(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】電子天びん
(51)【国際特許分類】
G01G 23/00 20060101AFI20220705BHJP
G01G 21/30 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
G01G23/00 F
G01G21/30
(21)【出願番号】P 2019031878
(22)【出願日】2019-02-25
【審査請求日】2021-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 淳史
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170176(JP,A)
【文献】国際公開第2006/082915(WO,A1)
【文献】特開2010-190600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 23/00
G01G 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重計量機構部を内蔵した天びん本体と、
前記天びん本体の上部に配設され、ひょう量室を囲み、駆動部により扉を開閉する扉機構と、該ひょう量室に静電気を除去する除電器を有する風防と、
設定した時刻または一定のタイミングの到来の検知を行う計時部と、
前記検知に基づいて、前記扉の開閉及び、前記除電器の動作を制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、前記検知に基づいて前記扉を開け、所定時間経過後、該扉を閉じ、前記除電部を駆動させる
ことを特徴とする電子天びん。
【請求項2】
前記電子天びんは、さらに、
湿度を計測する湿度検知部を備え、
前記制御部は、前記扉が閉まっている場合、前記湿度検知部による計測結果と使用者の設定に応じて、前記除電部を駆動させる
ことを特徴とする請求項
1に記載の電子天びん。
【請求項3】
前記天びんは、さらに、
温度を計測する温度検知部と、
時刻、温度変化、及び湿度変化を設定する設定部を備え、
前記制御部は、設定された前記時刻、前記温度変化または前記湿度変化と、前記計時部、前記湿度検知部または前記温度検知部による検知結果とに基づいて、前記扉の開閉及び、前記除電器の動作を制御する
ことを特徴とする請求項
2に記載の電子天びん。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子天びんに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体その他種々の試料の質量を精密に測定する天秤としては風防内に試料ひょう量部を設置して測定する風防付き電磁平衡式天秤(以下、電磁平衡式天秤を「電子天秤」と称する。)が使用されることが多い。
【0003】
作業性向上のために、扉の開閉が手動開閉でも自動開閉でも簡単に切り換えることが可能で且つ扉の開閉の動きも極めてスムーズで安価に製作することのできる風防付き天秤が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、所定時間ごと、又は所定の温度変化若しくは所定の湿度変化が起こったときにトリガ信号を発生する制御手段と、該トリガ信号により前記扉を自動で開き閉じる扉開閉機構とを備え、トリガ信号が発生したとき扉の開閉を行って対流時間測定モードを実行する電子天びんが開示されている(例えば、特許文献2)。当該電子天びんは、そのトリガ信号を受けて、自動で風防の扉を開き、所定時間経過した後、自動で扉を閉じることで風防内に、手動で行う場合と同様の対流を発生させる。やがて対流による荷重変化を所定範囲に収まったことを検出し、扉を閉じてから対流が収まるまでに経過した時間を対流時間Tcoとして更新する。このように対流時間測定モードの処理を自動化することで、対流時間の更新を忘れたり、対流を起こすための扉の開閉動作が統一化されバラツキが無くなり、測定精度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平09-015031号公報
【文献】国際公開番号WO2006/082915
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
計量の感度が0.1mg以下の電子天秤において、例えば周囲の温度変化が2℃/時を超えると、ひょう量室で対流が大きくなり、計量皿に影響する。
【0007】
また、ひょう量室と筐体内部の温度差が大きくなると、内蔵分銅の周辺とひょう量室との温度差が大きくなる。このように、ひょう量室と天びん本体内の温度が異なると、ひょう量室と天びん本体内の空気密度が異なり、ひょう量皿に載置する被計量物と校正用分銅が受ける浮力に差が発生し、計量値に誤差を生じる。
【0008】
さらに、風防の扉の開閉や上記温度差等による生じるひょう量室内の空気の流れがひょう量室を形成するガラス壁面に接触すると、ガラス表面に静電気が発生し、感度の校正(調整)や、測定時の誤差が生じる。
【0009】
この課題に対して、特許文献2では、所定時間ごと、又は所定の温度変化若しくは所定の湿度変化が起こったときに発生させたトリガ信号により、扉を自動で開き閉じさせて、対流の影響を抑制しているが、静電気に関して何ら開示しておらず、風防内に発生した静電気に起因する測定時の誤差に対して対応することができない。
【0010】
本発明は、一側面として、0.1mg以下の計量における誤差要因を、使用者が使用する前に低減させる電子天びんを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面にかかる電子天びんは、荷重計量機構部を内蔵した天びん本体と、前記天びん本体の上部に配設され、ひょう量室を囲み、駆動部により扉を開閉する扉機構と、該ひょう量室の後方に静電気を除去する除電器を有する風防と、設定した時刻または一定のタイミングの到来の検知を行う計時部と、前記検知に基づいて、前記扉の開閉及び、前記除電器の動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
前記制御部は、前記検知に基づいて前記扉を開け、所定時間経過後、該扉を閉じ、前記除電部を駆動させることを特徴とする。
【0013】
前記電子天びんは、さらに、湿度を計測する湿度検知部を備え、前記制御部は、前記扉が閉まっている場合、前記湿度検知部による計測結果と使用者の設定に応じて、前記除電部を駆動させることを特徴とする。
【0014】
前記天びんは、さらに、温度を計測する温度検知部と、時刻、温度変化、及び湿度変化を設定する設定部を備え、前記制御部は、設定された前記時刻、前記温度変化または前記湿度変化と、前記計時部、前記湿度検知部または前記温度検知部による検知結果とに基づいて、前記扉の開閉及び、前記除電器の動作を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一側面によれば、0.1mg以下の計量における誤差要因を、使用者が使用する前に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態における電子天びんの一例を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態の実施例1における電子天びん本体の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の実施例1における制御部の扉開閉及び除電処理を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態の実施例2における電子天びん本体の構成例を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態の実施例2における制御部の除電処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施形態における電子天びんの一例を示す斜視図である。電子天びん1は、風防2と、電子天びん本体4とを備える。風防2は、例えば、天板2a、左側壁2b、右側壁2c、前側壁2d、及び後側壁2eより形成される。天板2a、左側壁2b、右側壁2c、及び前側壁2dは、例えば、透明なガラス製やプラスチック製である。後側壁2eは、例えば、ガラス、金属又はプラスチック製である。
【0018】
天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cはそれぞれ、スライド可能なように風防を構成する枠体に設けたレール上に取り付けてあり、それぞれ手掛け3a,3b,3cが設けられている。手掛け3a,3b,3cを後側壁2e側へスライドさせると、それに伴い天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cも扉としてスライドして、電子天びん本体4の計量皿5へ試料を載置することができる。
【0019】
また、天板2a、左側壁2b、右側壁2cは、後述するように、動力によりスライドして自動で開閉することができる。
【0020】
電子天びん本体4の上部中央には計量皿5が設置されており、計量対象の試料を載置することができる。また、電子天びん本体4の前面には、入力部6と表示部7が設けられている。入力部6は、計量を開始させる指示を行ったり、校正処理を開始されたり等、電子天びん1を動作させる場合に指示を入力する際に用いられる。表示部7には、計量結果や入力部6による入力に応じたメニュー等が表示される。
【0021】
また、後側壁2eには、風防2内に生じた静電気を除去するために、除電器(イオナイザ)が取り付けられている。
【0022】
図2は、本実施形態の実施例1における電子天びん本体の構成例を示すブロック図である。電子天びん本体4は、金属筐体に仕切られた内部空間に、ひょう量機構11、扉開閉機構12、除電部14、制御部15、タイマ19、メモリ20を含む。
【0023】
ひゅう量機構10は、レバー、支点、電磁コイル(フォースコイル)、永久磁石を含む電磁力平衡部である。電磁コイルは、レバーの他端部に固着された電磁力発生装置の可動電磁コイルである。永久磁石は、電子天びん本体4の金属筐体に固定されている。電磁コイルに電流が流れると、磁界が発生して電磁石となり、永久磁石との間で反発力/吸引力が働く。電磁力の大きさは、電磁コイルに流す電流の強さに応じて変動する。
【0024】
測定対象物の質量を測定する際には、変位検出器によりレバーの変位を検出し、レバーが変位しないように電磁コイルに流す電流がフィードバック制御される。この場合、測定対象物の質量が大きいほど電磁コイルに流す電流値が大きくなるため、電磁コイルに流す電流値に基づいて測定対象物の質量を測定することができる。
【0025】
扉開閉機構12は、モータ13を含み、風防2の天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cを開閉する機構である。扉開閉機構12は、天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cのスライド方向に水平な辺(縁)に例えば、ラックが設けてあり、モータ13に設けられたピニオンでそのラックをスライド方向に移動させる機構でもよい。また、扉開閉機構12は、モータ13から必要なトルクや回転数を得るために減速機を含んでもよい。
【0026】
また、モータ13が駆動していない場合には、手動で天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cを開閉可能にするように、扉開閉機構12はクラッチ機構を含んでいてもよい。クラッチ機構により、モータ13からラックを駆動させるピニオンまでの動力伝達系内にて相互にかみ合っているギアの1つを取り外すようにしてもよい。これにより、クラッチ機構によりギアが外れている間は、動力伝達系内に負荷がかかっていないので、手動で天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cを開閉することができる。
【0027】
また、扉開閉機構12は、天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cのスライド方向に水平な辺(縁)に例えば、ワイヤが固定されており、そのワイヤをモータで巻き取ることで、天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cを扉としてレールに沿ってスライド方向に移動させる機構でもよい。この構成を採用する場合、例えば、2本ワイヤが辺(縁)の両端にそれぞれ固定されており、扉を開く場合、その辺(縁)の一端に固定されたワイヤを第1モータで巻き取り、扉を閉める場合、その辺(縁)他端に固定されたワイヤを第2モータで巻き取るようにしてもよい。このとき、巻き取らない他方のモータは、巻き取り時に使用しているモータに負荷を与えないように、動力伝達系から外れる構成にしてもよいし、駆動していない場合はモータの軸が回動自在になっているものでもよい。
【0028】
なお、扉開閉機構12には、ポテンショメータや位置検出センサ等を含んでもよく、これにより天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cのスライド方向への移動量を調整するようにしてもよい。また、天板2a、左側壁2b、及び右側壁2cが閉じた状態であるかを検知する扉開閉検知センサが電子天びん本体4に設けられていてもよい。なお、上述した扉開閉機構12は、一例であって、これらに限定されない。
【0029】
制御部15は、電子天びん1の全体の動作を制御するプロセッサであって、例えば、中央演算装置(CPU)である。制御部15は、計量部16、扉開閉機構制御部17、除電制御部18として機能する。
【0030】
計量部18は、ひょう量機構11において光学的位置センサで検出された検出信号に基づいて、レバーの他端部の変位を算出して、レバーの他端部の変位が0になるように、電磁コイルに供給する電流の大きさを決定する制御を行う。それと共に、計量部は、レバーの他端部の変位が0となる平衡状態において、電磁コイルに流れる電流の大きさから計量皿に載置された被測定物または校正用分銅受け皿に載置された校正用分銅の荷重を求める制御を行う。
【0031】
扉開閉機構制御部17は、所定のプログラムによる命令やタイマ(不図示)による所定のタイミングの到来、または入力部6からの命令等に基づいて、モータ13を駆動させ、扉開閉機構12を動作させ、扉(天板2a、左側壁2b、及び右側壁2c)を開閉させる。
【0032】
メモリ20は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置であって、計測値や校正内容等の情報が格納される。タイマ19は、日時や時刻を計測したり、一定時間を計測したりする。
【0033】
図3は、本実施形態の実施例1における制御部の扉開閉及び除電処理を示すフローチャートである。使用者は、入力部により、本実施形態にかかる処理を実行させる時刻を予め設定する。設定された時刻情報は、メモリ20に格納される。
【0034】
扉開閉機構制御部17は、タイマ19により計測された時刻情報を取得する(S1)。扉開閉機構制御部17は、メモリ20から時刻情報を読み出し、タイマ19からの時刻情報と比較し、設定した時刻が到来したかを判定する(S2)。設定した時刻が到来していない場合(S2でNO)、S1の処理へ戻る。
【0035】
定した時刻が到来したと判定した場合(S2でYES)、扉開閉機構制御部17は、扉が開く方向にモータ13を駆動させ、所定の幅扉が開くようにスライドさせる(S3)。所定の幅扉が開いた場合、扉開閉機構制御部17は、モータ13の駆動を停止させる(S4)。
【0036】
扉開閉機構制御部17は、S4の状態で、所定時間T1経過するまで待つ(S5でNO)。所定時間T1経過した場合(S5でYES)、扉開閉機構制御部17は、扉が閉じる方向にモータ13を駆動させる(S6)。扉が閉じた場合、扉開閉機構制御部17は、モータ13の駆動を停止させる(S7)。
【0037】
除電制御部18は、本フローにおいて未だ除電器14を動作させていない場合(S8でNO)、除電器14を動作させる(S9)。除電制御部18は、除電器14を動作させた状態で、所定時間T2経過するまで待つ(S10でNO)。所定時間T2経過した場合(S10でYES)、除電制御部18は、除電器14の動作を停止させる(S11)。
【0038】
除電制御部18は、S7でモータ13の駆動を停止してから、所定時間T3経過するまで待つ(S12でNO、S8でYES)。
【0039】
所定時間T3経過後、本処理は終了する(S12でYES)。
【0040】
なお、
図3で示したフローチャートは、本実施形態にかかる処理の一例であって、これに限定されない。例えば、S1~S2において、一定時間経過毎に、S3以上の処理を行ってもよい。
【0041】
実施例1により、例えば30分扉を開状態にしておき、その後5分間閉状態にし、そのうち1分間除電器24を動作させて、対流など空気の流れとガラスとの摩擦で生じた静電気を除去することができる。これにより、0.1mg以下の計量で問題となる誤差要因のうち、感度調整誤差や、対流誤差、静電気による誤差をユーザが使用する前に軽減することができる。特に風防2内の対流にて発生した静電気を除去することができるので、静電気による誤差を軽減することができる。
【0042】
また、扉が閉まった状態で、電子天びん周辺の湿度や温度に変化があった場合、除電器を動作させてもよい。以下の実施例2では、このケースについて説明する。
【0043】
図4は、本実施形態の実施例2における電子天びん本体の構成例を示すブロック図である。
図4の電子天びん1aは、
図2の電子天びん1に、扉開閉検知センサ31、湿度センサ32、温度センサ33を追加したものである。扉開閉検知センサ31は、扉(天板2a、左側壁2b、及び右側壁2c)の開閉状態を検知するためのセンサである。湿度センサ32は湿度を計測するセンサである。温度センサ33は、温度を計測するセンサである。
【0044】
図5は、本実施形態の実施例2における制御部の除電処理を示すフローチャートである。使用者は、入力部6により、湿度に関する閾値と温度に関する閾値とを条件情報として予め設定する。設定された条件情報は、メモリ20に格納される。なお、閾値は、例えば工場出荷時に予め設定されていてもよい。
【0045】
除電制御部18は、扉開閉検知センサ31により扉(天板2a、左側壁2b、及び右側壁2c)が閉じていることを検知した場合(S21でYES)、除電制御部18は、湿度センサ32及び/または温度センサ33からの計測結果を取得する(S22)。
【0046】
除電制御部18は、メモリ20から条件情報を読み出し、湿度センサ32及び/または温度センサ33からの計測結果と比較し、計測結果が条件情報に含まれる条件を満たすかを判定する(S23)。計測結果が条件を満たさない場合(S23でNO)、S22の処理へ戻る。
【0047】
計測結果が条件を満たした場合(S23でYES)、除電制御部18は、除電器14を動作させる(S24)。例えば、現時点での湿度が条件で設定された閾値を下回った場合や現時点での温度が条件で設定された閾値を下回った場合に、除電制御部18は、除電器14を動作させる。
【0048】
除電制御部18は、所定時間、除電器14を動作させ(S25でNO,S24)、所定時間経過後、除電器14を停止させる(S26)。
【0049】
実施例2により、0.1mg以下の計量で問題となる誤差要因のうち、感度調整誤差や、対流誤差、静電気による誤差をユーザが使用する前に軽減することができる。特に、湿度や温度に着目することにより、扉が閉じた後に、静電気が発生しても、除電器14を動作させて静電気を除去することができるので、静電気による誤差を軽減することができる。
【0050】
上記したように、本実施形態にかかる電子天びん(例えば、電子天びん1,1a)は、
荷重計量機構部を内蔵した天びん本体(例えば、電子天びん本体4)と、
前記天びん本体の上部に配設され、ひょう量室を囲み、駆動部(例えば、モータ13)により扉(雇えば、天板2a、左側壁2b、及び右側壁2c)を開閉する扉機構(例えば、扉開閉機構12)と、該ひょう量室の後方に静電気を除去する除電器(例えば、除電器14)を有する風防(例えば、風防2)と、
設定した時刻または一定のタイミングの到来の検知を行う計時部(例えば、タイマ19)と、
前記検知に基づいて、前記扉の開閉及び、前記除電器の動作を制御する制御部(例えば、制御部15)と、
を備える。
【0051】
このように構成することにより、0.1mg以下の計量における誤差要因を、使用者が使用する前に低減させることができる。特に、特に風防2内の対流にて発生した静電気を除去することができるので、静電気による誤差を軽減することができる。また、使用者が使用する前に、誤差要因を取り除くことができるため、使用者は電子天びんを使用したいときにすぐに使用することができ、誤差要因を取り除くための時間を待つ必要がなくなる。
【0052】
前記制御部は、前記検知に基づいて前記扉を開け、所定時間経過後、該扉を閉じ、前記除電部を駆動させる。
【0053】
このように構成することにより、0.1mg以下の計量で問題となる誤差要因のうち、感度調整誤差や、対流誤差、静電気による誤差をユーザが使用する前に確実に軽減することができる。
【0054】
前記電子天びんは、さらに、
湿度を計測する湿度検知部(例えば、湿度センサ32)を備え、
前記制御部は、前記扉が閉まっている場合、前記湿度検知部による計測結果と使用者の設定に応じて、前記除電部(例えば、除電器14)を駆動させる。
【0055】
このように構成することにより、扉を閉じた後、静電気の発生しやすい湿度になった場合でも、除電器を駆動させて、静電気を除去することができるので、静電気による誤差をユーザが使用する前に軽減することができる。
【0056】
前記天びんは、さらに、
温度を計測する温度検知部(例えば、温度センサ33)と、
時刻、温度変化、及び湿度変化を設定する設定部(例えば、入力部6)を備え、
前記制御部(例えば、制御部15)は、設定された前記時刻、前記温度変化または前記湿度変化と、前記計時部、前記湿度検知部または前記温度検知部による検知結果とに基づいて、前記扉の開閉及び、前記除電器の動作を制御する。
【0057】
このように構成することにより、時刻、温度変化、湿度変化等を予め設定しておくことで、その条件に満たす状況になった場合、自動で扉を開閉し、除電器を動作させることができるので、0.1mg以下の計量で問題となる誤差要因のうち、感度調整誤差や、対流誤差、静電気による誤差をユーザが使用する前に軽減することができる。したがって、ユーザが電子天びんを使用する際に、ユーザ自身で事前に誤差要因を取り除く作業を行う必要がないので、効率よく計測作業を行うことができる。
【0058】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 電子天びん
2 風防
4 電子天びん本体
5 計量皿
6 入力部
7 表示部
11 ひょう量機構
12 扉開閉機構
13 モータ
14 除電器
15 制御部
16 計量部
17 扉開閉機構制御部
18 除電制御部
19 タイマ
20 メモリ
31 扉開閉検知センサ
32 湿度センサ
33 温度センサ