(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ドアミラーの取付構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/04 20060101AFI20220705BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20220705BHJP
B60R 1/06 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B60J5/04 P
B60J5/00 P
B60R1/06 D
(21)【出願番号】P 2019557194
(86)(22)【出願日】2018-11-22
(86)【国際出願番号】 JP2018043159
(87)【国際公開番号】W WO2019107268
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】P 2017228691
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】小林 正人
(72)【発明者】
【氏名】上原 直哉
(72)【発明者】
【氏名】大西 亮之
【審査官】佐々木 智洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/04
B60J 5/00
B60R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部座席側方のドアのアウターパネルとインナーパネルの間で前記アウターパネルの上端に位置するベルトラインに沿って設けられるベルトラインリンフォースと、
前記ベルトラインリンフォースの前部に設けられるドアミラーリンフォースと、
前記ベルトラインリンフォースと前記ドアミラーリンフォースとが重ね合わされた箇所に取り付けられるドアミラーと、
前記ドアの前端に上下方向に延在するヒンジリンフォースと、
を備えるドアミラーの取付構造であって、
前記ベルトラインリンフォースの前部は、車両前方に向かって上下に分岐する上部ベルトラインリンフォースと下部ベルトラインリンフォースとを有し、
前記上部ベルトラインリンフォースと前記下部ベルトラインリンフォースの前端は、前記ヒンジリンフォースに取り付けられている、
ことを特徴とするドアミラーの取付構造。
【請求項2】
前記ベルトラインリンフォースの前部は、前記ベルトラインリンフォースの後部よりも肉厚に形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載のドアミラーの取付構造。
【請求項3】
前記上部ベルトラインリンフォースと前記下部ベルトラインリンフォースとを含む前記ベルトラインリンフォースの前部は、車幅方向外側に突出する断面がハット形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のドアミラーの取付構造。
【請求項4】
前記上部ベルトラインリンフォースは、前記ドアミラーリンフォースが取着されドアミラーが取り付けられるベルトラインリンフォース側取り付け部を備え、
前記ベルトラインリンフォースの前部は、前記上部ベルトラインリンフォースと前記下部ベルトラインリンフォースとにわたって延在し前記ハット形状の平坦な頂面をなす補強板部を備え、
前記ベルトラインリンフォース側取り付け部は、前記上部ベルトラインリンフォースを構成する前記補強板部の箇所に設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載のドアミラーの取付構造。
【請求項5】
前記上部ベルトラインリンフォースは、前記ドアミラーリンフォースが取着されドアミラーが取り付けられるベルトラインリンフォース側取り付け部を備え、
前記ベルトラインリンフォース側取り付け部は、前記下部ベルトラインリンフォースが分岐する前記上部ベルトラインリンフォースの箇所に位置している、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載のドアミラーの取付構造。
【請求項6】
前記ベルトラインリンフォース側取り付け部は、前記下部ベルトラインリンフォースの車両後方への延長線上に設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載のドアミラーの取付構造。
【請求項7】
前記ドアミラーリンフォースは、前記上部ベルトラインリンフォースの上方の箇所で前記アウターパネルに取着される取り付け片部を備えている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れか1項記載のドアミラーの取付構造。
【請求項8】
前記上部ベルトラインリンフォースと前記下部ベルトラインリンフォースとの間に車両の前方に開放状の欠部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から7の何れか1項記載のドアミラーの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドアミラーの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部座席側方のドアのアウターパネルから外側方に突出するようにドアミラーを取り付けるいわゆるフラッグタイプのドアミラーの取付構造が知られている。
この場合、ドアミラーを取り付けるドアの部分の剛性が弱いと、高速走行時にドアミラーに加わる車両の振動によってドアミラーが上下に揺動し、ミラーの鏡面振れが発生するおそれがある。
そこで、特許文献1では、ベルトラインリンフォースとドアミラーリンフォースとが重ね合わされた箇所にドアミラーを取り付ける取付構造において、ベルトラインリンフォースとドアミラーリンフォースの剛性を高めるようにした構造が開示されている。
すなわち、特許文献1では、ベルトラインリンフォースを上下に延在する連結部材(ジャンクション)を介して剛性が高いロードパスパイプとインパクトバーに連結することで、ベルトラインリンフォースとドアミラーリンフォースの剛性を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、上記従来技術では、上下に延在する強固な連結部材を設けることから、部品点数が増加しドアの軽量化を図る上で不利がある。
また、上記従来技術は、連結部材によりベルトラインリンフォースが連結される箇所に剛性が高いロードパスパイプとインパクトバーが位置している必要があり、また、連結部材を配置するスペースが残存していることが必要であることから、ベルトラインリンフォースが連結される箇所にロードパスパイプとインパクトバーが位置しておらず、また、連結部材を配置するスペースが無い場合には、ベルトラインリンフォースとドアミラーリンフォースの剛性を高めることができない。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ベルトラインリンフォースが連結される箇所にロードパスパイプやインパクトバーが位置していない場合や、連結部材を配置するスペースが無い場合であっても、ドアの軽量化を図りつつドアミラーが取り付けられる箇所の剛性の向上が図れ、部品点数を増加させること無くミラーの鏡面振れを抑制する上で有利なドアミラーの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の前部座席側方のドアのアウターパネルとインナーパネルの間で前記アウターパネルの上端に位置するベルトラインに沿って設けられるベルトラインリンフォースと、前記ベルトラインリンフォースの前部に設けられるドアミラーリンフォースと、前記ベルトラインリンフォースと前記ドアミラーリンフォースとが重ね合わされた箇所に取り付けられるドアミラーと、前記ドアの前端に上下方向に延在するヒンジリンフォースとを備えるドアミラーの取付構造であって、前記ベルトラインリンフォースの前部は、車両前方に向かって上下に分岐する上部ベルトラインリンフォースと下部ベルトラインリンフォースとを有し、前記上部ベルトラインリンフォースと前記下部ベルトラインリンフォースの前端は、前記ヒンジリンフォースに取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ベルトラインリンフォースの前部を、車両前方に向かって上下に分岐する上部ベルトラインリンフォースと下部ベルトラインリンフォースとで構成し、それら上部ベルトラインリンフォースと下部ベルトラインリンフォースの双方の前端を剛性の高いヒンジリンフォースに取り付けるようにしたので、ねじれに対するベルトラインリンフォースの前部の剛性の向上を図ることが可能となる。
したがって、車両の高速走行時においてドアミラーのミラーの鏡面振れを抑制する上で有利となる。
また、ベルトラインリンフォースの前部に上下に分岐する上部ベルトラインリンフォースと下部ベルトラインリンフォースとを設ける構成であり、何ら部品点数を増加させることがないので、ドアの軽量化を図る上で有利となる。
また、従来のように上下に大きく延在してベルトラインリンフォースをロードパスパイプやインパクトバーに連結する連結部材は不要となることから、ベルトラインリンフォースが連結される箇所にロードパスパイプやインパクトバーが位置していない場合や、連結部材を配置するスペースが無い場合であっても、ドアミラーが取り付けられる箇所の剛性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係るドアミラーの取付構造が適用された車両の前部座席側方のドアを車幅方向外側から見た側面図である。
【
図2】ドアからアウターパネルを取り除いて車幅方向外側から見た側面図である。
【
図5】ドアミラーリンフォースおよびベルトラインリンフォースの取り付け状態を車幅方向外側から見た側面図である。
【
図6】ドアミラーリンフォースの取り付け状態を車幅方向外側から見た側面図である。
【
図7】(A)はベルトラインリンフォースフロントを車幅方向外側から見た側面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(A)のC矢視図である。
【
図8】(A)はドアミラーリンフォースを車幅方向外側から見た側面図、(B)は(A)のB矢視図、(C)は(B)のC矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
なお、以下の図面において、符号FRは車両前方を示し、符号UPは車両上方を示し、符号INは車幅方向内方を示し、符号OUTは車幅方向外方を示す。
図1、
図2に示すように、ドア10は、車両の前部座席側方の不図示の乗降口を開閉するものである。
ドア10は、ドア本体12と、ドア本体12の上部に設けられたドアサッシュ部14と、ドアサッシュ部14とドア本体12で形成された窓開口16と、昇降することで窓開口16を開閉するウインドガラス18と、ドアミラー20とを含んで構成されている。
ドア本体12は、車幅方向内側の面を形成する金属製のインナーパネル22と、車幅方向外側の面を形成する金属製のアウターパネル24とが重ね合わされることで一体的に構成されている。
本実施の形態では、
図1~
図4に示すように、アウターパネル24は、ドア本体12の車幅方向外側の面の大半を構成するアウターパネル本体24Aと、アウターパネル本体24Aの車両前方箇所に配置されアウターパネル本体24Aよりも車幅方向内側に位置するアウターアッパーパネル24Bとを含んで構成されている。
【0009】
図1に示すように、ドアミラー20は、ミラー2002を保持するドアミラー本体2004と、ドアミラー本体2004に連結され、後述するベルトラインリンフォース28とドアミラーリンフォース30に取り付けられる取り付け基部2006とを備えている。
取り付け基部2006には、不図示の3つのねじ孔が形成されている。
【0010】
図2に示すように、アウターパネル24とインナーパネル22の間には、ヒンジリンフォース26、ベルトラインリンフォース28、ドアミラーリンフォース30が設けられている。
ヒンジリンフォース26は、ドアヒンジ1002(
図1参照)が設けられるインナーパネル22の前端の剛性を高める補強部材であり、ドア本体12の前部で上下方向に延在している。
ヒンジリンフォース26は板厚が大きい金属板からなる板金製で高い剛性を有し、
図3に示すようにスポット溶接によりインナーパネル22の前端に取り付けられている。
【0011】
図2に示すように、ベルトラインリンフォース28は板金製の補強部材であり、ドア10の窓開口16の下端であるベルトラインBL(
図1参照)に沿って延在している。本実施の形態においては、ドア10はドア本体12とその上部にあるドアサッシュ14とで窓開口16が構成され、ドア本体12はインナーパネル22とアウターパネル24とが重ね合わされて構成されるため、ベルトラインBLとはアウターパネル24の上端でもある。
ベルトラインリンフォース28は、ベルトラインリンフォースフロント28Aと、ベルトラインリンフォースリヤ28Bとによって構成されている。
ベルトラインリンフォースフロント28Aは、ベルトラインリンフォース28の車両前方部分を構成し、ベルトラインリンフォースリヤ28Bはベルトラインリンフォース28の車両後方部分を構成し、ベルトラインリンフォースリヤ28Bは直線状に延在している。
図7(A)にスポット溶接箇所を*印で示すように、ベルトラインリンフォースフロント28Aとベルトラインリンフォースリヤ28Bは、ベルトラインリンフォースフロント28Aの後端とベルトラインリンフォースリヤ28Bの前端とが重ね合わされた状態でスポット溶接により4箇所で接合されることで連結されている。
本実施の形態では、ベルトラインリンフォースフロント28Aの肉厚がベルトラインリンフォースリヤ28Bの肉厚よりも大きな寸法となるように形成されている。
これにより、ドアミラー20が取り付けられるベルトラインリンフォースフロント28Aの剛性を高めつつ、ベルトラインリンフォース28全体の重量増の抑制を図っている。
ベルトラインリンフォースリヤ28Bは、スポット溶接により上部がアウターパネル24に取着され、下部が弾性接着剤を介してアウターパネル24に取着されている。
【0012】
図7(A)~(C)に示すように、ベルトラインリンフォースフロント28Aは、車両前方に向かって上下に分岐する上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34とを備えている。
上部ベルトラインリンフォース32は、ベルトラインBLに沿って延在し、したがって、ベルトラインリンフォースリヤ28Bと同一直線上を延在している。
下部ベルトラインリンフォース34は、ベルトラインリンフォース28の前部寄りの箇所から車両の前方に至るにつれて下方に変位しつつ延在しており、言い換えると、ベルトラインリンフォースフロント28Aの後部寄りの箇所から車両の前方に至るにつれて下方に変位しつつ延在している。
上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34とにわたって、車幅方向外側に突出する補強板部36が設けられている。
すなわち、補強板部36は、
図7(A)に示すように、上外周縁板部3602から起立する側面板部3604の上端と、前外周縁板部3606から起立する側面板部3608の上端と、下外周縁板部3610から起立する側面板部3612の上端とを接続するように設けられている。したがって、上外周縁板部3602および側面板部3604の箇所、または、前外周縁板部3606および側面板部3608の箇所、または、下外周縁板部3610および側面板部3612の箇所の3箇所のうちの2箇所と補強板部36を通る仮想の切断線で切断したそれらの箇所の断面の形状はハット形状を呈し、ドアミラー20が取り付けられるベルトラインリンフォース28の前部、すなわちベルトラインリンフォースフロント28Aのねじれに対する剛性の向上を図る上で有利となっており、ドアミラー20のミラー2002の鏡面振れを抑制する上で有利となっている。
補強板部36はこのハット形状の平坦な頂面を構成し、上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34とにわたって延在しており、ねじれに対する補強板部36の剛性が確保されている。
また、上部ベルトラインリンフォース32の上下方向に沿った寸法は、ベルトラインリンフォースリヤ28Bの上下方向に沿った寸法とほぼ同等に形成され、下部ベルトラインリンフォース34の上下方向に沿った寸法は、上部ベルトラインリンフォース32の上下方向に沿った寸法よりも大きく形成され、ねじれに対する補強板部36の剛性が確保されている。
【0013】
補強板部36の上部で車両後方部分にドアミラーリンフォース30が取着されるベルトラインリンフォース側取り付け部38が設けられ、詳細には、ベルトラインリンフォース側取り付け部38は、下部ベルトラインリンフォース34が分岐する上部ベルトラインリンフォース32の箇所を構成する補強板部36の箇所に設けられている。
ベルトラインリンフォース側取り付け部38は、後述するドアミラーリンフォース30のドアミラーリンフォース側取り付け部42が重ね合わされドアミラー20が取り付けられる箇所であり、このようなベルトラインリンフォース側取り付け部38を、下部ベルトラインリンフォース34が分岐する上部ベルトラインリンフォース32の箇所に設けることで、ベルトラインリンフォース側取り付け部38およびドアミラーリンフォース側取り付け部42のねじれに対する剛性を高め、ドアミラー20の鏡面振れを抑制する上で有利となる。
本実施の形態では、ベルトラインリンフォース側取り付け部38は、ねじれに対する剛性が確保された補強板部36に設けられることから、ベルトラインリンフォース側取り付け部38およびドアミラーリンフォース側取り付け部42のねじれに対する剛性を高め、ドアミラー20の鏡面振れを抑制する上でより一層有利となっている。
さらに、ベルトラインリンフォース側取り付け部38は、下部ベルトラインリンフォース34の車両後方への延長線上に設けられているので、ベルトラインリンフォース側取り付け部38およびドアミラーリンフォース側取り付け部42のねじれに対する剛性を高め、ドアミラー20の鏡面振れを抑制する上でより一層有利となっている。
ベルトラインリンフォース側取り付け部38は平坦面で形成され、ベルトラインリンフォース側取り付け部38には、ハーネス挿通孔3802とボルト挿通孔3804が形成され、
図7において符号W1は、ベルトラインリンフォース側取り付け部38とドアミラーリンフォース側取り付け部42とのスポット溶接箇所を示している。
ハーネス挿通孔3802は、ドアミラー本体2004の内部の電装部品に接続されるハーネスを挿通させる箇所である。
ボルト挿通孔3804は、ドアミラー20の取り付け基部2006の3つのねじ孔に対応して3つ設けられている。
上部ベルトラインリンフォース32の前部と下部ベルトラインリンフォース34の前部との間に車両の前方に開放状の欠部40が設けられ、本実施の形態では、この欠部40は補強板部36の前部の上下中間部に設けられ、前外周縁板部3606の上下中間部に設けられている。
【0014】
図5、
図7(A)にスポット溶接箇所を*印で示すように、上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34の前端は、ヒンジリンフォース26にスポット溶接により取り付けられている。
すなわち、上外周縁板部3602の前端の2箇所と、前外周縁板部3606の前端の2箇所と、下外周縁板部3610の前端の1箇所とがヒンジリンフォース26にスポット溶接により取り付けられている。
【0015】
図8(A)~(C)に示すように、ドアミラーリンフォース30は、板金製の補強部材であり、ベルトラインリンフォースフロント28A、アウターアッパーパネル24B、ヒンジリンフォース26、インナーパネル22にわたって設けられる。
ドアミラーリンフォース30は、ドアミラーリンフォース側取り付け部42と、取り付け片部44と、取り付け脚部46とを備えている。
図3、
図4、
図8(A)~(C)に示すように、ドアミラーリンフォース側取り付け部42は、ベルトラインリンフォース側取り付け部38に重ね合わされて取着される箇所であり、平坦面で形成されている。
ドアミラーリンフォース側取り付け部42には、ベルトラインリンフォース側取り付け部38のハーネス挿通孔3802に対応するハーネス挿通孔4202と、ベルトラインリンフォース側取り付け部38の3つのボルト挿通孔3804に対応する3つのボルト挿通孔4204とが設けられている。
ドアミラーリンフォース側取り付け部42とベルトラインリンフォース側取り付け部38とが重ね合わされた状態で、それらの5箇所W1がスポット溶接により接合されている。
【0016】
ドアミラーリンフォース側取り付け部42とベルトラインリンフォース側取り付け部38とが溶接により接合されることで、ベルトラインリンフォース側取り付け部38が下部ベルトラインリンフォース34が分岐する上部ベルトラインリンフォース32の箇所に位置していることから、ドアミラーリンフォース側取り付け部42も、下部ベルトラインリンフォース34が上部ベルトラインリンフォース32から分岐する箇所に位置している。
図6、
図8(A)~(C)に示すように、取り付け片部44は、ドアミラーリンフォース側取り付け部42の上部から上方で車幅方向内側に突出され、上部ベルトラインリンフォース32の上方の箇所で取り付け片部44の前端の1箇所W2がアウターアッパーパネル24Bにスポット溶接されている。
また、取り付け片部44の前端の他の1箇所W3がヒンジリンフォース26にスポット溶接され、取り付け片部44の後端の1箇所W4がアウターアッパーパネル24Bにスポット溶接されている。
取り付け脚部46は、ドアミラーリンフォース側取り付け部42の前部の下部から下方で車幅方向内側に突出され、取り付け脚部46の下端の1箇所W5がヒンジリンフォース26にスポット溶接され、取り付け脚部46の下端の1箇所W6がインナーパネル22にスポット溶接されている。
【0017】
なお、
図2において、符号48は、スティフナーを示している。スティフナー48は板金製の補強部材であり、ベルトラインリンフォース28の下方のアウターパネル24の箇所に設けられ、ベルトラインリンフォース28に対向しつつ延在し、スポット溶接によりインナーパネル22に取着され、弾性接着剤を介してアウターパネル24に取着されている。
また、
図2において、符号50は、インパクトバーを示している。インパクトバー50は、側方からドア10に入力する衝突荷重を吸収して乗員を保護するものであり、車両前後方向に沿って配置され、インパクトバー50の両端はインナーパネル22の前後部に取り付けられている。
また、
図2において、符号54は、ウインドガラス18をガイドするガラスガイドを示す。
【0018】
図1~
図4に示すように、アウターパネル24とインナーパネル22との間にベルトラインリンフォース28、ドアミラーリンフォース30、スティフナー48、インパクトバー50が組付けられた状態で、ベルトラインリンフォース側取り付け部38とドアミラーリンフォース側取り付け部42とが重ね合わされた箇所は、アウターパネル24に設けられたドアミラー取り付け用の開口56を介して車幅方向外側に露出している。
図3、
図4に示すように、ドアミラー20は、ベルトラインリンフォース側取り付け部38とドアミラーリンフォース側取り付け部42の3つのボルト挿通孔3804、4204を車幅方向内側から挿通したねじNがドアミラー20の取り付け基部2006の3つのねじ孔のそれぞれに締結されることで、ベルトラインリンフォース側取り付け部38とドアミラーリンフォース側取り付け部42とが重ね合わされた箇所に取り付けられ、すなわち、ベルトラインリンフォース28とドアミラーリンフォース30とが重ね合わされた箇所に取り付けられる。
【0019】
本実施の形態によれば、ベルトラインリンフォース28の前部を、車両前方に向かって上下に分岐する上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34とで構成し、それら上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34の双方の前端を剛性の高いヒンジリンフォース26に取り付けるようにしたので、ねじれに対するベルトラインリンフォース28の前部の剛性の向上を図ることが可能となる。
したがって、車両の高速走行時においてドアミラー20に対してドアミラー20が上下に揺動する方向の振動が加わった場合に、ドアミラー20が取り付けられたベルトラインリンフォース28のねじれが抑制されるので、ドアミラー20のミラー2002の鏡面振れを抑制する上で有利となる。
また、ベルトラインリンフォース28の前部に、上下に分岐する上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34とを設ける構成であり、部品点数を増加させることがないので、ドア10の軽量化を図る上で有利となる。
また、従来のように上下に大きく延在してベルトラインリンフォース28をロードパスパイプやインパクトバーに連結する連結部材は不要となるので、ベルトラインリンフォース28が連結される箇所にロードパスパイプやインパクトバーが位置していない場合や、連結部材を配置するスペースが無い場合であっても、ドアミラー20が取り付けられる箇所の剛性の向上を図ることが可能となる。
【0020】
また、本実施の形態では、上部ベルトラインリンフォース32は、ドアミラーリンフォース側取り付け部42が重ねられドアミラー20が取着されるベルトラインリンフォース側取り付け部38を備え、このベルトラインリンフォース側取り付け部38は下部ベルトラインリンフォース34が分岐する上部ベルトラインリンフォース32の箇所に位置し、下部ベルトラインリンフォース34によりねじれに対する剛性が高められた上部ベルトラインリンフォース32の箇所に設けられている。
したがって、ドアミラーリンフォース側取り付け部42は、ベルトラインリンフォース側取り付け部38と共に下部ベルトラインリンフォース34が分岐する上部ベルトラインリンフォース32の箇所に位置することになり、ドアミラーリンフォース側取り付け部42は、下部ベルトラインリンフォース34で補強された上部ベルトラインリンフォース32の箇所に配置されることから、ドアミラー20のミラー2002の鏡面振れを抑制する上でより有利となる。
【0021】
また、本実施の形態では、ドアミラーリンフォース30は、上部ベルトラインリンフォース32の上方の箇所でアウターパネル24(アウターアッパーパネル24B)に取着される取り付け片部44を備えている。
そのため、ドアミラー20が取着されるベルトラインリンフォース28の前部の上下方向の寸法は、上下に分岐した上部ベルトラインリンフォース32と下部ベルトラインリンフォース34の上下方向の寸法に取り付け片部44の上下方向の寸法を加えた大きな値となり、ベルトラインリンフォース28のねじれに対する剛性の向上を図る上でより有利となり、ドアミラー20のミラー2002の鏡面振れを抑制する上でより有利となる。
【0022】
また、本実施の形態では、上部ベルトラインリンフォース32の前部と下部ベルトラインリンフォース34の前部との間に車両の前方に開放状の欠部40が設けられているので、ベルトラインリンフォース28の剛性を確保しつつドア10の軽量化を図る上で有利となる。
【符号の説明】
【0023】
10 ドア
20 ドアミラー
22 インナーパネル
24 アウターパネル
24A アウターパネル本体
24B アウターアッパーパネル
26 ヒンジリンフォース
28 ベルトラインリンフォース
28A ベルトラインリンフォースフロント
28B ベルトラインリンフォースリヤ
30 ドアミラーリンフォース
32 上部ベルトラインリンフォース
34 下部ベルトラインリンフォース
38 ベルトラインリンフォース側取り付け部
40 欠部
42 ドアミラーリンフォース側取り付け部
44 取り付け片部
BL ベルトライン