(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】X線照射ユニットを備えた装置のX線遮蔽構造
(51)【国際特許分類】
G21F 7/047 20060101AFI20220705BHJP
G01N 23/04 20180101ALI20220705BHJP
G21F 1/10 20060101ALI20220705BHJP
G21F 7/03 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
G21F7/047
G01N23/04
G21F1/10
G21F7/03
(21)【出願番号】P 2020212069
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2021-06-25
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(72)【発明者】
【氏名】立石 芳和
(72)【発明者】
【氏名】角谷 亮
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-078303(JP,A)
【文献】特開平11-304726(JP,A)
【文献】実開平04-085199(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 1/00-7/06
G01N 23/00-23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送される被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニットを備えた装置のX線遮蔽構造であって、
前記X線照射ユニットを囲う
第1カバー部と、前記搬送手段の搬送方向において前記第1カバー部の上流側に備えられるとともに、前記搬送手段の上流領域を囲う第2カバー部と、該第2カバー部における前記搬送方向の上流側の壁面に備えられるとともに、前記搬送手段の上流部分に前記被検査物を搬入しかつ側方に開口する搬入口と、前記搬送手段の下流部分から前記被検査物を搬出する搬出口とがそれぞれ形成された遮蔽カバーと、
前記搬送手段とは別体で構成され、かつ、前記搬送手段への前記被検査物の搬入の案内と前記搬送手段からの前記被検査物の搬出の案内とをそれぞれ行うガイド通路部を有する第1及び第2ガイド体とを備え、
前記第1ガイド体は、
前記被検査物が滑り落ちることにより該被検査物の搬入の案内をするように設けられた前記ガイド通路部が前記搬入口に接続されるとともに
、該搬入口を遮るように当該搬入口から前記
第2カバー
部の外方かつ斜め上方に向かって延びる形状をなしており、
前記第2ガイド体は、当該第2ガイド体の前記ガイド通路部が前記搬出口に接続されるとともに
、該搬出口を遮るように当該搬出口に対して傾斜して
おり、
前記第1ガイド体の下方には、当該第1ガイド体の下端縁部と前記搬入口の下端縁部との両方を覆う遮蔽部材が配設されていることを特徴とするX線照射ユニットを備えた装置のX線遮蔽構造。
【請求項2】
請求項1に記載のX線遮蔽構造において、
前記遮蔽カバーの内部に配設され、一端開口が前記X線照射ユニットのX線出射部に対応する一方、他端開口が前記搬送手段に設定された前記被検査物の検査領域に接近する遮蔽筒体を備えていることを特徴とするX線遮蔽構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のX線遮蔽構造において、
前記遮蔽カバーには、透明又は半透明の樹脂材で形成され、前記遮蔽カバーの内部を観察可能な観察用窓が形成されていることを特徴とするX線遮蔽構造。
【請求項4】
請求項3に記載のX線遮蔽構造において、
前記搬送手段は、ベルトコンベアを備え、
前記観察用窓は、前記ベルトコンベアの搬送方向に沿って延びる細長形状をなしていることを特徴とするX線遮蔽構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、X線の透過画像により被検査物の良否を判定して選別する光学式選別機等の装置におけるX線遮蔽構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被検査物にX線を透過させて得られる透過画像により被検査物の内部状態を検査するX線検査装置が一般的に知られている。例えば、特許文献1に開示されているX線検査装置は、X線を遮蔽しながら検査を行う構造になっている。上記X線検査装置は、水平方向に直線状に延びるベルトコンベアと、該ベルトコンベアの中途部上方に配置されたX線照射ユニットとを備え、該X線照射ユニットは、真下に位置するベルトコンベア上の検査領域に向かってX線を出射することにより、ベルトコンベアによる搬送動作で検査領域を通過する被検査物にX線を照射するようになっている。ベルトコンベア上の検査領域とX線照射ユニットとは、遮蔽カバーで覆われており、該遮蔽カバーにおけるベルトコンベアの上流側部分及び下流側部分には、遮蔽カバー内部に被検査物を搬入する搬入口と、遮蔽カバー内部から被検査物を搬出する搬出口とがそれぞれ形成されている。遮蔽カバー内部の搬入口及び搬出口にそれぞれ対応する位置には、当該搬入口及び搬出口に対応する形状をなすX線遮蔽シートがそれぞれ暖簾状に垂れ下げられていて、該X線遮蔽シートは、ベルトコンベアの搬送方向と直交する水平方向に延びる回動軸心を中心として回動するようになっている。そして、ベルトコンベアにより順次搬送される各被検査物は、ベルトコンベアによる搬送動作でX線遮蔽シートを押して当該X線遮蔽シートを回動させることにより、検査領域への進入と検査領域からの退出とをそれぞれ行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の場合、ベルトコンベアの検査領域において被検査物の検査をするたびに各X線遮蔽シートが被検査物に押されて回動するので、装置を繰り返し使用すると、各X線遮蔽シートの回動部分が経年劣化によりスムーズな回動動作を行うことができなくなってしまい、それを起因としてX線遮蔽シートが回動動作時に真下まで垂れ下がらずに搬入口又は搬出口との間に大きな隙間が生じた状態のまま装置が稼働し続けてしまうおそれがある。また、特許文献1の如きX線遮蔽シートは、回動箇所があるので、部品点数が増えるとともに組み立てに時間が掛かってコストが嵩むという問題もある。さらに、例えば、被検査物が食品等の場合、食品衛生上、傷及び変形の発生や菌の付着の発生を避けたいので、被検査物を検査領域に侵入させるか、或いは、検査領域から退出させる際に、X線遮蔽シートに接触させたくないという要求もある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、X線照射ユニットを備えた装置を安心して繰り返し使用可能であり、しかも、X線を遮蔽する遮蔽手段に被検査物を接触させずに検査領域に対して被検査物を搬出入可能な低コストなX線遮蔽構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、搬送手段に被検査物を搬入するか、或いは、搬送手段から被検査物を搬出する際に使用するガイド体を利用して装置内部に発生するX線を遮蔽するよう工夫を凝らしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、搬送手段により搬送される被検査物に対してX線を照射するX線照射ユニットを備えた装置のX線遮蔽構造を対象とし、次のような対策を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記X線照射ユニットを囲う第1カバー部と、前記搬送手段の搬送方向において前記第1カバー部の上流側に備えられるとともに、前記搬送手段の上流領域を囲う第2カバー部と、該第2カバー部における前記搬送方向の上流側の壁面に備えられるとともに、前記搬送手段の上流部分に前記被検査物を搬入しかつ側方に開口する搬入口と、前記搬送手段の下流部分から前記被検査物を搬出する搬出口とがそれぞれ形成された遮蔽カバーと、前記搬送手段とは別体で構成され、かつ、前記搬送手段への前記被検査物の搬入の案内と前記搬送手段からの前記被検査物の搬出の案内とをそれぞれ行うガイド通路部を有する第1及び第2ガイド体とを備え、前記第1ガイド体は、前記被検査物が滑り落ちることにより該被検査物の搬入の案内をするように設けられた前記ガイド通路部が前記搬入口に接続されるとともに、該搬入口を遮るように当該搬入口から前記第2カバー部の外方かつ斜め上方に向かって延びる形状をなしており、前記第2ガイド体は、当該第2ガイド体の前記ガイド通路部が前記搬出口に接続されるとともに、該搬出口を遮るように当該搬出口に対して傾斜しており、前記第1ガイド体の下方には、当該第1ガイド体の下端縁部と前記搬入口の下端縁部との両方を覆う遮蔽部材が配設されていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記遮蔽カバーの内部に配設され、一端開口が前記X線照射ユニットのX線出射部に対応する一方、他端開口が前記搬送手段に設定された前記被検査物の検査領域に接近する遮蔽筒体を備えていることを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記遮蔽カバーには、透明又は半透明の樹脂材で形成され、前記遮蔽カバーの内部を観察可能な観察用窓が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記搬送手段は、ベルトコンベアを備え、前記観察用窓は、前記ベルトコンベアの搬送方向に沿って延びる細長形状をなしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、被検査物を搬送手段へと導く第1ガイド体が遮蔽カバーの搬入口を遮る姿勢となる一方、被検査物を搬送手段から当該搬送手段の外側へと導く第2ガイド体が遮蔽カバーの搬出口を遮る姿勢となるので、作業者は、X線照射ユニットを備えた装置周りにおいて装置の稼働中に安全に作業を行うことができる。また、搬送手段における検査領域に対して被検査物の搬出入を行う部分を遮る構造に特許文献1の如き可動部分が無いので、装置を繰り返し使用しても故障や変形により搬入口や搬出口が広く開口した状態のまま設備が稼働するといったことが発生するのを確実に防ぐことができるとともに、当該箇所を構成する部品点数が少なくなって組立工数が減り、低コストな装置にすることができる。さらに、搬送手段における検査領域に対して被検査物が搬出入されるタイミングの際に被検査物がX線を遮蔽する遮蔽物に接触しないので、例えば、被検査物が食品等の場合、被検査物を衛生的に検査することができる。
また、第1の発明では、搬送手段と第1ガイド体との間に生じる隙間が遮蔽部材により覆われるので、装置上流側におけるX線の遮蔽カバーの外側への漏れが確実に防止されるようになり、高い安全性を有する装置にすることができる。
【0013】
第2の発明では、X線が遮蔽筒体の内部に照射され、搬送手段の検査領域以外にX線がほとんど照射されなくなるので、作業者が装置の外側において行う作業をさらに安全に行うことができる。
【0014】
第3の発明では、作業者が観察用窓から目視で遮蔽カバー内部を観察することで装置から遮蔽カバーを取り外すことなく搬送手段等の状態を知ることができる。したがって、メンテナンスをするたびに装置から遮蔽カバーを取り外すといった煩雑な作業を無駄に行う必要が無くなり、作業者が遮蔽カバーの外側に居る状態で効率良く確認作業やメンテナンス作業を行うことができる。
【0015】
第4の発明では、作業者の遮蔽カバー内部における視認領域が、ベルトコンベアの搬送方向において広くなるので、作業者が遮蔽カバーの外側から無端状ベルトの蛇行状態の程度を理解し易くなり、無駄に遮蔽カバーを取り外してメンテナンス作業を行うといったことを極力減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るX線遮蔽構造を備えた光学式選別機の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るX線遮蔽構造を備えた光学式選別機の平面図である。
【
図3】
図2のIII-III線における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0018】
図1及び
図2は、本発明の実施形態に係るX線遮蔽構造1を備えた光学式選別機10を示す。該光学式選別機10は、例えば、アーモンドや豆等の食品類、或いは、プラスチック片等の多数の粒状体G1(被検査物)の状態をそれぞれ順次搬送させながら検査して良否を判定した後、良品と不良品とを選別して取り出すよう構成されたものであり、複数の金属製フレームからなる機枠11を備えている。
【0019】
該機枠11には、装置上流側から順に、搬入ユニット2、搬送ユニット3、第1検査ユニット4、第2検査ユニット5、選別ユニット6及び搬出ユニット7が取り付けられ、搬送ユニット3、第1及び第2検査ユニット4,5及び選別ユニット6は、遮蔽カバー8にて覆われている。そして、搬入ユニット2、搬送ユニット3、第1及び第2検査ユニット4,5、選別ユニット6及び搬出ユニット7には、制御部9が接続されている。
【0020】
搬入ユニット2は、振動フィーダ(図示せず)により導入される多数の粒状体G1を搬送ユニット3へと案内する搬入スライダ21(第1ガイド体)を備えている。
【0021】
該搬入スライダ21は、
図3及び
図4に示すように、搬送ユニット3に向かって斜め下方に延び、且つ、ガイド面22aが搬送ユニット3側の斜め上方に向く略板状の底面部22を備え、該底面部22の両側縁部には、当該底面部22の延長方向に沿って側面部23が立設されている。
【0022】
両側面部23の間には、当該両側面部23に沿って斜め下方に延びる細板状をなす複数のガイド板部24が水平方向に所定の間隔をあけて並設され、各ガイド板部24の間には、各粒状体G1が滑り落ちるガイド通路部25が複数形成されている。
【0023】
底面部22の上側部分には、矩形板状をなす通路カバー26が設けられ、該通路カバー26は、各ガイド通路部25の上流側領域及び下流側領域を除く部分を覆っている。
【0024】
通路カバー26の下端縁部における一側方には、近接センサ27が取り付けられ、該近接センサ27は、搬入スライダ21が搬送ユニット3に取り付けられているか否かを検出することができるようになっている。
【0025】
そして、搬入スライダ21は、各ガイド通路部25に各粒状体G1を通過させることにより、搬送ユニット3の幅方向における等間隔の位置に各粒状体G1を順次案内するようになっている。
【0026】
搬送ユニット3は、
図3に示すように、搬入スライダ21の下端から装置下流側へと水平方向に延びるベルトコンベア31(搬送手段)を備えている。
【0027】
該ベルトコンベア31は、搬入スライダ21下端の下側に位置する駆動ローラ32と、装置下流側に位置し、且つ、駆動ローラ32よりもローラ径が小さい従動ローラ33とを備え、駆動ローラ32と従動ローラ33とには、ゴム製の無端状ベルト34が巻き掛けられている。
【0028】
該無端状ベルト34は、駆動ローラ32及び従動ローラ33の回転動作により周回移動して外周面に載置される各粒状体G1を順次搬送するようになっている。そして、搬送される各粒状体G1は、無端状ベルト34の中途部に設定された第1検査領域R1を通過した後、搬送方向下流端から順次斜め下方に落下して第2検査領域R2を通過するようになっている。
【0029】
第1検査ユニット4は、粒状体G1の外形又は内部状態を検査するものであり、第1検査領域R1の上方に所定の間隔をあけて位置するX線照射ユニット41と、第1検査領域R1の下方に設置されたX線検出器42とを備えている。
【0030】
X線照射ユニット41は、X線を真下に出射するX線出射部41aを備え、該X線出射部41aから出射したX線は、無端状ベルト34により搬送されて第1検査領域R1を通過する粒状体G1に照射されるようになっている。
【0031】
X線検出器42は、ベルトコンベア31の幅方向に一列に配設されたラインセンサ42aを備え、該ラインセンサ42aは、粒状体G1を通過したX線を検出可能になっている。
【0032】
X線出射部41aと第1検査領域R1との間には、筒中心線が垂直に延びる遮蔽筒体43が配設されている。
【0033】
該遮蔽筒体43は、X線出射部41aに連続して配置され、上端開口がX線出射部41aに対応する第1筒体43aと、該第1筒体43aの下部に連続して配置され、下端開口が第1検査領域R1に接近する第2筒体43bとを備えている。
【0034】
第2検査ユニット5は、ベルトコンベア31の下流端上方の位置に配置された可視光用の第1CCDカメラ51aと、ベルトコンベア31の下流端寄りの下方の位置に配置された可視光用の第2CCDカメラ52aと、第1CCDカメラ51aの装置下流側に所定の間隔をあけて配置された近赤外光用のNIRカメラ53aとを備えている。
【0035】
第1CCDカメラ51aの装置下流側の斜め下方には、当該第1CCDカメラ51aの撮影方向に対して傾斜する姿勢の第1ミラー51bが配設される一方、第2CCDカメラ52aの装置下流側斜め上方の位置には、第1背景板51cが配設され、第1ミラー51bと第1背景板51cとの間に第2検査領域R2が位置している。
【0036】
第1背景板51cの上方には、一対の第1可視光源51dが配設され、第1CCDカメラ51aは、第2検査領域R2を通過するときの第1ミラー51bに反射する粒状体G1の上面を撮影するようになっている。
【0037】
第2CCDカメラ52aの装置下流側には、当該第2CCDカメラ52aの撮影方向に対して傾斜する姿勢の第2ミラー52bが配設される一方、第1ミラー51bの装置上流側斜め下方の位置には、第2背景板52cが配設され、第2ミラー52bと第2背景板52cとの間に第2検査領域R2が位置している。
【0038】
第2背景板52cの下方には、一対の第2可視光源52dが配設され、第2CCDカメラ52aは、第2検査領域R2を通過するときの第2ミラー52bに反射する粒状体G1の下面を撮影するようになっている。
【0039】
NIRカメラ53aの装置上流側の斜め上方には、当該NIRカメラ53aの撮影方向に対して傾斜する姿勢の第3ミラー53bが配設される一方、第2ミラー52bの装置下流側の位置には、第3背景板53cが配設され、第3ミラー53bと第3背景板53cとの間に第2検査領域R2が位置している。
【0040】
一対の第2可視光源52dの間には、一対の近赤外光源53dが配設され、NIRカメラ53aは、第2検査領域R2を通過するときの第3ミラー53bに反射する粒状体G1を撮影するようになっている。
【0041】
選別ユニット6は、NIRカメラ53aの下方に位置するエジェクター61を備えている。
【0042】
該エジェクター61は、圧縮エアの噴出口が装置上流側の斜め下方を向く噴出ノズル61aを備え、該噴出ノズル61aは、第2検査領域R2の装置下流側の位置に向けて圧縮エアを噴出可能になっている。
【0043】
搬出ユニット7は、
図3及び
図5に示すように、正面視で開放側が装置下流側の斜め下方に向く略V字形状をなすとともにベルトコンベア31の幅方向に幅広な形状をなす排出シュート71(第2ガイド体)を備えている。
【0044】
該排出シュート71は、上下に開口する略四角筒状をなし、内部に粒状体G1の不良品の排出を案内する不良品ガイド通路部72aが形成された不良品排出部72と、筒中心線が装置下流側の斜め下方に向かって延びる略四角筒状をなし、内部に粒状体G1の良品の排出を案内する良品ガイド通路部73aが形成された良品排出部73とを備え、該良品排出部73は、不良品排出部72における装置下流側上部に連続して設けられている。
【0045】
良品排出部73の装置下流側の上面部73cは、
図5に示すように、中途部に設けられたベルトコンベア31の幅方向に延びるヒンジ部73bにより略上半部分が扉構造になっている。
【0046】
また、排出シュート71内部の不良品排出部72と良品排出部73との連続部分には、
図3に示すように、ベルトコンベア31の幅方向に延びる回動軸心を中心に回動可能な選別口調節板74が設けられ、該選別口調節板74は、
図5に示すように、排出シュート71の側面部分に設けられた調節ピン75を操作して回動位置を変更させることにより、不良品排出部72及び良品排出部73の第2検査領域R2側の開口割合が変更されるようになっている。
【0047】
遮蔽カバー8は、第1検査ユニット4を囲う第1カバー部81と、搬送ユニット3の上流側領域を囲う第2カバー部82と、搬送ユニット3の下流側領域を囲う第3カバー部83と、第2検査ユニット5及び選別ユニット6を囲う第4カバー部84と、第1カバー部81の下方に位置する遮蔽部材85とを備え、搬入スライダ21、排出シュート71及び遮蔽カバー8で本発明のX線遮蔽構造1を構成している。
【0048】
第1カバー部81は、
図1に示すように、第2及び第3カバー部82,83よりも上方に突出する直方体形状をなしている。
【0049】
第2カバー部82の装置上流側壁面には、ベルトコンベア31の上流部分に粒状体G1を搬入する搬入口82dが側方に開口するように形成され、搬入スライダ21を機枠11に取り付けると、搬入スライダ21の下流側が搬入口82dに隙間無く接続されるとともにガイド通路部25が搬入口82dに対して傾斜した姿勢になり、第2カバー部82とガイド通路部25とが連通するようになっている。
【0050】
つまり、搬入スライダ21は、搬入口82dから斜め上方に向かって延びる形状になっている。
【0051】
第2カバー部82の装置正面側から中途部背面側寄りの位置までの領域は、
図2に示すように、ベルトコンベア31の搬送方向に延びる回動軸心を中心として上下に回動可能な上流側開閉カバー部82aになっていて、当該上流側開閉カバー部82aの上面には、第2カバー部82の内部を観察可能な第1観察用窓82bが形成されている。
【0052】
該第1観察用窓82bは、透明の樹脂材で形成され、ベルトコンベア31の搬送方向に沿って延びる細長形状をなしている。
【0053】
第2カバー部82の上流側開閉カバー部82aを除く上面には、第2カバー部82の内部を観察可能な第2観察用窓82cが形成されている。
【0054】
該第2観察用窓82cは、透明の樹脂材で形成され、且つ、第1観察用窓82bと平行に延びるとともに当該第1観察用窓82bよりも幅広な形状をなしている。
【0055】
遮蔽部材85は、断面略C字状をなすとともにベルトコンベア31の幅方向に延びる形状をなしており、搬入スライダ21の下端縁部と搬入口82dの下端縁部との両方を覆うようになっている。
【0056】
第3カバー部83の装置正面側から中途部背面側寄りの位置までの領域は、ベルトコンベア31の搬送方向に延びる回動軸心を中心として上下に回動可能な下流側開閉カバー部83aになっていて、当該下流側開閉カバー部83aの上面には、第3カバー部83の内部を観察可能な第3観察用窓83bが形成されている。
【0057】
該第3観察用窓83bは、透明の樹脂材で形成され、ベルトコンベア31の搬送方向に沿って延びる細長形状をなしている。
【0058】
第3カバー部83の下流側開閉カバー部83aを除く上面には、第3カバー部83の内部を観察可能な第4観察用窓83cが形成されている。
【0059】
該第4観察用窓83cは、透明の樹脂材で形成され、且つ、第3観察用窓83bと平行に延びるとともに当該第3観察用窓83bよりも幅広な形状をなしている。
【0060】
第4カバー部84は、
図1に示すように、第2検査領域R2より上方の領域を囲う上段カバー部84aと、第2検査領域R2を囲う中段カバー部84bと、第2検査領域R2より下方の領域を囲う下段カバー部84cとを備え、上段カバー部84aは、第3カバー部83よりも上方に突出する直方体形状をなしている。
【0061】
中段カバー部84bの装置正面側には、透明樹脂製の観察窓84eを有する開閉扉84dが設けられ、該開閉扉84dには、当該開閉扉84dを開いた状態か否かを検知可能な開閉検知センサ84fが取り付けられている。
【0062】
第4カバー部84の装置下流側には、ベルトコンベア31の下流部分から粒状体G1を搬出する搬出口84gが斜め下方に開口するように形成され、排出シュート71を機枠11に取り付けると、排出シュート71の上流側が搬出口84gに隙間無く接続されるとともに不良品ガイド通路部72a及び良品ガイド通路部73aが搬出口84gに対して傾斜した姿勢で第4カバー部84と不良品ガイド通路部72a及び良品ガイド通路部73aとが連通するようになっている。
【0063】
つまり、排出シュート71は、搬出口84gから斜め下方に向かって延びる形状をなしている。
【0064】
制御部9は、ベルトコンベア31における駆動ローラ32の駆動動作等を制御するようになっている。
【0065】
制御部9は、ラインセンサ42aにより得られた検出値が基準値から外れるか否かによって粒状体G1が良品か否かを判定するとともに、第1CCDカメラ51a、第2CCDカメラ52a及びNIRカメラ53aにより得られた撮影画像を演算処理して基準値から外れるか否かによって粒状体G1が良品か否かを判定するようになっていて、粒状体G1を不良品と判定した際、エジェクター61に圧縮エア噴出信号を出力して、ベルトコンベア31の下流端から落下する不良品と判定された粒状体G1に対して噴出ノズル61aから圧縮エアを噴出させてその粒状体G1の落下方向を不良品排出部72側へと変更させるようになっている。
【0066】
また、制御部9は、近接センサ27からの検出信号に基づいて搬入スライダ21が装置から取り外されたと判定すると、X線照射ユニット41を停止させるようになっている。
【0067】
さらに、制御部9は、開閉検知センサ84fからの検出信号に基づいて開閉扉84dが開けられたと判定すると、X線照射ユニット41を停止させるようになっている。
【0068】
尚、上流側開閉カバー部82aや下流側開閉カバー部83a等にも図示しないが開閉検出センサが取り付けられていて、制御部9は、それらのセンサからの検出信号に基づいてカバー部分が開けられたと判定すると、X線照射ユニット41を停止させるようになっている。
【0069】
以上より、本発明の実施形態によると、粒状体G1を搬送ユニット3へと導く搬入スライダ21が遮蔽カバー8の搬入口82dを遮る姿勢となる一方、粒状体G1を搬送ユニット3から当該搬送ユニット3の外側へと導く排出シュート71が遮蔽カバー8の搬出口84gを遮る姿勢となるので、作業者は、X線照射ユニット41を備えた光学式選別機10周りにおいて光学式選別機10の稼働中に安全に作業を行うことができる。
【0070】
また、搬送ユニット3における第1及び第2検査領域R1,R2に対して粒状体G1の搬出入を行う部分を遮る構造に特許文献1の如き可動部分が無いので、光学式選別機10を繰り返し使用しても故障や変形により搬入口82dや搬出口84gが広く開口した状態のまま設備が稼働するといったことが発生するのを確実に防ぐことができるとともに、当該箇所を構成する部品点数が少なくなって組立工数が減り、低コストな光学式選別機10にすることができる。
【0071】
さらに、搬送ユニット3における第1及び第2検査領域R1,R2に対して粒状体G1が搬出入されるタイミングの際に粒状体G1がX線を遮蔽する遮蔽物に接触しないので、例えば、粒状体G1が食品等の場合、粒状体G1を衛生的に検査することができる。
【0072】
また、X線照射ユニット41とX線検出器42との間には、遮蔽筒体43が設けられているので、X線が遮蔽筒体43の内部に照射され、搬送ユニット3の第1及び第2検査領域R1,R2以外にX線がほとんど照射されなくなる。したがって、作業者が光学式選別機10の外側において行う作業をさらに安全に行うことができる。
【0073】
また、遮蔽カバー8には、内部を覗くことができる第1観察用窓82b、第2観察用窓82c、第3観察用窓83b及び第4観察用窓83cが設けられているので、作業者が第1観察用窓82b、第2観察用窓82c、第3観察用窓83b及び第4観察用窓83cから目視で遮蔽カバー8の内部を観察することで光学式選別機10から遮蔽カバー8を取り外すことなく搬送ユニット3等の状態を知ることができる。したがって、メンテナンスをするたびに光学式選別機10から遮蔽カバー8を取り外すといった煩雑な作業を無駄に行う必要が無くなり、作業者が遮蔽カバー8の外側に居る状態で効率良く確認作業やメンテナンス作業を行うことができる。
【0074】
また、第1観察用窓82b、第2観察用窓82c、第3観察用窓83b及び第4観察用窓83cは、ベルトコンベア31の搬送方向に細長い形状をなしているので、作業者の遮蔽カバー8内部における視認領域が、ベルトコンベア31の搬送方向において広くなる。したがって、作業者が遮蔽カバー8の外側から無端状ベルト34の蛇行状態の程度を理解し易くなり、無駄に遮蔽カバー8を取り外してメンテナンス作業を行うといったことを極力減らすことができる。
【0075】
また、搬送ユニット3と搬入スライダ21との間に生じる隙間が遮蔽部材85により覆われるので、装置上流側におけるX線の遮蔽カバー8の外側への漏れが確実に防止されるようになり、高い安全性を有する光学式選別機10にすることができる。
【0076】
尚、本発明の実施形態では、搬入スライダ21により各粒状体G1を搬入口82dを介して搬送ユニット3に搬入し、排出シュート71により各粒状体G1を搬出口84gを介して搬送ユニット3から搬出しているが、搬入スライダ21や排出シュート71は、搬送ユニット3に粒状体G1を搬入でき、また、搬送ユニット3から粒状体G1を搬出できるのであれば、その他の形状をなしていてもよい。
【0077】
また、本発明の第1観察用窓82b、第2観察用窓82c、第3観察用窓83b及び第4観察用窓83cや観察窓84eは、透明樹脂材で形成されているが、半透明樹脂材で形成されていてもよいし、遮蔽カバー8の内部が観察できるのであれば、その他の素材(例えばガラス等)で形成されたものであってもよい。
【0078】
また、本発明の実施形態では、粒状体G1を選別する光学式選別機10にてX線遮蔽構造1を適用したが、その他のX線照射ユニットを備えた装置においても本発明のX線遮蔽構造1を適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えば、X線の透過画像により被検査物の良否を判定して選別する光学式選別機等の装置におけるX線遮蔽構造に適している。
【符号の説明】
【0080】
1 X線遮蔽構造
3 搬送ユニット(搬送手段)
8 遮蔽カバー
10 光学式選別機(装置)
21 搬入スライダ(第1ガイド体)
25 ガイド通路部
31 ベルトコンベア
41 X線照射ユニット
41a X線出射部
43 遮蔽筒体
71 排出シュート(第2ガイド体)
72a 不良品ガイド通路部
73a 良品ガイド通路部
82a 搬入口
82b 第1観察用窓
82c 第2観察用窓
83b 第3観察用窓
83c 第4観察用窓
84g 搬出口
85 遮蔽部材
G1 粒状体(被検査物)
R1 第1検査領域
R2 第2検査領域