18と各リフトシリンダ14との間における作動油の流れを制御する。ティルトバルブ26は、油圧ポンプ18と各ティルトシリンダ15との間における作動油の流れを制御する。サイドシフトバルブ27は、油圧ポンプ18とサイドシフトシリンダ16との間における作動油の流れを制御する。リフトバルブ25、ティルトバルブ26及びサイドシフトバルブ27は、吐出流路24と接続されている。
【0024】
リフトバルブ25と各リフトシリンダ14のボトム室14aとは、作動油が流れる供給流路28を介して接続されている。ティルトバルブ26と各ティルトシリンダ15のボトム室15a及びロッド室15bとは、作動油が流れる供給流路29,30を介してそれぞれ接続されている。サイドシフトバルブ27とサイドシフトシリンダ16のボトム室16a及びロッド室16bとは、作動油が流れる供給流路31,32を介してそれぞれ接続されている。
【0025】
コントロールバルブユニット19とタンク17とは、戻り流路33を介して接続されている。戻り流路33は、リフトバルブ25、ティルトバルブ26及びサイドシフトバルブ27と接続されている。各リフトシリンダ14のロッド室14bとタンク17とは、戻り流路34を介して接続されている。戻り流路34の一端は、戻り流路33に接続されている。戻り流路33,34は、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16からタンク17に戻る作動油が流れる流路である。
【0026】
油流式発電ユニット20は、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16からタンク17に戻る作動油の油流を利用して電力を発生させる。油流式発電ユニット20で発生した電力は、バッテリ9に充電される。
【0027】
油流式発電ユニット20は、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16からタンク17に戻る作動油の油流を受ける油流受け部35と、この油流受け部35と接続され、作動油の油流に応じた電力を発生させる発電部36とを有している。油流受け部35は、コントロールバルブユニット19とタンク17との間の油路に配置されている。コントロールバルブユニット19とタンク17との間の油路は、戻り流路33及びタンク17内である。ここでは、油流受け部35は、タンク17内に配置されている。発電部36は、タンク17内に配置されていてもよいし、タンク17の外に配置されていてもよい。
【0028】
油流受け部35は、例えばプロペラ付きの回転体である。発電部36は、例えば回転体と同軸に連結された発電機である。ここでは、戻り流路33を流れてタンク17に戻る作動油がプロペラに当たることで回転体が回転し、発電機から電力が発生する。なお、油流式発電ユニット20の構成としては、特にそれには限られない。
【0029】
波動式発電ユニット21は、タンク17内に貯留された作動油の波動を利用して電力を発生させる。波動式発電ユニット21で発生した電力は、バッテリ9に充電される。
【0030】
フォークリフト1が走行するときは、タンク17内の作動油が波を打って揺れることで、作動油の波動が生じる。具体的には、フォークリフト1の加速時及び減速時には、タンク17内の作動油がフォークリフト1の前後方向に揺れる。フォークリフト1の旋回時には、タンク17内の作動油がフォークリフト1の左右方向に揺れる。また、荷役装置3による荷役作業を行うときにも、タンク17内の作動油が揺れることで、作動油の波動が生じる。具体的には、フォーク13の昇降時には、タンク17内の作動油がフォークリフト1の上下方向に揺れる。
【0031】
波動式発電ユニット21は、そのような作動油の波動を利用して電力を発生させる。波動式発電ユニット21は、タンク17内に貯留された作動油の波動を受ける波動受け部37と、この波動受け部37と接続され、作動油の波動に応じた電力を発生させる発電部38とを有している。波動受け部37は、タンク17内に配置されている。発電部38は、タンク17内に配置されていてもよいし、タンク17の外に配置されていてもよい。
【0032】
波動受け部37は、例えば作動油に触れるように回動可能に配置された振り子式受圧板である。発電部38は、例えば振り子式受圧板の揺れ具合に応じた油圧を発生させる油圧発生器と、この油圧発生器で発生した油圧により回転して電力を発生させる油圧モータとを有している。なお、波動式発電ユニット21の構成としては、特にそれには限られない。
【0033】
図3は、タンク17の内部構造を示す斜視図である。図3において、タンク17は、車体4のサイドフレーム39と、断面U字状のタンク壁40と、運転席10に乗り降りするための乗降ステップを構成するカバー部材(図示せず)とから構成されている。タンク壁40は、底壁部40aと、この底壁部40aの前端部から立設された前壁部40bと、底壁部40aの後端部から立設された後壁部40cとを有している。
【0034】
タンク17内には、車体4の前後方向に延びる仕切板41が配置されている。仕切板41は、タンク17の内部をサイドフレーム39側の内側領域17aとサイドフレーム39の反対側の外側領域17bとに区画する部材である。仕切板41は、底壁部40a及び後壁部40cに固定されている。また、仕切板41は、内側領域17aに配置されたL字型の支持部42を介してサイドフレーム39に支持されている。タンク17内の前壁部40b側には、内側領域17aと外側領域17bとを連通させる連通部17cが設けられている。
【0035】
サイドフレーム39には、上記の油圧フィルタ23が取り付けられている。油圧フィルタ23は、例えば支持部42よりも後壁部40c側における支持部42の近傍に配置されている。
【0036】
また、サイドフレーム39には、上記の戻り流路33を構成する配管43が連結されている。配管43は、タンク17の内側領域17aを通り抜けて仕切板41まで延びている。配管43の先端部は、仕切板41よりも外側領域17b側に突き出ている。配管43は、油圧フィルタ23よりも後壁部40c側に配置されている。
【0037】
戻り流路33を流れてきた作動油は、配管43の先端の開口43aから排出されてタンク17の外側領域17bに溜まる。そして、配管43から排出された作動油は、タンク壁40の前壁部40bに向けて流れ、連通部17cを通って内側領域17aに溜まる。
【0038】
油流式発電ユニット20の油流受け部35は、タンク17内の外側領域17bにおいて配管43の先端の開口43aに面して配置されている。なお、油流受け部35は、タンク17内における作動油の油流を受けることが可能な箇所に配置されていればよい。
【0039】
波動式発電ユニット21の波動受け部37は、タンク17内の外側領域17bにおける油流受け部35よりも前壁部40b側に配置されている。なお、波動受け部37は、タンク17内の外側領域17bにおける油流受け部35よりも後壁部40c側に配置されていてもよいし、タンク17内の内側領域17aに配置されていてもよい。
【0040】
以上のようなフォークリフト1において、フォーク13の上昇時には、油圧ポンプ18からリフトシリンダ14のボトム室14aに作動油が供給されることで、リフトシリンダ14が伸長動作し、リフトシリンダ14のロッド室14bからの作動油が戻り流路34,33を流れてタンク17に戻る。このとき、油流式発電ユニット20によって作動油の油流を利用して電力が発生する。具体的には、油流受け部35が配管43から排出された作動油の油流を受けることで、発電部36から電力が発生する。
【0041】
フォーク13の下降時には、フォーク13及び荷物Wの自重によりリフトシリンダ14が収縮動作し、リフトシリンダ14のボトム室14aからの作動油が供給流路28及び戻り流路33を流れてタンク17に戻る。このとき、上記と同様に、油流式発電ユニット20によって作動油の油流を利用して電力が発生する。
【0042】
マスト11の傾動時には、油圧ポンプ18からティルトシリンダ15に作動油が供給されることで、ティルトシリンダ15が動作し、ティルトシリンダ15からの作動油が供給流路29または供給流路30及び戻り流路33を流れてタンク17に戻るため、油流式発電ユニット20により電力が発生する。フォーク13のシフト時には、油圧ポンプ18からサイドシフトシリンダ16に作動油が供給されることで、サイドシフトシリンダ16が動作し、サイドシフトシリンダ16からの作動油が供給流路31または供給流路32及び戻り流路33を流れてタンク17に戻るため、油流式発電ユニット20により電力が発生する。
【0043】
また、フォークリフト1の走行時には、上述したようにタンク17内に貯留された作動油が波を打って揺れるため、波動式発電ユニット21によって作動油の波動を利用して電力が発生する。具体的には、波動受け部37がタンク17内に生じた作動油の波動を受けることで、発電部38から電力が発生する。
【0044】
フォーク13の昇降時、マスト11の傾動時及びフォーク13のシフト時にも、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16が動作することで、タンク17内の作動油が多少は揺れるため、波動式発電ユニット21により電力が発生する。
【0045】
以上のように本実施形態にあっては、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16の何れかが動作すると、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16の何れかからタンク17に作動油が戻る。このとき、油流式発電ユニット20によって、作動油の油流を利用して電力が発生する。具体的には、車両本体2におけるコントロールバルブユニット19とタンク17との間の油路に配置された油流受け部35がタンク17に戻る作動油の油流を受けることで、発電部36において作動油の油流に応じた電力が発生する。このようにリフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16からタンク17に戻る作動油の油流を利用して発電が行われる。これにより、発電効率が向上する。
【0046】
また、本実施形態では、フォークリフト1が走行すると、車両本体2に配置されたタンク17内に貯留された作動油が揺れることで、作動油の波動が発生する。このとき、波動式発電ユニット21によって、作動油の波動を利用して電力が発生する。具体的には、タンク17内に配置された波動受け部37がタンク17内に貯留された作動油の波動を受けることで、発電部38において作動油の波動に応じた電力が発生する。このようにフォークリフト1の走行時に発生する作動油の波動を利用して発電が行われる。従って、荷役装置3による荷役作業が行われていない場合でも、発電を行うことができる。これにより、発電効率が一層向上する。
【0047】
また、本実施形態では、油流受け部35はタンク17内に配置されているので、油流式発電ユニット20を車両本体2にスペース効率良く搭載することができる。
【0048】
また、本実施形態では、油流受け部35は、タンク17に戻る配管43の開口43aに面して配置されている。従って、配管43内を流れてタンク17に戻る作動油の油流を最大限に活用して発電を行うことができる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、タンク17内には、内側領域17aと外側領域17bとを分ける仕切板41が配置されているが、特にその形態には限られず、タンク17内に仕切板41が無くてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、油流式発電ユニット20の油流受け部35がタンク17内に配置されているが、特にその形態には限られず、戻り流路33における戻り流路34との接続点よりも下流側(タンク17側)の途中に油流受け部35が配置されていてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、リフトシリンダ14、ティルトシリンダ15及びサイドシフトシリンダ16からタンク17に戻る作動油の油流を利用して電力を発生させる油流式発電ユニット20と、タンク17内に貯留された作動油の波動を利用して電力を発生させる波動式発電ユニット21とが備えられているが、特にその形態には限られず、油流式発電ユニット20のみが備えられていてもよいし、波動式発電ユニット21のみが備えられていてもよい。
【0052】
また、上記実施形態は、1対のフォーク13を左右にシフトさせるサイドシフトシリンダ16を備えたフォークリフト1であるが、本発明は、そのような左右にシフト可能なフォーク以外のアタッチメントを具備したフォークリフト等の荷役車両にも適用可能である。また、本発明は、荷役を行うための複数の荷役用油圧シリンダを備えていれば、アタッチメントが無いフォークリフト等の荷役車両にも適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…フォークリフト(荷役車両)、2…車両本体、3…荷役装置、14…リフトシリンダ(荷役用油圧シリンダ)、15…ティルトシリンダ(荷役用油圧シリンダ)、16…サイドシフトシリンダ(荷役用油圧シリンダ)、17…タンク、18…油圧ポンプ、19…コントロールバルブユニット(制御弁ユニット)、20…油流式発電ユニット、21…波動式発電ユニット、35…油流受け部、36…発電部、37…波動受け部、38…発電部、43…配管、43a…開口。
図1
図2
図3