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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/10 20060101AFI20220705BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20220705BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220705BHJP
   G01J 1/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
G01V8/10 T
G01M11/00 T
G01B11/00 H
G01J1/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019040290
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020143983
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小川 大介
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 翼
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-269829(JP,A)
【文献】特開2005-106672(JP,A)
【文献】特開2017-120510(JP,A)
【文献】特開平10-325866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0118980(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 8/00、8/10
G01M 11/00-11/08
G01B 11/00
G01J 1/00-1/60、11/00
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器を検査対象とする検査システムであって、
前記搬送経路上に設定された検査場所に前記搬送車が在る状態で前記検知器の検知範囲内となる位置に配置され、前記検知器が投光する検知光が投影される投影面と、
前記投影面を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記投影面に投影された前記検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態を判定する判定部と、を備えた、検査システム。
【請求項2】
前記搬送経路は、直線状に形成された直線区間と、湾曲状に形成されたカーブ区間とを含んで構成され、
前記直線区間と前記投影面と前記撮影装置とが、前記直線区間の延在方向に沿って並んで配置されている、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記投影面が、光の一部を透過させるように構成され、
前記撮影装置が、前記投影面を挟んで前記検査場所とは反対側に配置されている、請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記搬送車は、前記検知器である第1検知器に加えて、前記第1検知器とは異なる領域の検知を行う第2検知器を備え、
前記投影面は、前記検知光である第1検知光が投影される第1投影領域と、前記第2検知器が投光する第2検知光が投影される第2投影領域と、を有し、
前記判定部は、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記第1投影領域に投影された前記第1検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態と、前記第2投影領域に投影された前記第2検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態と、を判定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査システム。
【請求項5】
前記投影面は、前記搬送車の走行軌跡と重ならない位置に配置されている、請求項1からのいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車が備える検知器を検査対象とする検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献1(特開平10-325866号公報)には、無人の搬送車(1)に備えられた検知器としての障害物センサ(6)を検査するための技術が開示されている。特許文献1の技術では、三次元方向に移動する模擬障害物(110)を障害物センサ(6)に検出させることで、障害物センサ(6)の検出範囲を検査するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-325866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、検査対象となる障害物センサ(6)を備えた搬送車(1)を、搬送車(1)が物品を搬送するために走行する搬送経路とは別の場所(120)まで作業者によって移動させた上で、当該障害物センサ(6)の検査が行われる。そのため、障害物センサ(6)の検査を行うに際して、作業者による搬送車(1)の移動の手間が生じており、検査の手間の簡略化に向けて改善の余地があった。
【0005】
そこで、予め設定された搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器の検査の手間を簡略化することが可能な検査システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る検査システムは、
予め設定された搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器を検査対象とする検査システムであって、前記搬送経路上に設定された検査場所に前記搬送車が在る状態で前記検知器の検知範囲内となる位置に配置され、前記検知器が投光する検知光が投影される投影面と、前記投影面を撮影する撮影装置と、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記投影面に投影された前記検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態を判定する判定部と、を備えている。
【0007】
本構成によれば、搬送車が備える検知器が投光する検知光が投影される投影面が、搬送経路上に設定された検査場所に搬送車が在る状態で当該検知器の検知範囲内となる位置に配置されると共に投影面を撮影する撮影装置を備えているため、搬送車が搬送経路上に在る状態で検知器の検査を行うことができる。このため、搬送車が搬送経路上にある状態において検知器の検査を行うことができる。従って、搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器の検査の手間を簡略化することができる。また本構成によれば、例えば、投影面に投影された検知光の位置や形状に基づいて、検知器が正しい向きに設置されているか否かを判定でき、光の強さに基づいて、検知器が正常に投光しているか否かを判定できる等、検知器の検査を適切に行うことができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】検査システムを備えた物品搬送設備のレイアウトの一例を示す平面図
図2】搬送車の側面図
図3】搬送車の正面図
図4】検査システムによって検知器を検査している状態を示す説明図
図5】投影部における投影面側を示す説明図
図6】検知光が投影された状態における、投影部の撮影面側を示す図
図7】検査システムの制御構成を示すブロック図
図8】その他の実施形態に係る検査システムの配置構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
検査システムは、予め設定された搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器を検査対象としている。このような検知器は、例えば、搬送車が搬送経路上を安全に走行するために用いられる。検査システムは、搬送車によって物品を搬送する物品搬送設備に利用することができる。以下、検査システムが物品搬送設備に適用される場合を例に、当該検査システムの実施形態について説明する。
【0011】
1.第一実施形態
1-1.物品搬送設備の構成
図1に示すように、物品搬送設備100は、搬送経路Rに沿って走行する複数の搬送車2を備えている。本実施形態では、搬送経路Rは、天井に支持された走行レール98(図2等参照)に沿って設定されている。そして、搬送車2は、このような走行レール98を走行する天井搬送車として構成されており、物品搬送設備100において工程間で材料や中間品等を搬送する。
【0012】
なお、以下の説明において、搬送経路Rに沿って走行する搬送車2に関して、その進行方向に沿う方向を「前後方向X」と定義すると共に、搬送車2が進行する向きを基準として「前」及び「後」を定義するものとする。すなわち、進行方向に沿って進む先が「前」であり、その逆が「後」である。また、水平面内において搬送車2の進行方向に直交する方向を「幅方向Y」と定義し、進行方向及び幅方向Yの双方に直交する方向を「上下方向Z」と定義するものとする。なお、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念として用いるものとする。
【0013】
図1図3に示すように、物品搬送設備100は、搬送経路Rに沿って配設された走行レール98と、走行レール98(搬送経路R)に沿って走行して物品Wを搬送する搬送車2と、を備えている。走行レール98は、左右一対設けられて天井から吊り下げ支持されている。
【0014】
図1に示すように、搬送経路Rは、直線状に形成された直線区間RSと、湾曲状に形成されたカーブ区間RCとを含んで構成されている。例えば、物品搬送設備100は複数のベイ(工程)を有しており、搬送経路Rは、ベイ毎に設けられたベイ内経路と、複数のベイ内経路同士を接続するベイ間経路と、を含んで構成されている。そして、ベイ間経路及びベイ内経路のそれぞれは、複数の直線区間RSと複数のカーブ区間RCとが組み合わされて構成されている。
【0015】
物品搬送設備100は、処理装置96と、載置台95と、を備えている。処理装置96は、例えば半導体基板の加工等を行う半導体処理装置等であって良い。載置台95は、複数の処理装置96のそれぞれに隣接し、かつ、走行レール98と平面視で重複する位置に設けられている。なお、搬送車2の構成によっては、載置台95が、平面視で走行レール98と重ならない位置に設けられていても良い。
【0016】
物品搬送設備100は、建屋内に設置されている。建屋は、四方を区画壁93で囲まれている(図1には、一部の区画壁93のみを表示)。なお、物品搬送設備100には、設備内を複数の領域に区画するためのパーティションや、工程間における仕掛品を一時保管するための自動倉庫などが設けられていても良い。
【0017】
搬送車2は、異なる載置台95同士の間、又は、自動倉庫が設けられている場合には当該自動倉庫と載置台95との間で、物品Wを搬送する。前述したように物品搬送設備100が半導体製造設備である場合(処理装置96が半導体処理装置である場合)には、物品Wは、例えば半導体基板を収容する容器(Front Opening Unified Pod;FOUP)等であると良い。
【0018】
図2及び図3に示すように、搬送車2は、走行部21と搬送本体部22とを備えている。走行部21は、車体本体21Aと、この車体本体21Aに回転自在に支持された複数の車輪21Bとを有している。車体本体21Aは、前後一対設けられている。車輪21Bは、前後一対の車体本体21Aのそれぞれにおいて左右一対設けられており、走行レール98の上面を転動する。複数の車輪21B(本例では4つ)のうちの少なくとも1つは、駆動モータ21Cによって回転駆動される駆動輪であり、搬送車2に推進力を付与する。
【0019】
走行部21は、下部ガイドローラ21Dと上部ガイドローラ21Eとを有している。下部ガイドローラ21Dは、車体本体21Aよりも下方において、当該車体本体21Aに対して上下軸周りに回転自在に支持されている。下部ガイドローラ21Dは、走行レール98の側面に接して転動する。上部ガイドローラ21Eは、車体本体21Aよりも上方において、当該車体本体21Aに設けられた切替機構に対して上下軸周りに回転自在に支持されている。切替機構は、上部ガイドローラ21Eの位置を左右(幅方向Y)に切替自在に構成されている。上部ガイドローラ21Eは、搬送経路Rの分岐点において、切替機構の状態に応じて、案内レール97における左右いずれかの側面に接して転動する。
【0020】
前後一対の車体本体21Aのそれぞれには連結軸21Fが連結されており、これらの連結軸21Fを介して、走行部21に搬送本体部22が吊り下げ支持されている。搬送本体部22は、ケース23と保持部24とを備えている。図2に示す例では、ケース23の内側に、保持部24が収容されている。
【0021】
ケース23は、保持部24に対して進行方向の前方側を覆う前方ケース部23Aと、保持部24に対して進行方向の後方側を覆う後方ケース部23Bと、保持部24の上方を覆うと共に前方ケース部23A及び後方ケース部23Bを連結する上方ケース部23Cと、を有する。前方ケース部23Aは、上方ケース部23Cの前方側の端部から下方に向かって延びており、後方ケース部23Bは、上方ケース部23Cの後方側の端部から下方に向かって延びている。ケース23は、下方及び左右両側方に開口しており、幅方向Y視で角張ったU字状に形成されている。
【0022】
保持部24は、物品Wを把持することにより当該物品Wを保持する。保持部24は、物品Wを保持した状態で、当該物品Wを昇降自在に構成されている。保持部24は、上昇位置でケース23の内側に収容され、その状態で搬送車2が搬送経路Rに沿って走行する。搬送車2が移載箇所(例えば載置台95の上方位置や自動倉庫の受け渡し部の上方位置)にある状態で、保持部24は、降下位置まで降下し、物品Wの積み降ろしを行う。
【0023】
前述のように、搬送車2は、検知器3を備えている。検知器3には、検知範囲IEが設定されている。検知器3は、検知範囲IE内における物体を検知可能に構成されている。本実施形態では、検知器3は、搬送車2の前方部分に設けられている。図示の例では、検知器3は、ケース23の前方ケース部23Aに設けられている。前述の検知範囲IEは、搬送車2の前方に向かって予め定められた距離(例えば、数メートル~数十メートル)の範囲に設定されている。
【0024】
検知器3は、光学式のセンサとして構成されている。本実施形態では、検知器3は、検知光ILを投光する投光部3Aと、光を受光する受光部3Bと、を有している。
【0025】
本実施形態では、搬送車2は、検知器3として、第1検知器31と、第1検知器31とは異なる検知対象を検知する第2検知器32とを備えている。第1検知器31は、検知光ILとして第1検知光IL1を投光し、第2検知器32は、第2検知光IL2を投光する(図4参照)。図示の例では、第1検知器31及び第2検知器32の双方が、ケース23の前方ケース部23Aに設けられている。
【0026】
本例では、第1検知器31は、当該第1検知器31を備える搬送車2の前方の他の搬送車2を検知するための前方車センサである。そして、第1検知器31は、第1検知光IL1を投光する第1投光部31Aと、第1検知光IL1の反射光を受光する第1受光部31Bと、を有している。図示の例では、第1検知器31は、前方ケース部23Aの上部に1つ設けられている。また、図3に示すように、第1検知器31は、搬送車2の幅方向Yにおける中央部分の1箇所に設けられている。そして、第1検知器31は、第1投光部31Aによって第1検知光IL1を前方に投光するように構成されている。本実施形態では、第1検知器31の照射範囲Eである第1照射範囲31E(図6参照)は、幅方向Yに沿う線状或いは帯状の範囲となっている。第1検知器31は、第1投光部31Aによって、前方の搬送車2における後方ケース部23Bに設けられた反射板4に向けて第1検知光IL1を投光し、第1受光部31Bによって、反射板4からの反射光を受光する。これにより、第1検知器31は、前方の搬送車2を検知する。
【0027】
また、本例では、第2検知器32は、搬送車2の走行軌跡上の障害物を検知するための障害物センサである。そして、第2検知器32は、第2検知光IL2を投光する第2投光部32Aと、第2検知光IL2の反射光を受光する第2受光部32Bと、を有している。第2検知器32は、第2投光部32Aによって第2検知光IL2を前方に投光するように構成されている。図示の例では、第2検知器32は、前方ケース部23Aにおける第1検知器31が設けられている位置よりも下方に設けられている。また、図3に示すように、第2検知器32は、搬送車2の幅方向Yにおける両側部分の2箇所に設けられた横側検知部32Sと、それよりも下方であって幅方向Yにおける中央部分の1箇所に設けられた下側検知部32Lと、を有している。本実施形態では、第2検知器32の照射範囲Eである第2照射範囲32E(図6参照)は、複数(本例では3箇所)の範囲に設定されている。より詳細には、図6に示すように、複数の第2照射範囲32Eのうち2つは、2つの横側検知部32Sから投光される第2検知光IL2の照射範囲Eであり、上下方向Zに沿って延びる楕円状(或いは帯状)の範囲となっている。そして、複数の第2照射範囲32Eのうち1つは、下側検知部32Lから投光される第2検知光IL2の照射範囲Eであり、幅方向Yに沿って延びる楕円状(或いは帯状)の範囲となっている。
【0028】
このように、物品搬送設備100では、搬送車2が備える第1検知器31によって、前方の他の搬送車2を検知することができる。そして、前方の他の搬送車2との車間距離が近くなり過ぎた場合に搬送車2の走行速度を低下させる、或いは停止するなどして前方の他の搬送車2への追突を回避することが可能となっている。また、物品搬送設備100では、搬送車2が備える第2検知器32によって、搬送車2の走行軌跡上の障害物を検知することができる。そして、障害物を検知した場合に搬送車2を停止させるなどして当該搬送車2と障害物との接触を回避することが可能となっている。
【0029】
1-2.検査システムの構成
ここで、検知器3の状態(検知状態)が異常である場合には、検知対象を良好に検知することができない場合がある。例えば、前方車センサとして構成されている第1検知器31の検知状態が異常であり前方の搬送車2を検知できない場合には、そのような第1検知器31を備える搬送車2が、前方の搬送車2に追突する可能性がある。また、障害物センサとして構成されている第2検知器32の検知状態が異常であり、搬送車2の走行軌跡上に障害物が在るにもかかわらず当該障害物を検知できない場合には、そのような第2検知器32を備える搬送車2と障害物とが接触する可能性がある。そのため、検知器3の状態を定期的に検査することが望ましい。
【0030】
図1及び図4に示すように、検査システム1は、検知器3が投光する検知光ILが投影される投影面5Fと、投影面5Fを撮影する撮影装置Cと、撮影装置Cが撮影した画像に基づいて、投影面5Fに投影された検知光ILの位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態を判定する判定部J(図7参照)と、を備えている。ここでは、判定部Jは、検知器3の検知状態が正常であるか異常であるかを判定する。例えば、判定部Jは、投影面5Fに投影された検知光ILの位置(或いは形状)に基づいて、検知光ILの光軸のずれ、換言すれば、検知器3が正しい向きに設置されているか否かを判定する。また、判定部Jは、投影面5Fに投影された検知光ILの光の強さ(或いは形状)に基づいて、検知器3が正常に投光しているか否かを判定する。検知器3の向きが正しくない、或いは、検知器3が正常に投光していない等、検知器3の状態(検知状態)が異常であると判定された場合には、当該検知器3がメンテナンスの対象として決定され、必要なメンテナンスが行われる。
【0031】
ここで、検知光ILの光の強さは、検知器3の経年劣化等によって弱くなることがあり、この場合、検知器3の向きが正しくても検知対象を適切に検知できないことがある。本実施形態において、判定部Jによる判定対象とされる検知光ILの「光の強さ」は、光量、全光束(ルーメン)、照度(ルクス)、光度(カンデラ)、及び、輝度(単位面積当たりの光度)のうち少なくとも1つを基準に定められる。例えば、判定部Jは、投影面5Fに投影された検知光ILの光の強さが予め定められた規定値未満である場合(光の強さが不足している場合)、検知器3の状態が異常であると判定する。
【0032】
図1及び図4に示すように、投影面5Fは、搬送経路R上に設定された検査場所IPに搬送車2が在る状態で検知器3の検知範囲IE内となる位置に配置されている。これにより、搬送車2が搬送経路R上に在る状態で検知器3の検査を行うことができる。また本実施形態では、投影面5Fは、搬送車2の走行軌跡と重ならない位置に配置されている。これにより、搬送経路Rを走行する搬送車2と投影面5Fとが接触することを抑制しつつ、検知器3の検査を行うことができる。
【0033】
本実施形態では、検査システム1は、投影部5を備えており、投影面5Fは、投影部5の一部として構成されている。本例では、図1に示すように、投影部5は、搬送車2の走行軌跡と重ならない位置に配置された支持部材92に支持されている。例えば、支持部材92は、設備内における天井等の構造物に固定されており、投影部5は、当該支持部材92によって支持(ここでは吊下げ支持)される。これにより本例では、投影部5は、設備内において固定された状態で配置されている。なお、このような構成に限定されることなく、投影部5は、支持部材92ではなく、例えば、区画壁93(図1参照)、自動倉庫の外壁部又はパーティション等(不図示)によって支持されていても良い。
【0034】
本実施形態では、投影面5Fは、光の一部を透過させるように構成されている。図5に示す例では、投影部5は、投影面5Fが形成される投影板51と、当該投影板51を支持する支持枠52と、を有している。そして、投影板51は、例えばアクリル板によって構成されており、これに形成される投影面5Fは、光の一部を透過可能となっている。支持枠52は、投影板51の外縁部の全周を覆うように配置され、投影板51を支持している。
【0035】
図5に示すように、本実施形態では、投影面5Fは、第1検知光IL1が投影される第1投影領域5Faと、第2検知光IL2が投影される第2投影領域5Fbと、を有している。第1投影領域5Faは、検査場所IPに搬送車2が在る状態で、第1検知器31に対応する位置に形成されている(図3も参照)。図5に示す例では、第1投影領域5Faは、投影面5Fの上部における、幅方向Yの中央部分の1箇所に形成されている。また、第2投影領域5Fbは、検査場所IPに搬送車2が在る状態で、第2検知器32に対応する位置に形成されている(図3も参照)。図5に示す例では、第2投影領域5Fbは、投影面5Fにおける、下部および幅方向Yの両側縁部分の3箇所に形成されている。
【0036】
本実施形態では、判定部J(図7参照)は、撮影装置Cが撮影した画像に基づいて、第1投影領域5Faに投影された第1検知光IL1の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態と、第2投影領域5Fbに投影された第2検知光IL2の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態と、を判定する。
【0037】
ここで、「第1投影領域5Faに投影された第1検知光IL1の位置を判定する」とは、第1検知光IL1が規定の第1投影領域5Faの内部に投影されているか外部に投影されているかについて判定することも含む概念である。第1検知光IL1が第1投影領域5Faの内部に投影されていることは、第1検知器31が正しい向きに設置されている正常の状態であると判定するための判断材料となる。反対に、第1検知光IL1が第1投影領域5Faの外部に投影されていることは、第1検知器31の状態(検知状態)が異常であると判定するための判断材料となる。同様に、「第2投影領域5Fbに投影された第2検知光IL2の位置を判定する」とは、第2検知光IL2が規定の第2投影領域5Fbの内部に投影されているか外部に投影されているかについて判定することも含む概念である。第2検知器32の状態(検知状態)の判定も、上記第1検知器31の場合と同様に行うことができる。
【0038】
撮影装置Cは、投影部5の投影面5Fを撮影するカメラにより構成されている。撮影装置Cは、投影面5Fに関する静止画又は動画を撮影する。
【0039】
図1及び図4に示すように、本実施形態では、撮影装置Cは、投影面5Fを挟んで検査場所IPとは反対側に配置されている。従って本例では、撮影装置Cは、投影面5Fを、当該投影面5Fを挟んで検査場所IPとは反対側から撮影する。このため、撮影装置Cは、投影面5Fの裏側の面(撮影面CF)を撮影することになる。このように、本実施形態では、投影板51における検査場所IPを向く面が、検知光ILが投影される投影面5Fとされており、投影板51における投影面5Fとは反対側を向く面が、撮影面CFとされている。撮影装置Cは、投影板51における撮影面CFを撮影することによって、投影面5Fを裏側から撮影するように構成されている。なお、図示の例では、撮影装置Cは、投影部5が支持される支持部材92に、投影部5と共に支持(ここでは吊下げ支持)されている。撮影装置Cと投影部5とを同一の部材によって支持する構成によって、撮影装置Cと投影部5(投影面5F)との配置関係を一定化し易くなる。但し、これに限定されることなく、撮影装置Cと投影部5とのそれぞれを別部材によって支持するようにしても良い。
【0040】
図1及び図4に示すように、本実施形態では、検査場所IPに搬送車2が在る状態で、搬送車2と投影面5F(投影部5)と撮影装置Cとが、搬送車2の前後方向Xに沿って並ぶように配置されている。これにより、投影面5Fが光の一部を透過させるように構成されている場合において、投影面5Fに投影された検知光ILの画像を、当該投影面5Fの裏面側(撮影面CF側)から、撮影装置Cによって歪みの少ない状態で撮影することができる。その結果、判定部Jによる判定に適した画像を取得することが可能となっている。特に、搬送車2と投影面5F(投影部5)と撮影装置Cとが、前後方向Xに沿う前後方向X視で重複するように配置されると好適である。但し、上記のような構成に限定されることなく、投影面5Fと撮影装置Cとの配置関係については、これらは互いに搬送車2の前後方向X視で重複しないように配置されていても良い。換言すれば、撮影装置Cが、投影面5Fに直交する方向(ここでは前後方向X)に対して幅方向Y及び上下方向Zの少なくとも一方に傾斜した方向から投影面5Fを撮影するよう配置されていても良い。この場合であっても、撮影装置Cは、投影面5Fを撮影可能な位置(本例では、投影面5Fを裏面側から撮影可能な位置)に配置される。本検査システム1では、検知器3が投光する検知光ILそのものではなく、投影面5Fに投影された検知光ILに基づいて、検知器3の状態の判定を行う。そのため、撮影装置Cは、投影面5Fを撮影可能な位置に配置されてさえいれば、上記のように投影面5Fに対して前後方向X視でずれた位置に配置されていたとしても、検査システム1によって検知器3の状態(検知状態)の判定を適切に行うことができる。
【0041】
1-3.検知器の状態の判定
次に、検知器3の状態(検知状態)の判定について、図6を参照して説明する。図6は、投影部5における撮影面CF側を撮影装置Cによって撮影した画像を模式的に示している。換言すれば、検知光ILが投影された投影面5Fを裏面側から撮影した画像を示している。図6の左図は、検知器3の状態が正常である場合(OK)を示しており、図6の右図は、検知器3の状態が異常である場合(NG)を示している。
【0042】
判定部Jは、投影面5Fに投影された検知光ILの位置を判定することで、検知器3の状態が正常であるか異常であるかを判定する。図6の左図に示される状態では、第1検知光IL1による第1照射範囲31Eが、第1投影領域5Fa(図5参照)に対応する位置に投影され、第2検知光IL2による第2照射範囲32Eが、第2投影領域5Fb(図5参照)に対応する位置に投影されている。このように、検知光ILの照射範囲が規定の領域内に収まっている場合、判定部Jによって、投影面5Fに投影された検知光ILの位置が正常である(OK)と判定される。一方、図6の右図に示される状態では、第1照射範囲31Eが、第1投影領域5Faに対応する位置から下方にずれた位置に投影されている。この場合、判定部Jによって、投影面5Fに投影された検知光ILの位置が異常である(NG)と判定される。
【0043】
また、判定部Jは、投影面5Fに投影された検知光ILの形状を判定することで、検知器3の状態が正常であるか異常であるかを判定する。図6の左図に示される状態では、第1検知光IL1による第1照射範囲31Eの形状が、水平方向に沿う直線状を成しており、第2検知光IL2による第2照射範囲32Eの形状が、規定の形状、本例では帯状(図示の例では両端が円弧状となっている帯状)を成している。この場合、判定部Jによって、投影面5Fに投影された検知光ILの形状が正常である(OK)と判定される。ここで、規定の形状は、例えば、検知光ILが照射されている照射範囲の幅や長さ等の条件によって規定される。一方、図6の右図に示される状態では、第1照射範囲31Eの形状が、水平方向に対して斜めに傾斜した直線状を成している。また、撮影面CF(投影面5F)の下部に投影された第2照射範囲32Eの形状は、2つの短い帯状に分断された形状となっている。これらの場合、判定部Jによって、投影面5Fに投影された検知光ILの形状が異常である(NG)と判定される。
【0044】
また、判定部Jは、投影面5Fに投影された検知光ILの光の強さを判定することで、検知器3の状態が正常であるか異常であるかを判定する。図6の左図に示される状態では、第1照射範囲31Eを形成する第1検知光IL1の光の強さ、及び、第2照射範囲32Eを形成する第2検知光IL2の光の強さが、規定値以上となっている。この場合、判定部Jによって、投影面5Fに投影された検知光ILの光の強さが正常である(OK)と判定される。ここで、光の強さが規定値以上であることの判定条件は、例えば、照射範囲内の位置と各位置での光の強さとの組み合わせとして設定することができる。一例として、照射範囲内における光の強さが最も強い部分での光の強さが規定値以上であれば正常と判定する条件や、照射範囲の外縁部を除く部分における光の強さが最も弱い部分での光の強さが規定値以上であれば正常と判定する条件等とすることができる。一方、図6の右図に示される状態では、複数の第2照射範囲32Eのうち撮影面CFの左側の第2照射範囲32Eを形成する第2検知光IL2の光の強さが、規定値未満となっている。この場合、判定部Jによって、投影面5Fに投影された検知光ILの光の強さが弱い、すなわち、異常である(NG)と判定される。
【0045】
1-4.検査システムの制御構成
次に、図7を参照して、検査システム1の制御構成について説明する。図7に示すように、検査システム1は、システム全体を管理する統括制御装置Htと、搬送車2を制御する個別制御装置Hmと、判定部Jによる判定結果を記憶する記憶装置Mと、を備えている。統括制御装置Ht及び個別制御装置Hmは、相互に通信可能に構成されている。これらの制御装置は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアと、コンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムと、の協働により、各機能が実現される。
【0046】
本実施形態では、個別制御装置Hmは、複数の搬送車2のそれぞれに備えられると共に、当該複数の搬送車2のそれぞれの制御を行う。例えば、個別制御装置Hmは、搬送車2の走行、停止、及び物品Wの移載などを制御する。
【0047】
本実施形態では、統括制御装置Htは、複数の搬送車2を含む物品搬送設備100の全体の制御を行う。そして、統括制御装置Htは、個別制御装置Hm(搬送車2)に対して搬送指令などの各種の指令を行う。本例では、統括制御装置Htは、個別制御装置Hm(搬送車2)に対して、検知器3を検査させるための検査指令を行う。統括制御装置Htからの検査指令には、搬送車2を検査場所IPまで走行させる指令と、検査場所IPにおいて検査のための動作を搬送車2に行わせる指令とが含まれている。統括制御装置Htから検査指令を受けた個別制御装置Hmは、検査場所IPまで自車(搬送車2)を走行させる。そして、本例では、個別制御装置Hmは、検査場所IPにおいて自車(搬送車2)を停止させた状態で、検知器3の検査を行う。但し、このような構成に限らず、検査システム1は、検査場所IPの前後において搬送車2が走行している状態(好ましくは低速走行の状態)で、検知器3の検査を行うようにしても良い。
【0048】
本例では、検査場所IPに搬送車2が停止した状態において、まず、検知器3が、投影部5の投影面5Fに向けて検知光ILを投光する。なお、この検知器3による検知光ILの投光は、常に行われていても良いし、搬送車2が検査場所IPに停止した後に行われても良い。検知器3による検知光ILの投光中に、撮影装置Cが、投影面5F(本例では投影面5Fの裏面側である撮影面CF)を撮影する。次に、判定部Jが、撮影装置Cによって撮影された画像に基づいて、検知器3の状態(検知状態)を判定すると共に、判定結果を、記憶装置Mに送信する。記憶装置Mは、受信した検知器3の状態についての判定結果を記憶する。例えば、記憶装置Mには、判定部Jによる判定を行った日時である検査日時と、判定部Jによる判定結果とが、互いに関連付けられた状態で記憶される。統括制御装置Htは、記憶装置Mと通信可能に構成されており、記憶装置Mに記憶された上記判定結果を取得可能に構成されている。統括制御装置Htは、検査指令を行った搬送車2を識別するための識別情報と、当該搬送車2に搭載された検知器3に関する判定結果と、判定部Jによる判定を行った日時である検査日時とを、互いに関連付けた状態で管理する。
【0049】
図7では、統括制御装置Htと、記憶装置Mとは、別々に設けられている例を示している。しかし、このような構成に限定されることなく、統括制御装置Htが記憶装置Mを備えた構成であっても良い。この場合、判定部Jから統括制御装置Htに、判定結果が送信される。
【0050】
また、図7では、統括制御装置Htと、判定部Jとについても、別々に設けられている例を示している。しかし、このような構成に限定されることなく、統括制御装置Htが判定部Jを備えた構成であっても良い。この場合、撮影装置Cから統括制御装置Htに、撮影装置Cによって撮影された画像情報が送信される。
【0051】
検査場所IPにおいて検知器3の検査が行われた結果、検知器3の状態(検知状態)が正常であると判定された場合には、統括制御装置Htは、個別制御装置Hm(搬送車2)に対して搬送指令等を行う通常の運用を再開すると好適である。一方、検知器3の状態(検知状態)が異常であると判定された場合には、統括制御装置Htは、例えば、物品Wの搬送等を行わない搬送車2のための退避場所に向かって当該搬送車2を移動させると好適である。但し、このような構成に限らず、個別制御装置Hm(搬送車2)は、検知器3の状態(検知状態)が異常であると判定された場合であっても、例えば、搬送中の物品Wの搬送が終了するまでの間等、限定的に通常の運用を再開しても良い。
【0052】
2.その他の実施形態
次に、検査システムのその他の実施形態について説明する。
【0053】
(1)上記の実施形態では、撮影装置Cが、投影面5Fを挟んで検査場所IPとは反対側に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば図8に示すように、撮影装置Cは、投影面5Fに対して検査場所IPと同じ側に配置されていても良い。この場合、投影部5における検査場所IPを向く面が、投影面5Fと撮影面CFとの双方を兼ねる。またこの場合、撮影装置Cは、検知器3と投影面5Fとの間の投光経路を遮らない位置に配置される。このため、撮影装置Cは、投影面5Fに直交する方向に対して幅方向Y及び上下方向Zの少なくとも一方に傾斜した方向から投影面5Fを撮影するように配置される。
【0054】
(2)上記の実施形態では、搬送車2が、検知器3として、第1検知器31と第2検知器32とを備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車2は、少なくとも1つ、又は、少なくとも1種類の検知器3を備えていれば良い。或いは、搬送車2が、3種類以上の検知器3を備えていても良い。
【0055】
(3)上記の実施形態では、投影面5Fが、搬送車2の走行軌跡と重ならない位置に配置されている構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されず、投影面5Fが搬送車2の走行軌跡と重なる位置に配置されていても良い。この場合、検査を行わないに場合に投影面5F(投影部5)を搬送車2の走行軌跡から退避させるように、投影面5Fを移動させる退避機構を備えると好適である。或いは、投影面5F(投影部5)は、例えば、設備内を移動自在な移動装置(フォークリフト、床面搬送車、リフタ等)に搭載されていても良いし、人手によって移動できるように構成されていても良い。
【0056】
(4)上記の実施形態では、第1検知器31が前方車センサであって、第2検知器32が障害物センサである例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、第1検知器31が障害物センサであって、第2検知器32が前方車センサであっても良い。或いは、第1検知器31及び第2検知器32の一方又は双方が、前方車センサ及び障害物センサ以外のセンサであっても良い。第1検知器31及び第2検知器32の検知対象は、設備の特性等に合わせて適宜設定されると良い。
【0057】
(5)上記の実施形態では、検知器3が搬送車2の進行方向(前後方向X)の前方を検知範囲IEとする構成を例として説明した。しかしこれには限定されず、搬送車2が、進行方向(前後方向X)の後方を検知範囲IEとする検知器3、幅方向Yの一方又は双方を検知範囲IEとする検知器3、上下方向Zの上方又は下方を検知範囲IEとする検知器3等を備えた構成であっても良い。これらの場合でも、投影面5Fは、搬送経路R上に設定された検査場所IPに搬送車2が在る状態で検知器3の検知範囲IE内となる位置に配置される。例えば、検知器3の検知範囲IEが搬送車2の下方である場合には、投影面5Fは、検査場所IPにある搬送車2の下方となる位置に配置されると良い。
【0058】
(6)上記の実施形態では、搬送車2が天井搬送車として構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、搬送車2は、例えば、床面上を走行する無人搬送車であっても良い。その場合には、搬送経路Rは、床面上の走行レールに沿って設定されていても良いし、走行レールによらず、例えば磁気等を用いて単に床面上に設定されたものであっても良い。
【0059】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0060】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した検査システムについて説明する。
【0061】
予め設定された搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器を検査対象とする検査システムであって、前記搬送経路上に設定された検査場所に前記搬送車が在る状態で前記検知器の検知範囲内となる位置に配置され、前記検知器が投光する検知光が投影される投影面と、前記投影面を撮影する撮影装置と、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記投影面に投影された前記検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態を判定する判定部と、を備えている。
【0062】
本構成によれば、搬送車が備える検知器が投光する検知光が投影される投影面が、搬送経路上に設定された検査場所に搬送車が在る状態で当該検知器の検知範囲内となる位置に配置されると共に投影面を撮影する撮影装置を備えているため、搬送車が搬送経路上に在る状態で検知器の検査を行うことができる。このため、搬送車が搬送経路上にある状態において検知器の検査を行うことができる。従って、搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器の検査の手間を簡略化することができる。また本構成によれば、例えば、投影面に投影された検知光の位置や形状に基づいて、検知器が正しい向きに設置されているか否かを判定でき、光の強さに基づいて、検知器が正常に投光しているか否かを判定できる等、検知器の検査を適切に行うことができる。
【0063】
ここで、
前記投影面が、光の一部を透過させるように構成され、前記撮影装置が、前記投影面を挟んで前記検査場所とは反対側に配置されていると好適である。
【0064】
投影面から見て検査場所(検査場所に在る搬送車)と同じ側には、搬送経路が設けられており搬送車の走行領域があるため、投影面から見て検査場所とは反対側に比べて、撮影装置を配置する場所の制約が大きい。本構成によれば、投影面を挟んで検査場所とは反対側に撮影装置が配置されるため、配置上の制約が比較的小さい領域に撮影装置を配置することができる。従って、判定部による判定のために使用しやすい画像を撮影装置によって撮影することが容易となる。
【0065】
また、
前記搬送車は、前記検知器である第1検知器に加えて、前記第1検知器とは異なる領域の検知を行う第2検知器を備え、前記投影面は、前記検知光である第1検知光が投影される第1投影領域と、前記第2検知器が投光する第2検知光が投影される第2投影領域と、を有し、前記判定部は、前記撮影装置が撮影した画像に基づいて、前記第1投影領域に投影された前記第1検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態と、前記第2投影領域に投影された前記第2検知光の位置、形状、及び光の強さのうち少なくとも1つの状態と、を判定すると好適である。
【0066】
本構成によれば、互いに異なる検知領域の検知を行う第1検知器と第2検知器との検査を一度に行うことができる。
【0067】
また、
前記投影面は、前記搬送車の走行軌跡と重ならない位置に配置されていると好適である。
【0068】
本構成によれば、検査装置が、搬送車の走行軌跡と重ならない位置に配置されているため、検査装置を固定式として設置した場合であっても、搬送経路を走行する搬送車が検査装置に接触することがない。従って、搬送経路上を走行する搬送車が備える検知器の検査の手間を更に簡略化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示に係る技術は、搬送車が備える検知器を検査対象とする検査システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :検査システム
2 :搬送車
3 :検知器
5F :投影面
5Fa :第1投影領域
5Fb :第2投影領域
31 :第1検知器
32 :第2検知器
C :撮影装置
IE :検知範囲
IL :検知光
IL1 :第1検知光
IL2 :第2検知光
IP :検査場所
J :判定部
M :記憶装置
R :搬送経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8